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13章

アールスローン戦記Ⅱ 勇姿

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【 帝国 西城壁アウターサイド 】

M隊員Fが滑走し 倒れている敵マシーナリーたちを飛び越えた先で顔を上げると驚いて言う
「こ、…これを 全て倒すのかっ?」
M隊員Fの視線の先 無数の敵マシーナリーが迫っている M隊員Aが到着すると 隊員Aが一瞬驚いた後 気を取り直して言う
「全てを倒せ …とは言われてない ”城壁を守れ”って… 城壁が力を取り戻すまでっ」
M隊員FがM隊員Aへ向いて言う
「そ、そうだったな?」
隊員Aが苦笑して言う
「ああ、大体 この数を全てって言われたら 銃弾がいくらあっても足りないだろう?」
隊員Fが苦笑して言う
「確かに …その通りだ」
M隊員Nが近くでマシンガンを放ってから言う
「けど その間だってよ?このマシーナリーが保有している弾だけじゃ 大して持たねーぜ?」
M隊員Aが顔を向けて言う
「後衛部隊が 補給に来てくれる筈だ 後は…」
M隊員Bが言う
「アッちゃーん!パース!」
M隊員Aが一瞬呆気に取られてから言う
「え?あ…っ!?」
M隊員Aが投げられてきた弾倉を受け取る M隊員Bが近くに来て言う
「今 撃破したマシーナリーが持ってたー アッちゃんのと同じ銃のマシーナリーだったからー!」
M隊員Aが言う
「そうか!有難うっ バイちゃん!…そうだな?こうやって お互いに 撃破したマシーナリーの武器から 使える銃弾を供給し合おう!そうすれば… 何とか 持つかもしれない!」
M隊員Bがマシンガンを掲げて言う
「了解ーっ!アッちゃんと同じタイプのマシーナリーなら 俺 撃破するの 得意だしー?また持って来るねー?アッちゃんー」
M隊員Bが去って行く 隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?助かるけど… それって どういう意味だ?バイちゃんー?」
M隊員Nが言う
「なら 俺は 小銃タイプのマシーナリーを狙ってやるか!」
M隊員Nが弾倉をセットする M隊員Fが言う
「え?それは もしかして…?」
M隊員Nが言う
「フッちゃん隊員は マシンガンタイプのマシーナリー倒したら その弾倉マガジンは 俺に渡してくれよな?」
M隊員Fが言う
「やっぱり そう言う事か…?」
M隊員Nが去る M隊員Aが苦笑して言う
「まぁ… そう都合良く行くかは分からないが 多少は目標を定めた方が やりやすいかもしれない」
M隊員Fが言う
「そうだな?なら そう言う事で…」
M隊員Aが言う
「よし!それじゃ!」
M隊員Fが言う
「ああ!」
M隊員Aが滑走して向かう M隊員Fが小銃を構えて射撃する

【 ART本部 司令塔 】

オペ子Aが言う
「ART3、ART4 第一目標地点へ到着しました!」
グレイゼスが言う
「よし、では 両部隊は 補給作戦A-1にて ART1、ART2への弾薬補給作戦を開始だ!まずは各部隊へ目標地点の指示を行え」
オペ子Aが言う
「了解!」
オペ子Aがスイッチを操作してからイヤホンマイクへ言う
「ART3、ART4 こちら 司令塔!補給作戦A-1にて 前線部隊ART1及びART2への補給支援を開始して下さい!それぞれの目標地点は…」
オペ子Bが言う
「国防軍総司令本部より入電!SSS指令による 各駐屯地の配備が完了!共に 国防軍レギスト機動部隊が 帝国との国境に集結したとの事です 隊長より 通信入ります」
スピーカーからエリーナの声が聞こえる
『こちらは国防軍レギスト機動部隊隊長 エリーナ・アリア・ヴォール・ライトニア少佐だ アールスローンの防衛体制 共に ART2への支援体制が整っている』
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから言う
「うん?ART2への…?こちらART本部司令塔 マスターグレイゼス中佐だ そちらの言うARTへの支援体制は ART2に限定でって事か?」

【 帝国~アールスローン 国境地点 】

レギスト隊員たちが集結している エリーナが言う
「そうだ ART1は 現在 欠陥品の隊長が部隊指揮を取っている そちらへの支援は 事態を急変させる可能性が示唆される」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『…っはは それはそれは?お厳しい ご指摘だな?』
エリーナが言う
「無駄話は不要だ 現状の報告を要求する 必要とあれば ART2への支援を… もしくは ART1の失敗が見えていると言うのであれば 我々は この場所にて待機し 帝国の城壁を超え この地へ来るマシーナリーを 確認次第 撃破する」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『では 後者の作戦待機を頼む』
エリーナが言う
「了解」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『正し それはART1の失敗が見えていると言う訳じゃない ”万が一に備える” と言う事だけだ』
エリーナが沈黙する

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが言う
「それに 例え ART1やART2 そのどちらかが 突破される様な事になったとしても ARTは それ位で破られる組織じゃない  同じARTの仲間たちが サポートし合い 万全を期する組織だ」
スピーカーにエリーナの声が聞こえる
『理想だな』
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「理想か… しかし それを現実に出来るお方が この組織のトップだ そして ARTのNo1部隊を任された 隊長を あまり舐めてくれるなよ?」
スピーカーにエリーナの声が聞こえる
『…待機する 必要時の指示は 単純明確に行え …以上だ』
通信が切られる グレイゼスが苦笑して言う
「単純明確に …ね?確かに ちょっと熱くなっちまったかな?作戦中に 私情を挟んじまうなんて… 俺もまだまだ 甘いよな はは…っ …と?…うん?」
グレイゼスの近くでブザーが鳴る グレイゼスが反応してスイッチを押して言う
「…こちらART本部 マスターグレイゼス中佐だ」
グレイゼスのイヤホンにハイケルの声が聞こえる
『こちらART1隊長 ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐 …だが』
グレイゼスが言う
「ハイケル!?どうした!?銃弾の補給が必要か!?すぐに向かわせるが まだ…っ」
ハイケルの声が聞こえる
『いや、それよりも…』
グレイゼスが一瞬驚いてから言う
「何だっ!?それ以外で何か必要なら 国防軍も配備している!すぐそこには エリーナ少佐の率いる お前たちの古巣 国防軍レギスト機動部隊も待機しているぞ!」
ハイケルの声が聞こえる
『では… やはり 彼女へ任せた方が良いのだろうか?』
グレイゼスが驚いてから言う
「え?…ど、どうした?ハイケル 何が…っ?」
ハイケルの声が聞こえる
『…ないんだ』
グレイゼスが言う
「んっ!?何だってっ!?すまんっ 通信が遠い…っ いや そんな事は無いか? …なら …声が?小さく…て…?」

【 帝国 西城壁内 】

Mハイケルがつっ立っていて コックピット内でハイケルが言う
「動かないんだ」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが言葉を失っている イヤホンにハイケルの声が聞こえる
『…やはり 欠陥品なのだろうか?俺は…?』
グレイゼスが言う
「ハ、ハイケル~っ!?」

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツのマシーナリー内モニターにART2隊員が映り言う
『こちらART2、3班!チャージ残量 2割を切りました!』
ラミリツが横目に見て言う
「了解っ では3班も 一時後退だ!ART2、13班!3班を援護 そのまま防衛体制へ移行しろ!」
イヤホンにART2隊員の声が聞こえる
『ART2、13班!了解!』
ART2の3班と13班が入れ替わり3班が後退して行く ラミリツのマシーナリー内モニターにART2隊員が映り言う
『こちらART2、2班!チャージ残量 2割を切りました!』
ラミリツが横目に見て言う
「了解っ …では2班も 一時後退だ!ART2、12班!2班を援護 そのまま防衛体制へ移行しろ!」
イヤホンにART2隊員の声が聞こえる
『ART2、12班!了解!』
ART2の2班と12班が入れ替わり2班が後退して行く ラミリツが言う
「残りの剣士部隊は僕ら1班だけ… 補給部隊はまだなのっ?11班以降の銃撃班じゃ 長くは持たない…っ なんとか リーチは広めておいたけど…っ」
ラミリツがハッと気付くと モニターにチャージ残量2割の表示が出る ラミリツが表情を険しくしてから言う
「ART2、1班!後退する!ART2、11班は1班を援護しつつ そのまま防衛体制へ移行しろ!ART2、1班から5班は 銃撃班の後方へ向かえ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長っ!」」
部隊編成が変わると Mラミリツが銃撃班の後方で構えつつ ラミリツが後方を気にしながら言う
「補給部隊は何時来るっ!?一度 通信エリアまで戻って確認するべき!?それとも このまま…っ?」
ラミリツが前方の仲間たちを見る 隊員たちが戦っている ラミリツが操縦桿を握り締めて言う
「…信じて 待つべきだよね?隊長が 仲間を信じなかったら 任務の成功はないっ 僕は信じる!…これで良いよね?エルム!」
ラミリツが正面を見据え Mラミリツがセイバーを構えると 銃撃班が逃した敵マシーナリーを攻撃する ラミリツが声を上げる
「やあぁあーっ!」
敵マシーナリーが倒れると Mラミリツが言う
「前衛剣士部隊!後衛へ下がっても 気を緩めるな!補給部隊が来るまで 残りのチャージを省エネモードで使用し 銃撃部隊を援護だ!」
ART2隊員たちが言う
「「了解!隊長っ!」」
剣士部隊たちがプラズマの消えているセイバー柄を構える

【 帝国 西城壁外 】

M隊員Aが銃撃を行い敵マシーナリーを倒すと 敵マシーナリーのマシンガンから弾倉を取り 隊員Aが言う
「よし これは後でバイちゃんに…」
M隊員Bがやって来ながら言う
「アッちゃーん!」
隊員Aが声に気付くと M隊員Aが曲げていた機体を上げて言う
「バイちゃん 丁度良かった ほら!パースだ!」
M隊員Aが手にしていた弾倉をM隊員Bへ放る M隊員Bがそれをキャッチすると言う
「キャーチ!ありがとー!アッちゃんー!」
隊員Aが苦笑して言う
「なに お互い様だろ?…で?」
M隊員Bが弾倉をマシンガンにセットしている M隊員Aが言う
「で、俺の分は?」
M隊員Bがマシンガンを調整して言う
「うん!俺も アッちゃんの為にー 短銃のマシーナリーの時はちゃんと注意して いっぱい手に入れて来たよー!アッちゃんー!」
隊員Aが微笑して言う
「ありがとな!バイちゃん!…そうなんだよな?倒した後に そいつからマガジンを取り外すには ちょっとしたコツが要るよな?前方に倒れられたり 銃の上に倒れられたりすると 取り外せなくなっちゃうから… 俺ももっと早くに それに気付いていたら もっと沢山 渡せたんだけど 気付いたのが遅くてさ?」
隊員Bが言う
「分かる分かるー!俺も 何体か それやっちゃったしー!」
M隊員Aが言う
「そっか …でも もう分かったからさ?次はもっと渡せるよ …で?」
M隊員AがM隊員Bへ向けていた手を動かす M隊員Bが言う
「うん!俺はさー それはさっき気付いたからー?今度は いーっぱい持ってきたんだけどー?ここまで来る間にー イッちゃんとマッちゃんとプッちゃんに会ってー?」
M隊員Aが言う
「イリアス隊員とマシル隊員とプロト隊員に会って?…って あれ?その3人って もしかして…?」
隊員Bが言う
「そうそうー!皆 メインアームが短銃と同経口の ダブルヘッドショットガンでしょ?だから 持ってたマガジン2づつ渡してたら ここに来る間に ぜーんぶ無くなっちゃったー!」
M隊員Aが転んで言う
「なぁあっ!?バ、バイちゃんっ そりゃ 無いよ~!?」
M隊員Bが言う
「えっへへ~ ごめ~ん」
M隊員Aが言う
「ご、ごめ~んってっ」
敵マシーナリーが2人の前に現れ銃を向ける 2人がハッとして武器を構えるとM隊員Bが言う
「えーいっ!」
M隊員Bがマシンガンを放つと 敵マシーナリーが一瞬動きを止める 隊員Aが言う
「ターゲット左センター!貰ったっ!」
M隊員Aが短銃を放つと 敵マシーナリーの左胸に2発のジャストショットが入り 敵マシーナリーが止まり倒れる M隊員BがM隊員Aへ向いて言う
「アッちゃん 流石ーっ!俺1人の時より 全然速いよー!」
M隊員Aが苦笑して言う
「俺だって 1人の時と違って バイちゃんが敵の動きを止めてくれるから かなり楽だよ」
M隊員Bが言う
「まじでまじでー!?じゃー やっぱ ここからは俺とアッちゃんで 2マンセルにしよっかー?」
M隊員Aが言う
「うーん そうだなぁ…」
M隊員Bが言う
「えー?ダメー?」
M隊員Aが言う
「いや、ダメとかって 言うんじゃなくて…」
隊員Aがモニターを見て言う
「バイちゃんがターゲットを止めてくれるとして 210や330マシーナリーなら1発で行ける けど それ以降のマシーナリーとなれば 1体に付き 2発のジャストショットが必要になる… 残りの銃弾だと…」
隊員Aが表情をしかめてから M隊員Aが言う
「バイちゃん 悪いんだけど その作戦は… ここに来る間に会ったって言う その イリアス隊員たちなんかとやってくれ 俺はやっぱりちょっと残りの銃弾数が厳しいから この辺りで後衛に下がるよ 良い作戦に誘ってもらった所 ごめんな?」
M隊員Bが言う
「えー?アッちゃん そんなに残り少ないのー?」
M隊員Aが言う
「うん… 補給部隊の応援が もっと早くに来ると思っていたもんだから …それに ちょっと張り切っちゃっててさ?多分 そのせいもあって 銃弾を浪費させちゃったみたいだ… 駄目だよな 俺?」
M隊員Bが言う
「そっかー でも アッちゃんは ダメなんかじゃないよー?イッちゃんもマッちゃんもプッちゃんもー?アッちゃんが皆を引っ張ってくれてるから 気合入るーって 言ってたしー?」
隊員Aが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「そ、そっか?なら…?」
敵マシーナリーが2人の前に現れ銃を向ける 2人が武器を構え M隊員Bがマシンガンを放つと 敵マシーナリーが一瞬動きを止め M隊員Aが短銃を放つと 敵マシーナリーの右胸に命中し 敵マシーナリーが止まり倒れる M隊員Aが言う
「うん… 嬉しいけど やっぱり 俺はここらで一度下がって 補給部隊を待つよ …だから その間は」
M隊員Bが言う
「うん 分かったー それじゃ 俺 アッちゃんが居ない間に 一杯 浮気しちゃうからねー?」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?う、浮気って… だから バイちゃん その言い方は…っ」
M隊員Bが周囲を見て言う
「けどさー?俺 アッちゃん以外で 身を任せられるのって 少佐だけなんだけどー?…アッちゃん 出動してから 少佐に会ったー?」
M隊員Aが言う
「ん?あ… そう言えば?俺は 少佐が近くに見えないから この周囲のマシーナリーは 俺がって思ってたんだが… けど、そう言えば 見てないな?」
隊員Aがモニターに映る隊員Bへ向いて言う
「てっきり 俺と離れてた バイちゃんは一緒に戦ったり してるのかと思ってたんだけど?」
モニターの隊員Bが言う
『俺 全然 会ってないのー 通信も通じないからさー?ずっと 探したんだけどー?』
隊員Aが言う
「少佐は マシーナリーと同化してる時は 通信が通じないから …って事は やっぱり 俺たちの目に入らなかっただけで 何処かに居るんだろ?正直 こんなに広いフィールドで 通信無しじゃ 部隊指揮も取れないからな?しょうがないよ 今は兎も角…」
モニターの隊員Bが頷いて言う
『うん!分かってる 今は 一体でも多く敵のマシーナリーを倒して 時間を稼ぐんでしょー?だったら 俺たちは目の前に見えた 敵マシーナリーを倒す事だけ考えれば良いもん 大丈夫だよ!アッちゃん』
隊員Aが苦笑して言う
「…ああ、そうだな?それじゃ…」
M隊員Bが言う
「じゃあねー!補給受けたら また後で 今度は2人で 作戦やるよー?アッちゃん?」
M隊員Aが言う
「ああ それまでは 他の奴と 浮気してるんだろ?バイちゃんは?」
M隊員Bが衝撃を受けて言う
「えー!?俺そんな 軽い男じゃないしー?アッちゃん 酷いんだー!」
M隊員Aが衝撃を受けて言う
「バイちゃんが 自分で言ってたじゃないか!?」
M隊員Bが言う
「えー?…にひひっ」

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルが目を開く マシーナリー内にグレイゼスの声が聞こえる
『どうだ?ハイケル?』
ハイケルが悔しそうに言う
「駄目だ やはり何度試そうと マシーナリーへ意識が移動しない」
グレイゼスの声が聞こえる
『戦場に居るせいで 焦ってるんじゃないのか?もっと 呼吸を深くして まずは気を落ち着かせないと…』
ハイケルが言う
「そんな事は 何度もやっているっ 大体 隊員たちが出て行ってから 既に 15分を経過しているんだぞっ!?俺自身は もはや 焦りを通り越し 自分自身に呆れている程だっ!」
グレイゼスが言う
『そこまで言うのなら もう すっかり 諦めるくらいの気持ちで やってみたらどうだ?全身の力を抜いて リラックスする事から始めて もう一度…っ』
ハイケルが拳銃を頭に突き付けて言う
「ああ!ここまで来たのなら!もう すっかり諦めてっ!一度…っ!」
スピーカーからグレイゼスが焦って言う
『こらこらっ ハイケル君っ!今そこで それをやったら 本当に終わってしまうからっ!』
ハイケルが言う
「むしろ 本当に この身を終わらせたら 意識だけが残って マシーナリーへ乗り移りやすくなるんじゃないのか?もしかしたら そうと言う 予定なのかも しれないだろうっ!?」
グレイゼスが言う
『そんな不確定な予定で やって良い作戦じゃないだろうっ!?…悪い冗談なんか言ってないで』
ハイケルが怒って言う
「俺は 冗談も嘘も 大嫌いだっ!本気に決まっているっ!」
ハイケルが銃を持つ手に力を入れる グレイゼスが焦って言う
『おいっ!?ハイケルっ!冗談じゃないとしたら 尚更だっ!忘れたのかっ!?作戦はっ!?』
ハイケルが叫ぶ
「確実に成功させれば良いんだっ!」
ハイケルが銃に掛けている指に意識を向ける グレイゼスの声が響く
『ハイケルっ!』
ハイケルが意を決する

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが真剣に叫ぶ
「止めろぉおーっ!!」
一瞬の沈黙 司令塔に居た隊員たちがグレイゼスを振り返って息を飲んでいる

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルが強い視線から 息を吐き 手を下げて言う
「…では どうすれば良い?マスター」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスのイヤホンにハイケルの声が聞こえる
『グレイゼス…』
グレイゼスがホッと息を吐いてから 気を取り直して言う
「…分かった とにかく 今は 原因が分からないんだ そういう時は まずは無謀な作戦はしない事」
ハイケルの声が聞こえる
『では それで?…このまま 隊員たちが戦っているのを 無線も届かない程遠い この安全な場所から… その無事でも祈って居ろと言うのか?』
グレイゼスが言う
「そうは言わない …だが 無謀な作戦ではなく やれる事があるだろう?」
ハイケルの声が聞こえる
『無謀ではなく やれる事…?』
グレイゼスが操作盤を操作しながら言う
「そうだ …こっちでは 今 これまでの情報と 現状のお前の情報を確認している これで…」
ハイケルが言う
『…情報の確認を?』
グレイゼスがモニターを見て考える

【 帝国 西城壁内 】

スピーカーからグレイゼスの声が聞こえる
『ああ、その2つで 何か違いが分かれば…っ』
ハイケルが言う
「それは… お前がやってくれている事だ 俺は?…私に 出来る事は…?」
ハイケルが考えてから言う
「…グレイゼス 補給部隊は何時来るんだ?先行部隊であった 我々との時差は?」
スピーカーからグレイゼスの声が聞こえる
『補給部隊のART3及びART4は 既に到着している』
ハイケルが言う
「では もう隊員らの下へ!?」
スピーカーからグレイゼスの声が聞こえる
『しかし 彼らは 先に侵入したお前たちとは違って 武器弾薬を保持し 帝国内へ進入しなければならない 従って 銃火器に干渉する 帝国内の防衛システムを処理する為に ART3のマスターたちがART4の補給部隊を 先導する …予定だったんだが』
ハイケルが言う
「何か問題かっ?」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが操作盤を操作しながら言う
「いや、こっちは 良い意味での誤算だ その今までとは異なり 帝国内の防衛システムの処理は必要無くなった だから 今は 両部隊をそれぞれ ART1、ART2への 補給部隊として向かわせる事が出来た …だから 身体補佐能力のマスターたちで構成されている ART3は間も無く…」
グレイゼスがオペ子Aを見る オペ子Aが振り向いて言う
「ART3!ART2への補給は 完了しました!現在 2回目の補給の為 中継地点へ帰還中です!」

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

Mシェイムが現れて言う
「エーメレス!」
Mラミリツが振り向いて言う
「兄上!」
ラミリツが気付き疑問する Mシェイムがやって来て言う
「待たせたな セイバーのバッテリーを持って来たぞ これで…」
Mシェイムが荷を降ろす ART3のマシーナリーたちが同じく ART2マシーナリーへバッテリーを渡している Mラミリツが周囲を確認してから Mシェイムへ向いて言う
「良かった間に合って… けど 兄上?…何で ART3の全てのマシーナリーが ART2への補給に?ART4と合同で ART1のあいつらの方へも行かないと 駄目なんじゃないの?」
Mシェイムがバッテリーを手に言う
「いや、それでは彼らより先行している お前たちへの補給が 間に合わない可能性があった そこで ART4の彼らより 速く支援に向かえる 我々は こちらを優先する様にと」
Mラミリツが差し出されたバッテリーに気付き 受け取って作業をしながら言う
「…それは そうかもしれないけど それで、あいつらは大丈夫なの?その作戦は… マスターグレイゼス中佐の立てた作戦?」
Mシェイムが周囲のART2マシーナリーたちへバッテリーを渡しながら言う
「いや、こちらは その… ハブロス司令官の …命令だ」
ラミリツが一瞬呆気に取られて言う
「…え?ハブロス司令官が?」

【 帝国 玉座の間 】

アースが玉座に座っていて 帝国のシステムへアクセスしている エルムαが沈黙して見詰めている 置かれている携帯からグレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官!報告です ART3よりART2への…!』
アースが言う
「ああ 補給は間に合ったな」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから言う
『え…?あ、はい そうです …しかし ART4はまだ 城壁内を抜けていも居ません やはり 今からでもART3の2班を ART1への補給へ向かわせるべきでは…っ!?』
アースが言う
「そちらの必要は無い ART1は撃破したマシーナリーの銃弾を流用し 戦闘を続けている ART4による補給部隊の到着は 間に合う」
グレイゼスが驚いてから言う
『撃破したマシーナリーのって…っ!?そんな作戦を 隊長も居ない状態で?』
アースが微笑して言う
「彼らの仲間意識が それを実行へ移させた …やはり ART1は彼らで正解だったな?そして ART2は隊長を軸としての信頼が 圧倒的に不利な状況下に置いても 部隊の規律を保ち続けた… 対照的なこの2つの精鋭部隊は ARTの… いや、このアールスローンの要となるだろう」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが呆気に取られた状態で言う
「あ、あの… ハブロス司令官?そちらでは何か… その… 戦場を確認出来たりする 何かが あるのでしょうか?だとしたら こちらでもそれらの情報を共有出来たら …それに 帝国のシステムが利用出来るのだとしたら もしかしたら 現状ハイケルが… ハイケル少佐が マシーナリーと融合出来ない理由なども?」
グレイゼスのイヤホンにアースの声が聞こえる
『ハイケル少佐の事は 生憎 こちらでは 分からない』
グレイゼスが言う
「…そうですか 帝国でも分からないとは…」
グレイゼスが表情を落とす アースの声が聞こえる
『管轄外 …だからな?』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え…?」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ART1マシーナリーがM隊員Eへ弾倉を放りながら言う
「ほら!エレス!お前のだ!」
M隊員Eが弾倉を受け取って言う
「おうっ サンキュー!助かった 丁度 切れそうな所だったんだ」
ART1マシーナリーが言う
「その点 俺はこれで 弾切れだ 残りは1弾倉しかないから 後方へ下がるよ 後は頼んだぜ?」
M隊員Eが言う
「ああ けど… やっぱキツイよな?この方法じゃ どうしても こっちの戦力が下がって行く… このままじゃ」
M隊員EとART1マシーナリーが後方の城壁を見る

隊員Fが狙いを定めると M隊員Fが銃撃を行う M隊員Pがショットガンを構えた状態で居る前で 敵マシーナリーが倒れる 隊員Pがホッとして言う
「ふぅ… 流石 フレッド隊員!助かったぜ!」
モニターに映っている隊員Fが言う
「いや、プロス隊員が丁度 射程内で上手くターゲットを 止めてくれたからだよ」
隊員Pが苦笑して言う
「止めたって言うかさ?」
M隊員Pが薬莢やっきょうを排出して言う
「これで 俺は 完全に弾切れだ …さっきバイスン隊員に 補給を貰ったんだけど それで前衛に立ったら あっという間に消費しちまって だから後は頼むぜ?我らがエース!フレッド隊員!」
隊員Fが苦笑して言う
「そう言って貰えるのは 嬉しいんだけど こっちも もう余裕はないから 補給部隊が到着するまで 何とか凌ごうかって状態なんだが …けど、本当に押さえ切られるのかな?」
M隊員PがM隊員Fへ向き直って焦って言う
「お、おいおいっ 冗談でも フレッド隊員がそれを言わないでくれよ?心配になっちまうじゃないかっ?」
M隊員FがM隊員Pへ向いて言う
「ああ… 悪い… でも 実際 このままじゃ…」
隊員Fが外部モニターに気付いて言う
「あっ 危ないっ!」
M隊員Pが驚いて言う
「え…?」
M隊員Pが振り返ると 敵マシーナリーがM隊員Pへマシンガンを向けている 隊員Pがハッとして一瞬操縦桿を動かそうとするが止める M隊員Pが防御体制を取る M隊員Fが小銃を構えた先 敵マシーナリーが踏み潰される M隊員Fが驚いて言う
「なぁあっ!?」
隊員Pが呆気に取られて言う
「ふ… 踏み潰された…?」
隊員Pが視線を上げる M隊員Pが見上げた先 Mユラが言う
「えぇえいっ!貴様らは 一体 何をしているっ!?」
隊員Fが呆気に取られて言う
「ユ、ユラ殿…」
MユラがM隊員Pを指差して言う
「そして 貴様!戦場で敵に背を向けるとはっ!貴様はそれでも 兵士かっ!?」
M隊員Pが慌てて言う
「す、すんませんっ 油断しました!」
ユラが言う
「よし… 分かれば良い 以後は気を付けるのだぞ?」
隊員Pが言う
「は、はぁ…」
Mユラが言う
「それより この有様は何だ?何故 前進しない?初盤の勢いはどうしたっ?このままでは 守るべき城壁の下へと 戻ってしまうではないかっ?」
M隊員Fが言う
「それは ユラ殿 皆 元々保有していた銃弾を 全て撃ち尽くしてしまっていて 現在は撃破した敵マシーナリーからの銃弾を流用していると言う状態なんです この状態じゃ 前進はもちろん いずれは…」
ユラが言う
「何を言うっ?ならば 銃弾を使わずに戦えば良かろうっ!?私のマシーナリーなど!最初から武器などは 持ち合わせていなかったぞっ!」
隊員Pが衝撃を受け 慌てて言う
「それは最初から選んじゃダメだろっ!?」
隊員Fが呆気に取られてから言う
「…で、では それで どうやって今まで戦いを?まさか…」
Mユラが言う
「笑止っ!だから言っているだろう!?弾切れやチャージ切れに阻まれる 武器などに頼ろうとするのが そもそもの間違えっ!」
Mユラが敵マシーナリーたちを殴り払ったり踏み潰したりする 隊員Fと隊員Pが呆気に取られる ユラが言う
「どうだ?これなら 銃も剣も不要だっ!」
隊員Fが苦笑して言う
「なるほど… 確かに…」
隊員Pが呆れて言う
「560マシーナリーの巨体だから出来る事だろ?俺たちのマシーナリーじゃ 真似したくても出来ないし …大体 560マシーナリーなんか ART1全員分あったか?」
隊員Fが言う
「そう言えば 見なかったよな?」
Mユラが暴れている 隊員Pが言う
「それに あったとしても 搭乗するのは やっぱりユラ殿ぐらいだと 俺は思うぜ?」
隊員Fが苦笑して言う
「俺もそう思う」
M隊員Pが言う
「けど 助かった …この間に俺は 補給部隊が来るまで 城壁へ戻らせてもらうよ」
M隊員Fが言う
「ああ、ここは 俺や残りの隊員たちと …ユラ殿に任せてくれ」
隊員Pが言う
「悪いな よろしく頼む」
モニターの隊員Fが言う
『いや、こちらこそ …さっきは有難う』
隊員Pが疑問して言う
「え?」
隊員Fがモニターに映る隊員Pへ苦笑して言う
「タイミング的に 回避出来ただろうに …プロト隊員の後ろで 俺が銃を構えたから 盾になってくれようとしたんだろ?」
モニターの隊員Pが反応し 頬を赤らめて言う
『あ…っ いや… そのっ …け、結局!ユラ殿に 助けてもらった訳だからっ!?』
隊員Fが微笑して言う
「ああ でも 嬉しかったよ だから 有難う」
モニターの隊員Pが恥ずかしさに視線を泳がせてから言う
『あ、ああ…っ まぁ… それなら?…そ、それよりよっ!?本当に 大丈夫なのかっ!?いくら ユラ殿が居たとしてもっ!?その… 560マシーナリーだって 元々はっ!?』
大きな足音がする M隊員FとM隊員Pが顔を向けた先 敵560マシーナリーが現れる M隊員Pが衝撃を受けて言う
「ほ、ほらっ!見ろっ!?敵の560マシーナリーが来ちまったっ!こうなったら いくら ユラ殿でもっ!?」
ユラが笑んで言う
「ほう?同じ型のマシーナリーか?そうとなれば 後は操縦者の腕次第っ!」
敵560が槍を装備して構える M隊員Fが衝撃を受けて言う
「向こうは 武器を持ってるみたいですけど?」
Mユラが言う
「何っ!?武器を所持しているだとっ!?卑怯な奴めっ!貴様はそれでも 戦士かっ!?」
M隊員Pが慌てて言う
「戦場に武器を持って行くのは 敵に背を向けない事 以前の常識だろっ!?」
敵560が Mユラへ向かって行く M隊員Fが銃を構えて言う
「まずいっ!これではユラ殿が 圧倒的に不利だっ 援護をっ!」
M隊員Pが周囲を見渡して言う
「俺も何かっ!?」
Mユラが身構えて言う
「甘いっ!」
Mユラが敵560の突き出した槍を脇から掴む M隊員FとM隊員Pが驚く ユラが笑んで言う
「素人めっ!こんな単純な攻撃で このユラ・アース・メイヴンを倒せるものかっ!」
Mユラが敵560の槍を奪い取り 瞬時に攻撃に出ながら言う
「武器とは ただ振るう物にあらずっ!勝負は 一瞬の隙を得た者の勝利ぞっ!食らえっ!」
Mユラがフェイントに振るった槍に 敵560が回避した所へ Mユラが槍を突き 敵560へ突き刺さる 敵560が脱力すると Mユラが敵560を足で押さえ槍を引き抜く 敵560が沈黙する 隊員Fと隊員Pが呆気に取られていて 隊員Fが言う
「た、倒した…」
モニターの隊員Pが言う
『武器を持った相手を 持たない状態から…っ』
Mユラが槍を確認して言う
「ふん… 槍か どうせなら剣が良かったのだが …まぁ 良いだろう 無いよりはマシだ」
隊員Pが呆れて言う
「何だよ やっぱり 武器が欲しかったんじゃないか」
Mユラが槍を一振りしてから地へ柄を突いて言う
「そして 銃などより 遥かに良い」
隊員Fが気付いて言う
「そうかっ そう言えば ユラ殿も以前は攻長だった」
M隊員PがM隊員Fへ向いて言う
「え?それじゃっ …まさか あの攻長閣下と同じくらい強いって事か?」
M隊員Fが言う
「いや それは 分からないが… もしかしたら それなりの実力も あるって事なのかもな?」
M隊員PがMユラを見て言う
「まじかよ…?」
M隊員FがMユラを見ると Mユラが2人の視線に気付き 振り返って言う
「うん?何だ貴様ら?さっさと戦え!司令官の命を忘れたかっ!?」
M隊員Fが言う
「え?司令官の?」
M隊員Pが言う
「命って… 何だっけ?」
Mユラが衝撃を受け 怒って言う
「この戯け者どもめっ!」

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルがシートで目を開いて言う
「…グレイゼス 分かったか?」
スピーカーからグレイゼスの声が聞こえる
『…すまない ハイケル…』
ハイケルが苦笑して言う
「そうか」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが頭を押さえて言う
「お前の力になれないなんて… 悔しいよ」
グレイゼスが手を握り締める イヤホンにハイケルの声が聞こえる
『良いんだ …お前に分からない事だ きっと どうしようもない事なのだろう』
グレイゼスが表情を悔やませて言う
「何か理由がある筈なんだっ 何か 絶対に…っ それさえ分かればっ」
グレイゼスが拳で台を叩く

【 帝国 西城壁内 】

スピーカーからグレイゼスの悔やむ声が聞こえる
『…クッ』
ハイケルが言う
「もう良い それ以上考えるな マスターグレイゼス …ナノマシーンが宿主に負荷を与える」
グレイゼスが言う
『だが…っ』
スピーカーから隊員Bの声が聞こえる
『…ったのー!アッちゃん パース!』
ハイケルが反応する 隊員Aの声が聞こえる
『キャーチ!サンキュー!バイちゃん!…けど その為に?』
ハイケルが言う
「無線が通じるようになった?周囲無線の圏内まで後退したと言う事か …グレイゼスっ 補給部隊はどうなっている!?」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

M隊員Aの下にM隊員Bが来て言う
「その為もあるけどー?俺も もうマシンガンの弾撃ち尽くしちゃってー?ここからは 本当に残りの銃弾だけだからー そうとなったら やっぱ 俺 アッちゃんと一緒に 作戦した方が良いと思ってー?」
M隊員Aが言う
「そっか 分かった なら… 俺も こいつを含めて 後どれだけ戦えるか分からないけど …やるか!バイちゃん!」
M隊員Aが銃をセットして M隊員Bを見る M隊員Bが言う
「了解っ アッちゃんーっ!」
M隊員Bが弾倉をセットすると M隊員AとM隊員Bが前進して行く

【 帝国 通路 】

ART4マシーナリーたちが滑走している ART4隊長が言う
「こちらART4!現在 帝国内 Bブロック 34区域を西へ進行中!」
近くを機械兵が歩き 立ち止まってART4マシーナリーたちを確認した後 一瞬の間を置いて再び歩き始める ART4隊長がそれを確認した後言う
「帝国内の防衛は 我々への敵意は無い様子 このまま 進軍しますっ 目標到着時刻は 凡そ…っ」
ART4マシーナリーたちが滑走して行く

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルがマシーナリーのハッチを銃で破壊して蹴破って言う
「それでは 間に合わなくなる可能性が高いっ 何か手を打たなければ!」
ハイケルのイヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『お、おいっ!?だからって マシーナリーから出て どうするつもりだっ ハイケルっ!?』
ハイケルがマシーナリーを降りて言う
「武器を所持して戦えないのなら 隊長として あいつらへ戦術を伝える事は出来るっ!」
グレイゼスが言う
『だったら 無線でも十分だ!マシーナリーへ戻れ ハイケルっ』
ハイケルがゲート前で言う
「ここからでは 無線が通じても 肝心の状況が分からないっ グレイゼス お前の力で このゲートを開けてくれっ ナノマシーンもキーネックレスも持たない私では 開ける事は出来ないのだろう!?だが お前なら そこからでも 何とか出来るのではないのかっ!?」
グレイゼスが言う
『出来るかどうかは やってみなければ分からないが そう言う問題じゃないんだ ハイケル』
ハイケルが言う
「では どう言う問題だっ!?悪魔の兵士である 私なら マシーナリーに踏み潰されようとも 蘇る事が出来るっ!そして あいつらへ指示を与えるだけなら マシーナリーは必要ないっ」
グレイゼスが言う
『それは お前の言う通りだ しかし それ以前の問題として アウターには異常電波があると伝えただろうっ!?異常電波はマシーナリーだけじゃないっ 人の精神さえ蝕む だから生身でアウターへ向かう事は危険過ぎるんだ!マシーナリーにはデフォルトの物であっても 異常電波を遮る効力がある!だから…』
ハイケルが言う
「私がそれを受けっ 仲間たちを攻撃するとでも言いたいのかっ!?そんな事は 絶対にっ!」
グレイゼスが言う
『異常電波を甘く見るな ハイケルっ! ともすれば マスターラキンゼスも そのせいで敵の手に落ちたとも考えられているっ 本来であれば 帝国内であってもアウターに近過ぎるその場所に 生身で居るのは危険な事なんだ!だから 早くマシーナリーへ戻れ!今ここでお前を失えば こちらの損失は計り知れない!』
ハイケルが言う
「そのマシーナリーを使って 戦えもしない俺を失った所で ARTに与える損失など ありはしないっ!」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが怒って言う
「ARTに無くてもっ 俺にはあるんだよっ!!」

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルが驚いている グレイゼスが気を落ち着かせてから言う
『…マシーナリーへ戻ってくれ …ハイケル』
轟音が轟く ハイケルがハッと顔を上げ イヤホンのチャンネルを変える イヤホンに隊員Fの声が聞こえる
『こちらフレッド隊員!こちらも銃弾が尽きたっ 後退する!』
隊員Bの声が聞こえる
『フッちゃん 了解ー!けど、後退って言ってもー?もう これ以上後ろは無いけどー?フッちゃんー?』
隊員Aの声が聞こえる
『バイちゃん… つまり、フレッド隊員の言っている事は そう言う意味じゃなくて…』
隊員Bが言う
『なくてー?』
ハイケルが目を細めて言う
「…もう戦えない と言う事だ」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

Mユラが槍を構えて言う
「えぇえいっ!軟弱どもめ!もう良い!貴様らは下がって せいぜい鉄砲豆が届くのを待って居ろ!」
M隊員Bが言う
「豆ー?ユラ殿ー?俺たちが待ってるのは 豆じゃなくてー?」
M隊員AがM隊員Bの肩を掴んで言う
「まぁまぁ バイちゃん ここは ユラ殿の言う通り」
M隊員Bが言う
「えー?」
M隊員Fが言う
「お言葉に甘えて しばらく ユラ殿の武勇に頼ろう」
Mユラが次々に敵マシーナリーを払い除けて行く M隊員Eが言う
「しっかし すげーな?ユラ殿はー?」
M隊員Nが言う
「ユラ殿がすげーんじゃなくて すげーのは RTD560マシーナリーの巨体と プラズマの刃を持った あの槍だろ?」
M隊員Eが槍を見上げて言う
「確かに あんなにデカイ プラズマセイバー… あ、いや プラズマランス…か?あんなのに比べたら 俺らの銃火器なんて豆鉄砲なのかもな?」
敵560が2体現れる Mユラが気付いて ユラが言う
「ほう?また現れたか 今度は2体… ふんっ 1体や2体増えようとも 武器を持った 私の敵ではないっ!」
Mユラが槍を構える M隊員Fが言う
「確かに 武器を持たないで1体倒せる程なんだ」
M隊員Aが言う
「ああ、そのユラ殿だから 言える台詞だよな?」
M隊員Nが気付いて言う
「ん?けどよ?そう言えば プラズマセイバーだって 俺らと同じ様に 弾切れ… 燃料切れするんだよな?だとしたら あのプラズマランスも…?もしかして…?」
皆が槍を見ると同時に 槍のプラズマ刃が点滅する Mユラが疑問して言う
「…うん?」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「げっ!?まさかっ!?」
M隊員EがM隊員Nへ向いて言う
「こ、こらぁっ!?ナクス隊員が 縁起でもない事言うからっ!?」
隊員Nが慌てて言う
「俺のせいかよっ!?」
M隊員Bが言う
「燃料切れー?」
M隊員Fが言う
「まずいっ どうするっ!?」
M隊員FがM隊員Aを見る M隊員Aが衝撃を受けて言う
「えっ!?それを俺に聞くのかっ!?そんな事言われたって こっちは 豆すら手に入らなくて困っているって言うのに あんなデカイ プラズマのエネルギーなんてっ!」
M隊員Bが疑問して言う
「豆ー?」
敵560が小銃を向ける M隊員Eが慌てて言う
「やべーっ!あっちは 豆どころか大砲並みの小銃が武器だっ!」
M隊員Fが叫ぶ
「ユラ殿っ!」
Mユラが叫ぶ
「舐めるなぁあーっ!」
Mユラが敵560へ向かって行き 刃の無くなった槍の柄で小銃を払い除け 勢いのままに柄で敵560のボディを払うと槍の柄が曲がる ユラが舌打ちをして言う
「チィ… やはり 致命傷には至らぬか」
敵560の小銃が ART1マシーナリーたちの下へ落下して来て M隊員Nが悲鳴を上げる
「うわあぁあっ!?」
隊員Bが叫ぶ
「ナッちゃんっ!」
隊員Aが叫ぶ
「回避ーっ!」
隊員Nがハッとして M隊員Nが回避すると M隊員Nが居た場所に小銃が落下する M隊員Nが尻餅を着いていて言う
「あ、危なかった…っ」
M隊員AとM隊員Bが来てM隊員Aが言う
「大丈夫か!?ナクス隊員っ!?」
M隊員Nが立ち上がって言う
「あ、あぁ お陰で何とか 助かったぜ… アッちゃん隊員… バイちゃん隊員も…っ」
隊員Aと隊員Bが微笑する M隊員Eが見上げていて言う
「けど… あっちは…っ」
M隊員A、B、Nが M隊員Eの様子に顔を上げると Mユラの前で敵560が2体とも槍を構える M隊員Nが衝撃を受けて言う
「げっ!あいつ 槍も持っていたのかっ」
隊員Aが言う
「流石に まずいな… どうしよう?エレス隊員?」
隊員Eが衝撃を受けて言う
「俺かよっ!?」
Mユラが言う
「やはり 卑怯な奴らめ 来ると言うのなら来いっ!その根性 叩き直してくれるっ!」
Mユラが構える M隊員Bが言う
「ユラ殿 戦う気だー!」
M隊員Nが言う
「また 槍を奪うつもりかっ!?けど 今度はもう一体居るんだぞっ!?」
隊員Aが言う
「さっきの方法では 槍を押さえた際に もう一体に対する隙が出来る …それを どうするつもりだっ!?」
隊員Fの声が聞こえる
「皆 手伝ってくれ!」
皆が声に振り返る

【 帝国 通路 】

ART4マシーナリーたちが滑走している ART4隊長が言う
「こちらART4!Bブロック最終区域へ突入!間も無く 城壁アウターサイドへのゲートへ到着します!」

【 帝国 西城壁内 】

マシーナリー内スピーカーからグレイゼスの声が聞こえる
『ハイケルっ 聞こえたか!?補給部隊は すぐそこだっ!』
ハイケルがシートに座っていて言う
「ああ…」
イヤホンから隊員Eの声が聞こえる
『こんなの 本当に俺たちで撃てるのかっ!?』
隊員Fの声が聞こえる
『撃てるかどうかは分からない 質量的に 俺たちでは 抑えきれないという可能性の方が 高いと思う』
隊員Nが慌てて言う
『そ、それじゃっ!?』
隊員Fが言う
『だが、この一発で…っ』
隊員Aが言う
『そうか!奴らの隙を作る事さえ出来れば …可能性はあるな!』
隊員Fが言う
『ああ!きっと行ける!オート操縦のマシーナリーは 実際の被弾の可能性より レーダーへの感知に依存するんだ ターゲットに当たるかどうかより 強い戦力を感知させる事!…こいつを 放つ と言う事に意味がある筈だ!』
隊員Bが言う
『流っ石 フッちゃんー!』
隊員Nが言う
『しゃーっ!こうなったら やってやるぜーっ!』
ハイケルが苦笑して言う
「期待以上だ… お前たち…」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

隊員Fが言う
「タイミングは一瞬 ユラ殿が槍を掴んだ瞬間だっ 当たらずとも敵マシーナリーのレーダーの範囲内で …そして 絶対に ユラ殿のマシーナリーへ当てる訳には行かないっ 照準は慎重にっ」
隊員Fが視線を強める M隊員Fが巨大小銃の照準を定めている M隊員A、B、E、Nが巨大小銃を押さえている 巨大小銃の先 Mユラが曲がった槍を投げ捨てて言う
「さあっ どうしたっ!?来ると言うのなら さっさと来いっ 返り討ちにしてくれるっ!」
隊員Fが表情を強めて言う
「もう少し…っ 待ってくれ…っ まだ 照準が…っ」
Mユラが振り被って言う
「ここまで言っても 来ぬのか?臆病者め!ならば 先手必勝っ!こちらから向かってくれる!うおぉおおーっ!」
隊員Fが表情をしかめて言う
「ユ、ユラ殿~っ!」
Mユラが 敵560へ向かって走る 敵560が槍を構える 隊員Fが焦って言う
「こうなったらっ 一か八か!照準レーダーに頼らず 手動でその瞬間を捕らえるしかないっ …出来るかっ?俺にっ!?」
隊員Fが操縦桿を握る手を震わせる モニターに隊員Bが映って言う
『出来るよ!フッちゃんなら!』
隊員Fがハッとして言う
「バ、バイスン隊員っ」
モニターに隊員Aが映って言う
『あの少佐に認められている 自分の腕を 信じろよ!フレッド隊員!』
隊員Fが言う
「アラン隊員…っ」
モニターに隊員Nが映り楽しそうに言う
『外したら 今夜の夕食は フレッド隊員のおごりなー?』
モニターに隊員Eが映って楽しそうに言う
『おっ!そいつも良いなぁ?どっちを願ったら良いか 悩む所だ!あっははははっ』
隊員Fが一瞬呆気に取られて言う
「ナクス隊員 エレス隊員も… …冗談っ ART1全員分のおごりなんて」
隊員Fが操縦桿を握り直し 微笑して言う
「勘弁してくれ!外してたまるかよ!」
隊員たちが微笑する 敵560 2体がMユラへ槍を突くと Mユラが先程と同様に1体の敵560の槍を掴む 同時に もう一体の敵560がMユラへ槍を突く 隊員Fがハッとして言う
「今だっ!」
隊員たちが息を飲んで力を入れる 隊員Fが操縦桿にあるトリガーを引こうとする Mユラが叫ぶ
「甘いわぁあーっ!」
Mユラが掴んだ槍を 敵560ごと振り回し もう一体の敵560へ衝突させる 敵560が2体共倒れる 隊員たちが衝撃を受け 隊員Bが言う
「えー…?」
隊員Aが呆気に取られて言う
「あの巨大な560マシーナリーごと …振り回したっ!?」
隊員Nが呆れて言う
「空気 読めよ…」
隊員Fが呆気に取られている ユラが言う
「隙ありっ!貰ったぁあっ!」
Mユラが奪い取っていた槍で 敵560 2体を まとめて上から串刺しにする 敵560 2体が脱力する Mユラが敵マシーナリーたちを踏み付け得意げに言う
「どぉだ?このユラ・アース・メイヴンの実力はっ!?…もっとも?この程度は まだ 実力の3分の1と言った所だがなぁ?はーはっはっはっはっ!」
隊員Eが呆れて言う
「無駄に強ぇ…」
隊員Aが言う
「いや、強いと言うか… あれは無茶苦茶って言うんじゃ…」
MユラがM隊員Aへ向いて言う
「何だと?」
M隊員Aが衝撃を受けて慌てて言う
「げっ!?聞こえてたっ!?」
M隊員Bが前方に気付き  Mユラへ向いて言う
「それじゃー!無茶苦茶に強い ユラ殿ー!敵の増援が来たでありますー!俺ら銃弾ないしー?代わりに ユラ殿 また無茶苦茶に やっつけちゃって下さいでありますー!」
MユラがM隊員Bの方へ向いて言う
「無茶苦茶に強いか?はっはっは!そうだな?仕方が無い… では 貴様らは下がって居ろ 無茶苦茶に強い このユラ・アース・メイヴンの 邪魔とならぬ様になぁ?」
M隊員Bが敬礼して言う
「了解でありますー!ユラ・アース・メイヴン殿ーっ!」
隊員Aが溜め息を吐いて言う
「はぁ… 助かった…」
モニターに映る隊員Fが苦笑して言う
『それは 俺の台詞だって…?』
隊員Aが苦笑して言う
「…ははっ 確かに?お疲れ!フレッド隊員?」
隊員Fが苦笑して言う
『ああ… まぁ まだ 終わってないけどな?けど この様子なら…?』
M隊員Fの視線の先 Mユラが敵マシーナリーの集団をなぎ払っている M隊員Aが呆気に取られる M隊員Fが言う
「補給部隊が来るまで 俺らの出番は 無さそうだ?」
M隊員Nが言う
「何だよ それじゃ… 今夜はフレッド隊員の おごり決定だな?」
M隊員Fが衝撃を受けて言う
「え!?撃ってないのにっ!?」
M隊員Eが言う
「俺らの活躍を 撃ち逃しただろ?」
M隊員Fが言う
「そ、そんな… 無茶苦茶な~?」
隊員A、E、Nが笑う M隊員Fがうなだれる 少し離れた位置に居るM隊員Bが指差して言う
「ユラ殿ー!前方に また 560マシーナリーが現れたでありますーっ!ユラ殿ーっ!」
M隊員Aが声の方を見て言う
「バイちゃんは 夕食のおごりより 新しいターゲットに夢中みたいだ」
MユラがM隊員Bの示す方を見てから 槍を振り払って言う
「はーはっはっはっ!なんだ 今度は1体だけか!?10秒で終わらせてくれる!」
M隊員Bが喜んで言う
「すっげーっ!10秒だってー!560マシーナリーを10秒で倒しちゃうなんて マジでマジで!チョー!すっげーっ!」
ユラが笑んで言う
「10秒も掛からぬやも知れぬぞ?私も戦場と言うものに 慣れて来た所だ …何だ?思っていたよりずっと 楽なものではないか?これなら あの 拷問所の方が よっぽど…」
Mユラが槍を構え 敵560へ突き進みながら叫ぶ
「恐ろしいと言う物だぁあーっ!」
敵560が銃を撃つ Mユラが槍で銃弾を弾き 敵560の銃をなぎ払うと続けて槍を突こうと構えて叫ぶ
「さあっ!くらえぇえーっ!」
Mユラが槍を突き刺そうと向けた途中で止まる 皆が疑問し ユラが呆気に取られた状態から言う
「な…っ なんだ?…うん?モニターが?」
コックピット内の明かりが点滅し モニターにエンプティの表示が出た後 透明シールドへ変わる ユラが驚いて言う
「燃料… 切れ… だとっ!?武器ではなく マシーナリーのっ!?」
Mユラが脱力して倒れる ユラが衝撃に表情をゆがめて言う
「ぐぅっ!」
隊員Aが驚いて言う
「えっ!?何だってっ!?ユラ殿っ!?今 何て!?」
隊員Bが言う
「ユラ殿ー?ユラ殿ーっ?あれー?周囲無線が通じないよー?」
隊員Fが言う
「マシーナリーの停止だけでなく 周囲無線も通じないと言う事は 原因は… そうだっ!きっと マシーナリーのエネルギー切れだっ!」
隊員Nがコンソールを操作しながら言う
「え!?けどよっ!?まだ 活動限界には 全然余裕 あるぜ!?」
隊員Eが言う
「もしかして 560マシーナリーは 図体がデカイ分だけ 燃費も悪いんじゃ?」
隊員Bが言う
「あー なるほどー?」
隊員Fが言う
「それにユラ殿の戦い方は 俺たちと違って 機体の動作が多いから その分だけ エネルギーの消費に負担を掛けるのかもしれないっ」
敵560が槍を装備して Mユラを見下ろす M隊員Aが言う
「まずいっ 奴はまだ ユラ殿のマシーナリーを ターゲットしているぞ!」
隊員Bが言う
「フッちゃんっ!さっきのっ!」
隊員Fがハッとして言う
「あ!ああっ!そうだったっ!」
M隊員Aが言う
「急げっ 皆っ!」
隊員たちが言う
「「了解っ!アッちゃん!」」
マシーナリーたちが巨大小銃へ向かう 

ユラが操縦桿を動かしながら言う
「くそっ 感覚が通じているのなら 動かぬかっ!奴など 武器があるならば一撃でっ …ぐっ!?」
コックピット内が振動する 敵560が Mユラを足で蹴り仰向けにさせる ユラが震動に閉じていた目を開くとハッと息を飲む
「っ!」
透明シールドの先 敵560がMユラへ向け槍を構えている ユラの脳裏に記憶がフラッシュバックして 過去の記憶が蘇る

少年のユラが 治療台に縛られ 本物のユラ・ロイム・ライデリアと父親がメスを手に何かしようとしている

ユラが怯えて言う
「や… やめろ…っ 私は…っ」
敵560が槍を振り下ろす ユラが目を見開く 隊員Fが視線を強める 隊員たちのマシーナリーが押さえている巨大小銃が射撃する 隊員たちが衝撃に悲鳴を上げる
「「うわあっ!」」
銃弾が敵560の中央に被弾する 敵560が一瞬仰け反るが 槍が下ろされる 槍がコックピットを掠め横に突き刺さる ユラが目を見開いて叫ぶ
「があぁあーっ!!」
ユラが左胸を抑える コックピットの透明シールドがひび割れている 敵560が体勢を直し 再び槍を構える M隊員Fが巨大小銃の銃弾を装填して言う
「もう一度っ!ジャストショットを狙う!これで奴を倒せなければっ!」
隊員Bが驚いて言う
「フッちゃんっ!?」
隊員Aが真剣に言う
「出来るのかっ?システムの補助も無しにっ!?」
隊員Fが操縦桿を動かしながら言う
「分からないっ しかし!やれなければ …助けられないっ!」
ユラが左胸を押さえ苦しそうに ひびの入った透明シールドを見上げて言う
「ぐぅ… くそ…っ 今 外へ出れば 異常電波とやらに洗脳される …それで あの時の様に …ルイルを… …死なせた様に 俺が…っ!」
ユラの脳裏にルイルの姿が思い出された後 アースやファーストの姿が思い出される ユラが頭を抱える 脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ…』
ユラが言う
「ならば 俺は…っ」
ユラが身に備えている剣を見る 脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ!』
ユラがハッとして言う
「ハ、ハブロス… 司令官?」
脳裏にアースの声が聞こえる
『ユラ 聞こえているな?』
ユラが言う
「あ、ああっ!だが 何故っ!?エネルギー切れでは 無線も通じぬ筈ではっ!?」
アースが言う
『聞こえているのなら問題ない ユラ 今すぐに マシーナリーを捨て 外へ逃げろ』
ユラが呆気に取られて言う
「外へ!?しかしっ アウターには異常電波が!私は再び洗脳され…っ!?」
アースが言う
『僅かの間なら お前自身へ 力を与える事が出来る その間に…』

【 帝国 西城壁内 】

ハイケルが疑問して顔を向けると 視線の先 560マシーナリーが歩いている ハイケルが呆気に取られて言う
「RTD560マシーナリーがっ?一体 誰が 操縦している!?」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『どうした!?ハイケルっ!?』
ハイケルが呆気に取られたまま言う
「RTD560マシーナリーが…」
560マシーナリーがゲートの前に立つと ゲートが開き 560マシーナリーが滑走して出て行く ハイケルが呆気に取られて言う
「RTD560マシーナリーが…」
イヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『RTD560マシーナリーがどうした!?ハイケル!?』
ハイケルの視線の先ゲートが閉まる ハイケルが言う
「単身 出動して行ったのだが…?」
グレイゼスが言う
『え…?』

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

Mユラの透明シールドが内側から蹴破られる 隊員Aが驚いて言う
「ま、まさかっ!?」
Mユラのコックピットからユラが這い出る 隊員Bが言う
「あーっ!ダメなんだよーっ!?アウターでは マシーナリーの外に出ちゃダメなんだって!中佐がーっ!」
ユラが敵560を見上げてから逃げ出す 間一髪で ユラが居た場所を槍が突き刺す 隊員Nが言う
「け、けど… 逃げてなかったら 今頃…」
隊員Eが恐ろしさに唾を飲み込んで言う
「あの馬鹿デカイ槍に …だったな?」
隊員Nが身震いして言う
「お、おおお 恐ろし過ぎるっ!」
足音が響き 隊員たちが振り返ると 560マシーナリーが居る 隊員たちが衝撃を受け 隊員Aが言う
「560マシーナリーが 後ろからっ!?」
隊員Bが喜んで言う
「あー!もしかして 少佐ぁーっ!?って… あれー?」
560マシーナリーが跪きコックピットを開ける ユラが走って向かい乗り込むと 560マシーナリーが起動し言う
「はーっはっはっはーっ!待たせたな!これで…」
Mユラが敵560へ向かって行く 敵560が槍を構えるが ほぼ同時にその槍が宙を舞う Mユラがそのまま敵560を掴み背負い投げしながら叫ぶ
「形勢逆転ーっ!」
敵560が地面へ叩き付けられると 宙を回転していた槍が落ちて来て Mユラがそれを掴むと同時に 敵560へ突き刺す ユラが言う
「だぁ…っ どぉだ?10秒だっただろう?」
敵560が脱力する MユラがM隊員Bを振り向く 隊員Bが呆気に取られた状態から気を取り直し喜んで言う
「…わ わぁあー!すっげー!マジでマジで ちょーすっげー!ユラ殿ー!無茶苦茶に すっげー!」
M隊員Bが喜んでいる Mユラが誇らしげにしている M隊員Aたちが呆気に取られた状態で 隊員Nが言う
「何か今… 本当にすげー事が 目白押しだった気がするんだが…」
隊員Eが言う
「何か もう… 本当に 無茶苦茶だったな?」
隊員Aが苦笑して言う
「あ、ああ… でも助かっ…」
M隊員Aたちの目前に敵マシーナリーが現れる M隊員Aたちがハッとして振り向くと 途端に 敵マシーナリーに銃弾が降り注ぐ 皆が反応して見上げると 高台に M隊員C、D,Vが居て誇らしげに言う
「仲間のピンチに!」 「颯爽と!」 「登場ー!…う?」
M隊員Dが言う
「…って あれ?あんまり ピンチじゃ無くないか?」
M隊員Vが言う
「え?マジかよ?折角 ここまで登ったのに?」
隊員Dが呆気に取られて言う
「確か 中佐の話では 銃弾が尽きていて ART1総勢 大ピンチだったんじゃ…?」
隊員Vが言う
「それで 俺たちが そのピンチに颯爽と現れてー!…って 予定だったんだけど?」
モニターに隊員Cが映って言う
『だから 俺はっ そんな 映画みたいな 登場は止めようってっ』
隊員Bが言う
「サッちゃん!流石ーっ!」
隊員Cが衝撃を受けて怒って言う
『うるさーいっ 俺の作戦じゃないって言ってるだろっ!?それからっ!』
M隊員Cが一歩踏み出すと高台から滑り落ちる 隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ?あーっ!?」
M隊員Cが皆の下へ落ちて来る M隊員Bが言う
「あ 落ちた…?サッちゃん 流石ーっ!でー?大丈夫ー?」
M隊員Cが顔を上げて言う
「うるさーいっ サッちゃん言うなーっ!」
M隊員Cの頭の上を銃声が2回響く M隊員Cが驚き言う
「のわぁっ!?」
M隊員Cが銃声の元へ向くと M隊員Fが小銃を撃った状態で居て 隊員Fが言う
「よしっ 俺たちもこれで 形勢逆転だ!」
M隊員Aが周囲へ言う
「皆っ!補給部隊から銃弾を受け取れ!もう一度 前進するぞーっ!」
皆の後ろに補給物資を持ったART4が居る 隊員Cが呆れて言う
「何だよ… 皆が補給を受ける間を 俺たちで引き付けるって作戦だったのに… 結局 こんなオチかよ…?」
M隊員D、Vが M隊員Cの両脇に降りて来て言う
「まぁまぁ!」 「一応 引き付け役は こなしたんじゃないか?…サキシュ隊員が1人でな?」
M隊員Cが怒って言う
「こんなので 引き付けたって言われても 嬉しくねぇっ!」
M隊員D、Vが笑いながらM隊員Cを起す手助けをしている Mユラが敵をなぎ払った後 補給を受ける隊員たちの様子を見て言う
「補給部隊が来たか… これで…」
ユラの脳裏にアースの声が聞こえる
『良く持ち堪えてくれた ユラ』
ユラが笑んで言う
「当然だ 俺は… 奴らの 指導役なのだろう?だったら その奴らの手助けをするのは 当然の事だ …それに」
ユラが一瞬視線を落とし 過去の記憶を蘇らせる アースが言う
『それに?』
ユラがハッと気を取り直すと言う
「…ま、まだ 戦いは終わっていないっ!」
アースが言う
『…ふっ そうだな?RTD560マシーナリーは エネルギーの消費が激しい 補給が届いたのなら 前線は彼らへ任せ お前は彼らの至らぬ所を 補佐してやってくれ』
ユラが言う
「…そうか 分かった… 仕方が無いから そうしてやるっ!…か?…ふっ」
Mユラが槍を振り払って言う
「さあっ!何をモタモタしている!前進だ!さっさと撃って もっと進めーっ!」
ART1マシーナリーたちが銃を撃ち前進して行く

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが言う
「ART2に続き ART1へも たった今 補給部隊が到着しましたっ ハブロス司令官!」
イヤホンにアースの声が聞こえる
『ああ こちらでも確認している』
グレイゼスが言う
「あの… 状況は?正直 こちらでは 補給部隊からの連絡でしか 情報が得られません この状態では…」
アースが言う
『そうだな しかし 今後は…』

【 帝国 玉座の間 】

アースの周囲に様々なモニターがホログラムで現れている アースが言う
「これらの情報を 共有出来れば もっと 大規模な作戦も可能だ」
携帯からグレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官 作戦の進行度は?現在どの辺りでしょうかっ?補給部隊の第2派は既に送っていますが 現行では第3派までが限界です それ以上と言う事になれば…!』
アースが言う
「分かった 確認しよう」
グレイゼスが言う
『確認を?それは…?』
アースが言う
「皇帝 聞こえるか?奴とはどうなっている?」
グレイゼスが驚いて言う
『皇帝…?奴とは…?…まさかっ 陛下が戦っているとでもっ!?』

【 帝国 屋外 】

黒い影が力を放っている 皇帝の前で黒い影の力が弾かれる 黒い影が悔しがり杖を掲げると 巨大なマシーナリーが再び力を込めようとする 皇帝が巨大なマシーナリーを見上げると 巨大なマシーナリーが反応して苦しんでいる 皇帝が表情を悲しませる 脳裏にアースの声が聞こえる
『皇帝!?』
皇帝が言う
「その方の声 届いておる」
アースが言う
『では?』
黒い影が言う
「どうした?何故 力を使わぬ?まさか… この機械人形へ哀れみを?」
皇帝が表情を悲しめる 黒い影が気付き蔑んで言う
「愚かな… 敵の配下を?それも 機械へ哀れみを抱き 攻撃が出来ぬとはっ!貴様のその下らぬ想いがっ 私には 耐えかねんっ!」
黒い影が一段と大きな力を放つ 皇帝が表情を落とし回避すると 黒い影の力が城に衝撃を与える 城に轟音が轟く

【 帝国 西城壁内 】

轟音に周囲が揺れる ハイケルが驚いて言う
「な、何だっ!?被弾の衝撃とは違うっ もっと 巨大な…っ グレイゼスっ!隊員たちは無事かっ!?」
無線が乱れた後 グレイゼスの声が聞こえる
『…ロス司令官へ 確認するっ!』
ハイケルが言う
「ハブロス司令官へ!?どういう意味だっ!?」
グレイゼスが言う
『彼らは既に 無線の範囲から超えているんだ そうである以上 こっちではもう彼らの状況は確認は出来ない』
ハイケルが悔やんで言う
「…クッ 超えたのは周囲無線の区域だけではなかったのか …こんな事なら 先ほどのRTD560マシーナリーへ 乗り込んでおくべきだったっ!」
グレイゼスが言う
『そちらは 補給部隊からの情報で確認出来た …どうやら ユラ殿の 替えのマシーナリーだったらしい』
ハイケルが呆気に取られて言う
「か、替えの!?ではっ ナノマシーンを保有しているユラ殿は 替えのマシーナリーを 呼び付ける事すら出来ると言うのかっ!?」
グレイゼスが言う
『それは…っ ナノマシーンの力だけでは そこまでの事は出来ないと思うが』

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが頭を押さえて言う
「そうだな 俺がそっちに行ければ…っ 少なくとも 今のお前を 隊員たちの下まで 連れて行ってやれるんだが…っ」
オペ子Aが言う
「中佐 対異常電波仕様のマシーナリーを有するART3を除き マスターによるアウターへの進軍は マスターラキンゼス大尉の検査が完了するまで 絶対凍結すると」
グレイゼスが言う
「分かってる…っ だが 今動けないアイツを…っ せめて 隊員たちの下へ 連れて行く方法は 何かないのかっ?このままじゃ 現作戦は成功しようとも…っ」
グレイゼスが思う
(あいつの…っ ハイケルの居場所が…っ!)
司令塔のドアが開き 軍曹が一度敬礼して言い掛けてからハッと気付いて言う
「失礼致しっ!…む?違った… 確か 自分は今 防長閣下 兼 国防軍総司令官である… と言う事は 敬語なども使用せずに もっと堂々とするべきであるのだろうか…?」
グレイゼスが一瞬驚き呆気に取られた後 思いついて叫ぶ
「アーヴィン君っ!!」
軍曹が衝撃を受け 慌てて敬礼して言う
「はーっ!マスターっ!自分は国防軍を代表し ART本部へ作戦の進行状況の確認と共に 1言挨拶へ向かう様にとーっ 甥っ子に命じられ 馳せ参じましたでありますーっ マスターぁーっ!」
グレイゼスが言う
「これだっ!コイツを調べればっ!!」
軍曹が呆気に取られて言う
「は?コイツ?とは?…調べるとは 何を…?」
グレイゼスが軍曹の腕を掴んで言う
「アーヴィン君っ!力を貸してくれっ 今 ハイケルを助けられるのは 君の持つ情報の他に無いっ!」
軍曹が疑問して言う
「は?自分が 少佐を?…むっ!?しょ、少佐が!?少佐が何かっ!?少佐を助けるとはっ!?」
グレイゼスが隊員たちへ振り返って言う
「ここは少し頼むっ すぐに戻る!」
隊員たちが言う
「了解っ 中佐!」
軍曹が呆気に取られて言う
「マ、マスター?一体…?」
グレイゼスが言う
「こっちだっ 急いで来てくれ!」
軍曹が言う
「急いでとは…っ?一体何処に のわあぁーっ!?」
グレイゼスが軍曹の言葉の途中で視線を強めると 2人がナノマシーンの加速で消えて行く

【 帝国 屋外 】

皇帝の前で力が消える 黒い影が悔しそうに歯を噛みしてから視線を向け巨大マシーナリーを見る 巨大マシーナリーは動きを止められている様子 黒い影が皇帝を見て気付き言う
「…そうか 反撃をして来ないのではない …貴様は 己のみではなく 周囲へも結界を張っていたのだな?それも あろう事か… 貴様の作った新人類のみにあらずっ 我が機械兵士どもさえを守ろうとっ」
皇帝が黒い影を見上げる 黒い影が言う
「…クッ そこまでの仕打ちっ この私の力を罵るかっ!」
皇帝が言う
「否… 我は その方の力を 慕い 尊信しておる」
黒い影が怒って言う
「戯言を 抜かすなっ!」
黒い影が力を発散させる 周囲の光が消し飛ぶ 皇帝が身を守っていた状態から弾かれる

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

隊員たちが一瞬目をつぶり 隊員Nが目を開きながら言う
「な… なんだっ!?今一瞬 すげぇ強ぇ光が…っ!?」
隊員たちが城の中央を見る

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツが一瞬驚いて言う
「あ…っ あの光の元が…っ 消えた…?」
ART2隊員たちがMラミリツの視線の先を見る

【 帝国 屋外 】

黒い影が笑んで言う
「我が力… 思い知れっ!」
黒い影が杖を掲げ力を増幅する 皇帝がハッとして言う
「止めよっ!我らが争い 何となる!?」
黒い影が言う
「黙れっ!我らが神の命に背く 罪深き駄天使めっ!貴様が守らんとする 愚かなる新人類は この私が 全て 消し去ってくれるっ!」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

M隊員Aが振り向いていて言う
「あの場所にあった 強い光が無くなって…?」
隊員Bのひっ迫した声が聞こえる
「ア、アッちゃんっ!」
隊員Aが一瞬驚いて言う
「ど、どうした!?バイちゃんっ?」
隊員Bが指差して言う
「あ… あれ…っ」
隊員Aが疑問して 外部モニターへ視線を移しながら言う
「あれって…?っ!?」
隊員Aが目を見開く M隊員Cが一歩後ず去って言う
「マジかよ…っ!?あんな大量のマシーナリーがっ!?」
ART1マシーナリーたちの先 大量のマシーナリーが一斉に銃を構える

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツが視線を強めて表情を強張らせる MシュナイゼルがMラミリツへ向いて言う
「隊長…っ これでは…っ!」
ART2マシーナリーたちの前で 大量のマシーナリーが銃を構えている

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

隊員Fが表情をしかめて言う
「一斉射撃か… これじゃ…っ」
M隊員Eが後ず去って言う
「これじゃ 避けようが無い…っ!」
ART1マシーナリーたちが怖じける

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

Mシュナイゼルが銃を装備して言う
「隊長っ!お下がり下さいっ!銃撃班は剣士班の前方へ向かえっ!我々で 最初の一撃を食い止めるっ!」
銃を所持したマシーナリーたちが言う
「了解っ!副隊長っ!」
マシーナリーたちが配置に向かおうとしていると ラミリツが言う
「…違う それじゃ 助からない…っ」
Mシュナイゼルが言う
「しかしっ こうでもしなければ 最初の一撃で 我々は…全滅にっ!」
ラミリツが視線を強めて叫ぶ
「総員っ!」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ハイケルの声が響く
「構えろーっ!」
隊員たちが驚き 隊員Aが言う
「少佐…?」
ART1マシーナリーたちが地面に居るハイケルに驚いて見下ろして言う
「少佐っ!?」 「少佐ぁーっ!?」 「少佐っ!?何でっ!?」
ハイケルが周囲を見渡して言う
「何をしているっ!総員 直ちに構えろ!ターゲット前方 敵マシーナリーっ!!」
隊員Bが呆気に取られた状態から言う
「りょ、了解っ!少佐ぁーっ!」
ART1マシーナリーたちが言う
「了解っ」 「了解っ!少佐ぁーっ!」
ART1マシーナリーたちが銃を構える

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツが言う
「目標 前方 敵マシーナリーへっ!」
ART2マシーナリーたちがプラズマセイバーや銃火器を構えている

一瞬の沈黙の後 

両アウターサイドにて ハイケルとラミリツが同時に叫ぶ
「放てー!」 「突撃ーっ!」

ART1マシーナリー ART2銃撃班が銃を放つと同時に ART2剣士班が敵マシーナリーへ向かう 敵マシーナリーらが一斉射撃を行う

MラミリツとART2剣士班たちの前方で 敵マシーナリーの銃弾が見えない力に弾かれる ART2銃撃班の銃弾に続いて 剣士班のプラズマセイバーが敵マシーナリーらを攻撃し 敵マシーナリーが倒される

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ART1マシーナリーたちが硝煙の上がる銃を構えている前で 敵マシーナリーらが次々に倒れる 隊員Cが呆気に取られたまま言う
「や… やった?…助かったっ!?」
ハイケルがホッとして言う
「良くやった… お前たち」
M隊員Aがハイケルへ言う
「しかしっ 少佐はっ!?何故っ!?マシーナリーへ搭乗しなければ アウターでは危険ですっ!?」
M隊員Bがハイケルへ言う
「そうだよ 少佐ぁーっ!何で マシーナリーに乗ってないのーっ!?中佐が アウターでは 例え マシーナリーが破損しても 外には出ちゃダメだってーっ!」
ハイケルが言う
「問題ない 私は 悪魔の兵士だ」
隊員Bが疑問して言う
「えー?少佐は… 真に不甲斐無く申し訳ない 初世代の悪魔の兵士だからー?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「ぐっ… そ、そうではあるが …いや、その 初世代の悪魔の兵士であるからこそ」

【 ART本部 司令塔 】

グレイゼスが言う
「まさか 初世代の悪魔の兵士が 元は アウターで戦っていた 兵士その者だったとはなぁ…?それなら もちろん!」
後方で軍曹が頭をクラクラさせながら言っている
「悪魔の兵士の謎を~?悪魔の兵士は~?悪魔の兵士は~…?…ちがーう…」
軍曹がガクッとうな垂れる

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ハイケルが言う
「初世代の悪魔の兵士である 私は 元よりアウターに置かれる 異常電波に耐えうる性質を持っているらしい 従って 皇帝の力により仲間となったマシーナリーへ施されたと言う 異常電波への追加防衛が無くとも アウターにて生身での活動が可能だそうだ」
隊員Bが言う
「なんだー そうだったんだー?それなら 安心ー?」
M隊員Aが言う
「そうなんですか それなら 一先ず マシーナリーの外に居ると言う事に関しては 安心ですが… ちなみに?武器であるマシーナリーは?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「う…っ そっちは… 聞いてくれるな」

【 帝国 玉座の間 】

アースが息を切らせて言う
「…はぁ …はぁ」
エルムαが言う
『上出来だ』
アースがエルムαを見てから苦笑して言う
「…いや、皇帝の力だ 私が意識を向けられたのは ART2の 剣士部隊だけだった… 彼らへ向かう銃弾を逸らすだけで 他は…」
エルムαが言う
『他は 彼ら自身が 成し得た 技 …だ』
アースが言う
「彼ら自身が?」
エルムαが言う
『彼らは… 人 …だ』
アースが疑問して言う
「彼らが 人 …であるから?」
エルムαが言う
『人は 咄嗟の事態に 己を守る事が出来る』
アースが気付いて言う
「そうか… なるほど?彼らは咄嗟の事態に コックピットへの直撃を 免れる事が出来たと言う事か?…流石は 国防軍と政府警察 両部隊に置かれる 1番の機動部隊 …精鋭たちだ」
エルムαが言う
『そうだな』
アースがエルムαを見て微笑する

【 帝国 屋外 】

皇帝が言う
「…我は 信じたい 彼らの生きる力を… 例え かの命 我らより 短き灯火とあろうと その間に得し力は 決して 我らの力へ届かぬものにあらず 彼らならば… きっと…」
黒い影が閉じていた目を開き苦笑して言う
「信じたい …か 貴様らしい戯言だ ならば教えてやろう 貴様の言う力が どれほどのモノか …新人類の力など …いや 奴らの神と在る 我らの力でさえ 真の神には 遠く及ばぬのだと言う事を」
黒い影が周囲に力を放つと 目に見えない遠くの場所で赤黒い光が放たれる 皇帝がハッとする 黒い影が言う
「その力 抑えきられるか?今度は貴様の力が …貴様が守らんとするものを 守られると言うなら… その力 証明して見せよ?」
皇帝が黒い影の力に押され言う
「ぐっ!」
皇帝の脳裏にアースの声が聞こえる
『皇帝っ!?』
黒い影が言う
「これで …終わりだっ」
皇帝が周囲に力を放ちながら意識を向けて言う
「アースっ 今すぐに その玉座を離れよっ!」
アースが驚いて言う
『何っ!?どう言う事だっ!?』
皇帝が言う
「その場所に在ってはっ その方にまで 影響が及ぶ…っ ここは 我が抑えきるっ!して その方へ…っ アールスローンのっ!…この世界の未来をっ!」
アースが叫ぶ
『皇帝っ!!』
皇帝が力を発揮する 周囲に光の羽が舞い散る

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

Mラミリツが後ず去って言う
「な、何っ!?遥か先の あの光っ!?」
Mシュナイゼルが言う
「何と おぞましい光でしょう…っ」
ART2マシーナリーが言う
「隊長っ!あれをっ!」
MラミリツがART2マシーナリーの示す方を見て ラミリツが驚いて言う
「そんなっ まさか また 同じ事がっ!?」
大量の敵マシーナリーらがゆっくりと近付いて来る Mシュナイゼルがプラズマセイバーを構えて言う
「隊長!先ほどの作戦を 今一度っ!」

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

M隊員Cが銃を構えて言う
「くそっ!もう一度 根性試しかっ!や、…やってやるぜっ!」
倒れている敵マシーナリーらが起き上がる M隊員Nが言う
「げぇっ!?さ、さっき倒した奴らまで 起き上がったぁあっ!?」
M隊員Cが衝撃を受けて言う
「なにぃーっ!?」
隊員Fが照準の先を見ていた状態から言う
「だけど… 何か可笑しい… さっきとは違って 奴らは… 武器を構えていないっ!?」
M隊員Aが言う
「そ、それは… どう言う事だっ!?少佐…っ しょ、少佐っ!?」
M隊員Aが下方を見る 視線の先 ハイケルが目を見開き悲鳴を上げる
「あ… あぁ…っ あぁああーっ!」
ハイケルが頭を抱える 隊員Aが驚いて言う
「少佐っ!?」
M隊員Bが言う
「少佐ぁーっ!?どうしたでありますかーっ!?少佐ぁーっ!?」
隊員たちの脳裏にアースの声が聞こえる
『異常電波が強化されているっ 総員 直ちに防御体制を取れっ!ART1は ハイケル少佐を マシーナリー内へ退避させろっ!』
M隊員Aが叫ぶ
「総員っ 防御体制だっ!」
ART1隊員たちが言う
「「了解!アッちゃん仮隊長!」」
M隊員Bが言う
「少佐ぁーっ!こっちこっち!早く 俺の中にーっ!」
M隊員Bがコックピットを開き 隊員Bがハイケルへ手を伸ばす 隊員Aが衝撃を受けて言う
「バ、バイちゃんっ こんな時だけど 相変わらず その言い方は…っ」
コックピットが閉じると 隊員Bがハイケルに駆け寄って言う
「少佐ぁっ!?少佐ぁーっ!?大丈夫でありますかーっ!?少佐ぁーっ!?」
ハイケルが頭を押さえたまま息を切らせて言う
「はぁ… はぁ… ああ 大丈夫だ バイスン隊員 …感謝する」
隊員Bが微笑する

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツが言う
「防御体制って言われてもっ どう言う事っ!?ハブロス司令官っ!?」
AART2隊員が驚きに目を見開いて言う
「あれは… 見た事があるっ 奴らは… 自爆するつもりだっ!!」
ラミリツが驚いて言う
「何だってっ!?まさかっ!?あの数のマシーナリーが全てっ!?そんな事になったらっ!」
ART2隊員が言う
「この一帯は 跡形も無く 消し飛びますっ!」
ラミリツが驚き目を見開いて 敵マシーナリーを見る

【 帝国 屋外 】

皇帝が結界を張っている 黒い影が言う
「…無駄な事をするな 己のみへ結界を張れば 少なくとも貴様だけは 助かる …そして 我と共に 再び創り返される 新たな世界へ」
皇帝が言う
「我は 彼らの神… 彼らを守るべき者とある その我が 守るべき彼らを見捨て 生き延びる事など …望まぬっ」
黒い影が言う
「そうか どうあっても その想い変えぬと申すなれば… なれば その者らと共に …滅びよっ!」
黒い影が杖を掲げる 一瞬の静寂 敵マシーナリーらが全て無音の中で自爆する 皇帝が強い光を放つ 玉座でアースが叫ぶ
「皇帝ーっ!!」
皇帝が驚いて言う
「アースっ!?」

【 帝国 玉座の間 】

アースの座る玉座の周囲で無数の火花が散り アースが感電して叫ぶ
「あぁああーっ!!」
エルムαがアースを掴み玉座から引き離す

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

ラミリツが閉じていた目を開き 顔を上げるとハッと驚き言う
「皆っ!?」
ART2マシーナリーたちが全て Mラミリツを守る形で防御体制を組んでいる

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ハイケルが目を開くと隊員Bの声が聞こえる
「しょ、少佐ぁ…?お、俺…」
ハイケルが抱き庇っていた隊員Bを見て言う
「無事か?バイスン隊員?」
隊員Bが顔を上げると 頬を染めて視線を逸らして言う
「う、うん… あっ 違った…っ は、はーっ 少佐ぁ… …でも 俺 どうしよう… 俺 ちょっと 本気で… 少佐の事…っ」
ハイケルが隊員Bを無視して立ち上がって言う
「ART1 総員 無事かっ!?」
隊員Bが気付いて言う
「って… あれー?…なんだー …やっぱ 少佐は 俺だけじゃなくて」
モニターに隊員Aが映って言う
「はっ 総員 無事でありますっ 少佐っ!」
M隊員Bが防御体制で居る周囲で ART1マシーナリーたちが 各々無様な姿で怯えて居る M隊員Cが腰を抜かした状態で言う
「た… 助かったのか…?俺ら…?…何で?」
隊員Nが言う
「あ、ああ… なんで 助かったんだ?俺ら…?」
M隊員Fが歩いて来て言う
「まるで 俺たちの前の… この場所に 強力なシールドでも張られたかの様な…」
M隊員Fが膝を着き 自分たちの前に一直線にある断層に触れる

【 帝国 玉座の間 】

アースが目を開くと 顔を上げ 言う
「…っ エルム少佐っ 皇帝はっ!?我らの神は無事かっ!?」
エルムαが間を置いて言う
『…状況不明 …だ』
アースが視線を強め立ち上がると 力の入らない体のまま必死に歩いて向かう エルムαが視線で追う

【 帝国 屋外 】

黒い影が呆気に取られた状態から悔しそうに言う
「愚かな… それ程の力を持ちながらも 何故… 何故… 我らが神に逆らうっ!?答えよっ!」
皇帝が言う
「否… これは 我が力にあらず… 我らは 共に在るからこそ 強く在り続けられる …それは その方こそが 知る 力… ぞ… …うっ」
皇帝が地に膝を着くと崩れ 翼が消えて行く 黒い影が一瞬表情をしかめてから言う
「貴様のその様な姿など… 見たくは無かった… しかし、こうまでして 変わらぬと申すなれば もはや 語る言葉は在らぬ」
黒い影が巨大マシーナリーへ視線を向ける 巨大マシーナリーが顔を上げる 黒い影が言う
「…叩き潰せ」
巨大マシーナリーが命令を受託し 巨大な拳を皇帝へ振り下ろそうとする 皇帝が視線を向けた後 観念して苦笑すると 直前で拳が止まる 皇帝が吹き抜けた風を浴びてから 疑問して顔を上げると 黒い影が驚いていて言う
「ば、馬鹿な… 何故っ!?」
皇帝の視線の先 巨大マシーナリーが自己の意思で拳を止めている 皇帝が一瞬驚いた後微笑して言う
「…その方  心 宿りしか?」
巨大マシーナリーが葛藤している 黒い影が悔しそうに言う
「心…?鉄の塊に…っ?新人類でも 生物でさえない 唯の機械にっ 心などっ!…宿る筈が無いっ!」
皇帝が黒い影へ向いて言う
「否… その方の力ぞ 信じ…っ」
黒い影が叫ぶ
「黙れぇえーっ!」
黒い影が杖を振るうと 杖から発せられた力が皇帝を弾き 皇帝が地へ倒れて言う
「うぅ…っ!」
アースが屋外の入り口に現れ ハッとして呼ぶ
「皇帝っ!」
黒い影が叫ぶ
「さあ!叩き潰せっ!たかが機械の分際がっ!与えられしプログラムを実行せよっ!」
アースが黒い影の声に顔を向けると 巨大マシーナリーの状態に驚いて言う
「なっ なんだっ!?まさか あれも!?皇帝!?貴方の力なのかっ!?」
黒い影が叫ぶ
「動けっ!奴を 潰せっ!」
アースがハッとして皇帝の下へ走りながら叫ぶ
「皇帝っ!」
巨大マシーナリーの拳が勢いを付け 轟音が轟く 黒い影が驚く アースが皇帝の体を起しつつ顔を向けると驚く 黒い影が呆気に取られて言う
「何故…?奴の力は 途絶えていたと申すものを… …何故だっ!?」
巨大マシーナリーが自身へ拳を振るった状態で ゆっくりと後方へ倒れ 完全に倒れると 衝撃で激しい振動が響き 地面が砕け散って破片が飛び散る アースが皇帝を抱き庇いながら言う
「うぅうっ!」

【 帝国 東城壁アウターサイド 】

上空から岩辺が落ちて来る Mラミリツがプラズマセイバーで切り裂き言う
「退避っ!総員 退避だっ!上空からの飛来物を回避しっ 城壁まで退避しろー!」
ART2マシーナリーたちが言う
「了解っ 隊長っ!」
ART2マシーナリーたちが退避する Mラミリツが仲間のマシーナリーへ落ちて来た岩辺を切り捨てる

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

ART1マシーナリーたちが悲鳴を上げて逃げ惑っている ハイケルが叫ぶ
「撤退っ!ART1直ちに 撤退しろ!城壁内へ撤退だっ!」
隊員Bが操縦桿を握って言う
「了解 少佐ぁーっ!俺たちも 逃げるでありますーっ!」
M隊員Bが滑走する M隊員Eが走っていると 上空から岩が落ちて来る M隊員Aが叫ぶ
「エレス隊員っ!回避だっ!」
M隊員Eが驚いて見上げて言う
「えっ!?うわあぁあーっ!?」
隊員Aが叫ぶ
「エレス隊員っ!!」
M隊員Eが 滑走してきたM隊員Fに突き飛ばされ 2体が助かる 隊員Aがホッとして言う
「危なかった… ナイスフォロー フレッド隊員!」
モニターに映った隊員Fが微笑する モニターに隊員Eが映って言う
『助かった ありがとな!フレッド隊員!』
隊員Fが微笑して言う
「ああ 無事で良かったっ」
周囲無線にハイケルの声が響く
『回避だっ!イリアス隊員っ!』
M隊員F、E、Aが周囲を伺うと M隊員Iの頭上に 大きな岩が落ちて来ている 隊員Eが驚いて言う
「あの大きさは ヤバイっ!」
隊員Fがハッとしてから視線を強め M隊員Fが滑走する M隊員Aが慌てて言う
「無理だっ!間に合わないっ!」
M隊員FがM隊員Iへ向かって手を突き出す ハイケルの声が響く
『回避だっ フレッド隊員っ!』
隊員Fが視線を強める 岩の落ちる音が響く

【 帝国 屋外 】

アースが強く閉じていた目をゆっくり開くとハッと驚いて言う
「こ、これは…?」
アースの近くに緑掛かった光の羽が舞い落ちる アースが呆気に取られてから ハッとして振り返ると驚いて言う
「あ、貴方はっ!?」
黒い影が一瞬驚いてから 視線を強めて言う
「貴様 …何者だ?名を名乗れっ!」
黒い影の視線の先 皇帝とアースの前に 天使が降り立ち 微笑する

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

M隊員Iが怯え 後ず去りながら言う
「あ… あぁ…っ フ、フレッド隊員…っ!?」
M隊員Aが到着し 隊員Aが驚き目を見開いて言う
「そ、そんな…っ」
M隊員Cがやって来ると驚き腰を抜かし 怯えて言う
「こ…っ コックピットを… 直撃…っ!?」
M隊員Bが到着すると ハイケルの声が聞こえる
「岩を外せ!負傷者の救出を行うっ!急げっ!」
M隊員A、Cが慌てて言う
「「りょ、了解っ!」」
M隊員Cが立ち上がると M隊員Aと共に M隊員Fの背に落ちている岩を持ち上げる 持ち上げられた岩の末端に鮮血が滴る M隊員Iが怯えて言う
「あぁっ!あぁああっ!?」
M隊員Bのコックピットが開かれ ハイケルが飛び出すと M隊員Fの背へ走る 隊員たちが見詰める中 ハイケルがM隊員Fの破損したコックピットから隊員Fを救出すると 抱き抱えて地面へ向かう ART1マシーナリーたちが続々と集まる

ハイケルが地面に隊員Fを置くと 隊員Fが苦しそうに表情をしかめる ハイケルが言う
「フレッド隊員っ!分かるかっ!?」
隊員Fが薄っすらと目を開き ハイケルを見て言う
「少…佐…」
ハイケルが苦笑して頷くと一度患部へ視線を向けてから僅かに表情をしかめ 再び隊員Fを見る 隊員Fが苦笑して言う
「すみ ま… せん… 俺… 少佐の… 命令…を… ぐっ!がはっ がはっ!」
隊員Fが吐血する ハイケルが言う
「良いんだ フレッド隊員 お前は 良くやった… …仲間を助ける為に …そして すまない…っ 私が…っ 付いていながら…っ」
ハイケルが悔しそうに手を握り締める 隊員Fがハイケルを見た後 周囲で自分を見下ろす仲間のマシーナリーたちを見てから 苦笑して言う
「俺… もっと 戦い たかった… です… けど… …少佐」
ハイケルが隊員Fへ向いて言う
「何だ フレッド隊員っ?」
隊員Fが微笑して言う
「皆を… 頼みます… 皆… 少佐の事 大好きですよ …俺たちの 隊長は… 少佐だけです これからも ずっと…」
ハイケルが驚くと 悲しみを堪え苦笑して言う
「…ああ 分かっているっ 私も… お前たちと共に ずっと 戦い続けるっ 必ずだっ!」
ハイケルが隊員Fに握られている手を握り返す 隊員Fが微笑して言う
「それを 聞けて… 安心 しました… 少 佐…」
ハイケルが叫ぶ
「フレッド隊員っ!」
隊員Bが叫ぶ
「少佐ぁっ!早く運ぼうよっ!?救護班の所にっ!補給部隊の皆と一緒に いつもみたいに 待機してるんじゃっ!?」
M隊員AがM隊員Bの肩を掴んで言う
「バイちゃん…」
M隊員BがM隊員Aへ向いて怒って言う
「だってそうでしょっ!?ARTだって 国防軍と一緒でっ ちゃんと救護班が居てっ!それに… 少佐っ!早くっ!フッちゃんに 応急処置をっ!俺らじゃ マシーナリーから 下りられないからっ!それから…っ!」
M隊員Aが言う
「バイちゃんっ!」
M隊員Bが怒って言う
「何でっ!?何で 皆 誰も 動かないのっ!?何でっ!?」
隊員Nが言う
「バイちゃん隊員っ …分かれよっ …もう …間に合わねぇんだよっ!」
隊員Nの視線の先 モニターに映っている隊員Bが涙を流している 隊員Cが視線を逸らして言う
「場所が悪い… 止血したくても あの位置じゃ… あれほどの損傷じゃ 抑えきれない」
隊員Eが八つ当たりをして言う
「くそ…っ!俺が先に フレッド隊員の手を 煩わせていなければっ!」
隊員Iが怯えながら言う
「お…  俺が…っ 俺の…っ せいで…っ!」
隊員Fの損傷を抑えているハイケルの手が鮮血に染まっている ハイケルが悔しそうに歯を食いしばる ハイケルの横に人影が立ち ローブに身を包んだ男が言う
「その傷 私の力で 抑えよう」
ハイケルが驚き振り向く

【 帝国 屋外 】

アースが呆気に取られた状態で言う
「…神が もう1人…?」
天使がアースを見て微笑する 黒い影が言う
「神だと?笑わせるな その程度の力で 神を名乗るつもりか?」
天使が黒い影を見ると笑んで言う
「俺は神なんかじゃないぞ?」
アースが呆気に取られて言う
「ち、違うのか?では…っ!?」
天使が言う
「俺は… ”マリアのウィザードさま” だ!」
アースが呆気に取られてから言う
「マ、マリアの…?」
黒い影が力を放つ 天使がそれを風の力で払う アースが力の衝撃に目をつぶってから 呆気に取られる

【 帝国 西城壁アウターサイド 】

隊員Fの傷に光が放たれている 流れ出ていた血が止まり徐々に皮膚が再生して行く ハイケルが驚き呆気に取られつつ言う
「お、お前は 何者だ!?何故 この様な事がっ!?」
ローブの男が治療を行いながら言う
「私は ウィザード」
ハイケルが言う
「ウィザード?」
ローブの男がハイケルを見て言う
「名は アイザック・シュテーゲル 訳有って 奉者協会と言う組織の 会長を担っている」
隊員Fの傷が癒える ハイケルが呆気に取られたまま言う
「ほ… 奉者 協会…?聞いた事が無いが …しかし」
アイザックが立ち上がると ハイケルが向き直って言う
「私は アールスローン帝国軍 レギスト特殊機動部隊 通称ARTの第一機動部隊隊長 ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐だ 隊員の命を救ってくれた事 感謝する まるで… 魔法の様な力だな?」
ハイケルの視線の先 隊員Fが規則正しい寝息を立てている アイザックが頷いて言う
「私は水属性のウィザードである為 元々 生物の自然治癒力を高める事には向いている …とは言え 本当に手遅れになってからでは 間に合わない 貴方方の嘆きの声に気付けた事は 不幸中の幸いだった」
隊員Bが呆気に取られて言う
「俺たちの 嘆きの声に って…?」
隊員Aが微笑して言う
「バイちゃんっ!きっとバイちゃんの お陰だよっ!」
隊員Bが呆気に取られたまま言う
「えー…?」
ハイケルが言う
「水属性のウィザード…?それは…?もしや 貴方も 皇帝の様な力を持っているのか…?」
アイザックが微笑して言う
「皇帝…?…確か この世界の貴方方の 王の事を示す言葉であった筈だが 私は その様な権力を持つ者ではない だが ウィザードは人と神との間であるとされている …我々の世界では」
ハイケルが言う
「人と神との間…?我々の世界…?お前… いや、貴方は一体?」
フレイゼスがやって来て言う
「彼は 我々にとっては 未知なる国 このアールスローン帝国の 対側にある国のお方です …そして 我々の 新たなる仲間」
ハイケルが一瞬驚いた後言う
「フレイゼス外交長っ!?」
フレイゼスが微笑して言う
「はいっ 私の久方振りにして 最も重要な外交を 成功させて参りました」
アイザックがフレイゼスを見る フレイゼスが微笑する

【 帝国 屋外 】

黒い影が言う
「ウィザード…?そうか 奴の国の…」
天使が言う
「奴って誰だ?」
黒い影が鼻で笑って言う
「フッ… 知らんのか?無理も無い この世界で 最も早く 新人類を見放した神の名だ …劣化した貴様の 元と言う事になるだろう」
天使が言う
「劣化した?…ふーん?そうなのか?…良く分かんないけど まぁ 良いや!俺はマリアと一緒に この世界に居られれば それで良いんだからさ?」
黒い影が沈黙する 天使が言う
「それより どうするんだ お前?言っとくけど 俺は強いぞ?これ以上 この世界の奴らに何かするって言うんなら… うーん 取り合えず 先輩が帰るまで 俺が相手してやるよ!じゃないと マリアが 先輩の事心配するからな?」
アースが呆気に取られている
「か、彼は… 一体…?」
黒い影が言う
「下らん 劣化した 駄天使以下の 屑の相手など この私が 行うものかっ」
天使が言う
「何だよ お前?本当は 俺の力にビビッてるんじゃないのか?だって お前の力は…」
黒い影が消える 天使が衝撃を受けて言う
「あっ!こらー 話の途中で消えるなーっ!…って マリアが言ってたぞーっ!?」
アースが言う
「消えた… …いや …助かった 貴方のお陰だ 確か…?」
天使がアースへ向く アースが考えてから言う
「”マリアのウィザードさま”…と 言っていただろうか?それが 貴方の名であるのか?…失礼 私は アールスローン帝国軍 レギスト特殊機動部隊の司令官 アース・メイヴン・ハブロスだ」
天使が疑問して言う
「え?”アーク”・メイヴン・ハブロスか?お前は最初に呼ぶんだな?それとも この国じゃ そう言う順番なのか?」
アースが一瞬疑問してから言う
「うん?…あっ いや、”アーク”ではなく アースだ アース・メイヴン・ハブロス」
天使が疑問して言う
「あれ?そうなのか?じゃぁ… 何処に入れるんだよ?」
アースが疑問して言う
「何処に… とは?」
皇帝の声が聞こえる
「う…っ」
アースがハッとして言う
「皇帝 無事か …っ!?」
アースが皇帝の姿を見て驚く 皇帝の髪の色が変わる アースが呆気に取られて言う
「こ、皇帝…っ!?」
天使が近くに来て言う
「あぁ 反動を受けちゃったんだな?まぁ しょうがないよ あんなデカイ 力を使ったんだからさ?」
アースが天使を見上げて言う
「反動を受けて…?それで… 髪の色が…?それに あの翼も…?」
天使が言う
「ああ、髪なんかは 力の影響を受けやすいから 力が無くなると すぐ元の色に戻っちゃったりするんだぞ?」
アースが言う
「そうなのか… では これは そちらの反動と言うものを受けた 影響と言う事だな?普段は 眩しいほどの 光を思わせるあの皇帝が… 今ではまるで… あの者の様だ… 邪悪な闇の天使」
アースが皇帝の髪を見てからハッとして言う
「そうだっ こうしては居られないっ 皇帝が力を失ったと言う事は 異常電波を遮るシールドを 急いで起動させなければっ」
アースが顔を向けて言う
「エルム少佐っ 装置を起動させる事は出来るかっ!?それから 皇帝を 何処か 休ませる場所などはっ?」
エルムαがやって来る アースが天使へ向いて言う
「すまない 礼をしたい所なのだが 今の私は このアールスローンの防衛を 急いで行わなければならないっ」
天使が言う
「ああ、俺は構わないぞ?俺は マリアの為に 先輩が無事に マリアの所に戻って来れるようにってさ?やばい時は 守ってやろうと思って 付いて来ただけなんだ」
エルムαが皇帝を抱き上げる アースが言う
「先輩が?…うん 良く分からないが こちらの非礼を詫びる そして いつかの時か もう一度 今日のこの礼を させてもらいたい 貴方の事は 恐らく… こちらの皇帝が知っている筈だ 貴方の先ほどの力 …あの風を操る様な力 …うん?もしや?貴方が 皇帝へ ”風の声”を届けたと言う 異国の神なのだろうか?」
天使が微笑して言う
「ああ、”風の声”を送ったのは俺だぞ?でも そっか?お前がさっきっから ”コウテイ”って呼んでる そいつが この国の神なんだな?俺は てっきり お前なのかと思ったよ」
アースが疑問して言う
「私が?」
エルムαが一度アースを見てから立ち去る 天使が言う
「うん、けど… それにしては 弱過ぎるもんな?それじゃ 流石に もっと修行しないと 今のままじゃ ウィザードにもなれないぞ?お前?」
アースが言う
「ウィザード…」
アースが気を取り直して言う
「分かった ウィザードと言う言葉 そして 貴方の事は しっかりと記憶しておく そして その我々が共に戦えるとなれば 必ずや もう一度 お会い出来るだろう」
天使が言う
「ああ!そうだな!俺も会えると思うぞ!それに 次に会う時は きっとマリアも一緒にな!」
天使が浮かび上がる アースが苦笑して言う
「マリア… 分かった そちらの名も 覚えて置こう 貴方に関係のある… 女性の名の様だ」
天使が言う
「ああ!マリアは 女神様で 俺の奉者で 俺の彼女だったりもする 俺の大好きなマリアの名前だ」
アースが言う
「そうか …では 失礼だが 改めて貴方のお名前は?」
天使が言う
「俺は レイだ レイ・アーク・フォライサー …じゃあな?”アーク”・メイヴン・ハブロス!」
レイが消える アースが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「女神様、奉者、彼女… それがマリア… そして マリアのウィザード様である 彼の名が レイ・アーク・フォライサー か… 力や姿は 皇帝と同じ まるで神の様だが 言動はとても 我々と同じく人間の様な… いや?むしろ?」
アースが苦笑して言う
「そして 私の名は ”アーク”ではなく アースなのだが… 次に会った時には そちらの訂正から させて貰えるだろうか?」
アースが軽く笑ってから立ち去る


続く
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