漫画の様にスラスラ読める小説をめざしたらネームになった物語の1つ。アナザーゲートキーパーズ

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2章

アナザーゲートキーパーズ 『もう1人のリーダー』

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回想 アジト

ユウヤがヴィンとカルの出て行ったドアを見てから 気を取り直して言う
『それじゃ 俺は一度部屋に』
ユウヤが立ち去ろうとする ヤウが言う
『ユウヤ』
ユウヤが疑問して振り返る ヤウたちが真剣な表情で言う
『ちょっと 話があるんだ』
ユウヤが驚き 一瞬呆気に取られてから 気を取り直して言う
『え?…う、うん?』
ユウヤがヤウたちの下へ向かう ヤウが言う
『ユウヤは率直に どう思ってるんだ?』
ユウヤが疑問して言う
『え?率直にって?何を…?』
キウがドアを見てから小声で言う
『カルやヴィン… ゲートキーパーズのヴァンパイアたちの事だ』
ユウヤが反応する ラシェが言う
『さっきの様子からしても ユウヤだって… ヴィンに付き纏われるのには 正直 迷惑しているんだろ?』
ユウヤが呆気に取られて言う
『え?いや… 迷惑って言うか…』
ユウヤが思う
《俺も皆と同じ様に仲の良い兄弟とか… 家族とかって そんな感じになれる様に… なりたいと… まぁ ヴィンはちょっと特殊と言うか… 良く言えば過保護みたいだけど?》
ユウヤが苦笑する キウが言う
『じゃぁ 良いのかよ?このまま一生 付き纏われて 毎日 首を舐められるんだぜ?』
ユウヤが衝撃を受けヴィンに舐められた首を意識して身震いしてから ハッとして言う
『う…っ いや、で でも… これは 他のヴァンパイアからの吸血避けで…っ 皆のだって… だから ヴィンもカルも俺たちを守ろうと』
ヤウが言う
『あいつらが俺たちを大切にするのは当然だぜ ヴァンパイアにとって人間は血を吸う為の …あいつらの言う通り 獲物 なんだ だから俺たちは あいつらの食料として飼われている』
ユウヤが驚く キウが言う
『こんな事が これからも一生続くんだぜ?考えてみろよ?俺たちが結婚して子供が生まれても ずっとだぞ?もしかしたら その嫁さんや子供たちの血だって吸うかもしれない …少なくとも その両方の首だって舐めるんだぜ?耐えられるかよ?愛する自分の妻や子供の身体にっ』
ユウヤがハッとする ユウヤの記憶に自分の母親の首に牙を立てるデュークの姿が思い出され 続いて デュークが母親へキスをしている姿が思い出される ユウヤが一度手を握るが 顔を強く左右に振ってから言う
『けどっ 他のヴァンパイアに襲われて殺されるよりは良いだろうっ!?ヴィンもカルもっ 俺たちや俺たちの大切な人を守ってくれるって…っ』
ヤウが言う
『けどよ?ユウヤ?あいつらが守ってくれるのは あいつらと同じヴァンパイアからだろ?…もちろん悪い人間が居れば それも含まれるかも知れないが』
キウが言う
『だったら人間は同じ人間の俺たちが何とかすれば良い けど俺たちではどうあってもヴァンパイアには敵わない』
ユウヤが言う
『ああっ そうだよ!だから…っ』
ユウヤが首を押さえて思う
《だからヴァンパイアの仲間が居てくれる事は良い事じゃないかっ!?たまに血を吸われるだけで守ってもらえると言うのなら…っ 例え俺たち人間がヴァンパイアにとっての家畜だとしても それは相互補助みたいなもので…》
ラシェが言う
『けどよユウヤ?俺たち人間がヴァンパイアを全て退治出来るとしたら どうだ?』
ユウヤが驚いて言う
『…え?』
キウが言う
『出来るんだよっ あの機械を使えばっ!』
ユウヤが驚いたままキウを見る ヤウが言う
『ヤルス城の貴族は それをやろうとしているんだっ ユウヤ?俺たちは人間として それに協力するべきじゃないのか!?』
ユウヤが呆気に取られて言う
『そんな事が…!?けど一体どうやって!?』

回想終了

ユウヤが言う
「現状、ヤルス城の装置は超微電流遮断装置の範囲を最も強く最も狭い範囲に… つまり この聖域の周囲のみに設定された状態で制御キーを抜かれています それと もう一箇所ヲルス城のそちらも… 恐らく範囲などは同じ状態で制御キーを抜かれている筈です ですので俺たちで残りの城の装置を同じ様にする事が出来れば」
ヤウが言う
「まずは全ての城の装置の範囲を聖域だけにして そこへ人間を集めて聖域に入れないヴァンパイアたちをアウターの脅威って奴で死滅させる その後は」
キウが言う
「装置の範囲を元に戻して もう一度アウターの何とかって奴を俺たち人間の住む範囲から消し去る …これでヴァンパイアの居ない人間だけの世界が出来るんじゃないか?」
ラシェが言う
「ここに居るあんたらは それをやろうとしているんじゃないのか?だったら俺たちも一緒に!」
ユウヤが言う
「俺たちは装置の操作方法も知っていますし8箇所だけですが城の内部の事も知っています その装置の場所だって… 分かるよな?皆?」
ヤウたちが頷く ユウヤたちが警察を見る 警察が頷いて言う
「うむ… どうやら全てを知っているようだな?」
ヤウが言う
「俺たちはゲートキーパーズとしてやって来た けど いつの間にか仲間のヴァンパイアが増えて そいつらの相手をさせられる様になった …こうなっちまったら人間としての一生を あいつらに飼われるだけだっ そんなのは冗談じゃないっ」
キウとラシェが頷く 警察がユウヤを見る ユウヤが手を握り締めうつむく 警察が様子を伺っている ドアがノックされ警察が振り向いて言う
「入れ」
ドアが開かれ ユウヤ以外の皆が入室して来た人物へ向く
「今の君の気持ちが私には痛いほど分かるよ ユウヤ殿」
ユウヤが驚き顔を上げて言う
「グ、グレーデン侯爵っ!?」
ヤウたちが驚いて ユウヤとグレーデンを見る 警察が椅子を立ってグレーデンへ譲る グレーデンが言う
「私もシャナには恩がある情もある… だが我々は人間で彼女たちはヴァンパイアだ どうあっても その2者が共に在り続ける事は出来ないのだよ」
ユウヤが呆気に取られていた状態から 気を取り直して言う
「貴方は… やはり彼女に人としての人生を奪われると お考えですか?」
グレーデンが言う
「”人生を奪われる”か… そうだな その言葉が何よりも正しい 彼女たちは我々とは異なる時間の中で生きている 言わば我々人間の一生が彼女らにとっては一時に過ぎない だからこそ 我々の人生を奪う事に罪悪感などは感じられないのだろう… いや そもそも その様なものを感じるつもりは最初から無いのかもしれない」
ユウヤが言う
「そんな事は無いと思いますっ!俺の… ヴァンパイアは… 俺の血を吸う時や身体に触れる時は いつも気を使ってくれます… つまり こちらに負担を掛けていると言う事を彼は理解してくれていました」
グレーデンが言う
「そうか それは とても人間の側に立って物事を考えられるヴァンパイアであったのだろう」
ユウヤがハッとして言う
「あ…」
ユウヤが思う
(そう言えば ヴィンは物事を大局的に見られるようにと いつも そう心掛けていたから…)
グレーデンが言う
「しかし多くのヴァンパイアは その様な考えなどは持って居ない 我々人間を家畜の様に思っている もしくは… 愛玩動物… ペットと言った所か…」
ユウヤが言う
「貴方は… 俺たちから見ると そうは見えませんでしたが?」
グレーデンが苦笑して言う
「それはシャナが女性のヴァンパイアであり 私が男性の人間であったからだろう?傍目には 私は彼女の身体を自由に出来る男であると… それは確かに男にとって いつでも性欲を満たしてくれる女性が居ると言う事は幸福な事だろう 増してシャナはとても美しく相手にとって不足は無い むしろそれ以上だ」
キウが言う
「う、羨ましい…っ」
ユウヤが苦笑して思う
(キウ…)
グレーデンが言う
「だが それだけだ」
ユウヤがグレーデンを見る グレーデンが言う
「彼女は とても独占力が強い 私は幼い頃に両親を無くし その孤独感から彼女を城の棺から解放した… それにより確かに私は孤独ではなくなった しかし その時から彼女はヴァンパイア以外の者の目に私を入れたくないと… 城から出る事も誰かを呼び付ける事も許さなかった 更には私の全てを奪いたいと願っている 心も身体も… それは この身に流れる血を 全て吸い尽くされる事よりも苦痛だ」
ユウヤが呆気に取られて言う
「それでは…」
グレーデンが苦笑して言う
「君がテール君と共にゲートキーパーズとして城を訪れた… あの時 私は20数年ぶりに人間を見た とても… 愛しかったよ 世界は どう変わっているのか?街は?人々は?何もかもが きっと変わっているのだろうと… そう考え始めてから この作戦を決行しようと決意するまでに それほど時間は掛からなかった」
ユウヤが言う
「では 今回の事を始めたのは貴方が?」
グレーデンが言う
「いや、正確には私が始めた訳ではない ずっと以前に話を持ち掛けられてはいたが… だが そうだな?それを決行しようと言ったのは 私だ ゲートキーパーズが他の貴族たちを退治した今なら それも容易いのでは無いかと」
ユウヤが言う
「他の貴族たちを退治した… つまり彼らは貴方の味方ではなかった… …では貴方に この話を持ち掛けていたのは?」
グレーデンが苦笑して言う
「君は中々鋭いな?そう… 話を持ちかけていたのは …警察だ」
ユウヤが言葉を飲む グレーデンが言う
「何でも君は… 君の父親は警察官だったそうだな?だからこそ君はゲートキーパーズに?」
ユウヤが言う
「いえ… それとこれとは… …あ、でも何故その事を貴方が?俺の…」
ユウヤが思う
(父親の事なんて…?)
ドアがノックされ ユーノスが入って来て言う
「失礼 先ほどは すまなかったな ユウヤ君」
ユウヤが驚いて言う
「ユーノス警部!?」
ユーノスが言う
「話は聞かせてもらっていた その上で… ユウヤ君 今一度聞くが我々の作戦に協力してくれるかね?我々は この世界から…」
ユウヤが意を決して言う
「…ヴァンパイアを退治して 人間の世界を作りますっ」
ユーノスとグレーデンが微笑し グレーデンが立ち上がり 握手の手を差し出して言う
「共に行おう ユウヤ殿」
ユウヤが立ち上がり グレーデンの手を取って言う
「ユウヤで結構です 宜しくお願いします」
グレーデンが言う
「こちらこそ」

聖域 外

リックが目を開いて言う
「どうやら 決まったみてぇだな?」
ラミが言う
「あら本当に?リックの獲物は そんな風には見えなかったけど?それにユキも… まぁ ユキは女だし男たちに襲われちゃったら それまでね?」
リックが言う
「カル?てめぇは いつも通り あいつらにヒントを与えてやったのか?」
カルが言う
「ああ、言うておいたで?範囲を狭めた聖域には人間しか入られへんて?それから一度狭めた範囲を戻せば また住める様になるてな?」
リックが言う
「あのヤウどもでも それで理解出来たってぇならユウヤの奴も同じだろう森に入って街へ到着するには十分な時間を待った それでも銃声が一発も聞こえて来ないとなりゃ奴らは最初からそのつもりで向かったんだろう でもってテールは… そのあいつらに押えられちまった」
ラミが言う
「そうね?いつもならリックの獲物が率先するけど… 今回は貴方のユウヤだったかしら?ヴィン?」
ヴィンが沈黙してから言う
「ユウヤへは私からヒントを与えて置いた 賢いユウヤなら本当の答えに至る可能性もある」
ラミが言う
「さぁ?どうかしら?」
リックが言う
「ユウヤは確かに頭の切れる奴だが… だったら尚更 答えには至らねぇ事を願えよ ヴィン?じゃなけりゃ お前が初めて得られやがった獲物は ここで人間どもにヴァンパイアの味方とされて殺されちまうぜ?」
ヴィンが言う
「ユウヤへは その人間からも逃げる事が可能な薬を渡して置いた そして ここまでを逃げて来てくれさえすれば後は私が…」
リックがヴィンの横に来て言う
「諦めろ …行くぜ?奴らが事を始めるとなりゃ 俺らも急がねぇと… 途中で干乾びちまうからな?」
リックが消える ラミが言う
「そうね?久しぶりに1人2人と続けて頂いちゃおうかしら?」
ラミが消える カルが言う
「ほなワイも!ヤウたちも不味ぅは無かったけど… やっぱ血は女の方が美味いねんて!」
カルが消える ヴィンが森の中を見詰めてから言う
「ユウヤ… 私は君を信じている」
ヴィンが苦笑して消える

聖域 内

警官が言う
「諸君らが入って来た出入り口とは別の出入り口へ車を用意した 余り大人数で向かっては 怪しまれる可能性もある いつも通りの巡回と思わせ城内へと向かう作戦だ」
ユウヤがユーノスへ向いて言う
「あの… ちなみに装置の範囲を狭める事に成功したとして 人間たちをこの聖域へ向かわせる そちらの方法は?」
ユーノスが言う
「ああ、そちらは考えてある 元々この作戦は警察やごく一部の人間たちによって考えられたものだ 異議を唱える者も当然いるだろう しかし そうであっても自分たちが住む事の出来る範囲が狭まってしまうと言う現実を前にすれば その者たちであっても従うざるを得ない」
ユウヤが言う
「それは つまり事後承諾であると…?」
ユーノスが言う
「ああ、言ってしまえば これは強行作だ 従って これによって起き得る全ての責任は各街の我々警察が担う事になる その上で ここに募った警察官たちは皆その覚悟が出来ている」
ユウヤが周囲を見渡す 警官たちが強い意思の下に頷く ユウヤが呆気に取られて思う
(もしかして この人たちは皆…?)
警官たちが言う
「ヴァンパイアを全て始末出来ると言うのなら… 俺は死んだって構わないっ この作戦で… 家族の仇を取られるんだっ」
「ああ、俺もだ 俺の恋人を吸い殺した ヴァンパイアを…っ」
「俺の家族の自由を取り戻す為なら」
「ヴァンパイアから人間の世界を取り戻すんだ!」
ユウヤが沈黙する

ユウヤたちがそれぞれの護送車に乗り込んで 車が発車する

車内

ユウヤと警官たちが居る ユウヤが試験管を取り出して思う
(ヴィンが願う様に人間とヴァンパイアが共存出来る世界を目指すと言う… それは俺も良い事だと思っていた… 協力したいと思った でも…)
ユウヤが警官たちを見る 警官たちが強い意志を持って武器を握り締めている ユウヤが視線を戻して思う
(それは やっぱり出来ない事だったんだ… 人が食料を必要とするようにヴァンパイアは人間の血を必要とする… それが変わらない限り人間にとってヴァンパイアは脅威にしかならない)
ユウヤが試験管を見て思う
(いくら大切にして命までは奪わない様にしたとしても食料は必要で人間はヴァンパイアに血を奪われ それは時として人としての自由や尊厳を奪われる… だから俺たちは 今 それらから逃れる為に… ヴァンパイアを1人残らず退治しようとしている)
ユウヤが試験管を握り締めて思う
(これで良いのか?良い筈だ俺は間違っていない この考えは正しい …いや、これが現実なんだ この世界のっ …なのに何だろう?何か引っかかる何かが…?)
ユウヤの脳裏に ヴィンの言葉が蘇る

ヴィンが一歩踏み出して言う
『ユウヤっ!どうか忘れないでくれ 私は何があろうとユウヤの味方だっ』

ユウヤが言う
「ヴィン…っ」
ユウヤが目を閉じて思う
(ごめん… ヴィン… きっと俺は罪悪感に囚われているんだ だから何か引っかかると そう感じてしまう でもっ)
ユウヤの脳裏に 皆の言葉が蘇る

ヤウが言う
『あいつらが俺たちを大切にするのは当然だヴァンパイアにとって人間は血を吸う為の …あいつらの言う通り 獲物 なんだ 俺たちは あいつらの食料として飼われている』
キウが言う
『こんな事が これからも一生続くんだぜ?考えてみろよ?』

グレーデンが言う
『彼女は とても独占力が強い城から出る事も誰かを呼び付ける事も許さなかった更には 私の全てを奪いたいと願っている 心も身体も… それは この身に流れる血を全て吸い尽くされる事よりも苦痛だ』

ユウヤが強く目を瞑って思う
(そうだっ ヴァンパイアは人間を飼っているだけっ 大切にするのも人間がヴァンパイアの食料だからだっ!それは善悪ではなく現実なんだっ だからっ)
ユウヤが試験管をしまい サブマシンガンを確認しながら思う
(迷ったら駄目だ もう引き返せない引き返す訳には行かない…っ 俺は人間だ だから人間の味方をする それで良い!ヴァンパイアは人間の敵なんだっ)
ユウヤがふと気付き 懐からリボルバーを取り出す 警官たちが視線を向けている ユウヤがリボルバーに意識を向けて思う
(親父… 俺はヴァンパイアを退治するよ この時代遅れの銃は使わなくても方法を見付けた… それも この銃で倒せる1人2人じゃない …世界中のヴァンパイアをっ)
ユウヤが視線を強める

メルス城 出入口

警官とユウヤたちが平静を装って城内へ入る 間を置いてユウヤが言う
「こっちです!」
ユウヤが走る 警官たちが追って走る

機械室

ユウヤが装置の前に立ちスライドスイッチとモニターを見てから思う
(ついさっきはヴィンと一緒に… …いやっ 駄目だ考えるな!今、俺がやる事は…っ)
ユウヤがスライドスイッチへ手を伸ばす モニターを見ながら ゆっくりスライドスイッチを上げて行く モニターの範囲表示が狭められて行く ユウヤがスライドスイッチを上げ切り視線を向けて言う
「後は…」
ユウヤがスライドスイッチから手を離し 装置の中心へ手をかざす ユウヤの脳裏に記憶が蘇る

グレーデンが言う
『設定を終えたら装置の中央付近に手をかざし 意思を伝えろとの事だ』
ユウヤが言う
『意思を伝える?』
グレーデンが苦笑して言う
『私も理解しかねた為 物は試しと実際に口にしてみた』

ユウヤが意を決して言う
「『この設定を固定する』っ」
ユウヤの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる ユウヤが一瞬呆気に取られてから鍵に触れ手に持って眺める

ヨルス城

ヤウが言う
「この設定を固定する!」
ヤウの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる ヤウが驚き言う
「で、出来た…っ!」

マルス城

ラシェが言う
「この設定で固定するぜ!」
ラシェの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り 倒れそうになる鍵を手に取って言う
「よっしゃっ!」

モルス城

キウが言う
「この設定で宜しく!」
キウの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる キウが鍵を拾い 喜んで言う
「次 行くぜ!」

ムルス城

ヤウが言う
「この設定を固定する!」
ヤウの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる ヤウが鍵を手にして言う
「カリム お前にやらせてやりたかったよ きっと今なら お前とも もう一度…」
ヤウが鍵を握り締める

ヤルス城

ラシェが言う
「この設定で固定する!」
ラシェの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる ラシェが鍵を手にして言う
「マル… お前が正しかったな… けど今度は俺たちが正しい方法を見付けたんだ …これで お前の無念を晴らしてやるからな?」

ミルス城

警官が言う
「機械室はここです ミルス街の警察が1ヶ月捜索して やっと…」
ユウヤが頷いて言う
「では 操作は俺が…」
ユウヤが装置の前に立ち緊張して言う
「…よし」
ユウヤが意を決してスライドスイッチへ手を伸ばして操作を行う 警官たちが見詰める ユウヤが装置に手をかざして言う
「この設定で… 固定するっ!」
ユウヤの手の先で装置が音を鳴らす 装置から鍵が現れ空間で一度回り音を立てて倒れる ユウヤがホッとして鍵を手に取り思う
(リック… テール… ごめんよ)
ユウヤが振り返って言う
「残りは?」

ユルス城

ユキが言う
「ここよ」
ユキと婦警たちが全裸で居る ユキが装置を指差して言う
「それとも機械の操作まで私にやれって言うの?」
婦警が言う
「いえ そちらは我々が行います 操作方法は聞いていますので」
ユキが言う
「誰が教えたの?」
婦警が言う
「お伝え出来ません」
婦警の1人が装置へ向かい確認している ユキが言う
「…どうせユウヤでしょう?結局 最初からこうだったのよ 賢いんだか馬鹿なんだか …どっちでもないのが一番嫌い」
婦警が手をかざす 手の先で装置が音を鳴らし装置から鍵が現れ空間で一度回り 音を立てて倒れる 婦警が鍵を手にして言う
「出来ました!」
ユキが言う
「これでテールの身の保障はしてくれるのよね?」
婦警が言う
「そうですね お約束通り彼の命を奪う事や その他 危害を与えるような事もしません …しかし 彼は全てが終わるまで拘留します」
ユキが視線を逸らして言う
「ええ それで良いわ 釈放なんてしたら きっと…」
ユキが息を吐いてから立ち去る 婦警が言う
「さあ 戻りましょう!」
婦警たちが敬礼して言う
「はっ!」
皆が立ち去って行く

聖域

テーブルの上に7個のキーが置かれる ユウヤが言う
「これで7箇所 先に抜かれた2箇所と合わせて9箇所… 後の1箇所は?」
婦警が入って来て言う
「失礼致します」
ラシェが言う
「この婦警さんに頼んだんだ ヴィンのユルス城には全裸の女が入る分には大丈夫なんだろう?」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?それは…っ そうだけど それより装置の場所とか操作とかは!?」
ラシェが苦笑して言う
「操作なんて ただ スライドスイッチを上げるだけだし 場所は…」
婦警が言う
「ゲートキーパーズのユキさんに ご案内を頂きました 彼女と… 何よりゲートキーパーズのリーダーであるテール殿の身の保障と引き換えに」
ユウヤが驚いて言う
「ユキが…?」
婦警がテーブルにキーを置く ユウヤが呆気に取られる ヤウが言う
「これで全部… いよいよ始まるのか?ヴァンパイア退治がっ?」
ユウヤが視線を強める 婦警が言う
「後の事は私たち警察が行いますのでゲートキーパーズ… いえ、貴方方は どうか この聖域の中で お過ごし下さい 再び装置の操作を行う その時には もう一度ご協力を頂きたいと」
ユウヤが言う
「はい、装置を動かす時には また俺たちが…」
婦警が言う
「念の為 今回と同じ者が同じ装置を動かすと言う事で計画されていますので どうか宜しくお願いします」
ユウヤが言う
「分かりました」
ヤウたちが頷く

 ユウヤの独白
 ≪ それからの3ヶ月間を 俺たちは 聖域の街の中で過ごした…≫

ユウヤが鉄格子の先へ言う
「テール…」
鉄格子の先でテールがうずくまっている ユウヤが表情を落として言う
「ごめん… でも こうするしかないんだよ 人間が生きる為には… 自由を得るには… テールにも分かるだろ?いくら… リックが親代わりだったとしてもテールは… 俺たちと同じ人間なんだ …リックの様なヴァンパイアじゃない だから…」
ユウヤがテールを見る テールは動かない ユウヤが言う
「テール?」
ユウヤがテールを見詰めた後 間を置いて言う
「また 明日も来るよ」
ユウヤがテールの向かいの牢屋に居るユキを見る ユキがユウヤを見た後 顔を逸らす ユウヤが反応して苦笑して立ち去る

ユウヤが警察署を出て青空を見上げる 澄んだ空気がユウヤの頬を掠める その空気に声が響く
「ユウヤ… 君…?」
ユウヤが閉じていた目を開き驚いて顔を向けた先で リマが微笑して言う
「やっぱりユウヤ君だったのね?ゲートキーパーズのメンバーがヴァンパイアを退治する方法を調べて警察と一緒に それを行ったって!」
ユウヤが言う
「あ… うん…」
リマが喜んで言う
「凄いっ!凄いわっ!ユウヤ君!」
リマがユウヤの手を取って喜びを伝える ユウヤが呆気に取られた状態から苦笑して言う
「そっか… そうだよな?俺… やったんだ ずっと… 子供の頃から目指していた事を…」
リマが言う
「そうよ!ユウヤ君は本当に凄いわ!人間の力では到底敵わないヴァンパイアを退治する方法を見付けたんだから!」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ… 見付けたのは俺と言うか… 仲間たちなんだけど… けど、俺も協力した間違いなく この手で…」
ユウヤが思う
(そうだ 俺は否定してはいけない 俺はこの手で自分たちを信じてくれた仲間のヴァンパイアさえもっ …だからっ)
ユウヤが言う
「俺がやったんだよ」
ユウヤがしっかりと見据える リマが一瞬驚いた後 微笑して言う
「ありがとう」
ユウヤが驚く リマが目に涙を浮かべて言う
「お母さんの仇を取ってくれて…」
ユウヤがハッとして思う
(違う… あれは…)
リマがユウヤに抱き付く ユウヤが一瞬驚いた後 表情を悲しめて思う
(…でも あれは言わないで置こう… リマのお母さんは… ヴァンパイアに介錯されたなんて きっと… ヴァンパイアに殺されたと そう思った方が幸せな筈だ… 彼女は人間なんだから 同じ人間に虐げられて殺されたんだ なんて知るよりは ずっと…)
ユウヤが微笑して言う
「そうだね きっとリマのお母さんも浮かばれると思うよ …俺の母さんも」
リマが微笑して頷いて言う
「うん…っ」
ユウヤがリマを抱いて思う
(俺は嘘吐きだ… でも物も言葉も使い様だって… そう教えて貰ったんだ 俺の… 尊敬するヴァンパイアに)
ユウヤがリマを抱きしめる

3ヵ月後

ユウヤが言う
「テール 行って来るよ これが終われば テールもここから釈放してもらえるから そうしたら… 一緒に捜しに行こうか?」
牢屋の中でうずくまっているテールが反応する ユウヤが表情を悲しめる 出入り口からラシェが顔を出して言う
「ユウヤ 時間だぜ?」
ユウヤが反応して言う
「うん… 行こう!」
ユウヤが立ち去る ユキが向かいの牢屋からユウヤの後姿を見詰めてから息を吐き正面へ顔を向けて驚く テールが顔を上げユウヤの後姿を見詰めている ユキが言う
「テール…」

テーブルの上に鍵が置かれる ユーノスが言う
「では 3ヶ月前に預かっていた鍵を諸君へ返す 各自 確認をしてくれ」
皆が鍵を取る ユウヤが鍵を見て言う
「こっちが最初に手に入れたメルス城の装置の鍵… こっちがミルス城の…」
皆が各々確認している ユーノスが言う
「間違いは無いだろうか?」
皆がユーノスへ頷いて見せる ユーノスが頷いて言う
「では 早速 城へ向かおう」
ユウヤが反応して言う
「え?あの…っ ユーノス警部?」
ユーノスが言う
「うん?どうかしたかね?ユウヤ君」
ユウヤが言う
「今、この聖域の外はアウターと同じ状態に なっているのですよね?」
ユーノスが言う
「ああ、その筈だ」
ユウヤが言う
「だとしたら俺たちが向かおうとしている各街のその城だって今はアウターの中と言う事になります だとしたら一体どうやって その場所へ向かうんですか!?」
ユウヤが思う
(そうだ 肝心な事を俺は…っ!?)
ユーノスが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「おや?そうかユウヤ君は そちらの事は知らなかったのか?それは失念していた 説明しておくべきだったな」
ユウヤが呆気に取られて ヤウたちを見る ヤウたちも呆気に取られていて 知らないと伝えるように顔を左右に振る ユウヤがユーノスを見る

ユウヤが驚いて言う
「これは…っ!?」
ユーノスが微笑して言う
「驚いただろう?我々も これを発見した時には本当に驚いた」
ユウヤの視線の先 七色に光る壁が浮かび上がっている ユーノスが言う
「ビレーンビレーン子爵の話によると あの壁のように見える空間はゲートと呼ばれるものらしい」
ユウヤが言う
「ゲート?」
ユーノスが言う
「ああ、そして その名が示す通り あのゲートは この聖域から各街の城へと繋がっていると言うのだよ」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?そんな…っ!」
ユーノスが言う
「信じられないと言うのも無理は無い 我々も最初は そんな夢の様な話は信じはしなかった だが、子爵は あのゲートを実際に利用して我々にそれを証明して見せたのだよ そして、それが今回の作戦を始める1つの切欠ともなった あのゲートが無ければユウヤ君が先ほど言った通り我々は永遠にこの聖域から出られなくなってしまうからな?」
ユウヤが言う
「それでは… 本当に あの… ゲートで?」
グレーデンがやって来て言う
「それで?順番はどの様に?やはり設定を行った その順番通りに向かうのだろうか?」
ユーノスが言う
「念には念をと言う事で 出来ればその様にお願いしたい」
グレーデンが言う
「分かった では…?」
グレーデンが顔を向ける ビレーンビレーンが現れて言う
「私が最初か?そうだな?この世界を救った貴族として 後の世に知らしめるのにも丁度良い」
ユウヤが僅かに表情をしかめる ヤウたちが嫌そうにしている グレーデンが言う
「そうですね?その為にも どうか くれぐれも失敗などはなさらない様に まずは装置を起動させる事 その事だけを考えて向かわれた方が宜しいかと?」
ユウヤとヤウたちが呆気に取られた後苦笑する ビレーンビレーンが言う
「ふんっ?その貴方こそ あの女ヴァンパイアが居なければ何も出来まい?精々失敗せぬよう 気を付ける事だな?」
グレーデンが微笑して言う
「ご親切にどうも」
ビレーンビレーンが不満そうに顔を逸らしてゲートへ向かう ユウヤが思う
(ヴァンパイアは居なくなっても やっぱり人間同士の争いは この後もあるのかもしれない… けど その時はもう…)
ユウヤが表情を落とす ビレーンビレーンがゲートに消えて行く グレーデンが言う
「では 次は私が」
グレーデンが向かう ユウヤたちが見詰めている前でグレーデンもゲートに消えて行く ユウヤが鍵を握り言う
「よし 次は…っ」
ユウヤが向かう ユーノスの前を過ぎる際 ユウヤがユーノスを見る ユーノスが言う
「気を付けてな?ユウヤ君」
ユウヤが言う
「はい!…あ、でも あの?」
ユウヤがユーノスへ向き直る ユーノスが疑問して言う
「うん?どうかしたかね?」
ユウヤがメルス城の鍵を向けて言う
「万が一と言う事も有りますし両方持って行くのは やっぱりリスクがあると思うので …ですので片方は預かっていてもらえませんか?」
ユーノスが言う
「そうだな?では こちらは私が責任を持って預かって置こう ユルス城へは迎えを向かわせる もう一度ここへ戻り今度はこちらの」
ユーノスが預かった鍵を見せる ユウヤが頷いて言う
「はい 必ず戻ります」
ユーノスが頷く ラシェが言う
「頑張れよ!ユウヤ!」
ユウヤが苦笑して言う
「うん ラシェや皆も」
ヤウが言う
「ああ!ユウヤの次は俺だからな!」
ユーノスが言う
「諸君も迎えの者を向かわせる そして、その諸君も必要と有れば やはり もうひとつの鍵を預かって置くが?」
ラシェが言う
「あ、なら お願いします」
ヤウが言う
「ああ、慌てて間違えても大変だしな?」
キウが言う
「俺は元々1つしかねぇし?」
ラシェが言う
「一番やる気だったのにな?」
キウが言う
「皆 速ぇんだもんよ?」
皆が笑う ユウヤが苦笑してから言う
「それじゃ 先に行くよ?皆?」
ヤウたちが言う
「おう!」
ユウヤが頷きゲートへ向かう 直前で一度立止まり波打つような七色の光りを前に意を決して奥へ進む ユウヤがゲートを過ぎる

ユルス城 機械室

ユウヤが何もない空間から現れ顔を上げ驚いて言う
「え!?これはっ!?」
ユウヤの前に装置がある ユウヤが驚いて思う
(城にある超微電流制御装置!?それじゃ本当に俺はあの一瞬で聖域からメルス城の中へ…っ!?)
ユウヤの身体に異変が生じる ユウヤが動悸に息を飲み言う
「うっ!?」
ユウヤが装置へ手をついて思う
(まずい…っ 早く…っ 装置を…っ!ここはアウターと同じなんだっ 早くしないと… 俺は…っ!)
ユウヤの脳裏に記憶が蘇る

ヴィンが言う
『この世界の外部には生物の意識を蝕む超微電流が流されており それを浴びると人も機械も全てがカタストロフィへと導かれてしまうのだよ』
ユウヤが言う
『カタストロフィ… 悲惨な結末 破滅へと?』
ヴィンが言う
『そう、世界や生物 更には機械に至るまで何もかもが全て悪い方向へ… 破滅へと導かれる まるで自戒プログラムと言った所だろうか?』

ユウヤが鍵を装置へ向ける 鍵が装置に刺さり1回転して消えて行く 装置に電源が戻る ユウヤがスライドスイッチに手を置き押し下げる モニターに表示されている範囲を示す円がゆっくりと基準地点へ向かって行く ユウヤが思う
(早く…っ)
設定を終えたユウヤが膝を着き目を閉じ掛ける モニターにグリーン表示が点灯する ユウヤが苦しみから解放され 息を吐いて言う
「はっ!?はぁ… はぁ… た…」
ユウヤが思う
(助かった…)
ユウヤが一度息を吐いて立ち上がり肩の力を抜いて後ろへ一歩足を向ける その足が何か柔らかいものを踏み ユウヤが驚いて言う
「わっ!?」
ユウヤが転びそうになったのを堪え 気を取り直して振り返りながら思う
(何だ?今 何か…?)
ユウヤが振り返り足元を見て息を飲む
「ヒッ!?」
ユウヤの足元にはヴァンパイアが牙を剥いて苦しんでいる姿の遺体がある ユウヤが後ず去って思う
(ヴァ… ヴァンパイアっ!?こんな所に!?)
ユウヤが周囲を見渡し 驚いて目を見開く 周囲にはヴァンパイアの遺体が複数倒れている ユウヤが怯えて思う
(こんなに沢山…っ ここを知っていて装置を操作しようと来たのかっ!?それで そのまま… アウターの脅威で…っ!?)
ユウヤが怯えて身体を震わせるが 一度強く目をつぶってから逃げる様に階段へ向かう

ユウヤが階段を駆け上がる 途中にあったヴァンパイアの遺体に何度も躓き転びそうになるのをこらえて階段を上り終えて顔を上げ 視線の先に見えるエントランスに広がる光景に驚き言葉を失う 目に見える範囲に大量のヴァンパイアの遺体が倒れている ユウヤが言葉を失い 怯えながら思う
(ここにも…っ 今まで知らなかったけど ヴァンパイアは こんなに沢山居たのかっ!?それが今回の…っ 俺たちの作戦で…っ!)
ユウヤが1度強く目をつぶってから 意を決して遺体の中を進み 外へ向かう

ユウヤが城の出入り口にフラフラと走って来て 息を切らせながら思う
(戻らないと…っ もう一度 聖域に… 皆が待ってる それで…)
ユウヤが顔を上げ視界に広がる光景に目を見開き後ず去りながら言う
「あ… あ… あぁ…っ うわぁああーーっ!!」
ユウヤが思う
(俺がっ!…俺が!?殺したんだ…っ!このヴァンパイアたちを全て…っ)
ユウヤが失神して倒れる 城の外には見渡す限りにヴァンパイアの遺体が見える 

護送トラックの車輪が次々にヴァンパイアの遺体を踏みつけて走っている

揺れる車内 ユウヤが意識を取り戻し目を覚まして言う
「う…っ」
ユウヤが目を覚まして言う
「ここは…?俺は…?」
ユウヤが頭を押さえる 警官が言う
「ユウヤ殿 ご無事ですか?」
ユウヤが警官を見て言う
「えっ…?あ、大丈夫です ここは… 護送トラック?」
警官が微笑して言う
「はい そうです 超微電流の状態を確認し お迎えに向かったのですがユウヤ殿を発見するのに手間取ってしまいまして 少し帰還が遅れています申し訳ありません」
ユウヤが頭を押さえながら言う
「いえ、俺が… 痛てっ」
警官が驚いて言う
「あ、大丈夫ですか?もしかしたら倒れた際にぶつけられたのかも知れません 傷などは?」
ユウヤが頭をさすりながら言う
「いや、大丈夫です 本当に… ちょっとコブになってるみたいだけど これくらいなら大丈夫だって分かりますから」
警官がホッとして言う
「そうですか… では次の城へも?」
ユウヤが言う
「はい… 行きます」
ユウヤが震える手を押さえる 警官が気付き言う
「確かに我々も驚きました …この数には」
ユウヤが言う
「…はい 俺もです…」
警官が気を取り直して言う
「しかし!逆に考えれば今まで知らなかったと言うだけで このヴァンパイアたちと同じか それ以上の人間が!彼らヴァンパイアに苦しめられていたのですから!」
ユウヤが一瞬驚いてから警官を見る 警官が微笑して言う
「我々は その多くの人間たちを救ったのですっ これは… ヴァンパイアと人間の戦い!これで我々人間の勝利ですっ!」
ユウヤが沈黙する 車が何度も揺れる ユウヤが言う
「…はい そうですね?俺たち人間の…」
ユウヤが一度言葉を区切ってから ハッキリと言う
「勝利です」
警官が力強く頷いて言う
「はい!」
トラックが何度も揺れながら走り去る

聖域

ユウヤがやって来て一瞬驚いて言う
「あ… あれ?皆?」
ヤウたちが振り返り キウが言う
「お!やっと戻って来たな!?ユウヤ!」
ユウヤが皆の下へ向かい皆を見てから言う
「キウ?何で?…キウも戻って来たのか?」
キウが言う
「いや~… 俺は1箇所だからさ?俺らの中で最初に向かうユウヤが戻ってから様子を聞いて向かおうと思ってたんだけど?それで待ってたらよ?ユウヤの次に行ったヤウの方が先に戻って来るじゃないか?…心配になっちゃってさぁ?それで待ってたら今度は その後に行ったラシェまで戻って来たって言うのにユウヤが帰って来ねぇんだもんよ?」
ユウヤが苦笑して言う
「あぁ… ごめん 実は…」
警官が微笑して言う
「申し訳ありません 我々が途中で道を間違えてしまいまして ユウヤ殿には お待たせをさせてしまいました」
ユウヤが驚き警官を見る キウが言う
「何だ!そうだったのかよ!?しっかりしてくれよなぁ?お巡りさん?」
警官が苦笑して言う
「申し訳ありません 以後 精進致します」
ユウヤが言う
「あ…」
ラシェが言う
「ほら?これで安心しただろ?キウ?お前も行って来いって!」
ヤウが言う
「そうそう!とにかく到着したら装置を起動させる!それだけ考えてりゃ大丈夫だ!」
ユウヤが苦笑して言う
「うん そうだな?そんな感じで…」
ユウヤが思う
(そうか 俺のせいでキウを不安にさせてしまっていたんだな それで…)
ユウヤが警官を見る 警官がユウヤの視線に微笑を返す ユウヤが微笑して軽く頭を下げる キウが言う
「よし!それじゃ俺も行くぜ!」
ヤウが言う
「おう!」
ラシェが言う
「行って来い!」
キウが向かおうとして ふと立ち止まり振り返って言う
「あ… なぁ?皆?」
皆が疑問する キウが言う
「皆 この後どうするんだ?また… 会えるよな?」
皆が反応し ユウヤが思う
(そうか… これで俺たちは…)
ラシェが言う
「当たり前だろ?」
ユウヤがラシェを見て思う
(ラシェ… やっぱり ラシェもキウを気遣って…)
ラシェが言う
「俺はこの後 落ち着いたら自分の故郷でバーを経営しようと思ってる!元々親父の店があってさ?この聖域で久しぶりに会って話をして後を継ぐって話になって… まぁ?最初はな?見習いだからよ出せるのは いつものエールになるだろうけど マルス街へ来る事があったら 寄ってくれよな?」
皆が微笑する ヤウが言う
「そうだな 俺は まだ… 何も決めてねぇけど やっぱ故郷で仕事を探すつもりだ 一応だけど… 親父の建築関係でコネみたいな物があるから… きっと そうなるかな?まぁ そんな感じだ!お前らが家を立てる時には… そん時は声を掛ろよ?柱の一本くらいおまけしてやるぜ!」
キウが笑って言う
「出来るのかよ?そんなの?」
ヤウが言う
「あ?分かんねぇけど… 柱なら多い方が良いだろ?多分?」
ユウヤが苦笑して思う
(あいからずヤウの根拠のない改造は怖いけど… まぁ その頃には大丈夫になってるかな?それに柱なら多くても…?多分?)
キウがユウヤへ向いて言う
「ユウヤは?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「え?」
キウが微笑して言う
「やっぱ故郷に戻るのか?ユウヤはメルス街だよな?」
ユウヤが言う
「あ… ああ、そうだな?俺は… その… 皆と違って まったく決めていないんだけど… 俺はメルス街の一番有名な酒場で よく飲んでたから きっと そこに居ると思うよ?…あ、もちろんラシェと違って俺は客としてだけど…?」
キウが言う
「そっか!それじゃユウヤに会いたくなったらメルス街の その酒場で俺も飲んで待ってるわ!」
ユウヤが言う
「うん」
ヤウが言う
「これなら今度こそ安心だろう?」
キウが言う
「ああ!それじゃ …今度こそ!」
キウがゲートへ向かい 直前で皆へ向いて言う
「皆!またな!」
ヤウとラシェが頷く ユウヤが苦笑して言う
「また!」
キウが頷きゲートへ入る ヤウが苦笑して言う
「大丈夫かな?あいつ?結構ビビリだからよ?ゲートを越えた後すぐに ちゃんと装置を起動出来っかな?」
ラシェが苦笑して言う
「きっと大丈夫だろ?それで いつか また もう一度 俺たちと会うんだからさ?」
ヤウが言う
「そうだな?…よし次は もう一度 俺だ!」
ヤウが向かう ラシェが言う
「じゃあな?ヤウ?」
ヤウが言う
「今度こそ お別れだな?」
ユウヤが言う
「また会えるんだろ?」
ヤウが苦笑して言う
「ああ!また… しばらく後だろうけど?」
ユウヤが頷いて言う
「うん そうだな?」
ヤウがゲートへ向かい 一度ユウヤたちを見てからゲートへ入って行く ラシェが言う
「よし!それじゃ俺も!」
ユウヤが言う
「ラシェ!」
ラシェが疑問してユウヤへ向く ユウヤが微笑して言う
「俺、ラシェが居てくれて心強かったよ」
ラシェが呆気に取られた後 苦笑して言う
「何言ってんだ?そりゃ俺の台詞だろ!?ユウヤ!」
ユウヤが驚いて言う
「え…?」
ラシェが微笑して言う
「なんだ やっぱり知らなかったんだな?俺らの中でゲートキーパーズの もう1人のリーダーは ユウヤ お前だったんだぜ?」
ユウヤが驚いて言う
「えっ!?お、俺が!?そんなっ どうしてっ!?」
ラシェが笑って言う
「ばっかだなぁ?分からないか?お前ほどヴァンパイアに真っ向から立ち向かえる奴は俺らの中には居なかっただろう?」
ユウヤが呆気に取られて言う
「あ… でも?俺は いつも そのリックやヴィンに…っ!?」
ラシェが言う
「リックに殴り掛かったりヴィンに自分の意思をハッキリ伝えたりさ?そんな事出来る人間は ユウヤ お前だけだったよ」
ユウヤが言う
「それは… 確かに… …え?でも皆は?」
ユウヤが思う
(そうだ むしろ皆の方が人間でありながらヴァンパイアと上手く付き合って… あれ?”上手く”…?)
ラシェが苦笑して言う
「俺らは唯 我慢していただけだ… そうしないと… 吸い殺されちまうだろう?」
ユウヤが驚く ラシェが言う
「俺らはヴァンパイアが怖かった… だからきっと今回の事だって俺らだけだったら出来なかったよ …ユウヤが居てくれたから出来たんだ」
ユウヤが呆気に取られる ラシェが微笑して言う
「だからよ?ありがとな!リーダー!」
ユウヤが驚く ラシェがゲートへ入って行く ユウヤが思う
(リーダー?俺が…?…いや、違う ゲートキーパーズのリーダーはっ!)
ユーノスがユウヤへ鍵を向けて言う
「では ユウヤ君 預かっていたものを」
ユウヤが言う
「ユーノス警部っ!?テールは!?俺たちのリーダーは釈放してくれましたか!?」
ユーノスが言う
「彼の釈放は約束する …ただ、もう少しだけ時間を置きたい 街中の様子は聞いている 彼は… ヴァンパイアの味方なのだろう?だとすれば現状の街を彼が見れば 我々人間へ復讐を企てようとする可能性もある …最も彼1人では大した事は出来ないかもしれないが それでも出来うる限りのリスクを削減したい」
ユウヤが視線を落とし考えてから ユーノスへ向いて言う
「そうですか… それは確かに… それで その… 街中にあるヴァンパイアの遺体は どうするんですか?とても…」
ユーノスが言う
「ああ、そちらは各街の警察が総掛かりで 各々の街にて処分をする予定だ」
ユウヤが言う
「処分を…?」
ユーノスが言う
「アウターで命を落としたヴァンパイアは 蘇らないと言う通説があるそうなのだが それでも 念には念を1体1体の遺体に銀の杭を打ち 肉体の腐食を… ヴァンパイアの力が確実に無くなった事を確認してから埋葬する」
ユウヤが言う
「遺体の数は… もの凄い量です… 時間が掛かりそうですね?」
ユーノスが言う
「そうだな?ともすれば この聖域に避難した人々の一部… 女性や子供などは予定より もう1ヶ月近く滞在してもらう事になるかもしれないが… それでも我々は やり遂げる所存だ」
ユウヤが顔を上げて言う
「俺にも… 手伝わせてもらえませんか?」
ユーノスが驚いて言う
「ユウヤ君…」
ユウヤが言う
「お願いします!駄目ですか?それなら… その杭だけでも借りられれば後は俺は1人ででもっ」
ユーノスが微笑して言う
「何を言う ユウヤ君にとっては何よりも苦しい事だろう?それに協力してくれるとあれば我々はもちろん君を迎え入れる」
ユウヤが呆気に取られた後 苦笑して言う
「有難う御座います ユーノス警部…」
ユーノスが頷いて言う
「うむ、ではユウヤ君へは もう一度 迎えの車を向かわせる 詳しい事は戻ってから話そう」
ユウヤが言う
「はい 行ってきます!」
ユーノスが言う
「ああ、宜しく頼む」
ユウヤが言う
「はいっ」
ユウヤがゲートへ向かい 一度ユーノスを見る ユーノスが頷く ユウヤが微笑して頷いてから 気を取り直してゲートへ向かう ゲートが消える ユーノスが微笑する

 ユウヤの独白
 ≪ 俺がミルス城の機械の操作を終え それで… 俺たち人間によるヴァンパイア殲滅作戦は 成功として終わった…≫

ユウヤがモニターを見上げる モニターにグリーン表示が点灯する ユウヤが息を吐こうとして ハッと気を取り戻し ゆっくり後ろを確認して呆気に取られる そこには何もない ユウヤがホッとしてから気を取り直し階段を上がり 上げた顔の表情を落とす エントランスには沢山のヴァンパイアの遺体がある ユウヤが一度間を置いて意を決する その中を進み外へ向かう 外に出たユウヤが周囲を見渡した後 手を握り歩き始める 周囲には大量のヴァンパイアの遺体がある

 ユウヤの独白
 ≪ その後 警察はそれぞれの街で 丸1ヶ月を掛けヴァンパイアの遺体の処分を行った ≫

銀の杭が打ち込まれ ヴァンパイアの身体が腐食する ユウヤが一度表情を落としてから立ち上がる 警察がヴァンパイアの遺体をトラックへ積み込む

ユウヤの独白
 ≪ 俺はユーノス警部も居る故郷のメルス街の警官たちと一緒に ひたすら作業に勤しんでいた …何も考えずに ≫

ユウヤが杭を置き その手で書類を渡す 婦警が受け取って言う
「29体ですね?」
ユウヤが言う
「はい、これで第8区域は終わりました 午後からは何処の区域に行ったら良いですか?」
婦警が言う
「いえ、これで他の街を含め処理は全て終わりました」
ユウヤが一瞬呆気に取られて言う
「え?あ… そうだったんですか…?」
婦警が微笑して言う
「はい、本当にお疲れ様でした」
ユウヤが言う
「いえ… こちらこそ…」

 ユウヤの独白
 ≪ いや、1つだけ… ≫

ユウヤが言う
「…あのっ」
婦警が言う
「はい?」
ユウヤが言う
「その… 今日 処分されたヴァンパイアの中に…」
婦警が苦笑して言う
「ああ、今日もそちらの情報は無かったですよ?」
ユウヤが一瞬呆気に取られた後 息を吐いて言う
「…そう ですか」
婦警が言う
「他の街の担当の者にも声を掛けて確認をしていましたが」
ユウヤが驚いて顔を向ける 婦警が苦笑して言う
「“白衣を着たヴァンパイア”の遺体の処分は行っていないと」
ユウヤが呆気に取られた後 視線を落とし 苦笑して言う
「そうでしたか… 有難う御座いました 他の街の方まで確認をしてもらって」
婦警が言う
「いえ、総合報告の際に確認出来た事ですから… それにしても白衣を着た と、言う事は お医者様でしたか?ヴァンパイアにも医療が…?」
ユウヤが言う
「いえ彼は… 科学者でした とても優秀な…」
婦警が言う
「そうでしたか… しかしヴァンパイアでは…」
ユウヤが気を取り直して言う
「はい… きっと白衣を着ていない状態で …亡くなったんだと思います でも、そうなると 今度は何も特徴が無くなってしまうので …恐らく他のヴァンパイアたちと一緒に処分されたのだと… 残念だけど諦めます ただ、一言… お詫びを言いたかった… それだけなので…」
ユウヤが苦笑してから言う
「では 有難う御座いました 俺は これで…」
ユウヤが思う
(これで 俺はもう…)
婦警が言う
「こちらこそ メルス街の警察一同ご協力を感謝しております ユウヤさん… どうか お元気で」
ユウヤが微笑して言う
「はい 有難う御座います」
ユウヤが立ち去り思う
(この場所には 居られない…)

街中

ユウヤが歩いている 周囲に人々が行きかう

ユウヤの独白
 ≪ ヴァンパイアの遺体処分には1ヶ月が掛かったけど聖域に居た殆どの人間は最初の1週間を待つかの内に故郷へ戻っていた 確かに最初の1週間の間で主なる道やその他 人々が行きかう場所の処分はされていた しかし、それも少し道をそれれば… ≫

ユウヤが路地裏へ顔を向ける 青年たちが言う
「なんだ もう1体も無いじゃん?」 「詰まんねぇのっ」
青年たちが石を蹴って落ちている空き缶に当てる ユウヤが嫌悪感に目を細めてからその場を後にする 

ユウヤの独白
 ≪ 彼らのそれは 今までヴァンパイアたちに虐げられていた その うっぷんなのだと思っていた でも… 違うのかもしれない… そう思うと胸が痛かった… 俺がやった事は本当に正しかったのか… 俺はその後 幾度と無く悩んだ ≫

ユウヤが立ち止まり息を吐き顔を左右に振って言う
「…止めよう …終わった事なんだから もう…」
ユウヤが思う
(全て終わった… 遺体の処理も… 俺は… 俺は これから… どうしよう?)
ユウヤが顔を上げ周囲を見渡す 視線の先の本屋に見えたものに目を奪われて言う
「あ…」
ユウヤが店頭にある雑誌の下へ向かう 雑誌にはグラビアのリマが表紙を飾っている ユウヤが微笑して雑誌を手にとって言う
「リマ…」
ユウヤが思う
(夢… 叶えたんだな?良かった… 本当に…)
ユウヤが雑誌をぱらぱらと見た後 微笑して雑誌を手に本屋へ入って行く

ミルス街

袋に入った雑誌を手にユウヤが顔を上げる 視線の先にはゲートキーパーズのアジトがある ユウヤが出入り口を見る

ユウヤの独白
 ≪ 気付いた時には俺はメルス街の その本屋から ずっと離れた… ミルス街の あのアジトに居た …俺は多分 探していたのだと思う ≫

アジト

ドアが開かれユウヤが入る 通路を歩いて 通りかかったドアに足を止めてドアを見る 一度ノックをしようと手を構えてから 間を置いてドアを開ける ユウヤが室内を覗く ペディキュアを塗っていたラミが振り返る ユウヤが驚くが そこには誰も居ない ユウヤが呆気に取られた後苦笑して言う
「ラミ… 居る訳… 無いよな?」
ユウヤが思う
(そうだ もう居る筈が無いヴァンパイアは全て… ゲートキーパーズのヴァンパイアですら)
ユウヤがドアを閉めて通路を歩き 途中で足を止め振り向く 振り向いた先のキッチンで食材を刻んでいるユキが手を止めて振り向く ユウヤが一瞬驚くが次の瞬間には ユキの姿は無くなっている ユウヤがホッと苦笑して言う
「ユキ…」
ユウヤが思う
(人間の仲間だって今はもう… ここには居ない… 分かっていて俺は ここに来た …何でだ?)
ユウヤが通路を歩き向かった先のリビングのドアを開ける ヤウたちが振り向き微笑する ユウヤが微笑して言う
「ヤウ、キウ、ラシェ…」
リビングには誰も居ない ユウヤが苦笑して言う
「皆の街も… 片付いただろう?」
ユウヤがドアを閉め通路を行く ユウヤが思う
(そうだ ゲートキーパーズは役目を終えて皆 自分たちの街へ帰ったんだ …俺だって)
通路の途中 物置のドアが開き掛かっている ユウヤが気付き微笑してドアを閉め その向かいのドアを見てドアを開く カルが振り向き笑顔を見せる ユウヤが言う
「カル…」
ユウヤの視線の先には誰も居ない ユウヤが苦笑して言う
「いつでも力仕事に手を貸してくれるって言ってくれてたのにな?…カルみたいに大きなヴァンパイアの遺体を持ち上げるのは… 大変だったよ…」
ユウヤが憂いの表情を見せてからドアを閉め通路を歩く ユウヤが思う
(そうだ ここへ来て改めて分かった… ここには もう… 誰も居ないんだって事が… テールだってここには居ない それは…)
ユウヤがドアの前に立って思う
(以前の内にユーノス警部から聞いていた …それでも ここに来たのは)
ユウヤがドアを見てからドアノブを掴み 一瞬間を置いてから ドアを開ける ユウヤの視線の先 大きな機材があり機材の前にヴィンが座っていて ユウヤへ向き微笑するが そのヴィンと共に全ての機材が消えている ユウヤが驚き呆気に取られてから慌てて室内へ入り周囲を見渡して言う
「無いっ!?ヴィンの機材が!?」
ユウヤが周囲を見てからハッとしてベッドへ向かって視線を向ける ベットに取り付けられていたスイッチが無くなっている 続いてベッドの下を見るが そこにも何も無い ユウヤが改めて部屋の中を見渡してから思う
(機械も棺も!?何も無い!…何故!?)
ユウヤが辺りを確認して思う
(そんな…!?あれほどの機材が置いてあった形跡すら…!?)
ユウヤがハッとして言う
「…まさか最初から!?…無かった …のか?」
ユウヤが思う
(仲間のヴァンパイアの中で一番特徴があるヴィンの遺体が無かった… この部屋にあった筈の機械さえ…っ!?)
ユウヤが窓の外を見る 窓の外には普通の街中の様子が見える ユウヤが窓へ近付き周囲を見渡してから思う
(俺たちはヴァンパイアの遺体の処理を行った… あれは夢なんかじゃない だけど… 本当に 俺たちの味方のヴァンパイアなんて居たのか?もしかしたら俺は夢でも見ていたんじゃ?)
ユウヤがハッとして服の中にある銃ホルダーへ手を向け お守りの試験管を取り出し間を置いて言う
「…いや、夢なんかじゃない」
ユウヤがお守りをしまい 部屋の中へ視線を戻して思う
(このお守りをくれたヴィンは間違いなく居た… リックやラミやカルだって… そうだ 皆 間違いなく居たんだ 俺たちの仲間のヴァンパイアが…)
ユウヤが床を調べる 床には棺の一部がめり込んだ跡がある ユウヤの脳裏に狂戦士のカルと戦っていた時の記憶が蘇る ユウヤが床の傷に触れてから表情を落として立ち上がる

ユウヤが扉を開け 通路へ出て歩きながら思う
(俺は正しい事をしたのだと思っていた でも… それで…?その結果… 俺は何を得たのだろう?)
ユウヤが手に持っていた袋を開き 雑誌の表紙を見る 表紙に写っているリマは微笑んでいる ユウヤが苦笑して言う
「…でも 良いか?」
ユウヤが再び歩きながら思う
(俺は 何も得られなかったかもしれない… いや、むしろ)
ユウヤが通路の途中 リビングを見る 記憶が蘇る

ユウヤが苦笑して言う
『いってらっしゃい ヴィン』
ヴィンが微笑して言う
『行ってきます ユウヤ』

ユウヤが思う
(…失った これで 2度目… いや、3度目か)
ユウヤが言う
「俺の家族は もう居ないんだ…」
ユウヤがハッとして思う
(あれ?変だな俺?家族だなんて… ヴィンの事を?)
ユウヤが苦笑して振り返った先 地下室への階段が見える ユウヤの脳裏に記憶が蘇る

リックがユウヤの横に来て軽く匂いを嗅いで言う
『…カル臭ぇな?それに… ラミの甘ったりぃ 匂いもする その上 俺と話をして俺の匂いまで付けてぇのか?てめぇは結局 誰の獲物なんだよ?ユウヤ?』
ユウヤが言う
『あ… あの それは… …いや、それより 今はっ!』
リックが苦笑して言う
『それより?ハッ!良いぜ?俺と話をしてぇなら俺はもう寝るつもりだから地下室に来いよ?それで いくらでも話しをした後は てめぇの血を吸い尽くしてやるぜ?』
ユウヤが衝撃を受けて言う
『えっ!?』

ユウヤが呆気に取られた後 苦笑して言う
「やっぱり止めよう …それに」

アジト 外

ユウヤがアジトから出て来て思う
(もう全て終わってしまったんだ… 引き返せないって事は最初から分かっていた…)
ユウヤが外へ出てため息を吐き振り返ってアジトを見て言う
「さようなら ゲートキーパーズ 有難う… それに ごめん…」
ユウヤが立ち去る

ユウヤの独白
 ≪ 俺は帰る場所を探していたんだ 俺の… 在るべき場所を探していた… ≫

ユウヤの家

テーブルに雑誌が置かれている ユウヤが息を吐いて言う
「明日になったら 早速…」
ユウヤが思う
(まずは働く場所を決めないとな?人間が生きるには…)
ユウヤが財布を開こうとする ドアがノックされるユウヤが一瞬驚いた後 振り返って言う
「は、はい?」
ユウヤが財布を仕舞ながら ドアへ向かいつつ思う
(誰だろう?こんな時間に?)
ユウヤが時計を確認する 時計の針は20時ごろを示している ユウヤがドアへ近付きドアノブへ手を向けてから気を取り直し確認用の小窓を開こうとする ユーノスの声が聞こえる
「夜分に失礼 ユウヤ君」
ユウヤがハッとして慌ててドアを開けながら言う
「ユーノス警部!?」
ユウヤがドアを開ける ユーノスが微笑する


続く
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