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15章
アールスローン戦記Ⅱ 時を止めた街
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【 ART2 】
Mラミリツ内 マリアが掴っているシートの背に 軽く身体を預けた状態で苦笑して言う
「その時に出会った”魔法使いの男の子”が 実は その”ウィザードさま”だったんです でも私は全然気が付かなくって それで…」
ラミリツが操縦をしながらチラッと視線を向けて言う
「では 彼はその頃から ずっと マリアさんを探して?」
マリアが言う
「はい ずっと… なのかは分からないですが 彼は その時に ”マリアのウィザードさま になろうと思ったんだ”って そう言ってました だから 多分…」
ラミリツが微笑して言う
「それなら 本当に凄いですね?そんなに小さな頃に出会った女の子を 10年以上の時間を掛けて探して… ”探し出す”だなんて?」
ラミリツが思う
(そっか… 本当に探し出す事って出来るんだ?…あれ?それじゃ 僕らの神様は?あの帝国の皇帝は…?)
マリアが軽く笑って言う
「そうですね?でも その為にウィザードになっちゃうだなんて …ふふっ だけど、そんな所が 彼らしいかなって?…それこそ 本当は そのウィザードたちの神様である ”アーク”なのに」
ラミリツが言う
「…アーク?…こちらの世界では 神様の事を ”アーク”と呼ぶのですか?」
マリアがハッとして衝撃を受けて言う
「…えっ!?い、言わないんですかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「そうですね?”アーク”と言う言葉は 私は こちらの国に来て 初めて耳にしました」
マリアが慌てて言う
「そ、それではっ!?アールスローンでは!?そちらのアールスローンの神様の事は アークって呼ばないんですかっ!?」
ラミリツが言う
「はい 我々の神様は 先ほどお話した様に 帝国と呼ばれている要塞に居る者でしたので その帝国の皇帝である とされていて …そのせいもあって 今でも 彼の事は ”皇帝”と呼んでいます」
マリアが困って言う
「こ、皇帝…?アークじゃなかった…っ …ど、どうしようっ?」
ラミリツが言う
「それに その皇帝が神様だと言う事も アールスローンでは秘密にしていますからね?」
ラミリツが軽く笑う マリアが呆気に取られてから 困り苦笑をして言う
「そ、それでは その… 私のウィザードさまが… …彼が アークだって事も ”秘密”にしてもらえますか?」
ラミリツが言う
「はい、もちろんです」
マリアがホッとする ラミリツが言う
「それに 私も 既に沢山 マリアさんへ アールスローンの”秘密”のお話をしてますから それは もう お互い様でしょう?」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「そう言えば そうですね?本当に… でも なんだか 不思議です 私がラミリツさんにお会いしたのは これで 2回目… あ、3回目でしたっけ?それなのに 普通ではお話出来ない事を 沢山話してしまっていて」
ラミリツが言う
「そうですね?しかし 元々 マリアさんも私も お互いの国の… 割とそう言う事に携わる 仕事をしている者同士ですから これは 必然でもあったのかもしれません」
マリアが言う
「あ… そう言えば… …そうなのかも?」
ラミリツが苦笑して言う
「マリアさんは ウィザード様の奉者様で 更にその奉者様方の奉者協会の会長である アイザック・シュテーゲル様のご息女様で 更に言うなら この世界の”神様の奉者様”ですよ?灯魔台の建設にも携わっておられますし これほど凄い方は こちらのお国の中では マリアさん以外に 居られないのではないでしょうか?」
マリアが呆気に取られてから言う
「そ、そう… なのかも…?そう… ですね?改めて考えると 私、何時の間にか そんな所へ辿り着いて…?…あっ でも!私は そのっ …確かに そう言葉を並べると 凄いかもしれませんが 本当に 何も…っ 何も分かって無くて それに そんな風になるつもりなんかも まったく無かったんですっ」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「その お気持ちは とても良く分かります 私も そうでしたから」
マリアが言う
「え?」
ラミリツが言う
「私は 父や祖父が警察関係の仕事をしていたので 子供の頃から ずっと自分もその様になるのだろうと思っていました… 実際 その為の訓練や勉強をしていたのですが 今は警察と言うより その警察組織の上層である政府の代表ですし もっと言えば政府から外れた ARTの隊長です …だから 何でこんな事になったんだろう?って、今でもたまに考えます」
マリアが呆気に取られた後微笑して言う
「それでは…」
ラミリツが言う
「でも 今はこれで 良かったと思っています」
マリアが呆気に取られて言う
「え…?」
ラミリツが言う
「確かに 最初に目指していた場所とは違う所に行きましたが… それでも本当に やろうと思っている事に 変わりはありません むしろ それが出来る 最前線に辿り着く事が出来た …だから 今はここまで僕を導いてくれた 兄や父… そして、祖父に感謝しています」
マリアが言葉を失う ラミリツがハッとして言う
「あ… すみません ちょっと脱線しましたよね?…えっと なんでしたっけ?」
マリアが言う
「ラミリツさんは とっても 強いですね?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?えーと…?」
ラミリツが思う
(強い?それは… 確かに 僕はART2の隊長だし それなりに訓練だって十分にしたから 相応の自信はあるつもりだけど …だけど 今は そういった話はしていなかった訳だから それは…?)
ラミリツが言う
「それは…?」
マリアが言う
「私も以前 ウィザードさまと一緒に …えっと 戦場とは言わないと思うんですけど アウターの異常魔力を受けた動物たちの群れが 村を襲った事があって それは… 私が ウィザードさまの灯魔作業の順番を決める事を あまり深く知らないで行ってしまった事が原因で …だから その村を助けに行こうって事になったんです ウィザードさまが 奉者の責任は その奉者のウィザードの責任でもあるって そう言ってくれて…」
ラミリツが言う
「では あのウィザード様が 動物たちの群れを?」
マリアが言う
「はい それで実際に行ってみたら 本当に数え切れない位の動物たちが集まって 村の人たちへ牙を剥いていて… その村が雇っていた魔法使いも逃げ出してしまったって …私はもちろん ウィザードさまに付いて行っただけで その背に隠れていただけなんですけど とっても… 怖かったです」
ラミリツが思う
(動物たちの群れ か… 確かに アウターの異常魔力に精神を蝕まれている状態だと 厄介な相手だ 正確な数が分からないから判断は難しいけど それでも ”数え切れないほど”…って言う位なら 実際 僕が立ち向かうとしたら?…うーん やっぱり 1人では…)
マリアが言う
「でもその… 怖いと言うのは それは… えっと… 私はそれまでに ウィザードさまの灯魔作業を見てましたから だから 正直な所 負ける …と言う事への不安は無かったんです …だから そうではなくて 私が怖かったのは やっぱり その… 光景が…」
ラミリツが気付いて思う
(そうか …分かった マリアさんの気持ちが)
ラミリツの脳裏に 過去女帝陛下のパレードで逃げ出した事が思い出される マリアが言う
「ラミリツさんの言う 最前線って つまり あのような光景の場所だと思うんです だとしたら 私にはとても… 例え ウィザードさまが一緒でも…」
ラミリツが言う
「それは 私も 同じです」
マリアが驚いてラミリツを見る ラミリツが言う
「私は… いえ、僕は 本当は凄く臆病なんです」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが苦笑して言う
「なので きっと マリアさんが 今 教えてくれたような その場所へ ”たった1人”で… もしくは マリアさんのウィザードさまと同じ様に マリアさんが一緒だったとしても きっと 僕はマリアさんと一緒に その場から 逃げ出してしまうと思います」
マリアが呆気に取られて言う
「え?えっと…?でも…?」
ラミリツが言う
「けど 今の僕は 1人や2人ではなくて ART2の隊員たちは勿論ですが ARTには他にも機動部隊があったり それ以外の仲間もいっぱい居ます それに 戦場へ向かう時には 事前に有効な指示や情報を 受け取ったりとか… そう!つまり 同じ目的を持った 仲間が居る …そして 直接一緒に戦う仲間ではなくても 応援をしてくれる人々とか そう言った 沢山の人が居るから …だから 僕は戦えます」
マリアが呆気に取られて言う
「…仲間 …人々」
ラミリツが言う
「それに 僕は思いますけど それらを 本当に必要としない人間と言うのは …居ないのではないのかなって?だって… そうであるから 僕ら人は村や町、国を作って 皆で生きているのでしょう?」
マリアが呆気に取られた状態から 微笑して言う
「そうですね?私も… そう思います!」
ラミリツが微笑する マリアが言う
「やっぱり …同じですね?」
ラミリツが言う
「はい やっぱり 僕らは同じ人間です」
マリアとラミリツが微笑する Mラミリツが滑走して行く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
アースが言う
「言って置くが もし 万が一にも 私の仲間である このARTの者たちへ 少しでも危害を与えるようであれば…」
アースがエレキギターを縦に構え弦を一本弾き下げる エレキギター特有の音に ヴィンが身を震わせてから言う
「くぅ…っ まさか この私自信が この苦しみを味わう日が来ようとは 想像もしていなかったのだが…っ」
リックが両耳をふさいで表情を顰めた状態から言う
「…ああっ まったく あのクソ女が居なくなって もう二度と こんな目に会う事はねえと思って 来てみりゃぁ…」
アースが疑問して言う
「それは…?」
アースが弦を一本弾いてから言う
「どういう意味だ?」
ヴィンとリックが苦しんでいて リックが怒って叫ぶ
「いちいち 音を立てやがるんじゃねぇえっ!この ド下手クソ野郎があっ!」
アースが衝撃を受け怒って言う
「何いっ!?この私の最高のソウルを もう一度 その身に味わいたいと言うのならっ!」
アースがエレキギターを構える リックが怒って言う
「言ってねぇえだろっ!?この下手クソ野郎お!」
部屋のドアが開き グレイゼスが入室しながら言う
「返答を得られない為 失礼しま… えー… あの… ハブロス司令官?このART本部内で 割と リスキーな事を していらっしゃる様ですが?」
アースがハッとして言う
「…あ、ああっ そうだったな …ここで音を立てる事は 私への被害も考慮する必要があるのだった」
グレイゼスが言う
「それで?自分への呼び出しのコールは?それに… こちらの 方々は…?その~… ハブロス司令官の ”そちら”のご趣味を知らせても 不都合の無いお方々で?」
アースが言う
「出来る事なら 私も このART本部内で こちらの力を… と言うより ”こちらの武器”を手にしたくはなかったのだが 相手がその武器か もしくは ”銀”を用いなければ倒せない 相手となれば 手にする他に無いだろう?」
グレイゼスが気付いて言う
「その武器か 銀を?…”銀”?それではっ!?もしやっ!?」
リックとヴィンがグレイゼスを見る グレイゼスが2人を見て驚く
【 ART2 】
レイが言う
「そうか!それじゃ…」
レイが顔を向ける レイの視線の先 Mラミリツの前にラミリツが居る レイが微笑して言う
「ラミリツ!今日は 俺の代わりに マリアの移動を手伝ってくれて ありがとな!」
マリアが驚く ラミリツが微笑して言う
「どう致しまして」
ラミリツが思う
(周囲モニタリングに反応はなかったと言う事は 直接 それを見られていた訳じゃない …って事だと思うけど)
レイがマリアへ向いて言う
「よし それじゃ 帰るぞ?マリア?」
ラミリツが思う
(何しろ 相手は 神様 …もしくは 天使様だもんね?そんな人が相手じゃ 何所で見られていたかなんて 分かる筈が無い 増して この神様は あのウィザードの上を行くアーク そして)
マリアが言う
「は、はい …あ、それでは ラミリツさん!」
ラミリツが思う
(その神様にお仕えする 奉者様…)
ラミリツが微笑して言う
「はい また お会いしましょう マリアさん」
ラミリツが思う
(この国の力 ウィザードたちを仲間にするのなら きっと この2人の協力が必要なのだろうから また 何らかの理由を付けてでも 会う機会を作らないと)
マリアが呆気に取られて言う
「…”また”?…あっ!」
レイとマリアが風に消える ラミリツがレイとマリアの消えた場所を見て 一瞬呆気に取られてから軽く息を吐いて言う
「さて… その方法は…?」
ラミリツが表情を困らせて思う
(何か良い手はあるかなぁ…?もう これ以上の手なんて… もう…?あぁ~っ もう!)
ラミリツが息を吐いて言う
「はぁ… 何だか アールスローンに 帰りたくなって来ちゃったや…」
ラミリツが思う
(皆の所に… ねぇ エルム?やっぱり 僕は 外交を司る 政府の攻長より 戦いを行う 国防軍の攻長… 悪魔の兵士の方が 合ってたのかなぁ?)
ラミリツがM82を取り出し見詰めた後苦笑して立ち去る
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがモニターを見ていて驚いて言う
「そんな所に…っ?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… 気付けなかったかな マスター?このマシーナリーのAIは 機動回路その物なのだよ 従って…」
ヴィンがコンソールを操作している グレイゼスが真剣に見入っている その2人の姿をアースが見ていて リックが欠伸をして言う
「ふあ…っ やっぱ 詰まんねぇな?こんな所に居たんじゃ それこそ この俺様まで 機械人形にされちまいそうだ」
リックが立ち上がる アースがリックを見て言う
「何所へ行くつもりだ?」
アースがエレキギターを構える リックが反応してから苦笑して言う
「随分と信用がねぇなぁ?俺らは”仲間” …だろぉ?司令官?」
アースが言う
「目的を同じくする仲間ではあるが 現状では それ以外に置いて 私は貴方を信用する事は出来ない」
リックが言う
「…あのなぁ?耐え症のねぇ餓鬼じゃねぇんだよ?そこらの人間に片っ端から吸い付くとでも思ってやがるのかぁ?」
アースが言う
「そちらを行わないと言う保証があるとは 言い切られないだろう?必要と在れば手段を選ばない …そちらは 私も同じだ」
リックが笑んで言う
「へぇ?ますます気に入ったぜ… てめぇは何時か必ず 吸い尽くしてやる 俺様の居ねぇ所では 絶対にくたばるんじゃねぇぞ?」
リックがアースの横を過ぎようとする アースが言う
「私は貴方を信用しないと言っているが?」
リックが言う
「てめぇは 俺の獲物だって言っただろ?ヴァンパイアはよぉ てめぇの獲物は 守ってやるもんなんだよ?じゃねぇと 吸い尽くせねぇだろ?…だから 心配すんな てめぇの機嫌を損なわせるような事はしてやらねぇよ 約束してやる」
アースが沈黙して考える リックが言う
「ここまで言やぁ 分かるだろ?餌になる人間は てめぇの仲間以外にも 巨万と居やがるんだ その上で この俺様がぁ?そんな不利益を わざわざ選ぶと思うのか?」
アースが言う
「…意外ではあったが どうやら 貴方にも それなりの知性が有った様だ」
リックが衝撃を受けて言う
「この野郎ぉ…っ 今すぐに 吸い尽くしてやろうかっ!?」
アースが笑んで言う
「フッ 今 そちらをしては?貴方が被る不利益が多いと思うが?」
リックが表情を顰めて言う
「あぁ~っ いちいちムカ付く野郎だなっ!やっぱ てめぇは あの”ハブロ”だぜっ!」
アースが疑問して言う
「ハブロ?」
リックがアースが背にしているドアへ向かおうとして言う
「退けっ 何か暇潰しになるようなものでもねぇか 見て来てやる」
アースが言う
「…ふんっ まぁ良いだろう 貴方の暇つぶしと言うのなら 恐らく 第二訓練所辺りだ 貴方が身体補佐能力のヴァンパイアであるのなら もしや?生身であっても あの マシーナリーを相手に出来るのか?」
リックが言う
「はんっ!あんな弱くせぇ 機械人形の相手なんざしても 何も面白くもねぇよ んな事なら 俺は…」
ヴィンが言う
「リック?そうは言おうとも このARTのマシーナリーは フルオートではなく 人間が乗り込んでの操作がなされているモノ… ともすれば 一時の君の暇潰しの相手くらいには なるのではないか?…と推察されるが?」
リックが反応してからニヤリと笑んで言う
「…へぇ?そうか そうと言う事なら… おい?ハブロ その”第二訓練所”ってぇのは 何所だ?」
アースが言う
「私は”ハブロ”ではなく”ハブロス”だが …行くと言うのなら」
アースがドアへ向く
【 ART 第二訓練所 】
Mユラが訓練用セイバーを振るう Mハイケルが回避して短銃を放つと 蛍光弾がMユラにヒットする Mユラが構わず向かって来る ハイケルの意識が思う
(訓練用の蛍光弾を 避けない事は今更だが…)
Mユラが訓練用セイバーを振るう Mハイケルが回避する ハイケルの意識が思う
(明らかにセイバーの振りが遅くなっている …流石に 限界か)
MユラとMハイケルが間合いを取る ユラが息を切らしながら言う
「はぁ… はぁ… ク、クソ…ッ まだ…っ」
Mハイケルが脱力して膝を着く ユラが呆気に取られる モニターにハイケルが映って言う
『この勝負は持ち越しだ 続きは また明日にでも』
ユラが一瞬呆気に取られた後 怒って言う
「な…っ?何を言うっ!勝負はまだ付いていないっ マシーナリーを起動させろっ!」
モニターのハイケルが言う
『まもなく 終業時間の17時になる ARTの軍規定においても 平常時の終業時間を守る事とされている このまま続けていては ハブロス司令官に …殴られるぞ?』
ユラが衝撃を受ける モニターのハイケルが視線を逸らして言う
『そして恐らく 貴方の分は私が代わりに… となると 2発… あの程度の打撃力であるなら 死にはしないが 出来る事なら 私も殴られたくは無い』
ユラが言う
「ARTの軍規定か… そもそも私自身はARTの隊員なのかは分からんのだが 指導役と言う事は やはり そうと言う事になるのか…?何にしろ ARTの定めと言う事は それを定めたのは ハブロス司令官なのだろう …では 仕方がない」
Mユラが脱力する ユラがシートベルトを外しながら言う
「この勝負の続きは 貴様の言う通り また明日に…」
リックが現れて言う
「どうやら ここみてぇだなあ?第二訓練所ってぇのはよお?」
ユラが疑問して言う
「うん?誰だ奴は?」
ハイケルがコックピットを出た場所で驚いて言う
「お前はっ!何故ここに居るっ!?」
リックがハイケルの声に顔を向けると ニヤリと笑む
【 ART2 】
野営場 テント内
ラミリツが椅子に座り 簡易テーブルを前に 紙とペンを前にして考えている
(この国に来て 明日で5日… 作戦は当初の予定から大幅変更になったけど 概ね …良好)
ラミリツが苦笑して言う
「…だよねぇ?」
ラミリツがペンを置き 紙を目の高さまで持って来て眺めながら言う
「作戦開始前の情報として得られていた ”ウィザード”に接触 しかも 相手はこの国で 恐らく一番強いウィザード」
ラミリツが思う
(何しろ この国の神様である ”アーク”と呼ばれるウィザードだ それに…)
ラミリツが言う
「そのウィザード様の 奉者である マリアさんにも接触」
ラミリツが思う
(こっちも この国で一番の奉者様 …って 言って良いんだよね?何しろ ”神様の奉者様”なんだから?)
ラミリツが頷いて言う
「…うん!」
ラミリツがペンを取って思う
(これで 既存情報にあった ”ウィザードと奉者”には接触した 仲間に引き入れる為の 作戦として… 現状の友好関係も問題なし 後は…)
ラミリツが紙に書かれた文字を見て言う
「この国の 内閣 と呼ばれる組織が結成されたら その組織の有権者と接触 この国との友好を… …けど、これって?」
ラミリツが思う
(これって 本当に必要な事?…だって 欲しいのは ウィザードたちの協力なんだから そのウィザードと先に仲良くなったんなら…)
ラミリツが考えて言う
「うーん…?これって… 要らなくない?」
ラミリツが紙とペンを置いて溜息を吐いて言う
「はぁ~… 大体 組織の人との そう言う事ってさぁ?本当に僕の役目なのかなぁ?」
ラミリツが立て掛けられている剣を見て言う
「そりゃ…」
ラミリツが立ち上がり 剣の下へ行って思う
(攻長は政府の代表 外交はその政府の仕事なんだから 外国の要人との対話は政府の役目 …つまり 政府長攻長である 僕の役目)
ラミリツが不満そうに言う
「…そっか …じゃぁ やっぱ 僕の役目…」
ラミリツが椅子に座り直して思う
(…なんだよね?元々攻長と防長は アールスローンの政府と国防軍の象徴で 国防軍がアールスローンの守りを 政府がアールスローン国内を治める事とされていて…)
ラミリツが気付いて言う
「…あれ?」
ラミリツが体勢を変え 考えながら思う
(そうだよ?元々アールスローンの政府と国防軍は そういう事になっているのに 何で…?)
ラミリツが言う
「何で 僕がアールスローンの”国外”に居るんだっけ?…えっと?」
ラミリツが再び剣を見て思う
(剣… 攻長は 陛下の剣 アールスローン信書に置かれる 親兵攻長 …親兵攻長は アールスローンの王女を守る為に戦う騎士で 王女を守る為に帝国と戦って …戦って 帝国に勝った …け?…あれ?)
ラミリツが考えながら言う
「いや、違うや?確か…」
ラミリツが思う
(もう一人居た… 親兵攻長と一緒に戦った 仲間になった奴が… 誰だっけ?えっと…?)
ラミリツが気付いて言う
「あ!そうだ!敵国の!」
ラミリツが思う
(敵国の兵士!つまり帝国の兵士!そいつが 親兵攻長の味方になって それで そいつが…!?そいつが…っ アールスローン国と帝国との外交を担ったんだよ!そう 外交を… 外交?あれ?だから外交長?…って事はっ!?)
ラミリツが気付き衝撃を受けると言う
「あぁあっ!?やっぱ これって!?僕の仕事じゃ ないんじゃないっ!?」
【 ART 第二医療室 】
フレイゼスが言う
「ART2の作戦が開始されて 明日で早5日… ラミリツ殿は… 今頃 どうされているのでしょうね?怪我などは無いと思いますが 風邪などは 引いていたりはしないでしょうか?最も…」
フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿ほど 重症ではあられないと思いますが」
フレイゼスの前 シェイムがベッドでうなされていて言う
「う… うぅ だから も、もう… 私は 限界だと…っ うぅっ や、止めて下さいっ もう立たせないで下さい シュレイゼスっ これ以上はっ 私は…っ 私は もう 戦いたくない~!…うぅうーっ」
フレイゼスが苦笑して言う
「お気持ちは良く分かります シェイム殿…」
フレイゼスがシェイムの額に濡れタオルを置く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがタイピングを行っていて モニターにプログラムが表示されて行く ヴィンが眺めていて気付くと言う
「…いや?そちらのコマンドは後回しとして 今は直結回路を優先し給え」
グレイゼスが言う
「え?しかし こちらのコマンドを設定しなければ 折角の結合も 唯マシーナリーと操縦者の感覚を結合するだけで マシーナリー自体を動かす起動回路が働かないですが?」
ヴィンが微笑して言う
「クックック…っ いや、失礼 ともすれば 現状のそちらの思考こそ ナノマシーン・グレイゼスの不要な干渉かな?だとすれば 諸君は何の為に人と共に在るのだろうか?」
グレイゼスが呆気に取られてヴィンを見る ヴィンが言う
「グレイゼス 思考を宿主へ戻し給え そして マシーナリーもそれに同じく 操縦者との直結回路とは 即ち 人とマシーナリーとの繋がり …マシーナリーは そもそも己の力で動く事が可能であるのだから そちらに必要なものとは何だろうか?」
グレイゼスがハッとして言う
「…なるほどっ!?つまり この作動コマンド自体が 障害にっ!?それなら むしろ 直結回路よりも それ以前の 感覚感知システムの受信精度をより高める事が出来ればっ ハイケルだけじゃない 他のARTの隊員たちが使うマシーナリーを ナノマシーンの融合に近付ける事さえ可能に!?」
ヴィンが微笑して言う
「エクセレント …君は 実に優秀な研究者だ それこそナノマシーンなどが無くとも 君の優秀さは 人間の中に置いて最高峰と言えるだろう」
グレイゼスが呆気に取られた後 微笑して言う
「有難う御座います… 自分は その人間の最高峰たちの先輩である 貴方を本当に尊敬しますよ ヴィーンリッヒ先生」
ヴィンが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「君程の者に そうと言って貰えるとは 光栄だな?」
グレイゼスが微笑する 2人の様子を見ていたアースが考えながら思う
(ART1の作戦は完了 そして評価は 紛う事無くSランクの成功 現状の彼らを見ても これは最高峰の成功と言えるだろう …となれば 残るはART2…)
アースが視線を変えて考えて思う
(ART1に比べると 作戦自体の危険性は低いが 逆に言えば それ故に 作戦の遂行と共に そちらの成功もまた難しい …従って まずは敵意を示す事の無いあちらへ対し こちらも平和的に協力を要請する事を前提に ART2の彼らを向かわせたが…)
【 帝国 】
城の屋上
皇帝が目を閉じて意識を向けていた状態から目を開くと苦笑してから 屋内へ入って行く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがタイピングをしている ヴィンが付き添っている アースが2人を見ながら考えて思う
(現状のART2とは 連絡を取る事は出来ない… それでも 万が一 あちらの国で動きがあるとすれば きっと また ”あちらの神”が 皇帝へ 再び連絡を寄越すだろう …あの天使ならばきっと)
アースの脳裏にレイの姿が過ぎる アースが軽く息を吐いて思う
(だが ART2を向かわせて 明日で5日… あの天使は 我々へ協力するつもりは なかったと言う事か?…あちらにその気があったのなら ART2への接触や相応の行動を行うには十分な時間は有った筈 あちらが動かないとなれば こちらから第二作戦を展開させるべではあるが… … …そうだな?)
アースが視線をグレイゼスたちへ戻しながら思う
(こちらに問題はない そうとなれば 今は ART2への支援を急がせるべき… …っ!?)
ヴィンがグレイゼスに顔を近付けて言う
「的確な判断と共に その指先から導き出される 正確なコマンドの数々… 研究者としても 人としても 君は実に魅力的だ…」
グレイゼスが衝撃を受け 苦笑して言う
「えっ?えっと… お、お褒めに預かりまして?…こ、光栄ですが…?ちょ、ちょっと その~… 近い 様なのですが…?」
ヴィンが微笑して言う
「…フフフッ ともすれば?その”心地良いタイプ音”を奏でる この指先にまで流れる血液は 一体 どれ程の美酒であろうかと…」
ヴィンがグレイゼスの後ろからグレイゼスの手に指を這わせ グレイゼスの左頬に片手を当てると 首筋を見ながら顔を近付ける グレイゼスが息を飲み ヴィンへ視線を向けるのと同時に 後方からエレキギターの甲高い音が響く ヴィンが衝撃を受けて言う
「うっ… ぐうぅう~…っ!」
ヴィンが表情を苦しめ頭を抑える グレイゼスが苦笑する アースが怒りに燃えながら言う
「”心地良い音”が欲しいと お望みとあらば?アールスローン最高峰のギターリストと言われた この私が 一曲 お届けをするが?」
ヴィンが苦笑して言う
「い、いや そちらは… 折角のお誘いではあるのだが …どうやら こちらの音楽は 私の身には合わない様なのでね?」
アースが言う
「ほう?そうか そちらは残念だったが しかし 必要と有れば 遠慮なくリクエストしてくれ?」
ヴィンが苦笑して言う
「そちらのリクエストは 少なくとも 私がヴァンパイアである間は 遠慮したい所ではあるのだが …そもそも」
ヴィンがグレイゼスの首筋で軽く臭いを嗅いでから苦笑して言う
「あぁ… やはり 想像以上に ナノマシーンと言う物は 多くの粒子を血中に置いている これ程とあっては とても ヴァンパイアたちの吸血血液としては相応しくない …と、そちらの理由からしても 彼らナノマシーンを身に持つマスターと呼ばれる者は 少なくとも 我々ヴァンパイアの吸血対象となる事は無いと保証しよう …これで ご安心を頂けたかな?司令官殿?」
アースが言う
「ほう?なるほど?そうと言うのであれば?」
ヴィンが微笑して言う
「お分かり頂けたのなら 結構 流石に一組織のトップともあろう者が このような場所で時間を持て余すのは 如何なものかと 思わざるを得なくてね?もちろん もっと早くにお伝えしても良かったのだが…?」
アースが言う
「如何に理由が明確であろうとも 時を見誤っては 有力な説得もその効力を失う 貴方の言う通り ここまでの時を見図るのは必要な事であった」
ヴィンが微笑して言う
「では ”これまでの時”と ”今しがたの説明”にて ご納得を頂けただろうか?」
アースが言う
「もちろん」
ヴィンが微笑する アースが続けて言う
「私もまた その時を使って貴方を監視していた」
ヴィンが一瞬疑問してから苦笑して言う
「ふむ?つまり 同じ事をしていたとでも?」
アースが言う
「ああ、同じ事だ 私も 同じく その時を見図っていたのは… 貴方は最初から とても 怪しかった」
ヴィンが疑問して言う
「怪しい とは?それは… ふふっ ヴァンパイアとしての素行が と言う事かな?貴方の予想の中では いつか私が マスターグレイゼスの血液を頂こうと 動くだろうと?しかし そちらは言った様に」
アースが言う
「私の仲間は このARTの者が全てだ つまり マスターグレイゼス中佐だけではない そうでありながらも 私は 第二訓練所へ向かった彼よりも 貴方を監視するべきだと思いここへ留まった そして そもそも 私は 貴方ほど優秀な者であるなら 端から このARTの者を吸血目的で襲う事は無いと思っていたのだが しかし それらの理由がどうであろうと 関係なく 貴方は怪し過ぎた」
グレイゼスとヴィンが反応し グレイゼスが苦笑する ヴィンが言う
「それはつまり…?」
アースが怒って言う
「そう!つまり 言ってしまえば 怪しいのは ”貴方の性癖が”だっ!良いかっ!?このARTの者へは 吸血はもちろんっ ”貴方の趣味”で 被害を被らせたりなどしたら!その貴方の為だけに 私が全力で ナックキラーの全曲を 披露してやるからな!デスメタのギターを舐めるなよっ!?」
ヴィンが衝撃を受けた後 苦笑して言う
「…なるほど それで今までアレほどの強い視線を… そして言葉の意味の程は分かりかねるのだが ”ナックキラー”に”デスメタ”…?前者には”殺し” 後者には”死”と… どちらに置いても不穏な言葉か隠された それらの言葉の意味する事から 私への相応の”殺意”を感じられる… 流石は”一国の支配者”と言った所だろうか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はは… ”一国の支配者” …ね まぁ 相応に”心強く”は在りますが…」
【 ART2 】
ラミリツが記入をしながらふと気付き表情を困らせて思う
(作戦の必要分の進行を確認してからは 僕自身もある程度警戒を解いて マリアさんと個人的な話なんかをした… …それは 就業時間内ではあったけど 本当に 個人的な話もあって …出来る事なら そう言った事は 報告書には書きたくない …書かない事が 正義だと思う)
ラミリツが息を吐いて言う
「うーん… けどなぁ…?」
ラミリツが報告書へ向き直って思う
(唯ですら ここがアールスローンの国外だって事もあるし 何しろ あのウィザードたちの事を記すには 相応の根拠にもなる マリアさんとの会話内容を記す事は どうしても必要になってしまう)
ラミリツが表情を困らせて言う
「2人で ”秘密”にって 言ったのに…」
ラミリツがペンを持つ手を見詰めて良心の葛藤に表情を苦しめてから 一つ息を吐いて言う
「はぁ… やっぱ駄目だ… 書けないよ」
ラミリツが思う
(けど それじゃ 僕らがこっちに来た理由も分からなくなっちゃうし …任務報告書の作成は 一部隊を預かる隊長の責務 それに 長期任務の際は 後の不慮の事故なども考慮して その日の分はその日の内に書き上げる事 …だから やっぱ書かなきゃだよね?…父上に教わった事なんだから)
ラミリツがデスクへ向き直り ペンを持ってから間を置いてふと視線を上げると 視線の先 デスクの上にM82が置かれている ラミリツが苦笑して言う
「…エルムだったら どう書くの?やっぱ 全部書いちゃう?彼女の生い立ちから 亡くなった お父上の事… 再婚したって言う お母上の事… それに 恋人との出会い 神様の事まで… …そうだよね?エルムは感情を制限されているから そう言う事を 書く時だって…」
ラミリツがハッと思い出す
ラミリツが呆気に取られて言う
『はぁ?何コレ?これが任務報告書ぉ!?』
エルムが言う
『そうだな』
ラミリツが呆れて言う
『あのさぁ?エルム?任務報告書って言うのは それを読んだ人が 作戦の内容や 実際にはどうだったのか 結果として成功したのか そういう事を分かる様に書かなきゃ いけないものなんだよ?』
エルムが言う
『そうだな』
ラミリツが衝撃を受けて言う
『分かってるんならさぁ?これじゃ 駄目じゃない!?こんな時間と単語と その単語の説明が書かれているだけの報告書なんて 僕 今まで見た事も無いよ!?こんな内容の無い報告書じゃ それこそ内容がサッパリ分からないよ!?』
エルムが言う
『そうか なら良いんだ』
ラミリツが呆気に取られて言う
『はぁあ!?なら良いって…?』
エルムが入力作業を終えて言う
『任務完了』
ラミリツが呆れて顔を左右に振って言う
『完了…?これで?はぁ… ほんと 変な奴だね?エルムって?』
エルムが言う
『悪かったな』
ラミリツが呆気に取られた状態から微笑して言う
「そっか… そう言う事 …分かったよ エルム!」
ラミリツが微笑してから 今まで書いた紙を破り捨て 新たに書き始める
【 ART 第二医療室 】
アースが言う
「一応 明日の午後には こちらからも連絡を入れるが 当初の予定通り 明日の15時に」
フレイゼスが言う
「はい 明日の15時に 政府警察航空局マルック基地へは 既に手配を済ませておりますので もう一度 政府外交長である私が向かい 恐らく 再結成がなされているでありましょう あちらのお国の内閣と言う組織の方々へ 政治的外交を執り行って参ります」
アースが言う
「連絡は取られてはいないが 現状 あちらからの連絡が無いと言う事 それ事態から ART2は良くも悪くも あちらの国へそれほど大きな影響を もたらしては居ないものと推察される そうとなれば… 明日向かう 貴方の力こそが あちらの国のウィザードたちを 我々の仲間に出来るかと言う 次なる作戦 今作戦に置かれる最終手段となる訳だが」
フレイゼスが微笑して言う
「ハブロス司令官の そちらのご期待に添えられますよう 精一杯行わせて頂きますので どうか 朗報を ご期待下…」
アースが溜息を吐いて言う
「まぁ そのウィザードらの力が得られずとも 既に ヴァンパイアたちの力が手に入ったのだからな?これで 最悪 何とかなるだろうが…」
フレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「あの… そう言ったお言葉はせめて 心中のみに収めて頂けたらと…?政府の外交長として また …1人の人として ART司令官の貴方様へ お頼みしたいのですが?」
アースが鼻で笑うと背を向けて言う
「ふんっ では 精々励んでくれ …元メルフェス・ラドム・カルメス外交長殿」
フレイゼスが呆気に取られてから苦笑して言う
「…私に もう一度チャンスを下さると…?」
アースが背を向けたまま苦笑する フレイゼスが微笑して言う
「有難う御座います アース・メイヴン・ハブロス元総司令官」
アース微笑してから歩みを始めようとする フレイゼスが苦笑して言う
「…それはそうと ずっと気になっていたのですが 現ARTの司令官様ともあろうお方が 随分と大きなお荷物を背負っておられますが そちらは…?」
アースが衝撃を受ける アースの背にはエレキギターを包んだ荷物がある アースが言う
「き、気にするな…っ ARTの… さ、最新兵器 …だっ」
フレイゼスが苦笑して言う
「それはまた… それ程の物を 非戦闘員の司令官様が?ご自身でお持ちになられるとは?個人的に 実に 気になる所なのですが… では 折角です もし宜しければ あちらのお国へ向かい 貴方様の事を説明するであろう その私に 是非 一目!」
アースが怒って言う
「その貴方にだけは 何があっても 見せられないなっ!」
【 ART2 】
ラミリツがペンを置いて言う
「任務完了!」
ラミリツが微笑して言う
「…って言っても 完了したのは今日の分だけだけどね?けど… ありがとう エルム お陰で上手く書けたよ」
ラミリツがM82へ微笑を向けてから 書類を片付けつつ言う
「うーん でも…」
ラミリツが思う
(明日からは 本当にどうしよう?この国の手が行き届いていない 小さな村5箇所と 建設中の灯魔台5台 これで警備箇所は10箇所丁度 部隊は3勤交代制にしているから 実質これで余剰は無くなった そうとなったら 警備箇所を増やす事はもちろん これ以上の手段を講じる事も 出来なくなってしまった訳だし)
ラミリツが表情を困らせて言う
「…あれ?これって… もしかして… 詰んじゃった?それじゃぁ…」
ラミリツの脳裏で エルムが無表情に言う
『作戦失敗…か?』
ラミリツが苦笑して言う
「かなぁ…?はは… けど、だとしたら…?」
ラミリツが服の内ポケットから 封のされた黒い紙を取り出して言う
「任務遂行障害時に置かれる 特別命令 …ラストオーダー」
ラミリツが思い出す
アースが言う
『そちらが 今作戦におかれる資料と あちらの国の通貨だそうだ 政府外交長 フレイゼス殿からの支給品だ』
ラミリツが通貨を見てから言う
『へぇ… これが あっちの国の通貨なんだ?ふ~ん?これ1枚は… いくら位なんだろう?』
アースが言う
『資料を見れば分かるだろう?作戦開始は明日の早朝だが 一通り目を通し 頭に入れて置くようにしろよ?』
ラミリツが分厚い資料を前に表情を顰めて言う
『それを言うならさ?せめて 1日位 作戦準備期間が欲しかったよね?』
アースが言う
『どうしても読み切られないのなら そちらを作成した本人から最も重要な箇所だけでも 聞いて置けば良いだろう …それから』
ラミリツが言う
『あ、そっか?そうだよね!じゃ そーしよー!』
アースが軽く息を吐いて言う
『明日は仕方が無いとしても 移動の間にでも 全て読みきれよ?』
ラミリツが衝撃を受けて言う
『う…っ やっぱ 読まなきゃ駄目?』
アースがラストオーダーを取り出しながら言う
『読まなくとも 任務を成功させられると言うのなら構わないが?…それから こちらを渡しておく』
ラミリツが受け取り疑問して言う
『え?何これ?手紙?にしては… 真っ黒だし?封筒にも入っていないなんて?』
ラミリツがラストオーダーを見回す アースが言う
『そちらは 読むなよ?』
ラミリツが衝撃を受けてから言う
『なら つまり 誰かに宛てた手紙なんでしょ?だったら そうと言ってくれれば良いのに …で 誰に?』
アースが言う
『手紙とも言えるが それは ART2の隊長である お前宛の ”ラストオーダー”だ』
ラミリツが言う
『え?それって…?どう言う事?大体それなら そのART2の隊長である僕は 読んで良いって事だよね?”ラストオーダー”って事は 最終命令って事?』
アースが言う
『元々は 現代の様な通信手段が発達する以前に使われていたものだ そして その頃と同様に 今回 お前たちの向かうその場所は このアールスローンからの通信がまったく繋がらない場所だ その場所において 任務を行うとなれば 不測の事態にて 任務遂行は勿論 部隊の存亡に瀕するという可能性も 払拭出来ない』
ラミリツが呆気に取られる アースが言う
『その様な事態に置かれた際に 開封をし 部隊指揮を考案する その為の物だ 従って 通常時はもちろん お前の判断で部隊指揮を取られる状態にある間は 開封をするな』
ラミリツが呆気に取られた状態から 改めてラストオーダーを見て言う
『…そっか 今回は 本当に… 僕だけの判断で ART2の皆の命を預かるんだね?今までだって 僕は隊長だったけど…』
アースが言う
『その今までは勿論 今回も 今後に置いても ART2へ募った彼らは お前を隊長として いつ如何なる時も お前の指揮に従うだろう その重責を受け止めろ』
ラミリツが言う
『…分かった』
アースが微笑して言う
『資料を読む気になっただろう?』
ラミリツが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
『うん そうだね …けど 相変わらず意地悪なんだからさ?もしかして これも その為に?』
アースが言う
『まぁな?そもそもART2が向かうそちらの国とは 既に 通貨の交換がなされるほどの仲だ そこへ向かうART2には それ程の危険などは無いだろう?』
ラミリツが息を吐いて言う
『何だ… それなら?…もうっ いつもそうやって 僕をいじめるんだよね!?ハブロス司令官ってさ!?』
アースが言う
『司令官だからな?』
ラミリツが微笑して言う
『だから それ 理由になってないったらっ』
ラミリツが苦笑して言う
「うん、これはやっぱ まだ 開けちゃ駄目だよね?どうしたら良いかは分からないけど… 今はまだ」
ラミリツが思う
(僕は ART2の隊長なんだから その重責を受け止めて 自分の力で出来る所までは 頑張らないとっ!)
ラミリツがラストオーダーを見て微笑する
【 ART第二訓練所 】
研究員1が言う
『ART2 15号機 神経ダメージ65%を突破!66!67!68…っ!』
リックがMユラの足を持って振り回しながら言う
「おらおらおらー!どうした!?まだ 遊び足りねぇえぞ!デカ物野郎ー!」
ユラが遠心力に表情を顰めながら言う
「ぐぅう…っ!ま、まだ まだ…っ 俺は…っ!」
研究員1が言う
『69!70%を突破!危険領域入ります!』
研究長が言う
『ユラ様!降参をなさって下さいっ これ以上は マシーナリー操縦者へのダメージが 危険領域へ入ります!』
ユラが言う
「まだだっ!まだ 俺は 負けては居ないっ!」
リックが笑んで言う
「よっしゃぁあ そうとならぁあ もう一丁食らえやぁああー!」
リックがMユラを壁へ投げ付ける Mユラが壁へ向かって行く
監修塔
研究員1が言う
「ART2 15号機!神経ダメージ76%!所長っ!!」
研究長が叫ぶ
「ART2 15号機!神経接合 強制解除っ!」
研究員1が叫ぶ
「了解っ!」
研究員1がエンターキーを押す Mユラが壁に激突する 研究員2が言う
「ART2 15号機!物理ダメージ89%損傷ランクDランク 戦闘不能!」
研究長が言う
「操縦者の生命反応はっ!?」
研究員3が言う
「ART2 15号機 パイロット 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!」
研究長がホッと胸を撫で下ろして言う
「ふぅ… 間に合ったか それに ユラ様ご自身が 失神されたという事は これでやっと…」
研究長がモニターを見る
訓練所
Mユラが脱力する ユラがコックピット内で目を回して言う
「ま… まだ… まだ 負けては~…」
ユラが失神する リックがニヤリと笑んで視線を向けて言う
「はっ!待たせたなぁ?次は てめぇの番だぜえ?」
Mハイケルが構え 意識のハイケルが視線を強めて言う
「望む所だっ!来いっ!」
リックがニヤリと笑むと吸血衝動を現して Mハイケルへ襲い掛かる Mハイケルが短銃を撃ちながら回避と攻撃を繰り返す
訓練所の入り口
アースが言う
「…多少の被害は やむなしとは思っていたが」
アースの前に大量のマシーナリーの残骸が散乱している Mハイケルが言う
「今度こそ 貴様を倒すっ!」
リックが楽しそうに言う
「はーはっはー!面白れえ!やれるものなら やってみやがれやあー!」
監修塔
研究長がハッと気付いて言う
「ハ、ハブロス司令官!」
研究員たちが顔を上げ 遮へいガラスの先を見る
訓練所
リックが楽しんで叫ぶ
「おらおら!遅ぇえっつってんだろ!何処撃ってやがる!?」
リックがMハイケルを翻弄した後 ジャンプして正面へ現れると共にトンファーでMハイケルを殴り付ける Mハイケルが殴り飛ばされ 意識のハイケルが苦しみながら言う
「くぅ…っ!」
研究員1の声が響く
『ART2 30号機!神経ダメージ35%!』
研究員2の声が響く
『ART2 30号機!物理ダメージ55%!』
意識のハイケルが顔を上げ言う
「残り20%かっ …ハッ!?」
Mハイケルが顔を上げた先 リックがトンファーを振りかぶって言う
「なら とっとと くたばりやがれえー!」
Mハイケルが瞬時に短銃を向けて放つが リックが放たれた弾丸をトンファーで弾き返すと 意識のハイケルが驚いて言う
「なっ!?マシーナリーの弾丸を 弾き返しただと!?」
監修塔
研究長がハッとして言う
「接合解除!」
研究員1がほぼ同時にエンターキーを押す
訓練所
弾き返された弾丸がMハイケルに被弾する 研究員2が言う
『ART2 30号機!物理ダメージ95% 損傷ランクDランク 戦闘不能!』
Mハイケルが脱力する コックピット内でハイケルが目を覚まし 怒ってコンソールを叩くと言う
「クソッ まさか あのような技が…っ!」
ハイケルが顔を上げる 研究員1の声が聞こえる
『ART2 30号機 パイロット 心音脈拍共に正常値!意識ランクAランク 戦闘可能!』
ハイケルが言う
「よし!」
ハイケルが立ち上がる
アースが入所して来る リックが軽く手を払って言う
「まぁ ざっとこんなモンか… そろそろ …お?」
リックがアースの気配に気付き 振り返ると口角を上げて言う
「おう!てめぇも来たのか ハブロ!どうだ?俺様に掛かれば マシーナリーなんざ…」
リックが意気揚々と周囲を見渡す Mハイケルのコックピットが内側から破壊され ハイケルが現れて言う
「次だ!もう1機マシーナリーを用意しろ!もちろん新型の!」
研究長の声が聞こえる
『ハイケル少佐 申し訳ありませんが こちらの第二格納庫に置かれていた新型マシーナリーは 全て消費してしまいました ですので…』
ハイケルがムッと視線を向けて言う
「それなら 第一格納庫から!ART1のマシーナリーを…!」
リックが笑って言う
「っははー!なんだ まだやろうって言うのかあ?往生際の悪い奴だぜ ”悪魔の兵士”さんはよお?なぁ?ハブロ… …っ!?」
リックが振り返った状態で衝撃を受けて困って言う
「ハ、ハブロ…?何か てめぇ…?」
アースが怒りに燃えリックを見下ろす リックが苦笑して言う
「お、怒ってやがるのか?な、何で…だ?別に… てめぇの気を悪くする様な事は…!?」
アースが言う
「私は このARTの仲間たちへ 危害を与えるなと 言った筈だが?」
リックが慌てて言う
「だ、だからっ 与えてねぇだろ!?ほら!よく見ろ!こいつだって…!」
リックが瞬時にMユラのコックピットから ユラを引っ張り出して言う
「一見くたばって見えるかもしれねえが 外傷はねえ!それに あっちの野郎なんざ ぴんぴんしてんだろっ!?」
リックがハイケルを指差す ハイケルが言う
「次こそは倒すっ!」
リックがアースの前に戻って来て言う
「それから あのガラスの中に居る連中にだって もちろん手は出してねえ!…そうとなれば てめぇが怒る理由なんざ 何も…っ!?」
アースが怒って言う
「ふざけるなっ よくも 我々の仲間となった マシーナリーたちをっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「なにぃっ!?まさか…っ あんな機械どもにまでっ!?」
アースがエレキギターのネックを掴む リックが慌てて言う
「ま、待てっ!早まるんじゃっ!」
アースが怒って言う
「問答無用!彼らの苦しみ その身を持って味わうが良いっ!」
アースがエレキギターの封を解き放って音を立てる リックが悲鳴を上げる
「ぎゃああーー!止めろぉおおーー!」
ハイケルと研究員らが呆気に取られる 研究員1がハッとして言う
『エ、エリックアーベスト氏!神経ダメージ 急上昇75%を突破!!77!79!所長っ!!』
研究長がハッとして慌てて言う
『エリックアーベスト氏の神経結合を…っ!い、いや 彼はマシーナリーへ搭乗していないっ となれば… ハ、ハブロス司令官っ!それ以上は…っ!』
アースが叫ぶ
「いっぺん逝って来いやあっ!ヴァンパイアぁあーっ!」
アースがエレキギターを弾き放つと リックが弾かれて言う
「がはあっ!…」
リックが倒れる 研究員1の声が聞こえる
『エリックアーベスト氏 神経ダメージ92%!パイロ… いえっ 同氏の 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!』
ハイケルが呆気に取られて言う
「た、倒した!?新型マシーナリーが2機掛りで 手も足も出せなかった奴を!?…エ、エレキギターで?」
ハイケルがアースを見て思う
(奴は…っ!)
ハイケルが言う
「本当に”悪魔の司令官”になっていたのかっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースがハイケルへ怒りの視線を向けて言う
「お前も 逝って来いっ」
アースがハイケルへピックを投げ付ける ハイケルの頭にヒットすると ハイケルが被弾したように倒れる 研究員1の声が聞こえる
『ハイケル少佐 神経ダメージ100%!』
グレイゼスとヴィンが現れ ヴィンが言う
「おやおや…」
グレイゼスが苦笑して言う
「あっちゃぁ~… 予想通りと言いますか…」
研究員1の声が聞こえる
『ハイケル少佐 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!』
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官…」
アースが言う
「…本件は全て ARTのトリプルトップシークレットとする …命令だっ!!」
研究員たちが呆気に取られつつ言う
「「りょ、了解… 司令官…」」
アースが立ち去りながら言う
「後の処理は頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが苦笑して言う
「はは… 了解 司令官…」
グレイゼスが改めて所内を見る ユラとリックとハイケルが失神している グレイゼスが苦笑して頭を掻く ヴィンが微笑して言う
「ふむ… これは中々興味深い」
グレイゼスが所内へ入りながら言う
「はいは~い 皆さん?終業時間も迫っていますから 速やかに片付け作業を開始しましょう~?」
研究員たちがハッとして行動を開始する ヴィンがハイケルの近くに落ちているピックを拾って振り返ると ハイケルが搬送されて行く ヴィンが視線を変えるとその先でリックが搬送されて行く ヴィンが微笑してからピックを見る
【 ハブロス家 食堂 】
軍曹が嬉しそうに言う
「と!言う事でありましてぇ!今日は自分の指示の下!初めて警機のマイルズ部隊と 国防軍レギスト機動部隊の合同警備を 行わせて参りましたぁーであります!少佐ぁ!ちなみに 任務内容は マイルズストリートの野外フェスタ警備でありましたが!負傷者等は一切無く!任務達成ランクはSランク!無事イベントの運行を 死守致しましたぁー!であります!少佐ぁ!」
ハイケルが言う
「了解 軍曹… こちらは 神経的負傷者3名 及び 戦闘不能マシーナリー31機 紛う事無く 訓練達成ランクはEランク …国防軍の軍規定に則れば 降格除名処分… 下手をすれば 高額な賠償請求書まで与えられるレベルだった」
軍曹が衝撃を受けて叫ぶ
「なぁあっ!?なんとぉ!?」
アースが食事をしながら言う
「まったく困ったものだ…」
ハイケルが言う
「とは言え 内 神経的負傷者2名の被害は ”悪魔の司令官”こと ハブロス司令官の手によって もたらされたものであった事から そちらによる 訓練達成ランクの補正が成さたれ …よって ギリギリ降格除名処分は免れる 訓練達成ランクDランク まで上昇させる事が叶った」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえっ!?あ、悪魔の… とは?」
アリアが疑問して言う
「”悪魔の司令官”?そちらは… アリアは初めて伺いましたわ?お父様?」
アースが軽く笑って言う
「っはは… ああ、本当に 面白い冗談だな?ハイケル少佐?…もう一発 食らいたいのか?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「い、いや… 次は神経的にではなく 本当に私が一体 逝ってしまう可能性があると… 従って… 司令官殿の 機嫌を損ねない様 気を付ける様にと マスターグレイゼス中佐より 警告を受けた」
アースが食事の手を動かしながら言う
「そうか それでは 文字通り ”命拾い”をしたようだな?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
「そうだな…」
軍曹が疑問して言う
「は、はえ…?」
ハイケルが気を切り替えて言う
「所で 別部隊の事へ口を挟むようだが 他国へ向かったART2へは 何らかの手段を講じているのか?出来ればART1隊長である私にも 教えてもらいたいと思うのだが?悪魔の司令か …がはあっ!?」
ハイケルの口にミニトマトが猛スピードで放り込まれ 椅子ごと後ろへ倒れる 皆が一瞬の出来事に何が起きたのか理解出来ず疑問する アースがミニトマトをフォークに刺して言う
「このトマトは とても良い味だな 甘みと酸味のバランスが 実に私好みだ」
ハイケルがミニトマトを飲み込んでから 口周りにトマトの破片を付けつつ咽て言う
「んっ げほっ げほっ…」
軍曹が慌てて言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
アースが言う
「強いて言うのなら もう少し 弾力が在ると最高なのだが」
レミックが微笑して言う
「それでは 早速 調理長へ伝達して置きましょう 調理長は新鮮な野菜に拘りを持って居りますので 旦那様からお言葉を頂戴したとありませば そちらへの励みともなりましょう」
アースが微笑して言う
「もっとも 初世代の悪魔の兵士殿の口には 合わなかった様だが?」
ハイケルが表情を苦しめ 立ち上がりつつ口を拭い言う
「口に合う合わない以前に 味合う余裕が無かったのだが… それから ”弾力を上げるように”とは命令をするな 今度こそ 私が逝く…」
ユラが疑問して言う
「先ほどから 一体何の話をしているのか…?」
ファーストがユラへ向いて言う
「兄上は ご存知ではあられないのですか?ご一緒に訓練に励んでおられたのですよね?」
ユラが衝撃を受け視線を逸らして言う
「うっ あ、ああ… まぁな…?しかし、俺… いや 私は それ以前に…」
ハイケルが執事に手を貸されつつ席に座り直し 食事に戻る エリーナが無表情に言う
「…流石は欠陥品か」
ハイケルが衝撃を受け視線を逸らす エリーナが無表情に食事を続ける
【 ミルス城 】
リックが玉座に座っていて不満そうに身体をさすり言う
「んぁああっ あのハブロの野郎お!本気でヤりやがったっ クソッ いまだに 体中の神経を振動させられる あの感触が抜けやがらねぇっ」
リックが軽く笑って言う
「ふふふ… ヴァンパイアの王にして この国の神とも言える貴方に それほどの損傷を与えるとは …彼の力は 実に興味深い」
リックが言う
「はっ!興味深けぇなんて言いやがったって どうせ あのハブロだぜ?500年前の野郎と 何も変わらねぇ 声も面もっ!特に!あのずうずうしい態度がよお?てめぇよりも 明らかに上である この俺様にあの態度だっ」
ヴィンが微笑して言う
「しかし、神とは言え そもそも彼はこの国の者ではないのだから その彼が 貴方へ畏まる必要は無いのではないかな?リック?」
リックが言う
「別に 畏まれたぁ 言わねぇよ?あのハブロに んな事された日には 今度は その気持ち悪さに 俺は ぶっ倒される」
ヴィンが言う
「ぶっ倒される …か フフ… そう そのリックだけではなく あの兵士さえ打ち倒した 彼の力は…」
リックが言う
「どうせ あのクソ女の力だろう?それこそ 野郎どもの神 アールスローンの神に愛されやがった女だ 今の奴は あの女とハブロが作りやがった子孫か何か だろうがよ?お陰で クソ女とクソハブロの 両方の力を得やがったんだ …ケッ」
ヴィンが言う
「我々が知る 彼らの国の情報は少ないが その中であっても 500年前のアールスローンの姫と そちらのハブロ殿は 結ばれる事は無かった筈だが?」
リックが言う
「あん?そうだったかぁ?…ふんっ 知るかよ だったら その後にでも 両方の子孫が何時の時代だかに 交わったんだろうが?どうだって良いぜ 何がどうなろうと 人間は短命なんだからよ …寝る」
リックが席を立って立ち去る ヴィンが言う
「双方の子孫が交わって 作られた命… それにより もたらされた力 …果たしてそうだろうか?」
ヴィンがアースの投げたピックを手に持っていて眺めてから立ち去る
【 ART司令官室 】
アースが呆気に取られて言う
「ギターを調べたい?」
グレイゼスが言う
「はい 支障はありませんよね?帝国の守りを代行される上に置いても 特に どのギターでなければ ならないと言う事も?」
アースが言う
「あ、ああ… 今までに別の物を用いた事もあったからな?特に そちらに問題はないが…」
グレイゼスが言う
「では 出来れば 昨日 彼らヴァンパイアたちへ対し 使用されていた あちらのエレキギターを お借りしたいのですが?」
アースが衝撃を受けた後 表情を困らせつつ言う
「あ、あれをかっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「もちろん そちらが ハブロス司令官の私物であると言う事は 秘密にしますので?」
アースが衝撃を受けてから言う
「う、うん… そちらはそれで 大丈夫だとは思うが…」
グレイゼスが微笑して言う
「では?」
アースが視線を逸らして言う
「ああ…」
【 ART研究開発室 】
台にエレキギターが置かれていて グレイゼスがコンソールを作業をしている 研究員3がやって来て言う
「お早う御座います 中佐 今日は一段とお早いですね?」
グレイゼスが言う
「お早う そうなんだよ 昨日の夜に 急に気になっちゃってさ?居ても立っても居られなくって それで 今朝は店の支度も早々に出隊して 解析作業の準備でもして待とうかと思ってみたら… まさか こんな早くに持ち主さんが 出隊してらしたとはな…?流石と言うか なんと言うか…」
研究員3が自分の席へ向かいながら言う
「大変らしいですね?知能補佐能力のマスターさんが 何かを気に留めてしまうと?」
グレイゼスが言う
「ああ、まったく その通りなんだよ …まぁ 気になるものを調べるのは 楽しくもあるから 苦痛にはならないけどな?」
研究員3が言う
「それで ”持ち主さんが”… と言うのは?今回は何を?…あれ?これは…?」
グレイゼスがハッとして思う
(おっと いけねぇ… うっかり余計な事を言ってしまったか?…とは言っても まさか あれが このARTの司令官の… あのハブロス司令官の私物だなんて事は 普通じゃ想像も付かない事だから 何とでも誤魔化せるか?)
グレイゼスが言う
「あ~ そうなんだよ こんな早い時間でも 貸してもらえてな?その…」
研究員3が驚いて言う
「これって ”ラックシター”の ”アニキV”じゃないですかぁあーっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ラ、ラックシター?アニキV?」
研究員3が興奮して言う
「”ラックシター”って言うのはですね!今は もう倒産してしまった エレキギター専門の工房でっ!当時は無名だった あのナックキラーの元祖ギターリスト アニキに最後のギターを提供したって言うっ!その道では有名な工房なんですよっ!」
グレイゼスが言う
「そ、そうなの…?」
グレイゼスが思う
(まずいっ そんな有名で希少なギターだったのかっ!?あの超高位富裕層ハブロス司令官の私物だから 相当高いモノだろうとは思っていたけれど …あっちゃぁ 事前に情報収集しておくべきだった…っ)
研究員3が苦笑して言う
「って言っても 今じゃ レプリカが大量に出回ってますけどね?けど やっぱ カッコいいなぁ~ 羨ましいっ!これって ”誰の私物”なんですか?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?えっとぉ~」
グレイゼスが思う
(そうか!レプリカが出回っているって言うのなら 助かった …けど 参ったな?このARTの人間で ギターが趣味だなんて人は 俺は知らない… 知ってるのは 正にそのご本人だけ…っ え…とっ 考えろ俺っ 助けろ グレイゼスっ!?)
グレイゼスが困り悩んで言う
「え~と… え~と そのぉ~…」
グレイゼスが思う
(だ、駄目だぁ~!まったく ”グレイゼス”に動きが無いっ!そもそも 完全に管轄外の話題に 俺自身もパニクってるしっ …ど、どうしたらっ!?)
研究員3が言う
「中佐?」
グレイゼスがハッとして言う
「あっ!いや!その…っ!そう!それは 秘密なんだよ?な?ほら?あの…っ?こ、困るだろう!?色々と… なぁ?何しろっ ARTだからさ!?ここはさっ!?」
グレイゼスが思う
(あぁ~ 俺とした事が…っ なんてグダグダな返しを…っ)
研究員3が言う
「ああ… まぁ そうですね?それこそ世界の存亡を賭ける戦いを行っている このARTの隊員でありながら エレキギターとか… そんな軽い事をやってる隊員じゃ それこそ あの元国防軍総司令官にして 超高位富裕層のハブロス司令官に 除名処分に されてしまいそうですもんねっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(だぁあ~!正にその人の私物だなんてっ!それこそ 俺の除名処分所じゃないっ!これって もしかして世界の存亡レベルに やばい事なのかっ!?)
グレイゼスが言う
「うぅ~… 爆弾でも 持たされた気分だ…」
研究員3が疑問して言う
「え?」
グレイゼスが思う
(いや!落ち着けっ 大丈夫だっ どう考えたって エレキギターとハブロス司令官の間には 知らない人間には 絶対に知られる筈も無い 隔たりがあるっ!だから ここはっ いつも通り平静さえ装ってしまえば!)
グレイゼスが言う
「ま、まぁ?そんな感じで?だ… 誰の物かは言えないんだが~ 今は この楽器を ちょいと解析してみたくてな?うん、それで 表面の塗装やその他の成分なんかを 一通り調べていた訳なんだが…」
研究員3が呆気に取られた後言う
「エレキギターの解析… ですか?はぁ…?やっぱ 目の付け所が違いますね?それで… 何か 通常と異なる事や ARTに有益な情報が?」
グレイゼスが言う
「う~ん いや… 今の所は これと言って…」
室外 通路
アースが部屋のドアを見て言う
「必要と在れば… いや、しかし 出来れば…」
アースがドアへ向き直って言う
「…やはり、言葉のみであっても 言って置くか?」
室内
ドアが開く グレイゼスが気付かず話している
「だから やっぱり 音を鳴らしてみようかと思うんだが 正直 俺は 今日初めてエレキギターなんて 触ったものだから…」
アースが入って来る 研究員3が気付かない状態から言う
「それなら 自分が鳴らしましょうか!?実は 学生の頃に 少々… ハ、ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスが衝撃を受け顔を向けて言う
「えっ!?」
アースが研究員3を見る 研究員3が敬礼して言う
「お、お疲れ様でありますっ!司令官!」
アースが言う
「ああ 邪魔をする …マスターグレイゼス中佐」
アースがグレイゼスへ向く グレイゼスがハッとして敬礼して言う
「はっ!し、失礼しましたっ お疲れ様でありますっ!」
アースが言う
「大した事ではないが 1つ言い忘れた事があった」
グレイゼスが言う
「はっ …何か?」
アースがグレイゼスの近くへ向かいながら言う
「必要とあれば 致し方ないのだが…」
アースが小声で言う
「…特に 高価なモノでは無いのだが 出来れば 無傷で返してもらえないか?一応… あれには 色々と想い入れが…っ」
グレイゼスが衝撃を受けてから 苦笑して言う
「は、はい そちらは大丈夫です 調べるだけですから その… 壊したりなどは 絶対にしませんので?」
アースが気を取り直して言う
「そうか それなら …う、うんっ では 邪魔をしたな」
アースが立ち去る グレイゼスがホッと息を吐くと 研究員3が疑問して言う
「えっと… ハブロス司令官からは 何か?…あっ!またっ 何か重要な 任務でありますか!?中佐!?」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「えっ!?あーっ いや~ じゅ、重要… う、うん… 重要… だったみたいね?わざわざ ご本人がお越しになる位に?」
グレイゼスがエレキギターを見て苦笑する
室外 通路
アースがホッとして言う
「良かった… 後は 早く戻って来てくれると 良いのだが…」
アースが苦笑してから立ち去る
【 ART2 】
ラミリツが言う
「その様な理由もあってか アールスローンでは 名前を大切にする習慣がありまして 3構想や4構想と言う長い名前であっても 全てを呼ぶ事が 正しい礼儀とされています」
マリアが言う
「でも それって 大変では無いですか?例えばですけど 今の様にお話をしていても 3構想のお名前を全て言いながらでは 何だか お話が止まってしまうみたいで」
ラミリツが言う
「確かに最初の内は 少々話し辛いかもしれませんが…」
ラミリツが思う
(まさか 偶然にして 僕が警備に就いていた村へ マリアさんも仕事で来ていて おまけに 会って話す事が出来ただなんてね?)
マリアが苦笑して言う
「でも それだけ お名前を大切にしていると言う事ですよね?ラミリツさんの… えっと 役名の様に?」
ラミリツが苦笑して言う
「はい 攻長として 邁進する様に …と言う事なのでしょうが …そうですね?今となっては そう呼ばれる事に慣れてしまいましたが それでも やはり 家の名前を消されてしまうのは 少し残念です」
マリアが言う
「えっと… 確か ”メイリス”さん …でしたよね?」
ラミリツが微笑して言う
「はい そうです」
マリアが言う
「それから ARTの司令官さんが ”ハブロス”さん…」
マリアがふと気付いて言う
「うん?そう言えば そちらのお国の方のお名前には 語尾にスが付く事が多いですね?こちらの国では… そんなに多くは無いと思うのですが?」
マリアが考える ラミリツが気付いて言う
「それには 実は ちょっとした由来がありまして?」
マリアが言う
「由来が?」
ラミリツが言う
「はい、アールスローンでは 語尾にスを付ける事が 高貴な事とされていて ”その事 事態”は割と知られているのですが …更に それが ”どうしてか?”と言う所まで 考える人は少なくて 私も以前までは その一人でした」
マリアが言う
「”由来”の”由来”って事ですね?では どうしてなのですか?」
ラミリツが言う
「それは 先ほどの”名前を大切にする”と言う事にも 関わって来るのですが… 元々 アールスローンの人々の名前は ”1構想”だったらしいのです」
マリアが呆気に取られて言う
「え?でも…?」
ラミリツが言う
「はい、そして その1構想の名前の人たちが 結婚をした時に その2人が家族であると言う事を示す為に どちらかの名前に 複数を示す”S”を付けて ”家の名前”にした事が始まりだったそうです」
マリアが言う
「なるほど それでなのですね!」
ラミリツが微笑して言う
「はい そんな訳で 家の名前にはスが付く事が多いそうです しかし それも時代の移り変わりで 廃れて行ったそうですが 逆に言うと 今でも スの付く家名と言う事はそれだけ 家の歴史が長いと言う事らしいです」
マリアが言う
「素敵ですね 歴史を大切にする… 家族を大切にする… 仲間を大切にする… 私、アールスローンは とっても ”何かを大切に”する国って 感じがします」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 軽く笑って言う
「ふふ…っ そうかもしれないですね?ああ、大切にすると言えば もう1つ!」
マリアが疑問して言う
「はい?もう1つ?」
ラミリツが微笑して言う
「アールスローンは 女性を大切にする国ですよ?」
マリアが呆気に取られて言う
「え?そうなのですか?」
ラミリツが言う
「はい、元々 我々のお慕いする陛下が ”女帝陛下”であると言う事もありますが 一般の女性の方も大切に考えられている様で やっぱり 名前のお話ですが ”4構想”の名前を持つ事が出来るのは 女性だけですし」
マリアが言う
「ああ そうでしたね?」
ラミリツが言う
「それから 家名以外の名前を継ぐ場合も 男性の名前を継ぐ時は”ファーストネーム”で 女性の名前を継ぐ時には”ミドルネーム”なのですが これも… 女性の名前を守る為に ”真ん中”に置くのだそうです」
マリアが呆気に取られてから 軽く笑って言う
「わぁ… …ふふっ アールスローンは 本当にいろいろな物を大切に 守ってくれる国ですね?」
ラミリツが軽く笑って言う
「はい そうですね」
ラミリツが思う
(けど 今の僕は その”守ってくれる人”を ”守る為に” 戦いたいと思っている 攻長として… ART2の隊長として… ラミリツ・エーメレス・メイリスと名付けられた 一人のアールスローン国民として)
ラミリツが密かに服を掴む 服の内ポケットにはラストオーダーの黒い紙が見える
【 ART研究開発室 】
グレイゼスがモニターを見ながら唸って言う
「う~ん… やっぱり 特別なものは無い …かぁ?」
グレイゼスがエレキギターの近くへ来て言う
「…となれば?」
グレイゼスが研究員3へ向いて言う
「マキタ研究員?」
研究員3が疑問して振り向いて言う
「はい?中佐?」
グレイゼスが微笑して言う
「折角だし… 弾いてみる?アニキV?」
研究員3が思わず立ち上がって叫ぶ
「良いんですかぁあーーっ!?」
グレイゼスが微笑して言う
「本人に頼む訳にも行かないし 頼むよ?1曲?」
研究員3が敬礼して言う
「了解!中佐ぁー!喜んでっ!」
研究員3がエレキギターを構え感動して言う
「うわぁあ~ 感動だぁ~~っ レプリカでも 堪らないっ!くぅう~~!」
グレイゼスが苦笑して思う
(本当は”本物だ”って教えたら それこそ 嬉しさに失神でもしそうな勢いだな?)
グレイゼスが軽く笑って言う
「そんなに好きなら それこそ レプリカの1つ位買ったらどうなんだ?そんなに高くないんだろ?」
研究員3が苦笑して言う
「それはそうですけど… 結局 ギターはレプリカでいくらでも真似が出来ますが その腕は真似出来ないですからね?」
グレイゼスが疑問して言う
「あぁ… そうなの?正直 俺はその辺りの難しさなんかも まったく分からないんだが… まぁ 簡単では無いんだろうな?…んじゃ とりあえず 一曲 頼むよ」
グレイゼスがコンソールへ向き直る 研究員3が言う
「はい では… 何を弾いたら良いですかね?…って 言っても 大したもの弾けないですけど」
グレイゼスが言う
「うん?あー そうだな…?えっと いつも何を弾いていらっしゃるのかは 分からないんだが…」
研究員3が疑問して言う
「いつも?」
グレイゼスが気付いて言う
「ああ、そうだ それじゃ やっぱり 例のナックキラーの曲を頼むよ 何て言ったっけ?あの… アニキさんが弾いてたってやつさ?」
研究員3が言う
「メステゲレンダーですね!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そうそう そんなタイトルだった気がする」
研究員3が言う
「分かりました!…って言っても 弾ける範囲で ですけど 良いですか?ソロとか無理ですけど?」
グレイゼスが言う
「ああ、まぁ サンプルだから 出来る範囲で構わないよ」
研究員3が言う
「はい!では 行きます!」
研究員3が音を鳴らすと同時に 思わずグレイゼスが弾かれ苦笑して言う
「っははは… やっぱ 凄い 音だなぁ…?」
グレイゼスがコンソールへ向き直る
グレイゼスがモニターを見ながら唸って思う
(へぇ… 予想はしていたが 本当に 同じ楽器でも弾く人が違うだけで こんなに数値が下がってしまうものなのか… この数値じゃ まったく 陛下の代行は出来ない それに…)
グレイゼスが視線を向けた先 研究員3がギターの演奏に四苦八苦しながら雑音を出している グレイゼスが苦笑して思う
(エレキギターの演奏って 実は結構難しい物なんだな?聞いている方も 流石に… ちょっと耳が…)
グレイゼスが言う
「マキタ研究員 ありがとう サンプルは十分取れたよ」
研究員3が苦笑して言う
「たはは… 下手くそで すみません 久しぶりだったって言うのもあるんですが その…」
研究員3がエレキギターの調整をしながら言う
「このセッティング 基本がなってないんですよ!全然っ!きっと まったく弾いていないんでしょうね?飾りにでもしてるのかなぁ?」
グレイゼスが慌てて言う
「あぁっ いやいやっ 弾いてらっしゃったよっ 昨日の夕方なんて 特に全力でっ!?」
研究員3が疑問して言う
「え?そうなんですか?…まぁ 確かに ネックの感じと言い 相当使い込まれている感じは… …っ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、そうだろうな?何でも 想い入れがあるとかって…」
研究員3が目を見開いて叫ぶ
「だあぁああっ!?こ、これってぇえっ!?」
グレイゼスが驚いて言う
「えっ!?な、何…?」
研究員3がグレイゼスへ向いて言う
「ちゅ、ちゅちゅちゅちゅちゅ中佐あっ!?こここ、これ!これっ!!ほ、本物…っ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
グレイゼスが思う
(何故 気付かれた!?ネックとか言う あの場所が使い込まれているからか?いや だからって それが本物と結びつく筈が?)
グレイゼスが言う
「い、いや…?何言ってるんだ?レ、レプリカだよ?レプリカ…?」
研究員3が言う
「いえっ!本物ですよっ!だって ほら ここに シリアルコードがっ!アニキだけのっ ”1番”のコードがっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(しまったぁ~っ そう言う事っ!?)
研究員3が言う
「ナックキラーファンにとっての ”1番”は神聖な数字ですから!偽物には 記してはいけないと言う 暗黙のルールがあるんですよっ!しかも ギターはアニキの象徴ですからっ そのアニキVに この数字は 本物しか有り得ませんっ!」
グレイゼスが苦笑して思う
(うぅ… 駄目だ ここまで 明瞭な証拠が揃っていては 覆せない…っ ここはもう 白状するしか…)
グレイゼスが言う
「あ、ああ… 実は 本物なんだ… ごめんな?嘘付いて?」
研究員3が驚いて言う
「やっぱりっ!?どう言う事なんですかっ!?アニキ ”本人” から借りて来たって事ですよねっ!?中佐がっ!?ARTがっ!?なんで ナックキラーの元祖ギターリスト アニキと 面識があるんですかっ!?」
グレイゼスが強く思う
(それは 何があっても 白状出来ないっ!!)
【 ART2 】
マリアが言う
「名前… ミドルネーム…」
マリアが視線を落とす ラミリツが気付いて言う
「えっと…?…そう言えば こちらの国のお方のお名前には ミドルネームは使われていないですね?」
マリアが言う
「はい それに… ちょっと前までは 私 そのミドルネームって言うもの自体も 知りませんでした」
ラミリツが言う
「ちょっと前までは?…と言うと?」
ラミリツが思う
(その言い方は 僕らが来る前って事?)
マリアが言う
「私が ミドルネームと言うのを知ったのは… ウィザードさまのお名前を聞いた時 その時が初めてで」
ラミリツが思う
(ウィザードさまのお名前を …つまり あのマリアさんと一緒に居た 彼の…?)
マリアが言う
「こちらの国では ウィザードの名前は 一般の人には伏せる事とされていたんです それは ウィザードは神様に選ばれる者で その神様から呼ばれる名前を 一般の人が口にする事は 許されないから…」
ラミリツが言う
「…なるほど そうでしたか」
ラミリツが思う
(まぁ その辺りは 信仰の違いって事なんだろうね?今でこそ 神様を信じられるけど それこそ 神様を信仰する筈の アールスローン信書を信仰していた 当時の政府に居た時の 僕は…)
マリアが苦笑して言う
「って言うのは 実は嘘で!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?」
マリアが苦笑して言う
「本当は ただ 庶民と貴族の抗争から そんな嘘を使って 名前で分かってしまう 庶民出身のウィザードを隠していただけなんです だから その抗争が落ち着いた今は もう そんな事はしていなくて… だから 今では多くのウィザードたちが名前を公表していますし それを一般庶民の人も知っていて 女の子たちなんか 自分たちの気に入ったウィザードの名前を呼んで ファンクラブとか作っちゃったりして?」
ラミリツが呆気に取られてから苦笑して言う
「そうですか そちらは… なんと言うか 神聖さは失われてしまったかもしれませんが 僕は 結果と言いますか 今の そちらの方が良い様に思います」
マリアが言う
「はい そうですね?私も そう思います!」
ラミリツが思う
(うん やっぱり マリアさんとは 気が合うと言うか?…ん?あれ?そう言えば…?)
ラミリツが言う
「そう言えば 聞いた事が無かったと思うのですが マリアさんと一緒に居られる あのウィザード様は?お名前は何と仰るのでしょう?私もこちらに来てから 少し調べたのですが…」
ラミリツが思う
(ウィザードたちの名前が公表されている事は もちろん知っている こっちに来るまでの間に読んだ 参考資料にも載ってたし… …だけど?)
マリアが言う
「はい、そんな今でも ウィザードの名前を公表するかは それぞれの判断に任されていて… 私は 私のウィザードさまの名前を公表していません それは… 彼が 神様… アークである事が理由でもあるのですが その… 名前そのものが… こちらの国では 普通ではなかったもので」
ラミリツが気付いて言う
「と言う事は?もしや?」
マリアが言う
「彼の名前は レイ… レイ・アーク・フォライサー」
ラミリツが呆気に取られる
【 ART 通路 】
グレイゼスが歩いていて思い出す
研究員3が感激して言う
『ほ、本物っ!?これがっ!これが あのナックキラー元祖ギターリスト!アニキの 本物のアニキV!!うぉおおーー 最高ーーっ!!』
グレイゼスが苦笑して言う
『マキタ研究員 落ち着いて… 感激は分かるが 一応 就業中だし?それに… あんまり興奮すると 身体に毒だぞ?』
研究員3が言う
『興奮せずになんか居られないですよっ!本物ですよっ!?本物っ!!それを 触れたっ!?弾けたっ!?あぁああ!!最高ーーっ!!』
グレイゼスが苦笑して言う
『分かった分かった 最高なのは分かったから …取り合えず 落ち着きたまえ?』
研究員3が言う
『いえっ むしろ 落ち着いてなんて居られませんよっ 中佐っ!?だって、これ 冷静に考えたって… オークションに出せば ざっと1億は超えますよっ!?』
グレイゼスが衝撃を受けて叫ぶ
『いっ1億っ!?…こ、これがっ!?』
グレイゼスが手に持っているエレキギターに視線を向けると 身震いして言う
「うぅ…っ とても 休憩中に置きっぱなしになんか しては置けない…っ」
グレイゼスが思う
(早くお返ししよう… 想い入れがあるとも言っていたし それほど大切なものを 万が一にも 盗まれたりしたら…?何しろ… 1億…っ)
グレイゼスが苦笑して言う
「最下層の俺には こうして持ってるだけでも 失神しそうだ…」
グレイゼスが司令官室前の前室へ入る 司令官秘書が顔を向ける グレイゼスが言う
「ハブロス司令官は 在室かな?」
秘書が言う
「はい ハブロス司令官は 只今は お電話中に御座いますが マスターグレイゼス中佐でしたら お通しが許可されると思います 如何しますか?」
グレイゼスが言う
「ああ、荷物を渡したいだけだから 開けて貰えると助かるんだが」
秘書が言う
「畏まりました それでは 認証を兼ね そちらへIDの提示をお願い致します」
グレイゼスが言う
「はいはい」
グレイゼスがIDをスキャンする シグナルがグリーンになりドアが開かれる グレイゼスが一度秘書へ向いて言う
「じゃ どうも?」
秘書が微笑して軽く会釈する
【 ART司令官室 】
グレイゼスが入室して来る アースが電話をしていて言う
「…はい では 通信の通じる限りで 何か問題が御座いましたら こちらのARTには…」
アースがグレイゼスに気付く グレイゼスがその場で敬礼すると アースが頷く グレイゼスが向かう アースが受話器へ言う
「主戦力のART1と共に その他の機動部隊も待機しておりますので お力添えは叶うものと …はい もちろん ART2と共に …ええ、現状では あちらの国に居ります 彼らとの連絡は一切取られませんが ご心配には及びません ミックワイヤー長官もご存知の通り 彼らART2の隊長は 必ずや 与えられた任務を成し遂げてくれる事でしょう」
グレイゼスが微笑する アースがグレイゼスに苦笑してから言う
「…はい では そちらの際には ご遠慮なく」
アースが受話器を置いて言う
「それで?何か分かったのか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい どうやらこちらには… ”何の力も無いらしい” と言う事が 分かりました」
アースが一瞬呆気に取られてから 苦笑して言う
「ほう?それは重要な情報だな?」
グレイゼスが苦笑する
【 ART2 】
ラミリツが言う
「レイ・アーク・フォライサー …なるほど お名前に神様と記されているようでは 公表は出来ませんね?」
マリアが言う
「はい それで… 今までは それだけで… それなら 今まで通り 伏せておいて それで良いと思っていたのですが 今は…」
ラミリツが疑問して言う
「…マリアさん?」
マリアが表情を落とす ラミリツが言う
「…何か あったのですか?」
マリアが言う
「はい… それで本当は 私、今日この村に 仕事で来たのでは… …いえっ 仕事はしたんですけど でも… 本当は …この村の警備に …ラミリツさんが就いていると聞いて… それで…」
ラミリツが言う
「では?…はい!我々ART2に お手伝い出来る事でしたら 何なりと!」
ラミリツが思う
(…とは言っても 本当の所 現状では もう動かせる人員は居ないから… どうしよう?もし これで警備箇所を増やして欲しいとか そう言う事だったら…?)
マリアが苦笑して言う
「あ、いえ そう言う事では… 警備に就いて欲しいとか そう言う… その… 戦いに関する事 では無くて…」
ラミリツが疑問して言う
「え?警備とか戦いに関する事では無い?…では?」
【 ART司令官室 】
アースが包みを開くとエレキギターが露になる アースが苦笑する グレイゼスが言う
「一通り調べてみたのですが そちらの本体の材質やその他に特別な力は無く …申し訳ないのですが ギターの経験のある者に頼んで 音を鳴らしてもらい そちらの解析などもしてみたのですが やはり 何も…」
アースがエレキギターに触れながら言う
「そうか…」
グレイゼスがその様子に苦笑しつつ言う
「と言う事で やはり そちらのエレキギターがどうと言う事ではなく ハブロス司令官の演奏の腕前と 想いの力なのではないか?と言う結果に 行き着きました 次第でして」
アースが言う
「それは つまり ずっと以前の… 皇帝の力の代行を探した あの時の結果のままだと言う事か?」
グレイゼスが苦笑して言う
「言ってしまうと そう言う事でして 申し訳ありません しかし あの時は 唯”それだけ”で… あ、いえっ もちろん?そちらは とても凄い事なのですが 今回はそれに加えて ヴァンパイアを撃退する力まであると言う事が判明したので そちらはどう言う事なのかと… 改めて調べるつもりだったのですが …結果は同じでした」
アースが言う
「うん… そうだな そちらに関しては 私も 正直 驚いていた所なのだが」
グレイゼスが苦笑して言う
「驚くと言えば 何より ハブロス司令官が そのギターの持ち主である ナックキラーの元祖ギターリスト アニキ様である事が 何よりの驚きなのですが?」
アースが衝撃を受け 視線を逸らして言う
「わ、悪かったな…っ 大体 私は出来る事なら お前にだって 知らせたくはなかったのだがっ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ、その”アニキ様”には ヴァンパイアからも守って頂きましたし?何より このアールスローンを お守り頂いておりますので?」
アースが不満そうにギターの調整をしつつ言う
「ふん…っ だったら 伏せて置けよ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい そうですね?失礼しました …それはそうと?」
アースが言う
「”それはそうと” 随分 セッティングを弄り回してくれたな?折角の メステゲレンダーセッティングを…っ」
アースが調整をして軽く音を出す グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そちらはすみません… 自分が注意をする以前に 変えられてしまいまして… しかしその… 改めて分かったのですが やはり ナックキラーの元祖ギターリスト アニキ様の演奏は お上手ですね?自分は ギターの知識が皆無であったと言う事もあり 今日 改めて一般の趣味で行っていた者の演奏を聴いて その違いをやっと理解した次第でして …ともすれば ”あの力にも” ”演奏の腕が” 必要なのかもしれないと…?」
アースが一度作業を止めて言う
「…ならば もっと調べが必要なのではないのか?それこそ その”演奏の腕が”ある他の者へ こちらを使っての演奏を頼むなり あるだろう?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それはそうかもしれませんが… 正直 1億の楽器を自分の手で管理すると言う事に 少々抵抗が…」
アースが疑問して言う
「1億?…いや?これは 本当に それほど高価な物ではないぞ?当時に置いて60万程度の物だった 現在では作られていないと言う事を考慮したとしても 倍の額にもならないだろう?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ご謙遜を…?そちらは 何を隠そう ”アニキVのシリアルコード1番”ですから そちらのプレミアが そこまで値を上げるのでしょう?」
アースが苦笑して言う
「随分と詳しいな?そんな 本質的に関係の無い事まで調べたのか?」
グレイゼスが言う
「調べたと言いますか そちらは 実験に協力してくれた研究員の彼が ナックキラーのファンだったと言う事でして?」
アースが言う
「なるほど… しかし そうと分かれば そのファンである訳でもないお前が 気にする必要は無いだろう?それで?本当に 先ほどの事を調べると言うのであれば?」
グレイゼスが言う
「あぁ そうですね?しかし ”演奏の腕のある”別の者に頼むと言いましても?その腕前が”最高峰の方”の その上を行かれる方は居られないでしょう?」
アースが呆気に取られて言う
「うん?”最高峰”のその上?…いや?何を言っている?私を越えるギターリストなど このアールスローンに いくらでも居るだろう?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?…あ、いや?だって… 昨日はご自身で仰っていましたよね?」
グレイゼスの脳裏に記憶が蘇る
アースが怒りに燃えながら言う
「”心地良い音”が欲しいと お望みとあらば?アールスローン最高峰のギターリストと言われた この私が 一曲 お届けをするが?」
アースが衝撃を受けて言う
「あっ!あれは…っ その…っ 言ってしまえば あれは あの時の奴へ対しての 唯の威勢であって …事実ではない」
グレイゼスが言う
「え?そうだったのですか?自分はてっきり本当の事なのかと…?」
アースが慌てて言う
「いやっ 一応 そうと”言われた事は” あるからなっ!?嘘ではないぞっ!」
グレイゼスが言う
「えーっと…?それでは…?」
アースが言う
「最高峰ではなくとも 己を慕い 集まってくれた者へは そちらを目指し 今までで1番良い演奏を行おうと勤める事が 何より重要な事だろう?私は それをしていただけであって 実質的なギターの腕は それ程では無い …そもそも 私は父や家の者にも隠れて こちらを行っていたんだ そうとなれば もちろん 正規に人から習った事もなかった上に バンドのメンバーとなった時も ギターの基本がまったく無いと 驚かれた位だ」
グレイゼスが驚いて言う
「え!?そうでしたか?それは… 意外でした てっきり自分は 相応の者を雇い練習をされていて 楽器もそれなりの物だと」
アースが言う
「とは言え そうだな…?このギターに関しては 何か特別なものかとも 思ってはいたのだが… 何も無かったのだったな?」
グレイゼスが言う
「はい そちらは確かです しかし 想い入れがあると 仰っていましたよね?それは… やはり そう言った ナックキラーのメンバーやファンたちとの と言う事でしょうか?それとも?」
アースが言う
「そちらも無い事は無いが… これは ラックシターと言う 工房が製造したものなのだが」
グレイゼスが言う
「今は 倒産してしまったのだと 伺いましたが?…うん?しかし ナックキラーのファンの間で それ程知られていると言う事は 何故…?」
アースが言う
「元々 その工房は経営が苦しかったそうでな そこで 融資を得たいとハブロス家へ資金提供を依頼していた… 最も その当時は ハブロス家の当主は私の父であり 国防軍はもちろん家の事も全て父が行っていた そして その父は融資先へは どれほど小さな企業であっても 実際に向かい自分の目で確かめた上で 判断を行なっていた… そこへ 私も同行していた」
グレイゼスが言う
「なるほど それで…」
アースが言う
「ああ… とは言え 父は企業投資には堅実だったからか… いや、そちらの工房の様子が余りにも 弱々しいと見て取られたのか 資金の提供を断ろうとしていたのだが… それを 私が」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 行うべきだと 仰ったのですか?」
アースが苦笑して言う
「その頃の私には 経営や投資のノウハウなどは無かったのだが それでも それまでに見せられていた 数多の企業の中に置いて あの工房の… あの職人たちの様子がとても気になった だから それで… そんな理由だったな?正に 子供の考えだが 理由はさて置き 私が父へ頼んだ事で 小額ではあったが 資金提供が行われた その結果 経営は持ち直したのだとか …このギターは その後 当時の工房主が亡くなる直前に 私宛に届けられたものだ 自分が製造する最後の一本だと 私への礼状と共にな?」
グレイゼスが微笑して言う
「そう言う事でしたか」
アースが言う
「ああ、だから ともすれば こちらには何らかの細工でも あるのかとも思っていたのだが… そうか 何も無かったか…」
アースがエレキギターを見て苦笑する グレイゼスが微笑する
【 ART2 】
ラミリツが驚いて言う
「偽者…?」
マリアが言う
「あ、いえ…っ その…っ 本物では無いって事なので もしかしたら そうとは言わないのかもしれませんが… えっと… つまり… ラミリツさんは …”クローン”って ご存知ですか?」
ラミリツが言う
「”クローン”?えっと… ちょっと待って下さい?聞いた事はあるのですが 普段 使う言葉では無いので…」
ラミリツが思う
(クローン?クローンって… コピーとか?偽者?うん?えっと…?本物では無いんだから 偽者で合ってる?けど 本物の写しなんだから やっぱ 本物?…あれ?えーと?)
マリアが苦笑して言う
「私も そんな感じで… 聞いた事はあるけど 実際には なんだったかな?って …それで調べたんですけど 見付けた答えには」
ラミリツがマリアを見る マリアが言う
「”クローンとは 同一の起源を持ち 尚且つ均等な遺伝子情報を持つ 個体の集合 即ち 分子・細胞・生体などのコピーである”…って書かれていて」
ラミリツが呆気に取られて言う
「つまり ”アークのコピー” …って事?」
マリアが言う
「そうですね…」
ラミリツがハッとして言う
「あっ すみません つい…」
ラミリツが思う
(今のは 本当にうっかりと…っ 頭に考えていた事が そのまま口に出ちゃって…っ)
マリアが言う
「いえ、良いんです 私も… それで …不安になってしまって」
ラミリツが言う
「え?不安に?それは…?」
ラミリツが思う
(何で?自分たちの神様が クローンだと分かったから?彼が…)
ラミリツの脳裏にレイの姿が思い浮かぶ マリアが言う
「ウィザードさまのお話では 彼の… レイのコピー元は カイ・アーク・フォライサーと言う人で そのアークを知るウィザードに お話を聞いてみたら そのアークはとても 強い魔力を持っていて 彼一人の力で この国を守る大結界を張る事が出来るほどだったとか… 私は以前 その大結界を張る灯魔作業を見た事があるんですが それは とっても大変なんです …この国にある6つの大灯魔台の力も使って レイの他にも6人のウィザードの協力が必要で… それをたった1人で出来るほどの アークが…」
ラミリツが言う
「…そのアークは?」
マリアが言う
「そのアークは… ”神様の下へ行ってしまった”そうです」
ラミリツが言う
「神様の?…つまり ”亡くなってしまった” と言う事で?」
マリアが言う
「あっ いえっ 違います 神様の下へ行くと言うのは その… 何て言いますか 私も実際にそれを見た事は無いんですが… 元々ウィザードの灯魔作業は 結界を張る為ではなくて ウィザードの力を神様に認めて貰う為の儀式だったらしくて それを行って 選ばれた優秀なウィザードが神様の下へ 向かう事が出来ると… それは たぶんですが 私たちの様な 普通の人間の …そう言う 命を落として神様の下へ逝くと言うのとは ちょっと 違うみたいなんです」
ラミリツが言う
「えーっと… では 実際の所は分かりませんが あえて言うのでしたら …神様の居る天国へ 生きたまま向かう… 様な感じでしょうか?少なくとも この世界からは 居なくなってしまうのですよね?」
マリアが言う
「はい そうですね?私も… 何となくですが そんな感じだと思っています」
ラミリツが言う
「では 今は仮にそうと言う事で… それで、カイ・アーク・フォライサーは 居なくなってしまって… その彼のクローンが レイ・アーク・フォライサー …マリアさんのウィザードさまである 彼だと言う事ですね?」
マリアが言う
「はい そうです…」
ラミリツが言う
「なるほど… …しかし」
ラミリツが思う
(だからといって それは…)
マリアが言う
「だから… 怖いんです 彼は レイ・アーク・フォライサーは… 本当に彼なのかな?って」
ラミリツが言う
「え?本当に彼なのか?…それは?」
マリアが言う
「カイ・アーク・フォライサーは 人間を守る為に 神様が地上へ… 人間の下へ向かわせた アークなんです それなのに… 悪い人間に愛想を尽かして それによって生まれた悪い魔力を ウィザードへ押し付けて 自分は神様の下へ帰ってしまったんです そのアークの クローンが 彼なんだと思うと… 私は… …怖い」
ラミリツが思う
(なるほど 彼は そんなアークの…)
ラミリツが言う
「クローン ですか…」
ラミリツが思う
(けど だから怖い?マリアさんが怖がっているのは カイ・アーク・フォライサーであって それは マリアさんのウィザードである レイ・アーク・フォライサーと同じだって…?いや、違う それは違う!だって… 例え クローンだとしても その彼には きっと…!)
ラミリツが顔を上げる マリアが視線を落として言う
「頭では分かっているんです クローンだとか コピーだとか言っても アークは アークですし… ウィザードよりも強くて ウィザードたちの神様で… だけど… なんだか …不安になってしまって」
ラミリツが言う
「不安に?それは…」
ラミリツが思う
(うん、やっぱり マリアさんは 彼ら2人を同一に そう思っている だけど それは間違っている 不安になんか思う必要は無いんだ だって あの彼には… マリアさんのウィザード様には きっと彼だけの …強い”ソウル”がある!)
ラミリツが装備にあるM82を意識して思う
(それは クローンとかコピーとかって 身体がいくつあったって変わらない 彼の様に 嘘のない たった1つの 本物のソウルがあれば良いっ …それを信じれば良いだけだよっ)
ラミリツが微笑する マリアが言う
「それは…」
ラミリツの通信機が鳴る ラミリツとマリアが反応して ラミリツが言う
「あ、失礼」
マリアが微笑して頷く ラミリツが通信機を着信させて言う
「こちらART2隊長 ニコニコ村第2ブロック異常なし これより 警備担当を 夜間班へ移行する 人員の確認 その他 異常事態発生時には 直ちに連絡を」
通信機から隊員の声が聞こえる
『了解 隊長!』
通信機が途絶える ラミリツが言う
「すみません お話の途中で」
マリアが言う
「いえ 大丈夫ですっ」
ラミリツが言う
「それで… お話の続きなのですが」
マリアが言う
「はい」
【 ART通路 】
グレイゼスが身体を伸ばしながら歩いていて言う
「はぁ~ 身軽になった!うん!ひょっとして 俺だけじゃなくて お前たちも緊張してたんじゃないのか?グレイゼス?」
グレイゼスが微笑して言う
「まぁ マスターの名を持つ者は 今も昔も最下層だからな?1億のギターなんて 重過ぎるってな?プクク…」
グレイゼスの頭に激痛が走る グレイゼスが痛がって言う
「って …痛ぁあっ!?冗談だよ 冗談…」
グレイゼスが研究開発室のドアを開ける
【 ART研究開発室 】
グレイゼスが室内へ入りながら言う
「何も そんな事で 頭痛を起こさせる事は無いだろう?言いたい事があるなら 話してくれよ?それこそ俺の口でも使って 言ってくれれば…?」
ハイケルの声が響く
「だから 離せと 言っているだろうっ!?」
グレイゼスが疑問して言う
「はいぃ?」
グレイゼスが顔を向けると 台にハイケルが貼り付けられていて グレイゼスが呆気に取られて言う
「ハ…ハイケル?お前 何やって…?」
ヴィンの声が聞こえる
「フフフ… まぁ そうと言わずに マスターが戻るまでは そちらでゆっくりと寛いで… おや?お戻りかな?マスター?」
ヴィンが振り返り微笑する グレイゼスが呆気に取られてから言う
「ヴィーンリッヒ先生!?」
ヴィンが微笑して言う
「ああ お早う 我が愛しの生徒 マスターグレイゼス」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、そちらは どうも…っ」
ヴィンがグレイゼスの近くへ寄って来て言う
「フフフ… 失敬 お早うと言う挨拶には 少々 遅かったかな?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ、その… そちらの挨拶がどうと言う事ではなく… いえ、それより… …っ!?」
ヴィンがグレイゼスの頬に触れながら言う
「ああ… 今日もまた 君の優秀さには 心より感銘を… 正に 私が調べたいと願ってやまなかった その物を 完璧にまで調べ上げてくれていた その様な君を 私の獲物に出来たら どれほど この世界へ貢献を もたらす事が可能であるのかと…?今日も今日とて 尽きぬ構想が止まないのだが…」
グレイゼスが苦笑しながら思う
(ひぃ~ 助けて下さい 我らが アニキ様~っ!)
【 ART司令官室 】
アースがくしゃみをして言う
「はっくしっ!…?」
アースが疑問してから 書類を見て言う
「ふむ… やはり ARTでは予算が厳しいか…」
アースが書類をめくる
【 ART研究開発室 】
ヴィンが言う
「…と この様な事をしていては また 彼にひどい演奏を聴かされる羽目にともなりかねない 残念だが 君を私の獲物へ誘うのは 次の機会とするべきか?」
ヴィンがグレイゼスから離れる グレイゼスがホッと息を吐いてから周囲を見渡して言う
「それで… ヴィーンリッヒ先生は 本日は何か?マシーナリーの改良に関しては 一先ず 昨日の作業を一通り終わらせるまでは… と言う事になっていましたかと?」
ヴィンがモニターの前に立って言う
「ああ、そちらは 諸君の工程ではあるが 私の研究過程と沿うものでは無いのでね?私は私で これまでの899年間と同じく 独自にそれらを進めさせて頂くものとしているのだよ」
グレイゼスが言う
「なるほど… では そちらの ヴィーンリッヒ先生の研究過程に ”自分めの資料”が何らかのお役に?それも… 彼を含めて?」
グレイゼスが台へ視線を向ける ハイケルが台に固定されていて言う
「工程でも過程でも何でも良いっ!だから はーなーせーっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「仮にも 元国防軍の機動部隊員にして ARTの隊長 そして 悪魔の兵士である彼の身を拘束されるとは… そちらは?」
ヴィンがコンソールを操作しながら言う
「ふふふ… そちらは 何も 驚く事は無いのだよ マスター?私はヴァンパイア… マスターが今しがた口にした それ程の者を 優に超える力を持っていると… それだけの事」
グレイゼスが驚いて視線を強める ヴィンが言う
「しかし 同時にその私や… あのリックさえも越える力… そう、諸君ARTの司令官にして 我々ヴァンパイアや諸君マスターより 遥かに劣る ”人間である筈”の 彼の力には とても 興味が尽きない」
グレイゼスがハッと気付くと モニターにエレキギターの写真やデータが現れる グレイゼスが驚いて思う
(ARTのトリプルトップシークレット処理を施した あのデータが たったの1分02秒で 破られたっ!?)
ヴィンがデータを見て言う
「ふむ… 思っていた通り やはり あの楽器そのものに力は無かったか… それに 彼の演奏を録音したデータの方もまた然り」
ヴィンがコンソールを操作すると別のデータが現れる グレイゼスが驚いて言う
「それはっ 以前に採取した…っ!」
グレイゼスが表情を強めて思う
(国防軍のトリプルトップシークレットだぞ!?あれは俺だけじゃないっ このアールスローン全土のマスターたちが作り上げた 鉄壁のセキュリティ!それを…っ!?)
ヴィンが微笑して言う
「ふふふ… 流石にこちらのロックを解除するには 少々時間を有してしまったが その価値は十分にあった… 最も?我が愛しの生徒 マスターグレイゼス本人がこちらに在席してくれてさえいれば この様な手間は省かれた筈なのだが?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そう… ですね?それはお手間を お掛けして しまいまして?」
グレイゼスが思う
(こいつは本当にマスターを含む 俺らアールスローンの者では 敵わないな?…ハブロス司令官以外ではっ!)
【 病院 】
通路
隊員Cがやって来て病室を確かめてからノックをする
病室
隊員Cが入室すると 隊員C母が席を立って言う
「サキシュっ!」
隊員Cが微笑して言う
「ただいま 母さん」
隊員C母が苦笑して言う
「無事帰って来たんだね?良かった…」
隊員Cが言う
「ああ、ごめん 本当は今朝早くに戻ってたんだけど アールスローンに帰って来たら どっと疲れが出ちゃってさ?さっきまで爆睡してて もっと早く来るつもりだったんだけど それで?兄貴は …まだ?」
隊員C母が苦笑して言う
「ええ… まだ…」
隊員Cがラキンゼスの近くへ行く ラキンゼスはベッドで眠っている 隊員Cが点滴の袋を見上げてから苦笑して言う
「兄貴も 疲れてるんだろうな?俺らが行くより ずっと前からアウターで活動してたんだ …アールスローンに戻って 安心したんじゃねぇ?ナノマシーンにも 振り回されちまったし?」
隊員C母が言う
「そのナノマシーンが一緒だから 大丈夫だろうって思っていたのだけどね …代々引き継がれていた 大切なものだって お父さんも言っていたけれど…」
隊員Cが苦笑して言う
「そういう割には 親父はビビッて継がなかったんだろう?それを 兄貴が子供の頃見付けたって?」
隊員C母苦笑して言う
「ええ 本当に… それで 可笑しな事言うのよ?このナノマシーンは 僕に力を貸したいって言ってるんだ!…て そう言って聞かないの そのケースを掴んだっきり 離さないのよ …それで 仕方が無く」
隊員Cがキーネックレスを見て言う
「…まぁ その気持ちは 今なら 俺も 分からないでもないけどさ…?」
隊員Cがラキンゼスを見て言う
「兄貴がその時 手に入れた ナノマシーンは… ハブロス司令官が 持って行っちゃったぜ?兄貴?」
隊員C母が軽く息を吐いて言う
「…それじゃ 少しお願いね?母さんちょっと…」
隊員Cが言う
「ああ、良いよ 一度帰って ゆっくり休んで来たら?俺は しばらく居るつもりだからさ?」
隊員C母が頷いてから病室を出て行く 隊員Cが軽く息を吐いてから ラキンゼスへ向き 近くにあった椅子へ座る キーネックレスが僅かに煌く ラキンゼスが閉じている目をわずかに強める
【 ART2 】
マリアがラミリツへ向き直って言う
「今日は 本当に有難う御座いました それから …すみませんでした 私の 個人的な相談に 付き合わせてしまって」
ラミリツが思う
(今日は お互いに ちょっと秘密を 話し過ぎちゃったかもしれない けど… それでも良かった マリアさんに分かってもらえて そうじゃないと)
ラミリツが微笑して言う
「いえ お役に立てたのなら 良かったです それに…」
マリアが言う
「それに?」
ラミリツが思う
(そのマリアさんには ウィザードたちの協力を得る為に… … …いや?違う! やっぱ そうじゃない)
ラミリツが言う
「マリアさんとは 任務では無くて 個人的に 友人になれたら良いなと 思っていたもので」
マリアが一瞬驚いて言う
「え…?」
ラミリツが思う
(この数日間 地位や名誉もなく 対等に 友人として話を出来た人は マリアさんが初めてだったかも知れない だから)
ラミリツが微笑して言う
「ですから 相談相手に選んでもらえて 嬉しかったです」
マリアが呆気に取られた後 微笑して言う
「有難う御座います 私も… ラミリツさんとお話出来て 嬉しかったです」
ラミリツが思う
(それは… 本当に?でも もし 本当だとしたら)
マリアが微笑して言う
「また お会いしましょう ラミリツさん!」
ラミリツが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「はい また お会いしましょう マリアさん」
ラミリツが思う
(国を越えて 任務も何もなく 僕らは友人になれたのかな?)
マリアが微笑すると ネックレスを握って意識を向ける ラミリツが気付いて思う
(そう言えば 以前もあんな風にして…?)
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
ラミリツが驚いて声の方へ向く マリアが微笑して声の方へ向く レイが空を飛んで来て到着して言う
「俺を呼んだか!?マリアっ!?」
ラミリツが思う
(呼んだ?それじゃ やっぱり あのネックレスが… そうだったんだ それに)
マリアが微笑して言う
「はい ウィザードさま!申し訳ないのですが この村から会社へ 私を送って頂けないでしょうか?」
レイが言う
「ああ!もちろん 送ってやるぞ!?申し訳なくなんか ないからな!」
ラミリツが思わず笑みをこぼして思う
(やっぱりね?こんなに強い 1つのソウルのある人が… クローン… いや、デコイなんかじゃないよね?エルム?)
ラミリツがM82へ意識を向ける レイがラミリツへ向いて言う
「それじゃ ラミリツ!マリアは 返してもらうぞっ!?けど 今度また勝手に お前のマシーナリーに マリアを連れてったりしたら 俺のデカイ魔法の1発で お前のマシーナリーなんか ぶっ壊してやるんだからな!?」
マリアとラミリツが衝撃を受け ラミリツが言う
「え!?えっと… それは 今 この国でやられると ちょっと困るかも…」
ラミリツが苦笑しながら思う
(そんな事されたら 僕が アールスローンに帰れなくなっちゃうよっ!?いくら こっちの国にマリアさんと言う 友人が出来たと言っても…っ)
マリアが慌てて言う
「ウィ、ウィザードさまっ!何言ってるんですか!?そんな事したらっ 私…っ もう ウィザードさまの お夕食作りませんよっ!?」
レイが衝撃を受けて言う
「えっ!?それは 困るっ …けど 俺は マリアを連れて行かれちゃうのも 困るし… あのマシーナリーの中はさ?俺の力でも見えないんだよ だから 俺 マリアがあの中に入っちゃうと すげぇ心配なんだよ マリア」
ラミリツが気付いて思う
(見えない?神様の力でも?それは…)
ラミリツが苦笑して言う
「それでは 今度お話をする時には そちらのウィザード様も ご一緒に?もしくは マシーナリーの外で お話しをましょう?マリアさん」
ラミリツが思う
(あのマシーナリーに アウターの異常電波を遮る力があるから その影響でって事かな?それとも…?)
マリアが微笑して言う
「はい そうですね?」
レイが言う
「それじゃ 会社へ戻るぞ?マリア?」
マリアが言う
「はい お願いします!ウィザードさま!」
レイとマリアが風に消える ラミリツが思う
(彼がアークの… クローンであるから …なのかな?でも まぁ… 良いよね?例えそうだとしても)
ラミリツが微笑してから言う
「…さて?僕らも 皆の所へ戻ろうか?」
ラミリツがマシーナリーへ向く マシーナリーが沈黙している ラミリツがハッとして言う
「…あれ?また つい 言っちゃったや…」
ラミリツが疑問しつつ マシーナリーへ向かいながら思う
(何だか分からないけど このマシーナリーって… どうも…)
ラミリツがコックピットに座って言う
「まるで 彼らと話しているような感じがするんだよね?…エルムの …あのデコイたちみたいにさ?」
ラミリツが思う
(何でだろうね?それこそ… もう そのデコイにだって会えないのに…)
ラミリツが苦笑してから意識を向けて言う
「…さぁ 戻るよ?野営基地へ!」
マシーナリーが起動してコックピットが閉まる
【 病院 】
隊員Cが言う
「でなぁ?その迫り来る ミサイルやら何やらを潜り抜けて やっと入り込んだと思ったら!今度はそこに すげぇ 美女が居てさ!けどそいつが 残念ながらと言うか?聞いて驚けよ!兄貴!?なんと ヴァンパイアだったんだ!どうだ!?驚きだろ~!?」
隊員Cがラキンゼスを見る ラキンゼスは眠っている 隊員Cが軽く息を吐いて言う
「…はぁ 流石に 一人で話してても 盛り上がらねぇや… せめて …バイスン隊員でも居りゃぁなぁ?それに 任務内容を 普通の人には話せねぇし… 後で ARTへ行くか?どうせ 24時間休暇だっつっても いつもの連中は居るだろうから…」
隊員Cがラキンゼスを見て言う
「兄貴が起きてくれりゃ それこそ 思いっきり話せるのによ?…なぁ?兄貴?早く起きねぇと… ARTに戻れないぜ?ハブロス司令官だって 何時までも戻って来ない 隊員じゃ 除名しちまうぜ?きっと?」
キーネックレスが煌く ラキンゼスの目元に力が入る
ラキンゼスの意識の中
ラキンゼスがマシーナリーを降りる ARTゼロのマシーナリーが向いて言う
「隊長!一人では危険ですっ!」
ラキンゼスが振り向いて言う
「いんや?こう言う時は 逆に大人数では 警戒をさせてしまう こっちに敵意が無い事を示す為にも まずは 俺が一人で行って来る …それに その方が 被害も少ないからな?お互いに?」
ARTゼロのマシーナリーが言う
「ラキンゼスっ!」
ラキンゼスが言う
「任せとけって!あ、それから もし 1時間経っても 戻らなかったら その時は俺に構わず 帰還してくれ?良いな?ARTゼロの隊長命令だぜ?」
ARTゼロのマシーナリーたちが言う
「隊長っ!」 「ラキンゼスっ!」
ラキンゼスが軽く手を振って歩いて行く 行く手には城下町が見えている
ラキンゼスが周囲を見ながら歩いて言う
「マシーナリーを降りた地点から およそ…キロ 周囲に異常なし 共に人影や何かの気配すら感じない だが廃墟と言うには綺麗過ぎる まるで 今も人が住んでいる… いや むしろ」
ラキンゼスが立ち止まり周囲を見渡して言う
「時が… 止まってしまっているかのような… 率直に そんな感覚だ …気持ちが悪い」
ラキンゼスが時計台を見ると時計が止まっている ラキンゼスが視線を強めて言う
「あの時計台は止まってるのか?さっきと時刻が変わっていない …本当に気味が悪いな」
ラキンゼスが気を引き締めて歩みを再開する
ラキンゼスが言いながら歩いている
「マシーナリーを降りた地点から およそ…キロ 周囲に変化は無い 時計台も 変化なし それから さっきまでは気付かなかったが…」
ラキンゼスが立ち止まり空を見上げて言う
「雲ひとつ動いちゃ居ない …これは」
ラキンゼスが視線を強めて思う
(映像か…っ だとしたらっ!?)
ラキンゼスが気付いて視線を向ける 噴水の下に人影が腰を下ろしている ラキンゼスがハッとして言う
「人だっ!人物を発見!」
ラキンゼスが走って向かう
ラキンゼスが人物の前に到着すると 軽く息を整えて言う
「私はアールスローン帝国軍レギスト特殊機動部隊隊長 マスターラキンゼスと言う者だが」
人物が伏せていた視線を上げて言う
「アールスローンの… そうか…」
ラキンゼスが言う
「貴方は?この国の方か?出来れば 名前を聞かせてもらいたい」
人物が言う
「我が名か?そうよな アールスローンの民 ならば… その方へと伝え得る 我が名は 2つある」
ラキンゼスが言う
「2つ?では そちらを 聞かせてもらいたいのだが?」
人物が言う
「ならば答えよ その方の… 神の名は?」
ラキンゼスが言う
「神の?…すまないが 我々の国では 神の名は知られていない」
人物が言う
「そうか… では 問い方を変えよう その方の… 王の名は?」
ラキンゼス
「王?我らアールスローンの女帝陛下のお名前と言う事なら そちらもすまないが… 我々の耳には出来ないものだ 陛下のお名前は アールスローンの神だけが 呼ぶ事を許されていると …その様に 言われている」
人物が苦笑して言う
「そうか… 上手く言ったものだな?では 問い方を変えよう」
ラキンゼスが疑問して言う
「まだ 何か?」
人物が言う
「その方の 仕える者の名は?」
ラキンゼスが言う
「仕える?」
人物が言う
「そうだ その方は マスターと名乗った …ならば その方には 仕えるべき主が在る筈 その者の名だ」
ラキンゼスが僅かに表情を困らせて言う
「仕える… ご奉仕していると言うつもりは無いが… 強いて主と言うのなら …我々の上官は アース・メイヴン・ハブロス司令官だ」
人物が反応して言う
「…そうか 良いだろう …ならば 我も答えよう 我が名は… ローゼンダーク」
ラキンゼスが言う
「ローゼンダーク…」
ローゼンダークが立ち上がる ラキンゼスが反応する ローゼンダークがゆっくりとラキンゼスへ向かって来る ラキンゼスがハッとして思う
(何だ?何か…っ!?)
ラキンゼスの耳に高音域の音が響き 体が震えだす ラキンゼスが驚いて思う
(何だ?この頭の中に響く音は!?身体が…っ 震えて…!?いや 違う 俺の身体じゃない ナノマシーンが…っ!?”ラキンゼス”が!?)
ラキンゼスがハッとすると ローゼンダークが笑んで言う
「”ハブロス”… なるほど やはり 再び 我が前に… クックック… 待っていたぞ?さぁ ラキンゼス 我が声へ答えよっ」
ラキンゼスの身体が硬直する ラキンゼスが目を見開いて思う
(――ナノマシーンがっ!?)
ラキンゼスがローゼンダークへ視線を向けて言う
「あ、貴方は…っ!?一体…っ!?」
ローゼンダークが言う
「我か?我は その方らの神 ネロ・アーク・フォライサー」
ローゼンダークがネロの姿に変わる ラキンゼスが驚いて言う
「神…!?」
ネロが言う
「そうだ 従いて その方らの神とある この我が命じる ラキンゼス さぁ… お前の愛する アールスローンの者を 全て… 殺せっ」
ラキンゼスが目を見開く
ラキンゼスが言う
「…うっ …ぐっ」
隊員Cがハッとして言う
「え?兄貴っ!?」
ラキンゼスの脳裏に記憶が蘇る
ネロがラキンゼスの背後にゲートを発生させ ラキンゼスの前に手を向ける ラキンゼスがハッとすると ラキンゼスの身体が吹き飛ばされ ゲートに消える 脳裏にネロの声が聞こえる
『お前の愛する アールスローンの者を 全て… 殺せっ』
ラキンゼスの脳裏に走馬灯が流れ その後の出来事が思い出される
ラキンゼスが目を見開き 錯乱して叫ぶ
「止めろっ!止めろっ!ラキンゼスーーっ!!」
隊員Cが驚き 慌てて言う
「あ、兄貴っ!?どうしたっ 大丈夫かっ!?お、落ち着けってっ!?」
ラキンゼスが錯乱して叫ぶ
「止めてくれっ!伝えるんだっ!早くっ ハブロス司令官にっ!早くっ 奴をっ!ローゼンダークがっ!アールスローンをっ!!」
隊員Cが呆気に取られて言う
「な、なんだよっ!?伝えろって!?何を!?ハブロス司令官に!?ロ、ローゼン!?とにかく 落ち着いてくれっ 兄貴っ!マスターラキンゼスっ!?」
ラキンゼスが言う
「止めてくれっ!このままじゃ 奴がっ ネロ・アーク・フォライサーがっ ナノマシーンをっ!皆がっ!仲間がっ!俺の 家族がっ サキ!助けてくれっ!早くっ!早く知らせるんだっ!早く!」
隊員Cが怯えて言う
「な、何だよっ!?い、一体 どうしたら良いんだよっ!?」
隊員Cがナースコールボタンに気付いて言う
「そ、そうだっ 医者をっ!」
隊員Cがナースコールボタンを押して言う
「せ、先生を呼んでくれっ 兄貴が…っ 患者が意識を取り戻したんだが 騒いで…っ!」
ラキンゼスが錯乱して叫ぶ
「あぁああー!俺は 俺は 殺したくないんだっ!そんな事はやりたくないーっ!止めてくれっ ラキンゼスー!!」
隊員Cが困り怯えてラキンゼスへ言う
「あ、兄貴…っ!?」
医者と看護師が入って来て 医者が言う
「マスターラキンゼス 落ち着いて ここは病院です もう 大丈夫ですよ?」
ラキンゼスが言う
「早く止めないとっ 奴が狙ってるんだっ この アールスローンをっ!奴は 動き始めたんだっ だから 伝えないとっ!?きっと知っているっ 皇帝と仲間である ハブロス司令官なら!奴の事を!だから… ハブロス司令官にっ 早くっ!」
看護師が隊員Cへ言う
「外でお待ち下さい」
隊員Cが言う
「は、はい…」
医者が言う
「鎮静剤を用意して バルビツレートも」
看護師が言う
「はい」
看護師が出て行く 隊員Cが医者と看護師を見てから視線を落とし病室を出る
【 ART 第一訓練所 】
隊員Bが現れて言う
「おっはよー!アッちゃんー!」
隊員Aが振り向いて言う
「ああ お早う って言っても… バイちゃん もう昼過ぎだけど?でも やっぱり来たんだな?」
隊員Bが言う
「もっちろんだよー!」
隊員Nが言う
「けど おせーじゃん?珍しい?」
隊員Bが言う
「あれー?ナッちゃんが居るー?珍しいー?」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「なぁっ!?こ、このー どういう意味だよっ バイちゃん隊員!?」
隊員Bが言う
「えー?だってー?」
隊員Iが言う
「けど 本当に バイスン隊員が居ないのには 驚いたけど?」
隊員Bが言う
「あ!イッちゃんも居たんだー?イッちゃんは 珍しいー じゃないねー?」
隊員Iが言う
「え?そうか?俺としては 自分にしては 珍しいと思ってるけど?」
隊員Aが言う
「イリアス隊員の 最近の頑張りは 誰の目にも見えているって事だよ?」
隊員Iが苦笑して言う
「そう… 言ってもらえるのは嬉しいけど…」
隊員Aが言う
「それはそうと バイちゃんは 本当に珍しく遅かったけど どうかしたのか?」
隊員Bが言う
「うん、俺ねー!フッちゃんの お見舞いに行こうと思ってー!」
隊員Aが言う
「ああ、それでか?」
隊員Bが言う
「張り切ってたのに 寝坊しちゃってー?しかも 病院行ってみたら フッちゃん退院してたのー!俺チョーカッコ悪いー!にひひっ!」
隊員Aが軽く笑って言う
「あれ?そうだったのか?俺も知らなかったよ だから 後で行こうかって思ってたんだけど それじゃ 俺も チョーカッコ悪いな?ははっ」
隊員Iが言う
「フレッド隊員は おととい退院したんだってさ?今朝 電話した時に聞いたよ」
隊員Bが言う
「あー そうだったんだー?」
隊員Iが言う
「ついでにART1の作戦は 無事完了したって 伝えといたぜ?」
隊員Aが言う
「そっか それなら フレッド隊員は 喜んでくれたんじゃないか?」
隊員Iが言う
「ああ、喜んでた… って言うか ホッとしたって感じだったよ ”良かった”って?」
隊員Nが笑んで言う
「まぁ そうだろうな?何てったって イリアス隊員の兄貴的存在だもんな?そりゃ 弟分の事は心配してただろうぜ?」
隊員Bが言う
「兄貴的存在ー?」
隊員Iが苦笑して言う
「あぁ あれは 何ていうか あの時のノリで… …それに 安心してくれたと思ったら 今度は DD6はどうだった?乗り心地は?コックピット内の様子は?とか 滅茶苦茶聞かれてさ?大変だったよ?」
皆が笑って 隊員Aが言う
「フレッド隊員らしいな?けど その様子なら そろそろ 戻って来られそうかな?」
隊員Iが言う
「ああ、多分な?打撲の痛みは無くなったって言っていたし?」
隊員Aが言う
「そっか 良かった フレッド隊員も戻ってくれば こうやって 休暇出隊する隊員がもう一人増えて6人に… あれ?今 4人しか居ない?」
隊員Bが言う
「あれー?サッちゃんはー?」
隊員Iが言う
「サキシュ隊員は来てないけど?」
隊員Nが言う
「何だ 噂のサッちゃん隊員は 張り切り組みを 3日坊主かぁ?」
隊員Aが苦笑して言う
「いや、ナクス隊員じゃないんだから?」
隊員Nが言う
「どういう意味だよっ アッちゃん隊員っ!?」
隊員Iが言う
「あ!ひょっとして サキシュ隊員も お兄さんの お見舞いじゃないか?」
隊員Bが言う
「あー そう言えばー?」
隊員Aが言う
「ああ、そう言えば… バイちゃん 見掛けなかったのか?病院で?2人は同じ病院だろ?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Iが言う
「いや それは無いんじゃないか?同じ部隊なら兎も角 通常 国防軍なんかだと 別部隊の隊員とは わざと病室を離すだろう?気兼ねがない様にってさ?だから…」
隊員Aが言う
「そっか それじゃ フレッド隊員の病室だった方へ向かったバイちゃんとは 会わないな?」
隊員Bが言う
「そうだねー サッちゃんは見てないよー?もし見たら 俺 声掛けるしー?」
隊員Aが言う
「だろうな?バイちゃんなら?」
隊員Bが言う
「うん!あ、けどさー 俺 やっぱ 声掛けられなかったんだよねー?」
隊員Nが言う
「え?声を掛けられなかったって?バイちゃん隊員が?誰に?」
皆が疑問する 隊員Bが言う
「俺 サッちゃんには会ってないけど あれ多分… ハブロス司令官だったと思うんだよねー?病院の入り口で見かけたのー!」
隊員AとNとIが驚いて言う
「「「えぇえー!?」」」
隊員Bが言う
「もしかして ハブロス司令官も お見舞いかなー?」
隊員AとNとIが顔を見合わせ 隊員Nが言う
「ま、まさか…?なぁ?」
隊員Aが言う
「う、うーん…?」
病室外
隊員Cが携帯を前に考えながら言う
「伝えろって言われたって… ローゼン…何とか?ネロ…何とか…?とか…?そんなの言われたって… そもそも 俺が ハブロス司令官へ連絡なんて…っ」
アースの声が聞こえる
「サキシュ隊員」
隊員Cが衝撃を受け 顔を向けるとアースがやって来る 隊員Cが慌てて立ち上がって言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?な、何でっ!?」
アースが到着して言う
「担当の医師へ マスターラキンゼスの意識が戻ったら 連絡を寄越すようにと伝えておいた それで?彼の容態は?」
隊員Cが慌てて言う
「え!?えっとっ あの…っ その…っ!?な、何だっけ…っ?な、なんか伝えろって…?とにかく ハブロス司令官に伝えたいって 言ってるんですけど…?」
アースが言う
「私に?」
隊員Cが言う
「けど、何か すげぇ 錯乱してて… あんな兄貴は 見た事が なくて…」
アースが言う
「それで?」
隊員Cが一瞬衝撃を受けて言う
「え!?えっと…?それで?それで… ああっ!今 医者の先生が 鎮静剤を打ってくれるから 大丈夫だって 看護師さんが…」
アースが言う
「分かった 直接 話を聞きたい すまないが 入らせてもらうぞ?」
アースが病室へ向かう 隊員Cが慌てて言う
「えっ!?あ、でも 本当に…っ 今は!」
隊員Cがアースを追う
病室内
ラキンゼスが錯乱して叫んでいる
「何でそんな事するんだっ やめてくれ ラキンゼスっ!俺は 殺したくないっ!誰も 殺したくないっ!だから 伝えるんだよ!早くっ ハブロス司令官へ 国防軍へっ!」
医者が言う
「…効かないか 仕方がない バルビツレートを」
看護師が言う
「はい」
アースが言う
「バルビツレート?駄目だ リスクが高過ぎる」
医者と看護師が一瞬驚いてアースを見る アースがラキンゼスへ向かう 看護師が言う
「処置中です 外でお待ち下さい」
アースが言う
「言語が明瞭だ 初期症状なら まだ話せる ――マスターラキンゼス隊長っ!聞こえるかっ!?」
アースの後方に居た隊員Cが呆気に取られる ラキンゼスがハッとして言う
「ハ、ハブロス司令官…っ!?」
アースがラキンゼスの腕と肩を押さえて言う
「そうだ 私だっ 何があった!?報告を行えっ!ARTゼロ隊長っ!」
ラキンゼスが怯えながら言う
「も、門の中に…っ 街が… あって その先にっ はぁ…っ はぁ…っ!」
アースが言う
「心配ないっ 私が居る お前は1人ではないっ!その先へ向かえっ マスターラキンゼス!」
ラキンゼスが言う
「その… 先に…っ 奴が…っ!」
アースが言う
「奴?誰だ?」
隊員Cが呆気に取られている 医者が看護師へ目配せをして 医者が隊員Cへ言う
「我々は外に居りますので」
隊員Cがハッとして言う
「は、はい…っ」
アースが言う
「言えっ 誰だ!?誰が お前を怯えさせているっ!?」
アースが手の力を強める ラキンゼスが息を飲んだ後言う
「ロ… ローゼンダークがっ」
アースが驚く ラキンゼスがアースの腕を掴んで言う
「ネロ… アーク・フォライサーがっ ハブロス司令官にっ」
アースが言う
「ネロ…?奴か…っ!」
アースが怒りを抑える ラキンゼスが言う
「そいつが 俺たちの神だって言ってっ ナノマシーンをっ!ラキンゼスを 操ってっ 殺せとっ アールスローンの 俺の愛するものを殺せとっ!俺は…っ 嫌だっ 止めてくれ ラキンゼスっ!!」
アースが言う
「よし もう心配は無い マスターラキンゼス 聞けっ!お前のナノマシーンは 全て排除した!お前の身体には もう残っては居ない!」
ラキンゼスが驚く アースが言う
「お前たちが起こした事件も 全て解決したっ!レギストが抑えたっ!お前は誰も殺しては居ないっ」
ラキンゼスが驚いたまま言う
「レギストが…?俺は… 誰も… 殺してない?」
アースが言う
「ああ、そうだ 誰も殺していない お前は良く耐えた もう 何も心配はいらない」
ラキンゼスがハッとして言う
「…け、けどっ ナノマシーンがっ ラキンゼスが言うんだっ 神の命に従うってっ!作戦を考えろってっ!」
アースが言う
「そちらは 既に 考える必要も無い それを言うナノマシーンはもう居ない お前の ナノマシーンは ”全て破壊した”」
ラキンゼスが呆気に取られる アースが言う
「ナノマシーン ラキンゼスは もう何処にも ”存在しない” 全て 終わったんだっ」
隊員Cが呆気に取られていて言う
「破壊… した…?」
ラキンゼスが脱力して言う
「もう 居ない…?全て…?それ なら…?」
アースがラキンゼスの身体を押さえていて言う
「ああ、もう大丈夫だ 何の心配もない お前は 何も考えなくて良い 後の事は 全て 私へ任せろ!私が引き受けるっ!」
ラキンゼスが静かに目を閉じて脱力する アースがラキンゼスの身をベッドへ休ませる 隊員Cが呆然としていると アースが隣に立つ 隊員Cがハッとして言い掛ける
「あ…っ!」
アースが言う
「彼を頼むぞ サキシュ隊員… 傍に居てやれ」
隊員Cが言う
「…は、はい…」
アースが立ち去る 隊員Cが呆然と立ち尽くしてから言う
「…破壊した?もう… 何処にも… 居ない…?」
隊員Cがラキンゼスを見て 一度視線を落とし肩の力を抜いてから ラキンゼスの近くへ向かう 力の抜けた胸元でキーネックレスが揺れている
続く
Mラミリツ内 マリアが掴っているシートの背に 軽く身体を預けた状態で苦笑して言う
「その時に出会った”魔法使いの男の子”が 実は その”ウィザードさま”だったんです でも私は全然気が付かなくって それで…」
ラミリツが操縦をしながらチラッと視線を向けて言う
「では 彼はその頃から ずっと マリアさんを探して?」
マリアが言う
「はい ずっと… なのかは分からないですが 彼は その時に ”マリアのウィザードさま になろうと思ったんだ”って そう言ってました だから 多分…」
ラミリツが微笑して言う
「それなら 本当に凄いですね?そんなに小さな頃に出会った女の子を 10年以上の時間を掛けて探して… ”探し出す”だなんて?」
ラミリツが思う
(そっか… 本当に探し出す事って出来るんだ?…あれ?それじゃ 僕らの神様は?あの帝国の皇帝は…?)
マリアが軽く笑って言う
「そうですね?でも その為にウィザードになっちゃうだなんて …ふふっ だけど、そんな所が 彼らしいかなって?…それこそ 本当は そのウィザードたちの神様である ”アーク”なのに」
ラミリツが言う
「…アーク?…こちらの世界では 神様の事を ”アーク”と呼ぶのですか?」
マリアがハッとして衝撃を受けて言う
「…えっ!?い、言わないんですかっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「そうですね?”アーク”と言う言葉は 私は こちらの国に来て 初めて耳にしました」
マリアが慌てて言う
「そ、それではっ!?アールスローンでは!?そちらのアールスローンの神様の事は アークって呼ばないんですかっ!?」
ラミリツが言う
「はい 我々の神様は 先ほどお話した様に 帝国と呼ばれている要塞に居る者でしたので その帝国の皇帝である とされていて …そのせいもあって 今でも 彼の事は ”皇帝”と呼んでいます」
マリアが困って言う
「こ、皇帝…?アークじゃなかった…っ …ど、どうしようっ?」
ラミリツが言う
「それに その皇帝が神様だと言う事も アールスローンでは秘密にしていますからね?」
ラミリツが軽く笑う マリアが呆気に取られてから 困り苦笑をして言う
「そ、それでは その… 私のウィザードさまが… …彼が アークだって事も ”秘密”にしてもらえますか?」
ラミリツが言う
「はい、もちろんです」
マリアがホッとする ラミリツが言う
「それに 私も 既に沢山 マリアさんへ アールスローンの”秘密”のお話をしてますから それは もう お互い様でしょう?」
マリアが呆気に取られた後苦笑して言う
「そう言えば そうですね?本当に… でも なんだか 不思議です 私がラミリツさんにお会いしたのは これで 2回目… あ、3回目でしたっけ?それなのに 普通ではお話出来ない事を 沢山話してしまっていて」
ラミリツが言う
「そうですね?しかし 元々 マリアさんも私も お互いの国の… 割とそう言う事に携わる 仕事をしている者同士ですから これは 必然でもあったのかもしれません」
マリアが言う
「あ… そう言えば… …そうなのかも?」
ラミリツが苦笑して言う
「マリアさんは ウィザード様の奉者様で 更にその奉者様方の奉者協会の会長である アイザック・シュテーゲル様のご息女様で 更に言うなら この世界の”神様の奉者様”ですよ?灯魔台の建設にも携わっておられますし これほど凄い方は こちらのお国の中では マリアさん以外に 居られないのではないでしょうか?」
マリアが呆気に取られてから言う
「そ、そう… なのかも…?そう… ですね?改めて考えると 私、何時の間にか そんな所へ辿り着いて…?…あっ でも!私は そのっ …確かに そう言葉を並べると 凄いかもしれませんが 本当に 何も…っ 何も分かって無くて それに そんな風になるつもりなんかも まったく無かったんですっ」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「その お気持ちは とても良く分かります 私も そうでしたから」
マリアが言う
「え?」
ラミリツが言う
「私は 父や祖父が警察関係の仕事をしていたので 子供の頃から ずっと自分もその様になるのだろうと思っていました… 実際 その為の訓練や勉強をしていたのですが 今は警察と言うより その警察組織の上層である政府の代表ですし もっと言えば政府から外れた ARTの隊長です …だから 何でこんな事になったんだろう?って、今でもたまに考えます」
マリアが呆気に取られた後微笑して言う
「それでは…」
ラミリツが言う
「でも 今はこれで 良かったと思っています」
マリアが呆気に取られて言う
「え…?」
ラミリツが言う
「確かに 最初に目指していた場所とは違う所に行きましたが… それでも本当に やろうと思っている事に 変わりはありません むしろ それが出来る 最前線に辿り着く事が出来た …だから 今はここまで僕を導いてくれた 兄や父… そして、祖父に感謝しています」
マリアが言葉を失う ラミリツがハッとして言う
「あ… すみません ちょっと脱線しましたよね?…えっと なんでしたっけ?」
マリアが言う
「ラミリツさんは とっても 強いですね?」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?えーと…?」
ラミリツが思う
(強い?それは… 確かに 僕はART2の隊長だし それなりに訓練だって十分にしたから 相応の自信はあるつもりだけど …だけど 今は そういった話はしていなかった訳だから それは…?)
ラミリツが言う
「それは…?」
マリアが言う
「私も以前 ウィザードさまと一緒に …えっと 戦場とは言わないと思うんですけど アウターの異常魔力を受けた動物たちの群れが 村を襲った事があって それは… 私が ウィザードさまの灯魔作業の順番を決める事を あまり深く知らないで行ってしまった事が原因で …だから その村を助けに行こうって事になったんです ウィザードさまが 奉者の責任は その奉者のウィザードの責任でもあるって そう言ってくれて…」
ラミリツが言う
「では あのウィザード様が 動物たちの群れを?」
マリアが言う
「はい それで実際に行ってみたら 本当に数え切れない位の動物たちが集まって 村の人たちへ牙を剥いていて… その村が雇っていた魔法使いも逃げ出してしまったって …私はもちろん ウィザードさまに付いて行っただけで その背に隠れていただけなんですけど とっても… 怖かったです」
ラミリツが思う
(動物たちの群れ か… 確かに アウターの異常魔力に精神を蝕まれている状態だと 厄介な相手だ 正確な数が分からないから判断は難しいけど それでも ”数え切れないほど”…って言う位なら 実際 僕が立ち向かうとしたら?…うーん やっぱり 1人では…)
マリアが言う
「でもその… 怖いと言うのは それは… えっと… 私はそれまでに ウィザードさまの灯魔作業を見てましたから だから 正直な所 負ける …と言う事への不安は無かったんです …だから そうではなくて 私が怖かったのは やっぱり その… 光景が…」
ラミリツが気付いて思う
(そうか …分かった マリアさんの気持ちが)
ラミリツの脳裏に 過去女帝陛下のパレードで逃げ出した事が思い出される マリアが言う
「ラミリツさんの言う 最前線って つまり あのような光景の場所だと思うんです だとしたら 私にはとても… 例え ウィザードさまが一緒でも…」
ラミリツが言う
「それは 私も 同じです」
マリアが驚いてラミリツを見る ラミリツが言う
「私は… いえ、僕は 本当は凄く臆病なんです」
マリアが呆気に取られて言う
「え?」
ラミリツが苦笑して言う
「なので きっと マリアさんが 今 教えてくれたような その場所へ ”たった1人”で… もしくは マリアさんのウィザードさまと同じ様に マリアさんが一緒だったとしても きっと 僕はマリアさんと一緒に その場から 逃げ出してしまうと思います」
マリアが呆気に取られて言う
「え?えっと…?でも…?」
ラミリツが言う
「けど 今の僕は 1人や2人ではなくて ART2の隊員たちは勿論ですが ARTには他にも機動部隊があったり それ以外の仲間もいっぱい居ます それに 戦場へ向かう時には 事前に有効な指示や情報を 受け取ったりとか… そう!つまり 同じ目的を持った 仲間が居る …そして 直接一緒に戦う仲間ではなくても 応援をしてくれる人々とか そう言った 沢山の人が居るから …だから 僕は戦えます」
マリアが呆気に取られて言う
「…仲間 …人々」
ラミリツが言う
「それに 僕は思いますけど それらを 本当に必要としない人間と言うのは …居ないのではないのかなって?だって… そうであるから 僕ら人は村や町、国を作って 皆で生きているのでしょう?」
マリアが呆気に取られた状態から 微笑して言う
「そうですね?私も… そう思います!」
ラミリツが微笑する マリアが言う
「やっぱり …同じですね?」
ラミリツが言う
「はい やっぱり 僕らは同じ人間です」
マリアとラミリツが微笑する Mラミリツが滑走して行く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
アースが言う
「言って置くが もし 万が一にも 私の仲間である このARTの者たちへ 少しでも危害を与えるようであれば…」
アースがエレキギターを縦に構え弦を一本弾き下げる エレキギター特有の音に ヴィンが身を震わせてから言う
「くぅ…っ まさか この私自信が この苦しみを味わう日が来ようとは 想像もしていなかったのだが…っ」
リックが両耳をふさいで表情を顰めた状態から言う
「…ああっ まったく あのクソ女が居なくなって もう二度と こんな目に会う事はねえと思って 来てみりゃぁ…」
アースが疑問して言う
「それは…?」
アースが弦を一本弾いてから言う
「どういう意味だ?」
ヴィンとリックが苦しんでいて リックが怒って叫ぶ
「いちいち 音を立てやがるんじゃねぇえっ!この ド下手クソ野郎があっ!」
アースが衝撃を受け怒って言う
「何いっ!?この私の最高のソウルを もう一度 その身に味わいたいと言うのならっ!」
アースがエレキギターを構える リックが怒って言う
「言ってねぇえだろっ!?この下手クソ野郎お!」
部屋のドアが開き グレイゼスが入室しながら言う
「返答を得られない為 失礼しま… えー… あの… ハブロス司令官?このART本部内で 割と リスキーな事を していらっしゃる様ですが?」
アースがハッとして言う
「…あ、ああっ そうだったな …ここで音を立てる事は 私への被害も考慮する必要があるのだった」
グレイゼスが言う
「それで?自分への呼び出しのコールは?それに… こちらの 方々は…?その~… ハブロス司令官の ”そちら”のご趣味を知らせても 不都合の無いお方々で?」
アースが言う
「出来る事なら 私も このART本部内で こちらの力を… と言うより ”こちらの武器”を手にしたくはなかったのだが 相手がその武器か もしくは ”銀”を用いなければ倒せない 相手となれば 手にする他に無いだろう?」
グレイゼスが気付いて言う
「その武器か 銀を?…”銀”?それではっ!?もしやっ!?」
リックとヴィンがグレイゼスを見る グレイゼスが2人を見て驚く
【 ART2 】
レイが言う
「そうか!それじゃ…」
レイが顔を向ける レイの視線の先 Mラミリツの前にラミリツが居る レイが微笑して言う
「ラミリツ!今日は 俺の代わりに マリアの移動を手伝ってくれて ありがとな!」
マリアが驚く ラミリツが微笑して言う
「どう致しまして」
ラミリツが思う
(周囲モニタリングに反応はなかったと言う事は 直接 それを見られていた訳じゃない …って事だと思うけど)
レイがマリアへ向いて言う
「よし それじゃ 帰るぞ?マリア?」
ラミリツが思う
(何しろ 相手は 神様 …もしくは 天使様だもんね?そんな人が相手じゃ 何所で見られていたかなんて 分かる筈が無い 増して この神様は あのウィザードの上を行くアーク そして)
マリアが言う
「は、はい …あ、それでは ラミリツさん!」
ラミリツが思う
(その神様にお仕えする 奉者様…)
ラミリツが微笑して言う
「はい また お会いしましょう マリアさん」
ラミリツが思う
(この国の力 ウィザードたちを仲間にするのなら きっと この2人の協力が必要なのだろうから また 何らかの理由を付けてでも 会う機会を作らないと)
マリアが呆気に取られて言う
「…”また”?…あっ!」
レイとマリアが風に消える ラミリツがレイとマリアの消えた場所を見て 一瞬呆気に取られてから軽く息を吐いて言う
「さて… その方法は…?」
ラミリツが表情を困らせて思う
(何か良い手はあるかなぁ…?もう これ以上の手なんて… もう…?あぁ~っ もう!)
ラミリツが息を吐いて言う
「はぁ… 何だか アールスローンに 帰りたくなって来ちゃったや…」
ラミリツが思う
(皆の所に… ねぇ エルム?やっぱり 僕は 外交を司る 政府の攻長より 戦いを行う 国防軍の攻長… 悪魔の兵士の方が 合ってたのかなぁ?)
ラミリツがM82を取り出し見詰めた後苦笑して立ち去る
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがモニターを見ていて驚いて言う
「そんな所に…っ?」
ヴィンが微笑して言う
「フフフ… 気付けなかったかな マスター?このマシーナリーのAIは 機動回路その物なのだよ 従って…」
ヴィンがコンソールを操作している グレイゼスが真剣に見入っている その2人の姿をアースが見ていて リックが欠伸をして言う
「ふあ…っ やっぱ 詰まんねぇな?こんな所に居たんじゃ それこそ この俺様まで 機械人形にされちまいそうだ」
リックが立ち上がる アースがリックを見て言う
「何所へ行くつもりだ?」
アースがエレキギターを構える リックが反応してから苦笑して言う
「随分と信用がねぇなぁ?俺らは”仲間” …だろぉ?司令官?」
アースが言う
「目的を同じくする仲間ではあるが 現状では それ以外に置いて 私は貴方を信用する事は出来ない」
リックが言う
「…あのなぁ?耐え症のねぇ餓鬼じゃねぇんだよ?そこらの人間に片っ端から吸い付くとでも思ってやがるのかぁ?」
アースが言う
「そちらを行わないと言う保証があるとは 言い切られないだろう?必要と在れば手段を選ばない …そちらは 私も同じだ」
リックが笑んで言う
「へぇ?ますます気に入ったぜ… てめぇは何時か必ず 吸い尽くしてやる 俺様の居ねぇ所では 絶対にくたばるんじゃねぇぞ?」
リックがアースの横を過ぎようとする アースが言う
「私は貴方を信用しないと言っているが?」
リックが言う
「てめぇは 俺の獲物だって言っただろ?ヴァンパイアはよぉ てめぇの獲物は 守ってやるもんなんだよ?じゃねぇと 吸い尽くせねぇだろ?…だから 心配すんな てめぇの機嫌を損なわせるような事はしてやらねぇよ 約束してやる」
アースが沈黙して考える リックが言う
「ここまで言やぁ 分かるだろ?餌になる人間は てめぇの仲間以外にも 巨万と居やがるんだ その上で この俺様がぁ?そんな不利益を わざわざ選ぶと思うのか?」
アースが言う
「…意外ではあったが どうやら 貴方にも それなりの知性が有った様だ」
リックが衝撃を受けて言う
「この野郎ぉ…っ 今すぐに 吸い尽くしてやろうかっ!?」
アースが笑んで言う
「フッ 今 そちらをしては?貴方が被る不利益が多いと思うが?」
リックが表情を顰めて言う
「あぁ~っ いちいちムカ付く野郎だなっ!やっぱ てめぇは あの”ハブロ”だぜっ!」
アースが疑問して言う
「ハブロ?」
リックがアースが背にしているドアへ向かおうとして言う
「退けっ 何か暇潰しになるようなものでもねぇか 見て来てやる」
アースが言う
「…ふんっ まぁ良いだろう 貴方の暇つぶしと言うのなら 恐らく 第二訓練所辺りだ 貴方が身体補佐能力のヴァンパイアであるのなら もしや?生身であっても あの マシーナリーを相手に出来るのか?」
リックが言う
「はんっ!あんな弱くせぇ 機械人形の相手なんざしても 何も面白くもねぇよ んな事なら 俺は…」
ヴィンが言う
「リック?そうは言おうとも このARTのマシーナリーは フルオートではなく 人間が乗り込んでの操作がなされているモノ… ともすれば 一時の君の暇潰しの相手くらいには なるのではないか?…と推察されるが?」
リックが反応してからニヤリと笑んで言う
「…へぇ?そうか そうと言う事なら… おい?ハブロ その”第二訓練所”ってぇのは 何所だ?」
アースが言う
「私は”ハブロ”ではなく”ハブロス”だが …行くと言うのなら」
アースがドアへ向く
【 ART 第二訓練所 】
Mユラが訓練用セイバーを振るう Mハイケルが回避して短銃を放つと 蛍光弾がMユラにヒットする Mユラが構わず向かって来る ハイケルの意識が思う
(訓練用の蛍光弾を 避けない事は今更だが…)
Mユラが訓練用セイバーを振るう Mハイケルが回避する ハイケルの意識が思う
(明らかにセイバーの振りが遅くなっている …流石に 限界か)
MユラとMハイケルが間合いを取る ユラが息を切らしながら言う
「はぁ… はぁ… ク、クソ…ッ まだ…っ」
Mハイケルが脱力して膝を着く ユラが呆気に取られる モニターにハイケルが映って言う
『この勝負は持ち越しだ 続きは また明日にでも』
ユラが一瞬呆気に取られた後 怒って言う
「な…っ?何を言うっ!勝負はまだ付いていないっ マシーナリーを起動させろっ!」
モニターのハイケルが言う
『まもなく 終業時間の17時になる ARTの軍規定においても 平常時の終業時間を守る事とされている このまま続けていては ハブロス司令官に …殴られるぞ?』
ユラが衝撃を受ける モニターのハイケルが視線を逸らして言う
『そして恐らく 貴方の分は私が代わりに… となると 2発… あの程度の打撃力であるなら 死にはしないが 出来る事なら 私も殴られたくは無い』
ユラが言う
「ARTの軍規定か… そもそも私自身はARTの隊員なのかは分からんのだが 指導役と言う事は やはり そうと言う事になるのか…?何にしろ ARTの定めと言う事は それを定めたのは ハブロス司令官なのだろう …では 仕方がない」
Mユラが脱力する ユラがシートベルトを外しながら言う
「この勝負の続きは 貴様の言う通り また明日に…」
リックが現れて言う
「どうやら ここみてぇだなあ?第二訓練所ってぇのはよお?」
ユラが疑問して言う
「うん?誰だ奴は?」
ハイケルがコックピットを出た場所で驚いて言う
「お前はっ!何故ここに居るっ!?」
リックがハイケルの声に顔を向けると ニヤリと笑む
【 ART2 】
野営場 テント内
ラミリツが椅子に座り 簡易テーブルを前に 紙とペンを前にして考えている
(この国に来て 明日で5日… 作戦は当初の予定から大幅変更になったけど 概ね …良好)
ラミリツが苦笑して言う
「…だよねぇ?」
ラミリツがペンを置き 紙を目の高さまで持って来て眺めながら言う
「作戦開始前の情報として得られていた ”ウィザード”に接触 しかも 相手はこの国で 恐らく一番強いウィザード」
ラミリツが思う
(何しろ この国の神様である ”アーク”と呼ばれるウィザードだ それに…)
ラミリツが言う
「そのウィザード様の 奉者である マリアさんにも接触」
ラミリツが思う
(こっちも この国で一番の奉者様 …って 言って良いんだよね?何しろ ”神様の奉者様”なんだから?)
ラミリツが頷いて言う
「…うん!」
ラミリツがペンを取って思う
(これで 既存情報にあった ”ウィザードと奉者”には接触した 仲間に引き入れる為の 作戦として… 現状の友好関係も問題なし 後は…)
ラミリツが紙に書かれた文字を見て言う
「この国の 内閣 と呼ばれる組織が結成されたら その組織の有権者と接触 この国との友好を… …けど、これって?」
ラミリツが思う
(これって 本当に必要な事?…だって 欲しいのは ウィザードたちの協力なんだから そのウィザードと先に仲良くなったんなら…)
ラミリツが考えて言う
「うーん…?これって… 要らなくない?」
ラミリツが紙とペンを置いて溜息を吐いて言う
「はぁ~… 大体 組織の人との そう言う事ってさぁ?本当に僕の役目なのかなぁ?」
ラミリツが立て掛けられている剣を見て言う
「そりゃ…」
ラミリツが立ち上がり 剣の下へ行って思う
(攻長は政府の代表 外交はその政府の仕事なんだから 外国の要人との対話は政府の役目 …つまり 政府長攻長である 僕の役目)
ラミリツが不満そうに言う
「…そっか …じゃぁ やっぱ 僕の役目…」
ラミリツが椅子に座り直して思う
(…なんだよね?元々攻長と防長は アールスローンの政府と国防軍の象徴で 国防軍がアールスローンの守りを 政府がアールスローン国内を治める事とされていて…)
ラミリツが気付いて言う
「…あれ?」
ラミリツが体勢を変え 考えながら思う
(そうだよ?元々アールスローンの政府と国防軍は そういう事になっているのに 何で…?)
ラミリツが言う
「何で 僕がアールスローンの”国外”に居るんだっけ?…えっと?」
ラミリツが再び剣を見て思う
(剣… 攻長は 陛下の剣 アールスローン信書に置かれる 親兵攻長 …親兵攻長は アールスローンの王女を守る為に戦う騎士で 王女を守る為に帝国と戦って …戦って 帝国に勝った …け?…あれ?)
ラミリツが考えながら言う
「いや、違うや?確か…」
ラミリツが思う
(もう一人居た… 親兵攻長と一緒に戦った 仲間になった奴が… 誰だっけ?えっと…?)
ラミリツが気付いて言う
「あ!そうだ!敵国の!」
ラミリツが思う
(敵国の兵士!つまり帝国の兵士!そいつが 親兵攻長の味方になって それで そいつが…!?そいつが…っ アールスローン国と帝国との外交を担ったんだよ!そう 外交を… 外交?あれ?だから外交長?…って事はっ!?)
ラミリツが気付き衝撃を受けると言う
「あぁあっ!?やっぱ これって!?僕の仕事じゃ ないんじゃないっ!?」
【 ART 第二医療室 】
フレイゼスが言う
「ART2の作戦が開始されて 明日で早5日… ラミリツ殿は… 今頃 どうされているのでしょうね?怪我などは無いと思いますが 風邪などは 引いていたりはしないでしょうか?最も…」
フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿ほど 重症ではあられないと思いますが」
フレイゼスの前 シェイムがベッドでうなされていて言う
「う… うぅ だから も、もう… 私は 限界だと…っ うぅっ や、止めて下さいっ もう立たせないで下さい シュレイゼスっ これ以上はっ 私は…っ 私は もう 戦いたくない~!…うぅうーっ」
フレイゼスが苦笑して言う
「お気持ちは良く分かります シェイム殿…」
フレイゼスがシェイムの額に濡れタオルを置く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがタイピングを行っていて モニターにプログラムが表示されて行く ヴィンが眺めていて気付くと言う
「…いや?そちらのコマンドは後回しとして 今は直結回路を優先し給え」
グレイゼスが言う
「え?しかし こちらのコマンドを設定しなければ 折角の結合も 唯マシーナリーと操縦者の感覚を結合するだけで マシーナリー自体を動かす起動回路が働かないですが?」
ヴィンが微笑して言う
「クックック…っ いや、失礼 ともすれば 現状のそちらの思考こそ ナノマシーン・グレイゼスの不要な干渉かな?だとすれば 諸君は何の為に人と共に在るのだろうか?」
グレイゼスが呆気に取られてヴィンを見る ヴィンが言う
「グレイゼス 思考を宿主へ戻し給え そして マシーナリーもそれに同じく 操縦者との直結回路とは 即ち 人とマシーナリーとの繋がり …マシーナリーは そもそも己の力で動く事が可能であるのだから そちらに必要なものとは何だろうか?」
グレイゼスがハッとして言う
「…なるほどっ!?つまり この作動コマンド自体が 障害にっ!?それなら むしろ 直結回路よりも それ以前の 感覚感知システムの受信精度をより高める事が出来ればっ ハイケルだけじゃない 他のARTの隊員たちが使うマシーナリーを ナノマシーンの融合に近付ける事さえ可能に!?」
ヴィンが微笑して言う
「エクセレント …君は 実に優秀な研究者だ それこそナノマシーンなどが無くとも 君の優秀さは 人間の中に置いて最高峰と言えるだろう」
グレイゼスが呆気に取られた後 微笑して言う
「有難う御座います… 自分は その人間の最高峰たちの先輩である 貴方を本当に尊敬しますよ ヴィーンリッヒ先生」
ヴィンが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「君程の者に そうと言って貰えるとは 光栄だな?」
グレイゼスが微笑する 2人の様子を見ていたアースが考えながら思う
(ART1の作戦は完了 そして評価は 紛う事無くSランクの成功 現状の彼らを見ても これは最高峰の成功と言えるだろう …となれば 残るはART2…)
アースが視線を変えて考えて思う
(ART1に比べると 作戦自体の危険性は低いが 逆に言えば それ故に 作戦の遂行と共に そちらの成功もまた難しい …従って まずは敵意を示す事の無いあちらへ対し こちらも平和的に協力を要請する事を前提に ART2の彼らを向かわせたが…)
【 帝国 】
城の屋上
皇帝が目を閉じて意識を向けていた状態から目を開くと苦笑してから 屋内へ入って行く
【 ARTマシーナリー試作研究室 】
グレイゼスがタイピングをしている ヴィンが付き添っている アースが2人を見ながら考えて思う
(現状のART2とは 連絡を取る事は出来ない… それでも 万が一 あちらの国で動きがあるとすれば きっと また ”あちらの神”が 皇帝へ 再び連絡を寄越すだろう …あの天使ならばきっと)
アースの脳裏にレイの姿が過ぎる アースが軽く息を吐いて思う
(だが ART2を向かわせて 明日で5日… あの天使は 我々へ協力するつもりは なかったと言う事か?…あちらにその気があったのなら ART2への接触や相応の行動を行うには十分な時間は有った筈 あちらが動かないとなれば こちらから第二作戦を展開させるべではあるが… … …そうだな?)
アースが視線をグレイゼスたちへ戻しながら思う
(こちらに問題はない そうとなれば 今は ART2への支援を急がせるべき… …っ!?)
ヴィンがグレイゼスに顔を近付けて言う
「的確な判断と共に その指先から導き出される 正確なコマンドの数々… 研究者としても 人としても 君は実に魅力的だ…」
グレイゼスが衝撃を受け 苦笑して言う
「えっ?えっと… お、お褒めに預かりまして?…こ、光栄ですが…?ちょ、ちょっと その~… 近い 様なのですが…?」
ヴィンが微笑して言う
「…フフフッ ともすれば?その”心地良いタイプ音”を奏でる この指先にまで流れる血液は 一体 どれ程の美酒であろうかと…」
ヴィンがグレイゼスの後ろからグレイゼスの手に指を這わせ グレイゼスの左頬に片手を当てると 首筋を見ながら顔を近付ける グレイゼスが息を飲み ヴィンへ視線を向けるのと同時に 後方からエレキギターの甲高い音が響く ヴィンが衝撃を受けて言う
「うっ… ぐうぅう~…っ!」
ヴィンが表情を苦しめ頭を抑える グレイゼスが苦笑する アースが怒りに燃えながら言う
「”心地良い音”が欲しいと お望みとあらば?アールスローン最高峰のギターリストと言われた この私が 一曲 お届けをするが?」
ヴィンが苦笑して言う
「い、いや そちらは… 折角のお誘いではあるのだが …どうやら こちらの音楽は 私の身には合わない様なのでね?」
アースが言う
「ほう?そうか そちらは残念だったが しかし 必要と有れば 遠慮なくリクエストしてくれ?」
ヴィンが苦笑して言う
「そちらのリクエストは 少なくとも 私がヴァンパイアである間は 遠慮したい所ではあるのだが …そもそも」
ヴィンがグレイゼスの首筋で軽く臭いを嗅いでから苦笑して言う
「あぁ… やはり 想像以上に ナノマシーンと言う物は 多くの粒子を血中に置いている これ程とあっては とても ヴァンパイアたちの吸血血液としては相応しくない …と、そちらの理由からしても 彼らナノマシーンを身に持つマスターと呼ばれる者は 少なくとも 我々ヴァンパイアの吸血対象となる事は無いと保証しよう …これで ご安心を頂けたかな?司令官殿?」
アースが言う
「ほう?なるほど?そうと言うのであれば?」
ヴィンが微笑して言う
「お分かり頂けたのなら 結構 流石に一組織のトップともあろう者が このような場所で時間を持て余すのは 如何なものかと 思わざるを得なくてね?もちろん もっと早くにお伝えしても良かったのだが…?」
アースが言う
「如何に理由が明確であろうとも 時を見誤っては 有力な説得もその効力を失う 貴方の言う通り ここまでの時を見図るのは必要な事であった」
ヴィンが微笑して言う
「では ”これまでの時”と ”今しがたの説明”にて ご納得を頂けただろうか?」
アースが言う
「もちろん」
ヴィンが微笑する アースが続けて言う
「私もまた その時を使って貴方を監視していた」
ヴィンが一瞬疑問してから苦笑して言う
「ふむ?つまり 同じ事をしていたとでも?」
アースが言う
「ああ、同じ事だ 私も 同じく その時を見図っていたのは… 貴方は最初から とても 怪しかった」
ヴィンが疑問して言う
「怪しい とは?それは… ふふっ ヴァンパイアとしての素行が と言う事かな?貴方の予想の中では いつか私が マスターグレイゼスの血液を頂こうと 動くだろうと?しかし そちらは言った様に」
アースが言う
「私の仲間は このARTの者が全てだ つまり マスターグレイゼス中佐だけではない そうでありながらも 私は 第二訓練所へ向かった彼よりも 貴方を監視するべきだと思いここへ留まった そして そもそも 私は 貴方ほど優秀な者であるなら 端から このARTの者を吸血目的で襲う事は無いと思っていたのだが しかし それらの理由がどうであろうと 関係なく 貴方は怪し過ぎた」
グレイゼスとヴィンが反応し グレイゼスが苦笑する ヴィンが言う
「それはつまり…?」
アースが怒って言う
「そう!つまり 言ってしまえば 怪しいのは ”貴方の性癖が”だっ!良いかっ!?このARTの者へは 吸血はもちろんっ ”貴方の趣味”で 被害を被らせたりなどしたら!その貴方の為だけに 私が全力で ナックキラーの全曲を 披露してやるからな!デスメタのギターを舐めるなよっ!?」
ヴィンが衝撃を受けた後 苦笑して言う
「…なるほど それで今までアレほどの強い視線を… そして言葉の意味の程は分かりかねるのだが ”ナックキラー”に”デスメタ”…?前者には”殺し” 後者には”死”と… どちらに置いても不穏な言葉か隠された それらの言葉の意味する事から 私への相応の”殺意”を感じられる… 流石は”一国の支配者”と言った所だろうか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はは… ”一国の支配者” …ね まぁ 相応に”心強く”は在りますが…」
【 ART2 】
ラミリツが記入をしながらふと気付き表情を困らせて思う
(作戦の必要分の進行を確認してからは 僕自身もある程度警戒を解いて マリアさんと個人的な話なんかをした… …それは 就業時間内ではあったけど 本当に 個人的な話もあって …出来る事なら そう言った事は 報告書には書きたくない …書かない事が 正義だと思う)
ラミリツが息を吐いて言う
「うーん… けどなぁ…?」
ラミリツが報告書へ向き直って思う
(唯ですら ここがアールスローンの国外だって事もあるし 何しろ あのウィザードたちの事を記すには 相応の根拠にもなる マリアさんとの会話内容を記す事は どうしても必要になってしまう)
ラミリツが表情を困らせて言う
「2人で ”秘密”にって 言ったのに…」
ラミリツがペンを持つ手を見詰めて良心の葛藤に表情を苦しめてから 一つ息を吐いて言う
「はぁ… やっぱ駄目だ… 書けないよ」
ラミリツが思う
(けど それじゃ 僕らがこっちに来た理由も分からなくなっちゃうし …任務報告書の作成は 一部隊を預かる隊長の責務 それに 長期任務の際は 後の不慮の事故なども考慮して その日の分はその日の内に書き上げる事 …だから やっぱ書かなきゃだよね?…父上に教わった事なんだから)
ラミリツがデスクへ向き直り ペンを持ってから間を置いてふと視線を上げると 視線の先 デスクの上にM82が置かれている ラミリツが苦笑して言う
「…エルムだったら どう書くの?やっぱ 全部書いちゃう?彼女の生い立ちから 亡くなった お父上の事… 再婚したって言う お母上の事… それに 恋人との出会い 神様の事まで… …そうだよね?エルムは感情を制限されているから そう言う事を 書く時だって…」
ラミリツがハッと思い出す
ラミリツが呆気に取られて言う
『はぁ?何コレ?これが任務報告書ぉ!?』
エルムが言う
『そうだな』
ラミリツが呆れて言う
『あのさぁ?エルム?任務報告書って言うのは それを読んだ人が 作戦の内容や 実際にはどうだったのか 結果として成功したのか そういう事を分かる様に書かなきゃ いけないものなんだよ?』
エルムが言う
『そうだな』
ラミリツが衝撃を受けて言う
『分かってるんならさぁ?これじゃ 駄目じゃない!?こんな時間と単語と その単語の説明が書かれているだけの報告書なんて 僕 今まで見た事も無いよ!?こんな内容の無い報告書じゃ それこそ内容がサッパリ分からないよ!?』
エルムが言う
『そうか なら良いんだ』
ラミリツが呆気に取られて言う
『はぁあ!?なら良いって…?』
エルムが入力作業を終えて言う
『任務完了』
ラミリツが呆れて顔を左右に振って言う
『完了…?これで?はぁ… ほんと 変な奴だね?エルムって?』
エルムが言う
『悪かったな』
ラミリツが呆気に取られた状態から微笑して言う
「そっか… そう言う事 …分かったよ エルム!」
ラミリツが微笑してから 今まで書いた紙を破り捨て 新たに書き始める
【 ART 第二医療室 】
アースが言う
「一応 明日の午後には こちらからも連絡を入れるが 当初の予定通り 明日の15時に」
フレイゼスが言う
「はい 明日の15時に 政府警察航空局マルック基地へは 既に手配を済ませておりますので もう一度 政府外交長である私が向かい 恐らく 再結成がなされているでありましょう あちらのお国の内閣と言う組織の方々へ 政治的外交を執り行って参ります」
アースが言う
「連絡は取られてはいないが 現状 あちらからの連絡が無いと言う事 それ事態から ART2は良くも悪くも あちらの国へそれほど大きな影響を もたらしては居ないものと推察される そうとなれば… 明日向かう 貴方の力こそが あちらの国のウィザードたちを 我々の仲間に出来るかと言う 次なる作戦 今作戦に置かれる最終手段となる訳だが」
フレイゼスが微笑して言う
「ハブロス司令官の そちらのご期待に添えられますよう 精一杯行わせて頂きますので どうか 朗報を ご期待下…」
アースが溜息を吐いて言う
「まぁ そのウィザードらの力が得られずとも 既に ヴァンパイアたちの力が手に入ったのだからな?これで 最悪 何とかなるだろうが…」
フレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「あの… そう言ったお言葉はせめて 心中のみに収めて頂けたらと…?政府の外交長として また …1人の人として ART司令官の貴方様へ お頼みしたいのですが?」
アースが鼻で笑うと背を向けて言う
「ふんっ では 精々励んでくれ …元メルフェス・ラドム・カルメス外交長殿」
フレイゼスが呆気に取られてから苦笑して言う
「…私に もう一度チャンスを下さると…?」
アースが背を向けたまま苦笑する フレイゼスが微笑して言う
「有難う御座います アース・メイヴン・ハブロス元総司令官」
アース微笑してから歩みを始めようとする フレイゼスが苦笑して言う
「…それはそうと ずっと気になっていたのですが 現ARTの司令官様ともあろうお方が 随分と大きなお荷物を背負っておられますが そちらは…?」
アースが衝撃を受ける アースの背にはエレキギターを包んだ荷物がある アースが言う
「き、気にするな…っ ARTの… さ、最新兵器 …だっ」
フレイゼスが苦笑して言う
「それはまた… それ程の物を 非戦闘員の司令官様が?ご自身でお持ちになられるとは?個人的に 実に 気になる所なのですが… では 折角です もし宜しければ あちらのお国へ向かい 貴方様の事を説明するであろう その私に 是非 一目!」
アースが怒って言う
「その貴方にだけは 何があっても 見せられないなっ!」
【 ART2 】
ラミリツがペンを置いて言う
「任務完了!」
ラミリツが微笑して言う
「…って言っても 完了したのは今日の分だけだけどね?けど… ありがとう エルム お陰で上手く書けたよ」
ラミリツがM82へ微笑を向けてから 書類を片付けつつ言う
「うーん でも…」
ラミリツが思う
(明日からは 本当にどうしよう?この国の手が行き届いていない 小さな村5箇所と 建設中の灯魔台5台 これで警備箇所は10箇所丁度 部隊は3勤交代制にしているから 実質これで余剰は無くなった そうとなったら 警備箇所を増やす事はもちろん これ以上の手段を講じる事も 出来なくなってしまった訳だし)
ラミリツが表情を困らせて言う
「…あれ?これって… もしかして… 詰んじゃった?それじゃぁ…」
ラミリツの脳裏で エルムが無表情に言う
『作戦失敗…か?』
ラミリツが苦笑して言う
「かなぁ…?はは… けど、だとしたら…?」
ラミリツが服の内ポケットから 封のされた黒い紙を取り出して言う
「任務遂行障害時に置かれる 特別命令 …ラストオーダー」
ラミリツが思い出す
アースが言う
『そちらが 今作戦におかれる資料と あちらの国の通貨だそうだ 政府外交長 フレイゼス殿からの支給品だ』
ラミリツが通貨を見てから言う
『へぇ… これが あっちの国の通貨なんだ?ふ~ん?これ1枚は… いくら位なんだろう?』
アースが言う
『資料を見れば分かるだろう?作戦開始は明日の早朝だが 一通り目を通し 頭に入れて置くようにしろよ?』
ラミリツが分厚い資料を前に表情を顰めて言う
『それを言うならさ?せめて 1日位 作戦準備期間が欲しかったよね?』
アースが言う
『どうしても読み切られないのなら そちらを作成した本人から最も重要な箇所だけでも 聞いて置けば良いだろう …それから』
ラミリツが言う
『あ、そっか?そうだよね!じゃ そーしよー!』
アースが軽く息を吐いて言う
『明日は仕方が無いとしても 移動の間にでも 全て読みきれよ?』
ラミリツが衝撃を受けて言う
『う…っ やっぱ 読まなきゃ駄目?』
アースがラストオーダーを取り出しながら言う
『読まなくとも 任務を成功させられると言うのなら構わないが?…それから こちらを渡しておく』
ラミリツが受け取り疑問して言う
『え?何これ?手紙?にしては… 真っ黒だし?封筒にも入っていないなんて?』
ラミリツがラストオーダーを見回す アースが言う
『そちらは 読むなよ?』
ラミリツが衝撃を受けてから言う
『なら つまり 誰かに宛てた手紙なんでしょ?だったら そうと言ってくれれば良いのに …で 誰に?』
アースが言う
『手紙とも言えるが それは ART2の隊長である お前宛の ”ラストオーダー”だ』
ラミリツが言う
『え?それって…?どう言う事?大体それなら そのART2の隊長である僕は 読んで良いって事だよね?”ラストオーダー”って事は 最終命令って事?』
アースが言う
『元々は 現代の様な通信手段が発達する以前に使われていたものだ そして その頃と同様に 今回 お前たちの向かうその場所は このアールスローンからの通信がまったく繋がらない場所だ その場所において 任務を行うとなれば 不測の事態にて 任務遂行は勿論 部隊の存亡に瀕するという可能性も 払拭出来ない』
ラミリツが呆気に取られる アースが言う
『その様な事態に置かれた際に 開封をし 部隊指揮を考案する その為の物だ 従って 通常時はもちろん お前の判断で部隊指揮を取られる状態にある間は 開封をするな』
ラミリツが呆気に取られた状態から 改めてラストオーダーを見て言う
『…そっか 今回は 本当に… 僕だけの判断で ART2の皆の命を預かるんだね?今までだって 僕は隊長だったけど…』
アースが言う
『その今までは勿論 今回も 今後に置いても ART2へ募った彼らは お前を隊長として いつ如何なる時も お前の指揮に従うだろう その重責を受け止めろ』
ラミリツが言う
『…分かった』
アースが微笑して言う
『資料を読む気になっただろう?』
ラミリツが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
『うん そうだね …けど 相変わらず意地悪なんだからさ?もしかして これも その為に?』
アースが言う
『まぁな?そもそもART2が向かうそちらの国とは 既に 通貨の交換がなされるほどの仲だ そこへ向かうART2には それ程の危険などは無いだろう?』
ラミリツが息を吐いて言う
『何だ… それなら?…もうっ いつもそうやって 僕をいじめるんだよね!?ハブロス司令官ってさ!?』
アースが言う
『司令官だからな?』
ラミリツが微笑して言う
『だから それ 理由になってないったらっ』
ラミリツが苦笑して言う
「うん、これはやっぱ まだ 開けちゃ駄目だよね?どうしたら良いかは分からないけど… 今はまだ」
ラミリツが思う
(僕は ART2の隊長なんだから その重責を受け止めて 自分の力で出来る所までは 頑張らないとっ!)
ラミリツがラストオーダーを見て微笑する
【 ART第二訓練所 】
研究員1が言う
『ART2 15号機 神経ダメージ65%を突破!66!67!68…っ!』
リックがMユラの足を持って振り回しながら言う
「おらおらおらー!どうした!?まだ 遊び足りねぇえぞ!デカ物野郎ー!」
ユラが遠心力に表情を顰めながら言う
「ぐぅう…っ!ま、まだ まだ…っ 俺は…っ!」
研究員1が言う
『69!70%を突破!危険領域入ります!』
研究長が言う
『ユラ様!降参をなさって下さいっ これ以上は マシーナリー操縦者へのダメージが 危険領域へ入ります!』
ユラが言う
「まだだっ!まだ 俺は 負けては居ないっ!」
リックが笑んで言う
「よっしゃぁあ そうとならぁあ もう一丁食らえやぁああー!」
リックがMユラを壁へ投げ付ける Mユラが壁へ向かって行く
監修塔
研究員1が言う
「ART2 15号機!神経ダメージ76%!所長っ!!」
研究長が叫ぶ
「ART2 15号機!神経接合 強制解除っ!」
研究員1が叫ぶ
「了解っ!」
研究員1がエンターキーを押す Mユラが壁に激突する 研究員2が言う
「ART2 15号機!物理ダメージ89%損傷ランクDランク 戦闘不能!」
研究長が言う
「操縦者の生命反応はっ!?」
研究員3が言う
「ART2 15号機 パイロット 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!」
研究長がホッと胸を撫で下ろして言う
「ふぅ… 間に合ったか それに ユラ様ご自身が 失神されたという事は これでやっと…」
研究長がモニターを見る
訓練所
Mユラが脱力する ユラがコックピット内で目を回して言う
「ま… まだ… まだ 負けては~…」
ユラが失神する リックがニヤリと笑んで視線を向けて言う
「はっ!待たせたなぁ?次は てめぇの番だぜえ?」
Mハイケルが構え 意識のハイケルが視線を強めて言う
「望む所だっ!来いっ!」
リックがニヤリと笑むと吸血衝動を現して Mハイケルへ襲い掛かる Mハイケルが短銃を撃ちながら回避と攻撃を繰り返す
訓練所の入り口
アースが言う
「…多少の被害は やむなしとは思っていたが」
アースの前に大量のマシーナリーの残骸が散乱している Mハイケルが言う
「今度こそ 貴様を倒すっ!」
リックが楽しそうに言う
「はーはっはー!面白れえ!やれるものなら やってみやがれやあー!」
監修塔
研究長がハッと気付いて言う
「ハ、ハブロス司令官!」
研究員たちが顔を上げ 遮へいガラスの先を見る
訓練所
リックが楽しんで叫ぶ
「おらおら!遅ぇえっつってんだろ!何処撃ってやがる!?」
リックがMハイケルを翻弄した後 ジャンプして正面へ現れると共にトンファーでMハイケルを殴り付ける Mハイケルが殴り飛ばされ 意識のハイケルが苦しみながら言う
「くぅ…っ!」
研究員1の声が響く
『ART2 30号機!神経ダメージ35%!』
研究員2の声が響く
『ART2 30号機!物理ダメージ55%!』
意識のハイケルが顔を上げ言う
「残り20%かっ …ハッ!?」
Mハイケルが顔を上げた先 リックがトンファーを振りかぶって言う
「なら とっとと くたばりやがれえー!」
Mハイケルが瞬時に短銃を向けて放つが リックが放たれた弾丸をトンファーで弾き返すと 意識のハイケルが驚いて言う
「なっ!?マシーナリーの弾丸を 弾き返しただと!?」
監修塔
研究長がハッとして言う
「接合解除!」
研究員1がほぼ同時にエンターキーを押す
訓練所
弾き返された弾丸がMハイケルに被弾する 研究員2が言う
『ART2 30号機!物理ダメージ95% 損傷ランクDランク 戦闘不能!』
Mハイケルが脱力する コックピット内でハイケルが目を覚まし 怒ってコンソールを叩くと言う
「クソッ まさか あのような技が…っ!」
ハイケルが顔を上げる 研究員1の声が聞こえる
『ART2 30号機 パイロット 心音脈拍共に正常値!意識ランクAランク 戦闘可能!』
ハイケルが言う
「よし!」
ハイケルが立ち上がる
アースが入所して来る リックが軽く手を払って言う
「まぁ ざっとこんなモンか… そろそろ …お?」
リックがアースの気配に気付き 振り返ると口角を上げて言う
「おう!てめぇも来たのか ハブロ!どうだ?俺様に掛かれば マシーナリーなんざ…」
リックが意気揚々と周囲を見渡す Mハイケルのコックピットが内側から破壊され ハイケルが現れて言う
「次だ!もう1機マシーナリーを用意しろ!もちろん新型の!」
研究長の声が聞こえる
『ハイケル少佐 申し訳ありませんが こちらの第二格納庫に置かれていた新型マシーナリーは 全て消費してしまいました ですので…』
ハイケルがムッと視線を向けて言う
「それなら 第一格納庫から!ART1のマシーナリーを…!」
リックが笑って言う
「っははー!なんだ まだやろうって言うのかあ?往生際の悪い奴だぜ ”悪魔の兵士”さんはよお?なぁ?ハブロ… …っ!?」
リックが振り返った状態で衝撃を受けて困って言う
「ハ、ハブロ…?何か てめぇ…?」
アースが怒りに燃えリックを見下ろす リックが苦笑して言う
「お、怒ってやがるのか?な、何で…だ?別に… てめぇの気を悪くする様な事は…!?」
アースが言う
「私は このARTの仲間たちへ 危害を与えるなと 言った筈だが?」
リックが慌てて言う
「だ、だからっ 与えてねぇだろ!?ほら!よく見ろ!こいつだって…!」
リックが瞬時にMユラのコックピットから ユラを引っ張り出して言う
「一見くたばって見えるかもしれねえが 外傷はねえ!それに あっちの野郎なんざ ぴんぴんしてんだろっ!?」
リックがハイケルを指差す ハイケルが言う
「次こそは倒すっ!」
リックがアースの前に戻って来て言う
「それから あのガラスの中に居る連中にだって もちろん手は出してねえ!…そうとなれば てめぇが怒る理由なんざ 何も…っ!?」
アースが怒って言う
「ふざけるなっ よくも 我々の仲間となった マシーナリーたちをっ!」
リックが衝撃を受けて言う
「なにぃっ!?まさか…っ あんな機械どもにまでっ!?」
アースがエレキギターのネックを掴む リックが慌てて言う
「ま、待てっ!早まるんじゃっ!」
アースが怒って言う
「問答無用!彼らの苦しみ その身を持って味わうが良いっ!」
アースがエレキギターの封を解き放って音を立てる リックが悲鳴を上げる
「ぎゃああーー!止めろぉおおーー!」
ハイケルと研究員らが呆気に取られる 研究員1がハッとして言う
『エ、エリックアーベスト氏!神経ダメージ 急上昇75%を突破!!77!79!所長っ!!』
研究長がハッとして慌てて言う
『エリックアーベスト氏の神経結合を…っ!い、いや 彼はマシーナリーへ搭乗していないっ となれば… ハ、ハブロス司令官っ!それ以上は…っ!』
アースが叫ぶ
「いっぺん逝って来いやあっ!ヴァンパイアぁあーっ!」
アースがエレキギターを弾き放つと リックが弾かれて言う
「がはあっ!…」
リックが倒れる 研究員1の声が聞こえる
『エリックアーベスト氏 神経ダメージ92%!パイロ… いえっ 同氏の 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!』
ハイケルが呆気に取られて言う
「た、倒した!?新型マシーナリーが2機掛りで 手も足も出せなかった奴を!?…エ、エレキギターで?」
ハイケルがアースを見て思う
(奴は…っ!)
ハイケルが言う
「本当に”悪魔の司令官”になっていたのかっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースがハイケルへ怒りの視線を向けて言う
「お前も 逝って来いっ」
アースがハイケルへピックを投げ付ける ハイケルの頭にヒットすると ハイケルが被弾したように倒れる 研究員1の声が聞こえる
『ハイケル少佐 神経ダメージ100%!』
グレイゼスとヴィンが現れ ヴィンが言う
「おやおや…」
グレイゼスが苦笑して言う
「あっちゃぁ~… 予想通りと言いますか…」
研究員1の声が聞こえる
『ハイケル少佐 心音脈拍共に正常値!意識ランクDランク 失神と識別!』
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官…」
アースが言う
「…本件は全て ARTのトリプルトップシークレットとする …命令だっ!!」
研究員たちが呆気に取られつつ言う
「「りょ、了解… 司令官…」」
アースが立ち去りながら言う
「後の処理は頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが苦笑して言う
「はは… 了解 司令官…」
グレイゼスが改めて所内を見る ユラとリックとハイケルが失神している グレイゼスが苦笑して頭を掻く ヴィンが微笑して言う
「ふむ… これは中々興味深い」
グレイゼスが所内へ入りながら言う
「はいは~い 皆さん?終業時間も迫っていますから 速やかに片付け作業を開始しましょう~?」
研究員たちがハッとして行動を開始する ヴィンがハイケルの近くに落ちているピックを拾って振り返ると ハイケルが搬送されて行く ヴィンが視線を変えるとその先でリックが搬送されて行く ヴィンが微笑してからピックを見る
【 ハブロス家 食堂 】
軍曹が嬉しそうに言う
「と!言う事でありましてぇ!今日は自分の指示の下!初めて警機のマイルズ部隊と 国防軍レギスト機動部隊の合同警備を 行わせて参りましたぁーであります!少佐ぁ!ちなみに 任務内容は マイルズストリートの野外フェスタ警備でありましたが!負傷者等は一切無く!任務達成ランクはSランク!無事イベントの運行を 死守致しましたぁー!であります!少佐ぁ!」
ハイケルが言う
「了解 軍曹… こちらは 神経的負傷者3名 及び 戦闘不能マシーナリー31機 紛う事無く 訓練達成ランクはEランク …国防軍の軍規定に則れば 降格除名処分… 下手をすれば 高額な賠償請求書まで与えられるレベルだった」
軍曹が衝撃を受けて叫ぶ
「なぁあっ!?なんとぉ!?」
アースが食事をしながら言う
「まったく困ったものだ…」
ハイケルが言う
「とは言え 内 神経的負傷者2名の被害は ”悪魔の司令官”こと ハブロス司令官の手によって もたらされたものであった事から そちらによる 訓練達成ランクの補正が成さたれ …よって ギリギリ降格除名処分は免れる 訓練達成ランクDランク まで上昇させる事が叶った」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえっ!?あ、悪魔の… とは?」
アリアが疑問して言う
「”悪魔の司令官”?そちらは… アリアは初めて伺いましたわ?お父様?」
アースが軽く笑って言う
「っはは… ああ、本当に 面白い冗談だな?ハイケル少佐?…もう一発 食らいたいのか?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「い、いや… 次は神経的にではなく 本当に私が一体 逝ってしまう可能性があると… 従って… 司令官殿の 機嫌を損ねない様 気を付ける様にと マスターグレイゼス中佐より 警告を受けた」
アースが食事の手を動かしながら言う
「そうか それでは 文字通り ”命拾い”をしたようだな?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
「そうだな…」
軍曹が疑問して言う
「は、はえ…?」
ハイケルが気を切り替えて言う
「所で 別部隊の事へ口を挟むようだが 他国へ向かったART2へは 何らかの手段を講じているのか?出来ればART1隊長である私にも 教えてもらいたいと思うのだが?悪魔の司令か …がはあっ!?」
ハイケルの口にミニトマトが猛スピードで放り込まれ 椅子ごと後ろへ倒れる 皆が一瞬の出来事に何が起きたのか理解出来ず疑問する アースがミニトマトをフォークに刺して言う
「このトマトは とても良い味だな 甘みと酸味のバランスが 実に私好みだ」
ハイケルがミニトマトを飲み込んでから 口周りにトマトの破片を付けつつ咽て言う
「んっ げほっ げほっ…」
軍曹が慌てて言う
「しょ、少佐ぁーっ!?」
アースが言う
「強いて言うのなら もう少し 弾力が在ると最高なのだが」
レミックが微笑して言う
「それでは 早速 調理長へ伝達して置きましょう 調理長は新鮮な野菜に拘りを持って居りますので 旦那様からお言葉を頂戴したとありませば そちらへの励みともなりましょう」
アースが微笑して言う
「もっとも 初世代の悪魔の兵士殿の口には 合わなかった様だが?」
ハイケルが表情を苦しめ 立ち上がりつつ口を拭い言う
「口に合う合わない以前に 味合う余裕が無かったのだが… それから ”弾力を上げるように”とは命令をするな 今度こそ 私が逝く…」
ユラが疑問して言う
「先ほどから 一体何の話をしているのか…?」
ファーストがユラへ向いて言う
「兄上は ご存知ではあられないのですか?ご一緒に訓練に励んでおられたのですよね?」
ユラが衝撃を受け視線を逸らして言う
「うっ あ、ああ… まぁな…?しかし、俺… いや 私は それ以前に…」
ハイケルが執事に手を貸されつつ席に座り直し 食事に戻る エリーナが無表情に言う
「…流石は欠陥品か」
ハイケルが衝撃を受け視線を逸らす エリーナが無表情に食事を続ける
【 ミルス城 】
リックが玉座に座っていて不満そうに身体をさすり言う
「んぁああっ あのハブロの野郎お!本気でヤりやがったっ クソッ いまだに 体中の神経を振動させられる あの感触が抜けやがらねぇっ」
リックが軽く笑って言う
「ふふふ… ヴァンパイアの王にして この国の神とも言える貴方に それほどの損傷を与えるとは …彼の力は 実に興味深い」
リックが言う
「はっ!興味深けぇなんて言いやがったって どうせ あのハブロだぜ?500年前の野郎と 何も変わらねぇ 声も面もっ!特に!あのずうずうしい態度がよお?てめぇよりも 明らかに上である この俺様にあの態度だっ」
ヴィンが微笑して言う
「しかし、神とは言え そもそも彼はこの国の者ではないのだから その彼が 貴方へ畏まる必要は無いのではないかな?リック?」
リックが言う
「別に 畏まれたぁ 言わねぇよ?あのハブロに んな事された日には 今度は その気持ち悪さに 俺は ぶっ倒される」
ヴィンが言う
「ぶっ倒される …か フフ… そう そのリックだけではなく あの兵士さえ打ち倒した 彼の力は…」
リックが言う
「どうせ あのクソ女の力だろう?それこそ 野郎どもの神 アールスローンの神に愛されやがった女だ 今の奴は あの女とハブロが作りやがった子孫か何か だろうがよ?お陰で クソ女とクソハブロの 両方の力を得やがったんだ …ケッ」
ヴィンが言う
「我々が知る 彼らの国の情報は少ないが その中であっても 500年前のアールスローンの姫と そちらのハブロ殿は 結ばれる事は無かった筈だが?」
リックが言う
「あん?そうだったかぁ?…ふんっ 知るかよ だったら その後にでも 両方の子孫が何時の時代だかに 交わったんだろうが?どうだって良いぜ 何がどうなろうと 人間は短命なんだからよ …寝る」
リックが席を立って立ち去る ヴィンが言う
「双方の子孫が交わって 作られた命… それにより もたらされた力 …果たしてそうだろうか?」
ヴィンがアースの投げたピックを手に持っていて眺めてから立ち去る
【 ART司令官室 】
アースが呆気に取られて言う
「ギターを調べたい?」
グレイゼスが言う
「はい 支障はありませんよね?帝国の守りを代行される上に置いても 特に どのギターでなければ ならないと言う事も?」
アースが言う
「あ、ああ… 今までに別の物を用いた事もあったからな?特に そちらに問題はないが…」
グレイゼスが言う
「では 出来れば 昨日 彼らヴァンパイアたちへ対し 使用されていた あちらのエレキギターを お借りしたいのですが?」
アースが衝撃を受けた後 表情を困らせつつ言う
「あ、あれをかっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「もちろん そちらが ハブロス司令官の私物であると言う事は 秘密にしますので?」
アースが衝撃を受けてから言う
「う、うん… そちらはそれで 大丈夫だとは思うが…」
グレイゼスが微笑して言う
「では?」
アースが視線を逸らして言う
「ああ…」
【 ART研究開発室 】
台にエレキギターが置かれていて グレイゼスがコンソールを作業をしている 研究員3がやって来て言う
「お早う御座います 中佐 今日は一段とお早いですね?」
グレイゼスが言う
「お早う そうなんだよ 昨日の夜に 急に気になっちゃってさ?居ても立っても居られなくって それで 今朝は店の支度も早々に出隊して 解析作業の準備でもして待とうかと思ってみたら… まさか こんな早くに持ち主さんが 出隊してらしたとはな…?流石と言うか なんと言うか…」
研究員3が自分の席へ向かいながら言う
「大変らしいですね?知能補佐能力のマスターさんが 何かを気に留めてしまうと?」
グレイゼスが言う
「ああ、まったく その通りなんだよ …まぁ 気になるものを調べるのは 楽しくもあるから 苦痛にはならないけどな?」
研究員3が言う
「それで ”持ち主さんが”… と言うのは?今回は何を?…あれ?これは…?」
グレイゼスがハッとして思う
(おっと いけねぇ… うっかり余計な事を言ってしまったか?…とは言っても まさか あれが このARTの司令官の… あのハブロス司令官の私物だなんて事は 普通じゃ想像も付かない事だから 何とでも誤魔化せるか?)
グレイゼスが言う
「あ~ そうなんだよ こんな早い時間でも 貸してもらえてな?その…」
研究員3が驚いて言う
「これって ”ラックシター”の ”アニキV”じゃないですかぁあーっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ラ、ラックシター?アニキV?」
研究員3が興奮して言う
「”ラックシター”って言うのはですね!今は もう倒産してしまった エレキギター専門の工房でっ!当時は無名だった あのナックキラーの元祖ギターリスト アニキに最後のギターを提供したって言うっ!その道では有名な工房なんですよっ!」
グレイゼスが言う
「そ、そうなの…?」
グレイゼスが思う
(まずいっ そんな有名で希少なギターだったのかっ!?あの超高位富裕層ハブロス司令官の私物だから 相当高いモノだろうとは思っていたけれど …あっちゃぁ 事前に情報収集しておくべきだった…っ)
研究員3が苦笑して言う
「って言っても 今じゃ レプリカが大量に出回ってますけどね?けど やっぱ カッコいいなぁ~ 羨ましいっ!これって ”誰の私物”なんですか?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?えっとぉ~」
グレイゼスが思う
(そうか!レプリカが出回っているって言うのなら 助かった …けど 参ったな?このARTの人間で ギターが趣味だなんて人は 俺は知らない… 知ってるのは 正にそのご本人だけ…っ え…とっ 考えろ俺っ 助けろ グレイゼスっ!?)
グレイゼスが困り悩んで言う
「え~と… え~と そのぉ~…」
グレイゼスが思う
(だ、駄目だぁ~!まったく ”グレイゼス”に動きが無いっ!そもそも 完全に管轄外の話題に 俺自身もパニクってるしっ …ど、どうしたらっ!?)
研究員3が言う
「中佐?」
グレイゼスがハッとして言う
「あっ!いや!その…っ!そう!それは 秘密なんだよ?な?ほら?あの…っ?こ、困るだろう!?色々と… なぁ?何しろっ ARTだからさ!?ここはさっ!?」
グレイゼスが思う
(あぁ~ 俺とした事が…っ なんてグダグダな返しを…っ)
研究員3が言う
「ああ… まぁ そうですね?それこそ世界の存亡を賭ける戦いを行っている このARTの隊員でありながら エレキギターとか… そんな軽い事をやってる隊員じゃ それこそ あの元国防軍総司令官にして 超高位富裕層のハブロス司令官に 除名処分に されてしまいそうですもんねっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(だぁあ~!正にその人の私物だなんてっ!それこそ 俺の除名処分所じゃないっ!これって もしかして世界の存亡レベルに やばい事なのかっ!?)
グレイゼスが言う
「うぅ~… 爆弾でも 持たされた気分だ…」
研究員3が疑問して言う
「え?」
グレイゼスが思う
(いや!落ち着けっ 大丈夫だっ どう考えたって エレキギターとハブロス司令官の間には 知らない人間には 絶対に知られる筈も無い 隔たりがあるっ!だから ここはっ いつも通り平静さえ装ってしまえば!)
グレイゼスが言う
「ま、まぁ?そんな感じで?だ… 誰の物かは言えないんだが~ 今は この楽器を ちょいと解析してみたくてな?うん、それで 表面の塗装やその他の成分なんかを 一通り調べていた訳なんだが…」
研究員3が呆気に取られた後言う
「エレキギターの解析… ですか?はぁ…?やっぱ 目の付け所が違いますね?それで… 何か 通常と異なる事や ARTに有益な情報が?」
グレイゼスが言う
「う~ん いや… 今の所は これと言って…」
室外 通路
アースが部屋のドアを見て言う
「必要と在れば… いや、しかし 出来れば…」
アースがドアへ向き直って言う
「…やはり、言葉のみであっても 言って置くか?」
室内
ドアが開く グレイゼスが気付かず話している
「だから やっぱり 音を鳴らしてみようかと思うんだが 正直 俺は 今日初めてエレキギターなんて 触ったものだから…」
アースが入って来る 研究員3が気付かない状態から言う
「それなら 自分が鳴らしましょうか!?実は 学生の頃に 少々… ハ、ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスが衝撃を受け顔を向けて言う
「えっ!?」
アースが研究員3を見る 研究員3が敬礼して言う
「お、お疲れ様でありますっ!司令官!」
アースが言う
「ああ 邪魔をする …マスターグレイゼス中佐」
アースがグレイゼスへ向く グレイゼスがハッとして敬礼して言う
「はっ!し、失礼しましたっ お疲れ様でありますっ!」
アースが言う
「大した事ではないが 1つ言い忘れた事があった」
グレイゼスが言う
「はっ …何か?」
アースがグレイゼスの近くへ向かいながら言う
「必要とあれば 致し方ないのだが…」
アースが小声で言う
「…特に 高価なモノでは無いのだが 出来れば 無傷で返してもらえないか?一応… あれには 色々と想い入れが…っ」
グレイゼスが衝撃を受けてから 苦笑して言う
「は、はい そちらは大丈夫です 調べるだけですから その… 壊したりなどは 絶対にしませんので?」
アースが気を取り直して言う
「そうか それなら …う、うんっ では 邪魔をしたな」
アースが立ち去る グレイゼスがホッと息を吐くと 研究員3が疑問して言う
「えっと… ハブロス司令官からは 何か?…あっ!またっ 何か重要な 任務でありますか!?中佐!?」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「えっ!?あーっ いや~ じゅ、重要… う、うん… 重要… だったみたいね?わざわざ ご本人がお越しになる位に?」
グレイゼスがエレキギターを見て苦笑する
室外 通路
アースがホッとして言う
「良かった… 後は 早く戻って来てくれると 良いのだが…」
アースが苦笑してから立ち去る
【 ART2 】
ラミリツが言う
「その様な理由もあってか アールスローンでは 名前を大切にする習慣がありまして 3構想や4構想と言う長い名前であっても 全てを呼ぶ事が 正しい礼儀とされています」
マリアが言う
「でも それって 大変では無いですか?例えばですけど 今の様にお話をしていても 3構想のお名前を全て言いながらでは 何だか お話が止まってしまうみたいで」
ラミリツが言う
「確かに最初の内は 少々話し辛いかもしれませんが…」
ラミリツが思う
(まさか 偶然にして 僕が警備に就いていた村へ マリアさんも仕事で来ていて おまけに 会って話す事が出来ただなんてね?)
マリアが苦笑して言う
「でも それだけ お名前を大切にしていると言う事ですよね?ラミリツさんの… えっと 役名の様に?」
ラミリツが苦笑して言う
「はい 攻長として 邁進する様に …と言う事なのでしょうが …そうですね?今となっては そう呼ばれる事に慣れてしまいましたが それでも やはり 家の名前を消されてしまうのは 少し残念です」
マリアが言う
「えっと… 確か ”メイリス”さん …でしたよね?」
ラミリツが微笑して言う
「はい そうです」
マリアが言う
「それから ARTの司令官さんが ”ハブロス”さん…」
マリアがふと気付いて言う
「うん?そう言えば そちらのお国の方のお名前には 語尾にスが付く事が多いですね?こちらの国では… そんなに多くは無いと思うのですが?」
マリアが考える ラミリツが気付いて言う
「それには 実は ちょっとした由来がありまして?」
マリアが言う
「由来が?」
ラミリツが言う
「はい、アールスローンでは 語尾にスを付ける事が 高貴な事とされていて ”その事 事態”は割と知られているのですが …更に それが ”どうしてか?”と言う所まで 考える人は少なくて 私も以前までは その一人でした」
マリアが言う
「”由来”の”由来”って事ですね?では どうしてなのですか?」
ラミリツが言う
「それは 先ほどの”名前を大切にする”と言う事にも 関わって来るのですが… 元々 アールスローンの人々の名前は ”1構想”だったらしいのです」
マリアが呆気に取られて言う
「え?でも…?」
ラミリツが言う
「はい、そして その1構想の名前の人たちが 結婚をした時に その2人が家族であると言う事を示す為に どちらかの名前に 複数を示す”S”を付けて ”家の名前”にした事が始まりだったそうです」
マリアが言う
「なるほど それでなのですね!」
ラミリツが微笑して言う
「はい そんな訳で 家の名前にはスが付く事が多いそうです しかし それも時代の移り変わりで 廃れて行ったそうですが 逆に言うと 今でも スの付く家名と言う事はそれだけ 家の歴史が長いと言う事らしいです」
マリアが言う
「素敵ですね 歴史を大切にする… 家族を大切にする… 仲間を大切にする… 私、アールスローンは とっても ”何かを大切に”する国って 感じがします」
ラミリツが一瞬呆気に取られた後 軽く笑って言う
「ふふ…っ そうかもしれないですね?ああ、大切にすると言えば もう1つ!」
マリアが疑問して言う
「はい?もう1つ?」
ラミリツが微笑して言う
「アールスローンは 女性を大切にする国ですよ?」
マリアが呆気に取られて言う
「え?そうなのですか?」
ラミリツが言う
「はい、元々 我々のお慕いする陛下が ”女帝陛下”であると言う事もありますが 一般の女性の方も大切に考えられている様で やっぱり 名前のお話ですが ”4構想”の名前を持つ事が出来るのは 女性だけですし」
マリアが言う
「ああ そうでしたね?」
ラミリツが言う
「それから 家名以外の名前を継ぐ場合も 男性の名前を継ぐ時は”ファーストネーム”で 女性の名前を継ぐ時には”ミドルネーム”なのですが これも… 女性の名前を守る為に ”真ん中”に置くのだそうです」
マリアが呆気に取られてから 軽く笑って言う
「わぁ… …ふふっ アールスローンは 本当にいろいろな物を大切に 守ってくれる国ですね?」
ラミリツが軽く笑って言う
「はい そうですね」
ラミリツが思う
(けど 今の僕は その”守ってくれる人”を ”守る為に” 戦いたいと思っている 攻長として… ART2の隊長として… ラミリツ・エーメレス・メイリスと名付けられた 一人のアールスローン国民として)
ラミリツが密かに服を掴む 服の内ポケットにはラストオーダーの黒い紙が見える
【 ART研究開発室 】
グレイゼスがモニターを見ながら唸って言う
「う~ん… やっぱり 特別なものは無い …かぁ?」
グレイゼスがエレキギターの近くへ来て言う
「…となれば?」
グレイゼスが研究員3へ向いて言う
「マキタ研究員?」
研究員3が疑問して振り向いて言う
「はい?中佐?」
グレイゼスが微笑して言う
「折角だし… 弾いてみる?アニキV?」
研究員3が思わず立ち上がって叫ぶ
「良いんですかぁあーーっ!?」
グレイゼスが微笑して言う
「本人に頼む訳にも行かないし 頼むよ?1曲?」
研究員3が敬礼して言う
「了解!中佐ぁー!喜んでっ!」
研究員3がエレキギターを構え感動して言う
「うわぁあ~ 感動だぁ~~っ レプリカでも 堪らないっ!くぅう~~!」
グレイゼスが苦笑して思う
(本当は”本物だ”って教えたら それこそ 嬉しさに失神でもしそうな勢いだな?)
グレイゼスが軽く笑って言う
「そんなに好きなら それこそ レプリカの1つ位買ったらどうなんだ?そんなに高くないんだろ?」
研究員3が苦笑して言う
「それはそうですけど… 結局 ギターはレプリカでいくらでも真似が出来ますが その腕は真似出来ないですからね?」
グレイゼスが疑問して言う
「あぁ… そうなの?正直 俺はその辺りの難しさなんかも まったく分からないんだが… まぁ 簡単では無いんだろうな?…んじゃ とりあえず 一曲 頼むよ」
グレイゼスがコンソールへ向き直る 研究員3が言う
「はい では… 何を弾いたら良いですかね?…って 言っても 大したもの弾けないですけど」
グレイゼスが言う
「うん?あー そうだな…?えっと いつも何を弾いていらっしゃるのかは 分からないんだが…」
研究員3が疑問して言う
「いつも?」
グレイゼスが気付いて言う
「ああ、そうだ それじゃ やっぱり 例のナックキラーの曲を頼むよ 何て言ったっけ?あの… アニキさんが弾いてたってやつさ?」
研究員3が言う
「メステゲレンダーですね!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そうそう そんなタイトルだった気がする」
研究員3が言う
「分かりました!…って言っても 弾ける範囲で ですけど 良いですか?ソロとか無理ですけど?」
グレイゼスが言う
「ああ、まぁ サンプルだから 出来る範囲で構わないよ」
研究員3が言う
「はい!では 行きます!」
研究員3が音を鳴らすと同時に 思わずグレイゼスが弾かれ苦笑して言う
「っははは… やっぱ 凄い 音だなぁ…?」
グレイゼスがコンソールへ向き直る
グレイゼスがモニターを見ながら唸って思う
(へぇ… 予想はしていたが 本当に 同じ楽器でも弾く人が違うだけで こんなに数値が下がってしまうものなのか… この数値じゃ まったく 陛下の代行は出来ない それに…)
グレイゼスが視線を向けた先 研究員3がギターの演奏に四苦八苦しながら雑音を出している グレイゼスが苦笑して思う
(エレキギターの演奏って 実は結構難しい物なんだな?聞いている方も 流石に… ちょっと耳が…)
グレイゼスが言う
「マキタ研究員 ありがとう サンプルは十分取れたよ」
研究員3が苦笑して言う
「たはは… 下手くそで すみません 久しぶりだったって言うのもあるんですが その…」
研究員3がエレキギターの調整をしながら言う
「このセッティング 基本がなってないんですよ!全然っ!きっと まったく弾いていないんでしょうね?飾りにでもしてるのかなぁ?」
グレイゼスが慌てて言う
「あぁっ いやいやっ 弾いてらっしゃったよっ 昨日の夕方なんて 特に全力でっ!?」
研究員3が疑問して言う
「え?そうなんですか?…まぁ 確かに ネックの感じと言い 相当使い込まれている感じは… …っ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、そうだろうな?何でも 想い入れがあるとかって…」
研究員3が目を見開いて叫ぶ
「だあぁああっ!?こ、これってぇえっ!?」
グレイゼスが驚いて言う
「えっ!?な、何…?」
研究員3がグレイゼスへ向いて言う
「ちゅ、ちゅちゅちゅちゅちゅ中佐あっ!?こここ、これ!これっ!!ほ、本物…っ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
グレイゼスが思う
(何故 気付かれた!?ネックとか言う あの場所が使い込まれているからか?いや だからって それが本物と結びつく筈が?)
グレイゼスが言う
「い、いや…?何言ってるんだ?レ、レプリカだよ?レプリカ…?」
研究員3が言う
「いえっ!本物ですよっ!だって ほら ここに シリアルコードがっ!アニキだけのっ ”1番”のコードがっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて思う
(しまったぁ~っ そう言う事っ!?)
研究員3が言う
「ナックキラーファンにとっての ”1番”は神聖な数字ですから!偽物には 記してはいけないと言う 暗黙のルールがあるんですよっ!しかも ギターはアニキの象徴ですからっ そのアニキVに この数字は 本物しか有り得ませんっ!」
グレイゼスが苦笑して思う
(うぅ… 駄目だ ここまで 明瞭な証拠が揃っていては 覆せない…っ ここはもう 白状するしか…)
グレイゼスが言う
「あ、ああ… 実は 本物なんだ… ごめんな?嘘付いて?」
研究員3が驚いて言う
「やっぱりっ!?どう言う事なんですかっ!?アニキ ”本人” から借りて来たって事ですよねっ!?中佐がっ!?ARTがっ!?なんで ナックキラーの元祖ギターリスト アニキと 面識があるんですかっ!?」
グレイゼスが強く思う
(それは 何があっても 白状出来ないっ!!)
【 ART2 】
マリアが言う
「名前… ミドルネーム…」
マリアが視線を落とす ラミリツが気付いて言う
「えっと…?…そう言えば こちらの国のお方のお名前には ミドルネームは使われていないですね?」
マリアが言う
「はい それに… ちょっと前までは 私 そのミドルネームって言うもの自体も 知りませんでした」
ラミリツが言う
「ちょっと前までは?…と言うと?」
ラミリツが思う
(その言い方は 僕らが来る前って事?)
マリアが言う
「私が ミドルネームと言うのを知ったのは… ウィザードさまのお名前を聞いた時 その時が初めてで」
ラミリツが思う
(ウィザードさまのお名前を …つまり あのマリアさんと一緒に居た 彼の…?)
マリアが言う
「こちらの国では ウィザードの名前は 一般の人には伏せる事とされていたんです それは ウィザードは神様に選ばれる者で その神様から呼ばれる名前を 一般の人が口にする事は 許されないから…」
ラミリツが言う
「…なるほど そうでしたか」
ラミリツが思う
(まぁ その辺りは 信仰の違いって事なんだろうね?今でこそ 神様を信じられるけど それこそ 神様を信仰する筈の アールスローン信書を信仰していた 当時の政府に居た時の 僕は…)
マリアが苦笑して言う
「って言うのは 実は嘘で!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?」
マリアが苦笑して言う
「本当は ただ 庶民と貴族の抗争から そんな嘘を使って 名前で分かってしまう 庶民出身のウィザードを隠していただけなんです だから その抗争が落ち着いた今は もう そんな事はしていなくて… だから 今では多くのウィザードたちが名前を公表していますし それを一般庶民の人も知っていて 女の子たちなんか 自分たちの気に入ったウィザードの名前を呼んで ファンクラブとか作っちゃったりして?」
ラミリツが呆気に取られてから苦笑して言う
「そうですか そちらは… なんと言うか 神聖さは失われてしまったかもしれませんが 僕は 結果と言いますか 今の そちらの方が良い様に思います」
マリアが言う
「はい そうですね?私も そう思います!」
ラミリツが思う
(うん やっぱり マリアさんとは 気が合うと言うか?…ん?あれ?そう言えば…?)
ラミリツが言う
「そう言えば 聞いた事が無かったと思うのですが マリアさんと一緒に居られる あのウィザード様は?お名前は何と仰るのでしょう?私もこちらに来てから 少し調べたのですが…」
ラミリツが思う
(ウィザードたちの名前が公表されている事は もちろん知っている こっちに来るまでの間に読んだ 参考資料にも載ってたし… …だけど?)
マリアが言う
「はい、そんな今でも ウィザードの名前を公表するかは それぞれの判断に任されていて… 私は 私のウィザードさまの名前を公表していません それは… 彼が 神様… アークである事が理由でもあるのですが その… 名前そのものが… こちらの国では 普通ではなかったもので」
ラミリツが気付いて言う
「と言う事は?もしや?」
マリアが言う
「彼の名前は レイ… レイ・アーク・フォライサー」
ラミリツが呆気に取られる
【 ART 通路 】
グレイゼスが歩いていて思い出す
研究員3が感激して言う
『ほ、本物っ!?これがっ!これが あのナックキラー元祖ギターリスト!アニキの 本物のアニキV!!うぉおおーー 最高ーーっ!!』
グレイゼスが苦笑して言う
『マキタ研究員 落ち着いて… 感激は分かるが 一応 就業中だし?それに… あんまり興奮すると 身体に毒だぞ?』
研究員3が言う
『興奮せずになんか居られないですよっ!本物ですよっ!?本物っ!!それを 触れたっ!?弾けたっ!?あぁああ!!最高ーーっ!!』
グレイゼスが苦笑して言う
『分かった分かった 最高なのは分かったから …取り合えず 落ち着きたまえ?』
研究員3が言う
『いえっ むしろ 落ち着いてなんて居られませんよっ 中佐っ!?だって、これ 冷静に考えたって… オークションに出せば ざっと1億は超えますよっ!?』
グレイゼスが衝撃を受けて叫ぶ
『いっ1億っ!?…こ、これがっ!?』
グレイゼスが手に持っているエレキギターに視線を向けると 身震いして言う
「うぅ…っ とても 休憩中に置きっぱなしになんか しては置けない…っ」
グレイゼスが思う
(早くお返ししよう… 想い入れがあるとも言っていたし それほど大切なものを 万が一にも 盗まれたりしたら…?何しろ… 1億…っ)
グレイゼスが苦笑して言う
「最下層の俺には こうして持ってるだけでも 失神しそうだ…」
グレイゼスが司令官室前の前室へ入る 司令官秘書が顔を向ける グレイゼスが言う
「ハブロス司令官は 在室かな?」
秘書が言う
「はい ハブロス司令官は 只今は お電話中に御座いますが マスターグレイゼス中佐でしたら お通しが許可されると思います 如何しますか?」
グレイゼスが言う
「ああ、荷物を渡したいだけだから 開けて貰えると助かるんだが」
秘書が言う
「畏まりました それでは 認証を兼ね そちらへIDの提示をお願い致します」
グレイゼスが言う
「はいはい」
グレイゼスがIDをスキャンする シグナルがグリーンになりドアが開かれる グレイゼスが一度秘書へ向いて言う
「じゃ どうも?」
秘書が微笑して軽く会釈する
【 ART司令官室 】
グレイゼスが入室して来る アースが電話をしていて言う
「…はい では 通信の通じる限りで 何か問題が御座いましたら こちらのARTには…」
アースがグレイゼスに気付く グレイゼスがその場で敬礼すると アースが頷く グレイゼスが向かう アースが受話器へ言う
「主戦力のART1と共に その他の機動部隊も待機しておりますので お力添えは叶うものと …はい もちろん ART2と共に …ええ、現状では あちらの国に居ります 彼らとの連絡は一切取られませんが ご心配には及びません ミックワイヤー長官もご存知の通り 彼らART2の隊長は 必ずや 与えられた任務を成し遂げてくれる事でしょう」
グレイゼスが微笑する アースがグレイゼスに苦笑してから言う
「…はい では そちらの際には ご遠慮なく」
アースが受話器を置いて言う
「それで?何か分かったのか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい どうやらこちらには… ”何の力も無いらしい” と言う事が 分かりました」
アースが一瞬呆気に取られてから 苦笑して言う
「ほう?それは重要な情報だな?」
グレイゼスが苦笑する
【 ART2 】
ラミリツが言う
「レイ・アーク・フォライサー …なるほど お名前に神様と記されているようでは 公表は出来ませんね?」
マリアが言う
「はい それで… 今までは それだけで… それなら 今まで通り 伏せておいて それで良いと思っていたのですが 今は…」
ラミリツが疑問して言う
「…マリアさん?」
マリアが表情を落とす ラミリツが言う
「…何か あったのですか?」
マリアが言う
「はい… それで本当は 私、今日この村に 仕事で来たのでは… …いえっ 仕事はしたんですけど でも… 本当は …この村の警備に …ラミリツさんが就いていると聞いて… それで…」
ラミリツが言う
「では?…はい!我々ART2に お手伝い出来る事でしたら 何なりと!」
ラミリツが思う
(…とは言っても 本当の所 現状では もう動かせる人員は居ないから… どうしよう?もし これで警備箇所を増やして欲しいとか そう言う事だったら…?)
マリアが苦笑して言う
「あ、いえ そう言う事では… 警備に就いて欲しいとか そう言う… その… 戦いに関する事 では無くて…」
ラミリツが疑問して言う
「え?警備とか戦いに関する事では無い?…では?」
【 ART司令官室 】
アースが包みを開くとエレキギターが露になる アースが苦笑する グレイゼスが言う
「一通り調べてみたのですが そちらの本体の材質やその他に特別な力は無く …申し訳ないのですが ギターの経験のある者に頼んで 音を鳴らしてもらい そちらの解析などもしてみたのですが やはり 何も…」
アースがエレキギターに触れながら言う
「そうか…」
グレイゼスがその様子に苦笑しつつ言う
「と言う事で やはり そちらのエレキギターがどうと言う事ではなく ハブロス司令官の演奏の腕前と 想いの力なのではないか?と言う結果に 行き着きました 次第でして」
アースが言う
「それは つまり ずっと以前の… 皇帝の力の代行を探した あの時の結果のままだと言う事か?」
グレイゼスが苦笑して言う
「言ってしまうと そう言う事でして 申し訳ありません しかし あの時は 唯”それだけ”で… あ、いえっ もちろん?そちらは とても凄い事なのですが 今回はそれに加えて ヴァンパイアを撃退する力まであると言う事が判明したので そちらはどう言う事なのかと… 改めて調べるつもりだったのですが …結果は同じでした」
アースが言う
「うん… そうだな そちらに関しては 私も 正直 驚いていた所なのだが」
グレイゼスが苦笑して言う
「驚くと言えば 何より ハブロス司令官が そのギターの持ち主である ナックキラーの元祖ギターリスト アニキ様である事が 何よりの驚きなのですが?」
アースが衝撃を受け 視線を逸らして言う
「わ、悪かったな…っ 大体 私は出来る事なら お前にだって 知らせたくはなかったのだがっ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ、その”アニキ様”には ヴァンパイアからも守って頂きましたし?何より このアールスローンを お守り頂いておりますので?」
アースが不満そうにギターの調整をしつつ言う
「ふん…っ だったら 伏せて置けよ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい そうですね?失礼しました …それはそうと?」
アースが言う
「”それはそうと” 随分 セッティングを弄り回してくれたな?折角の メステゲレンダーセッティングを…っ」
アースが調整をして軽く音を出す グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そちらはすみません… 自分が注意をする以前に 変えられてしまいまして… しかしその… 改めて分かったのですが やはり ナックキラーの元祖ギターリスト アニキ様の演奏は お上手ですね?自分は ギターの知識が皆無であったと言う事もあり 今日 改めて一般の趣味で行っていた者の演奏を聴いて その違いをやっと理解した次第でして …ともすれば ”あの力にも” ”演奏の腕が” 必要なのかもしれないと…?」
アースが一度作業を止めて言う
「…ならば もっと調べが必要なのではないのか?それこそ その”演奏の腕が”ある他の者へ こちらを使っての演奏を頼むなり あるだろう?」
グレイゼスが苦笑して言う
「それはそうかもしれませんが… 正直 1億の楽器を自分の手で管理すると言う事に 少々抵抗が…」
アースが疑問して言う
「1億?…いや?これは 本当に それほど高価な物ではないぞ?当時に置いて60万程度の物だった 現在では作られていないと言う事を考慮したとしても 倍の額にもならないだろう?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ご謙遜を…?そちらは 何を隠そう ”アニキVのシリアルコード1番”ですから そちらのプレミアが そこまで値を上げるのでしょう?」
アースが苦笑して言う
「随分と詳しいな?そんな 本質的に関係の無い事まで調べたのか?」
グレイゼスが言う
「調べたと言いますか そちらは 実験に協力してくれた研究員の彼が ナックキラーのファンだったと言う事でして?」
アースが言う
「なるほど… しかし そうと分かれば そのファンである訳でもないお前が 気にする必要は無いだろう?それで?本当に 先ほどの事を調べると言うのであれば?」
グレイゼスが言う
「あぁ そうですね?しかし ”演奏の腕のある”別の者に頼むと言いましても?その腕前が”最高峰の方”の その上を行かれる方は居られないでしょう?」
アースが呆気に取られて言う
「うん?”最高峰”のその上?…いや?何を言っている?私を越えるギターリストなど このアールスローンに いくらでも居るだろう?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えっ!?…あ、いや?だって… 昨日はご自身で仰っていましたよね?」
グレイゼスの脳裏に記憶が蘇る
アースが怒りに燃えながら言う
「”心地良い音”が欲しいと お望みとあらば?アールスローン最高峰のギターリストと言われた この私が 一曲 お届けをするが?」
アースが衝撃を受けて言う
「あっ!あれは…っ その…っ 言ってしまえば あれは あの時の奴へ対しての 唯の威勢であって …事実ではない」
グレイゼスが言う
「え?そうだったのですか?自分はてっきり本当の事なのかと…?」
アースが慌てて言う
「いやっ 一応 そうと”言われた事は” あるからなっ!?嘘ではないぞっ!」
グレイゼスが言う
「えーっと…?それでは…?」
アースが言う
「最高峰ではなくとも 己を慕い 集まってくれた者へは そちらを目指し 今までで1番良い演奏を行おうと勤める事が 何より重要な事だろう?私は それをしていただけであって 実質的なギターの腕は それ程では無い …そもそも 私は父や家の者にも隠れて こちらを行っていたんだ そうとなれば もちろん 正規に人から習った事もなかった上に バンドのメンバーとなった時も ギターの基本がまったく無いと 驚かれた位だ」
グレイゼスが驚いて言う
「え!?そうでしたか?それは… 意外でした てっきり自分は 相応の者を雇い練習をされていて 楽器もそれなりの物だと」
アースが言う
「とは言え そうだな…?このギターに関しては 何か特別なものかとも 思ってはいたのだが… 何も無かったのだったな?」
グレイゼスが言う
「はい そちらは確かです しかし 想い入れがあると 仰っていましたよね?それは… やはり そう言った ナックキラーのメンバーやファンたちとの と言う事でしょうか?それとも?」
アースが言う
「そちらも無い事は無いが… これは ラックシターと言う 工房が製造したものなのだが」
グレイゼスが言う
「今は 倒産してしまったのだと 伺いましたが?…うん?しかし ナックキラーのファンの間で それ程知られていると言う事は 何故…?」
アースが言う
「元々 その工房は経営が苦しかったそうでな そこで 融資を得たいとハブロス家へ資金提供を依頼していた… 最も その当時は ハブロス家の当主は私の父であり 国防軍はもちろん家の事も全て父が行っていた そして その父は融資先へは どれほど小さな企業であっても 実際に向かい自分の目で確かめた上で 判断を行なっていた… そこへ 私も同行していた」
グレイゼスが言う
「なるほど それで…」
アースが言う
「ああ… とは言え 父は企業投資には堅実だったからか… いや、そちらの工房の様子が余りにも 弱々しいと見て取られたのか 資金の提供を断ろうとしていたのだが… それを 私が」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 行うべきだと 仰ったのですか?」
アースが苦笑して言う
「その頃の私には 経営や投資のノウハウなどは無かったのだが それでも それまでに見せられていた 数多の企業の中に置いて あの工房の… あの職人たちの様子がとても気になった だから それで… そんな理由だったな?正に 子供の考えだが 理由はさて置き 私が父へ頼んだ事で 小額ではあったが 資金提供が行われた その結果 経営は持ち直したのだとか …このギターは その後 当時の工房主が亡くなる直前に 私宛に届けられたものだ 自分が製造する最後の一本だと 私への礼状と共にな?」
グレイゼスが微笑して言う
「そう言う事でしたか」
アースが言う
「ああ、だから ともすれば こちらには何らかの細工でも あるのかとも思っていたのだが… そうか 何も無かったか…」
アースがエレキギターを見て苦笑する グレイゼスが微笑する
【 ART2 】
ラミリツが驚いて言う
「偽者…?」
マリアが言う
「あ、いえ…っ その…っ 本物では無いって事なので もしかしたら そうとは言わないのかもしれませんが… えっと… つまり… ラミリツさんは …”クローン”って ご存知ですか?」
ラミリツが言う
「”クローン”?えっと… ちょっと待って下さい?聞いた事はあるのですが 普段 使う言葉では無いので…」
ラミリツが思う
(クローン?クローンって… コピーとか?偽者?うん?えっと…?本物では無いんだから 偽者で合ってる?けど 本物の写しなんだから やっぱ 本物?…あれ?えーと?)
マリアが苦笑して言う
「私も そんな感じで… 聞いた事はあるけど 実際には なんだったかな?って …それで調べたんですけど 見付けた答えには」
ラミリツがマリアを見る マリアが言う
「”クローンとは 同一の起源を持ち 尚且つ均等な遺伝子情報を持つ 個体の集合 即ち 分子・細胞・生体などのコピーである”…って書かれていて」
ラミリツが呆気に取られて言う
「つまり ”アークのコピー” …って事?」
マリアが言う
「そうですね…」
ラミリツがハッとして言う
「あっ すみません つい…」
ラミリツが思う
(今のは 本当にうっかりと…っ 頭に考えていた事が そのまま口に出ちゃって…っ)
マリアが言う
「いえ、良いんです 私も… それで …不安になってしまって」
ラミリツが言う
「え?不安に?それは…?」
ラミリツが思う
(何で?自分たちの神様が クローンだと分かったから?彼が…)
ラミリツの脳裏にレイの姿が思い浮かぶ マリアが言う
「ウィザードさまのお話では 彼の… レイのコピー元は カイ・アーク・フォライサーと言う人で そのアークを知るウィザードに お話を聞いてみたら そのアークはとても 強い魔力を持っていて 彼一人の力で この国を守る大結界を張る事が出来るほどだったとか… 私は以前 その大結界を張る灯魔作業を見た事があるんですが それは とっても大変なんです …この国にある6つの大灯魔台の力も使って レイの他にも6人のウィザードの協力が必要で… それをたった1人で出来るほどの アークが…」
ラミリツが言う
「…そのアークは?」
マリアが言う
「そのアークは… ”神様の下へ行ってしまった”そうです」
ラミリツが言う
「神様の?…つまり ”亡くなってしまった” と言う事で?」
マリアが言う
「あっ いえっ 違います 神様の下へ行くと言うのは その… 何て言いますか 私も実際にそれを見た事は無いんですが… 元々ウィザードの灯魔作業は 結界を張る為ではなくて ウィザードの力を神様に認めて貰う為の儀式だったらしくて それを行って 選ばれた優秀なウィザードが神様の下へ 向かう事が出来ると… それは たぶんですが 私たちの様な 普通の人間の …そう言う 命を落として神様の下へ逝くと言うのとは ちょっと 違うみたいなんです」
ラミリツが言う
「えーっと… では 実際の所は分かりませんが あえて言うのでしたら …神様の居る天国へ 生きたまま向かう… 様な感じでしょうか?少なくとも この世界からは 居なくなってしまうのですよね?」
マリアが言う
「はい そうですね?私も… 何となくですが そんな感じだと思っています」
ラミリツが言う
「では 今は仮にそうと言う事で… それで、カイ・アーク・フォライサーは 居なくなってしまって… その彼のクローンが レイ・アーク・フォライサー …マリアさんのウィザードさまである 彼だと言う事ですね?」
マリアが言う
「はい そうです…」
ラミリツが言う
「なるほど… …しかし」
ラミリツが思う
(だからといって それは…)
マリアが言う
「だから… 怖いんです 彼は レイ・アーク・フォライサーは… 本当に彼なのかな?って」
ラミリツが言う
「え?本当に彼なのか?…それは?」
マリアが言う
「カイ・アーク・フォライサーは 人間を守る為に 神様が地上へ… 人間の下へ向かわせた アークなんです それなのに… 悪い人間に愛想を尽かして それによって生まれた悪い魔力を ウィザードへ押し付けて 自分は神様の下へ帰ってしまったんです そのアークの クローンが 彼なんだと思うと… 私は… …怖い」
ラミリツが思う
(なるほど 彼は そんなアークの…)
ラミリツが言う
「クローン ですか…」
ラミリツが思う
(けど だから怖い?マリアさんが怖がっているのは カイ・アーク・フォライサーであって それは マリアさんのウィザードである レイ・アーク・フォライサーと同じだって…?いや、違う それは違う!だって… 例え クローンだとしても その彼には きっと…!)
ラミリツが顔を上げる マリアが視線を落として言う
「頭では分かっているんです クローンだとか コピーだとか言っても アークは アークですし… ウィザードよりも強くて ウィザードたちの神様で… だけど… なんだか …不安になってしまって」
ラミリツが言う
「不安に?それは…」
ラミリツが思う
(うん、やっぱり マリアさんは 彼ら2人を同一に そう思っている だけど それは間違っている 不安になんか思う必要は無いんだ だって あの彼には… マリアさんのウィザード様には きっと彼だけの …強い”ソウル”がある!)
ラミリツが装備にあるM82を意識して思う
(それは クローンとかコピーとかって 身体がいくつあったって変わらない 彼の様に 嘘のない たった1つの 本物のソウルがあれば良いっ …それを信じれば良いだけだよっ)
ラミリツが微笑する マリアが言う
「それは…」
ラミリツの通信機が鳴る ラミリツとマリアが反応して ラミリツが言う
「あ、失礼」
マリアが微笑して頷く ラミリツが通信機を着信させて言う
「こちらART2隊長 ニコニコ村第2ブロック異常なし これより 警備担当を 夜間班へ移行する 人員の確認 その他 異常事態発生時には 直ちに連絡を」
通信機から隊員の声が聞こえる
『了解 隊長!』
通信機が途絶える ラミリツが言う
「すみません お話の途中で」
マリアが言う
「いえ 大丈夫ですっ」
ラミリツが言う
「それで… お話の続きなのですが」
マリアが言う
「はい」
【 ART通路 】
グレイゼスが身体を伸ばしながら歩いていて言う
「はぁ~ 身軽になった!うん!ひょっとして 俺だけじゃなくて お前たちも緊張してたんじゃないのか?グレイゼス?」
グレイゼスが微笑して言う
「まぁ マスターの名を持つ者は 今も昔も最下層だからな?1億のギターなんて 重過ぎるってな?プクク…」
グレイゼスの頭に激痛が走る グレイゼスが痛がって言う
「って …痛ぁあっ!?冗談だよ 冗談…」
グレイゼスが研究開発室のドアを開ける
【 ART研究開発室 】
グレイゼスが室内へ入りながら言う
「何も そんな事で 頭痛を起こさせる事は無いだろう?言いたい事があるなら 話してくれよ?それこそ俺の口でも使って 言ってくれれば…?」
ハイケルの声が響く
「だから 離せと 言っているだろうっ!?」
グレイゼスが疑問して言う
「はいぃ?」
グレイゼスが顔を向けると 台にハイケルが貼り付けられていて グレイゼスが呆気に取られて言う
「ハ…ハイケル?お前 何やって…?」
ヴィンの声が聞こえる
「フフフ… まぁ そうと言わずに マスターが戻るまでは そちらでゆっくりと寛いで… おや?お戻りかな?マスター?」
ヴィンが振り返り微笑する グレイゼスが呆気に取られてから言う
「ヴィーンリッヒ先生!?」
ヴィンが微笑して言う
「ああ お早う 我が愛しの生徒 マスターグレイゼス」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、そちらは どうも…っ」
ヴィンがグレイゼスの近くへ寄って来て言う
「フフフ… 失敬 お早うと言う挨拶には 少々 遅かったかな?」
グレイゼスが苦笑して言う
「いえ、その… そちらの挨拶がどうと言う事ではなく… いえ、それより… …っ!?」
ヴィンがグレイゼスの頬に触れながら言う
「ああ… 今日もまた 君の優秀さには 心より感銘を… 正に 私が調べたいと願ってやまなかった その物を 完璧にまで調べ上げてくれていた その様な君を 私の獲物に出来たら どれほど この世界へ貢献を もたらす事が可能であるのかと…?今日も今日とて 尽きぬ構想が止まないのだが…」
グレイゼスが苦笑しながら思う
(ひぃ~ 助けて下さい 我らが アニキ様~っ!)
【 ART司令官室 】
アースがくしゃみをして言う
「はっくしっ!…?」
アースが疑問してから 書類を見て言う
「ふむ… やはり ARTでは予算が厳しいか…」
アースが書類をめくる
【 ART研究開発室 】
ヴィンが言う
「…と この様な事をしていては また 彼にひどい演奏を聴かされる羽目にともなりかねない 残念だが 君を私の獲物へ誘うのは 次の機会とするべきか?」
ヴィンがグレイゼスから離れる グレイゼスがホッと息を吐いてから周囲を見渡して言う
「それで… ヴィーンリッヒ先生は 本日は何か?マシーナリーの改良に関しては 一先ず 昨日の作業を一通り終わらせるまでは… と言う事になっていましたかと?」
ヴィンがモニターの前に立って言う
「ああ、そちらは 諸君の工程ではあるが 私の研究過程と沿うものでは無いのでね?私は私で これまでの899年間と同じく 独自にそれらを進めさせて頂くものとしているのだよ」
グレイゼスが言う
「なるほど… では そちらの ヴィーンリッヒ先生の研究過程に ”自分めの資料”が何らかのお役に?それも… 彼を含めて?」
グレイゼスが台へ視線を向ける ハイケルが台に固定されていて言う
「工程でも過程でも何でも良いっ!だから はーなーせーっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「仮にも 元国防軍の機動部隊員にして ARTの隊長 そして 悪魔の兵士である彼の身を拘束されるとは… そちらは?」
ヴィンがコンソールを操作しながら言う
「ふふふ… そちらは 何も 驚く事は無いのだよ マスター?私はヴァンパイア… マスターが今しがた口にした それ程の者を 優に超える力を持っていると… それだけの事」
グレイゼスが驚いて視線を強める ヴィンが言う
「しかし 同時にその私や… あのリックさえも越える力… そう、諸君ARTの司令官にして 我々ヴァンパイアや諸君マスターより 遥かに劣る ”人間である筈”の 彼の力には とても 興味が尽きない」
グレイゼスがハッと気付くと モニターにエレキギターの写真やデータが現れる グレイゼスが驚いて思う
(ARTのトリプルトップシークレット処理を施した あのデータが たったの1分02秒で 破られたっ!?)
ヴィンがデータを見て言う
「ふむ… 思っていた通り やはり あの楽器そのものに力は無かったか… それに 彼の演奏を録音したデータの方もまた然り」
ヴィンがコンソールを操作すると別のデータが現れる グレイゼスが驚いて言う
「それはっ 以前に採取した…っ!」
グレイゼスが表情を強めて思う
(国防軍のトリプルトップシークレットだぞ!?あれは俺だけじゃないっ このアールスローン全土のマスターたちが作り上げた 鉄壁のセキュリティ!それを…っ!?)
ヴィンが微笑して言う
「ふふふ… 流石にこちらのロックを解除するには 少々時間を有してしまったが その価値は十分にあった… 最も?我が愛しの生徒 マスターグレイゼス本人がこちらに在席してくれてさえいれば この様な手間は省かれた筈なのだが?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そう… ですね?それはお手間を お掛けして しまいまして?」
グレイゼスが思う
(こいつは本当にマスターを含む 俺らアールスローンの者では 敵わないな?…ハブロス司令官以外ではっ!)
【 病院 】
通路
隊員Cがやって来て病室を確かめてからノックをする
病室
隊員Cが入室すると 隊員C母が席を立って言う
「サキシュっ!」
隊員Cが微笑して言う
「ただいま 母さん」
隊員C母が苦笑して言う
「無事帰って来たんだね?良かった…」
隊員Cが言う
「ああ、ごめん 本当は今朝早くに戻ってたんだけど アールスローンに帰って来たら どっと疲れが出ちゃってさ?さっきまで爆睡してて もっと早く来るつもりだったんだけど それで?兄貴は …まだ?」
隊員C母が苦笑して言う
「ええ… まだ…」
隊員Cがラキンゼスの近くへ行く ラキンゼスはベッドで眠っている 隊員Cが点滴の袋を見上げてから苦笑して言う
「兄貴も 疲れてるんだろうな?俺らが行くより ずっと前からアウターで活動してたんだ …アールスローンに戻って 安心したんじゃねぇ?ナノマシーンにも 振り回されちまったし?」
隊員C母が言う
「そのナノマシーンが一緒だから 大丈夫だろうって思っていたのだけどね …代々引き継がれていた 大切なものだって お父さんも言っていたけれど…」
隊員Cが苦笑して言う
「そういう割には 親父はビビッて継がなかったんだろう?それを 兄貴が子供の頃見付けたって?」
隊員C母苦笑して言う
「ええ 本当に… それで 可笑しな事言うのよ?このナノマシーンは 僕に力を貸したいって言ってるんだ!…て そう言って聞かないの そのケースを掴んだっきり 離さないのよ …それで 仕方が無く」
隊員Cがキーネックレスを見て言う
「…まぁ その気持ちは 今なら 俺も 分からないでもないけどさ…?」
隊員Cがラキンゼスを見て言う
「兄貴がその時 手に入れた ナノマシーンは… ハブロス司令官が 持って行っちゃったぜ?兄貴?」
隊員C母が軽く息を吐いて言う
「…それじゃ 少しお願いね?母さんちょっと…」
隊員Cが言う
「ああ、良いよ 一度帰って ゆっくり休んで来たら?俺は しばらく居るつもりだからさ?」
隊員C母が頷いてから病室を出て行く 隊員Cが軽く息を吐いてから ラキンゼスへ向き 近くにあった椅子へ座る キーネックレスが僅かに煌く ラキンゼスが閉じている目をわずかに強める
【 ART2 】
マリアがラミリツへ向き直って言う
「今日は 本当に有難う御座いました それから …すみませんでした 私の 個人的な相談に 付き合わせてしまって」
ラミリツが思う
(今日は お互いに ちょっと秘密を 話し過ぎちゃったかもしれない けど… それでも良かった マリアさんに分かってもらえて そうじゃないと)
ラミリツが微笑して言う
「いえ お役に立てたのなら 良かったです それに…」
マリアが言う
「それに?」
ラミリツが思う
(そのマリアさんには ウィザードたちの協力を得る為に… … …いや?違う! やっぱ そうじゃない)
ラミリツが言う
「マリアさんとは 任務では無くて 個人的に 友人になれたら良いなと 思っていたもので」
マリアが一瞬驚いて言う
「え…?」
ラミリツが思う
(この数日間 地位や名誉もなく 対等に 友人として話を出来た人は マリアさんが初めてだったかも知れない だから)
ラミリツが微笑して言う
「ですから 相談相手に選んでもらえて 嬉しかったです」
マリアが呆気に取られた後 微笑して言う
「有難う御座います 私も… ラミリツさんとお話出来て 嬉しかったです」
ラミリツが思う
(それは… 本当に?でも もし 本当だとしたら)
マリアが微笑して言う
「また お会いしましょう ラミリツさん!」
ラミリツが一瞬呆気に取られてから微笑して言う
「はい また お会いしましょう マリアさん」
ラミリツが思う
(国を越えて 任務も何もなく 僕らは友人になれたのかな?)
マリアが微笑すると ネックレスを握って意識を向ける ラミリツが気付いて思う
(そう言えば 以前もあんな風にして…?)
レイの声が聞こえる
「マリアー!」
ラミリツが驚いて声の方へ向く マリアが微笑して声の方へ向く レイが空を飛んで来て到着して言う
「俺を呼んだか!?マリアっ!?」
ラミリツが思う
(呼んだ?それじゃ やっぱり あのネックレスが… そうだったんだ それに)
マリアが微笑して言う
「はい ウィザードさま!申し訳ないのですが この村から会社へ 私を送って頂けないでしょうか?」
レイが言う
「ああ!もちろん 送ってやるぞ!?申し訳なくなんか ないからな!」
ラミリツが思わず笑みをこぼして思う
(やっぱりね?こんなに強い 1つのソウルのある人が… クローン… いや、デコイなんかじゃないよね?エルム?)
ラミリツがM82へ意識を向ける レイがラミリツへ向いて言う
「それじゃ ラミリツ!マリアは 返してもらうぞっ!?けど 今度また勝手に お前のマシーナリーに マリアを連れてったりしたら 俺のデカイ魔法の1発で お前のマシーナリーなんか ぶっ壊してやるんだからな!?」
マリアとラミリツが衝撃を受け ラミリツが言う
「え!?えっと… それは 今 この国でやられると ちょっと困るかも…」
ラミリツが苦笑しながら思う
(そんな事されたら 僕が アールスローンに帰れなくなっちゃうよっ!?いくら こっちの国にマリアさんと言う 友人が出来たと言っても…っ)
マリアが慌てて言う
「ウィ、ウィザードさまっ!何言ってるんですか!?そんな事したらっ 私…っ もう ウィザードさまの お夕食作りませんよっ!?」
レイが衝撃を受けて言う
「えっ!?それは 困るっ …けど 俺は マリアを連れて行かれちゃうのも 困るし… あのマシーナリーの中はさ?俺の力でも見えないんだよ だから 俺 マリアがあの中に入っちゃうと すげぇ心配なんだよ マリア」
ラミリツが気付いて思う
(見えない?神様の力でも?それは…)
ラミリツが苦笑して言う
「それでは 今度お話をする時には そちらのウィザード様も ご一緒に?もしくは マシーナリーの外で お話しをましょう?マリアさん」
ラミリツが思う
(あのマシーナリーに アウターの異常電波を遮る力があるから その影響でって事かな?それとも…?)
マリアが微笑して言う
「はい そうですね?」
レイが言う
「それじゃ 会社へ戻るぞ?マリア?」
マリアが言う
「はい お願いします!ウィザードさま!」
レイとマリアが風に消える ラミリツが思う
(彼がアークの… クローンであるから …なのかな?でも まぁ… 良いよね?例えそうだとしても)
ラミリツが微笑してから言う
「…さて?僕らも 皆の所へ戻ろうか?」
ラミリツがマシーナリーへ向く マシーナリーが沈黙している ラミリツがハッとして言う
「…あれ?また つい 言っちゃったや…」
ラミリツが疑問しつつ マシーナリーへ向かいながら思う
(何だか分からないけど このマシーナリーって… どうも…)
ラミリツがコックピットに座って言う
「まるで 彼らと話しているような感じがするんだよね?…エルムの …あのデコイたちみたいにさ?」
ラミリツが思う
(何でだろうね?それこそ… もう そのデコイにだって会えないのに…)
ラミリツが苦笑してから意識を向けて言う
「…さぁ 戻るよ?野営基地へ!」
マシーナリーが起動してコックピットが閉まる
【 病院 】
隊員Cが言う
「でなぁ?その迫り来る ミサイルやら何やらを潜り抜けて やっと入り込んだと思ったら!今度はそこに すげぇ 美女が居てさ!けどそいつが 残念ながらと言うか?聞いて驚けよ!兄貴!?なんと ヴァンパイアだったんだ!どうだ!?驚きだろ~!?」
隊員Cがラキンゼスを見る ラキンゼスは眠っている 隊員Cが軽く息を吐いて言う
「…はぁ 流石に 一人で話してても 盛り上がらねぇや… せめて …バイスン隊員でも居りゃぁなぁ?それに 任務内容を 普通の人には話せねぇし… 後で ARTへ行くか?どうせ 24時間休暇だっつっても いつもの連中は居るだろうから…」
隊員Cがラキンゼスを見て言う
「兄貴が起きてくれりゃ それこそ 思いっきり話せるのによ?…なぁ?兄貴?早く起きねぇと… ARTに戻れないぜ?ハブロス司令官だって 何時までも戻って来ない 隊員じゃ 除名しちまうぜ?きっと?」
キーネックレスが煌く ラキンゼスの目元に力が入る
ラキンゼスの意識の中
ラキンゼスがマシーナリーを降りる ARTゼロのマシーナリーが向いて言う
「隊長!一人では危険ですっ!」
ラキンゼスが振り向いて言う
「いんや?こう言う時は 逆に大人数では 警戒をさせてしまう こっちに敵意が無い事を示す為にも まずは 俺が一人で行って来る …それに その方が 被害も少ないからな?お互いに?」
ARTゼロのマシーナリーが言う
「ラキンゼスっ!」
ラキンゼスが言う
「任せとけって!あ、それから もし 1時間経っても 戻らなかったら その時は俺に構わず 帰還してくれ?良いな?ARTゼロの隊長命令だぜ?」
ARTゼロのマシーナリーたちが言う
「隊長っ!」 「ラキンゼスっ!」
ラキンゼスが軽く手を振って歩いて行く 行く手には城下町が見えている
ラキンゼスが周囲を見ながら歩いて言う
「マシーナリーを降りた地点から およそ…キロ 周囲に異常なし 共に人影や何かの気配すら感じない だが廃墟と言うには綺麗過ぎる まるで 今も人が住んでいる… いや むしろ」
ラキンゼスが立ち止まり周囲を見渡して言う
「時が… 止まってしまっているかのような… 率直に そんな感覚だ …気持ちが悪い」
ラキンゼスが時計台を見ると時計が止まっている ラキンゼスが視線を強めて言う
「あの時計台は止まってるのか?さっきと時刻が変わっていない …本当に気味が悪いな」
ラキンゼスが気を引き締めて歩みを再開する
ラキンゼスが言いながら歩いている
「マシーナリーを降りた地点から およそ…キロ 周囲に変化は無い 時計台も 変化なし それから さっきまでは気付かなかったが…」
ラキンゼスが立ち止まり空を見上げて言う
「雲ひとつ動いちゃ居ない …これは」
ラキンゼスが視線を強めて思う
(映像か…っ だとしたらっ!?)
ラキンゼスが気付いて視線を向ける 噴水の下に人影が腰を下ろしている ラキンゼスがハッとして言う
「人だっ!人物を発見!」
ラキンゼスが走って向かう
ラキンゼスが人物の前に到着すると 軽く息を整えて言う
「私はアールスローン帝国軍レギスト特殊機動部隊隊長 マスターラキンゼスと言う者だが」
人物が伏せていた視線を上げて言う
「アールスローンの… そうか…」
ラキンゼスが言う
「貴方は?この国の方か?出来れば 名前を聞かせてもらいたい」
人物が言う
「我が名か?そうよな アールスローンの民 ならば… その方へと伝え得る 我が名は 2つある」
ラキンゼスが言う
「2つ?では そちらを 聞かせてもらいたいのだが?」
人物が言う
「ならば答えよ その方の… 神の名は?」
ラキンゼスが言う
「神の?…すまないが 我々の国では 神の名は知られていない」
人物が言う
「そうか… では 問い方を変えよう その方の… 王の名は?」
ラキンゼス
「王?我らアールスローンの女帝陛下のお名前と言う事なら そちらもすまないが… 我々の耳には出来ないものだ 陛下のお名前は アールスローンの神だけが 呼ぶ事を許されていると …その様に 言われている」
人物が苦笑して言う
「そうか… 上手く言ったものだな?では 問い方を変えよう」
ラキンゼスが疑問して言う
「まだ 何か?」
人物が言う
「その方の 仕える者の名は?」
ラキンゼスが言う
「仕える?」
人物が言う
「そうだ その方は マスターと名乗った …ならば その方には 仕えるべき主が在る筈 その者の名だ」
ラキンゼスが僅かに表情を困らせて言う
「仕える… ご奉仕していると言うつもりは無いが… 強いて主と言うのなら …我々の上官は アース・メイヴン・ハブロス司令官だ」
人物が反応して言う
「…そうか 良いだろう …ならば 我も答えよう 我が名は… ローゼンダーク」
ラキンゼスが言う
「ローゼンダーク…」
ローゼンダークが立ち上がる ラキンゼスが反応する ローゼンダークがゆっくりとラキンゼスへ向かって来る ラキンゼスがハッとして思う
(何だ?何か…っ!?)
ラキンゼスの耳に高音域の音が響き 体が震えだす ラキンゼスが驚いて思う
(何だ?この頭の中に響く音は!?身体が…っ 震えて…!?いや 違う 俺の身体じゃない ナノマシーンが…っ!?”ラキンゼス”が!?)
ラキンゼスがハッとすると ローゼンダークが笑んで言う
「”ハブロス”… なるほど やはり 再び 我が前に… クックック… 待っていたぞ?さぁ ラキンゼス 我が声へ答えよっ」
ラキンゼスの身体が硬直する ラキンゼスが目を見開いて思う
(――ナノマシーンがっ!?)
ラキンゼスがローゼンダークへ視線を向けて言う
「あ、貴方は…っ!?一体…っ!?」
ローゼンダークが言う
「我か?我は その方らの神 ネロ・アーク・フォライサー」
ローゼンダークがネロの姿に変わる ラキンゼスが驚いて言う
「神…!?」
ネロが言う
「そうだ 従いて その方らの神とある この我が命じる ラキンゼス さぁ… お前の愛する アールスローンの者を 全て… 殺せっ」
ラキンゼスが目を見開く
ラキンゼスが言う
「…うっ …ぐっ」
隊員Cがハッとして言う
「え?兄貴っ!?」
ラキンゼスの脳裏に記憶が蘇る
ネロがラキンゼスの背後にゲートを発生させ ラキンゼスの前に手を向ける ラキンゼスがハッとすると ラキンゼスの身体が吹き飛ばされ ゲートに消える 脳裏にネロの声が聞こえる
『お前の愛する アールスローンの者を 全て… 殺せっ』
ラキンゼスの脳裏に走馬灯が流れ その後の出来事が思い出される
ラキンゼスが目を見開き 錯乱して叫ぶ
「止めろっ!止めろっ!ラキンゼスーーっ!!」
隊員Cが驚き 慌てて言う
「あ、兄貴っ!?どうしたっ 大丈夫かっ!?お、落ち着けってっ!?」
ラキンゼスが錯乱して叫ぶ
「止めてくれっ!伝えるんだっ!早くっ ハブロス司令官にっ!早くっ 奴をっ!ローゼンダークがっ!アールスローンをっ!!」
隊員Cが呆気に取られて言う
「な、なんだよっ!?伝えろって!?何を!?ハブロス司令官に!?ロ、ローゼン!?とにかく 落ち着いてくれっ 兄貴っ!マスターラキンゼスっ!?」
ラキンゼスが言う
「止めてくれっ!このままじゃ 奴がっ ネロ・アーク・フォライサーがっ ナノマシーンをっ!皆がっ!仲間がっ!俺の 家族がっ サキ!助けてくれっ!早くっ!早く知らせるんだっ!早く!」
隊員Cが怯えて言う
「な、何だよっ!?い、一体 どうしたら良いんだよっ!?」
隊員Cがナースコールボタンに気付いて言う
「そ、そうだっ 医者をっ!」
隊員Cがナースコールボタンを押して言う
「せ、先生を呼んでくれっ 兄貴が…っ 患者が意識を取り戻したんだが 騒いで…っ!」
ラキンゼスが錯乱して叫ぶ
「あぁああー!俺は 俺は 殺したくないんだっ!そんな事はやりたくないーっ!止めてくれっ ラキンゼスー!!」
隊員Cが困り怯えてラキンゼスへ言う
「あ、兄貴…っ!?」
医者と看護師が入って来て 医者が言う
「マスターラキンゼス 落ち着いて ここは病院です もう 大丈夫ですよ?」
ラキンゼスが言う
「早く止めないとっ 奴が狙ってるんだっ この アールスローンをっ!奴は 動き始めたんだっ だから 伝えないとっ!?きっと知っているっ 皇帝と仲間である ハブロス司令官なら!奴の事を!だから… ハブロス司令官にっ 早くっ!」
看護師が隊員Cへ言う
「外でお待ち下さい」
隊員Cが言う
「は、はい…」
医者が言う
「鎮静剤を用意して バルビツレートも」
看護師が言う
「はい」
看護師が出て行く 隊員Cが医者と看護師を見てから視線を落とし病室を出る
【 ART 第一訓練所 】
隊員Bが現れて言う
「おっはよー!アッちゃんー!」
隊員Aが振り向いて言う
「ああ お早う って言っても… バイちゃん もう昼過ぎだけど?でも やっぱり来たんだな?」
隊員Bが言う
「もっちろんだよー!」
隊員Nが言う
「けど おせーじゃん?珍しい?」
隊員Bが言う
「あれー?ナッちゃんが居るー?珍しいー?」
隊員Nが衝撃を受けて言う
「なぁっ!?こ、このー どういう意味だよっ バイちゃん隊員!?」
隊員Bが言う
「えー?だってー?」
隊員Iが言う
「けど 本当に バイスン隊員が居ないのには 驚いたけど?」
隊員Bが言う
「あ!イッちゃんも居たんだー?イッちゃんは 珍しいー じゃないねー?」
隊員Iが言う
「え?そうか?俺としては 自分にしては 珍しいと思ってるけど?」
隊員Aが言う
「イリアス隊員の 最近の頑張りは 誰の目にも見えているって事だよ?」
隊員Iが苦笑して言う
「そう… 言ってもらえるのは嬉しいけど…」
隊員Aが言う
「それはそうと バイちゃんは 本当に珍しく遅かったけど どうかしたのか?」
隊員Bが言う
「うん、俺ねー!フッちゃんの お見舞いに行こうと思ってー!」
隊員Aが言う
「ああ、それでか?」
隊員Bが言う
「張り切ってたのに 寝坊しちゃってー?しかも 病院行ってみたら フッちゃん退院してたのー!俺チョーカッコ悪いー!にひひっ!」
隊員Aが軽く笑って言う
「あれ?そうだったのか?俺も知らなかったよ だから 後で行こうかって思ってたんだけど それじゃ 俺も チョーカッコ悪いな?ははっ」
隊員Iが言う
「フレッド隊員は おととい退院したんだってさ?今朝 電話した時に聞いたよ」
隊員Bが言う
「あー そうだったんだー?」
隊員Iが言う
「ついでにART1の作戦は 無事完了したって 伝えといたぜ?」
隊員Aが言う
「そっか それなら フレッド隊員は 喜んでくれたんじゃないか?」
隊員Iが言う
「ああ、喜んでた… って言うか ホッとしたって感じだったよ ”良かった”って?」
隊員Nが笑んで言う
「まぁ そうだろうな?何てったって イリアス隊員の兄貴的存在だもんな?そりゃ 弟分の事は心配してただろうぜ?」
隊員Bが言う
「兄貴的存在ー?」
隊員Iが苦笑して言う
「あぁ あれは 何ていうか あの時のノリで… …それに 安心してくれたと思ったら 今度は DD6はどうだった?乗り心地は?コックピット内の様子は?とか 滅茶苦茶聞かれてさ?大変だったよ?」
皆が笑って 隊員Aが言う
「フレッド隊員らしいな?けど その様子なら そろそろ 戻って来られそうかな?」
隊員Iが言う
「ああ、多分な?打撲の痛みは無くなったって言っていたし?」
隊員Aが言う
「そっか 良かった フレッド隊員も戻ってくれば こうやって 休暇出隊する隊員がもう一人増えて6人に… あれ?今 4人しか居ない?」
隊員Bが言う
「あれー?サッちゃんはー?」
隊員Iが言う
「サキシュ隊員は来てないけど?」
隊員Nが言う
「何だ 噂のサッちゃん隊員は 張り切り組みを 3日坊主かぁ?」
隊員Aが苦笑して言う
「いや、ナクス隊員じゃないんだから?」
隊員Nが言う
「どういう意味だよっ アッちゃん隊員っ!?」
隊員Iが言う
「あ!ひょっとして サキシュ隊員も お兄さんの お見舞いじゃないか?」
隊員Bが言う
「あー そう言えばー?」
隊員Aが言う
「ああ、そう言えば… バイちゃん 見掛けなかったのか?病院で?2人は同じ病院だろ?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Iが言う
「いや それは無いんじゃないか?同じ部隊なら兎も角 通常 国防軍なんかだと 別部隊の隊員とは わざと病室を離すだろう?気兼ねがない様にってさ?だから…」
隊員Aが言う
「そっか それじゃ フレッド隊員の病室だった方へ向かったバイちゃんとは 会わないな?」
隊員Bが言う
「そうだねー サッちゃんは見てないよー?もし見たら 俺 声掛けるしー?」
隊員Aが言う
「だろうな?バイちゃんなら?」
隊員Bが言う
「うん!あ、けどさー 俺 やっぱ 声掛けられなかったんだよねー?」
隊員Nが言う
「え?声を掛けられなかったって?バイちゃん隊員が?誰に?」
皆が疑問する 隊員Bが言う
「俺 サッちゃんには会ってないけど あれ多分… ハブロス司令官だったと思うんだよねー?病院の入り口で見かけたのー!」
隊員AとNとIが驚いて言う
「「「えぇえー!?」」」
隊員Bが言う
「もしかして ハブロス司令官も お見舞いかなー?」
隊員AとNとIが顔を見合わせ 隊員Nが言う
「ま、まさか…?なぁ?」
隊員Aが言う
「う、うーん…?」
病室外
隊員Cが携帯を前に考えながら言う
「伝えろって言われたって… ローゼン…何とか?ネロ…何とか…?とか…?そんなの言われたって… そもそも 俺が ハブロス司令官へ連絡なんて…っ」
アースの声が聞こえる
「サキシュ隊員」
隊員Cが衝撃を受け 顔を向けるとアースがやって来る 隊員Cが慌てて立ち上がって言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?な、何でっ!?」
アースが到着して言う
「担当の医師へ マスターラキンゼスの意識が戻ったら 連絡を寄越すようにと伝えておいた それで?彼の容態は?」
隊員Cが慌てて言う
「え!?えっとっ あの…っ その…っ!?な、何だっけ…っ?な、なんか伝えろって…?とにかく ハブロス司令官に伝えたいって 言ってるんですけど…?」
アースが言う
「私に?」
隊員Cが言う
「けど、何か すげぇ 錯乱してて… あんな兄貴は 見た事が なくて…」
アースが言う
「それで?」
隊員Cが一瞬衝撃を受けて言う
「え!?えっと…?それで?それで… ああっ!今 医者の先生が 鎮静剤を打ってくれるから 大丈夫だって 看護師さんが…」
アースが言う
「分かった 直接 話を聞きたい すまないが 入らせてもらうぞ?」
アースが病室へ向かう 隊員Cが慌てて言う
「えっ!?あ、でも 本当に…っ 今は!」
隊員Cがアースを追う
病室内
ラキンゼスが錯乱して叫んでいる
「何でそんな事するんだっ やめてくれ ラキンゼスっ!俺は 殺したくないっ!誰も 殺したくないっ!だから 伝えるんだよ!早くっ ハブロス司令官へ 国防軍へっ!」
医者が言う
「…効かないか 仕方がない バルビツレートを」
看護師が言う
「はい」
アースが言う
「バルビツレート?駄目だ リスクが高過ぎる」
医者と看護師が一瞬驚いてアースを見る アースがラキンゼスへ向かう 看護師が言う
「処置中です 外でお待ち下さい」
アースが言う
「言語が明瞭だ 初期症状なら まだ話せる ――マスターラキンゼス隊長っ!聞こえるかっ!?」
アースの後方に居た隊員Cが呆気に取られる ラキンゼスがハッとして言う
「ハ、ハブロス司令官…っ!?」
アースがラキンゼスの腕と肩を押さえて言う
「そうだ 私だっ 何があった!?報告を行えっ!ARTゼロ隊長っ!」
ラキンゼスが怯えながら言う
「も、門の中に…っ 街が… あって その先にっ はぁ…っ はぁ…っ!」
アースが言う
「心配ないっ 私が居る お前は1人ではないっ!その先へ向かえっ マスターラキンゼス!」
ラキンゼスが言う
「その… 先に…っ 奴が…っ!」
アースが言う
「奴?誰だ?」
隊員Cが呆気に取られている 医者が看護師へ目配せをして 医者が隊員Cへ言う
「我々は外に居りますので」
隊員Cがハッとして言う
「は、はい…っ」
アースが言う
「言えっ 誰だ!?誰が お前を怯えさせているっ!?」
アースが手の力を強める ラキンゼスが息を飲んだ後言う
「ロ… ローゼンダークがっ」
アースが驚く ラキンゼスがアースの腕を掴んで言う
「ネロ… アーク・フォライサーがっ ハブロス司令官にっ」
アースが言う
「ネロ…?奴か…っ!」
アースが怒りを抑える ラキンゼスが言う
「そいつが 俺たちの神だって言ってっ ナノマシーンをっ!ラキンゼスを 操ってっ 殺せとっ アールスローンの 俺の愛するものを殺せとっ!俺は…っ 嫌だっ 止めてくれ ラキンゼスっ!!」
アースが言う
「よし もう心配は無い マスターラキンゼス 聞けっ!お前のナノマシーンは 全て排除した!お前の身体には もう残っては居ない!」
ラキンゼスが驚く アースが言う
「お前たちが起こした事件も 全て解決したっ!レギストが抑えたっ!お前は誰も殺しては居ないっ」
ラキンゼスが驚いたまま言う
「レギストが…?俺は… 誰も… 殺してない?」
アースが言う
「ああ、そうだ 誰も殺していない お前は良く耐えた もう 何も心配はいらない」
ラキンゼスがハッとして言う
「…け、けどっ ナノマシーンがっ ラキンゼスが言うんだっ 神の命に従うってっ!作戦を考えろってっ!」
アースが言う
「そちらは 既に 考える必要も無い それを言うナノマシーンはもう居ない お前の ナノマシーンは ”全て破壊した”」
ラキンゼスが呆気に取られる アースが言う
「ナノマシーン ラキンゼスは もう何処にも ”存在しない” 全て 終わったんだっ」
隊員Cが呆気に取られていて言う
「破壊… した…?」
ラキンゼスが脱力して言う
「もう 居ない…?全て…?それ なら…?」
アースがラキンゼスの身体を押さえていて言う
「ああ、もう大丈夫だ 何の心配もない お前は 何も考えなくて良い 後の事は 全て 私へ任せろ!私が引き受けるっ!」
ラキンゼスが静かに目を閉じて脱力する アースがラキンゼスの身をベッドへ休ませる 隊員Cが呆然としていると アースが隣に立つ 隊員Cがハッとして言い掛ける
「あ…っ!」
アースが言う
「彼を頼むぞ サキシュ隊員… 傍に居てやれ」
隊員Cが言う
「…は、はい…」
アースが立ち去る 隊員Cが呆然と立ち尽くしてから言う
「…破壊した?もう… 何処にも… 居ない…?」
隊員Cがラキンゼスを見て 一度視線を落とし肩の力を抜いてから ラキンゼスの近くへ向かう 力の抜けた胸元でキーネックレスが揺れている
続く
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