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15章
アールスローン戦記Ⅱ マスターたちの多幸なる日常
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【 ART2 】
レイがMラミリツへ向いて言う
「ラミリツ!マリアを お前の奥さんになんかしたらっ!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?マリアさんを 僕の…?」
レイが怒りのままにアークになって言う
「お前のマシーナリーなんかっ 俺の全力のデカイ魔法の一発で!お前の国と一緒に ぶっ壊してやるんだからなーっ!」
Mラミリツが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
ART2マシーナリーたちの前で マリアが慌てて言う
「な、何言ってるんですかっ!ヴィザードさまっ!さっきのは 言葉の綾と言うものでっ!ほ、本気で言った訳ではっ!…それにっ!」
ラミリツが困って言う
「えーっと… 何でそういう事になってるんだろう?うーん… やっぱ さっき… マリアさんと キスしちゃったせい …かな?」
モニターにART2隊員たちが映って言う
『何かあったのですか!?隊長!?』 『今の御発言は 一体どう言う事で!?』 『キスをしたとは!?』
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?嘘っ!?何で皆に聞こえて!?今は無線切ってた筈なのに…?」
ラミリツがハッと気付いて言う
「あぁあーっ!外線プラグが…っ!?まさか マリアさんと一緒に さっき倒れた時に!?」
マリアが呆気に取られている MラミリツがART2マシーナリーたちに囲まれて言われる
「隊長っ どう言う事ですかっ!?」 「保護対象に手を出されたとあっては 軍法会議にっ!」 「ハブロス司令官に何とお咎めを受けるか!?」
Mラミリツが言う
「いやっ 違うんだって!?あれは 本当に事故で…っ」
ART2隊員たちが言う
「事故とは!?」 「一体どの様な事故で 保護対象の女性と キスをされると言う事がっ!?」
マリアが呆気に取られた状態から苦笑して 気を取り直して言う
「私たちの国も ラミリツさんたちの国も… 同じ なのかな?ふふ…っ」
レイが言う
「マリアっ?」
マリアが衝撃を受けて言う
「ギクっ!?」
マリアが顔を向けた先で レイが言う
「マリア!?どう言う事なんだっ!?キスしたって!?キスって 大好きな証拠だろっ!?マリアは ラミリツの事も 大好きなのかっ!?俺の事と同じ位 大好きだって事なのか!?俺の大好きは1つだけだけど マリアの大好きは いくつあるんだ!?」
マリアが慌てて言う
「いえっ!大好きは 私も ウィザードさまと 一緒で 大好きは1つだけですからっ!」
MラミリツがART2マシーナリーたちに言い寄られて困って言う
「だから 違うってっ 誤解だからっ 僕は 任務を…っ!ハブロス司令官からの ラストオーダーに…っ 最終命令に従って それで マリアさんと…っ」
ART2マシーナリーたちが言う
「任務でっ!?」 「命令で 保護対象者と キスをっ!?」 「いくら ハブロス司令官からの ご命令とあられましてもっ そちらの命令に従われるのは 如何なものかとっ!」
ラミリツが言う
「マリアさんと ART2の皆を守れって… えっ!?」
ラミリツの前のモニターにエンプティの表示がなされて周囲の電源が切れて暗くなる ラミリツが衝撃を受けて言う
「エネルギー切れっ!?あ、あの… ちょっと 誰か…っ スペアを… …ってエネルギー切れたら 無線も切れるんだった」
MシュナイゼルにART2マシーナリーたちが集まっていて言う
「副隊長 如何しましょう?」 「どうやら 隊長機は燃料切れの様で」 「難でしたら このまま 証拠隠滅という手も…?」
Mシュナイゼルが言う
「うーむ…」
ラミリツが周囲を探りながら言う
「任務を成功させたのにっ!?何で こんな事になってんのー!?ちょっと 早く 誰かっ!?ピット内の酸素無くなっちゃうよぉ!?」
マリアが呆気に取られて言う
「ラミリツさん… 大丈夫でしょうか?」
レイが杖を構えて言う
「大丈夫だマリア!今 俺が ぶっ飛ばしてやるからな!」
マリアが衝撃を受けて言う
「だ、駄目ですよっ それから ART2の皆さんもっ あれは 事故で!で、ですからっ!」
ART2隊員たちがモニターに映るマリアの慌てている姿に微笑し 皆が笑う マリアが衝撃を受け呆気に取られる シュナイゼルが言う
「どうやら これで 我々ART2の任務は 成功の様だ」
Mシュナイゼルが顔を向ける 視線の先 ウィザードたちが居て アイザックが苦笑して言う
「彼らとなら…」
ラミリツが表情を苦しめて言う
「ちょ…っ 本当に… 酸素が… …っ!」
周囲の電源が入り モニターが起動して表示が灯る 続いて空調設備が起動する ラミリツが送風口に顔を近付けて言う
「はぁ… はぁ… …もぉっ」
モニターにシュナイゼルが映り苦笑して言う
『ご無事でしょうか?隊長?』
ラミリツが怒って言う
「遅いよっ!本当に苦しいんだからっ!」
ラミリツがシートへ向かう シュナイゼルが言う
『申し訳ありません 少々会話が盛り上がってしまいまして』
ラミリツが衝撃を受けて言う
「会話って!?そんな事より こっち 優先するでしょっ!?普通っ!」
ラミリツがシートへ身を落ち着かせると モニターの一つに気付き顔を向ける Mラミリツが再起動して立ち上がり マリアと同じ方向を向く 遠くに破壊された町の煙が上がっている
【 ART研究開発室 】
グレイゼスが電話をしていて言う
「…ああ、チップは無事だ データの方も 損傷は確認されていない だから 出来るだけ 早めに処置を… …いや そこを何とか?急いで頼むよ?なんてったって 世界を守る為の 悪魔の兵士様なんだから?」
グレイゼスが視線を向けた先 台の上にマイクロチップが置かれている 受話器から声が聞こえる
『だったら そもそも その悪魔の兵士様の 身体を喪失させない 作戦を考えたらどうなんだ?マスター?』
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ… そうと言えば そうなんだが… …なら そうと言っておくよ?一応な?…うん 分かった それで 宜しく!」
グレイゼスが受話器を置き マイクロチップの下へ向かって言う
「さて、それじゃ… うーん 何処へ置いておくかなぁ?ここじゃぁ ちょっとなぁ…?何処か もっと安全な… …うん?」
グレイゼスが台の横に置かれているピックに気付き 手に取って確かめると 苦笑して言う
「これは… …よし!それじゃ 先に ハブロス司令官へ 一言 ご挨拶をしておくか!…お前も来るか?ハイケル?」
グレイゼスがマイクロチップを手に取って言う
「と言っても その姿じゃ 文句の一つも 言えないが… うん?」
グレイゼスが気付いて言う
「文句の一つ… ねぇ?」
グレイゼスがコンソールへ向かう
【 ART第一格納庫 】
隊員Bが保管マシーナリーを見上げて言う
「あーあ~…」
隊員Aが言う
「うん?どうした バイちゃん?少佐なら 無事蘇って来るって?中佐が言ってただろう?」
隊員Bが言う
「うんー… それもあるけど~ やっぱ~?」
隊員Aが言う
「やっぱ?」
隊員Bが言う
「俺のマシーナリー 可愛そうだったなーってー?」
隊員Aが隊員Bの様子を見て言う
「バイちゃん…」
隊員Bが言う
「だってだってー?折角 お互いの身体を知り合ってー 相性ばっちりだって 分かったばっかだったのにさ~?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「うっ… だから バイちゃん… 気持ちは分かるけど その言い方は…」
軍曹が通り掛かり 室中を見て気付き言う
「おお!そこにいるのはっ バイスン隊員に アラン隊員ではないかぁー!」
隊員Bと隊員Aが一瞬驚いた後 隊員Aが呆気に取られて言う
「軍曹!?」
隊員Bが言う
「あー!軍曹だー!軍曹ぉー!」
軍曹がやって来て言う
「おお!2人共!任務の程 ご苦労であった!無事で何よりである!…むっ!?のぉ!?他の2名プラス1名の作戦参加者は どうしたぁあっ!?まさかぁっ!?」
隊員Aが苦笑して言う
「いえ、その2名プラス1名も 無事です それで その3名は 帝国から直帰したんです」
隊員Bが言う
「俺たちはー 少佐の ”Eランク設定頭”が心配だったんでー それで ART本部へ戻って来たのでありますー!軍曹ぉー!」
隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん… Eランク設定頭じゃなくて Eランク設定ユニットって言わないと… それだと まるで少佐の頭が Eランク設定だって言っているみたいな…」
ハイケルの声が聞こえる
『悪かったな アラン隊員』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「げぇえ!?しょ、少佐ぁー!?いえっ!い、今のはっ!自分は決してっ!」
隊員Bが疑問して言う
「えー…?少佐ぁー…?」
隊員Aがハッとして言う
「あ…?そ、そうだったっ!?少佐は… 中佐に確認したら 少佐が蘇るには 脳外科医のマスターに頼んで作業をしてもらってって… すぐには 無理だって言ってたのに?」
軍曹が言う
「おお!そうであったっ!アラン隊員!バイスン隊員!すまぬが その中佐が居られる 技術研究室と言うのが 何処にあるのかを 自分に教えて欲しいのであるがっ!?」
隊員Aが言う
「あ… はっ!了解!軍曹!」
隊員Bが言う
「えー?でもー?」
隊員Aが隊員Bへ向いて言う
「バイちゃん 軍曹はこのART本部内の事は知らないんだから 俺たちが 案内しないとだろ?」
隊員Bが言う
「けど 軍曹ぉー?中佐なら~?」
軍曹が言う
「む?中佐なら?」
ハイケルの声が聞こえる
『軍曹』
軍曹がハッとして慌てて振り返り 敬礼して言う
「はーっ!少佐ぁー!」
振り返った先 グレイゼスが居て 軽く笑って言う
「っははは… やっぱり 相変わらずだなぁ?アーヴィン君は?」
軍曹がハッとして言う
「はっ!?マ、マスター!お声だけなら 先ほど振りでっ!して!実物の方では ご無沙汰を致しておりますでありますっ!マスターぁ!」
グレイゼスが軽く笑って言う
「実物の方だって ご無沙汰って言うほどでもないだろう?そりゃ まぁ 国防軍に居た頃と比べたら そうかもしれないが?」
軍曹が言う
「は!そうと言われませば そうかも致しませんがっ 自分は誠に持って マスターやこちらのARTへ召集された 元国防軍レギスト機動部隊の皆に会え無い事は とても 寂しく…っ …と 所で?」
軍曹が疑問しながら言う
「そのマスターや元国防軍レギスト機動部隊の皆とは異なり 日々屋敷にて顔を合わせております 少佐のお声が 今しがた 自分の耳に聞こえたような気がするのでありますが…?その様な筈は?」
軍曹が首を傾げる ハイケルの声が聞こえる
『そうでもない』
軍曹が衝撃を受けて言う
「のぉっ!?やはりっ 少佐ぁー!?どちらに!?して もし ご無事であられたという事であられましたら… 自分は たった今 こちらのART本部にお邪魔した意味が かなり 無くなるのでありますが?」
ハイケルの声が聞こえる
『問題ない』
軍曹が衝撃を受け疑問して周囲を伺い 隊員Aと隊員Bへ向く 隊員Aと隊員Bが呆気に取られた状態で顔を見合わせる グレイゼスが軽く笑っている ハイケルの声が聞こえる
『軍曹、アラン隊員、バイスン隊員 私は… ここに居ないのか?』
軍曹と隊員Aと隊員Bがハッとして グレイゼスを見る グレイゼスの手に持たれている Eランク設定ユニットの中心にある光が移動してから疑問する 隊員Aが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ!今日出動する際に PM700と共に渡されたーっ!?」
隊員Bが言う
「あー!少佐の ”Eランク設定頭”だーっ!」
軍曹が衝撃を受けて言う
「なんとぉおっ!?」
ハイケルの声が不満そうに言う
『その名前が 私はとても 気に入らないのだがっ?』
グレイゼスが笑って言う
「っははは 既存の音声データだけで ここまで会話が出来るとは 大したものだなぁ?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「…とっ!?申されますとっ!?まさか そちらは…っ!?」
隊員Bが言う
「少佐の… 偽者ぉー?」
ハイケルが言う
『私は嘘は嫌いだ』
グレイゼスが言う
「偽者では無くて 中身は本物なんだが 生憎 今は 言語を認識して それを元に 生体機能を使って音を作る… つまり言葉を発声させるって事が出来ないもんだから 既存の音声データのみで 対応してるんだ」
隊員Aが言う
「中身は本物… で、ではっ!その中にはっ 少佐の魂と言われる あのマイクロチップがっ!?」
軍曹が言う
「そ、そうと言う事は つ、つまり そちらは… あ、あの エ、エルム少佐 お得意の… デコイを操る技と言う事で?」
ハイケルが言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが軽く笑って言う
「っはは そんな所でまで 毛嫌いする事ないだろう?ハイケル」
ハイケルが言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが笑っている ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
軍曹と隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが笑っている グレイゼスが苦笑して言う
「分かった分かった それじゃ もう少し 既存の音声データを追加しておくから… そんな機械頭になってまで 怒る事ないだろう?ハイケル?」
ハイケルが言う
『ふんっ』
【 ART技術研究室 】
扉が開かれ グレイゼスが言いながら入って来る
「本当は このハイケルを連れて 司令官室に行こうと思ってたんだが まだ 戻ってないって言う事だったから… それならそうと 終業時間間近だって言うのに わざわざ本部へ戻って来た ハイケル少佐の”両碗の騎士”こと アラン隊員とバイスン隊員に 会わせてやろうと思ってな?」
グレイゼスに続いて 軍曹と隊員Aと隊員Bが入って来る 隊員Bが言う
「”両碗の騎士”ってー?」
軍曹が得意げに言う
「”両碗の騎士”と言うのは ペジテ王に仕えていたと言う 優秀な2人の騎士の事である!」
隊員Bが言う
「へー そーなんだー?」
グレイゼスが微笑して言う
「流石は ハブロス家の アーヴィン君!」
軍曹が言う
「あ、いえ?そちらは 以前… 少佐から ご教授を頂きまして?」
グレイゼスが言う
「あら?そうだったの?てっきり」
軍曹が苦笑して言う
「自分は馬鹿でありますので 例外なくそう言った 歴史的な事なども 無知なのであります!」
グレイゼスが苦笑して言う
「っはは… それは まぁ… アーヴィン君らしいと言えば そうなのかもしれないが …多少は知っておいた方が良いんじゃないか?何せ その”ペジテ王”って言うのは アーヴィン君のご先祖様じゃないか?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は…?はぇえっ!?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Aが驚いて言う
「そ、そうだったのか…?ペジテ王…?ま、まぁ あのハブロス家だもんな?元王様って言うのも… わ、分からなくも 無いか?」
グレイゼスが言う
「”ペジテ王ハブロ”!…本当に知らないのか?アーヴィン君?」
軍曹が言う
「ペジテ王ハブロ…?えーっと… 自分は防長閣下で…?あ、いえ?マスター?自分はハブロではなく 元ハブロスでありますが?」
グレイゼスが言う
「そう だから そのままじゃないか?ハブロスって言うのは ハブロ殿が家族を得て 自分の家族へ対して与えた家の名前… つまり自分の名前に複数を示した ハブロ”ス” なんだからさ?」
軍曹が驚いて言う
「なんとっ!?」
隊員Bが言う
「あー!なるほどー!」
グレイゼスが言う
「もしかしたら それで… なのかもな?ハブロス司令官の あの力も…?」
隊員Aが言う
「ハブロス司令官の…?」
隊員Bが言う
「あの力ってー?」
軍曹が言う
「そちらは一体?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
『何の話だ?』
グレイゼスがハッとして言う
「あっ!い、いや!な、なんでも~…?」
皆がグレイゼスを見詰めている グレイゼスが困り汗を流す
【 ART出入り口 】
ドアが開き アースが入って来ると IDを通し表示を見る 表示が切り替わったのを確認した後 出隊隊員の名前に視線を向けてから 軽く微笑し 視線を変えて言う
「こちらに問題は無いか?エルム少佐?」
警備に立っていたエルムαが言う
『ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の入館を確認』
アースが言う
「うん?そうか?アイツが… ともすれば 自分の息子へ危険な作戦を実行させた私へ 一言文句でも言いに来たか?」
エルムαが言う
『共に ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐のデコイの入館を確認』
アースが気付いて言う
「彼のデコイが?…なるほど?国防軍総司令官にして防長閣下自らが 運んで来たと言う事か …フッ やはり あいつは祖父上に似ているな?エルム少佐?」
エルムαが言う
『…何の話だ』
アースが苦笑してから通路を行く
【 ART技術研究室 】
台にハイケルβが寝かされる 隊員Aと隊員Bが呆気に取られて見ている グレイゼスが言う
「何も 防長閣下が自ら 運んで来られなくとも?」
軍曹が言う
「いえっ 少佐のお体をお持ち致しますのは 原本の所有者である 自分の責務でありますかと!」
ハイケルのEランク設定ユニットがハイケルβを見て言う
『複雑な心境だ』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「それは そうでしょうね…?」
隊員Bが言う
「なんかー?このまま 乗り移れちゃいそうですけどー?少佐ぁー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「の、乗り移れって…!?バイちゃん!?」
ハイケルが沈黙してから言う
『…複雑な心境だ』
隊員Aが苦笑して言う
「ごもっともで…」
グレイゼスが言う
「責務に忠実な防長閣下に取り急ぎ お持ち頂いた所申し訳ないが… こっちの準備がちょっと 掛かっててな?なんせ 優秀な脳外科医のマスターが その名の通り 優秀なものだから 中々予約が取れなくて… それでも 何とか急いでもらえるようにとは 掛け合ったんだが」
軍曹が言う
「なるほど… そちらは… …致し方ない事でありますね?自分はもちろん 少佐には お早く蘇って頂きたいと思いますが」
隊員Bが言う
「って事はー…?少佐ぁー?少佐は今 蘇ってはいないのでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
『…複雑な心境だ』
隊員Aが言う
「じゃ、じゃぁ… 俺たちは 今 …死体と 喋って…?」
隊員Aと隊員Bと軍曹が衝撃を受ける ハイケルが言う
『複雑な心境だ…』
グレイゼスが苦笑して言う
「君たち…?」
ハイケルがグレイゼスへ光を向けて言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
グレイゼスが言う
「いや そうじゃなくて… そもそも ハイケルは死んでいない訳だから?」
皆が衝撃を受けて言う
「え!?」 「えー!?」 「なんとぉ!?」
皆がグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「当たり前だろう?実際 今 諸君はそのハイケルと 話をしているじゃないか?」
隊員Aが言う
「い、居る事は 居ますけど…?」
皆がハイケルを見る ハイケルが言う
『複雑な心境だ…』
隊員Bが言う
「じゃー この ”複雑な心境の少佐”は 生きているって事でありますかー?中佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「ああ、そういう事 悪魔の兵士が 何度でも蘇るって言うのは 結局 その魂の欠片が入った 遠隔操作用マイクロチップを取り入れた身体を 入れ替えているだけだったんだよ …まぁ それでも傍目には 人間が蘇って見える訳だが… そして、肝心の その”本物のハイケル”は それらの身体とは別の場所にある」
ハイケルが言う
『そうなのか?』
隊員Bが言う
「それじゃー?」
隊員Aが言う
「本物の少佐は?」
軍曹が言う
「一体 どちらに ご在宅なのでありましょうかっ!?マスターぁ!?」
グレイゼスが言う
「それは…」
皆が集中する グレイゼスが苦笑して言う
「分からないんだよなぁ?これがぁ~?」
皆が転ぶ グレイゼスがコンソールを操作しながら言う
「一応 探してはいるんだが 今の所 原本にも書かれていないし 二世代目の悪魔の兵士に関わっていたマスターたちの方でも 初世代の方に関しては詳しい事は… …お?ハブロス司令官がお戻りだな?どうする?ハイケル?改めて 文句の一つでも言いに行くか?」
ハイケルが言う
『戦力不足 …だ』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「せ、戦力って…」
隊員Bが言う
「少佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「いや、今のは 言葉のままの意味では無くて 現状の音声データだけの会話では 言葉で押し返されるって言いたいんだろ?」
ハイケルが言う
『そうだな』
グレイゼスが言う
「とは言っても そいつは ハブロス司令官が相手じゃ 蘇った所で 同じだと思うけどなぁ?」
ハイケルが言う
『やはり奴は 悪魔の司令官 …だ』
隊員Bが言う
「悪魔のー?」
隊員Aと隊員Bが顔を見合わせる 軍曹が言う
「でしたら 自分がっ!少佐へ その様な任務を命じたと言う 兄へ 一言っ!」
グレイゼスが言う
「うーん… まぁ それを頼んだのは 俺なんだけど… いや、やっぱここは 穏便に行こう アーヴィン君?実際 ハイケルはARTの隊員であって ハブロス司令官はそのARTの司令官だ 如何に 防長閣下にして 国防軍総司令官のアーヴィン君とは言え 別組織の隊員の扱いを指導出来る立場では無いからさ?」
軍曹が困って言う
「そ、それは… そうでありますね… …では 不本意ではありますが… 了解であります マスターぁ!」
グレイゼスが言う
「よし それじゃ」
隊員Aと隊員Bが顔を見合わせてから 隊員Aが言う
「あ、あのっ 中佐?俺たちは…?」
グレイゼスが言う
「ああ、そうそう 悪いがその間 ハイケルのデコイを見ておいてやってくれ 何だったら これも一緒に?」
グレイゼスがEランク設定ユニットを向ける ハイケルが衝撃を受ける 隊員Aが言う
「あー いえっ そちらは その… 例え 真に不甲斐なくとも 持って行ってやって下さい 中佐」
ハイケルが衝撃受ける 隊員Aが言う
「中佐と軍曹もいらっしゃるのでしたら きっと 少佐も… 不甲斐ないなりにも 何か 一言位は言えるかと?」
ハイケルが言う
『悪かったな アラン隊員』
隊員Aがハッとして衝撃を受ける 隊員Bが笑って言う
「にひひっ アッちゃん 流石ー 今日も 技が冴えまくってるねー?アッちゃん?」
隊員Aが苦笑して言う
「フォローしようと思ったんだけどなぁ… やっぱり どうしても 本音が」
ハイケルが言う
『アラン隊員の意思は理解した よって本人の希望通り…』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?それは いつかのっ!?そんな要らない音声データまで 入れないで下さいよっ 中佐ぁー!?」
グレイゼスが言う
「いやぁ 必要かと思って?」
【 ART司令官室 】
グレイゼスと軍曹が入室して来る アースが電話をしていて言う
「必要が無ければ それまでと言う事で …はい、そちらの判断は 現場の者に任せれば宜しいかと…」
アースがグレイゼスと軍曹に気付き視線を向ける グレイゼスが敬礼をする 軍曹がアースを見据える アースが軽く息を吐くと 通話に戻って言う
「…はい では そちらの様に お願い致します それでは…」
アースが受話器を置くと言う
「何か用か?アーヴィン?」
アースが資料を見る 軍曹が言う
「兄貴っ 今回の作戦は どうしても 少佐への被害を減らす事は 出来ぬものであったのか!?」
アースが資料を見ながら言う
「私は このARTの司令官として 最善の方法を用いたつもりだが?国防軍総司令官殿には 私のそちらより 上を行く作戦があられたとでも?」
軍曹が言う
「そ、それは…っ それは俺… 自身にはっ 分からぬが…っ」
アースが言う
「まぁ そうだろう マシーナリーを用いた作戦に関しては 国防軍より ARTの方が勝っているからな?では 話は以上だ 下がって良い」
軍曹が言う
「そ、そうではなくっ!俺は 唯っ!」
グレイゼスが言う
「防長閣下は ハブロス司令官が あの時 何故…」
アースと軍曹がグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「ハイケル少佐に 本物の機動回路である 中央を 狙わせなかったのかの そちらの ご返答を 求めておられる様でありますが?」
ハイケルがグレイゼスを見る アースが苦笑して言う
「その事か…」
グレイゼスが苦笑して言う
「つまり 最初に 中央である可能性は 低いと答えた… 自分の 責任と言う事で」
アースが言う
「いや?」
グレイゼスが言う
「え?…いえ、ハブロス司令官 自分は…」
アースが言う
「私は 確かに 作戦構築の最中 お前の判断を求めたが 私は最初から言った筈だ ”考慮の素材にする”と」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後言う
「しかし…」
アースが言う
「そして その お前の判断は 同時に あの知能能力補佐のヴァンパイア ヴィーンリッヒの判断とも同じだった… その時点で 私は判断した もし あの3つの機動回路の内に 唯一の正解があるのだとしたら それは中央だろうと」
グレイゼスが言う
「でしたら 何故?」
アースが言う
「そうだな?今回の奇襲が こちらのアールスローンと 彼らヴァンパイアの国 その2箇所であったのなら 私は お前の判断を覆し ハイケル少佐へ 中央を狙えと命じただろう しかし 今回は…」
アースが資料を一瞥してから言う
「3箇所だった」
グレイゼスがアースの手元の資料を見てからアースを見る アースが言う
「…だとすれば 可能性は有るだろう?あのヴァンパイアも口にしていた ターゲットは3箇所… もし 私が敵となり この世界を潰そうと考えるのなら 講じられる策はいくらでもある 同時に 翻弄してやろうと思うのなら 尚更だ」
グレイゼスが言う
「では わざと3箇所のターゲットを それぞれが 攻撃をするようにと?」
アースが微笑して言う
「そちらの必要性を 恐らく 奴も考えたのだろう?エリックアーベスト… 最も 奴の場合は 本当に 唯の賭け遊びであったのかもしれないが」
グレイゼスが一瞬考えてから言う
「しかし もし ハブロス司令官の そちらのお考えの通りだったとして 現状 ウィザードの国へ向かったART2との連絡は こちらのアールスローンはもちろん ヴィーンリッヒ殿にも出来ないとの事です そうとなれば 我々よりも情報の少ないART2の彼らが 既存の560マシーナリーと同じである 中央の正解へ向かうと言う可能性は限りなく低い…」
グレイゼスがアースを見て言う
「その状態で 極限の人間の答えとなれば やはり、あの時のハブロス司令官の お答えの通り ”人間なら 左 で勝負”…に出ると思うのですが?」
アースが言う
「”極限の状態”であれば な?マスター?」
グレイゼスが疑問して言う
「え…?」
アースが言う
「極限の状態とは つまり ”本能での判断”と言う事だろう 人間は無意識下に置いて 防御体制を取る際には 心臓のある左を庇うと言う… それは 科学的論理に基づいた 実証データなども存在するそうだが では 極限の状態では”無かったら” どうすると思う?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「えっと… そちらは もちろん?」
アースが言う
「諸君 マスターたちは 例えそちらの極限状態におかれても 体内にあるナノマシーンが 常に正常な判断を行う それにより 諸君は判断を誤る事は無い それに慣れている お前には 分からないのだろう?本来の人間だけの判断を」
グレイゼスが言葉を失う ハイケルがグレイゼスからアースへ視線を向ける アースが言う
「私は 知っている あのラミリツ攻長は 己の極限の状態に置かれても 最後まで 戦い抜く男だ そうとなれば あいつは 左は狙わない そして、守ろうとするものがあるのなら あいつは必ず中央を狙う そこに余計な考察は無い それが アールスローンの騎士 親兵攻長の力だ」
グレイゼスが呆気に取られている ハイケルが言う
『…何の話だ?』
軍曹が混乱している
【 ART技術研究室 】
軍曹が言う
「最も!自分は最初から!兄貴には言葉で 敵う筈が無いと言う事は分かっていた為に!せめて一言でも 文句を言えれば良い方だと 思っていたのであるっ!」
隊員Bが言う
「それじゃ 軍曹は 予定通りでー?少佐はー?」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ない』
隊員Aが言う
「不甲斐なくも 1言も言えなかったとは…」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
隊員Bが言う
「まぁ しょうがないでありますー 少佐ぁー?少佐は 真に不甲斐なく申し訳ない初世代の悪魔の兵士にして 現在は やっぱり 真に不甲斐なく申し訳ない ”Eランク設定頭”でありますからー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
『その名前が 私はとても 気に入らないのだがっ?』
隊員Aが言う
「その点 やっぱりと言うか ART司令塔主任 兼 研究開発部部長の中佐は ハブロス司令官のそちらのお話にも 付いて行けたと…?」
隊員Bが言う
「さっすが 中佐ぁー!チョーすげー!」
軍曹が言う
「うむ!流石 中佐にして マスターは 素晴らしいのである!」
ハイケルが言う
『それで その マスター …は居ないのか?』
ハイケルが視線を変える 隊員Aと隊員Bと軍曹がハイケルの視線に合わせて グレイゼスへ向く グレイゼスがモニターを前に考え込んでいる 隊員Aと隊員Bが疑問して 隊員Bが言う
「えー?中佐ぁー?」
軍曹が言う
「そう言えば 先ほどから?」
隊員Aが言う
「少佐の既存の音声データを追加して もっと会話を出来るようにって 言っていた割には…?何か 問題でも?」
皆がグレイゼスを見る 間を置いて 隊員Aと隊員Bと軍曹が焦りの汗を掻く ハイケルが言う
『マスターグレイゼス』
グレイゼスがハッとして言う
「あっ …あぁ 悪い?えっと?」
グレイゼスが皆を見て疑問する 軍曹が呆気に取られて言う
「はぇ?え~… え~?マスターぁ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そうなんだよ ごめんな?ちょっと 気になっちまって 考え事に集中してたんだ そうすると 周りの音とか聞こえなくなっちまうもんでさ?」
軍曹が言う
「な、なるほど?それ程までに お考え中であられたと言う事で?」
隊員Bが言う
「すっげー!集中力ー!」
隊員Aが苦笑して言う
「少しでも分けてもらいたいよな?その集中力を… な?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「えー?」
グレイゼスが苦笑して言う
「分けられるものなら 分けてしまいたいよ ホントに?あいつ等が考え始めると 夕食を前に 気付いたら朝!…なんて事もザラだからな?」
皆が驚いて言う
「「「えぇええ~!?」」」
隊員Bが言う
「チョーすっげぇ~!?」
グレイゼスが言う
「しかも それが すっげ~って事でもないんだよ?それこそ どーでも良いような事だって 気になったら 離れないんだ」
隊員Aが苦笑して言う
「それは ちょっと… 困りますね?」
グレイゼスが言う
「だろぉ?」
軍曹が言う
「そちらは 確かに… ちなみに 先ほどお考えであられた事は?」
グレイゼスが言う
「ああ!そのハブロス司令官のお陰で 俺の眠れない夜がどれだけ増えた事か!?」
隊員Aと軍曹が衝撃を受け 隊員Aが言う
「と、言う事は?」
グレイゼスが言う
「さっきのハブロス司令官の考察だよ 言ってただろう?ラミリツ攻長は ”中央の起動回路を狙う筈”だって その根拠さ?」
軍曹が言う
「根拠…?」
グレイゼスが言う
「ああ、単純に考えるなら あの考察へ行き着くには ハブロス司令官は 以前の内に ラミリツ攻長のその行動に出るであろう ”根拠となる事象に遭遇している” と言う事になる訳だが…」
隊員Aが考えながら言う
「事象に?」
グレイゼスが言う
「とは言え ハブロス司令官は ラミリツ攻長や君たちとは違って 非戦闘員なんだ そうとなれば いくら事件やその他の報告書を目にしていると言ったって ラミリツ攻長のそちらの根拠は目にしてはいない筈だ」
ハイケルが言う
『そうなのか?』
グレイゼスが言う
「ああ、それに もしハブロス司令官が それを目にしているとしたら とっくに俺の目にも入っていて可笑しくない そもそも ラミリツ攻長は お前たち 元国防軍レギスト機動部隊と同等かそれ以上に マシーナリーとの対戦は行っているが それらどちらにおいても マシーナリーへの攻撃は 指定通り機動回路があるとされている位置を 的確に破壊して倒している その完成度は 何処かの悪魔の兵士さん顔負けって位だ」
ハイケルが視線を逸らして言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが言う
「そう 流石は 優秀な二世代目の悪魔の兵士に 教えを受けただけの事はある」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
グレイゼスが言う
「ああ、つまり だからこそ なんだよ?常に 既存のマシーナリーの起動回路を的確に破壊しているラミリツ攻長が その起動回路の場所が分からない状況に追い込まれたら?そんな時はどうするかってさ?君たちになら 分かるか?」
皆が衝撃を受け困って 隊員Aが言う
「え?え~と…」
隊員Bが言う
「軍曹はー?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?え、え~とぉ~… あ、いや!?その前に 自分は攻撃が出来ないのであって」
グレイゼスが言う
「なら 指示をするだけでも良い 何処にする?」
軍曹が言う
「えぇっ!?え~とぉ~… 確か 今回の奇襲はRTD560マシーナリーである …と言う事でありましたので 自分は!」
グレイゼスが言う
「ちなみに 各マシーナリーの起動回路の位置を把握していると言う事は 少なくともラミリツ攻長は それらマシーナリーの起動回路が常に移動させられていると言う予備知識はあったはずだ」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえぇ!?」
グレイゼスが言う
「それは 同時に 同型式の改良型であっても施されている って事もな?」
軍曹が言う
「えっ!?えっと… そこまで分かっていると言う事でしたら 自分も… 改良以前の同じ場所となる 中央に関しては 候補から外す… かと?」
グレイゼスが言う
「だよなぁ?」
ハイケルがモニターを見上げる 隊員Bが気付いて言う
「ん?あー 中佐ぁー?少佐がー!」
グレイゼスが疑問して言う
「うん?」
皆がモニターを見る グレイゼスが言う
「お?そうそう よく気付いたな ハイケル?お前の言語中枢回路を この入力装置に通しておいたんだよ」
隊員Aがモニターの文字を読んで言う
「何々?”ハブロス司令官は 極限の状態に置かれる 人間の行動として話していた”?」
隊員Bが言う
「極限の状態ー?」
グレイゼスが言う
「つまり 生きるか死ぬかって言うギリギリの所さ?それこそ 支援組の俺やハブロス司令官は知る事が無い 諸君 機動隊員だけが遭遇する事態だろう?」
隊員Aが緊張して言う
「生きるか死ぬか…っ」
隊員Bが言う
「えー…?」
軍曹が言う
「自分は真に不甲斐なくも その様な事態に陥ったとあれば 何処を狙うかなどと考えるまでも無く その場に居ります隊員を全て 退避させるものと思われます…っ」
隊員Bが言う
「あー!俺も俺もー!」
隊員Aが苦笑して言う
「実際 今回の任務の時だって 俺たちは少佐を残して 退避したもんな?」
ハイケルが言う
『私は悪魔の兵士だ …何度でも蘇る』
グレイゼスが言う
「ああ、けど 同じ攻撃の兵士と言っても 政府の攻長である ラミリツ攻長はそうは行かないんだ だとしたら?…そう言えば ハブロス司令官は言ってたな?ラミリツ攻長は”極限の状態に置いても 最後まで 戦い抜く男だ”って… ラミリツ攻長と言えば 過去には 極限の状態で逃げ出す攻長だって 密かにレッテルを貼られた程の者なんだが?」
軍曹が苦笑して言う
「マスター?あの頃は ラミリツ攻長も子供でありましたから 今はもう そのような事はあられませんかと?」
グレイゼスが言う
「確かに 彼の成長には驚かされたからなぁ?まぁ 元々基礎はあった訳だし そこに エルム少佐の指導も入ったんだ そういう意味では 彼は生粋の戦士 それこそ ”攻撃の兵士”なのかもしれないが …だとしてもなぁ?ハブロス司令官の あそこまでの信頼にはならないと思うんだよ」
軍曹が言う
「信頼… で ありますか?あの兄が?…とは言え 確かに ラミリツ攻長には 兄やハブロス家の家族はもちろん 屋敷を守って頂いた事もありますので」
グレイゼスがハッとする 軍曹が言う
「家族や家を大切に考える あの兄であれば そちらがラミリツ攻長への信頼へ繋がったと言う可能性も…?」
隊員Aが苦笑して言う
「えーっと… 軍曹?それは 流石に偏見なんじゃ?いくら そのハブロス司令官でも それでは 公私混合と言うものに…?」
グレイゼスが言う
「あ、いや?ちょっと待ってくれ 確かにあの時…」
グレイゼスがコンソールを操作してモニターに破損したマシーナリーを複数表示して言う
「あったっ こいつだ!」
皆がモニターに見入る グレイゼスが言う
「このRTD420マシーナリーの機動回路は右 そして その場所にはプラズマセイバーによる攻撃痕があるんだが… それと共に ここに」
グレイゼスがモニター表示を拡大する 皆が注目して 隊員Bが言う
「あれー?なんか真ん中辺りに 傷が付いてるー?」
グレイゼスが言う
「弾痕から この攻撃は M82による射撃による損傷だという事が確認されている 更に言うと このプラズマセイバーによる攻撃は プラズマチャージ量の不足から 実際には機動回路までに到達しておらず それを補う形で M82の銃弾3発が撃ち込まれている ちなみにそれらの銃撃は その場に居た ラミリツ攻長と当時のハブロス総司令官の両名が行ったと言う証言も」
皆が驚き 隊員Bが言う
「えー?ハブロス司令官がー?」
隊員Aが言う
「そう言えば あの時って… 国防軍レギスト駐屯地の電源が落とされていて 俺ら 出動が遅れたんだよな?」
軍曹が言う
「そ、それで…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、更に言うなら その両名が撃った回数も記録されているんだ ラミリツ攻長が合計で3発 ハブロス総司令官が2発ってな?最も それ以上の情報が無かったものだから 俺らは勝手に こっちの機動回路ではない 中央への2発が 非戦闘員であるハブロス司令官による誤射だと思ってたんだよ けど 改めて考えれば あの時 プラズマセイバーのチャージが無くなった事で 本当に 極限の状態に陥っていたのは ラミリツ攻長の方だったのかもしれない」
ハイケルがモニターを見る グレイゼスがコンソールを操作して 当時の写真を表示させながら言う
「何しろ この時のハブロス総司令官は 自滅覚悟の作戦を決行していたんだ 目の前のマシーナリー所か あの場に居合わせたマシーナリーを全て破壊できる N2爆弾を所持していた そうとなれば マシーナリーの1体が相手なら ラミリツ攻長とは逆に 極限の状態とはならなかったのだろう」
軍曹が視線を落とす 隊員Aが言う
「では それがハブロス司令官の 今回のラミリツ攻長への考察って事で?」
ハイケルが言う
『任務完了…か?』
隊員Bが言う
「でも それならー?何で ラミリツ攻長の極限の状態は 中央なんだろうー?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「うっ!…うーん そいつは …また 分からないなぁ…?」
グレイゼスが頭を押さえて落ち込む 隊員Aが衝撃を受けると苦笑して言う
「バイちゃん…」
隊員Bが言う
「それじゃー?中佐の眠れぬ夜はー?やっぱ 続行でありますかー?中佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「う…っ ん?いや?今回は 切り替えが効いてくれるだろう 君たちのお陰で ハブロス司令官のラミリツ攻長への信頼理由には 気付かせてもらえたからな?後は 何故 ここぞと言う時の狙いが中央なのかの その理由は 本人から聞く事にするよ」
隊員Aが言う
「本人から?と言うと…」
軍曹が言う
「あ、難でしたら 今夜の夕食の席ででも 自分が聞いて?」
グレイゼスが言う
「いやいや 本人と言うのは ハブロス司令官じゃなくて ラミリツ攻長 本人の方さ?」
皆が驚いて言う
「「「えっ!?」」」
グレイゼスが言う
「その方が確実だろう?」
隊員Bが言う
「それじゃー?」
隊員Aが言う
「ART2が 帰って来る?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
『…そうなのか?』
【 ART2 】
アールスロン政府警察が町中に配備され 拡声器から声が聞こえる
『我々はアールスローン国 政府警察 治安維持部隊である!アールスローン国 政府長攻長 ラミリツ・エーメレス・攻長閣下の命により!友好国である 諸君らの治安維持を支援すべく参上した!支援物資を必要とする者は 速やかに 各自最寄の灯魔台神館へ向かえ!無益な争いは行うべからず!我々は攻長閣下の思想の下 正義の名において これを断罪する!繰り返す 我々はアールスローン国 政府警察 治安維持部隊である!』
街中に 警機隊員たちが居て言う
「我々はアールスローン国 政府警察 災害救助部隊である!救助作業を必要とする者は居ないかっ!?」
街中の壊れた建物に警機隊員たちが居て救出作業を行っている 灯魔台神館の周囲に人だかりと警機隊員らの姿 上空から支援物資が下ろされている 他の街でもその光景が見える スーパーの駐車場に拡声器と大型スクリーンを付けた車が停車している スクリーンにはアイザックの前で内閣総理大臣とラミリツが握手をしている写真が表示されている
野営基地 簡易テント内
中央に大きめのテーブル 上には資料が沢山散らばっている 部隊長が資料を手に言う
「我々治安維持部隊の 作業進行状況に問題なし むしろ こちらの国の者による反乱が無い事で 作業進行度は12~15工程ほど早まっております」
ラミリツが言う
「こちらの国には警察は居ても 機動部隊なんかは居ないからね 小銃を抱えた兵士が立つだけで 彼らへの暴動抑制には十分だったんでしょ?治安維持部隊は… それならもう 23工程までスキップして 準警戒態勢まで警戒体勢を下げてしまって良いよ それで 内容より 範囲を広げる方向へ 専念して」
部隊長が言う
「はっ!攻長閣下っ!」
ラミリツが言う
「次は?」
部隊長が言う
「はっ!我々 災害救助部隊の状況をお知らせ致します 我々は現在…!」
ラミリツが資料を手に眺めてから言う
「…うん 物資供給を得た事で 被害を受けた街の政府機関… あぁ こっちでは 庶民安住… 何だっけ?」
部隊長が言う
「庶民安住応援機構の…」
ラミリツが言う
「ああ、それそれ 庶民安住応援機構の 警察や公共施設の各会社も 規律を回復したみたいだし そうとなれば 次は そちらの公共施設… なんと言っても ライフラインの復旧を最優先にしないと 折角の物資供給だって その有効期間に限りが有るからね?」
部隊長が言う
「戦乱時の物資供給による 住民沈静有効期間は60時間が限界かと… しかし そのたったの2日と半日の間に 復旧を …とされましても 残念ながら こちらの施設は…」
ラミリツが写真を見て言う
「浄水施設か… これは 厳しいね 現時点に置かれる推計での 修理完了日時は?」
部隊長が言う
「そちらの会社の者へ確認を取りました所 最低でも… 3年と」
皆がざわつく ラミリツが表情を困らせて言う
「3年か… 参ったね ライフラインの中で 一番重要な 水が…」
部隊長が言う
「従いまして そちらを目処に 現在は配管設備などの復旧確認作業を進めております」
ラミリツが言う
「うん… ちなみに その他の方法なんかって言うのは?何かないの?」
部隊長が言う
「そちらは かなり厳しいです この国は アールスローンとは異なり 河川などの水源が著しく少ない事が特徴です 恐らくそれ故に これほど立派な浄水施設が 国全体への配水を担っていたものと」
ラミリツが言う
「じゃぁ やっぱ これを直す他に無いって事?」
部隊長が言う
「はい 従いまして そちらの3年間を どう凌ぐか… と言う事をご提案される他に 我々の手の施しようはありませんかと」
ラミリツが言う
「うーん…」
ラミリツが考えて思う
(そうは言ったって 浄水処理が出来ないんじゃ… 元の水源は湖の水だから 浄水所を通さずに 復旧された配管設備を使って 各家庭で浄水作業をさせる?うーん でも 部隊訓練じゃないんだから 3年間もの長い間を この国の皆にやらせるなんて 絶対無理… 人は一度楽を覚えたら それを忘れる事は出来ないんだから 今だってこの国の人たちは 誰も水道の水が戻らないなんて事は 思っても居ない筈 …こんな時はどうしたら?)
ラミリツが写真を見て言う
「大体 こんな大きなもの… 直すだなんて 気が遠くなりそうだよ 機材を用意するだけでも 何日掛かるんだろう?」
部隊長
「そちらの確認は… 申し訳ありません 生憎 こちらの国のそれら土木関連の企業への連絡は 今の所 付かないとの事で」
ラミリツが言う
「そっか… そうだよね?その確認は… もう少し 最速でも明日以降じゃないと 難しいだろうね」
ラミリツが思う
(僕らは その明日には アールスローンへ戻る予定だった けど 作業工程が余りにも進まなければ 帰還隊員を半数にしてでも 支援部隊の作業が終わるまで …帰れない かな?あぁ… もう本当に)
ラミリツが言う
「はぁ… それこそ これも”魔法で” 直せたら良いのにね?」
部隊長たちが疑問して言う
「…魔法で?」
ラミリツが部隊長たちの反応を見て言う
「あ…」
ラミリツが思う
(あぁ そっか… 今日来たばかりの彼らは ウィザードたちの魔法の凄さを知らないんだ それこそ 僕だって実際に目の当たりにするまでは 信じられなかった位だし?)
部隊長が言う
「ああ… そう言いませば こちらの お国には… 何でしたか?”魔法使い”…?が居られるのだとか?」
ラミリツが言う
「うん でも、良いんだ 気にしないで?ごめん」
部隊長が言う
「いえっ 失礼致しました 攻長閣下っ!」
ラミリツが苦笑して言う
「彼らの力は 本当に凄いんだけどね?だから… いや、やっぱり 今は 現実的に考えて 我々の手で可能な範囲の事を …っ?」
ラミリツがハッとして思う
(うん…?何だろう?この感じは?…何かが 来るっ!?)
ラミリツが咄嗟に剣に手を掛けて構える 周囲の隊長たちが驚くと同時に マリアの悲鳴が聞こえる
「キャァアーーッ!」
ラミリツが気付いて言う
「この声は マリアさ… えっ!?」
ラミリツが目を見開く
簡易テント外
ラミリツとマリアが 簡易テントの布壁を抜けて吹き飛ばされて来る 周囲に居た隊員たちが衝撃を受け驚いて言う
「な、何だっ!?」 「何事だ!?」 「攻長閣下っ!?」
テント内から部隊長たちが走って来て言う
「攻長閣下ー!ご無事で御座いますかーっ!?」 「閣下ー!?」
ラミリツが目を閉じたまま思う
(うぅ… 痛い… いや?あれ?痛くなかった?おかしいな?確かに今 僕は何かに吹っ飛ばされた筈なんだけど?…けど まるで痛みが無かった?むしろ… 何か…?柔らか… い?)
ラミリツの手が柔らかい感触を得て ラミリツが目を開くと驚いて思う
(ってっ!?やっぱ!またっ!?何でマリアさんが 僕の…!?じゃなくて…っ!?僕らの 野営基地へっ!?)
マリアが閉じていた目を開いて言う
「あ、そっか 私…」
マリアが身を起こす ラミリツが苦笑して思う
(…うん?でも もしかして?これは… 神様からの 贈り物 なのかな?それで… その神様って言うのは)
マリアが苦笑して言う
「そうじゃなくて ウィザードさま 私は… …えっ!?」
ラミリツが思う
(やっぱね?あの天使様が 力を貸してくれるって?そういう事?…でも そうならそうってさ?何も… 僕や マリアさんまで ”ぶっ飛ばして”くれなくても 良いと思うんだけど?)
マリアが自分の下に居るラミリツに気付いて衝撃を受けて言う
「ラ、ラミリツさんっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「お、お疲れ様です… マリアさん お怪我は ありませんか…?」
マリアが衝撃を受けハッとして言う
「は、はいっ お疲れ様です!?あっ!でもっ!今回は大丈夫でしたからっ!事故とか そういう事はっ!?」
周囲の隊員たちが言う
「い、一体何が…?」 「何故 この場所に 部外者が?」
【 グレイゼスの部屋 】
朝日が差し込む部屋の中 グレイゼスがPCを操作している PCから配線がされ ハイケルのEランク設定ユニットに接続されている グレイゼスが作業をひと段落させて言う
「よし これで 昨日より大分話せるようになったぞ ハイケル?既存の音声データはもちろん その他の言葉も 基本となる音を お前の音声から登録して置いた これなら 通常会話は殆ど出来る筈だ …まぁ 多少イントネーションが機械的になっちまう事はあるかもしれないが…」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットから配線を外して言う
「それじゃ ちょっとテストをするか?んー そうだな それじゃ 試しに”リンゴを食べたい”って言ってみてくれ お前の既存の音声データには無い言葉だ」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見る ハイケルのEランク設定ユニットは沈黙している グレイゼスが疑問して言う
「ん?言えないか?ハイケル?…おかしいな?」
グレイゼスがモニターを見てから 再びハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「普通に喋ろうとしてみてくれ 言える筈だから ハイケル?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見詰める 部屋のドアがノックされ マリが現れて言う
「グレイ君?朝食は?」
グレイゼスが言う
「ああ、ごめん 作業は終わったから 今行くよ」
マリが微笑して言う
「うん それじゃ… また来なかったら 呼びに来るね?グレイ君は優しいから すぐグレイゼスに掴まっちゃって そのまま作業や考え事に没頭しちゃうから… ふふっ」
グレイゼスが苦笑して言う
「いつも ごめん… ああ、それなら やっぱり 今 行っちゃうよ?このままだと そうなっちゃいそうだからさ?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを持って立ち上がり マリの近くへ行って言う
「それに 俺も少しは マリを手伝ってあげないと… そろそろ 店の仕事はキツイんじゃない?本当に 無理はしないで」
グレイゼスがマリの肩に手を回す マリが微笑して言う
「ううん 大丈夫 お店のメニューも一部止めてもらってるし 今はコーヒーを注いで カウンターに置くだけだもの グレイ君がセルフ式に変えてくれたお陰で もう本当に大丈夫だから」
グレイゼスが言う
「そう?それなら良いんだけどさ?」
マリがグレイゼスを見て微笑すると 大きなお腹を支えながら歩く グレイゼスの手に持たれていたハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『ニンシンしていたのか?』
グレイゼスが衝撃を受ける マリが呆気に取られてから言う
「え?ハイケル君?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「ああっ しまった!何だよお前 反応が無かったから 接触不良でも起きてるのかと思ってたのに」
ハイケルが言う
『ネムッテいた』
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ そう言う事…?」
マリがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「もしかして これが…?」
グレイゼスが慌てて言う
「あ、いやっ これは…っ その…っ」
マリが言う
「ひょっとして… ハイケル君と ”お話が出来る機械”?」
グレイゼスが苦笑して言う
「う、うん まぁ?そう… とも言うかな?」
マリが言う
「そうなんだ?…あら?でも それなら何も?お電話でお話しをしたら良いのに?」
ハイケルが言う
『現在の私は 魂だけの存在である為 電話は使用出来ない 悪かったな』
マリが疑問して言う
「魂だけの存在?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああっ いやいやっ!?そう深く考えないで マリ?それに ほら?あまりそう… 考え込むと 体に毒だからさっ!?」
マリが微笑して言う
「ふふふっ グレイ君ったら そんなに心配しなくても 大丈夫なんだから?」
グレイゼスが言う
「心配しちゃうよ…?なんたって 今は一番 大切な時じゃないか?」
マリが腹を撫でて言う
「そうね?もう 何時その時が来ても おかしくないものね?ここに居る この子が…」
ハイケルが言う
『いつウマレルのだ?』
マリが言う
「もう臨月なの 予定日はすぐだし 間違いなく 今月中ね?ハイケル君も会いに来てね?」
ハイケルが言う
『了解』
マリが軽く笑う グレイゼスが苦笑して言う
「なんだよ~ お前には 隠しておくつもりだったのに 作戦失敗だなぁ?」
ハイケルが言う
『何故だ?何の作戦だ?』
グレイゼスが言う
「お前たちに 気を使わせない為の作戦だよ?」
ハイケルが言う
『理解不能だ』
グレイゼスが言う
「まぁ そうかもな?」
ハイケルが言う
『シュッサン予定日に向け 休暇申請を行うべきだ お前は複数役職を兼務している 申請は 早めに執り行う事を推奨する』
グレイゼスが言う
「だから そう言うのを 気を使わせるって言うんだよ ハイケル?でもって そいつをさせない為の作戦が失敗したのっ」
ハイケルが言う
『理解不能だ 仲間であるなら 協力するのが当然だ』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「お前…」
ハイケルが言う
『共に 早く私を 蘇らせろ このままでは ウマレタそのコドモをダケない』
マリが微笑して言う
「ほらね?グレイ君?だから ハイケル君にも お知らせするべきだって 言ったのに?」
グレイゼスが苦笑してから言う
「…いやぁ?やっぱ ここに居るのは~ 偽者のハイケルかぁ?俺の知ってるハイケルは~ こんなに 可愛い奴じゃなかったぁ~!」
ハイケルが言う
『黙れ』
マリが含み笑いをする
【 ART2 】
浄水場
破壊された貯水槽が見える ラミリツが思う
(壊された 貯水槽… なるほど これは確かに3年は掛かるかもしれない けど これを 本当に魔法で?)
ラミリツが視線を向けると マリアがレイへ向いて言う
「今更ですが 本当に あれを?」
レイが言う
「ああ!もちろん 直してやれるぞ?」
ラミリツが思う
(そっか… 流石は 神様… それこそ 神の力で?)
レイが言う
「けど 俺は元々 風属性のウィザードだからさ?『この土ばっかの設備を直すのなら お前の方が向いてるだろうから しょうがないから手伝わせてやるよ!』…って マリアが言ってるって 伝えておいてやったぞ?マリア?」
ラミリツが疑問して思う
(風属性?この土ばっかりの…って?何か そういう違いがあるって事?)
宝石だらけの法衣を着た男が言う
「ヒーヒッヒッヒッヒ!」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(ま、まさか さっきから居る あの人も ウィザードっ!?)
レイが言う
「ついでに その設備には 水が一杯あって 邪魔なんだって言ってたからさ?『しょうがないから お前も手伝っても良いんだぞ?』ってマリアが言ってるって 先輩にも 伝えておいてやったぞ?マリア?」
アイザックが軽く咳払いをして言う
「…うんっ まぁ… この国の為に ウィザードとして尽くす事が出来るというのであれば 手を貸さない訳には行かないだろう」
ラミリツが思う
(こっちは まぁ 良いんだけどさ…)
マリアが気を取り直して言う
「グレーニッヒさんに お義父さん… その… ご協力を有難う御座いますっ!?」
ラミリツが思う
(グレーニッヒ?えっと… 奉者協会の名簿には無かった名前だ)
グレーニッヒが言う
「ヒーッヒッヒッヒ!礼には及ばないよぉ マリアちゃ~ん なんと言っても マリアちゃんは あの 恐ろしい敵から この国を守ってくれた 聖女様なのだからねぇ?小生にご協力出来る事があると言うのなら 喜んで?増して この国の為になる作業だというのであれば 灯魔作業も修復作業も 同じだよぉ~?ヒーヒッヒッヒ!」
ラミリツが思う
(これは 一応 聞いておくべき… だよね?それに 会話的にも マリアさんの 知り合い …みたいだし?)
ラミリツがグレーニッヒを見てからマリアへ向いて言う
「えっと… アイザック・シュテーゲル殿は存じておりますが こちらの… ウィザード様?…も マリアさんの お知り合いの方で?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ そうです…」
ラミリツが気を取り直して言う
「そ、そうでしたか では 改めまして 私はアールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 第二機動部隊隊長の ラミリツ・エーメレス・攻長です この度は…」
ラミリツが思う
(まぁ マリアさんの… この国の女帝陛下の 知り合いと言うのなら 大丈夫 …だよね?ちょっとその…)
ラミリツが一度 グレーニッヒの連れている ドレス姿の女性をチラッと見てから苦笑して言う
「急な依頼に 取り急ぎ 駆け付けて頂いた様で 誠に有難う御座います」
ラミリツが思う
(色々と変わった人だけど… 連れの人も含めて …でも?)
グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッヒ!」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(いや 本当に 大丈夫… なのかな?)
マリアが苦笑している
【 グレイゼスの店 】
グレイゼスがコーヒーの仕込みをしながら言う
「これで よし… さて 仕込みも終わった事だし」
グレイゼスが振り返った先 カウンターの上にハイケルのEランク設定ユニットが置かれている グレイゼスが向かいながら言う
「お前も ARTへ出隊するだろ?ハイケル?それとも~?マリと一緒に この店の店番でもしてくれるか~?なーんてな?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを覗き込む ハイケルのEランク設定ユニットは沈黙している グレイゼスが言う
「あら?何だ また寝てるのか?ハイケル?そろそろ起きろよ?もう とっくに日は昇ったぞ?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットをノックする ハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『タタクな ノウミソが揺れる』
グレイゼスが苦笑して言う
「入ってないだろう?」
ハイケルが言う
『ハイッテ無いのか?』
グレイゼスがサロンエプロンを外しながら言う
「コーヒーの仕込が終わったから 俺はこのままARTへ出隊するけど お前も来るだろう?まぁ そうは言っても それこそ お前に脳みそが… いや?お前が 脳みそに入れるのは 今日の夕方だけど それまでだって ここに居るよりは良いだろう?一応 ここよりは安全だしな?ART本部なら」
ハイケルが言う
『そうだな それで?私は何処でノウミソに入るんだ?』
グレイゼスが言う
「今日は 脳外科医のそのマスターが居る病院まで お前を連れて行くんだ デコイの方は先に送ってあるから 後は お前を連れて行くだけだが …まぁ その後の作業は 俺がやるんだから やっぱり 連れて行くのも俺だろうな?」
ハイケルが言う
『そうか 世話になる』
グレイゼスが苦笑して言う
「え?…何だよ?本当に お前 どうかしちまったのか?ひょっとして?色々やったもんだから うっかりマイクロチップに損傷でも与えちまったかなぁ~?…な~んてな?はははっ びっくりしたか?」
ハイケルが言う
『夕方と言う事は それから作業を行えば 就業時間を越える お前は本来なら… カエリタイ筈だ』
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「それこそ ”仲間なら 協力するのが当然だ” …だろ?ハイケル?」
ハイケルが言う
『…そうだな』
グレイゼスが微笑して言う
「そう言う事!それじゃ…」
グレイゼスが店の電話を見て言う
「…おっと?連絡を入れておかないと」
ハイケルのEランク設定ユニットが視線を向けて言う
『連絡?』
グレイゼスが受話器を取ってダイヤルしながら言う
「ああ、行く前に マリに… えっと その… そうそう!仕込みは終わってるから ってな?」
ハイケルが言う
『逝って来ると言うべきだ』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ちょっ!?音は合ってるけどっ その意味で言わないでくれるっ!?」
ハイケルが言う
『オトは合っている』
グレイゼスが言う
「はいはい 音は合ってるよ?」
グレイゼスが繋がらない呼び出し音に疑問して言う
「あら?…出ないな?いつもなら すぐ…」
ハイケルが反応して言う
『帰還しろ マスターグレイゼス』
グレイゼスがハッとして言う
「まさかっ!?」
グレイゼスが受話器を置こうとした瞬間 通話が通じて 受話器からマリの声が聞こえる
『はぁ… はぁ… グレイ…君…っ』
グレイゼスが慌てて言う
「マリっ!?もしかしてっ!?」
マリが言う
『はぁ… はぁ… 陣痛の… 間隔が… はぁ… はぁ…っ』
グレイゼスが言う
「分かったっ すぐ戻…っ いやっ 救急車 呼ぶからっ!待っててっ!」
マリが言う
『…うんっ』
グレイゼスが受話器を置き電話を掛け直して言う
「救急車を1台 お願いしますっ 場所は…っ!」
ハイケルのEランク設定ユニットが見上げている
【 メイリス邸 】
フレイゼスが朝食を取っていると シェイムが入って来て言う
「お早う御座います フレイゼス殿」
フレイゼスが気付いて言う
「おや?お早う御座います ショイム殿 今朝は随分とお早いですね?まだ… 6時過ぎですが?」
シェイムが席に座りながら言う
「はい… 今日は珍しく…」
フレイゼスが微笑して言う
「本日は ラミリツ殿がお戻りになる日ですからね?ご到着は15時以降の予定ですが シェイム殿は そちらが嬉しくて今朝は早くに 目が覚めてしまわれたのでは?」
シェイムが苦笑して言う
「いえ… 流石に 午後戻る予定の エーメレスの帰りに喜んで これほど早くに目が覚めると言う事は…」
フレイゼスが言う
「おや?そうでしたか それは失礼致しました …しかし こう言っては失礼ですが シェイム殿は割りと… 朝は苦手ですよね?特に最近は…」
シェイムが朝食を取り始めながら言う
「ええ、特に最近は 向かうべき職場が 悪いですので…っ 恐らくそちらのせいで 心理的にも 目覚めが悪いのかと」
フレイゼスが苦笑して言う
「そちらは… そうですね 何と申しましょうか…」
シェイムが言う
「しかも 今日は その酷い職場の 酷い上司に 明日は早く出隊しろ!…と 命じられまして それで 致し方なく…っ」
フレイゼスが言う
「そうでしたか …ハブロス司令官に?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「そちらの名前を 口にしないで頂けますかっ!?少なくとも この メイリス家の屋敷の中でだけはっ!」
フレイゼスが苦笑して言う
「は、はい では その様にと… しかし それこそ 今日の午後にも ラミリツ殿がお戻りになれば 例え シェイム殿がそうと申されましても… ラミリツ殿は きっと 事ある毎に そちらのお名前を 連呼されるのでは無いかと…?」
シェイムが頭を押さえて言う
「あぁ… 本当に… あの頃は 必死過ぎて まさか このような事になってしまうとは… 亡き父には 何と…」
フレイゼスが苦笑して言う
「フレイスは… それこそ 喜んでいると思いますが…?」
シェイムが怒って言う
「ではっ フレイゼス殿は!このまま エーメレスが 奴の言い成りになってしまっても 宜しいとっ!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「い、いえ そうは申しませんが… そもそも そちらのお二方は お仕事の上で お互いにご協力されているだけと言う事ですので… それにラミリツ殿も 特に 言い成りと言う訳ではあられませんかと…?」
シェイムが顔を逸らして言う
「エーメレスは とても素直な子ですから あの悪魔のような男に すっかり 良いように丸め込まれてしまっているのですっ こんな時 父上であれば 一体 どうやって あの悪魔を退治されたのでしょう?」
フレイゼスが苦笑して言う
「え、えーと… 悪魔…ですか?ははは… えーと そうですね?確かに 悪魔の兵士を 所有されては居られますが ハブロ… あっ いえっ!?彼が 悪魔と言う訳では あられませんかと?何しろ 彼は このアールスローンを守ろうと されているのですから?むしろそれは…」
シェイムが食事を取りながら言う
「ええっ そうですよっ 彼は国防軍の方ですからっ それこそ アールスローンを守る為なら アールスローンの神も悪魔も利用してっ …それこそ悪魔を超える悪魔のごとく 図々しく居られるのでしょうっ …あぁ 何と恐ろしい…」
フレイゼスが困って言う
「シェ、シェイム殿… 大丈夫ですか?その… 大変申し上げ辛いのですが これからシェイム殿は そちらお方の前へと向かわれるのですから どうかそう…」
シェイムが言う
「ええ、そうですね?残念ながら そちらは避けようの無い運命ですので 私はせめて… 父上や祖父上… そして 代々政府警察を担ってきた メイリス家の正義の力を信じ この屋敷にいる間だけは 悪魔のような彼の事は忘れて アールスローン信書を信仰する者として 清々しい時を過ごそうと…」
ドアが蹴り開かれて アースが現れて叫ぶ
「遅いぞっ!マスターシュレイゼス!」
シェイムとフレイゼスが驚き フレイゼスが呆気に取られて言う
「ハ…ハブロス司令官っ?な、なぜ…!?」
シェイムが驚いて言う
「あ、悪魔が…っ この屋敷にっ!?」
アースがシェイムの襟首を掴んで言う
「私は 今日の朝だけは 無理を押してでも 早くに出隊して欲しいと そう 頼んで置いた筈だがっ?」
シェイムが言う
「で、ですから…っ そちらのご希望通りに 早朝7時には出隊をしておく予定でしたがっ!?」
アースが言う
「馬鹿か貴様はっ!?ARTの始業時間こそ 7時だっ!そして早くにと言えば 最低でも30分は早く来るべきだろうっ!?私は 貴様があのラミリツ攻長の兄であるならば 弟と同じく1時間15分は 早く出隊するものと想定していたっ!」
シェイムが言う
「そんな勝手な事を言われましてもっ 大体 始業前に いくら上司でも 部下の屋敷にまで乗り込んで来るとはっ 一体貴方は何なんですっ!?住居不法侵入現行犯で逮捕しますよ!?」
アースがシェイムを突き放して言う
「出来るものならやってみろっ 私は 始業前に 友人の屋敷を訪問しただけだっ」
シェイムが言う
「勝手に友人にならないで下さいっ!私は 仕事の上では仲間となりますが 少なくとも 個人的に貴方とだけは 友人には なりたくありませんからっ!」
アースが言う
「貴様こそ 勝手に私の友人になるな!この屋敷の事は 私の友人である エーメレスから 長期任務の間の管理を任されている!そちらの管理期間内に 私が管理者として入る事は当然 許される!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「エ、エーメレス…っ なんと言う事を…っ」
アースが言う
「屋敷の当主となったからには 当然の配慮だろう?貴様ら居候2人は 共にメイリスの名は得ていない そうとなれば 中位富裕層のフレイゼス殿を この屋敷の準管理者にする事は 政府の法律である 富裕層保護管理法により 禁止されている もちろん 最下層のマスターは 政府の法律においては 論外とされる」
シェイムが床に落ち込んで言う
「うぅ… 今となっては このマスターの力が…」
フレイゼスが困り苦笑で言う
「あぁ… 実に すみません… シェイム殿…」
アースが言う
「そのマスターの貴様に用があって わざわざ来てやったんだ これ以上手間と時間を掛けさせるな マスターシュレイゼス」
シェイムが顔を上げて言う
「そ… そう言えば?そもそも…」
フレイゼスが言う
「ARTの司令官にして 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が このような早朝に 一体…?」
アースが言う
「早朝では無いだろう?既に6時半を過ぎている」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑する シェイムが言う
「貴方の早朝の定義が 何時であるかは知りませんがっ 我々にとっては早朝ですっ」
アースが言う
「そうか 分かった では こちらは 貴様の早朝の定義の内に 終わらせろ」
アースがシェイムの前にケースを置く シェイムが疑問して言う
「これは…?…うん?確か?何時か何処かで 見覚えが?」
フレイゼスが苦笑して言う
「ハ、ハブロス司令官?その… もしや?と 私には思い当たるものがあるのですが?」
アースが言う
「流石だな 元マスターシュレイゼス」
フレイゼスが衝撃を受けて言う
「あぁ… やはり…」
シェイムが疑問して言う
「え?…と、言いますと?」
アースが言う
「分からないのか?現マスターシュレイゼス」
シェイムが衝撃を受けムッとする アースが言う
「やはり 使えないマスターだ… しかし それならそうと 黙って そちらのケースへ手を置け」
シェイムが言う
「え?手を?」
アースが言う
「ああ、そうだ …今なら」
アースがフレイゼスへ向いて言う
「貴方から ナノマシーンを奪おうとしていた あの頃の私は 間違っていたのだと分かる」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑して言う
「あぁ、有難う御座います… その… その節は色々とありましたが 今は その貴方様に そうと仰って頂けた事を 私は大変嬉しく思います」
アースが言う
「あのまま 貴方がナノマシーンシュレイゼスを保有していたのなら 少なくとも この 使えないマスターよりは 私の力となってくれていただろう とても残念だ」
シェイムが衝撃を受け アースを睨む フレイゼスが胸に手を当てて言う
「有難う御座います… もう思い残す事はありません あの頃の争いは 決して無駄ではありませんでした その上で 貴方とも和解が出来 更には ”とても残念だ” とまで…」
アースが言う
「難なら もう一度 マスターシュレイゼスに なってくれても構わないが?」
シェイムとフレイゼスが衝撃を受け シェイムが言う
「つまり 貴方は それ程までに 私が使えないと仰いたいのですねっ!?」
アースが言う
「そうだな」
シェイムが怒る フレイゼスが困り苦笑をして言う
「ハブロス司令官 どうかそう… シェイム殿を刺激されないで下さい 私は 良く仰って頂けて 嬉しくも思いますが 同時に お二方には 是非とも仲良くして頂きたいと」
アースが言う
「無理だな」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑して言う
「あぁ… そちらはその まるで… あのエルム少佐のごとく ハッキリと… 実に潔いと言いますか 何と申しましょうか…?」
アースがシェイムへ向いて言う
「それよりも 貴様の早朝は 一体何時までを言うんだ?こうしている間にも 既に 6時40分を過ぎたぞ?私はこれから 更に向かうべき場所があるんだ さっさと終わらせろ」
シェイムが言う
「で、でしたら…っ そうです!このケースが何であるのかっ そして 何故 このケースへ 私が手を置く必要があるのかの そちらの説明をして下さいっ そちらも無しに イキナリそのような事を言われても 従えませんねっ!?」
アースが言う
「貴様は たかだか それだけの事をするに 理由が必要なのか?」
シェイムが衝撃を受け慌てて言う
「貴方ほどの方が わざわざ乗り込んで来られるからっ 気になるのですよ!?そうでなければ…っ!」
アースが言う
「それこそ 貴様が早朝にARTへ出隊していれば 私がこちらへ乗り込む必要も無かったのだろう?何処まで面倒な奴なんだ お前はっ?」
シェイムが衝撃を受け怒りを押し殺す フレイゼスが困り焦っている アースが言う
「だが これ以上 友人でもない お前の為に 時間を割くつもりは無い そして説明は… 言葉で言うより見れば分かるだろう」
アースがケースを開くと 中にナノマシーンがある シェイムが衝撃を受けて叫ぶ
「なぁああーっ!?」
アースが言う
「よし どうせなら 直で逝け」
シェイムが焦り怒って言う
「冗談じゃありませんっ!?貴方は そのナノマシーンを使って 使えないマスターである私のナノマシーンシュレイゼスを 操らせるつもりだったのですねっ!?」
アースが怒って言う
「馬鹿を言うなっ!ナノマシーンは 私の仲間だっ それを使い 他のナノマシーンを操ろうなどとっ!この私が 考えるものかっ!」
シェイムがハッとしてアースを見る アースが言う
「そして そうであるらこそ このナノマシーンに ”間違いなく操りの力が備わっていない”と言う 事実を お前で確かめる!」
シェイムが怒って言う
「同じ事ですねっ!?私で そちらの確認をしようなどとっ!貴方はやはり 悪魔ですっ!」
アースが言う
「悪魔だろうが天使だろうが知った事かっ!さあ ナノマシーンに触れろ!マスターシュレイゼス!命令だっ!」
シェイムが避けて言う
「嫌ですよっ!冗談じゃ有りませんっ!」
アースが言う
「我侭を言うなっ 貴様以外に ”使えないマスター”は居ないっ!」
シェイムが怒って言う
「余計なお世話ですっ!」
フレイゼスが困り苦笑で言う
「あぁ… なんと言いますか… 相変わらず お変わりの無い お二人のご様子で…」
【 病院 】
マリが担架で運ばれている マリが苦しそうに息をしている グレイゼスがマリの手を握って追走しながら言う
「マリっ 頑張ってな!?辛いだろうけど…っ ごめんなっ!?俺は 何も出来ないけど…っ」
マリが苦しそうに言う
「はぁ はぁ …ううんっ グレイ君… はぁ… はぁ… 大丈夫 だから… はぁ はぁ… 待って て… 私… はぁ はぁ… 頑張る から…」
グレイゼスが言う
「ああ 待ってるよっ ずっと 待ってるっ!」
マリが頷く 看護師がグレイゼスへ言う
「旦那様はこちらで…」
グレイゼスを残して マリと看護師たちが分娩室へ入り ランプが点灯する グレイゼスが一人で立ち尽くしてから 落ち着かない様子で周囲を見渡し ベンチを見つけると座り込んで言う
「はぁ… こんな時は ホントに無力だよなぁ男ってのは… 窮地の仲間への言葉なら いくらでも思い付くのに 今は 掛ける言葉すら思い付かないなんて …やっぱ 男は何も出来ずに 外で待つしかないのかな?なぁ?ハイケル?…あら?」
グレイゼスが周囲を見渡してから言う
「あ… えっと…?ハイケル…?」
グレイゼスが衝撃を受け 頭を抱えて言う
「あぁ~!しまったっ!忘れてたっ!何処置いたっけ!?え~っと~っ!?」
グレイゼスが悩みながら思う
(救急車を呼んで 店を出る時には やべって思い返して取りに戻って… それで…?それで 車に乗り込んだ時に 助手席に置いて… 置いて…?それから?どうしたっ?…マンションの駐車場へ戻った時には 外に救急車が来ていたから… それで…?)
グレイゼスが思わず声を上げて言う
「あーっ!そうだっ!それで 俺…っ!」
グレイゼスが表情を顰めて思う
(そのまま 担架で運ばれてきたマリと一緒に 救急車に乗り込んで…っ)
グレイゼスが言う
「だから ハイケルは そのまま車の助手席に 置きっぱなしにして来ちまったんだっ!…どうしようっ!?」
グレイゼスがポケットを探って鍵を取り出して思う
(家の鍵はオートロックだけど 車の鍵は… 閉めたっけ?…あぁ 締めたような気もするっ!?車を降りて 癖でそのまま鍵を閉めた!?…それなら!?…大丈夫か?元々ボロイ車だし 誰も狙わないよな?ハイケルだって 普通の人が見たんじゃ 何の機械だかも 分からないだろうし…!?)
グレイゼスが表情を困らせたまま立ち上がって言う
「…けどっ!?それこそ 今のハイケルに何かあったら 取り返しが付かないっ!…取りに行くしかないか?しょうがない…っ」
グレイゼスが分娩室を見て思う
(どれ位掛かる?今から行って戻って… 間に合うか?…急げば 間に合うか!?そうだよな!?いざとなれば… 俺には ナノマシーングレイゼスが付いているっ!)
グレイゼスが顔を上げて言う
「ごめんな…っ マリ 直ぐに戻るからっ!」
グレイゼスが走り出す
【 メイリス邸 】
フレイゼスが電話をしていて言う
「なるほど そう言う事でしたか… それで 今朝早くに ARTのハブロス司令官が 政府研究局へお越しになり ナノマシーンを?」
受話器から局長の声が聞こえる
『はい ナノマシーンラキンゼスの状態は正常でしたと 昨夜お電話をした所 明日の早朝に取りに行くので 用意をしておいて欲しいと言われまして』
フレイゼスが苦笑して言う
「早朝に… ちなみに局長はそちらの 早朝と言うのは 何時頃を想定されていたのでしょう?参考までに 教えて頂けますと?」
局長が言う
『え?あ、はい そうですね?業務の上で早朝と言えば 始業直後かとも思いましたが 政府の各省庁とは異なり 国防軍の方は早いですからね?万が一にも ハブロス司令官をお待たせしてはいけないと思い 用意の方は 昨夜の内に済ませて置いたのですが… 正解でした 警備の者の話では 今朝の6時にお越しになったと 私はと言えば いつもよりは早くに来たのですが お会いは出来ませんでした 何しろ私はその30分後に到着したもので』
フレイゼスが言う
「あぁ… では 局長は少なくとも 6時半には出隊… いえ、出勤をされていたのですね?流石は 政府研究局の局長殿です 敬服致します」
局長が笑って言う
『あぁ… はははっ お褒めの言葉を有難う御座います しかし 私も普段は 局の業務開始時間の1時間前である 7時出勤が精一杯ですよ?』
フレイゼスが言う
「では 局長は普段も1時間は前に ご出勤をされていると そちらで十分敬服に値します それでは また… はい お疲れ様で…」
フレイゼスが通話を切ると シェイムが不満そうに言う
「ですからっ 私も 始業時間の1時間前出勤 7時で十分でしたかと!?」
フレイゼスが衝撃を受け 苦笑して言う
「そ… そうですね?しかし… 郷に入れば郷に従えとも言いますし?…それはそうと 取り合えず シェイム殿が手を触れられた あのナノマシーンは安全な物である事が 先に確認されていたという事ですので …これで安心ですね?シェイム殿?」
シェイムが言う
「いえっ それよりも 私は…っ」
回想
アースが言う
『何時まで待たせるつもりだっ!好い加減にしろ マスターシュレイゼスっ!』
シェイムが身を避けて言う
『ですからっ 何時までだって!それこそ 夜まで待たせたって 私は そちらのナノマシーンに 触れなどしませんよっ!万が一にも 私の持つシュレイゼスが操られたら どうするのですかっ!?』
アースが言う
『そうか では 貴様は どうあっても 私の作戦に協力しないと言うのだな!?』
シェイムが言う
『当たり前ですっ!ナノマシーンを保有するマスターなら 誰だってそうでしょうっ!?』
アースが言う
『分かった マスターシュレイゼス 貴様には もう期待はしない!』
シェイムが言う
『して頂かなくて 結構です!こんな危ない事をさせる 貴方に 期待などされたくありませんっ!』
アースが言う
『よし そうと言うからには 遠慮も不要と言う事だな?』
アースがシェイムを見る シェイムが疑問して言う
『遠慮も…?そもそも 貴方は何一つそちらの言葉に相応しい事などは…っ!』
アースが言う
『シュレイゼスっ!私の言葉を聞けっ!』
シェイムが驚くと同時に身体に違和感が走る シェイムが驚いて言う
『え?…ま、まさかっ!?』
アースが言う
『さあっ シュレイゼス!お前の仲間の無罪をっ!その身を持って 証明して見せろっ!命令だっ!』
シェイムの身体に衝撃が走り シェイムの手が勝手にナノマシーンのケースへ向けられる シェイムが驚いて言う
『そ、そんなっ!?シュレイゼスっ!止めて下さいっ!私はっ 私は!他のナノマシーンになどっ 触れたくないーっ!』
シェイムの手がナノマシーンのケースに触れられる シェイムが強く目を瞑っている アースが身構える フレイゼスが呆気に取られている シェイムが強く目を閉じていた状態から 疑問して目を開いて言う
『…うん?何も…?』
アースが言う
『異常は無いか?』
シェイムが肩の力を抜き 自由になって言う
『はい… 無いみたいで …すっ!?』
シェイムが正面で構えているアースに驚いて言う
『と、言いますかっ 貴方はっ!?』
アースが言う
『そうか では これで ナノマシーンの操りは起きないと 完全に証明されたと思って良いのだろうか?』
シェイムが言う
『それよりも 貴方は!?これで もし 私が操られたとしたらっ!?』
アースが言う
『もちろん!今回も貴様を 全力でぶん殴って 正気に戻してやる作戦だったっ!』
シェイムが言う
『やはりっ!?』
アースが言う
『そうだな では やはり ”念の為に” 一発殴っておくか?遠慮は要らん こいつは礼だっ』
シェイムが言う
『冗談ではありませんっ 今度こそ 暴行罪で逮捕しますよっ!?』
回想終了
シェイムが言う
「結局 あのケースに入っていたナノマシーンには 操られませんでしたが… それ以上に 私は あの悪魔の様な ”彼に操られた”と言う事の方が 恐ろしいですっ!」
フレイゼスが言う
「いえ、それでしたら シェイム殿 そちらに関しては ご心配をされなくても 大丈夫ですよ?元マスターシュレイゼスである 私が保障をします 少なくとも ナノマシーンシュレイゼスには 何の問題もありません」
シェイムが言う
「そうなのですか?そちらは…?」
フレイゼスが言う
「はい 何故なら シュレイゼスは 元々 ハブロス司令官の ご命令には 従順な様でして?以前から度々 宿主の意思を他所に 彼には力を貸してしまうのです!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「何よりの 問題ですねっ!」
【 病院 】
正面入り口 内側
グレイゼスが開かない自動ドアの前で見上げて言う
「あぁっ 何だよっ!急いでるって 時にっ!?」
グレイゼスが立て看板を見る
”夕方6時~朝7時までの間は 裏口をご利用下さい”
グレイゼスが苛立たしげに時計を確認して言う
「もう朝の7時だろっ!?うぅ~… しょうがないっ!」
グレイゼスが走って向かう
裏口 外
アースが車を降りて言う
「7時か… 面会可能時間となった事は 丁度良かったな?」
SPが言う
「このお時間でしたら 既に正面の出入り口が 開かれますが?」
アースが言う
「いや こちらで良い これを持って 人目に付く場所には行かれない… お前たちは何があろうとも このケースを守れ 良いな?」
アースがケースを見せる SP2人が言う
「「はい」」
アースが裏口へ向かう SPが同行する
SPを先頭にアースが裏口を入って通路を歩く 前を行くSPが横通路を確認してから進む アースが続くとアースの持つケースから反応が伝わる アースが疑問して言う
「うん?」
同時に勢い良くアースに何かが突っ込んで来る アースが壁に叩き付けられつつ ケースを守って言う
「ぐあっ!?」
SP2人が驚いて言う
「ご、ご無事ですかっ!?」 「一体何がっ!?」
アースが床に腰を落としていて言う
「…くっ 何をしているっ!?何があろうとも こいつを守れと言っただろうっ!?」
SPが言う
「も、申し訳ありません 何しろ突然 ”目に見えない何か”が…っ」
アースが言う
「目に見えない何かだと?その様なものなど… っ!?」
アースの向かい側の通路に グレイゼスが倒れていて言う
「痛ってぇ~っ 何だよ グレイゼス?お前たちが居ながら 何かにぶつかるだなんて…」
アースが言う
「マスターグレイゼスっ!?」
グレイゼスがビクッとして 顔を向けると驚いて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスがハッとして言う
「す、すみませんっ まさか ハブロス司令官にっ!?その…っ 急いでいたもので!」
アースが立ち上がって言う
「急いでいた?何かあったのか?病院で?」
グレイゼスが慌てて言う
「あぁ…っ そ、その…っ 今朝方… 妻が 産気付きまして それで…っ」
アースが気付いて言う
「…ああ、そうか そうと言う事ならば… うん?ならば何故 お前が ”外へ”向かおうとしている?」
グレイゼスが衝撃を受け 慌てて言う
「あぁ~っ そ、それが そのっ!?」
アースが苦笑して言う
「向かうべき病院でも 間違えたのか?マスター?」
グレイゼスが言う
「いえっ それがっ …っ すみませんっ!ハブロス司令官っ ハイケルを…っ」
アースが疑問して言う
「…ハイケル少佐が?どうした?彼はまだ」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい 急いでいたもので うっかりその… 彼を自宅へ停めた車の助手席へ 置き忘れてしまいまして…っ 今直ぐ 取りに向かいますのでっ!」
グレイゼスが向かおうとする アースが言う
「待てっ!」
グレイゼスが立ち止まって振り返る アースが言う
「それ程 慌てた状態で外へ出て そのお前に 何かあればどうする?」
グレイゼスが言う
「し、しかしっ アイツを 放っておく訳にはっ」
アースが言う
「そちらへは 私が向かう」
グレイゼスが言う
「え!?」
アースがSPへ言う
「鍵を預かり 先に向かい 警備を行なっておけ 急げよ?」
SPが言う
「はい」
グレイゼスが驚いてアースを見る アースが言う
「私の用は直ぐに終わる 彼はその後に 私が回収を行う それで良いだろう?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「は、はい… それは 助かりますが… しかし 本当に?」
アースが言う
「私が嘘を言うとでも?」
グレイゼスが慌てて言う
「ああっ いえっ!?そう言う訳ではっ!」
アースが言う
「では 必要事項を終え お前は直ちに 自身の持ち場へと戻れ マスターグレイゼス中佐 …命令だ」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「了解 司令官」
アースが軽く笑った後 SP1人と共に立ち去る 残ったSPがグレイゼスへ向く グレイゼスが残ったSPへ向いて言う
「では 頼みますっ 場所は…」
グレイゼスがSPへ鍵を渡す
【 病室 】
隊員Cが言う
「へっへ~ん どうだ?兄貴?俺だって ARTに入ってからは 毎日 始業前出隊して 早朝トレーニングをしてたんだぜ?訓練開始前に1時間もな?」
ラキンゼスが言う
「機動部隊の訓練開始1時間前なら どうせ7時だろう?ART本部は 夜明けの1時間後から開いてるんだぞ?それこそ 本気の奴は その早朝から出隊してるよ」
隊員Cが言う
「夜明けの1時間後って… 何時だよ?大体 その夜明けだって季節によって 変わるんじゃ?」
ラキンゼスが苦笑して言う
「今なら大体5時位だな?」
隊員Cが苦笑して言う
「なら6時に出隊しろって?流石に それは無理だって」
ラキンゼスが言う
「それなら お前は 何時も通りの7時でも十分だろ?こんな所で 油売ってないで 早く向かったらどうだ?」
隊員Cが言う
「あぁ いや… 今日は 少佐も居ないし… それならって 朝の挨拶に寄ったんだよ 身体は大丈夫なんだろ?意識さえ戻れば 自宅療養で良いって 医者の先生も言ってたし …帰らないのか?兄貴?」
ラキンゼスが言う
「うん?何だ もしかして 俺を心配して 来てくれたのか?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ その…っ あ、当たり前だろう!?大体 兄貴がこっちにいると 母さんも大変だし… 兄貴だって 早く家に帰りたくないのかよ?」
ラキンゼスが言う
「うん… そうだな?ラキンゼスは居なくなっちまったけど… まったく無くなった訳でもないもんな?お前の持つキーネックレスに たったの1%だけだけど…」
隊員Cがキーネックレスを見てから苦笑して言う
「ラキンゼスの事は 俺に任せとけって… 昨日も言っただろう?」
ラキンゼスが苦笑して言う
「ああ… 任せる」
隊員Cが苦笑した後言う
「じゃ、行くわ?」
ラキンゼスが言う
「ああ、頑張れよ?…昨日の汚名返上の為にもな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それは 言うなってっ!」
ラキンゼスが軽く笑う ドアがノックされる ラキンゼスと隊員Cが疑問して 隊員Cが言う
「あれ?こんな早くに?」
ラキンゼスが言う
「はい どうぞ?」
ドアが開き アースが入って来る ラキンゼスと隊員Cが驚き 隊員Cが思わず叫ぶ
「なぁあーっ!?」
ラキンゼスが呆気に取られて言う
「ハ、ハブロス司令官…?」
隊員Cが呆気に取られて言う
「な、何で…っ!?昨日に続いて こんな人が しかも こんな時間に!?」
アースが隊員Cの前で一度止まり顔を向けて言う
「お早う サキシュ隊員」
隊員Cが衝撃を受け 慌てて言う
「おっ!?おはっ!?おはよっ!?お早う御座いますっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースがラキンゼスのベッドの横に立つ ラキンゼスが衝撃を受け慌てて言う
「あ、あのっ お早う御座います ハブロス司令官っ!?その… 昨日は 有難…っ」
アースが言う
「昨日は すまなかった マスターラキンゼス」
ラキンゼスが疑問して言う
「え?」
アースが言う
「治療の為とは言え 私はお前に嘘を伝えた 許せ」
ラキンゼスが言う
「え?いや?えっと…?」
アースがサイドテーブルへケースを置いて言う
「ナノマシーンラキンゼスは 破棄してはいない そして 彼らは正気に戻った」
ラキンゼスが驚いて言う
「…正気に?それじゃ まさかっ!?」
アースがケースを開ける ナノマシーンが見える ラキンゼスが目を見開く 隊員Cが呆気に取られていると アースが言う
「彼らの状態は正常だ 政府研究局にて確認を行ない 共に お前たちマスターの仲間である マスターシュレイゼスが直々に 彼らには 操りの兆候が無いという事を立証して見せた それに 何より」
アースがラキンゼスを見る ラキンゼスがアースを見上げると アースが微笑して言う
「彼ら自身が お前たちの下へ戻りたいと そう願っている」
ラキンゼスが驚き呆気に取られた後 苦笑して言う
「…有難う御座いました ハブロス司令官 俺とラキンゼス… どちらも助けて頂いて」
アースが微笑する ラキンゼスがナノマシーンのガラス容器に手を触れる ナノマシーンがキラキラと煌き緑色の光を放っている
【 車内 】
ハイケルのEランク設定ユニットが起動し 周囲を見渡して言う
『周囲状況 異常なし …今は ナンジだ?そろそろ… ウマレタか?』
ハイケルのEランク設定ユニットが 周囲を見渡し言う
『状況… フメイ 行動 フカ… 待機 続行する』
車内に音がする ハイケルのEランク設定ユニットが反応して言う
『うん?何か オトが したのか…?』
ハイケルのEランク設定ユニットが周囲を見渡す 車の窓の外からSPが覗き込み携帯を操作する
【 病室 】
隊員Cがアースの後方から様子を伺って ナノマシーンのケースを見て言う
「あれが… ナノマシーン…?」
隊員Cが自分の持つキーネックレスを見る 携帯の音が鳴り 皆が一瞬反応すると アースが携帯を取り出して言う
「では 私の用は以上だ 邪魔をしたな」
隊員Cが何か言おうとする
「あ…っ」
アースが外へ向かいながら携帯を着信させ 通話をしながら歩く
「…分かった 直ぐに向かう そのまま警備を続行して居ろ」
アースが通話を切って病室を出て行こうとすると ラキンゼスが言う
「待って下さいっ ハブロス司令官!」
隊員Cが驚いてラキンゼスへ向く アースが立ち止まり向き直って言う
「何だ?マスターラキンゼス」
ラキンゼスがアースへ向いて言う
「はい!”マスターラキンゼス”は ARTへ戻りますっ もう一度 ハブロス司令官の お力になりますっ!」
隊員Cが驚いてラキンゼスを見て言う
「兄貴っ!?」
アースが言う
「お前の籍は 今もARTゼロへ置いてある 体調に問題が無い様なら いつでも戻って来い 所属の移動は その後に考慮する」
ラキンゼスが言う
「いえっ 自分はもちろんですがっ このナノマシーンラキンゼスは もう一度 戦いたいと言っていますっ そして 汚名を晴らしたいとっ!サキシュの昨日の汚名をっ!?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「俺のーっ!?」
アースが呆気に取られて言う
「では…?」
ラキンゼスが隊員Cへ向いて言う
「サキ!ラキンゼスを 任せるぞっ!」
隊員Cが慌てて言う
「なぁーっ!?待て待て待てぇえ!兄貴ぃいっ!?」
ラキンゼスが言う
「”ラキンゼスは 俺に任せろって” 昨日もさっきも 言っただろうっ!?サキッ!?」
隊員Cが言う
「言ったよ!?言ったけどぉお!?ちょっと 待ってくれっ 兄貴っ!?それとこれとは話が まったく違うってっ!?」
ラキンゼスが言う
「違くないだろうっ!?まったく同じ事だ!ただその量が1%か99%かって 違いなだけだっ!?」
隊員Cが言う
「それが まったく違うからぁあっ!?何で1%と99%が同じなんだよっ!?ナノマシーンが無くなって 馬鹿になったんじゃないかっ!?兄貴っ!?」
ラキンゼスが言う
「そんな事は無いっ 大丈夫だ!ナノマシーンがあろうが無かろうが 根本的な馬鹿は変わらないっ!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それじゃ 駄目だからっ!?尚更 悪いからっ!?やっぱり 相変わらず 兄貴は変な所で 馬鹿なんだからっ!?」
ラキンゼスが言う
「つまり 根本的に馬鹿だと言う事だっ!その 俺が 知能補佐能力のマスターになれたんだ!そうとなれば お前だって 最悪 身体補佐能力のマスターにはなれるっ!根本的に馬鹿な俺が100%保障する!」
隊員Cが怒って言う
「ちょっと待てぇえ 順番に突っ込ませろっ!」
アースが携帯を操作して通話して言う
「マスターカルンゼス 予定通り ナノマシーンの継承作業を頼む」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「予定通りっつったぁあっ!?今 予定通りってぇえ?!ちょっと待って下さいっ ハブロス司令官っ!?俺は 本当に そんな事 急に言われてもっ!?」
アースが言う
「ならば お前は お前の兄貴へ順番に突っ込んだ後 その勢いのままに ナノマシーンラキンゼスを持って 第8病棟神経科のマスターカルンゼスの下へ向かえ 後は 何とかなるだろう」
隊員Cが慌てて言う
「待って下さいっ そんな事言われたってっ 大体 兄貴に続いてハブロス司令官にまで そんな事言われたら とても 突っ込みが追いつきませんっ!…ってそうじゃなくてっ!ちょっと マジでっ!?」
アースが言う
「悪いが 私は これから 放置された ハイケル少佐を回収しに向かわなければならない 出来る事なら 継承を済ませた お前を 念の為に 一発殴って置きたい所だったが そちらは お前の兄貴へ任せる」
ラキンゼスが言う
「了解!司令官!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「ちょっと待てぇえっ!どう言う事ですかっ!?少佐が放置されたって!?回収しに向かうとか そのハブロス司令官が 俺を一発殴りたいとか マジで 意味が分かりません!しかも 兄貴まで 何に了解してるんだよ!?」
アースが言う
「分からないのなら お前は まず ナノマシーンラキンゼスへ触れ 意思の疎通を行え それで 駄目なら それまでだ 後は何時も通り ART1へ出隊しろ …但し」
隊員Cが疑問して言う
「但し?」
アースが言う
「お前が 昨日無駄に消費してくれた マシーナリーの改善費用は 1機で10億以上の物だった」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「じゅっ!?じゅうう おくぅううーーーっ!?い、以上…っ!?」
アースが言う
「必要とあれば 再び そのお前の為に致し方なく 用意はするが 2度と 無駄には 消費をしてくれるなよ?」
アースが立ち去る 隊員Cが言葉を失って言う
「じゅ… 10億以上を… …それを6機とか」
ラキンゼスが笑顔で言う
「取り合えず 触ってみろって?ほれほれ?」
ラキンゼスがナノマシーンを示す 隊員Cが表情を困らせて言う
「じゅ、10億… …やらなかったら 弁償しろって言われる… かな?」
隊員Cが困りながら ナノマシーンを見る ラキンゼスが微笑する
【 病院 】
グレイゼスがベンチソファに座って分娩中のランプを見上げている 産声が聞こえる グレイゼスがハッとして立ち上がって言う
「産まれたっ!?」
ランプが消灯する グレイゼスが思わず一歩踏み出すと 担架が運ばれて来て グレイゼスが言う
「マリっ!?」
マリがグレイゼスを見て微笑して言う
「グレイ君… 待っててくれた…」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「当たり前だろ!?待ってたよっ …ずっと!」
マリが微笑する 看護師が赤ん坊を見せて言う
「おめでとう御座います 可愛い 女の子ですよ?」
グレイゼスが一瞬驚いた後 微笑して言う
「有難う御座いますっ …マリ 良く頑張ったな?有難うっ!」
マリが微笑して頷く
【 車内 】
ドアの開く音が聞こえる ハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『グレイゼス コドモは ウマレタのか?』
アースが言う
「さぁな?当人へ聞け」
ハイケルのEランク設定ユニットが疑問して言う
『その声は…』
ハイケルのEランク設定ユニットが持ち上げられ アースが手に持っていて眺める ハイケルが言う
『ハブロス司令官!?』
アースが言う
「ほう?”見えている”のか?それと…」
アースがハイケルのEランク設定ユニットの天地を戻して言う
「正しくは こちらか?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
『約1時間30分ぶりに 天地感覚が回復された 礼を言う ハブロス司令官』
アースが言う
「ならば わざわざ ARTの司令官にしてハブロス家の当主である この私が直々に迎えに来てやった そちらへ対する礼も言ってみろ?ハイケル少佐」
ハイケルが言う
『では そちらへ対する礼を言う』
アースが不満そうに言う
「詰まらない奴だな?もっと何かを言ってみろよ?…それとも?」
アースがハイケルのEランク設定ユニットを軽く上下へ放りながら言う
「この軽い脳では それ程の事は 考えられないのか?ハイケル少佐?」
ハイケルが苦しそうに言う
『ヤメロ 視界が著しく上下する 脳ミソが揺れるような感覚だ だが』
アースがハイケルのEランク設定ユニットを見る ハイケルが言う
『この中には 脳ミソは ハイッテいない』
アースが言う
「何だ そうなのか… だから ”ノウナシ”か?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
『オトは合っているが そのイイカタが 私はとても気に入らないのだが?』
アースが言う
「”オトは合っている”のだろう?ならば 気にするな」
アースがハイケルのEランク設定ユニットを軽く上下へ放りながら立ち去る ハイケルが怒って言う
『ヤメロ ハイッテイいないが 脳ミソが 揺らされる感覚だ』
アースが言う
「入っていないのなら そちらはやはり 気のせいだろう?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
『気のせいでも 気分が悪い だからヤメロ ハブロス司令官っ』
アースがハイケルのEランク設定ユニットを指先で回す ハイケルのEランク設定ユニットが怒っている アースが楽しみながら去って行く
【 病院 第8病棟神経科 】
隊員Cが不安そうに台に横たわっていてCTスキャンが行われている カルンゼスがモニターを見てから隊員Cの様子を見る
室外 通路
ラキンゼスがナノマシーンを見ていて言う
「今度は 弟を頼むよ あいつはちょっと臆病で心配性だけど 能力は十分にあるんだ だから… もう一度 俺たちと一緒に戦ってくれ ラキンゼス」
ラキンゼスがナノマシーンのガラスに触れる ナノマシーンがほのかに緑色に光る ラキンゼスが微笑して検査室を見る
【 ART第一訓練所 】
隊員Iが言う
「もう本当に大丈夫なのかっ!?フレッド隊員!?」
隊員Fが言う
「ああ!完全に痛みも無くなったから もう大丈夫だ 心配掛けて ごめんな?イリアス隊員?」
隊員Iが苦笑して涙を押さえて言う
「心配って言うか… もう… 申し訳なくってさ…っ」
隊員Aが苦笑して言う
「ほらほら?折角 フレッド隊員が復帰したのに もう 泣く事はないだろう?イリアス隊員?」
隊員Iが言う
「それはそうだけど…っ」
隊員Fが苦笑する 隊員Nが言う
「で?どうだ?フッちゃん隊員?フッちゃん隊員が居ない間に 改良された 俺らART1の最新マシーナリーは!?」
隊員Fが強く言う
「最っ高-だよっ!今までより 遥かに 神経融合システムが強化されているしっ 音声認識システムも滅茶苦茶感度が上がってるっ 何より基本的なエネルギーユニットが 警機のエネルギー変換システムに変更されていて 出力も32%以上上がってるっ 映像モニターの表示速度も15%は上がってるし 照準システムにはトリガーへの感覚システムが追加されているから ジャストショットへの微動修正が 神経接合ユニットの感度向上も加わって リアルタイムに伝わって来る上に その融合クロックの上昇メカニズムに 警空の最新戦闘機に搭載された ハイパーレントユニットの圧縮素数の ミリオンシステムが…っ!!」
隊員Nが慌てて言う
「ちょっと待った!もう良いっ!もう何言ってんのかが分かんねぇ!取り合えず 良くなったって事が分かったから 十分だ!」
隊員Fが言う
「十分って!?まだ改良箇所の 3分の1も言ってないぞ!?」
隊員Nが言う
「その上に まだ3分の2以上もあんのかよっ!?」
隊員たちが笑う 隊員Fが苦笑して言う
「…とは言っても 折角 戻って来たのに 少佐が居ないって言うのは 残念だったよ 俺は… もちろん 新しいシステムは好きだけどさ?結局… 変わらない皆の事が好きなんだ この仲間たちと一緒に また戦えるって事が 何よりも 嬉しい」
隊員たちが微笑する 隊員Nが言う
「つっても 相変わらず 張り切り組みは俺らだけだけどな?」
隊員Iが苦笑して言う
「俺は新入りだよ?」
隊員Nが言う
「確かに フッちゃん隊員の 置き土産だもんな?イッちゃん隊員は?」
隊員Iが泣きそうになって言う
「置き土産って…っ 止めてくれ~…っ!」
隊員Nが慌てて言う
「だぁああっ 冗談っ 冗談だって!」
隊員たちが笑った後 隊員Fが言う
「…て?それはそうと その張り切り組みの隊長 バイスン隊員は?それに ARTになってからは サキシュ隊員も 張り切り組みの一番乗りだっただろう?それこそ バイスン隊員を 越えるか?って位の?」
隊員Aが言う
「バイちゃんは 中佐が出隊してないかの確認の為に 出入り口にある あのメンバーボードを見に行ってるよ ”少佐”を持って来るんじゃないかってさ?」
隊員Fが疑問して言う
「え?バイスン隊員が中佐を?それに 少佐を… ”持って来る”って…?」
隊員Iが言う
「今日は珍しく 中佐は まだ来てないからな?」
隊員Aが言う
「そうなんだよな?それで…」
【 ART出入り口 】
隊員Bがボードを見上げて言う
「あれー?まだ来てないんだー?もう後衛部隊の始業時間はとっくに 過ぎてるのにー?」
隊員Bがボードの技術部門メンバーを見て言う
「技術部門や後衛部隊の人は 機動部隊より1時間前の7時が始業時間だって 少佐に聞いたしー?その人たちは 皆出隊してるのにー?何でー?」
隊員Bが悩む 隊員Bの後方で扉が開きアースが入って来て IDをスキャンする ボードにあるアースの名前が点灯する 隊員Bが一瞬驚いて振り向いて言う
「あー!ハブロス司令官ー!?」
アースが言う
「お早う バイスン隊員」
隊員Bが一瞬驚いてから言う
「えー?ハブロス司令官がー?何で 俺の名前覚えてるんでありますかーっ!?」
アースが言う
「当然だろう?何を驚いている?」
隊員Bが言う
「えー!?だってー!?」
アースが言う
「それよりも 通常は 部下であるお前の方が 上官である私へ 先に挨拶を行なうものだが?」
隊員Bが言う
「あー!俺 チョーびっくりして 思わず忘れちゃったでありますー!ごめんなさいの お早う御座いますでありますー!ハブロス司令官ー!」
アースが苦笑した後言う
「ふっ… やはり あちらの国へ送ったのは ART2で正解だったな?…まぁ良い お前たちには 各々が持つ その個性的な 実力を期待している」
隊員Bが一瞬呆気に取られた後 喜んで言う
「はー!了解でありますー!司令官ー!俺たちART1の皆はー 皆全員に 技があるんでー!その皆にも ハブロス司令官が 期待してるって言ってたってー 伝えておくでありますー!司令官ー!」
アースが言う
「そうだな?そうして置いてくれ 多少の励みにはなるだろう」
隊員Bが言う
「はー了解ー!あ!それから 通常は部下である俺たちの方から 上官のハブロス司令官へ 先に挨拶をするものだって事も 伝えておくでありますー!司令官ー!」
アースが苦笑して言う
「そちらは… そうだな?お前で2人目となれば ART1にはそこまでを教える必要もあるのか?ならば こちらは その伝達をこなすであろう お前への褒美だ」
アースが隊員Bへ放る 隊員Bが疑問してキャッチすると それを見て驚いて言う
「えー!?少佐ぁー!?」
ハイケルのEランク設定ユニットが目を回して言う
『セ… セカイが… マワル… ヤ… メロ…』
アースが言う
「この後16時まで お前たちへ預けてやる 好きに使え」
隊員Bが喜んで言う
「はー!了解でありますー!司令官ー!」
アースが苦笑して立ち去る 隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「少佐ぁー?お早う御座いますの どうかしたのでありますかー?少佐ぁー?」
隊員Bが疑問してからハイケルのEランク設定ユニットを上下に振る ハイケルのEランク設定ユニットが衝撃を受けて言う
『ヤメロ… 脳が… ハイッテイナイ脳ミソが 揺れ…』
【 ART第一格納庫 】
隊員Nが言う
「サっちゃん隊員は アレじゃね?昨日のマシーナリー無駄消費で 反省中とか?」
隊員Aが苦笑して言う
「それはもう 突っ込まないでやりなよ ナクス隊員?実際 サキは あの大型銃PM700の全体のセッティングを 最後までやっていたから 結果として その架台や狙撃主になったマシーナリー5台から外れたって言うのが 本当の所なんだからさ?」
隊員Fが言う
「その作戦の話はイリアス隊員から聞いたよ それで俺 不思議に思ったんだけどさ?何で そのサキシュ隊員のマシーナリーが PM700の射撃時まで 残ったんだ?アラン隊員の話なら セッティングを終えた後に 架台や狙撃主から外れたサキシュ隊員は マシーナリーごと退避して置けば 良かっただろう?」
隊員Aが言う
「そう言う器用な事が出来ない所が サキなんだよ?フレッド隊員?」
隊員Fが疑問して言う
「え?」
隊員Nが言う
「ま、あの状況だと ”じゃぁ 後はよろしく~!”なんて 手を振っては帰れないよな?」
隊員Aが言う
「そう言う事!」
隊員Iが苦笑する 隊員Fが呆気に取られて言う
「そう… なのか?そりゃまぁ… 仲間を見捨てるみたいで 悪い気もするけどさ?けど 実際… このマシーナリーって 元のマシーナリーをかなり改善しているから その改善費用は 1機で軽く100億はするんだぜ?」
隊員たちが驚いて叫ぶ
「「「ひゃぁああーっ!?」」」
隊員Iが呆気に取られて言う
「…く?100億!?」
隊員Fが言う
「ああ、それ位は軽く行くよ どれもこれも 全てがハンドメイドの フルオーダーで その開発メンバーも その技術において 最高峰と言える人たちを雇っているし 使用する機材も素材もアールスローンNo1を 揃えているって話だ それに 既存のエネルギー変換システムを 政府研究局から買い取って使っているんだから 1機の値段はそれ以上にもなる筈だ」
隊員Nが言う
「そ、それを あの作戦で6機も 灰にしたのか…」
隊員Iが苦笑して言う
「もう 通常の頭じゃ追い付かないな…」
隊員Fが張り切って言う
「だからこそっ!改めて 俺は!…警空じゃなくて 国防軍に履歴書送って正解だったなぁあ~っ!」
隊員Fが感激している 隊員たちが転ぶ 隊員Aが苦笑して言う
「やっぱり フレッド隊員は フレッド隊員だ」
隊員たちが笑う 隊員Fが照れ苦笑する 隊員Bが走って来て言う
「みんな みんなー!」
隊員たちが振り返る 隊員Bが走って来て言う
「あー!フッちゃん 復活 おめでとー!の お帰りー!フッちゃん!」
隊員Fが微笑して言う
「ああ、有難う それに ただいま バイスン隊員」
隊員Bが笑んで言う
「にひっ 皆 駄目だなー!?上官には 部下である俺たちから 先に 挨拶しないと駄目なんだよー!?ほらー!」
隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを向ける 隊員Fが疑問する 隊員Aが衝撃を受け言う
「バ、バイちゃんっ!?それ!?」
隊員Iが言う
「うん?それって確か…?」
隊員Nが言う
「昨日の作戦の時 少佐が中佐から受け取っていた… 確か…?何だっけ?」
隊員Aが苦笑して言う
「大丈夫ですか?少佐?」
隊員Fが驚いて言う
「少佐ぁ!?」
ハイケルのEランク設定ユニットが目を回して言う
『お… おは… お早う…』
ハイケルのEランク設定ユニットの光が消灯する 隊員B以外の皆が衝撃を受け 隊員Bが疑問して言う
「あれー?少佐ぁー?」
隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを覗き込む
【 病院 】
グレイゼスが言う
「だから 厳密に言うとさ?その5分間位の間は… 俺は外には居なかったんだよ ごめんな マリ…」
マリが微笑して言う
「ううん それならしょうがなかった ハイケル君に もしもの事があったら 私だって嫌だもの …それに」
グレイゼスが苦笑して言う
「うん まさかとは思ったけど それで結果として ハイケルの事は ハブロス司令官に お任せする事にしたんだ 他の人では兎も角 ハブロス司令官なら ご自分の家族でもあるハイケルを任せても 安心だからさ?」
マリが微笑して言う
「そうね?ご家族にお任せするなら 安心よね?」
グレイゼスが言う
「うんっ …あ、それでも 一応 確認はして置くかな?それに… あの時は 俺 慌ててた上に 驚いちゃって お礼やお詫び所じゃなかったから」
グレイゼスが窓際に立って携帯を取り出す マリが言う
「そうね?高位富裕層のハブロス様にぶつかって 怒られなかっただなんて 驚いちゃうよね?」
グレイゼス携帯を耳に当てつつ一瞬呆気に取られて言う
「え?あぁ…?」
グレイゼスが疑問していると携帯が着信して 秘書の声がする
『こちらはART本部 司令官室で御座います』
グレイゼスが言う
「こちらART司令塔管理主任 マスターグレイゼス中佐だが ハブロス司令官は在室かな?」
マリがグレイゼスを見て微笑してから 視線を変えベビーベッドに眠っている赤ん坊を見て 微笑して小声で言う
「貴方のお父様はね?とっても凄い方なのよ?あの高位富裕層ハブロス家のご当主様と お話が出来るのだから?」
赤ん坊が目を覚ましマリへ向いてから手足を動かす マリが微笑する グレイゼスがマリの様子へ視線を向けてると 携帯からアースの声がする
『ハブロス司令官だ』
グレイゼスが言う
「こちら マスターグレイゼス中佐 お疲れ様です ハブロス司令官 先ほどは 有難う御座いました 自分の不手際の対処を お任せしてしまいまして」
マリが赤ん坊に向いて言う
「ね?」
赤ん坊が手足を動かしている マリが微笑する
【 ART司令官室 】
アースが資料を見ながら言う
「ああ、ハイケル少佐ならば 回収を行い 今は ART1の連中へと預けてある」
受話器からグレイゼスの声がする
『ART1の連中に?では 後ほど 自分が彼らから受け取り ハイケル少佐の処置を頼んであります 脳外科医のマスターの下へ向かい 予定通り 蘇りの処置を』
アースが別の資料を取って言う
「アールスローン1の脳外科医 マスターローゼス リング地区 東部医療施設 脳外科 本日の16時30分の予約だろう?」
グレイゼスが一瞬驚いた様子で言う
『え?あ… はい そうです』
アースが言う
「手術時間は40分を予定… 終業時間は越えるな?」
グレイゼスが言う
『はい… そうですね しかし、そちらは 彼の… マスターローゼスの好意によって 今回は無理に時間を割いてもらったので 致し方ない事かと』
アースが言う
「そうらしいな?それで それからお前が作業をするとして そちらは どれ程掛かるんだ?」
グレイゼスが言う
『今回で3回目になりますので 前回より少し早まると見て 凡そ1時間10分から20分位ではないかと?』
アースが言う
「分かった では」
【 病院 】
赤ん坊がひと泣きする マリがハッとして人差し指を口の前に当ててしーっとする 赤ん坊が大人しくなる マリが軽く笑ってグレイゼスを見る グレイゼスの携帯からアースの声が聞こえる
『…お前は 17時頃にでも リング地区の医療施設へ 直接向かえ』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え?」
アースが言う
『本日は休暇を …と 言ってやりたい所だが 生憎 そうも行かない 従って そちらの作業だけは 就業時間外であっても 間違いなく頼むぞ?』
グレイゼスが微笑して言う
「はい 分かりました 有難う御座います ハブロス司令官」
アースが言う
『浮かれて ミスなどはしてくれるなよ?』
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから 軽く笑って言う
「はい それは十分気を付けます …あ、それで 何故 ハブロス司令官が マスターローゼスを ご存知なのですか?それに 彼の居場所や 予約の時間まで?」
アースが言う
『彼はマスターとしての繋がり以前に マスターカルンゼスの 学生時代からの友人だそうだ それで 私が知る事が出来た』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そうでしたか… 彼らが知り合いだったとは 自分は知りませんでした」
アースが言う
『そうか …では、ハイケル少佐は 私が直接 マスターローゼスへと渡して置く その後は頼んだぞ』
グレイゼスが言う
「あ はい、今回は ハブロス司令官へ 多くのお手数をお掛けしてしまいまして」
アースが言う
『元はと言えば その私が彼を消滅させた様なものだ 気にするな』
グレイゼスが苦笑して言う
「はい それは確かに?」
アースが衝撃を受けて不満そうに言う
『…っ 一応作戦だったんだっ 切るぞ?』
グレイゼスが苦笑して言う
「はい すみません では…」
【 ART司令官室 】
アースが受話器を置いて軽く息を吐いて言う
「…まったく 何処まで私に気を許しているのか 分かったものではないな?」
アースが書類をどけて 別の書類を取って見ようとすると 一瞬顔を顰めて言う
「っつ… マスターの癖に」
アースが左肩を押さえてから言う
「その勢いのままに ぶつかって来られては 常人の私の方が持たないと言うものを… 奴は気付いてもいない様子だ やはり…」
アースが資料を見て言う
「根本的な所は 変わらないのか?」
資料には隊員Cとラキンゼスの写真が載っている
【 病院 】
グレイゼスが通話を切ってマリへ向くと言う
「今日は休んで良いってさ?臨時休暇を貰っちゃったよ?ラッキー」
グレイゼスがベビーベッドへ向かう マリが微笑して言う
「そうなんだ?優しいのね?ARTの司令官様は?」
グレイゼスが言う
「そうだね 優しい事は間違いないよ …最も 普通に接していては 分からないだろうけどね?」
マリが言う
「そんな事無い 少なくとも グレイ君のさっきのお電話を聞けば 誰でも分かっちゃうよ?」
グレイゼスが疑問して言う
「え?そうだった?えっと… そんなに音漏れする?この携帯?」
マリが言う
「そうじゃなくて 会話の内容は分からなかったけど グレイ君のお話の仕方 まるで ちょっと年上のお友達と お話をしているみたいだったから」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「あれ?そうかな?年齢はそんなに変わらなくても ハブロス司令官は上官だから それなりに言葉は選んでいるつもりだけど?」
マリが苦笑して言う
「それはそうなのかもしれないけど ハブロス司令官… ハブロス様は このアールスローンの高位富裕層のお方なのだし その高位富裕層の中でも 今は間違いなく 1番上の方でしょう?だとしたら… 本当なら 2階層以下の 中位富裕層の人だって ハブロス様には 尊敬語や謙譲語でお話をするべきなのだけど」
グレイゼスが衝撃を受けてから困って言う
「え!?えっと… 尊敬語や謙譲語?」
マリが苦笑して言う
「それなのにグレイ君は ずっと丁寧語でお話をしていたし それを許してもらえているって その時点でね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ… そっか?そう言う… 事?」
マリが苦笑する グレイゼスが苦笑しながら言う
「そうだなぁ?気が付かなかったけど …うん 確かに ハブロス司令官はそれこそ 超高位富裕層で 俺は最下層のマスターだもんな?えーと ちなみにその… 尊敬語や謙譲語って どんな言葉だったけ?」
マリが言う
「そうね?まず 最初のご挨拶は ”お疲れ様で御座います”だし?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「う…っ さ、最初からかぁ…」
マリが苦笑して言う
「それに お礼の言葉には”誠に”を付けないと…」
グレイゼスが苦笑する マリが苦笑して言う
「相手の言葉を認めるのなら ”御認識の通りです”とか かな?」
グレイゼスが言う
「舌が回らなそうだよ それに そんな言葉じゃ 俺にはとても ハブロス司令官との 普段の会話は出来そうにないし …そうだな そう言った違いで 分かるんだろうな… ”相手の対話レベル”って言うのが」
マリが言う
「でも あんな風に会話が出来るという事は グレイ君も凄いって事なんだと思う それだけグレイ君が ハブロス様に 認められていると言う事でしょう?」
グレイゼスが言う
「認められてか… うん… まぁ それはそうなんだろうけど」
グレイゼスが思う
(けど それは今のARTに 俺やグレイゼスの力が必要だから それで 許されていると言う事なのか…?)
マリが言う
「それに グレイ君の事 同じ人間として 大切に思ってくれている… 通路でぶつかっても 怒る所か心配してくれて グレイ君が置き忘れてしまったと言った ハイケル君を グレイ君に心配を掛けない為にって ご自身が代わりに取りに向かって下さるだなんて… 普通の高位富裕層のお方だとしたら とても考えられない事 その上 理由を知って臨時で休暇まで下さるなんて …ね?とっても お優しい方だと思うわ?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「俺に心配を掛けない為に…?ハブロス司令官が?」
グレイゼスが思う
(そうか… あの時自分でも分からなかった あの驚きの原因はそこだ ハブロス司令官が ”自分が行く”と… それこそ あの時 先に向かわせたSPに 持って来させると言う事だって出来た筈だ だけど それだと…)
グレイゼスが苦笑して言う
「俺が心配をするだろうからって… だから 自分が行くと言ってくれたんだな?そうか… そう言う事 …俺は 気が付かなかったよ だけど それで 安心して任せられたんだな?あの時も その後だって…」
マリが微笑する グレイゼスが微笑して言う
「俺は本当に恵まれてるよ 最高の恩師に 最高の上官 最高の職場 最高の奥さんに 最高の… 可愛い娘まで得られた」
グレイゼスが赤ん坊を見て微笑してから ハッと思い出して言う
「あ、もちろん 最高の友人も居るからな?ハイケルって名前の 今は”脳無しの機械”になっちまってるけどさ?っはは!」
赤ん坊が元気に動く グレイゼスが抱き上げ 腕に抱く マリが微笑する
続く
レイがMラミリツへ向いて言う
「ラミリツ!マリアを お前の奥さんになんかしたらっ!」
ラミリツが呆気に取られて言う
「え?マリアさんを 僕の…?」
レイが怒りのままにアークになって言う
「お前のマシーナリーなんかっ 俺の全力のデカイ魔法の一発で!お前の国と一緒に ぶっ壊してやるんだからなーっ!」
Mラミリツが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?」
ART2マシーナリーたちの前で マリアが慌てて言う
「な、何言ってるんですかっ!ヴィザードさまっ!さっきのは 言葉の綾と言うものでっ!ほ、本気で言った訳ではっ!…それにっ!」
ラミリツが困って言う
「えーっと… 何でそういう事になってるんだろう?うーん… やっぱ さっき… マリアさんと キスしちゃったせい …かな?」
モニターにART2隊員たちが映って言う
『何かあったのですか!?隊長!?』 『今の御発言は 一体どう言う事で!?』 『キスをしたとは!?』
ラミリツが衝撃を受けて言う
「えっ!?嘘っ!?何で皆に聞こえて!?今は無線切ってた筈なのに…?」
ラミリツがハッと気付いて言う
「あぁあーっ!外線プラグが…っ!?まさか マリアさんと一緒に さっき倒れた時に!?」
マリアが呆気に取られている MラミリツがART2マシーナリーたちに囲まれて言われる
「隊長っ どう言う事ですかっ!?」 「保護対象に手を出されたとあっては 軍法会議にっ!」 「ハブロス司令官に何とお咎めを受けるか!?」
Mラミリツが言う
「いやっ 違うんだって!?あれは 本当に事故で…っ」
ART2隊員たちが言う
「事故とは!?」 「一体どの様な事故で 保護対象の女性と キスをされると言う事がっ!?」
マリアが呆気に取られた状態から苦笑して 気を取り直して言う
「私たちの国も ラミリツさんたちの国も… 同じ なのかな?ふふ…っ」
レイが言う
「マリアっ?」
マリアが衝撃を受けて言う
「ギクっ!?」
マリアが顔を向けた先で レイが言う
「マリア!?どう言う事なんだっ!?キスしたって!?キスって 大好きな証拠だろっ!?マリアは ラミリツの事も 大好きなのかっ!?俺の事と同じ位 大好きだって事なのか!?俺の大好きは1つだけだけど マリアの大好きは いくつあるんだ!?」
マリアが慌てて言う
「いえっ!大好きは 私も ウィザードさまと 一緒で 大好きは1つだけですからっ!」
MラミリツがART2マシーナリーたちに言い寄られて困って言う
「だから 違うってっ 誤解だからっ 僕は 任務を…っ!ハブロス司令官からの ラストオーダーに…っ 最終命令に従って それで マリアさんと…っ」
ART2マシーナリーたちが言う
「任務でっ!?」 「命令で 保護対象者と キスをっ!?」 「いくら ハブロス司令官からの ご命令とあられましてもっ そちらの命令に従われるのは 如何なものかとっ!」
ラミリツが言う
「マリアさんと ART2の皆を守れって… えっ!?」
ラミリツの前のモニターにエンプティの表示がなされて周囲の電源が切れて暗くなる ラミリツが衝撃を受けて言う
「エネルギー切れっ!?あ、あの… ちょっと 誰か…っ スペアを… …ってエネルギー切れたら 無線も切れるんだった」
MシュナイゼルにART2マシーナリーたちが集まっていて言う
「副隊長 如何しましょう?」 「どうやら 隊長機は燃料切れの様で」 「難でしたら このまま 証拠隠滅という手も…?」
Mシュナイゼルが言う
「うーむ…」
ラミリツが周囲を探りながら言う
「任務を成功させたのにっ!?何で こんな事になってんのー!?ちょっと 早く 誰かっ!?ピット内の酸素無くなっちゃうよぉ!?」
マリアが呆気に取られて言う
「ラミリツさん… 大丈夫でしょうか?」
レイが杖を構えて言う
「大丈夫だマリア!今 俺が ぶっ飛ばしてやるからな!」
マリアが衝撃を受けて言う
「だ、駄目ですよっ それから ART2の皆さんもっ あれは 事故で!で、ですからっ!」
ART2隊員たちがモニターに映るマリアの慌てている姿に微笑し 皆が笑う マリアが衝撃を受け呆気に取られる シュナイゼルが言う
「どうやら これで 我々ART2の任務は 成功の様だ」
Mシュナイゼルが顔を向ける 視線の先 ウィザードたちが居て アイザックが苦笑して言う
「彼らとなら…」
ラミリツが表情を苦しめて言う
「ちょ…っ 本当に… 酸素が… …っ!」
周囲の電源が入り モニターが起動して表示が灯る 続いて空調設備が起動する ラミリツが送風口に顔を近付けて言う
「はぁ… はぁ… …もぉっ」
モニターにシュナイゼルが映り苦笑して言う
『ご無事でしょうか?隊長?』
ラミリツが怒って言う
「遅いよっ!本当に苦しいんだからっ!」
ラミリツがシートへ向かう シュナイゼルが言う
『申し訳ありません 少々会話が盛り上がってしまいまして』
ラミリツが衝撃を受けて言う
「会話って!?そんな事より こっち 優先するでしょっ!?普通っ!」
ラミリツがシートへ身を落ち着かせると モニターの一つに気付き顔を向ける Mラミリツが再起動して立ち上がり マリアと同じ方向を向く 遠くに破壊された町の煙が上がっている
【 ART研究開発室 】
グレイゼスが電話をしていて言う
「…ああ、チップは無事だ データの方も 損傷は確認されていない だから 出来るだけ 早めに処置を… …いや そこを何とか?急いで頼むよ?なんてったって 世界を守る為の 悪魔の兵士様なんだから?」
グレイゼスが視線を向けた先 台の上にマイクロチップが置かれている 受話器から声が聞こえる
『だったら そもそも その悪魔の兵士様の 身体を喪失させない 作戦を考えたらどうなんだ?マスター?』
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ… そうと言えば そうなんだが… …なら そうと言っておくよ?一応な?…うん 分かった それで 宜しく!」
グレイゼスが受話器を置き マイクロチップの下へ向かって言う
「さて、それじゃ… うーん 何処へ置いておくかなぁ?ここじゃぁ ちょっとなぁ…?何処か もっと安全な… …うん?」
グレイゼスが台の横に置かれているピックに気付き 手に取って確かめると 苦笑して言う
「これは… …よし!それじゃ 先に ハブロス司令官へ 一言 ご挨拶をしておくか!…お前も来るか?ハイケル?」
グレイゼスがマイクロチップを手に取って言う
「と言っても その姿じゃ 文句の一つも 言えないが… うん?」
グレイゼスが気付いて言う
「文句の一つ… ねぇ?」
グレイゼスがコンソールへ向かう
【 ART第一格納庫 】
隊員Bが保管マシーナリーを見上げて言う
「あーあ~…」
隊員Aが言う
「うん?どうした バイちゃん?少佐なら 無事蘇って来るって?中佐が言ってただろう?」
隊員Bが言う
「うんー… それもあるけど~ やっぱ~?」
隊員Aが言う
「やっぱ?」
隊員Bが言う
「俺のマシーナリー 可愛そうだったなーってー?」
隊員Aが隊員Bの様子を見て言う
「バイちゃん…」
隊員Bが言う
「だってだってー?折角 お互いの身体を知り合ってー 相性ばっちりだって 分かったばっかだったのにさ~?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「うっ… だから バイちゃん… 気持ちは分かるけど その言い方は…」
軍曹が通り掛かり 室中を見て気付き言う
「おお!そこにいるのはっ バイスン隊員に アラン隊員ではないかぁー!」
隊員Bと隊員Aが一瞬驚いた後 隊員Aが呆気に取られて言う
「軍曹!?」
隊員Bが言う
「あー!軍曹だー!軍曹ぉー!」
軍曹がやって来て言う
「おお!2人共!任務の程 ご苦労であった!無事で何よりである!…むっ!?のぉ!?他の2名プラス1名の作戦参加者は どうしたぁあっ!?まさかぁっ!?」
隊員Aが苦笑して言う
「いえ、その2名プラス1名も 無事です それで その3名は 帝国から直帰したんです」
隊員Bが言う
「俺たちはー 少佐の ”Eランク設定頭”が心配だったんでー それで ART本部へ戻って来たのでありますー!軍曹ぉー!」
隊員Aが苦笑して言う
「バイちゃん… Eランク設定頭じゃなくて Eランク設定ユニットって言わないと… それだと まるで少佐の頭が Eランク設定だって言っているみたいな…」
ハイケルの声が聞こえる
『悪かったな アラン隊員』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「げぇえ!?しょ、少佐ぁー!?いえっ!い、今のはっ!自分は決してっ!」
隊員Bが疑問して言う
「えー…?少佐ぁー…?」
隊員Aがハッとして言う
「あ…?そ、そうだったっ!?少佐は… 中佐に確認したら 少佐が蘇るには 脳外科医のマスターに頼んで作業をしてもらってって… すぐには 無理だって言ってたのに?」
軍曹が言う
「おお!そうであったっ!アラン隊員!バイスン隊員!すまぬが その中佐が居られる 技術研究室と言うのが 何処にあるのかを 自分に教えて欲しいのであるがっ!?」
隊員Aが言う
「あ… はっ!了解!軍曹!」
隊員Bが言う
「えー?でもー?」
隊員Aが隊員Bへ向いて言う
「バイちゃん 軍曹はこのART本部内の事は知らないんだから 俺たちが 案内しないとだろ?」
隊員Bが言う
「けど 軍曹ぉー?中佐なら~?」
軍曹が言う
「む?中佐なら?」
ハイケルの声が聞こえる
『軍曹』
軍曹がハッとして慌てて振り返り 敬礼して言う
「はーっ!少佐ぁー!」
振り返った先 グレイゼスが居て 軽く笑って言う
「っははは… やっぱり 相変わらずだなぁ?アーヴィン君は?」
軍曹がハッとして言う
「はっ!?マ、マスター!お声だけなら 先ほど振りでっ!して!実物の方では ご無沙汰を致しておりますでありますっ!マスターぁ!」
グレイゼスが軽く笑って言う
「実物の方だって ご無沙汰って言うほどでもないだろう?そりゃ まぁ 国防軍に居た頃と比べたら そうかもしれないが?」
軍曹が言う
「は!そうと言われませば そうかも致しませんがっ 自分は誠に持って マスターやこちらのARTへ召集された 元国防軍レギスト機動部隊の皆に会え無い事は とても 寂しく…っ …と 所で?」
軍曹が疑問しながら言う
「そのマスターや元国防軍レギスト機動部隊の皆とは異なり 日々屋敷にて顔を合わせております 少佐のお声が 今しがた 自分の耳に聞こえたような気がするのでありますが…?その様な筈は?」
軍曹が首を傾げる ハイケルの声が聞こえる
『そうでもない』
軍曹が衝撃を受けて言う
「のぉっ!?やはりっ 少佐ぁー!?どちらに!?して もし ご無事であられたという事であられましたら… 自分は たった今 こちらのART本部にお邪魔した意味が かなり 無くなるのでありますが?」
ハイケルの声が聞こえる
『問題ない』
軍曹が衝撃を受け疑問して周囲を伺い 隊員Aと隊員Bへ向く 隊員Aと隊員Bが呆気に取られた状態で顔を見合わせる グレイゼスが軽く笑っている ハイケルの声が聞こえる
『軍曹、アラン隊員、バイスン隊員 私は… ここに居ないのか?』
軍曹と隊員Aと隊員Bがハッとして グレイゼスを見る グレイゼスの手に持たれている Eランク設定ユニットの中心にある光が移動してから疑問する 隊員Aが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ!今日出動する際に PM700と共に渡されたーっ!?」
隊員Bが言う
「あー!少佐の ”Eランク設定頭”だーっ!」
軍曹が衝撃を受けて言う
「なんとぉおっ!?」
ハイケルの声が不満そうに言う
『その名前が 私はとても 気に入らないのだがっ?』
グレイゼスが笑って言う
「っははは 既存の音声データだけで ここまで会話が出来るとは 大したものだなぁ?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「…とっ!?申されますとっ!?まさか そちらは…っ!?」
隊員Bが言う
「少佐の… 偽者ぉー?」
ハイケルが言う
『私は嘘は嫌いだ』
グレイゼスが言う
「偽者では無くて 中身は本物なんだが 生憎 今は 言語を認識して それを元に 生体機能を使って音を作る… つまり言葉を発声させるって事が出来ないもんだから 既存の音声データのみで 対応してるんだ」
隊員Aが言う
「中身は本物… で、ではっ!その中にはっ 少佐の魂と言われる あのマイクロチップがっ!?」
軍曹が言う
「そ、そうと言う事は つ、つまり そちらは… あ、あの エ、エルム少佐 お得意の… デコイを操る技と言う事で?」
ハイケルが言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが軽く笑って言う
「っはは そんな所でまで 毛嫌いする事ないだろう?ハイケル」
ハイケルが言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが笑っている ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
軍曹と隊員Aが衝撃を受ける 隊員Bが笑っている グレイゼスが苦笑して言う
「分かった分かった それじゃ もう少し 既存の音声データを追加しておくから… そんな機械頭になってまで 怒る事ないだろう?ハイケル?」
ハイケルが言う
『ふんっ』
【 ART技術研究室 】
扉が開かれ グレイゼスが言いながら入って来る
「本当は このハイケルを連れて 司令官室に行こうと思ってたんだが まだ 戻ってないって言う事だったから… それならそうと 終業時間間近だって言うのに わざわざ本部へ戻って来た ハイケル少佐の”両碗の騎士”こと アラン隊員とバイスン隊員に 会わせてやろうと思ってな?」
グレイゼスに続いて 軍曹と隊員Aと隊員Bが入って来る 隊員Bが言う
「”両碗の騎士”ってー?」
軍曹が得意げに言う
「”両碗の騎士”と言うのは ペジテ王に仕えていたと言う 優秀な2人の騎士の事である!」
隊員Bが言う
「へー そーなんだー?」
グレイゼスが微笑して言う
「流石は ハブロス家の アーヴィン君!」
軍曹が言う
「あ、いえ?そちらは 以前… 少佐から ご教授を頂きまして?」
グレイゼスが言う
「あら?そうだったの?てっきり」
軍曹が苦笑して言う
「自分は馬鹿でありますので 例外なくそう言った 歴史的な事なども 無知なのであります!」
グレイゼスが苦笑して言う
「っはは… それは まぁ… アーヴィン君らしいと言えば そうなのかもしれないが …多少は知っておいた方が良いんじゃないか?何せ その”ペジテ王”って言うのは アーヴィン君のご先祖様じゃないか?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は…?はぇえっ!?」
隊員Bが言う
「えー?」
隊員Aが驚いて言う
「そ、そうだったのか…?ペジテ王…?ま、まぁ あのハブロス家だもんな?元王様って言うのも… わ、分からなくも 無いか?」
グレイゼスが言う
「”ペジテ王ハブロ”!…本当に知らないのか?アーヴィン君?」
軍曹が言う
「ペジテ王ハブロ…?えーっと… 自分は防長閣下で…?あ、いえ?マスター?自分はハブロではなく 元ハブロスでありますが?」
グレイゼスが言う
「そう だから そのままじゃないか?ハブロスって言うのは ハブロ殿が家族を得て 自分の家族へ対して与えた家の名前… つまり自分の名前に複数を示した ハブロ”ス” なんだからさ?」
軍曹が驚いて言う
「なんとっ!?」
隊員Bが言う
「あー!なるほどー!」
グレイゼスが言う
「もしかしたら それで… なのかもな?ハブロス司令官の あの力も…?」
隊員Aが言う
「ハブロス司令官の…?」
隊員Bが言う
「あの力ってー?」
軍曹が言う
「そちらは一体?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
『何の話だ?』
グレイゼスがハッとして言う
「あっ!い、いや!な、なんでも~…?」
皆がグレイゼスを見詰めている グレイゼスが困り汗を流す
【 ART出入り口 】
ドアが開き アースが入って来ると IDを通し表示を見る 表示が切り替わったのを確認した後 出隊隊員の名前に視線を向けてから 軽く微笑し 視線を変えて言う
「こちらに問題は無いか?エルム少佐?」
警備に立っていたエルムαが言う
『ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の入館を確認』
アースが言う
「うん?そうか?アイツが… ともすれば 自分の息子へ危険な作戦を実行させた私へ 一言文句でも言いに来たか?」
エルムαが言う
『共に ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐のデコイの入館を確認』
アースが気付いて言う
「彼のデコイが?…なるほど?国防軍総司令官にして防長閣下自らが 運んで来たと言う事か …フッ やはり あいつは祖父上に似ているな?エルム少佐?」
エルムαが言う
『…何の話だ』
アースが苦笑してから通路を行く
【 ART技術研究室 】
台にハイケルβが寝かされる 隊員Aと隊員Bが呆気に取られて見ている グレイゼスが言う
「何も 防長閣下が自ら 運んで来られなくとも?」
軍曹が言う
「いえっ 少佐のお体をお持ち致しますのは 原本の所有者である 自分の責務でありますかと!」
ハイケルのEランク設定ユニットがハイケルβを見て言う
『複雑な心境だ』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「それは そうでしょうね…?」
隊員Bが言う
「なんかー?このまま 乗り移れちゃいそうですけどー?少佐ぁー?」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「の、乗り移れって…!?バイちゃん!?」
ハイケルが沈黙してから言う
『…複雑な心境だ』
隊員Aが苦笑して言う
「ごもっともで…」
グレイゼスが言う
「責務に忠実な防長閣下に取り急ぎ お持ち頂いた所申し訳ないが… こっちの準備がちょっと 掛かっててな?なんせ 優秀な脳外科医のマスターが その名の通り 優秀なものだから 中々予約が取れなくて… それでも 何とか急いでもらえるようにとは 掛け合ったんだが」
軍曹が言う
「なるほど… そちらは… …致し方ない事でありますね?自分はもちろん 少佐には お早く蘇って頂きたいと思いますが」
隊員Bが言う
「って事はー…?少佐ぁー?少佐は今 蘇ってはいないのでありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
『…複雑な心境だ』
隊員Aが言う
「じゃ、じゃぁ… 俺たちは 今 …死体と 喋って…?」
隊員Aと隊員Bと軍曹が衝撃を受ける ハイケルが言う
『複雑な心境だ…』
グレイゼスが苦笑して言う
「君たち…?」
ハイケルがグレイゼスへ光を向けて言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
グレイゼスが言う
「いや そうじゃなくて… そもそも ハイケルは死んでいない訳だから?」
皆が衝撃を受けて言う
「え!?」 「えー!?」 「なんとぉ!?」
皆がグレイゼスを見る グレイゼスが苦笑して言う
「当たり前だろう?実際 今 諸君はそのハイケルと 話をしているじゃないか?」
隊員Aが言う
「い、居る事は 居ますけど…?」
皆がハイケルを見る ハイケルが言う
『複雑な心境だ…』
隊員Bが言う
「じゃー この ”複雑な心境の少佐”は 生きているって事でありますかー?中佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「ああ、そういう事 悪魔の兵士が 何度でも蘇るって言うのは 結局 その魂の欠片が入った 遠隔操作用マイクロチップを取り入れた身体を 入れ替えているだけだったんだよ …まぁ それでも傍目には 人間が蘇って見える訳だが… そして、肝心の その”本物のハイケル”は それらの身体とは別の場所にある」
ハイケルが言う
『そうなのか?』
隊員Bが言う
「それじゃー?」
隊員Aが言う
「本物の少佐は?」
軍曹が言う
「一体 どちらに ご在宅なのでありましょうかっ!?マスターぁ!?」
グレイゼスが言う
「それは…」
皆が集中する グレイゼスが苦笑して言う
「分からないんだよなぁ?これがぁ~?」
皆が転ぶ グレイゼスがコンソールを操作しながら言う
「一応 探してはいるんだが 今の所 原本にも書かれていないし 二世代目の悪魔の兵士に関わっていたマスターたちの方でも 初世代の方に関しては詳しい事は… …お?ハブロス司令官がお戻りだな?どうする?ハイケル?改めて 文句の一つでも言いに行くか?」
ハイケルが言う
『戦力不足 …だ』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「せ、戦力って…」
隊員Bが言う
「少佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「いや、今のは 言葉のままの意味では無くて 現状の音声データだけの会話では 言葉で押し返されるって言いたいんだろ?」
ハイケルが言う
『そうだな』
グレイゼスが言う
「とは言っても そいつは ハブロス司令官が相手じゃ 蘇った所で 同じだと思うけどなぁ?」
ハイケルが言う
『やはり奴は 悪魔の司令官 …だ』
隊員Bが言う
「悪魔のー?」
隊員Aと隊員Bが顔を見合わせる 軍曹が言う
「でしたら 自分がっ!少佐へ その様な任務を命じたと言う 兄へ 一言っ!」
グレイゼスが言う
「うーん… まぁ それを頼んだのは 俺なんだけど… いや、やっぱここは 穏便に行こう アーヴィン君?実際 ハイケルはARTの隊員であって ハブロス司令官はそのARTの司令官だ 如何に 防長閣下にして 国防軍総司令官のアーヴィン君とは言え 別組織の隊員の扱いを指導出来る立場では無いからさ?」
軍曹が困って言う
「そ、それは… そうでありますね… …では 不本意ではありますが… 了解であります マスターぁ!」
グレイゼスが言う
「よし それじゃ」
隊員Aと隊員Bが顔を見合わせてから 隊員Aが言う
「あ、あのっ 中佐?俺たちは…?」
グレイゼスが言う
「ああ、そうそう 悪いがその間 ハイケルのデコイを見ておいてやってくれ 何だったら これも一緒に?」
グレイゼスがEランク設定ユニットを向ける ハイケルが衝撃を受ける 隊員Aが言う
「あー いえっ そちらは その… 例え 真に不甲斐なくとも 持って行ってやって下さい 中佐」
ハイケルが衝撃受ける 隊員Aが言う
「中佐と軍曹もいらっしゃるのでしたら きっと 少佐も… 不甲斐ないなりにも 何か 一言位は言えるかと?」
ハイケルが言う
『悪かったな アラン隊員』
隊員Aがハッとして衝撃を受ける 隊員Bが笑って言う
「にひひっ アッちゃん 流石ー 今日も 技が冴えまくってるねー?アッちゃん?」
隊員Aが苦笑して言う
「フォローしようと思ったんだけどなぁ… やっぱり どうしても 本音が」
ハイケルが言う
『アラン隊員の意思は理解した よって本人の希望通り…』
隊員Aが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?それは いつかのっ!?そんな要らない音声データまで 入れないで下さいよっ 中佐ぁー!?」
グレイゼスが言う
「いやぁ 必要かと思って?」
【 ART司令官室 】
グレイゼスと軍曹が入室して来る アースが電話をしていて言う
「必要が無ければ それまでと言う事で …はい、そちらの判断は 現場の者に任せれば宜しいかと…」
アースがグレイゼスと軍曹に気付き視線を向ける グレイゼスが敬礼をする 軍曹がアースを見据える アースが軽く息を吐くと 通話に戻って言う
「…はい では そちらの様に お願い致します それでは…」
アースが受話器を置くと言う
「何か用か?アーヴィン?」
アースが資料を見る 軍曹が言う
「兄貴っ 今回の作戦は どうしても 少佐への被害を減らす事は 出来ぬものであったのか!?」
アースが資料を見ながら言う
「私は このARTの司令官として 最善の方法を用いたつもりだが?国防軍総司令官殿には 私のそちらより 上を行く作戦があられたとでも?」
軍曹が言う
「そ、それは…っ それは俺… 自身にはっ 分からぬが…っ」
アースが言う
「まぁ そうだろう マシーナリーを用いた作戦に関しては 国防軍より ARTの方が勝っているからな?では 話は以上だ 下がって良い」
軍曹が言う
「そ、そうではなくっ!俺は 唯っ!」
グレイゼスが言う
「防長閣下は ハブロス司令官が あの時 何故…」
アースと軍曹がグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「ハイケル少佐に 本物の機動回路である 中央を 狙わせなかったのかの そちらの ご返答を 求めておられる様でありますが?」
ハイケルがグレイゼスを見る アースが苦笑して言う
「その事か…」
グレイゼスが苦笑して言う
「つまり 最初に 中央である可能性は 低いと答えた… 自分の 責任と言う事で」
アースが言う
「いや?」
グレイゼスが言う
「え?…いえ、ハブロス司令官 自分は…」
アースが言う
「私は 確かに 作戦構築の最中 お前の判断を求めたが 私は最初から言った筈だ ”考慮の素材にする”と」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後言う
「しかし…」
アースが言う
「そして その お前の判断は 同時に あの知能能力補佐のヴァンパイア ヴィーンリッヒの判断とも同じだった… その時点で 私は判断した もし あの3つの機動回路の内に 唯一の正解があるのだとしたら それは中央だろうと」
グレイゼスが言う
「でしたら 何故?」
アースが言う
「そうだな?今回の奇襲が こちらのアールスローンと 彼らヴァンパイアの国 その2箇所であったのなら 私は お前の判断を覆し ハイケル少佐へ 中央を狙えと命じただろう しかし 今回は…」
アースが資料を一瞥してから言う
「3箇所だった」
グレイゼスがアースの手元の資料を見てからアースを見る アースが言う
「…だとすれば 可能性は有るだろう?あのヴァンパイアも口にしていた ターゲットは3箇所… もし 私が敵となり この世界を潰そうと考えるのなら 講じられる策はいくらでもある 同時に 翻弄してやろうと思うのなら 尚更だ」
グレイゼスが言う
「では わざと3箇所のターゲットを それぞれが 攻撃をするようにと?」
アースが微笑して言う
「そちらの必要性を 恐らく 奴も考えたのだろう?エリックアーベスト… 最も 奴の場合は 本当に 唯の賭け遊びであったのかもしれないが」
グレイゼスが一瞬考えてから言う
「しかし もし ハブロス司令官の そちらのお考えの通りだったとして 現状 ウィザードの国へ向かったART2との連絡は こちらのアールスローンはもちろん ヴィーンリッヒ殿にも出来ないとの事です そうとなれば 我々よりも情報の少ないART2の彼らが 既存の560マシーナリーと同じである 中央の正解へ向かうと言う可能性は限りなく低い…」
グレイゼスがアースを見て言う
「その状態で 極限の人間の答えとなれば やはり、あの時のハブロス司令官の お答えの通り ”人間なら 左 で勝負”…に出ると思うのですが?」
アースが言う
「”極限の状態”であれば な?マスター?」
グレイゼスが疑問して言う
「え…?」
アースが言う
「極限の状態とは つまり ”本能での判断”と言う事だろう 人間は無意識下に置いて 防御体制を取る際には 心臓のある左を庇うと言う… それは 科学的論理に基づいた 実証データなども存在するそうだが では 極限の状態では”無かったら” どうすると思う?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「えっと… そちらは もちろん?」
アースが言う
「諸君 マスターたちは 例えそちらの極限状態におかれても 体内にあるナノマシーンが 常に正常な判断を行う それにより 諸君は判断を誤る事は無い それに慣れている お前には 分からないのだろう?本来の人間だけの判断を」
グレイゼスが言葉を失う ハイケルがグレイゼスからアースへ視線を向ける アースが言う
「私は 知っている あのラミリツ攻長は 己の極限の状態に置かれても 最後まで 戦い抜く男だ そうとなれば あいつは 左は狙わない そして、守ろうとするものがあるのなら あいつは必ず中央を狙う そこに余計な考察は無い それが アールスローンの騎士 親兵攻長の力だ」
グレイゼスが呆気に取られている ハイケルが言う
『…何の話だ?』
軍曹が混乱している
【 ART技術研究室 】
軍曹が言う
「最も!自分は最初から!兄貴には言葉で 敵う筈が無いと言う事は分かっていた為に!せめて一言でも 文句を言えれば良い方だと 思っていたのであるっ!」
隊員Bが言う
「それじゃ 軍曹は 予定通りでー?少佐はー?」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ない』
隊員Aが言う
「不甲斐なくも 1言も言えなかったとは…」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
隊員Bが言う
「まぁ しょうがないでありますー 少佐ぁー?少佐は 真に不甲斐なく申し訳ない初世代の悪魔の兵士にして 現在は やっぱり 真に不甲斐なく申し訳ない ”Eランク設定頭”でありますからー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
『その名前が 私はとても 気に入らないのだがっ?』
隊員Aが言う
「その点 やっぱりと言うか ART司令塔主任 兼 研究開発部部長の中佐は ハブロス司令官のそちらのお話にも 付いて行けたと…?」
隊員Bが言う
「さっすが 中佐ぁー!チョーすげー!」
軍曹が言う
「うむ!流石 中佐にして マスターは 素晴らしいのである!」
ハイケルが言う
『それで その マスター …は居ないのか?』
ハイケルが視線を変える 隊員Aと隊員Bと軍曹がハイケルの視線に合わせて グレイゼスへ向く グレイゼスがモニターを前に考え込んでいる 隊員Aと隊員Bが疑問して 隊員Bが言う
「えー?中佐ぁー?」
軍曹が言う
「そう言えば 先ほどから?」
隊員Aが言う
「少佐の既存の音声データを追加して もっと会話を出来るようにって 言っていた割には…?何か 問題でも?」
皆がグレイゼスを見る 間を置いて 隊員Aと隊員Bと軍曹が焦りの汗を掻く ハイケルが言う
『マスターグレイゼス』
グレイゼスがハッとして言う
「あっ …あぁ 悪い?えっと?」
グレイゼスが皆を見て疑問する 軍曹が呆気に取られて言う
「はぇ?え~… え~?マスターぁ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ そうなんだよ ごめんな?ちょっと 気になっちまって 考え事に集中してたんだ そうすると 周りの音とか聞こえなくなっちまうもんでさ?」
軍曹が言う
「な、なるほど?それ程までに お考え中であられたと言う事で?」
隊員Bが言う
「すっげー!集中力ー!」
隊員Aが苦笑して言う
「少しでも分けてもらいたいよな?その集中力を… な?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「えー?」
グレイゼスが苦笑して言う
「分けられるものなら 分けてしまいたいよ ホントに?あいつ等が考え始めると 夕食を前に 気付いたら朝!…なんて事もザラだからな?」
皆が驚いて言う
「「「えぇええ~!?」」」
隊員Bが言う
「チョーすっげぇ~!?」
グレイゼスが言う
「しかも それが すっげ~って事でもないんだよ?それこそ どーでも良いような事だって 気になったら 離れないんだ」
隊員Aが苦笑して言う
「それは ちょっと… 困りますね?」
グレイゼスが言う
「だろぉ?」
軍曹が言う
「そちらは 確かに… ちなみに 先ほどお考えであられた事は?」
グレイゼスが言う
「ああ!そのハブロス司令官のお陰で 俺の眠れない夜がどれだけ増えた事か!?」
隊員Aと軍曹が衝撃を受け 隊員Aが言う
「と、言う事は?」
グレイゼスが言う
「さっきのハブロス司令官の考察だよ 言ってただろう?ラミリツ攻長は ”中央の起動回路を狙う筈”だって その根拠さ?」
軍曹が言う
「根拠…?」
グレイゼスが言う
「ああ、単純に考えるなら あの考察へ行き着くには ハブロス司令官は 以前の内に ラミリツ攻長のその行動に出るであろう ”根拠となる事象に遭遇している” と言う事になる訳だが…」
隊員Aが考えながら言う
「事象に?」
グレイゼスが言う
「とは言え ハブロス司令官は ラミリツ攻長や君たちとは違って 非戦闘員なんだ そうとなれば いくら事件やその他の報告書を目にしていると言ったって ラミリツ攻長のそちらの根拠は目にしてはいない筈だ」
ハイケルが言う
『そうなのか?』
グレイゼスが言う
「ああ、それに もしハブロス司令官が それを目にしているとしたら とっくに俺の目にも入っていて可笑しくない そもそも ラミリツ攻長は お前たち 元国防軍レギスト機動部隊と同等かそれ以上に マシーナリーとの対戦は行っているが それらどちらにおいても マシーナリーへの攻撃は 指定通り機動回路があるとされている位置を 的確に破壊して倒している その完成度は 何処かの悪魔の兵士さん顔負けって位だ」
ハイケルが視線を逸らして言う
『悪かったな』
ハイケルが衝撃を受ける グレイゼスが言う
「そう 流石は 優秀な二世代目の悪魔の兵士に 教えを受けただけの事はある」
ハイケルが言う
『真に不甲斐なく申し訳ないっ』
グレイゼスが言う
「ああ、つまり だからこそ なんだよ?常に 既存のマシーナリーの起動回路を的確に破壊しているラミリツ攻長が その起動回路の場所が分からない状況に追い込まれたら?そんな時はどうするかってさ?君たちになら 分かるか?」
皆が衝撃を受け困って 隊員Aが言う
「え?え~と…」
隊員Bが言う
「軍曹はー?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?え、え~とぉ~… あ、いや!?その前に 自分は攻撃が出来ないのであって」
グレイゼスが言う
「なら 指示をするだけでも良い 何処にする?」
軍曹が言う
「えぇっ!?え~とぉ~… 確か 今回の奇襲はRTD560マシーナリーである …と言う事でありましたので 自分は!」
グレイゼスが言う
「ちなみに 各マシーナリーの起動回路の位置を把握していると言う事は 少なくともラミリツ攻長は それらマシーナリーの起動回路が常に移動させられていると言う予備知識はあったはずだ」
軍曹が衝撃を受けて言う
「は、はえぇ!?」
グレイゼスが言う
「それは 同時に 同型式の改良型であっても施されている って事もな?」
軍曹が言う
「えっ!?えっと… そこまで分かっていると言う事でしたら 自分も… 改良以前の同じ場所となる 中央に関しては 候補から外す… かと?」
グレイゼスが言う
「だよなぁ?」
ハイケルがモニターを見上げる 隊員Bが気付いて言う
「ん?あー 中佐ぁー?少佐がー!」
グレイゼスが疑問して言う
「うん?」
皆がモニターを見る グレイゼスが言う
「お?そうそう よく気付いたな ハイケル?お前の言語中枢回路を この入力装置に通しておいたんだよ」
隊員Aがモニターの文字を読んで言う
「何々?”ハブロス司令官は 極限の状態に置かれる 人間の行動として話していた”?」
隊員Bが言う
「極限の状態ー?」
グレイゼスが言う
「つまり 生きるか死ぬかって言うギリギリの所さ?それこそ 支援組の俺やハブロス司令官は知る事が無い 諸君 機動隊員だけが遭遇する事態だろう?」
隊員Aが緊張して言う
「生きるか死ぬか…っ」
隊員Bが言う
「えー…?」
軍曹が言う
「自分は真に不甲斐なくも その様な事態に陥ったとあれば 何処を狙うかなどと考えるまでも無く その場に居ります隊員を全て 退避させるものと思われます…っ」
隊員Bが言う
「あー!俺も俺もー!」
隊員Aが苦笑して言う
「実際 今回の任務の時だって 俺たちは少佐を残して 退避したもんな?」
ハイケルが言う
『私は悪魔の兵士だ …何度でも蘇る』
グレイゼスが言う
「ああ、けど 同じ攻撃の兵士と言っても 政府の攻長である ラミリツ攻長はそうは行かないんだ だとしたら?…そう言えば ハブロス司令官は言ってたな?ラミリツ攻長は”極限の状態に置いても 最後まで 戦い抜く男だ”って… ラミリツ攻長と言えば 過去には 極限の状態で逃げ出す攻長だって 密かにレッテルを貼られた程の者なんだが?」
軍曹が苦笑して言う
「マスター?あの頃は ラミリツ攻長も子供でありましたから 今はもう そのような事はあられませんかと?」
グレイゼスが言う
「確かに 彼の成長には驚かされたからなぁ?まぁ 元々基礎はあった訳だし そこに エルム少佐の指導も入ったんだ そういう意味では 彼は生粋の戦士 それこそ ”攻撃の兵士”なのかもしれないが …だとしてもなぁ?ハブロス司令官の あそこまでの信頼にはならないと思うんだよ」
軍曹が言う
「信頼… で ありますか?あの兄が?…とは言え 確かに ラミリツ攻長には 兄やハブロス家の家族はもちろん 屋敷を守って頂いた事もありますので」
グレイゼスがハッとする 軍曹が言う
「家族や家を大切に考える あの兄であれば そちらがラミリツ攻長への信頼へ繋がったと言う可能性も…?」
隊員Aが苦笑して言う
「えーっと… 軍曹?それは 流石に偏見なんじゃ?いくら そのハブロス司令官でも それでは 公私混合と言うものに…?」
グレイゼスが言う
「あ、いや?ちょっと待ってくれ 確かにあの時…」
グレイゼスがコンソールを操作してモニターに破損したマシーナリーを複数表示して言う
「あったっ こいつだ!」
皆がモニターに見入る グレイゼスが言う
「このRTD420マシーナリーの機動回路は右 そして その場所にはプラズマセイバーによる攻撃痕があるんだが… それと共に ここに」
グレイゼスがモニター表示を拡大する 皆が注目して 隊員Bが言う
「あれー?なんか真ん中辺りに 傷が付いてるー?」
グレイゼスが言う
「弾痕から この攻撃は M82による射撃による損傷だという事が確認されている 更に言うと このプラズマセイバーによる攻撃は プラズマチャージ量の不足から 実際には機動回路までに到達しておらず それを補う形で M82の銃弾3発が撃ち込まれている ちなみにそれらの銃撃は その場に居た ラミリツ攻長と当時のハブロス総司令官の両名が行ったと言う証言も」
皆が驚き 隊員Bが言う
「えー?ハブロス司令官がー?」
隊員Aが言う
「そう言えば あの時って… 国防軍レギスト駐屯地の電源が落とされていて 俺ら 出動が遅れたんだよな?」
軍曹が言う
「そ、それで…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ、更に言うなら その両名が撃った回数も記録されているんだ ラミリツ攻長が合計で3発 ハブロス総司令官が2発ってな?最も それ以上の情報が無かったものだから 俺らは勝手に こっちの機動回路ではない 中央への2発が 非戦闘員であるハブロス司令官による誤射だと思ってたんだよ けど 改めて考えれば あの時 プラズマセイバーのチャージが無くなった事で 本当に 極限の状態に陥っていたのは ラミリツ攻長の方だったのかもしれない」
ハイケルがモニターを見る グレイゼスがコンソールを操作して 当時の写真を表示させながら言う
「何しろ この時のハブロス総司令官は 自滅覚悟の作戦を決行していたんだ 目の前のマシーナリー所か あの場に居合わせたマシーナリーを全て破壊できる N2爆弾を所持していた そうとなれば マシーナリーの1体が相手なら ラミリツ攻長とは逆に 極限の状態とはならなかったのだろう」
軍曹が視線を落とす 隊員Aが言う
「では それがハブロス司令官の 今回のラミリツ攻長への考察って事で?」
ハイケルが言う
『任務完了…か?』
隊員Bが言う
「でも それならー?何で ラミリツ攻長の極限の状態は 中央なんだろうー?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「うっ!…うーん そいつは …また 分からないなぁ…?」
グレイゼスが頭を押さえて落ち込む 隊員Aが衝撃を受けると苦笑して言う
「バイちゃん…」
隊員Bが言う
「それじゃー?中佐の眠れぬ夜はー?やっぱ 続行でありますかー?中佐ぁー?」
グレイゼスが言う
「う…っ ん?いや?今回は 切り替えが効いてくれるだろう 君たちのお陰で ハブロス司令官のラミリツ攻長への信頼理由には 気付かせてもらえたからな?後は 何故 ここぞと言う時の狙いが中央なのかの その理由は 本人から聞く事にするよ」
隊員Aが言う
「本人から?と言うと…」
軍曹が言う
「あ、難でしたら 今夜の夕食の席ででも 自分が聞いて?」
グレイゼスが言う
「いやいや 本人と言うのは ハブロス司令官じゃなくて ラミリツ攻長 本人の方さ?」
皆が驚いて言う
「「「えっ!?」」」
グレイゼスが言う
「その方が確実だろう?」
隊員Bが言う
「それじゃー?」
隊員Aが言う
「ART2が 帰って来る?」
ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
『…そうなのか?』
【 ART2 】
アールスロン政府警察が町中に配備され 拡声器から声が聞こえる
『我々はアールスローン国 政府警察 治安維持部隊である!アールスローン国 政府長攻長 ラミリツ・エーメレス・攻長閣下の命により!友好国である 諸君らの治安維持を支援すべく参上した!支援物資を必要とする者は 速やかに 各自最寄の灯魔台神館へ向かえ!無益な争いは行うべからず!我々は攻長閣下の思想の下 正義の名において これを断罪する!繰り返す 我々はアールスローン国 政府警察 治安維持部隊である!』
街中に 警機隊員たちが居て言う
「我々はアールスローン国 政府警察 災害救助部隊である!救助作業を必要とする者は居ないかっ!?」
街中の壊れた建物に警機隊員たちが居て救出作業を行っている 灯魔台神館の周囲に人だかりと警機隊員らの姿 上空から支援物資が下ろされている 他の街でもその光景が見える スーパーの駐車場に拡声器と大型スクリーンを付けた車が停車している スクリーンにはアイザックの前で内閣総理大臣とラミリツが握手をしている写真が表示されている
野営基地 簡易テント内
中央に大きめのテーブル 上には資料が沢山散らばっている 部隊長が資料を手に言う
「我々治安維持部隊の 作業進行状況に問題なし むしろ こちらの国の者による反乱が無い事で 作業進行度は12~15工程ほど早まっております」
ラミリツが言う
「こちらの国には警察は居ても 機動部隊なんかは居ないからね 小銃を抱えた兵士が立つだけで 彼らへの暴動抑制には十分だったんでしょ?治安維持部隊は… それならもう 23工程までスキップして 準警戒態勢まで警戒体勢を下げてしまって良いよ それで 内容より 範囲を広げる方向へ 専念して」
部隊長が言う
「はっ!攻長閣下っ!」
ラミリツが言う
「次は?」
部隊長が言う
「はっ!我々 災害救助部隊の状況をお知らせ致します 我々は現在…!」
ラミリツが資料を手に眺めてから言う
「…うん 物資供給を得た事で 被害を受けた街の政府機関… あぁ こっちでは 庶民安住… 何だっけ?」
部隊長が言う
「庶民安住応援機構の…」
ラミリツが言う
「ああ、それそれ 庶民安住応援機構の 警察や公共施設の各会社も 規律を回復したみたいだし そうとなれば 次は そちらの公共施設… なんと言っても ライフラインの復旧を最優先にしないと 折角の物資供給だって その有効期間に限りが有るからね?」
部隊長が言う
「戦乱時の物資供給による 住民沈静有効期間は60時間が限界かと… しかし そのたったの2日と半日の間に 復旧を …とされましても 残念ながら こちらの施設は…」
ラミリツが写真を見て言う
「浄水施設か… これは 厳しいね 現時点に置かれる推計での 修理完了日時は?」
部隊長が言う
「そちらの会社の者へ確認を取りました所 最低でも… 3年と」
皆がざわつく ラミリツが表情を困らせて言う
「3年か… 参ったね ライフラインの中で 一番重要な 水が…」
部隊長が言う
「従いまして そちらを目処に 現在は配管設備などの復旧確認作業を進めております」
ラミリツが言う
「うん… ちなみに その他の方法なんかって言うのは?何かないの?」
部隊長が言う
「そちらは かなり厳しいです この国は アールスローンとは異なり 河川などの水源が著しく少ない事が特徴です 恐らくそれ故に これほど立派な浄水施設が 国全体への配水を担っていたものと」
ラミリツが言う
「じゃぁ やっぱ これを直す他に無いって事?」
部隊長が言う
「はい 従いまして そちらの3年間を どう凌ぐか… と言う事をご提案される他に 我々の手の施しようはありませんかと」
ラミリツが言う
「うーん…」
ラミリツが考えて思う
(そうは言ったって 浄水処理が出来ないんじゃ… 元の水源は湖の水だから 浄水所を通さずに 復旧された配管設備を使って 各家庭で浄水作業をさせる?うーん でも 部隊訓練じゃないんだから 3年間もの長い間を この国の皆にやらせるなんて 絶対無理… 人は一度楽を覚えたら それを忘れる事は出来ないんだから 今だってこの国の人たちは 誰も水道の水が戻らないなんて事は 思っても居ない筈 …こんな時はどうしたら?)
ラミリツが写真を見て言う
「大体 こんな大きなもの… 直すだなんて 気が遠くなりそうだよ 機材を用意するだけでも 何日掛かるんだろう?」
部隊長
「そちらの確認は… 申し訳ありません 生憎 こちらの国のそれら土木関連の企業への連絡は 今の所 付かないとの事で」
ラミリツが言う
「そっか… そうだよね?その確認は… もう少し 最速でも明日以降じゃないと 難しいだろうね」
ラミリツが思う
(僕らは その明日には アールスローンへ戻る予定だった けど 作業工程が余りにも進まなければ 帰還隊員を半数にしてでも 支援部隊の作業が終わるまで …帰れない かな?あぁ… もう本当に)
ラミリツが言う
「はぁ… それこそ これも”魔法で” 直せたら良いのにね?」
部隊長たちが疑問して言う
「…魔法で?」
ラミリツが部隊長たちの反応を見て言う
「あ…」
ラミリツが思う
(あぁ そっか… 今日来たばかりの彼らは ウィザードたちの魔法の凄さを知らないんだ それこそ 僕だって実際に目の当たりにするまでは 信じられなかった位だし?)
部隊長が言う
「ああ… そう言いませば こちらの お国には… 何でしたか?”魔法使い”…?が居られるのだとか?」
ラミリツが言う
「うん でも、良いんだ 気にしないで?ごめん」
部隊長が言う
「いえっ 失礼致しました 攻長閣下っ!」
ラミリツが苦笑して言う
「彼らの力は 本当に凄いんだけどね?だから… いや、やっぱり 今は 現実的に考えて 我々の手で可能な範囲の事を …っ?」
ラミリツがハッとして思う
(うん…?何だろう?この感じは?…何かが 来るっ!?)
ラミリツが咄嗟に剣に手を掛けて構える 周囲の隊長たちが驚くと同時に マリアの悲鳴が聞こえる
「キャァアーーッ!」
ラミリツが気付いて言う
「この声は マリアさ… えっ!?」
ラミリツが目を見開く
簡易テント外
ラミリツとマリアが 簡易テントの布壁を抜けて吹き飛ばされて来る 周囲に居た隊員たちが衝撃を受け驚いて言う
「な、何だっ!?」 「何事だ!?」 「攻長閣下っ!?」
テント内から部隊長たちが走って来て言う
「攻長閣下ー!ご無事で御座いますかーっ!?」 「閣下ー!?」
ラミリツが目を閉じたまま思う
(うぅ… 痛い… いや?あれ?痛くなかった?おかしいな?確かに今 僕は何かに吹っ飛ばされた筈なんだけど?…けど まるで痛みが無かった?むしろ… 何か…?柔らか… い?)
ラミリツの手が柔らかい感触を得て ラミリツが目を開くと驚いて思う
(ってっ!?やっぱ!またっ!?何でマリアさんが 僕の…!?じゃなくて…っ!?僕らの 野営基地へっ!?)
マリアが閉じていた目を開いて言う
「あ、そっか 私…」
マリアが身を起こす ラミリツが苦笑して思う
(…うん?でも もしかして?これは… 神様からの 贈り物 なのかな?それで… その神様って言うのは)
マリアが苦笑して言う
「そうじゃなくて ウィザードさま 私は… …えっ!?」
ラミリツが思う
(やっぱね?あの天使様が 力を貸してくれるって?そういう事?…でも そうならそうってさ?何も… 僕や マリアさんまで ”ぶっ飛ばして”くれなくても 良いと思うんだけど?)
マリアが自分の下に居るラミリツに気付いて衝撃を受けて言う
「ラ、ラミリツさんっ!?」
ラミリツが苦笑して言う
「お、お疲れ様です… マリアさん お怪我は ありませんか…?」
マリアが衝撃を受けハッとして言う
「は、はいっ お疲れ様です!?あっ!でもっ!今回は大丈夫でしたからっ!事故とか そういう事はっ!?」
周囲の隊員たちが言う
「い、一体何が…?」 「何故 この場所に 部外者が?」
【 グレイゼスの部屋 】
朝日が差し込む部屋の中 グレイゼスがPCを操作している PCから配線がされ ハイケルのEランク設定ユニットに接続されている グレイゼスが作業をひと段落させて言う
「よし これで 昨日より大分話せるようになったぞ ハイケル?既存の音声データはもちろん その他の言葉も 基本となる音を お前の音声から登録して置いた これなら 通常会話は殆ど出来る筈だ …まぁ 多少イントネーションが機械的になっちまう事はあるかもしれないが…」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットから配線を外して言う
「それじゃ ちょっとテストをするか?んー そうだな それじゃ 試しに”リンゴを食べたい”って言ってみてくれ お前の既存の音声データには無い言葉だ」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見る ハイケルのEランク設定ユニットは沈黙している グレイゼスが疑問して言う
「ん?言えないか?ハイケル?…おかしいな?」
グレイゼスがモニターを見てから 再びハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「普通に喋ろうとしてみてくれ 言える筈だから ハイケル?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見詰める 部屋のドアがノックされ マリが現れて言う
「グレイ君?朝食は?」
グレイゼスが言う
「ああ、ごめん 作業は終わったから 今行くよ」
マリが微笑して言う
「うん それじゃ… また来なかったら 呼びに来るね?グレイ君は優しいから すぐグレイゼスに掴まっちゃって そのまま作業や考え事に没頭しちゃうから… ふふっ」
グレイゼスが苦笑して言う
「いつも ごめん… ああ、それなら やっぱり 今 行っちゃうよ?このままだと そうなっちゃいそうだからさ?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを持って立ち上がり マリの近くへ行って言う
「それに 俺も少しは マリを手伝ってあげないと… そろそろ 店の仕事はキツイんじゃない?本当に 無理はしないで」
グレイゼスがマリの肩に手を回す マリが微笑して言う
「ううん 大丈夫 お店のメニューも一部止めてもらってるし 今はコーヒーを注いで カウンターに置くだけだもの グレイ君がセルフ式に変えてくれたお陰で もう本当に大丈夫だから」
グレイゼスが言う
「そう?それなら良いんだけどさ?」
マリがグレイゼスを見て微笑すると 大きなお腹を支えながら歩く グレイゼスの手に持たれていたハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『ニンシンしていたのか?』
グレイゼスが衝撃を受ける マリが呆気に取られてから言う
「え?ハイケル君?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「ああっ しまった!何だよお前 反応が無かったから 接触不良でも起きてるのかと思ってたのに」
ハイケルが言う
『ネムッテいた』
グレイゼスが苦笑して言う
「ああ そう言う事…?」
マリがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「もしかして これが…?」
グレイゼスが慌てて言う
「あ、いやっ これは…っ その…っ」
マリが言う
「ひょっとして… ハイケル君と ”お話が出来る機械”?」
グレイゼスが苦笑して言う
「う、うん まぁ?そう… とも言うかな?」
マリが言う
「そうなんだ?…あら?でも それなら何も?お電話でお話しをしたら良いのに?」
ハイケルが言う
『現在の私は 魂だけの存在である為 電話は使用出来ない 悪かったな』
マリが疑問して言う
「魂だけの存在?」
グレイゼスが苦笑して言う
「ああっ いやいやっ!?そう深く考えないで マリ?それに ほら?あまりそう… 考え込むと 体に毒だからさっ!?」
マリが微笑して言う
「ふふふっ グレイ君ったら そんなに心配しなくても 大丈夫なんだから?」
グレイゼスが言う
「心配しちゃうよ…?なんたって 今は一番 大切な時じゃないか?」
マリが腹を撫でて言う
「そうね?もう 何時その時が来ても おかしくないものね?ここに居る この子が…」
ハイケルが言う
『いつウマレルのだ?』
マリが言う
「もう臨月なの 予定日はすぐだし 間違いなく 今月中ね?ハイケル君も会いに来てね?」
ハイケルが言う
『了解』
マリが軽く笑う グレイゼスが苦笑して言う
「なんだよ~ お前には 隠しておくつもりだったのに 作戦失敗だなぁ?」
ハイケルが言う
『何故だ?何の作戦だ?』
グレイゼスが言う
「お前たちに 気を使わせない為の作戦だよ?」
ハイケルが言う
『理解不能だ』
グレイゼスが言う
「まぁ そうかもな?」
ハイケルが言う
『シュッサン予定日に向け 休暇申請を行うべきだ お前は複数役職を兼務している 申請は 早めに執り行う事を推奨する』
グレイゼスが言う
「だから そう言うのを 気を使わせるって言うんだよ ハイケル?でもって そいつをさせない為の作戦が失敗したのっ」
ハイケルが言う
『理解不能だ 仲間であるなら 協力するのが当然だ』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「お前…」
ハイケルが言う
『共に 早く私を 蘇らせろ このままでは ウマレタそのコドモをダケない』
マリが微笑して言う
「ほらね?グレイ君?だから ハイケル君にも お知らせするべきだって 言ったのに?」
グレイゼスが苦笑してから言う
「…いやぁ?やっぱ ここに居るのは~ 偽者のハイケルかぁ?俺の知ってるハイケルは~ こんなに 可愛い奴じゃなかったぁ~!」
ハイケルが言う
『黙れ』
マリが含み笑いをする
【 ART2 】
浄水場
破壊された貯水槽が見える ラミリツが思う
(壊された 貯水槽… なるほど これは確かに3年は掛かるかもしれない けど これを 本当に魔法で?)
ラミリツが視線を向けると マリアがレイへ向いて言う
「今更ですが 本当に あれを?」
レイが言う
「ああ!もちろん 直してやれるぞ?」
ラミリツが思う
(そっか… 流石は 神様… それこそ 神の力で?)
レイが言う
「けど 俺は元々 風属性のウィザードだからさ?『この土ばっかの設備を直すのなら お前の方が向いてるだろうから しょうがないから手伝わせてやるよ!』…って マリアが言ってるって 伝えておいてやったぞ?マリア?」
ラミリツが疑問して思う
(風属性?この土ばっかりの…って?何か そういう違いがあるって事?)
宝石だらけの法衣を着た男が言う
「ヒーヒッヒッヒッヒ!」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(ま、まさか さっきから居る あの人も ウィザードっ!?)
レイが言う
「ついでに その設備には 水が一杯あって 邪魔なんだって言ってたからさ?『しょうがないから お前も手伝っても良いんだぞ?』ってマリアが言ってるって 先輩にも 伝えておいてやったぞ?マリア?」
アイザックが軽く咳払いをして言う
「…うんっ まぁ… この国の為に ウィザードとして尽くす事が出来るというのであれば 手を貸さない訳には行かないだろう」
ラミリツが思う
(こっちは まぁ 良いんだけどさ…)
マリアが気を取り直して言う
「グレーニッヒさんに お義父さん… その… ご協力を有難う御座いますっ!?」
ラミリツが思う
(グレーニッヒ?えっと… 奉者協会の名簿には無かった名前だ)
グレーニッヒが言う
「ヒーッヒッヒッヒ!礼には及ばないよぉ マリアちゃ~ん なんと言っても マリアちゃんは あの 恐ろしい敵から この国を守ってくれた 聖女様なのだからねぇ?小生にご協力出来る事があると言うのなら 喜んで?増して この国の為になる作業だというのであれば 灯魔作業も修復作業も 同じだよぉ~?ヒーヒッヒッヒ!」
ラミリツが思う
(これは 一応 聞いておくべき… だよね?それに 会話的にも マリアさんの 知り合い …みたいだし?)
ラミリツがグレーニッヒを見てからマリアへ向いて言う
「えっと… アイザック・シュテーゲル殿は存じておりますが こちらの… ウィザード様?…も マリアさんの お知り合いの方で?」
マリアがハッとして言う
「は、はいっ そうです…」
ラミリツが気を取り直して言う
「そ、そうでしたか では 改めまして 私はアールスローン帝国軍 レギスト特殊部隊 第二機動部隊隊長の ラミリツ・エーメレス・攻長です この度は…」
ラミリツが思う
(まぁ マリアさんの… この国の女帝陛下の 知り合いと言うのなら 大丈夫 …だよね?ちょっとその…)
ラミリツが一度 グレーニッヒの連れている ドレス姿の女性をチラッと見てから苦笑して言う
「急な依頼に 取り急ぎ 駆け付けて頂いた様で 誠に有難う御座います」
ラミリツが思う
(色々と変わった人だけど… 連れの人も含めて …でも?)
グレーニッヒが言う
「ヒーヒッヒッヒッヒ!」
ラミリツが衝撃を受けて思う
(いや 本当に 大丈夫… なのかな?)
マリアが苦笑している
【 グレイゼスの店 】
グレイゼスがコーヒーの仕込みをしながら言う
「これで よし… さて 仕込みも終わった事だし」
グレイゼスが振り返った先 カウンターの上にハイケルのEランク設定ユニットが置かれている グレイゼスが向かいながら言う
「お前も ARTへ出隊するだろ?ハイケル?それとも~?マリと一緒に この店の店番でもしてくれるか~?なーんてな?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットを覗き込む ハイケルのEランク設定ユニットは沈黙している グレイゼスが言う
「あら?何だ また寝てるのか?ハイケル?そろそろ起きろよ?もう とっくに日は昇ったぞ?」
グレイゼスがハイケルのEランク設定ユニットをノックする ハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『タタクな ノウミソが揺れる』
グレイゼスが苦笑して言う
「入ってないだろう?」
ハイケルが言う
『ハイッテ無いのか?』
グレイゼスがサロンエプロンを外しながら言う
「コーヒーの仕込が終わったから 俺はこのままARTへ出隊するけど お前も来るだろう?まぁ そうは言っても それこそ お前に脳みそが… いや?お前が 脳みそに入れるのは 今日の夕方だけど それまでだって ここに居るよりは良いだろう?一応 ここよりは安全だしな?ART本部なら」
ハイケルが言う
『そうだな それで?私は何処でノウミソに入るんだ?』
グレイゼスが言う
「今日は 脳外科医のそのマスターが居る病院まで お前を連れて行くんだ デコイの方は先に送ってあるから 後は お前を連れて行くだけだが …まぁ その後の作業は 俺がやるんだから やっぱり 連れて行くのも俺だろうな?」
ハイケルが言う
『そうか 世話になる』
グレイゼスが苦笑して言う
「え?…何だよ?本当に お前 どうかしちまったのか?ひょっとして?色々やったもんだから うっかりマイクロチップに損傷でも与えちまったかなぁ~?…な~んてな?はははっ びっくりしたか?」
ハイケルが言う
『夕方と言う事は それから作業を行えば 就業時間を越える お前は本来なら… カエリタイ筈だ』
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 苦笑して言う
「それこそ ”仲間なら 協力するのが当然だ” …だろ?ハイケル?」
ハイケルが言う
『…そうだな』
グレイゼスが微笑して言う
「そう言う事!それじゃ…」
グレイゼスが店の電話を見て言う
「…おっと?連絡を入れておかないと」
ハイケルのEランク設定ユニットが視線を向けて言う
『連絡?』
グレイゼスが受話器を取ってダイヤルしながら言う
「ああ、行く前に マリに… えっと その… そうそう!仕込みは終わってるから ってな?」
ハイケルが言う
『逝って来ると言うべきだ』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ちょっ!?音は合ってるけどっ その意味で言わないでくれるっ!?」
ハイケルが言う
『オトは合っている』
グレイゼスが言う
「はいはい 音は合ってるよ?」
グレイゼスが繋がらない呼び出し音に疑問して言う
「あら?…出ないな?いつもなら すぐ…」
ハイケルが反応して言う
『帰還しろ マスターグレイゼス』
グレイゼスがハッとして言う
「まさかっ!?」
グレイゼスが受話器を置こうとした瞬間 通話が通じて 受話器からマリの声が聞こえる
『はぁ… はぁ… グレイ…君…っ』
グレイゼスが慌てて言う
「マリっ!?もしかしてっ!?」
マリが言う
『はぁ… はぁ… 陣痛の… 間隔が… はぁ… はぁ…っ』
グレイゼスが言う
「分かったっ すぐ戻…っ いやっ 救急車 呼ぶからっ!待っててっ!」
マリが言う
『…うんっ』
グレイゼスが受話器を置き電話を掛け直して言う
「救急車を1台 お願いしますっ 場所は…っ!」
ハイケルのEランク設定ユニットが見上げている
【 メイリス邸 】
フレイゼスが朝食を取っていると シェイムが入って来て言う
「お早う御座います フレイゼス殿」
フレイゼスが気付いて言う
「おや?お早う御座います ショイム殿 今朝は随分とお早いですね?まだ… 6時過ぎですが?」
シェイムが席に座りながら言う
「はい… 今日は珍しく…」
フレイゼスが微笑して言う
「本日は ラミリツ殿がお戻りになる日ですからね?ご到着は15時以降の予定ですが シェイム殿は そちらが嬉しくて今朝は早くに 目が覚めてしまわれたのでは?」
シェイムが苦笑して言う
「いえ… 流石に 午後戻る予定の エーメレスの帰りに喜んで これほど早くに目が覚めると言う事は…」
フレイゼスが言う
「おや?そうでしたか それは失礼致しました …しかし こう言っては失礼ですが シェイム殿は割りと… 朝は苦手ですよね?特に最近は…」
シェイムが朝食を取り始めながら言う
「ええ、特に最近は 向かうべき職場が 悪いですので…っ 恐らくそちらのせいで 心理的にも 目覚めが悪いのかと」
フレイゼスが苦笑して言う
「そちらは… そうですね 何と申しましょうか…」
シェイムが言う
「しかも 今日は その酷い職場の 酷い上司に 明日は早く出隊しろ!…と 命じられまして それで 致し方なく…っ」
フレイゼスが言う
「そうでしたか …ハブロス司令官に?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「そちらの名前を 口にしないで頂けますかっ!?少なくとも この メイリス家の屋敷の中でだけはっ!」
フレイゼスが苦笑して言う
「は、はい では その様にと… しかし それこそ 今日の午後にも ラミリツ殿がお戻りになれば 例え シェイム殿がそうと申されましても… ラミリツ殿は きっと 事ある毎に そちらのお名前を 連呼されるのでは無いかと…?」
シェイムが頭を押さえて言う
「あぁ… 本当に… あの頃は 必死過ぎて まさか このような事になってしまうとは… 亡き父には 何と…」
フレイゼスが苦笑して言う
「フレイスは… それこそ 喜んでいると思いますが…?」
シェイムが怒って言う
「ではっ フレイゼス殿は!このまま エーメレスが 奴の言い成りになってしまっても 宜しいとっ!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「い、いえ そうは申しませんが… そもそも そちらのお二方は お仕事の上で お互いにご協力されているだけと言う事ですので… それにラミリツ殿も 特に 言い成りと言う訳ではあられませんかと…?」
シェイムが顔を逸らして言う
「エーメレスは とても素直な子ですから あの悪魔のような男に すっかり 良いように丸め込まれてしまっているのですっ こんな時 父上であれば 一体 どうやって あの悪魔を退治されたのでしょう?」
フレイゼスが苦笑して言う
「え、えーと… 悪魔…ですか?ははは… えーと そうですね?確かに 悪魔の兵士を 所有されては居られますが ハブロ… あっ いえっ!?彼が 悪魔と言う訳では あられませんかと?何しろ 彼は このアールスローンを守ろうと されているのですから?むしろそれは…」
シェイムが食事を取りながら言う
「ええっ そうですよっ 彼は国防軍の方ですからっ それこそ アールスローンを守る為なら アールスローンの神も悪魔も利用してっ …それこそ悪魔を超える悪魔のごとく 図々しく居られるのでしょうっ …あぁ 何と恐ろしい…」
フレイゼスが困って言う
「シェ、シェイム殿… 大丈夫ですか?その… 大変申し上げ辛いのですが これからシェイム殿は そちらお方の前へと向かわれるのですから どうかそう…」
シェイムが言う
「ええ、そうですね?残念ながら そちらは避けようの無い運命ですので 私はせめて… 父上や祖父上… そして 代々政府警察を担ってきた メイリス家の正義の力を信じ この屋敷にいる間だけは 悪魔のような彼の事は忘れて アールスローン信書を信仰する者として 清々しい時を過ごそうと…」
ドアが蹴り開かれて アースが現れて叫ぶ
「遅いぞっ!マスターシュレイゼス!」
シェイムとフレイゼスが驚き フレイゼスが呆気に取られて言う
「ハ…ハブロス司令官っ?な、なぜ…!?」
シェイムが驚いて言う
「あ、悪魔が…っ この屋敷にっ!?」
アースがシェイムの襟首を掴んで言う
「私は 今日の朝だけは 無理を押してでも 早くに出隊して欲しいと そう 頼んで置いた筈だがっ?」
シェイムが言う
「で、ですから…っ そちらのご希望通りに 早朝7時には出隊をしておく予定でしたがっ!?」
アースが言う
「馬鹿か貴様はっ!?ARTの始業時間こそ 7時だっ!そして早くにと言えば 最低でも30分は早く来るべきだろうっ!?私は 貴様があのラミリツ攻長の兄であるならば 弟と同じく1時間15分は 早く出隊するものと想定していたっ!」
シェイムが言う
「そんな勝手な事を言われましてもっ 大体 始業前に いくら上司でも 部下の屋敷にまで乗り込んで来るとはっ 一体貴方は何なんですっ!?住居不法侵入現行犯で逮捕しますよ!?」
アースがシェイムを突き放して言う
「出来るものならやってみろっ 私は 始業前に 友人の屋敷を訪問しただけだっ」
シェイムが言う
「勝手に友人にならないで下さいっ!私は 仕事の上では仲間となりますが 少なくとも 個人的に貴方とだけは 友人には なりたくありませんからっ!」
アースが言う
「貴様こそ 勝手に私の友人になるな!この屋敷の事は 私の友人である エーメレスから 長期任務の間の管理を任されている!そちらの管理期間内に 私が管理者として入る事は当然 許される!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「エ、エーメレス…っ なんと言う事を…っ」
アースが言う
「屋敷の当主となったからには 当然の配慮だろう?貴様ら居候2人は 共にメイリスの名は得ていない そうとなれば 中位富裕層のフレイゼス殿を この屋敷の準管理者にする事は 政府の法律である 富裕層保護管理法により 禁止されている もちろん 最下層のマスターは 政府の法律においては 論外とされる」
シェイムが床に落ち込んで言う
「うぅ… 今となっては このマスターの力が…」
フレイゼスが困り苦笑で言う
「あぁ… 実に すみません… シェイム殿…」
アースが言う
「そのマスターの貴様に用があって わざわざ来てやったんだ これ以上手間と時間を掛けさせるな マスターシュレイゼス」
シェイムが顔を上げて言う
「そ… そう言えば?そもそも…」
フレイゼスが言う
「ARTの司令官にして 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が このような早朝に 一体…?」
アースが言う
「早朝では無いだろう?既に6時半を過ぎている」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑する シェイムが言う
「貴方の早朝の定義が 何時であるかは知りませんがっ 我々にとっては早朝ですっ」
アースが言う
「そうか 分かった では こちらは 貴様の早朝の定義の内に 終わらせろ」
アースがシェイムの前にケースを置く シェイムが疑問して言う
「これは…?…うん?確か?何時か何処かで 見覚えが?」
フレイゼスが苦笑して言う
「ハ、ハブロス司令官?その… もしや?と 私には思い当たるものがあるのですが?」
アースが言う
「流石だな 元マスターシュレイゼス」
フレイゼスが衝撃を受けて言う
「あぁ… やはり…」
シェイムが疑問して言う
「え?…と、言いますと?」
アースが言う
「分からないのか?現マスターシュレイゼス」
シェイムが衝撃を受けムッとする アースが言う
「やはり 使えないマスターだ… しかし それならそうと 黙って そちらのケースへ手を置け」
シェイムが言う
「え?手を?」
アースが言う
「ああ、そうだ …今なら」
アースがフレイゼスへ向いて言う
「貴方から ナノマシーンを奪おうとしていた あの頃の私は 間違っていたのだと分かる」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑して言う
「あぁ、有難う御座います… その… その節は色々とありましたが 今は その貴方様に そうと仰って頂けた事を 私は大変嬉しく思います」
アースが言う
「あのまま 貴方がナノマシーンシュレイゼスを保有していたのなら 少なくとも この 使えないマスターよりは 私の力となってくれていただろう とても残念だ」
シェイムが衝撃を受け アースを睨む フレイゼスが胸に手を当てて言う
「有難う御座います… もう思い残す事はありません あの頃の争いは 決して無駄ではありませんでした その上で 貴方とも和解が出来 更には ”とても残念だ” とまで…」
アースが言う
「難なら もう一度 マスターシュレイゼスに なってくれても構わないが?」
シェイムとフレイゼスが衝撃を受け シェイムが言う
「つまり 貴方は それ程までに 私が使えないと仰いたいのですねっ!?」
アースが言う
「そうだな」
シェイムが怒る フレイゼスが困り苦笑をして言う
「ハブロス司令官 どうかそう… シェイム殿を刺激されないで下さい 私は 良く仰って頂けて 嬉しくも思いますが 同時に お二方には 是非とも仲良くして頂きたいと」
アースが言う
「無理だな」
フレイゼスが衝撃を受け苦笑して言う
「あぁ… そちらはその まるで… あのエルム少佐のごとく ハッキリと… 実に潔いと言いますか 何と申しましょうか…?」
アースがシェイムへ向いて言う
「それよりも 貴様の早朝は 一体何時までを言うんだ?こうしている間にも 既に 6時40分を過ぎたぞ?私はこれから 更に向かうべき場所があるんだ さっさと終わらせろ」
シェイムが言う
「で、でしたら…っ そうです!このケースが何であるのかっ そして 何故 このケースへ 私が手を置く必要があるのかの そちらの説明をして下さいっ そちらも無しに イキナリそのような事を言われても 従えませんねっ!?」
アースが言う
「貴様は たかだか それだけの事をするに 理由が必要なのか?」
シェイムが衝撃を受け慌てて言う
「貴方ほどの方が わざわざ乗り込んで来られるからっ 気になるのですよ!?そうでなければ…っ!」
アースが言う
「それこそ 貴様が早朝にARTへ出隊していれば 私がこちらへ乗り込む必要も無かったのだろう?何処まで面倒な奴なんだ お前はっ?」
シェイムが衝撃を受け怒りを押し殺す フレイゼスが困り焦っている アースが言う
「だが これ以上 友人でもない お前の為に 時間を割くつもりは無い そして説明は… 言葉で言うより見れば分かるだろう」
アースがケースを開くと 中にナノマシーンがある シェイムが衝撃を受けて叫ぶ
「なぁああーっ!?」
アースが言う
「よし どうせなら 直で逝け」
シェイムが焦り怒って言う
「冗談じゃありませんっ!?貴方は そのナノマシーンを使って 使えないマスターである私のナノマシーンシュレイゼスを 操らせるつもりだったのですねっ!?」
アースが怒って言う
「馬鹿を言うなっ!ナノマシーンは 私の仲間だっ それを使い 他のナノマシーンを操ろうなどとっ!この私が 考えるものかっ!」
シェイムがハッとしてアースを見る アースが言う
「そして そうであるらこそ このナノマシーンに ”間違いなく操りの力が備わっていない”と言う 事実を お前で確かめる!」
シェイムが怒って言う
「同じ事ですねっ!?私で そちらの確認をしようなどとっ!貴方はやはり 悪魔ですっ!」
アースが言う
「悪魔だろうが天使だろうが知った事かっ!さあ ナノマシーンに触れろ!マスターシュレイゼス!命令だっ!」
シェイムが避けて言う
「嫌ですよっ!冗談じゃ有りませんっ!」
アースが言う
「我侭を言うなっ 貴様以外に ”使えないマスター”は居ないっ!」
シェイムが怒って言う
「余計なお世話ですっ!」
フレイゼスが困り苦笑で言う
「あぁ… なんと言いますか… 相変わらず お変わりの無い お二人のご様子で…」
【 病院 】
マリが担架で運ばれている マリが苦しそうに息をしている グレイゼスがマリの手を握って追走しながら言う
「マリっ 頑張ってな!?辛いだろうけど…っ ごめんなっ!?俺は 何も出来ないけど…っ」
マリが苦しそうに言う
「はぁ はぁ …ううんっ グレイ君… はぁ… はぁ… 大丈夫 だから… はぁ はぁ… 待って て… 私… はぁ はぁ… 頑張る から…」
グレイゼスが言う
「ああ 待ってるよっ ずっと 待ってるっ!」
マリが頷く 看護師がグレイゼスへ言う
「旦那様はこちらで…」
グレイゼスを残して マリと看護師たちが分娩室へ入り ランプが点灯する グレイゼスが一人で立ち尽くしてから 落ち着かない様子で周囲を見渡し ベンチを見つけると座り込んで言う
「はぁ… こんな時は ホントに無力だよなぁ男ってのは… 窮地の仲間への言葉なら いくらでも思い付くのに 今は 掛ける言葉すら思い付かないなんて …やっぱ 男は何も出来ずに 外で待つしかないのかな?なぁ?ハイケル?…あら?」
グレイゼスが周囲を見渡してから言う
「あ… えっと…?ハイケル…?」
グレイゼスが衝撃を受け 頭を抱えて言う
「あぁ~!しまったっ!忘れてたっ!何処置いたっけ!?え~っと~っ!?」
グレイゼスが悩みながら思う
(救急車を呼んで 店を出る時には やべって思い返して取りに戻って… それで…?それで 車に乗り込んだ時に 助手席に置いて… 置いて…?それから?どうしたっ?…マンションの駐車場へ戻った時には 外に救急車が来ていたから… それで…?)
グレイゼスが思わず声を上げて言う
「あーっ!そうだっ!それで 俺…っ!」
グレイゼスが表情を顰めて思う
(そのまま 担架で運ばれてきたマリと一緒に 救急車に乗り込んで…っ)
グレイゼスが言う
「だから ハイケルは そのまま車の助手席に 置きっぱなしにして来ちまったんだっ!…どうしようっ!?」
グレイゼスがポケットを探って鍵を取り出して思う
(家の鍵はオートロックだけど 車の鍵は… 閉めたっけ?…あぁ 締めたような気もするっ!?車を降りて 癖でそのまま鍵を閉めた!?…それなら!?…大丈夫か?元々ボロイ車だし 誰も狙わないよな?ハイケルだって 普通の人が見たんじゃ 何の機械だかも 分からないだろうし…!?)
グレイゼスが表情を困らせたまま立ち上がって言う
「…けどっ!?それこそ 今のハイケルに何かあったら 取り返しが付かないっ!…取りに行くしかないか?しょうがない…っ」
グレイゼスが分娩室を見て思う
(どれ位掛かる?今から行って戻って… 間に合うか?…急げば 間に合うか!?そうだよな!?いざとなれば… 俺には ナノマシーングレイゼスが付いているっ!)
グレイゼスが顔を上げて言う
「ごめんな…っ マリ 直ぐに戻るからっ!」
グレイゼスが走り出す
【 メイリス邸 】
フレイゼスが電話をしていて言う
「なるほど そう言う事でしたか… それで 今朝早くに ARTのハブロス司令官が 政府研究局へお越しになり ナノマシーンを?」
受話器から局長の声が聞こえる
『はい ナノマシーンラキンゼスの状態は正常でしたと 昨夜お電話をした所 明日の早朝に取りに行くので 用意をしておいて欲しいと言われまして』
フレイゼスが苦笑して言う
「早朝に… ちなみに局長はそちらの 早朝と言うのは 何時頃を想定されていたのでしょう?参考までに 教えて頂けますと?」
局長が言う
『え?あ、はい そうですね?業務の上で早朝と言えば 始業直後かとも思いましたが 政府の各省庁とは異なり 国防軍の方は早いですからね?万が一にも ハブロス司令官をお待たせしてはいけないと思い 用意の方は 昨夜の内に済ませて置いたのですが… 正解でした 警備の者の話では 今朝の6時にお越しになったと 私はと言えば いつもよりは早くに来たのですが お会いは出来ませんでした 何しろ私はその30分後に到着したもので』
フレイゼスが言う
「あぁ… では 局長は少なくとも 6時半には出隊… いえ、出勤をされていたのですね?流石は 政府研究局の局長殿です 敬服致します」
局長が笑って言う
『あぁ… はははっ お褒めの言葉を有難う御座います しかし 私も普段は 局の業務開始時間の1時間前である 7時出勤が精一杯ですよ?』
フレイゼスが言う
「では 局長は普段も1時間は前に ご出勤をされていると そちらで十分敬服に値します それでは また… はい お疲れ様で…」
フレイゼスが通話を切ると シェイムが不満そうに言う
「ですからっ 私も 始業時間の1時間前出勤 7時で十分でしたかと!?」
フレイゼスが衝撃を受け 苦笑して言う
「そ… そうですね?しかし… 郷に入れば郷に従えとも言いますし?…それはそうと 取り合えず シェイム殿が手を触れられた あのナノマシーンは安全な物である事が 先に確認されていたという事ですので …これで安心ですね?シェイム殿?」
シェイムが言う
「いえっ それよりも 私は…っ」
回想
アースが言う
『何時まで待たせるつもりだっ!好い加減にしろ マスターシュレイゼスっ!』
シェイムが身を避けて言う
『ですからっ 何時までだって!それこそ 夜まで待たせたって 私は そちらのナノマシーンに 触れなどしませんよっ!万が一にも 私の持つシュレイゼスが操られたら どうするのですかっ!?』
アースが言う
『そうか では 貴様は どうあっても 私の作戦に協力しないと言うのだな!?』
シェイムが言う
『当たり前ですっ!ナノマシーンを保有するマスターなら 誰だってそうでしょうっ!?』
アースが言う
『分かった マスターシュレイゼス 貴様には もう期待はしない!』
シェイムが言う
『して頂かなくて 結構です!こんな危ない事をさせる 貴方に 期待などされたくありませんっ!』
アースが言う
『よし そうと言うからには 遠慮も不要と言う事だな?』
アースがシェイムを見る シェイムが疑問して言う
『遠慮も…?そもそも 貴方は何一つそちらの言葉に相応しい事などは…っ!』
アースが言う
『シュレイゼスっ!私の言葉を聞けっ!』
シェイムが驚くと同時に身体に違和感が走る シェイムが驚いて言う
『え?…ま、まさかっ!?』
アースが言う
『さあっ シュレイゼス!お前の仲間の無罪をっ!その身を持って 証明して見せろっ!命令だっ!』
シェイムの身体に衝撃が走り シェイムの手が勝手にナノマシーンのケースへ向けられる シェイムが驚いて言う
『そ、そんなっ!?シュレイゼスっ!止めて下さいっ!私はっ 私は!他のナノマシーンになどっ 触れたくないーっ!』
シェイムの手がナノマシーンのケースに触れられる シェイムが強く目を瞑っている アースが身構える フレイゼスが呆気に取られている シェイムが強く目を閉じていた状態から 疑問して目を開いて言う
『…うん?何も…?』
アースが言う
『異常は無いか?』
シェイムが肩の力を抜き 自由になって言う
『はい… 無いみたいで …すっ!?』
シェイムが正面で構えているアースに驚いて言う
『と、言いますかっ 貴方はっ!?』
アースが言う
『そうか では これで ナノマシーンの操りは起きないと 完全に証明されたと思って良いのだろうか?』
シェイムが言う
『それよりも 貴方は!?これで もし 私が操られたとしたらっ!?』
アースが言う
『もちろん!今回も貴様を 全力でぶん殴って 正気に戻してやる作戦だったっ!』
シェイムが言う
『やはりっ!?』
アースが言う
『そうだな では やはり ”念の為に” 一発殴っておくか?遠慮は要らん こいつは礼だっ』
シェイムが言う
『冗談ではありませんっ 今度こそ 暴行罪で逮捕しますよっ!?』
回想終了
シェイムが言う
「結局 あのケースに入っていたナノマシーンには 操られませんでしたが… それ以上に 私は あの悪魔の様な ”彼に操られた”と言う事の方が 恐ろしいですっ!」
フレイゼスが言う
「いえ、それでしたら シェイム殿 そちらに関しては ご心配をされなくても 大丈夫ですよ?元マスターシュレイゼスである 私が保障をします 少なくとも ナノマシーンシュレイゼスには 何の問題もありません」
シェイムが言う
「そうなのですか?そちらは…?」
フレイゼスが言う
「はい 何故なら シュレイゼスは 元々 ハブロス司令官の ご命令には 従順な様でして?以前から度々 宿主の意思を他所に 彼には力を貸してしまうのです!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「何よりの 問題ですねっ!」
【 病院 】
正面入り口 内側
グレイゼスが開かない自動ドアの前で見上げて言う
「あぁっ 何だよっ!急いでるって 時にっ!?」
グレイゼスが立て看板を見る
”夕方6時~朝7時までの間は 裏口をご利用下さい”
グレイゼスが苛立たしげに時計を確認して言う
「もう朝の7時だろっ!?うぅ~… しょうがないっ!」
グレイゼスが走って向かう
裏口 外
アースが車を降りて言う
「7時か… 面会可能時間となった事は 丁度良かったな?」
SPが言う
「このお時間でしたら 既に正面の出入り口が 開かれますが?」
アースが言う
「いや こちらで良い これを持って 人目に付く場所には行かれない… お前たちは何があろうとも このケースを守れ 良いな?」
アースがケースを見せる SP2人が言う
「「はい」」
アースが裏口へ向かう SPが同行する
SPを先頭にアースが裏口を入って通路を歩く 前を行くSPが横通路を確認してから進む アースが続くとアースの持つケースから反応が伝わる アースが疑問して言う
「うん?」
同時に勢い良くアースに何かが突っ込んで来る アースが壁に叩き付けられつつ ケースを守って言う
「ぐあっ!?」
SP2人が驚いて言う
「ご、ご無事ですかっ!?」 「一体何がっ!?」
アースが床に腰を落としていて言う
「…くっ 何をしているっ!?何があろうとも こいつを守れと言っただろうっ!?」
SPが言う
「も、申し訳ありません 何しろ突然 ”目に見えない何か”が…っ」
アースが言う
「目に見えない何かだと?その様なものなど… っ!?」
アースの向かい側の通路に グレイゼスが倒れていて言う
「痛ってぇ~っ 何だよ グレイゼス?お前たちが居ながら 何かにぶつかるだなんて…」
アースが言う
「マスターグレイゼスっ!?」
グレイゼスがビクッとして 顔を向けると驚いて言う
「ハ、ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスがハッとして言う
「す、すみませんっ まさか ハブロス司令官にっ!?その…っ 急いでいたもので!」
アースが立ち上がって言う
「急いでいた?何かあったのか?病院で?」
グレイゼスが慌てて言う
「あぁ…っ そ、その…っ 今朝方… 妻が 産気付きまして それで…っ」
アースが気付いて言う
「…ああ、そうか そうと言う事ならば… うん?ならば何故 お前が ”外へ”向かおうとしている?」
グレイゼスが衝撃を受け 慌てて言う
「あぁ~っ そ、それが そのっ!?」
アースが苦笑して言う
「向かうべき病院でも 間違えたのか?マスター?」
グレイゼスが言う
「いえっ それがっ …っ すみませんっ!ハブロス司令官っ ハイケルを…っ」
アースが疑問して言う
「…ハイケル少佐が?どうした?彼はまだ」
グレイゼスが苦笑して言う
「はい 急いでいたもので うっかりその… 彼を自宅へ停めた車の助手席へ 置き忘れてしまいまして…っ 今直ぐ 取りに向かいますのでっ!」
グレイゼスが向かおうとする アースが言う
「待てっ!」
グレイゼスが立ち止まって振り返る アースが言う
「それ程 慌てた状態で外へ出て そのお前に 何かあればどうする?」
グレイゼスが言う
「し、しかしっ アイツを 放っておく訳にはっ」
アースが言う
「そちらへは 私が向かう」
グレイゼスが言う
「え!?」
アースがSPへ言う
「鍵を預かり 先に向かい 警備を行なっておけ 急げよ?」
SPが言う
「はい」
グレイゼスが驚いてアースを見る アースが言う
「私の用は直ぐに終わる 彼はその後に 私が回収を行う それで良いだろう?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「は、はい… それは 助かりますが… しかし 本当に?」
アースが言う
「私が嘘を言うとでも?」
グレイゼスが慌てて言う
「ああっ いえっ!?そう言う訳ではっ!」
アースが言う
「では 必要事項を終え お前は直ちに 自身の持ち場へと戻れ マスターグレイゼス中佐 …命令だ」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後苦笑して言う
「了解 司令官」
アースが軽く笑った後 SP1人と共に立ち去る 残ったSPがグレイゼスへ向く グレイゼスが残ったSPへ向いて言う
「では 頼みますっ 場所は…」
グレイゼスがSPへ鍵を渡す
【 病室 】
隊員Cが言う
「へっへ~ん どうだ?兄貴?俺だって ARTに入ってからは 毎日 始業前出隊して 早朝トレーニングをしてたんだぜ?訓練開始前に1時間もな?」
ラキンゼスが言う
「機動部隊の訓練開始1時間前なら どうせ7時だろう?ART本部は 夜明けの1時間後から開いてるんだぞ?それこそ 本気の奴は その早朝から出隊してるよ」
隊員Cが言う
「夜明けの1時間後って… 何時だよ?大体 その夜明けだって季節によって 変わるんじゃ?」
ラキンゼスが苦笑して言う
「今なら大体5時位だな?」
隊員Cが苦笑して言う
「なら6時に出隊しろって?流石に それは無理だって」
ラキンゼスが言う
「それなら お前は 何時も通りの7時でも十分だろ?こんな所で 油売ってないで 早く向かったらどうだ?」
隊員Cが言う
「あぁ いや… 今日は 少佐も居ないし… それならって 朝の挨拶に寄ったんだよ 身体は大丈夫なんだろ?意識さえ戻れば 自宅療養で良いって 医者の先生も言ってたし …帰らないのか?兄貴?」
ラキンゼスが言う
「うん?何だ もしかして 俺を心配して 来てくれたのか?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そ、それはっ その…っ あ、当たり前だろう!?大体 兄貴がこっちにいると 母さんも大変だし… 兄貴だって 早く家に帰りたくないのかよ?」
ラキンゼスが言う
「うん… そうだな?ラキンゼスは居なくなっちまったけど… まったく無くなった訳でもないもんな?お前の持つキーネックレスに たったの1%だけだけど…」
隊員Cがキーネックレスを見てから苦笑して言う
「ラキンゼスの事は 俺に任せとけって… 昨日も言っただろう?」
ラキンゼスが苦笑して言う
「ああ… 任せる」
隊員Cが苦笑した後言う
「じゃ、行くわ?」
ラキンゼスが言う
「ああ、頑張れよ?…昨日の汚名返上の為にもな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それは 言うなってっ!」
ラキンゼスが軽く笑う ドアがノックされる ラキンゼスと隊員Cが疑問して 隊員Cが言う
「あれ?こんな早くに?」
ラキンゼスが言う
「はい どうぞ?」
ドアが開き アースが入って来る ラキンゼスと隊員Cが驚き 隊員Cが思わず叫ぶ
「なぁあーっ!?」
ラキンゼスが呆気に取られて言う
「ハ、ハブロス司令官…?」
隊員Cが呆気に取られて言う
「な、何で…っ!?昨日に続いて こんな人が しかも こんな時間に!?」
アースが隊員Cの前で一度止まり顔を向けて言う
「お早う サキシュ隊員」
隊員Cが衝撃を受け 慌てて言う
「おっ!?おはっ!?おはよっ!?お早う御座いますっ!?ハブロス司令官っ!?」
アースがラキンゼスのベッドの横に立つ ラキンゼスが衝撃を受け慌てて言う
「あ、あのっ お早う御座います ハブロス司令官っ!?その… 昨日は 有難…っ」
アースが言う
「昨日は すまなかった マスターラキンゼス」
ラキンゼスが疑問して言う
「え?」
アースが言う
「治療の為とは言え 私はお前に嘘を伝えた 許せ」
ラキンゼスが言う
「え?いや?えっと…?」
アースがサイドテーブルへケースを置いて言う
「ナノマシーンラキンゼスは 破棄してはいない そして 彼らは正気に戻った」
ラキンゼスが驚いて言う
「…正気に?それじゃ まさかっ!?」
アースがケースを開ける ナノマシーンが見える ラキンゼスが目を見開く 隊員Cが呆気に取られていると アースが言う
「彼らの状態は正常だ 政府研究局にて確認を行ない 共に お前たちマスターの仲間である マスターシュレイゼスが直々に 彼らには 操りの兆候が無いという事を立証して見せた それに 何より」
アースがラキンゼスを見る ラキンゼスがアースを見上げると アースが微笑して言う
「彼ら自身が お前たちの下へ戻りたいと そう願っている」
ラキンゼスが驚き呆気に取られた後 苦笑して言う
「…有難う御座いました ハブロス司令官 俺とラキンゼス… どちらも助けて頂いて」
アースが微笑する ラキンゼスがナノマシーンのガラス容器に手を触れる ナノマシーンがキラキラと煌き緑色の光を放っている
【 車内 】
ハイケルのEランク設定ユニットが起動し 周囲を見渡して言う
『周囲状況 異常なし …今は ナンジだ?そろそろ… ウマレタか?』
ハイケルのEランク設定ユニットが 周囲を見渡し言う
『状況… フメイ 行動 フカ… 待機 続行する』
車内に音がする ハイケルのEランク設定ユニットが反応して言う
『うん?何か オトが したのか…?』
ハイケルのEランク設定ユニットが周囲を見渡す 車の窓の外からSPが覗き込み携帯を操作する
【 病室 】
隊員Cがアースの後方から様子を伺って ナノマシーンのケースを見て言う
「あれが… ナノマシーン…?」
隊員Cが自分の持つキーネックレスを見る 携帯の音が鳴り 皆が一瞬反応すると アースが携帯を取り出して言う
「では 私の用は以上だ 邪魔をしたな」
隊員Cが何か言おうとする
「あ…っ」
アースが外へ向かいながら携帯を着信させ 通話をしながら歩く
「…分かった 直ぐに向かう そのまま警備を続行して居ろ」
アースが通話を切って病室を出て行こうとすると ラキンゼスが言う
「待って下さいっ ハブロス司令官!」
隊員Cが驚いてラキンゼスへ向く アースが立ち止まり向き直って言う
「何だ?マスターラキンゼス」
ラキンゼスがアースへ向いて言う
「はい!”マスターラキンゼス”は ARTへ戻りますっ もう一度 ハブロス司令官の お力になりますっ!」
隊員Cが驚いてラキンゼスを見て言う
「兄貴っ!?」
アースが言う
「お前の籍は 今もARTゼロへ置いてある 体調に問題が無い様なら いつでも戻って来い 所属の移動は その後に考慮する」
ラキンゼスが言う
「いえっ 自分はもちろんですがっ このナノマシーンラキンゼスは もう一度 戦いたいと言っていますっ そして 汚名を晴らしたいとっ!サキシュの昨日の汚名をっ!?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「俺のーっ!?」
アースが呆気に取られて言う
「では…?」
ラキンゼスが隊員Cへ向いて言う
「サキ!ラキンゼスを 任せるぞっ!」
隊員Cが慌てて言う
「なぁーっ!?待て待て待てぇえ!兄貴ぃいっ!?」
ラキンゼスが言う
「”ラキンゼスは 俺に任せろって” 昨日もさっきも 言っただろうっ!?サキッ!?」
隊員Cが言う
「言ったよ!?言ったけどぉお!?ちょっと 待ってくれっ 兄貴っ!?それとこれとは話が まったく違うってっ!?」
ラキンゼスが言う
「違くないだろうっ!?まったく同じ事だ!ただその量が1%か99%かって 違いなだけだっ!?」
隊員Cが言う
「それが まったく違うからぁあっ!?何で1%と99%が同じなんだよっ!?ナノマシーンが無くなって 馬鹿になったんじゃないかっ!?兄貴っ!?」
ラキンゼスが言う
「そんな事は無いっ 大丈夫だ!ナノマシーンがあろうが無かろうが 根本的な馬鹿は変わらないっ!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それじゃ 駄目だからっ!?尚更 悪いからっ!?やっぱり 相変わらず 兄貴は変な所で 馬鹿なんだからっ!?」
ラキンゼスが言う
「つまり 根本的に馬鹿だと言う事だっ!その 俺が 知能補佐能力のマスターになれたんだ!そうとなれば お前だって 最悪 身体補佐能力のマスターにはなれるっ!根本的に馬鹿な俺が100%保障する!」
隊員Cが怒って言う
「ちょっと待てぇえ 順番に突っ込ませろっ!」
アースが携帯を操作して通話して言う
「マスターカルンゼス 予定通り ナノマシーンの継承作業を頼む」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「予定通りっつったぁあっ!?今 予定通りってぇえ?!ちょっと待って下さいっ ハブロス司令官っ!?俺は 本当に そんな事 急に言われてもっ!?」
アースが言う
「ならば お前は お前の兄貴へ順番に突っ込んだ後 その勢いのままに ナノマシーンラキンゼスを持って 第8病棟神経科のマスターカルンゼスの下へ向かえ 後は 何とかなるだろう」
隊員Cが慌てて言う
「待って下さいっ そんな事言われたってっ 大体 兄貴に続いてハブロス司令官にまで そんな事言われたら とても 突っ込みが追いつきませんっ!…ってそうじゃなくてっ!ちょっと マジでっ!?」
アースが言う
「悪いが 私は これから 放置された ハイケル少佐を回収しに向かわなければならない 出来る事なら 継承を済ませた お前を 念の為に 一発殴って置きたい所だったが そちらは お前の兄貴へ任せる」
ラキンゼスが言う
「了解!司令官!」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「ちょっと待てぇえっ!どう言う事ですかっ!?少佐が放置されたって!?回収しに向かうとか そのハブロス司令官が 俺を一発殴りたいとか マジで 意味が分かりません!しかも 兄貴まで 何に了解してるんだよ!?」
アースが言う
「分からないのなら お前は まず ナノマシーンラキンゼスへ触れ 意思の疎通を行え それで 駄目なら それまでだ 後は何時も通り ART1へ出隊しろ …但し」
隊員Cが疑問して言う
「但し?」
アースが言う
「お前が 昨日無駄に消費してくれた マシーナリーの改善費用は 1機で10億以上の物だった」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「じゅっ!?じゅうう おくぅううーーーっ!?い、以上…っ!?」
アースが言う
「必要とあれば 再び そのお前の為に致し方なく 用意はするが 2度と 無駄には 消費をしてくれるなよ?」
アースが立ち去る 隊員Cが言葉を失って言う
「じゅ… 10億以上を… …それを6機とか」
ラキンゼスが笑顔で言う
「取り合えず 触ってみろって?ほれほれ?」
ラキンゼスがナノマシーンを示す 隊員Cが表情を困らせて言う
「じゅ、10億… …やらなかったら 弁償しろって言われる… かな?」
隊員Cが困りながら ナノマシーンを見る ラキンゼスが微笑する
【 病院 】
グレイゼスがベンチソファに座って分娩中のランプを見上げている 産声が聞こえる グレイゼスがハッとして立ち上がって言う
「産まれたっ!?」
ランプが消灯する グレイゼスが思わず一歩踏み出すと 担架が運ばれて来て グレイゼスが言う
「マリっ!?」
マリがグレイゼスを見て微笑して言う
「グレイ君… 待っててくれた…」
グレイゼスが一瞬呆気に取られた後 微笑して言う
「当たり前だろ!?待ってたよっ …ずっと!」
マリが微笑する 看護師が赤ん坊を見せて言う
「おめでとう御座います 可愛い 女の子ですよ?」
グレイゼスが一瞬驚いた後 微笑して言う
「有難う御座いますっ …マリ 良く頑張ったな?有難うっ!」
マリが微笑して頷く
【 車内 】
ドアの開く音が聞こえる ハイケルのEランク設定ユニットが起動して言う
『グレイゼス コドモは ウマレタのか?』
アースが言う
「さぁな?当人へ聞け」
ハイケルのEランク設定ユニットが疑問して言う
『その声は…』
ハイケルのEランク設定ユニットが持ち上げられ アースが手に持っていて眺める ハイケルが言う
『ハブロス司令官!?』
アースが言う
「ほう?”見えている”のか?それと…」
アースがハイケルのEランク設定ユニットの天地を戻して言う
「正しくは こちらか?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
『約1時間30分ぶりに 天地感覚が回復された 礼を言う ハブロス司令官』
アースが言う
「ならば わざわざ ARTの司令官にしてハブロス家の当主である この私が直々に迎えに来てやった そちらへ対する礼も言ってみろ?ハイケル少佐」
ハイケルが言う
『では そちらへ対する礼を言う』
アースが不満そうに言う
「詰まらない奴だな?もっと何かを言ってみろよ?…それとも?」
アースがハイケルのEランク設定ユニットを軽く上下へ放りながら言う
「この軽い脳では それ程の事は 考えられないのか?ハイケル少佐?」
ハイケルが苦しそうに言う
『ヤメロ 視界が著しく上下する 脳ミソが揺れるような感覚だ だが』
アースがハイケルのEランク設定ユニットを見る ハイケルが言う
『この中には 脳ミソは ハイッテいない』
アースが言う
「何だ そうなのか… だから ”ノウナシ”か?」
ハイケルが衝撃を受けて言う
『オトは合っているが そのイイカタが 私はとても気に入らないのだが?』
アースが言う
「”オトは合っている”のだろう?ならば 気にするな」
アースがハイケルのEランク設定ユニットを軽く上下へ放りながら立ち去る ハイケルが怒って言う
『ヤメロ ハイッテイいないが 脳ミソが 揺らされる感覚だ』
アースが言う
「入っていないのなら そちらはやはり 気のせいだろう?ハイケル少佐?」
ハイケルが言う
『気のせいでも 気分が悪い だからヤメロ ハブロス司令官っ』
アースがハイケルのEランク設定ユニットを指先で回す ハイケルのEランク設定ユニットが怒っている アースが楽しみながら去って行く
【 病院 第8病棟神経科 】
隊員Cが不安そうに台に横たわっていてCTスキャンが行われている カルンゼスがモニターを見てから隊員Cの様子を見る
室外 通路
ラキンゼスがナノマシーンを見ていて言う
「今度は 弟を頼むよ あいつはちょっと臆病で心配性だけど 能力は十分にあるんだ だから… もう一度 俺たちと一緒に戦ってくれ ラキンゼス」
ラキンゼスがナノマシーンのガラスに触れる ナノマシーンがほのかに緑色に光る ラキンゼスが微笑して検査室を見る
【 ART第一訓練所 】
隊員Iが言う
「もう本当に大丈夫なのかっ!?フレッド隊員!?」
隊員Fが言う
「ああ!完全に痛みも無くなったから もう大丈夫だ 心配掛けて ごめんな?イリアス隊員?」
隊員Iが苦笑して涙を押さえて言う
「心配って言うか… もう… 申し訳なくってさ…っ」
隊員Aが苦笑して言う
「ほらほら?折角 フレッド隊員が復帰したのに もう 泣く事はないだろう?イリアス隊員?」
隊員Iが言う
「それはそうだけど…っ」
隊員Fが苦笑する 隊員Nが言う
「で?どうだ?フッちゃん隊員?フッちゃん隊員が居ない間に 改良された 俺らART1の最新マシーナリーは!?」
隊員Fが強く言う
「最っ高-だよっ!今までより 遥かに 神経融合システムが強化されているしっ 音声認識システムも滅茶苦茶感度が上がってるっ 何より基本的なエネルギーユニットが 警機のエネルギー変換システムに変更されていて 出力も32%以上上がってるっ 映像モニターの表示速度も15%は上がってるし 照準システムにはトリガーへの感覚システムが追加されているから ジャストショットへの微動修正が 神経接合ユニットの感度向上も加わって リアルタイムに伝わって来る上に その融合クロックの上昇メカニズムに 警空の最新戦闘機に搭載された ハイパーレントユニットの圧縮素数の ミリオンシステムが…っ!!」
隊員Nが慌てて言う
「ちょっと待った!もう良いっ!もう何言ってんのかが分かんねぇ!取り合えず 良くなったって事が分かったから 十分だ!」
隊員Fが言う
「十分って!?まだ改良箇所の 3分の1も言ってないぞ!?」
隊員Nが言う
「その上に まだ3分の2以上もあんのかよっ!?」
隊員たちが笑う 隊員Fが苦笑して言う
「…とは言っても 折角 戻って来たのに 少佐が居ないって言うのは 残念だったよ 俺は… もちろん 新しいシステムは好きだけどさ?結局… 変わらない皆の事が好きなんだ この仲間たちと一緒に また戦えるって事が 何よりも 嬉しい」
隊員たちが微笑する 隊員Nが言う
「つっても 相変わらず 張り切り組みは俺らだけだけどな?」
隊員Iが苦笑して言う
「俺は新入りだよ?」
隊員Nが言う
「確かに フッちゃん隊員の 置き土産だもんな?イッちゃん隊員は?」
隊員Iが泣きそうになって言う
「置き土産って…っ 止めてくれ~…っ!」
隊員Nが慌てて言う
「だぁああっ 冗談っ 冗談だって!」
隊員たちが笑った後 隊員Fが言う
「…て?それはそうと その張り切り組みの隊長 バイスン隊員は?それに ARTになってからは サキシュ隊員も 張り切り組みの一番乗りだっただろう?それこそ バイスン隊員を 越えるか?って位の?」
隊員Aが言う
「バイちゃんは 中佐が出隊してないかの確認の為に 出入り口にある あのメンバーボードを見に行ってるよ ”少佐”を持って来るんじゃないかってさ?」
隊員Fが疑問して言う
「え?バイスン隊員が中佐を?それに 少佐を… ”持って来る”って…?」
隊員Iが言う
「今日は珍しく 中佐は まだ来てないからな?」
隊員Aが言う
「そうなんだよな?それで…」
【 ART出入り口 】
隊員Bがボードを見上げて言う
「あれー?まだ来てないんだー?もう後衛部隊の始業時間はとっくに 過ぎてるのにー?」
隊員Bがボードの技術部門メンバーを見て言う
「技術部門や後衛部隊の人は 機動部隊より1時間前の7時が始業時間だって 少佐に聞いたしー?その人たちは 皆出隊してるのにー?何でー?」
隊員Bが悩む 隊員Bの後方で扉が開きアースが入って来て IDをスキャンする ボードにあるアースの名前が点灯する 隊員Bが一瞬驚いて振り向いて言う
「あー!ハブロス司令官ー!?」
アースが言う
「お早う バイスン隊員」
隊員Bが一瞬驚いてから言う
「えー?ハブロス司令官がー?何で 俺の名前覚えてるんでありますかーっ!?」
アースが言う
「当然だろう?何を驚いている?」
隊員Bが言う
「えー!?だってー!?」
アースが言う
「それよりも 通常は 部下であるお前の方が 上官である私へ 先に挨拶を行なうものだが?」
隊員Bが言う
「あー!俺 チョーびっくりして 思わず忘れちゃったでありますー!ごめんなさいの お早う御座いますでありますー!ハブロス司令官ー!」
アースが苦笑した後言う
「ふっ… やはり あちらの国へ送ったのは ART2で正解だったな?…まぁ良い お前たちには 各々が持つ その個性的な 実力を期待している」
隊員Bが一瞬呆気に取られた後 喜んで言う
「はー!了解でありますー!司令官ー!俺たちART1の皆はー 皆全員に 技があるんでー!その皆にも ハブロス司令官が 期待してるって言ってたってー 伝えておくでありますー!司令官ー!」
アースが言う
「そうだな?そうして置いてくれ 多少の励みにはなるだろう」
隊員Bが言う
「はー了解ー!あ!それから 通常は部下である俺たちの方から 上官のハブロス司令官へ 先に挨拶をするものだって事も 伝えておくでありますー!司令官ー!」
アースが苦笑して言う
「そちらは… そうだな?お前で2人目となれば ART1にはそこまでを教える必要もあるのか?ならば こちらは その伝達をこなすであろう お前への褒美だ」
アースが隊員Bへ放る 隊員Bが疑問してキャッチすると それを見て驚いて言う
「えー!?少佐ぁー!?」
ハイケルのEランク設定ユニットが目を回して言う
『セ… セカイが… マワル… ヤ… メロ…』
アースが言う
「この後16時まで お前たちへ預けてやる 好きに使え」
隊員Bが喜んで言う
「はー!了解でありますー!司令官ー!」
アースが苦笑して立ち去る 隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを見て言う
「少佐ぁー?お早う御座いますの どうかしたのでありますかー?少佐ぁー?」
隊員Bが疑問してからハイケルのEランク設定ユニットを上下に振る ハイケルのEランク設定ユニットが衝撃を受けて言う
『ヤメロ… 脳が… ハイッテイナイ脳ミソが 揺れ…』
【 ART第一格納庫 】
隊員Nが言う
「サっちゃん隊員は アレじゃね?昨日のマシーナリー無駄消費で 反省中とか?」
隊員Aが苦笑して言う
「それはもう 突っ込まないでやりなよ ナクス隊員?実際 サキは あの大型銃PM700の全体のセッティングを 最後までやっていたから 結果として その架台や狙撃主になったマシーナリー5台から外れたって言うのが 本当の所なんだからさ?」
隊員Fが言う
「その作戦の話はイリアス隊員から聞いたよ それで俺 不思議に思ったんだけどさ?何で そのサキシュ隊員のマシーナリーが PM700の射撃時まで 残ったんだ?アラン隊員の話なら セッティングを終えた後に 架台や狙撃主から外れたサキシュ隊員は マシーナリーごと退避して置けば 良かっただろう?」
隊員Aが言う
「そう言う器用な事が出来ない所が サキなんだよ?フレッド隊員?」
隊員Fが疑問して言う
「え?」
隊員Nが言う
「ま、あの状況だと ”じゃぁ 後はよろしく~!”なんて 手を振っては帰れないよな?」
隊員Aが言う
「そう言う事!」
隊員Iが苦笑する 隊員Fが呆気に取られて言う
「そう… なのか?そりゃまぁ… 仲間を見捨てるみたいで 悪い気もするけどさ?けど 実際… このマシーナリーって 元のマシーナリーをかなり改善しているから その改善費用は 1機で軽く100億はするんだぜ?」
隊員たちが驚いて叫ぶ
「「「ひゃぁああーっ!?」」」
隊員Iが呆気に取られて言う
「…く?100億!?」
隊員Fが言う
「ああ、それ位は軽く行くよ どれもこれも 全てがハンドメイドの フルオーダーで その開発メンバーも その技術において 最高峰と言える人たちを雇っているし 使用する機材も素材もアールスローンNo1を 揃えているって話だ それに 既存のエネルギー変換システムを 政府研究局から買い取って使っているんだから 1機の値段はそれ以上にもなる筈だ」
隊員Nが言う
「そ、それを あの作戦で6機も 灰にしたのか…」
隊員Iが苦笑して言う
「もう 通常の頭じゃ追い付かないな…」
隊員Fが張り切って言う
「だからこそっ!改めて 俺は!…警空じゃなくて 国防軍に履歴書送って正解だったなぁあ~っ!」
隊員Fが感激している 隊員たちが転ぶ 隊員Aが苦笑して言う
「やっぱり フレッド隊員は フレッド隊員だ」
隊員たちが笑う 隊員Fが照れ苦笑する 隊員Bが走って来て言う
「みんな みんなー!」
隊員たちが振り返る 隊員Bが走って来て言う
「あー!フッちゃん 復活 おめでとー!の お帰りー!フッちゃん!」
隊員Fが微笑して言う
「ああ、有難う それに ただいま バイスン隊員」
隊員Bが笑んで言う
「にひっ 皆 駄目だなー!?上官には 部下である俺たちから 先に 挨拶しないと駄目なんだよー!?ほらー!」
隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを向ける 隊員Fが疑問する 隊員Aが衝撃を受け言う
「バ、バイちゃんっ!?それ!?」
隊員Iが言う
「うん?それって確か…?」
隊員Nが言う
「昨日の作戦の時 少佐が中佐から受け取っていた… 確か…?何だっけ?」
隊員Aが苦笑して言う
「大丈夫ですか?少佐?」
隊員Fが驚いて言う
「少佐ぁ!?」
ハイケルのEランク設定ユニットが目を回して言う
『お… おは… お早う…』
ハイケルのEランク設定ユニットの光が消灯する 隊員B以外の皆が衝撃を受け 隊員Bが疑問して言う
「あれー?少佐ぁー?」
隊員BがハイケルのEランク設定ユニットを覗き込む
【 病院 】
グレイゼスが言う
「だから 厳密に言うとさ?その5分間位の間は… 俺は外には居なかったんだよ ごめんな マリ…」
マリが微笑して言う
「ううん それならしょうがなかった ハイケル君に もしもの事があったら 私だって嫌だもの …それに」
グレイゼスが苦笑して言う
「うん まさかとは思ったけど それで結果として ハイケルの事は ハブロス司令官に お任せする事にしたんだ 他の人では兎も角 ハブロス司令官なら ご自分の家族でもあるハイケルを任せても 安心だからさ?」
マリが微笑して言う
「そうね?ご家族にお任せするなら 安心よね?」
グレイゼスが言う
「うんっ …あ、それでも 一応 確認はして置くかな?それに… あの時は 俺 慌ててた上に 驚いちゃって お礼やお詫び所じゃなかったから」
グレイゼスが窓際に立って携帯を取り出す マリが言う
「そうね?高位富裕層のハブロス様にぶつかって 怒られなかっただなんて 驚いちゃうよね?」
グレイゼス携帯を耳に当てつつ一瞬呆気に取られて言う
「え?あぁ…?」
グレイゼスが疑問していると携帯が着信して 秘書の声がする
『こちらはART本部 司令官室で御座います』
グレイゼスが言う
「こちらART司令塔管理主任 マスターグレイゼス中佐だが ハブロス司令官は在室かな?」
マリがグレイゼスを見て微笑してから 視線を変えベビーベッドに眠っている赤ん坊を見て 微笑して小声で言う
「貴方のお父様はね?とっても凄い方なのよ?あの高位富裕層ハブロス家のご当主様と お話が出来るのだから?」
赤ん坊が目を覚ましマリへ向いてから手足を動かす マリが微笑する グレイゼスがマリの様子へ視線を向けてると 携帯からアースの声がする
『ハブロス司令官だ』
グレイゼスが言う
「こちら マスターグレイゼス中佐 お疲れ様です ハブロス司令官 先ほどは 有難う御座いました 自分の不手際の対処を お任せしてしまいまして」
マリが赤ん坊に向いて言う
「ね?」
赤ん坊が手足を動かしている マリが微笑する
【 ART司令官室 】
アースが資料を見ながら言う
「ああ、ハイケル少佐ならば 回収を行い 今は ART1の連中へと預けてある」
受話器からグレイゼスの声がする
『ART1の連中に?では 後ほど 自分が彼らから受け取り ハイケル少佐の処置を頼んであります 脳外科医のマスターの下へ向かい 予定通り 蘇りの処置を』
アースが別の資料を取って言う
「アールスローン1の脳外科医 マスターローゼス リング地区 東部医療施設 脳外科 本日の16時30分の予約だろう?」
グレイゼスが一瞬驚いた様子で言う
『え?あ… はい そうです』
アースが言う
「手術時間は40分を予定… 終業時間は越えるな?」
グレイゼスが言う
『はい… そうですね しかし、そちらは 彼の… マスターローゼスの好意によって 今回は無理に時間を割いてもらったので 致し方ない事かと』
アースが言う
「そうらしいな?それで それからお前が作業をするとして そちらは どれ程掛かるんだ?」
グレイゼスが言う
『今回で3回目になりますので 前回より少し早まると見て 凡そ1時間10分から20分位ではないかと?』
アースが言う
「分かった では」
【 病院 】
赤ん坊がひと泣きする マリがハッとして人差し指を口の前に当ててしーっとする 赤ん坊が大人しくなる マリが軽く笑ってグレイゼスを見る グレイゼスの携帯からアースの声が聞こえる
『…お前は 17時頃にでも リング地区の医療施設へ 直接向かえ』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え?」
アースが言う
『本日は休暇を …と 言ってやりたい所だが 生憎 そうも行かない 従って そちらの作業だけは 就業時間外であっても 間違いなく頼むぞ?』
グレイゼスが微笑して言う
「はい 分かりました 有難う御座います ハブロス司令官」
アースが言う
『浮かれて ミスなどはしてくれるなよ?』
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから 軽く笑って言う
「はい それは十分気を付けます …あ、それで 何故 ハブロス司令官が マスターローゼスを ご存知なのですか?それに 彼の居場所や 予約の時間まで?」
アースが言う
『彼はマスターとしての繋がり以前に マスターカルンゼスの 学生時代からの友人だそうだ それで 私が知る事が出来た』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そうでしたか… 彼らが知り合いだったとは 自分は知りませんでした」
アースが言う
『そうか …では、ハイケル少佐は 私が直接 マスターローゼスへと渡して置く その後は頼んだぞ』
グレイゼスが言う
「あ はい、今回は ハブロス司令官へ 多くのお手数をお掛けしてしまいまして」
アースが言う
『元はと言えば その私が彼を消滅させた様なものだ 気にするな』
グレイゼスが苦笑して言う
「はい それは確かに?」
アースが衝撃を受けて不満そうに言う
『…っ 一応作戦だったんだっ 切るぞ?』
グレイゼスが苦笑して言う
「はい すみません では…」
【 ART司令官室 】
アースが受話器を置いて軽く息を吐いて言う
「…まったく 何処まで私に気を許しているのか 分かったものではないな?」
アースが書類をどけて 別の書類を取って見ようとすると 一瞬顔を顰めて言う
「っつ… マスターの癖に」
アースが左肩を押さえてから言う
「その勢いのままに ぶつかって来られては 常人の私の方が持たないと言うものを… 奴は気付いてもいない様子だ やはり…」
アースが資料を見て言う
「根本的な所は 変わらないのか?」
資料には隊員Cとラキンゼスの写真が載っている
【 病院 】
グレイゼスが通話を切ってマリへ向くと言う
「今日は休んで良いってさ?臨時休暇を貰っちゃったよ?ラッキー」
グレイゼスがベビーベッドへ向かう マリが微笑して言う
「そうなんだ?優しいのね?ARTの司令官様は?」
グレイゼスが言う
「そうだね 優しい事は間違いないよ …最も 普通に接していては 分からないだろうけどね?」
マリが言う
「そんな事無い 少なくとも グレイ君のさっきのお電話を聞けば 誰でも分かっちゃうよ?」
グレイゼスが疑問して言う
「え?そうだった?えっと… そんなに音漏れする?この携帯?」
マリが言う
「そうじゃなくて 会話の内容は分からなかったけど グレイ君のお話の仕方 まるで ちょっと年上のお友達と お話をしているみたいだったから」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「あれ?そうかな?年齢はそんなに変わらなくても ハブロス司令官は上官だから それなりに言葉は選んでいるつもりだけど?」
マリが苦笑して言う
「それはそうなのかもしれないけど ハブロス司令官… ハブロス様は このアールスローンの高位富裕層のお方なのだし その高位富裕層の中でも 今は間違いなく 1番上の方でしょう?だとしたら… 本当なら 2階層以下の 中位富裕層の人だって ハブロス様には 尊敬語や謙譲語でお話をするべきなのだけど」
グレイゼスが衝撃を受けてから困って言う
「え!?えっと… 尊敬語や謙譲語?」
マリが苦笑して言う
「それなのにグレイ君は ずっと丁寧語でお話をしていたし それを許してもらえているって その時点でね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ… そっか?そう言う… 事?」
マリが苦笑する グレイゼスが苦笑しながら言う
「そうだなぁ?気が付かなかったけど …うん 確かに ハブロス司令官はそれこそ 超高位富裕層で 俺は最下層のマスターだもんな?えーと ちなみにその… 尊敬語や謙譲語って どんな言葉だったけ?」
マリが言う
「そうね?まず 最初のご挨拶は ”お疲れ様で御座います”だし?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「う…っ さ、最初からかぁ…」
マリが苦笑して言う
「それに お礼の言葉には”誠に”を付けないと…」
グレイゼスが苦笑する マリが苦笑して言う
「相手の言葉を認めるのなら ”御認識の通りです”とか かな?」
グレイゼスが言う
「舌が回らなそうだよ それに そんな言葉じゃ 俺にはとても ハブロス司令官との 普段の会話は出来そうにないし …そうだな そう言った違いで 分かるんだろうな… ”相手の対話レベル”って言うのが」
マリが言う
「でも あんな風に会話が出来るという事は グレイ君も凄いって事なんだと思う それだけグレイ君が ハブロス様に 認められていると言う事でしょう?」
グレイゼスが言う
「認められてか… うん… まぁ それはそうなんだろうけど」
グレイゼスが思う
(けど それは今のARTに 俺やグレイゼスの力が必要だから それで 許されていると言う事なのか…?)
マリが言う
「それに グレイ君の事 同じ人間として 大切に思ってくれている… 通路でぶつかっても 怒る所か心配してくれて グレイ君が置き忘れてしまったと言った ハイケル君を グレイ君に心配を掛けない為にって ご自身が代わりに取りに向かって下さるだなんて… 普通の高位富裕層のお方だとしたら とても考えられない事 その上 理由を知って臨時で休暇まで下さるなんて …ね?とっても お優しい方だと思うわ?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「俺に心配を掛けない為に…?ハブロス司令官が?」
グレイゼスが思う
(そうか… あの時自分でも分からなかった あの驚きの原因はそこだ ハブロス司令官が ”自分が行く”と… それこそ あの時 先に向かわせたSPに 持って来させると言う事だって出来た筈だ だけど それだと…)
グレイゼスが苦笑して言う
「俺が心配をするだろうからって… だから 自分が行くと言ってくれたんだな?そうか… そう言う事 …俺は 気が付かなかったよ だけど それで 安心して任せられたんだな?あの時も その後だって…」
マリが微笑する グレイゼスが微笑して言う
「俺は本当に恵まれてるよ 最高の恩師に 最高の上官 最高の職場 最高の奥さんに 最高の… 可愛い娘まで得られた」
グレイゼスが赤ん坊を見て微笑してから ハッと思い出して言う
「あ、もちろん 最高の友人も居るからな?ハイケルって名前の 今は”脳無しの機械”になっちまってるけどさ?っはは!」
赤ん坊が元気に動く グレイゼスが抱き上げ 腕に抱く マリが微笑する
続く
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
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