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17章

アールスローン戦記Ⅱ IN YOUR SOUL

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【 ハブロス家 】

レミックがカーテンを開いて言う
「お早う御座います アース様 久方振りの御休日に御座います 本日は とても良い日和に御座います」
アースが目を覚まし起き上がると 日の光が差し込む窓へ顔を向ける 左目は右目と同じ色をしている

前部屋

レミックが扉を開く アースがやって来て 窓の外を見て微笑して言う
「ああ… 世界とは こんなにも美しいものだったのだな?」
レミックが気付き微笑して言う
「これまでの10年間は アース様は寝室をお出になられます前に 左のお目を隠されて居られましたので アールスローン1とも言われます こちらのハブロス家の見事なお庭の風景も ともすれば その真価を半減されて居られましたでしょうか?」
アースが言う
「そうかもしれないな?いつも見ているはずの風景も 取り入れられる光や色が多くなれば その真価に気付くと言うのは 当然の事なのかもしれないが… …うん?」
アースが庭に居る庭師に気付き視線を向けて言う
「この時間から?庭師の就業時間は 確か8時か9時からであった筈だか?」
レミックが言う
「はい、夏場は8時から 冬場は9時からとなりますので 只今の時期は8時より そちらのお時間を頂いておりますかと… しかし 今年で50年の勤続となります ハブロス家の庭師エブレスは 毎朝アース様がこちらの窓からお庭を眺められます事を 承知しておりますので 我らが主のお目通りに叶います様にと 日々早朝から 手入れを行っております様子です」
アースが呆気に取られてから言う
「そうだったのか 知らなかったな」
アースが庭を見て言う
「なるほど アールスローン1とも言われる訳だ …これが主への誠意か」
アースが庭師へ視線を向ける 庭師が作業を終えて周囲を見てから屋敷へ向くとハッと気付き アースへ礼をする アースが微笑して言う
「レミック アールスローン1の庭師エブレスへ 勤続50年の特別手当を支給して置け」
レミックが微笑して言う
「畏まりました アース様」
アースが頷いてから 部屋へ向き歩きながら言う
「今更だが 歴史の長い屋敷だ 修繕を施しているとは言え 日々の手入れがあってこその この美しさなのだろう 世界規模の事を行ってはいるが もっと身近なものにも 目を向けるべきなのかもしれないな?」
レミックが言う
「そちらはとても素晴らしい ご配慮と思われますが それら全てをお一人でこなされる事は 難儀な事に御座いますので 及ばずながらも そちらの身近なものに対しましては 我々使用人一同も お力添えが叶いますようにと 励ませて頂きます」
アースが言う
「それもそうか 私には そのお前や他にも優秀なサポートが付いている …分かった そちらは お前たちへ任せよう」
レミックが言う
「アース様のご配慮の下 気持ちを新たに 励ませて頂きます」
アースが微笑した後 デスクに置かれている新聞へ目を向けて言う
「とは言え それらの事にも 今まで気付かなかったとは それこそ 両目で見なければ気付かないようでは 私はこのハブロス家の主として まだまだであると言う事か?もちろん 今は亡き祖父上には遠く及ばないだろうが 少なくとも世界規模の事は… 私は アールスローンの神と悪魔をも 仲間にした」
レミックが言う
「そちらは正しく アールスローン1の… いえ、世界一の偉業に御座いますかと」
アースが微笑して言う
「そうだろう?現行これを越える1番は無い しかし 残念ながら そちらの1番は アールスローンの人々の目に見える この新聞にも載せる事は叶わない事なのだが」
レミックが苦笑する アースが新聞をめくりながら言う
「あぁ やはり 文字も読みやすいな?ここまで違うとは… ラミリツ攻長の言う通り 無理を押してでも 治療に励むべきだっただろうか?」
レミックが苦笑して言う
「お言葉では御座いますが 人々の神の証に御座います あちらの瞳を 人々の手で隠されると言う事は 如何なるの名医でありましても 難しい事に御座いましたかと?」
アースが新聞を見ながら言う
「人々の神の証か… その様なものなど …その人々に隠さなければならない証なら 翼と同じで最初から 誰の目にも 見えなければ良いものを」
レミックが微笑している先で光の翼が不満気に揺れている アースが気を取り直し新聞をめくって言う
「とは言え 私のそちらの願いが ともすれば本物の神にでも届いたのか?仲間のヴァンパイアの言葉を要約すれば つまり感情を昂ぶらせる様な事が無ければ こちらの通常の瞳を保つ事が出来るのだとか」
レミックが言う
「左様に御座いましたか 私はてっきり アース様の そちらのお力を御消耗されたが故にかと」
アースが言う
「力を消耗して…?まぁ そうだな?確かに昨日は少々無理を押したが… とは言え これからしばらくは その様な必要も無くなる 最終決戦は 万全を持して迎えなければならない その為にも 今までに得た力を見直すと共に  そちらへ向けての準備を行う そうとなれば …少なくとも 最終決戦のその時までは 文字通り目の色が変わるほど 感情が昂ぶるような事は無いだろう?」
レミックが言う
「では 本日からは やはり眼帯はなされずに こちらのお部屋の外へも 向かわれますか?」
アースが新聞から顔を上げて言う
「ああ もちろんだ 折角 この世界を守ってやろうというのだぞ?その私が この世界の美しさを無残に遮る必要は無いだろう?エリックアーベストには警告をされたが 私は何を隠そう アールスローン1の高位富裕層 このハブロス家の当主 そして 不本意ではあるが 人の神とまで言われる者だ その私が 今更このアールスローン国内で 何らかの事態に 感情を高ぶらせるなどと言う心配が 何処に…」
アースが新聞へ視線を落とすと衝撃を受けて言う
「なぁああっ!?」
レミックが微笑している

【 ART研究室 】

部屋の自動扉が開き ベイゼスが入って来ると 気付いて言う
「あれ?お早う御座います マスターグレイゼス中佐?今日は24時間休暇じゃなかったんですか?」
グレイゼスがコンソールへ向かって行っていた作業を中断して言う
「ああ、お早う マスターベイゼス …うん、そうだったんだけど やっぱ 気になっちゃってな?何せ あの帝国の大元のコンピュータと このARTのシステムをリンクさせるだなんて 聞いたもんだからさ?」
ベイゼスがコンソールへ向かいながら言う
「それこそ 中佐の居ない場所で 言われた事ですけど 知ってたんですね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「っはは… 何を今更?マスターたちの間に その場に居る居ないは 関係ないだろう?」
ベイゼスが苦笑して言う
「そりゃ まぁ そうかもしれませんけど 中佐だっていくらなんでも 自宅へ帰ってまで通信機器に触れてばかりって事は無いでしょ?ナノマシーンの声は そういった通信機器を意識していないと聞こえ無いんですし?」
グレイゼスが言う
「ああ、それもあって 昨日は帰ってからは 子供や嫁さんとの時間を過ごしていたつもりだったんだけど ちょっと ニュースで気になる事を聞いちゃったもんだから?それで つい うっかり意識を向けちゃってな?」
ベイゼスが一瞬驚き神妙になって言う
「ニュースでって… 中佐が気にする事と言うと …何かっ!?」
グレイゼスが慌てて言う
「ああっ いや!大丈夫!そう言う事じゃなくて」
ベイゼスが疑問して言う
「ん?そう言う事じゃ… 無いんスか?」
グレイゼスが苦笑して言う
「うん、そう言う… 事件とか事故とか 政府や国防軍と言った… もちろんARTも含めた そう言った組織的な事とかでも無くてな?その~ 言っちまうと…」
部屋の自動扉が開き アースが入って来ると周囲を見渡す グレイゼスとベイゼスが気付いて言う
「ハブロス司令官!?…あ、お早う御座います!」 「お、お早う御座います?」
アースが2人に気付いて言う
「…ああ、お早う」
アースが眼帯のされた左目を抑えて呟く
「…やはり 片目だと視野が狭いな…」
グレイゼスとベイゼスが疑問して言う
「「え?」」
アースが気付いて言う
「いや、独り言まで気にするな マスター」
グレイゼスとベイゼスが軽く笑って言う
「ああ、すみません」 「つい 聞こえちゃったもんで?」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官も 本日はお休みの予定では?それに… ん?やっぱり メンバーボードに IDを通してませんよね?」
アースが言う
「今日は私用で来ただけで 司令官としては休みだ」
グレイゼスが言う
「そうでしたか では 何か自分に…?」
アースが言う
「いや マスターグレイゼス中佐へではなく マスターベイゼス研究員」
アースがベイゼスへ向く ベイゼスが言う
「あ、はい?俺ですか?」
アースが言う
「すまないが 昨日の…」
グレイゼスが思う
(俺じゃなくてマスターベイゼスへ用か…?まぁ 私用って言ってたしな?そうと言う事は つまり マシーナリーやARTの業務に 関する事じゃないって事か?だとすれば やっぱり 俺に関係は…)
グレイゼスがコンソールへ向き直る アースがベイゼスへ言っている
「作戦の中で使われた ライブ音源は収録してあるか?」
グレイゼスが反応して思う
(昨日の作戦の中で 使われたライブ音源…って 言うとあの…?)
グレイゼスが横目にベイゼスとアースを見る ベイゼスがアースへ言う
「はい!もちろん!ぶっちゃけ 家宝にしますっ!」
グレイゼスが思わず笑い出しそうになって思う
(家宝って… つまり マスターベイゼスも 実は ナックキラーの…)
グレイゼスがアースを見て思う
(アニキ様のファンだったって事ね?)
アースが言う
「家宝に?…そうか あのライブ映像は後日 市販化されるそうだが?」
グレイゼスが疑問して思う
(あら?そっちの?って言うと…)
ベイゼスが言う
「あ、いえ?ライブの… あの会場で実際に流れた レッテの方では無くて …もちろんっ 我々ARTだけが聞いていた アニキのギター音源が入っていた方ですよ!」
グレイゼスが苦笑して思う
(やっぱりな …ん?と言うと?ハブロス司令官が 言ったのは…)
アースが気付いて言う
「ああ、そちらか… そちらは… まぁ そうだな それこそ 一般には流れない様にと 手を打ってくれるのなら お前の好きにしてくれて構わないが」
ベイゼスが喜んで言う
「やったね!これぞ 役得!」
グレイゼスが苦笑して思う
(確かに そいつは 役得だな?)
アースが苦笑して言う
「対策はマスターレベルで頼むぞ?…それで そちらはそうと 私が聞きたいのは 市販化される予定でもある… つまり レッテが弾いた方を 聞かせてもらいたいのだが」
グレイゼスが疑問して思う
(やっぱりか …と言うと?)
グレイゼスがベイゼスを見る ベイゼスが言う
「え?あ、はい それは」
アースが言う
「そちらは 残されてはいないか?」
ベイゼスが言う
「あ、いえ 有りますよ そもそもメディアの放送は全て収録して有りますから そこから持って来れば ここで普通に聞けますが?」
アースが近くの椅子に座って言う
「では 頼む 1曲目からだ」
ベイゼスがコンソールを操作しながら言う
「はい ちょっと待って下さいね え~と… 昨日のメディアチャンネル5の午前10時… …けど 俺も昨日帰宅してから 自宅で録画していたのを見ましたけど」
アースがベイゼスを見て言う
「そちらの感想は?」
グレイゼスがベイゼスへ注目する ベイゼスが作業をしながら言う
「う~ん… 言っちゃって良いっすか?」
アースが言う
「本心から言え」
グレイゼスが衝撃を受け苦笑する ベイゼスが苦笑して言う
「今更… それこそ マスターレベルで本心が読める ハブロス司令官に隠しはしませんけど 俺は最下層の人間ですから?上品な言葉が分からないもので」
アースが言う
「では ”ぶっちゃけ” どうだったかと 聞いているだけだ 答えろ」
グレイゼスが衝撃を受け苦笑する ベイゼスが言う
「なら 言っちゃいますけど ぶっちゃけ やばかったですよ?」
アースが言う
「”やばかった” とは?何がだ?」
ベイゼスが言う
「ハッキリ言って ありゃぁ… ライブのノリだけでしたね?」
アースが驚く グレイゼスが見詰める ベイゼスが作業をしながら言う
「おまけに 俺はその前に アニキのギターが入った方を聞いてましたから?特にそう感じたのかもしれないですけど… あ、じゃぁ 流しますね?ドア閉まってるし… 良いかな?スピーカー出力で?」
グレイゼスが向き直って言う
「作戦に使ったモノだって事は周知だから 大丈夫だろう 俺も聞いてみたいし なんせ昨日はニュースになってた位だからな?」
アースが一度グレイゼスを見てからベイゼスへ向く ベイゼスが言う
「はい それじゃ 1曲目から…」
ベイゼスがライブ映像を早送りしてから再生する 映像の中で演奏が開始される ナルが叫ぶ
『1曲目から ハデにキメるぜー!』
会場が盛り上がる 曲が始まると アースが意識を集中させる グレイゼスが音を聞くと気付いて思う
(ん?あ… あれ?ギターの音が小さいな?…いや?小さいと言うより …弱い?)
グレイゼスがアースを見る アースが音楽に集中している状態から言う
「2分15秒辺りまで飛ばしてくれ」
ベイゼスがコンソールを操作しながら言う
「了解~」
曲がサビになり ギターソロが弾かれない グレイゼスが思わず言う
「…あれ?」
ベイゼスがグレイゼスへ向いて言う
「あ、やっぱ 元の曲を知らない人でも分かりますか?」
グレイゼスが言う
「ああ… いや、俺も 昨日の作戦中に聞いてたから まったく知らないって訳じゃないけど 今の所って確か?」
ベイゼスが言う
「ギターソロの所です けど 何でか知らないですけど レッテは弾いてないんですよ?」
グレイゼスが言う
「うん… そうみたいだな?映像では弾いているみたいに見えるけど?弾いているフリなのか?」
アースが言う
「いや、ベースコードを弾いているんだ」
グレイゼスが言う
「ベースコード?…あぁ つまり 別の楽器の?」
ベイゼスが言う
「こっちの ギターに似てる楽器がベースです …まぁ そのお陰で 低音が強調されてて迫力は付きますけど …とは言っても やっぱ ギターソロのカットは やばいでしょ?何てったって デスメタですよ?」
アースが言う
「ああ それに… いや、では2曲目へ飛ばしてくれ」
ベイゼスが言う
「はい」
ベイゼスがコンソールを操作しながら言う
「2曲目の ハードデストロームなんて まじやばいっすよ?」
アースが言う
「1曲目より やばいのか?まずいな… まじでキレそうだ」
グレイゼスが衝撃を受け苦笑する

【 ART通路 】

隊員Nが言う
「なんか もう ショックでよぉ… 本当に気のせいだったのかなぁ?けど確かに…?」
隊員Vが言う
「いやあ!あれは 絶対 気のせいなんかじゃねえって!?大体 気のせいだけで あんなにノれるかよ!?こっちはライブ会場所か それこそ命懸けの戦場だったんだぜ!?」
隊員Nが首を傾げて言う
「そうなんだよなぁ?あのノリは それこそライブ会場のノリを越えててよお?あの時は もう ほんっと 怖いもの無しだったぜ?」
隊員Vが言う
「おうよーっ!あの時のノリは 今でも忘れられねえ!」
隊員Nが言う
「おうよーっ!…ってだからこそよぉ?家に帰って見直した 録画でがっかりよ?」
隊員Vが言う
「うーん けど きっと …あれだ!TV映像に政府か何か そう言った連中のテコが入ったんだ!そうに違いねえ!」
隊員Nが言う
「政府か何か?うーん それじゃ… ひょっとして あれか?ああ言う音楽を嫌う 富裕層の連中とか!?」
隊員Vが言う
「そうそう!そう言う連中だっ!そう言う連中が アールスローン1のデスメタバンド ナックキラーを潰そうと TV中継の電波を攻撃しやがったんだっ そうに違いねえ!」
隊員Nが言う
「そうか!分かったぜ!ヴェイちゃん隊員!」
隊員Vが言う
「おうよー!それじゃ 行くぜぃ!?ナッちゃん隊員っ!?俺らで ナックキラーの汚名を返上する為に まずは本物の音源をっ!」
隊員Nが言う
「おうよー!きっと 俺らARTの同じ最下層の仲間!マスターグレイゼス中佐なら!俺らに力を貸してくれるぜぃ!」
隊員Vが言う
「よしっ!そうとなりゃぁあ 早速!」
隊員Nが言う
「おうよーっ!超高位富裕層にして ARTのトップである ハブロス司令官が休暇と言う 今こそ 作戦実行の時だっ!」
隊員Vが言う
「行くぜ!ナッちゃん隊員!」
隊員Nが言う
「行くぜい!ヴェイちゃん隊員!」
隊員Vと隊員Nが 気合を入れて ART研究室の前に立つ

【 ART研究室 】

部屋の自動扉が開き 隊員Vと隊員Nが 気合を入れて言う
「「マスターグレイゼス中佐ぁー!どうかー…っ!」」
アースの怒号が飛ぶ
「馬鹿野郎ぉおーーっ!ナルーっ!それでも てめえらはっ!?アールスローン1のデスメタバンドかぁあっ!?てめえらの ナックソウルは何処へ行きやがったあぁあっ!?一度 最高になったからってぇっ!腑抜けてやがるんじゃねぇええーっ!!」
隊員Vと隊員Nが驚いたまま呆然と立ち尽くす 2人の視線の先 アースがコンソールに片足を踏み出し携帯に叫んでいる グレイゼスが苦笑しベイゼスが驚いている 隊員Vと隊員Nが呆気に取られて言う
「だ、誰…っ!?」 「す、すげぇ 気合だし それに…」
隊員Vと隊員Nが顔を見合わせて言う
「い、今 ”ナル”って言わなかったか?」 「”ナックソウル”って言った!?」
隊員Vと隊員Nがアースを見て言う
「「ハブロス司令官がっ!?」」
携帯からナルの声が聞こえる
『す、すまねぇ アニキ… 面目ねぇとは思ってる… けど… けど よぉ?アニキ?』
アースが言う
「泣き言なんざ 昨日のてめえらの演奏だけで十分だっ!これ以上聞いてやるつもりはねえんだよっ!今のてめえらに ナックソウルがねえンなら さっさとその身も消しやがれ!最後はハデにキメるもんだろっ!?」
隊員Vと隊員Nが呆気に取られていると グレイゼスが苦笑して言う
「そこのお二人さん?悪いんだけど… 自動扉の妨げになるから もう… 中入っちゃって?…な?」
隊員Vと隊員Nがグレイゼスを見ると アースが睨みを利かせる 隊員Vと隊員Nが衝撃を受けて言う
「「りょ、了解!司令官っ!」」
隊員Vと隊員Nが慌てて室内へ入ると 自動扉が閉まる グレイゼスが2人の近くへ来て言う
「悪いな?立て込んでて それで?…2人の用件は?俺に何か?だったら 今 ここで聞くけど?」
隊員Vと隊員Nが言う
「あ、はいっ その… 俺らは…」 「き、昨日の作戦の時に使われていた ナックキラーの…」
アースが2人へ視線を向ける 2人が衝撃を受けてから 隊員Vと隊員Nが言う
「あ、あの…っ おおお、音源が?音源がその…っ」 「ひょ、ひょっとして 政府とか高位富裕層とか?そう言う連中に 妨害されていたんじゃないかって?」
グレイゼスが言う
「え?音源が妨害されて?」
ベイゼスが視線を向ける 隊員Vと隊員Nがグレイゼスへ向いて言う
「はい… ですから その… それを…」 「何より 俺たちは 元の… あの時 俺たちが聞いていた方の 音源を聞きたくて」
グレイゼスが苦笑して言う
「君たち… そうか それで… …ちなみに そちらのお方なら 今?」
グレイゼスがアースを見る ベイゼスが苦笑する アースが携帯へ言う
「てめえらの ソウルの篭った 曲を聴きてえ ナッククルーはまだ居るんだぞっ?そいつらに 悪いとは思わねえのかっ!?てめえらはそのまま 新参者のデスメタバンドに 最高の座を 明け渡すつもりなのかよっ!?」
携帯からナルの声が聞こえる
『それは… 俺たちだって そんな事はしたくねえよ!?けど レッテは腱鞘炎も辛ぇって言うし こればっかは ナックソウルでもどうにもならねぇ… それに レッテ本人がよぉ?やっぱ ナックキラーにはアニキが居なけりゃ 駄目だって言うんだよ 前日のリハで確信したってよぉ?』
アースが言う
「前日のリハで…?だったら あの時も言っただろ?ナックキラーのギターはレッテだ 俺の真似は止めると言わせた筈なのに まだ そんな事言ってやがるのなら リーダーのてめえが一発殴ってやれっ!それで 今度こそっ!」
ナルが言う
『そうは言われてもよぉ… 実際 あれから気分も新たに 新曲も出したし ライブツアーもやってみたんだ… けどよぉ… やっぱ駄目なんだよ?それで 結局 10年前までに 作り貯めていた曲が 良かっただけなんじゃないかって ナッククルーはもちろん 俺らメンバーも思い始めちまって …なぁ?アニキ 助けてくれよぉ?』
アースが衝撃を受けて言う
「うっ…」
グレイゼスが思わず噴出す
「プ…ッ」
アースが言う
「た… 助けろと言われても… …むしろ 俺は そのお前らのお陰で 見える世界が半分になってしまったと言う こちらの責任の方を 取ってもらいたい所だと言うのにっ …大体 世界一のデスメタバンドを目指すと言っていた あの頃の てめえらのソウルは何処へ行っちまったんだっ!?」
ナルが言う
『俺らのナックソウルは アニキと一緒に そっちへ行っちまったんだよっ!』
アースがハッとする ナルが言う
『このままじゃ ナックキラーは終わっちまう けど… 最後にハデにキメろって言うんなら そのソウルを貸してくれよっ!?アニキっ!?アニキは 俺らナックキラーの兄貴でもあるんだろっ!?』
アースが間を置いて言う
「そ… そうだな…」
グレイゼスがアースを見る 隊員Vと隊員Nが顔を見合わせる ベイゼスが見詰める先 アースが言う
「分かった それなら …これより 直ちに 作戦を開始する!」
皆が衝撃を受ける アースが携帯へ言う
「ナル!メンバーの野郎どもへ 緊急招集を掛けろっ!…今 直ぐにだっ!」
ナルが言う
『おうよーっ!アニキー!』
隊員Vと隊員Nが顔を見合わせてから グレイゼスへ向いて言う
「あの… 何が?」 「どうなってるんすか?中佐ぁ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「うーん 実は…」
アースが隊員Vと隊員Nの横を足早に過ぎ部屋を出て行く ベイゼスがグレイゼスへ言う
「何かすっげー事になりそうっすよっ!?マスターグレイゼス中佐っ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「う、うん… そう… みたいね?しかも 多分…」

ART司令官室 前

秘書が礼をして言う
「お早う御座います ハブロス司令官」
アースが歩きながら言う
「お早う 悪いが 誰も通さないでくれ 連絡もなしだ」
秘書が言う
「はい 畏まりました」
アースが司令官室へ入って行く

ART研究室

グレイゼスが言う
「俺の マスターの直感によるとだな?俺ら多分… 既に ハブロス司令官の 作戦メンバーに組み込まれていると思うから」
隊員Vと隊員Nが衝撃を受けて言う
「「えっ!?」」
ベイゼスが喜んで言う
「やったね!これもまた 役得っ!」
隊員Vと隊員Nが顔を見合わせて言う
「お、俺らも…?」 「えーと…?」
隊員Vが言う
「いや、その前に」
隊員Nが言う
「まさかとは思うんスけど?」
ベイゼスが言う
「アニキやナックキラーの力になれるって言うんなら!気合入れて行きますよーっ!ナックソウル全開だぜー!」
隊員Vと隊員Nが思わず言う
「「おうよー!」」
隊員Vが言う
「って事は!?」
隊員Nが言う
「やっぱり まさかっ!?」
グレイゼスが頷いてみせる 隊員Vと隊員Nが言葉を合わせる
「あの ハブロス司令官が!?」「あの ナックキラーの!?」「「アニキーっ!?」」
グレイゼスが苦笑する

ART司令官室

デスクに譜面紙が大量に置かれると アースが席に座り一気にペンを走らせる

ART研究室

隊員Vが言う
「け、けどよ!?俺ら… 楽器も何も出来ねぇし!?作戦メンバーに組み込まれたって言われても!?」
隊員Nが言う
「そ、そうだよな!?俺らがアニキやナックキラーに 手を貸せる事なんて 何も…?」
ベイゼスが言う
「そうだよな?何にしても まずは作戦の内容が 分からないと?」
研究室の扉が開き 軍曹が現れて言う
「お早う御座いますでありますー!中佐ぁー!及び ナッククルーの仲間たちー!」
隊員Vと隊員Nが驚いて言う
「「ぐ、軍曹ぉー!?」」
軍曹が隊員Vと隊員Nを見て言う
「おお!ヴェイル隊員にナクス隊員!話はアニキから聞いたのだっ!元国防軍レギスト機動部隊隊員のお前たちと!同じく 元国防軍レギスト駐屯地 情報部主任のマスター!そして 更なる仲間である マスターベイゼスと言うのはー!?」
ベイゼスが笑んで言う
「マスターベイゼスは 俺です!防長閣下!」
軍曹が言う
「おお!やはり貴君であったかっ!貴君からは ナッククルーとしてのナックソウルを 最高に感じていたのであるっ!よぉおしっ!では 早速 ナッククルーは 総員 自分に続けー!」
隊員Vと隊員Nが敬礼して言う
「「了解!軍曹ぉー!」」
ベイゼスが言う
「それなら俺もっ!了解!軍曹ぉー!」
グレイゼスが苦笑して言う
「俺も… 今更 逃げられないよな?これぞ正しく ナッククルーの緊急召集か…?」
軍曹に隊員Vと隊員Nが続くと ベイゼスが笑って続く グレイゼスが苦笑して部屋を出て行く

ART正面出入り口

エルムα2体が警備する前目 国防軍のジープがある 軍曹と皆が出入り口を出て来る 隊員Nが言う
「それで 軍曹?作戦って言うのは?」
軍曹が言う
「む?作戦?」
隊員Vが言う
「国防軍やARTなら兎も角 ナックキラーの作戦って…?」
軍曹が言う
「うむ!もちろん 国防軍でもARTでも ナックキラーであっても!作戦には まず”武器弾薬” そして ”設備が”必要である!その為に 自分もアニキに 緊急招集をされたのである!」
隊員Vと隊員Nが呆気に取られて言う
「武器弾薬!?」 「そして 設備…?」
グレイゼスが苦笑して言う
「設備は分からなくも無いが その… 武器弾薬っていうのは 流石に今回は無しだろう?アーヴィン君?」
軍曹が言う
「いえっ!何を申されますかっ!マスタぁー!戦いには 武器弾薬は必要不可欠 でありますっ!…と!それらが使用出来ません自分が言いますのも はなはだしいのではありますがぁっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「まさか 昨日のニュースでも言われていた ナックキラーのライバルと言われた 新しいデスメタバンドを それで… 襲撃しよう!なんて事は… 流石に無いよな?」
グレイゼスが思う
(それで 俺とマスターベイゼスは その情報処理の支援だったり…?)
軍曹が言う
「流石はマスタぁー!その通りでありますっ!」
グレイゼスが思わず叫ぶ
「えぇええーっ!?」
隊員Vと隊員Nが驚きに硬直している 軍曹がジープに強く手を置いて言う
「その為にも!まずは そちらの襲撃に使用する 武器弾薬の”作成を” アニキが開始している筈であります!」
ベイゼスが呆気に取られて言う
「ま、まさか… 本当に?」
軍曹が言う
「従いまして!自分らは その間に そちらの武器弾薬の製作を行う場所を!設備を設定するであります!既に ナルからはそちらで使用する機材の調達は 可能であるとの連絡が入っておりますので これより 自分らはそちらへと向かい ヴェイル隊員とナクス隊員には それら機材の搬入作業を!マスターのお二人には セッティングを行って頂きたいと思います!」
グレイゼスが気付いて言う
「うん?ナルが調達した?機材の搬入とセッティング…?」
ベイゼスが言う
「そして アニキが作成している… ひょっとして それって?」
隊員Vと隊員Nが軍曹を見る 軍曹が言う
「そうであります!本日はこれより!ナックキラーの新作アルバムを製作するであります!」
隊員Vと隊員Nが思わず叫ぶ
「「おおおーっ!?」」
グレイゼスが苦笑して言う
「なんだ… そう言う事?」
ベイゼスが言う
「おおおー!ナックキラーの アルバム製作に 協力出来るなんて…っ」
隊員Vと隊員Nとベイゼスが叫ぶ
「「「最高ぉーっ!」」」
グレイゼスが苦笑して笑う
「ははは…」
グレイゼスが思う
(良いのかな?世界を救う戦いをしている ARTや国防軍長が こんな事してて…?)
エルムαが言う
『…問題ない』
皆が乗り込んだジープが発車する エルムα2体の前で扉が閉まる

【 ART出入り口 内 】

エルムα2体の横へ 隊員Bが走って来て メンバーボードを見上げると言う
「あれー?」

【 ART第一訓練所 】

周囲でART1隊員たちがストレッチをしている 隊員Bが走って来ると言う
「少佐ぁー!メンバーボード確認係から 伝達でありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 伝達を行え バイスン隊員」
隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁーっ!ART1隊員は ナッちゃんとヴェイちゃん以外 全員出隊していますでありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 ご苦労だった バイスン隊員 …ナクス隊員とヴェイル隊員が出隊しなかったと言う事は 予想外ではあったが 24時間休暇の予定であった ART1は そちらの2名を除いて 全員出隊か」
隊員Cが苦笑して言う
「ひょっとして2人は 昨日のあの張り切りのせいで 筋肉痛が辛くて 出隊したくとも 出来なかったんじゃないか?」
隊員Aが苦笑して言う
「まさか?確かに 張り切ってはいたけど その時の2人はマシーナリーの操作だったんだから 今更 筋肉痛にはならないだろう?その昨日に 初めてマスターの力を使った サキじゃないんだからさ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「それは言わないでくれるっ?アラン隊員っ?その俺は 筋肉痛でもちゃんと出隊したんだからっ!?」
隊員Iが言う
「それはそうと そんなサッちゃん隊員が 無理を押して出隊したとは言え…」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「無理はしてないって…っ!?」
隊員Cが隊員Iへ向かおうとすると筋肉痛が足に走り 隊員Cが衝撃を受けて言う
「ぎゃぁっ!…き、筋肉痛が…」
隊員Fが苦笑して言う
「そんなに辛いんじゃ 部隊訓練に出隊しても 訓練は無理なんじゃないか?」
隊員Cが不満そうに言う
「そりゃ 普通の部隊訓練は無理かもしれないけど 俺らは… アレだからさ?」
隊員Bが言う
「アレってー?」
隊員Cが言う
「だからっ」
隊員Fが言う
「それで 少佐?隊員たちの休暇出隊は自主参加なので 何とも言えませんが その… 自分らが使用するマシーナリーは?」
隊員Iが言う
「そうだよな?マシーナリーは昨日 あの戦場で止まってしまって… 俺たちも そのままにして 帰還してしまったし?」
隊員Fが言う
「てっきり俺は 今日は あのマシーナリーを回収したりとか そう言う事をするのかと思っていたんですけど?…どうなのでしょうか?少佐?」
皆がハイケルへ向く ハイケルが言う
「そうだな フレッド隊員 私もマシーナリーは回収すると言う話を聞いているのだが それが 何時の作戦となるのかは言及されなかった それと共に マシーナリーは最終決戦へ向け 調整を行うと言う発言もあった 従って そちらの作戦がどうなるのかを 確認しようと思っていたのだが…」
隊員Cが言う
「なら その確認は…?」
ハイケルが隊員Bへ向く 隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁー!メンバーボードにあった マスターグレイゼス中佐の名前が消灯していたでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうか… 24時間休暇中という事もあり 訪ねるのはこちらの就業時間を待ってからと 後にしたのだが まさか あいつが帰還してしまうとは…」
ハイケルが思う
(では 何か… 私用で?もしくはナノマシーンの要求で 一時的にARTのシステムへ用があって 来ていただけだった… と言う事か?だとすると…)
ハイケルが言う
「休暇中に 職務の連絡を入れる訳にも行かない …それでは バイスン隊員 司令官の出隊は確認されたか?」
隊員Bが言う
「はーっ!少佐ぁーっ!ハブロス司令官の名前も 消灯していましたでありますー!少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「そうか… ハブロス司令官も…」
ハイケルが思う
(その2人が居ないとなると 実質 私の上官は2人とも 休みと言う事に つまり 指示を受ける事は出来ない… それでは?)
ハイケルが言う
「では…」
隊員たちが注目して言う
「では…?」

【 音楽スタジオ 】

ナルが言う
「いやあ 助かったぜー!こいつを運ぶのが 毎回大変でよぉ?」
隊員Nと隊員Vが声を合わせて言う
「せーの!」 「よっ!」
隊員Nと隊員Vが大きな機材の両端を持ち上げて移動させる グレイゼスが周囲を見渡して言う
「えっと… 運んじゃうのか?」
ベイゼスが音楽スタジオの看板を見てから言う
「ここは音楽スタジオなんだし 機材もそれって事は… ここで製作するんじゃ無いんッスか?」
ナルが笑んで言う
「ここだとな?スタジオの防犯カメラなんかで バレちゃうからよ?窓もあるし?」
ベイゼスが言う
「バレちゃうって…?」
グレイゼスが防犯カメラを見て言う
「なるほど?それで 合流したあのトラックの中で 服を着替えろと?」
ナルが言う
「あぁっ いや!?そっちは… 皆さんの服を汚したら 悪いと思って… 機材は運ぶ時やらセッティングする時も 割と 埃なんかで汚れちまうんで ARTの皆さんの服を そんな埃なんかで 汚させたら… なんつっても 世界を守るお方方だってぇんだからっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「へぇ…?はははっ デスメタルバンドをしているお方だって 偏見を持ってたのは俺の方かぁ …意外だって 思ってしまったんだが そう言った事を しっかり 考えて居られるんだな?」
ナルが言う
「そりゃ なんせ…」
隊員Nと隊員Vが戻って来て言う
「後は これっすか!?」 「運んじまいますよっ!?」
ナルが言う
「おうよー!頼むぜぃっ!野郎共ー!」
隊員Nと隊員Vが声を合わせて言う
「おうよー!それじゃ せーの!」 「おう… よーっ!」
隊員Nと隊員Vが機材を運んで行く ナルが言う
「俺らのアニキは 昔から 世界一を目指す人ですから!その世界を守る皆さんへ 失礼があっちゃぁ 俺らが また アニキに力一杯どやされるんでー!あっははー!」
ナルがマイクスタンドを手に持って言う
「よーしっ!これで ここの作戦は完了だ!張り切って 次へ行くぜぃっ!野郎共ーっ!」
隊員Nと隊員Vが言う
「「おうよーっ!」」
グレイゼスが軽く笑って言う
「っははは どうやら 昔から あの様子みたいだな?」
ベイゼスが配線を持っていて言う
「アニキらしいです!」
グレイゼスが言う
「ああ…」
ナルが出入り口から顔を向けて言う
「どうしたーっ!?野郎共ー!アニキを待たせると 怖ぇえぞぉ!?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、それは 知ってる…っ」
ベイゼスが慌てて言う
「急ぎましょうっ!?マスタぁー!」
グレイゼスが言う
「お、おうよーっ!?」
グレイゼスとベイゼスが走って向かう

【 ART司令室 】

モニターに完了表示が出る アースがメモリースティックを抜いて言う
「よし 後は…」
アースが立ち上がる

【 ART第一訓練所 】

隊員Aが言う
「通常訓練の1完了しましたぁー 少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 それでは…」
ハイケルが周囲を見てから言う
「通常訓練の2を…」
隊員Cが言う
「通常訓練の2かぁ… 鉄板の上を走るのはキツそうだなぁ?」
隊員Dが言う
「何か… 滑ってコケそうな予感が…」
隊員Eが衝撃を受けて言う
「げっ!?ドルト隊員の後ろは 走らない様にしよう…」
隊員Dが衝撃を受けて言う
「えっ!?」
ハイケルが考えながら言う
「下は鋼鉄製… 訓練とは言え 人体の構造的な部分に置いて 負担を与えるのは…」
通路をアースが歩いて行く ハイケルがふと気付いて言う
「…うん?」
隊員Bが言う
「あれー?ハブロス司令官ー?」
ハイケルが振り向いて言う
「ハブロス司令官?出隊していたのか?」
アースが立ち止まると言う
「業務上は休暇だが 何か問題か?ハイケル少佐」
ハイケルが言う
「業務上は休暇… では 指示を受ける事は 出来ないと言う事か?」
アースが言う
「そうだな 特に 今の私は お前たちの事を考えてやれる余裕は無い 他に用が無いのなら 先を急がせて貰うが?」
隊員たちが意外そうに顔を見合わせる ハイケルが言う
「了解 …では 邪魔をした」
アースが先へ向かおうと一歩踏み出してから思い直して言う
「何か…」
ハイケルがアースへ向く アースが言う
「判断に悩んでいる様子だが」
隊員たちがアースを見る アースが隊員たちを一瞥いちべつしてからハイケルへ向いて言う
「司令官としてであろうと なかろうとも 私が伝えられる事は一つだ」
ハイケルがアースを見る アースが言う
「目的の為なら手段を選ぶな 何かを成し遂げようと思うのならば 己の持つ全ての力を用いて それを達成させろ」
ハイケルが呆気に取られる 隊員たちが呆気に取られて顔を見合わせる アースが言う
「以上だ」
ハイケルが言う
「了解」
アースが立ち去る ハイケルが隊員たちへ向いて言う
「では ART1は 総員…」
訓練所内に マシーナリーの音が聞こえる ハイケルと隊員たちが反応して 隊員Fが言う
「マシーナリーの起動音だっ!?」
隊員Cが言う
「え?えっと… 第一格納庫から?俺らの…っ!?ART1のマシーナリーがっ!?」
隊員Bが言う
「えー?けど さっきも確認したけどー?」
隊員Aが言う
「ああ、訓練に使えそうな 調整されたマシーナリーは 1機も無かったんだよな?」
隊員Iが言う
「けど 調整処理が されていないのなら 在ったけど?」
隊員Cが言う
「それじゃ それが…?」
隊員Fが言う
「そうは言っても 基本データが入っていない状態じゃ とても俺らでは動かせないから…」
館内放送が響く
『ART第一格納庫から第一訓練所へ マシーナリー起用ルート開きます』
格納庫から訓練所へのゲートが開く 隊員たちが呆気に取られていると 館内放送が響く
『ART第一訓練所 外部ゲート 開放します』
訓練所の外部へ通じるゲートが開くと ART1マシーナリーが格納庫から滑走して来て そのまま訓練所を経由して外へ出て行く 隊員Fが衝撃を受けて言う
「や、やっぱりっ!?格納庫にあった あの無調整のマシーナリーがっ!?」
隊員たちが衝撃を受ける 館内放送が響く
『ART第一訓練所 外部ゲート 閉鎖します』 『同じく ART第一格納庫から第一訓練所への マシーナリー起用ルートを閉鎖します』
ゲート類が閉じられる 隊員Iが言う
「ひょっとして …ハブロス司令官か?」
隊員Fが苦笑して言う
「神経接合ユニットもキーネックレスも 付けてなかったんだけど…?」
隊員Bが言う
「えー?それじゃー どうやってー?」
隊員Aが苦笑して言う
「そもそも… 業務上では休暇って言ってたのに…?」
ハイケルが言う
「つまり これが 先ほどの助言の 実践と言う事か」
隊員たちが衝撃を受ける 隊員Fが苦笑して言う
「それは確かに…」
隊員Cが言う
「有り得ねぇ… けど 流石は 悪魔の司令官…」
ハイケルが反応して言う
「了解 それではやはり」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「や、やはりって!?」」
ハイケルが言う
「これより ART1は 総員 国防軍レギスト駐屯地へと向かう」
隊員たちが衝撃を受けて言う
「「えぇええーっ!?」」
ハイケルが言う
「この場所は マシーナリーの訓練には適しているが 現在 我々ART1が使用しているのは人体だ 従って 我々ART1は 人体を使用する訓練所へ向かう」
隊員Aが言う
「そ、それは… 確かに…?」
隊員Cが言う
「あ、有り得ねぇ… けど 流石は 悪魔の兵士…」
ハイケルが言う
「我々では あちらのマシーナリーを用いての移動は不可能だ しかし このARTにも移動車両は保管してある 従ってそちらを使用する …とは言え 使用申請は行うべきだろう そちらは私が行う お前たちは 先に車両保管庫へ向かって居ろ」
隊員Bが言う
「了解!少佐ぁー!」
隊員たちが顔を見合わせた後言う
「「りょ、了解!少佐ぁー!」」 「って 本当に?」 「良いのか?そんな… 勝手に」
ハイケルが通路へ向かう 隊員たちが言う
「だって 国防軍レギスト駐屯地って…」 「一応 別の組織 なんだけど…?」
隊員たちがハイケルの去って行く背を見詰める

【 ナックキラー車両内 】

軍曹が運転している グレイゼスが軍曹を見てから ナルへ向いて言う
「それで… レコーディングの機材を詰んだは良いが これを持って何処へ?」
軍曹が言う
「はっ!そちらは!」
ナルの携帯が鳴る 皆が反応すると ナルが携帯を取り出して喜んで言う
「アニキからの送信だ!早速 アルバム曲が仕上がったって!どれどれ~?」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「も、もう 仕上がったのか?だって アルバムって言うからには…?」
ナルが携帯を見ながら言う
「全9曲の内1曲はリメイク1曲は既存のを撮り直すって だから 新曲は7曲だ!」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「凄いなぁ?俺はそう言う事に関しては ド素人だから分からないけど それでも 新しい曲を7曲も?こんな短時間に出来上がるものなのか?」
ナルが携帯の画面を見ながらニヤニヤして言う
「きっと ARTさんの活動をしながらでも 考えていたんじゃないっすか?歌詞の内容が 殆ど そのまんまですからぁ?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「え?それは… 大丈夫なのかな?」
ベイゼスが言う
「心配ないですって!マスターグレイゼス中佐!デスメタの歌詞なんて 殆どが 世の中やら何やらへ対しての 文句や喧嘩ですから!間違っても ARTの活動とは思われないって!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、そうなの?それなら 良いんだが… …うん?しかし 今曲が仕上がったって事は これから練習して?レコーディングは明日とか明後日とか…?まさか 1週間先とかって事は無いよな?」
ナルが言う
「いんやあっ!レコーディングは 到着後に直ぐにだっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「す、直ぐにっ!?」
ナルが言う
「アニキからの緊急招集は 即決即日っ!練習なんて アニキが到着するまでの その間だけだぜぃっ!」
ベイゼスが慌てて言う
「そ、そんなっ!?いくらなんでも それは 無茶なんじゃ!?」
ナルが言う
「その無茶をやるのが アニキだってなぁっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、それは… 確かに あのお方なら分かってしまう気も…?で、でも 流石に いきなりなんて…?」
ナルが言う
「ああ!ンな訳で 俺も ちょっと今から 歌詞読んで置くんで すんませんが…」
グレイゼスが言う
「あぁっ はいはい お気持ちは良く分かるんでね?どうぞどうぞ…」
ナルが携帯に集中する ベイゼスが楽しそうに言う
「なんか わくわくするなぁ?ますます楽しみになって来た!」
グレイゼスが言う
「俺はますます不安に… と言うか 心配になって来たよ …これじゃ まるで いつもの ARTや国防軍の作戦の前と同じだ」
ベイゼスが言う
「なら やっぱり 同じでしょう!?そうとなれば 同じ作戦をやる仲間を 信じないと!?マスターグレイゼス中佐!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「っはは… なるほど ね?」
軍曹が会話を笑顔で聞いて運転を続ける グレイゼスが軍曹へ向いて言う
「それで?さっき 聞きそびれてしまったが その… それこそ 今の我々の 決戦の場所は?」
軍曹が言う
「は!そちらの場所こそ!正しく!」
グレイゼスが窓の外を見ながら言う
「…って いつの間にか?」
車が 喫茶店マリーシアの横を過ぎて行く グレイゼスが言う
「マイルズ地区… しかも 俺の店の近くと言うと この辺に スタジオなんて…?」
グレイゼスが思う
(てっきり 窓やその他 そういった事を気にしないで済む 別のスタジオか倉庫にでも行くのかと思ってたが?)
グレイゼスが言う
「あれ?ここは…」
グレイゼスの目に 国防軍レギスト駐屯地が見えて来る グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ま、まさか…?」
軍曹が言う
「はっ!決戦の場は こちらの国防軍レギスト駐屯地でありますー!マスタぁー!」
グレイゼスが慌てて言う
「まじでっ!?」
軍曹が駐屯地の入り口へ車を一時停車させて 窓を開けると 衛兵が言う
「お帰りなさいませー!防長閣下総司令官!」
軍曹が言う
「うむ!只今戻ったのである!お勤めご苦労である!」
グレイゼスが苦笑して言う
「それじゃ まさか…?」
軍曹が言う
「あ!所で すまぬが アニキ… いや!ARTの司令官殿は 既に来ているだろうか?」
衛兵が言う
「は!ハブロス前総司令官でしたら 先ほど ARTのマシーナリーにて お越しになられました!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「マシーナリーで…っ!?」
軍曹が言う
「おお!そうであったか!?すまぬ マシーナリーが相手では こちらが遅くなってしまったのだ!先に連絡をしておくべきだったが お前たち 怒られはせんかったかっ!?」
衛兵が言う
「は、は…っ 怒られは致しませんでしたが…」

回想

マシーナリーが衛兵たちの目前に居る 衛兵たちが困り怯える マシーナリーのコックピットが開き アースが姿を見せて言う
「お勤めご苦労 諸君」
衛兵たちが慌てて敬礼して言う
「「は、はっ!お疲れ様で御座いますっ!ハブロス前総司令官!」」
アースが言う
「現 総司令官殿から 連絡は入っているだろうか?直ちに 門を開いてもらいたいのだが?」
衛兵たちが衝撃を受け 顔を見合わせ互いに顔を左右に振る アースが舌打ちをして言う
「チッ アーヴィンめ… こう言った所は 相変わらず抜けている あいつも まだまだだな…」
衛兵たちが困りの汗を流す アースが言う
「ああ、すまない 連絡の遅れがあった様だが 私は急いでいる 直ちに そちらの門を開いてもらいたいのだが?」
衛兵たちが困って言う
「あ、あの… えっと その… も、申し訳ありません 正式な 連絡が無い限り こちらの…っ 国防軍レギスト駐屯地の門は…」
アースが衛兵たちを見て言う
「直ちに 門を開いてもらいたいのだが?」
マシーナリーの腕が構えられる 衛兵たちが焦り慌てて言う
「「りょ、了解っ ハブロス総司令官ーっ!」」

回想終了

衛兵が泣きながら言う
「も、申し訳ありませんっ!防長閣下総司令官っ!自分らはっ!ハブロス前総司令官の気迫に負けっ 確認の連絡を致す事が出来ないままっ お通しをしてしまいましたーっ!」
グレイゼスが言う
「気迫に…」
グレイゼスが思う
(むしろ それは脅迫と言うんじゃ それに ARTのマシーナリー使用の 特権乱用まで…)
グレイゼスが苦笑して言う
「本当に無茶苦茶な…」
軍曹が言う
「おおっ それは お前たちへ怖い思いをさせて 実にすまなかったぁ!それらは 全て 国防軍長 防長にして 現 総司令官である 自分の責任である!」
衛兵が言う
「いえっ!防長閣下!」「自分らの未熟さ故でありますっ!」 「「申し訳ありませんでしたー!防長閣下ー!」」
軍曹が言う
「何を言うっ!良くぞ勤めてくれたっ!自分は その様なお前たちを 誇りに思うっ!」
衛兵たちが感激して言う
「「有難う御座いますー!防長閣下総司令官ー!」」
グレイゼスが苦笑する 軍曹が言う
「うむ!では 自分らも急いで向かわせてもらうのだ!お勤めご苦労!」
衛兵たちが言う
「「はっ!防長閣下総司令官!」」
衛兵たちが敬礼してから門を開く グレイゼスが苦笑する トラックが進んで行く

国防軍レギスト駐屯地 訓練所

隊員Bが走り去るトラックを見て言う
「あれー?今のトラックに マスターグレイゼス中佐の姿が 見えた気がするでありますー?少佐ぁー?」
ハイケルが隊員Bへ向いて言う
「あいつが…?」
隊員Cが苦笑して言う
「しかも 軍曹の声がハッキリ聞こえた…」
隊員Aが言う
「え?軍曹も?それじゃ…?」
隊員Fが言う
「マスターグレイゼス中佐は 軍曹に呼ばれたって事か?あのトラックは… 何か そう言った 国防軍かARTに関係する様な?」
隊員Bがハイケルへ向いて言う
「と言う事でありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが瞬きをした後言う
「そちらの予定… かもしれないな?バイスン隊員」
隊員Bが言う
「かもー?」
隊員たちがトラックの走り去った先を見る 隊員Eやその他の隊員たち来て言う
「少佐ぁー!俺たちも 通常訓練の2 終了しましたぁー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 では 通常訓練の3を行え」
隊員たちが言う
「「了解!少佐ぁー!」」
隊員Bが言う
「けど 折角なら 軍曹も一緒だったら良かったのにねー?アッちゃんー?」
隊員Aが言う
「うん まぁ そうだけど… 軍曹は中佐と何か作業があるって事だろう?それじゃ どの道 俺たちと一緒に訓練は出来ないんだから しょうがないよ?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「あー!そっかー?それじゃ… 通常訓練の3ー かーいしー!」
隊員Cが呆れて言う
「やっぱ 気合入らないよなぁ?バイスン隊員じゃ?」
隊員Bが言う
「えー?」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

隊員Nが荷台から出て来て言う
「おおっ!何処に着くのかと思ったら!」
隊員Vが続いて出て来て言う
「見慣れた古巣!国防軍レギスト駐屯地 しかも 俺らのメインアーム訓練所でもあった 第二射撃場じゃねぇか!」
ナルがやって来て言う
「それじゃ また 機器の搬入を頼むぜぃっ!ナッククルーの野郎共!」
隊員Nと隊員Vが言う
「おうよーっ!」 「任せとけーっ!」
隊員Nと隊員Vが荷台へ駆け込むと機材を運び出す グレイゼスが苦笑して言う
「なるほど?射撃場なら 音を気にする必要も無いし …国防軍の敷地内となれば」
グレイゼスが第二射撃場の扉へ向くと ナルが電話を終える 間も無く 扉が開きアースが出て来て 軍曹へ向いて言う
「遅かったな?アーヴィン?」
軍曹が言う
「おお!すまん 兄貴!国防軍への連絡を行うのに 少々 手間取ってしまったのだ 自分はやはり そう言った 業務的な事は苦手なのである!」
アースが言う
「伝えて置いた通り メンバーの皆へ 本名にて入館許可を出してくれた事は 良くやってくれたが …そちらから 時間を置いて 私の入館許可を入れるようにとも 伝えておいた筈だが?」
軍曹が言う
「うむ、そちらを行う予定はあったのだが 時間を置くつもりが その間に 兄貴の方が到着してしまったのだ」
アースが言う
「そうか お前へ指示を送るにしては 詰めが甘かったか… 時間を置いてではなく 具体的な時間を提示するべきだったな まぁ 良いだろう お陰で こちらの駐屯地の衛兵の状態も知る事が出来た 非戦闘員の気迫に負けて門を開くようでは この国防軍レギスト駐屯地の門前を任せるには 少々心許ないな?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そうは言われましても ハブロス司令官 いくらその貴方様が 非戦闘員でありましても マシーナリーを用いて脅迫をしては 誰だって 門を開いてしまうのでは?」
アースが言う
「それでは 甘いと言っているんだ 仮にも ここは国防軍レギスト駐屯地 その マシーナリーを撃破する為の組織であった筈だ 例え 現在 そちらを行う事が出来る 国防軍レギスト機動部隊が 政府警察の基地にて合同訓練中であろうとも 彼らが駐屯地を離れているのであれば尚更 門前はその彼らが戻るまでの間を 死守する必要性がある …分かったか アーヴィン?…いや 現 国防軍総司令官殿?」
軍曹が言う
「う、うむ… 了解なのだ 兄貴…」
グレイゼスが苦笑して言う
「流石は 歴代国防軍長 総司令官1位と言われたお方で…?」
アースが誇らしげに言う
「当然だ」
グレイゼスが苦笑して言う
「敵いませんね…?」
グレイゼスが思う
(けど、そうだよな?そんな 貴方様であるから…)
隊員Nと隊員Vが機材を運んで来て言う
「お待たせしましたぁ!アニキ!」 「これは どこへ運んだら良いんすかっ!?」
アースが言う
「ご苦労 諸君 そちらは 計測室の方だ 入り口は分かるだろう?」
隊員Nが言う
「了解!ハブロス総司令官っ!行くぜぃ!?ヴェイちゃん隊員っ!?」
隊員Vが言う
「おうよー!了解だぜ ナッちゃん隊員っ!」
グレイゼスが微笑する アースが2人を見てからナルへ向いて言う
「どうだ?ナル?歌詞の方は?」
ナルが笑んで言う
「おうよーっ!相変わらず キメてくれるなぁ!?アニキ!?特に この 9曲目のシメは最高だぜぃ!?」
アースが微笑して言う
「そうか そちらは 私も 特に気に入っている」
グレイゼスが反応してベイゼスを見る ベイゼスが笑んで言う
「楽しみッスね!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「本当に 組織的な心配の無いものなら 良いんだけど?」
アースが言う
「では 準備を急ぐぞ 機材のセッティングの間に 音を合わせる」
バンドメンバーがやって来て言う
「「おうよーっ!」」
皆が持てる機材を運び込む ベイゼスがグレイゼスへ言う
「俺たちも機材の調整や録音作業とか 気合入れてやりましょうね!?マスターグレイゼス中佐!?」
グレイゼスが配線類を手にして言う
「ああ、そりゃ 出来る限りの協力はするけどさ?機材を組み直す事は出来ても それ以外の事は… 俺は そっちの知識は まったく無いんだけどなぁ?」 
グレイゼスが思う
(本当に こんなんで 大丈夫なのか?)
グレイゼスが周囲を見る

【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】

隊員Bが言う
「通常訓練の3 終了しましたでありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 では…」
隊員Bが言う
「ではー?」
ハイケルが言う
「お前はしばらく待機して居ろ バイスン隊員」
隊員Bが言う
「えー?待機でありますかー?少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「待機だ …または 休憩とも言う」
隊員Bが言う
「えー?休憩ー?」
ハイケルが言う
「そうだ 本日は24時間休暇だ 従って 過度な訓練は推奨されない お前は他の隊員より早く 通常訓練の3を終えた それは秀でた事ではあるが そうであるのなら 尚更に そちらのお前を温存する必要がある …のかもしれない」
隊員Bが言う
「かもー?」
ハイケルが言う
「昨日のハブロス司令官の作戦を 試験導入している 従って 命令の上では待機ではあるが 24時間休暇であるお前は その間は 好きに過ごして良い」
隊員Bが気付いて言う
「それじゃ 昨日のシーナ隊員への待機と 同じって事でありますねー!?少佐ぁー!それから 命令の上では待機だけどって そっちはもしかして さっきのー?」
ハイケルが言う
「こちらは 先ほどのハブロス司令官の作戦だ」
隊員Bが喜んで言う
「休暇中でも 出隊していたって あの技でありますねー!?すっげーでありますー!少佐はハブロス司令官の技を 両方実行しているでありますねー?少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「…しかし これらの作戦によって 何が生じるのかは… そちらは予定も含めて未定だ 従って バイスン隊員」
隊員Bが言う
「はー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「早速 そちらの技を実行して来い 命令だ」
隊員Bが衝撃を受け喜んで言う
「おおー!少佐ぁー!すっげーでありますー ハブロス司令官の真似が 完璧でありますー!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「当然だ 伯父様とは 日々 ハブロス家にて 夕食を共にしている程の仲だ 従って 真似をするのは 簡単である …予定だ」
隊員Bが言う
「予定ー?」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

出入り口の門の前で 軍曹が見張りに立っている

計測室

ベイゼスが汗を拭って言う
「よし… これで…」
ベイゼスが機材のスイッチを入れ調整をする グレイゼスが機材を見て言う
「これがレコーディング機材かぁ… 通信機材や声紋識別に使うものとは やっぱり 根本的に違うんだろうなぁ?」
ベイゼスが言う
「そうでもないですよ?結局どっちも 周波数をいじるものですからね?まぁ レコーディングの場合は 解析するよりも 収集するって言うのかもしれないけど?」
グレイゼスが言う
「なるほど?周波数をいじるねぇ…?いじられたものを 解析するのは得意なんだが…」
ベイゼスがマイクの調整をして言う
「あーあー テステスー?聞こえますかー?」
ガラス遮へいの先で メンバーたちが反応を示す ベイゼスが言う
「えーっと 最初に トラック数はいくつですかー?」
グレイゼスが言う
「マスターベイゼスは レコーディングのエンジニアの仕事をしてるんだっけ?」
ベイゼスが言う
「仕事って程じゃないですよ 趣味で少しやってて それをマスターたちの繋がりで ハブロス司令官へ伝わったみたいで?それで 昨日の作戦に協力して欲しいって…」
スピーカーにナルの声が届く
『それじゃ 今回は1人増えるから 16で頼みます!』
ベイゼスが言う
「はいはい トラック数は16ねー ビットやその他のご要望はー?」
グレイゼスが苦笑して言う
「言ってる意味が分からないや …やっぱ 俺の出番は 機材のセッティングの手伝いまでかな?」
隊員Nと隊員Vが言う
「レコーディングなんて 生まれて初めて見るぜぃ!」 「おうよー!しかも ナックキラーの レコーディングだぜっ!?最高ー!」



軍曹が周囲を見ていて ふと気付いて言う
「むっ!?あ、あれはっ!?」
隊員Bが遠くから軍曹を見つけて言う
「あー!軍曹ぉー!?」
軍曹が慌てて言う
「バ、バイスン隊員っ!?」
隊員Bが軍曹の下へ走りながら言う
「軍曹を発見ー!軍曹ぉー!」
軍曹が困って言う
「な、なぜっ!?ここに ARTの隊員となった筈の バイスン隊員がっ!?」
隊員Bが到着して敬礼して言う
「お早う御座いますでありますー!軍曹ぉー!」
軍曹が敬礼を返して言う
「う、うむっ!お早うである!バイスン隊員っ!」
隊員Bが疑問して言う
「所で 軍曹はー?ここで何をしているのでありますかー?軍曹ぉー!」
軍曹が困りながら言う
「そっ!それは その…っ!?自分はっ!?自分はぁー!?えーとぉーっ!?」
隊員Bが疑問して言う
「えー?」

計測室

ベイゼスが操作をしていると 後方の荷物置き場から携帯の音がする ベイゼスとグレイゼスが反応すると グレイゼスが言う
「一番左の携帯だから… ハブロス司令官の携帯だが?これは どうしたら…?」
グレイゼスがベイゼスへ向く ベイゼスが頷いてマイクへ言う
「アニキ 携帯鳴ってますけど?どうします?」
ガラス遮へいの先でアースが振り向く



隊員Bが疑問して言う
「軍曹ぉー?」
軍曹が携帯を掛けながら言う
「う、うむっ 分かっているのだ バイスン隊員っ!従って!自分は 今 自分が何をしているのかの  確認を行なう為 しばし 待って欲しいのであるっ」
隊員Bが疑問して言う
「えー?」
携帯が着信すると アースの声が聞こえる
『まずは”了解と言わずに” 現状を伝達しろ』
軍曹がハッとして言う
「りょ…っ!いやっ!現状は バイスン隊員が目の前に居るのだがっ あ…っ!」
アースが言う
『兄貴とは言うな 了解も言うな』
軍曹が慌てて言う
「あ…りょ…っう、うむ!?では 何と言ったら良いのかっ!?」
アースが言う
『では これからお前が 言うべき言葉を伝えるが その前に”了解と言うな”』
軍曹が言う
「りょ… う、うむっ!」
隊員Bが疑問して言う
「軍曹ぉー?」

計測室

アースが携帯へ話している グレイゼスとベイゼスが苦笑していて ベイゼスが言う
「相手の返答を見越しての 完璧なフォロー」
グレイゼスが苦笑して言う
「流石は あのアーヴィン君のお兄様…」
アースが携帯へ言う
「と嘘は言わずに、私が言った通りに伝達を行え そして 後は お前の思う通りに彼らへ同行して構わないが ”了解と言わずに”作戦を実行しろ 分かったら”兄貴とは言わずに” そのまま携帯を切れ 以上だ」
携帯から軍曹の声が聞こえる
『りょ… なのだ!あ… う、うむっ!では そのまま…っ』
通話が切れる グレイゼスが苦笑して言う
「確かに 嘘では無いのから… それなら アーヴィン君も 伝える言葉に 苦しい事も無いと…?」
アースが通話を切って言う
「何も問題は無いだろう?そして あいつが使えなくなったとなれば 次は…」
隊員Nと隊員Vが見ていて呆気に取られて言う
「す、すげぇ… 流石」 「俺らARTの 司令官…」
アースが隊員Nと隊員Vを見る 2人がハッとして衝撃を受ける



軍曹が携帯を仕舞うと 隊員Bが疑問して言う
「軍曹ぉー?」
軍曹が言う
「うむ!バイスン隊員っ 自分は今この場所にて 自分が何をしているのかが分かったので そちらを伝達するのであるっ!バイスン隊員!」
隊員Bが言う
「はーっ!了解でありますー!軍曹ぉー!」

【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】

ハイケルが言う
「第二訓練所へ機材の搬入を?」
軍曹が言う
「はっ!そうなのであります!従って自分は そちらの機材のセッティングが 終わるまで 狭い計測室の邪魔にならぬ様にと!または!精密な機械のセッティング中に危害を加えない様にと 場外にて 待機をしていたのであります!少佐ぁー!して!機材のセッティングも 丁度 終わったと言う事でありましたので!自分は晴れて 少佐の下へと向かう事が叶いましたであります!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「そうなのか では ここからは君も こちらの訓練に参加する と言う事で良いのか?防長閣下?」
軍曹が言う
「はっ!少佐ぁー!自分はっ 少佐やレギストの皆と居ります際は!防長閣下としてではなくっ!アーヴァイン軍曹として!レコーディングよりも 訓練に励むでありますっ!少佐ぁー!」
ハイケルが言う
「了解 軍曹 …うん?レコーディング?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「はっ!?い、いえっ!それよりも 少佐ぁ!?自分は 少佐の作戦の方を…っ いえ!こちらの訓練内容を お聞かせ頂きたいのでありますがっ!?少佐ぁー!?」
ハイケルが言う
「…了解 こちらは現在…」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

出入り口の門の前に 隊員Nと隊員Vが見張りに立っている

計測室

グレイゼスがイヤホンを抑えて言う
「あーあー テステスー?聞こえるかなー?射撃場前のお二人さんー?」
グレイゼスのイヤホンに 隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『はーっ!無線状況 問題無しでありますー 中佐ぁー!』 『同じくでありますー!中佐ぁー!』



隊員Nと隊員Vのイヤホンに グレイゼスの声が聞こえる
『うん それじゃ 少し 残念だろうけど 一応 こっちの収録音が聞こえるように 無線をセッティングしてあるから それで我慢してくれ』
隊員Nと隊員Vが言う
「了解!中佐ぁー!なんせアニキからの 頼みですから!」 「おうよー!自分らはここで アニキを護ります!」

計測室

グレイゼスのイヤホンに隊員Nの声が聞こえる
『おうよーっ!』
グレイゼスが軽く笑って言う
「っはは… アニキを護るねぇ?確かに…」
グレイゼスがガラス遮へいへ顔を向ける

射撃場

アースが言う
「では 早速レコーディングを開始するぞ 総員 準備は良いな?」
バンドメンバーたちがアースを見て頷く アースが頷いて言う
「よし…」
アースがガラス遮へいの向こうを見る

計測室

ベイゼスが笑んでOKサインを向ける グレイゼスが微笑すると イヤホンに隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『おぉ~ 始まるかっ!?』 『まるで ライブ前みたいだなっ!?』

射撃場

アースが気合を入れて言う
「一曲目から ハデにキメるぜっ!野郎どもっ!」
バンドメンバーたちが気合を入れて言う
「「おうよーっ!」」
曲が始まる

計測室

レコーディング機材が反応する ベイゼスが調整を開始する グレイゼスが見ている イヤホンに隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『うおぉおー!新曲だぁあー!最高ーっ!』 『うおぉおー!アニキのギターが 聞こえるぜぇえー!最高ーっ!』
グレイゼスが軽く笑ってガラス遮へいの先 アースを見る

【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】

軍曹が言う
「おおー!流石は少佐ぁー!実に明瞭にして 的確なる御判断でっ!」
ハイケルが言う
「そうだな 従って 次も同じく そちらの確認を…」
ハイケルの携帯が鳴る ハイケルが反応して携帯を取り出しながら言う
「取る間を待機していた」
ハイケルが携帯を着信させて言う
「ハイケル少佐だ」
携帯からファーストの声が聞こえる
『ごめよ ハイケル 遅くなってしまって』
ハイケルが言う
「構わない 国防軍総司令官補佐官殿の手を煩わせて すまないと思っているが」
ファーストが言う
『大丈夫だよ ハイケル 君からお願いをしてくれるなんて 珍しい事だし そもそも こう言った事をアーヴィン叔父上へ頼んだって 叔父上には難しくて出来ないから 僕に頼んでくれたハイケルの判断は正解だよ』
軍曹が言う
「うむ!我が甥ながら 実に良く 叔父の能力を分かってくれており 自分は誇りに思っているのである!」
隊員Cが呆れて言う
「いや それって… もう何処から突っ込んだら良いのか 分からねぇんだけど?」
隊員Bが疑問して言う
「えー?」
隊員Aが苦笑して言う
「ははは…」
ハイケルが言う
「そうだな それで 引き続き こちらの国防軍レギスト駐屯地 訓練所の使用許可と同様に 第一及び第二射撃場の使用許可は 得られただろうか?」
軍曹が衝撃を受けて言う
「のぉおっ!?そ、そちらはっ!第二射撃場は…っ!」
ハイケルが疑問して軍曹を見る 携帯からファーストの声が聞こえる
『うん 第一射撃場の方は大丈夫だったんだけどね?第二射撃場の方は 先に使用申請が出されてしまっていて 既に使用中みたいなんだよ それも 総司令官が… アーヴィン叔父上が使用申請を出してるんだよね?』
ハイケルが軍曹を見て言う
「軍曹が?」
軍曹が挙動不審に慌てる ファーストが言う
『そうなんだよ 珍しい… 叔父上が僕を通さないで そう言った事務的な事をするだなんて 殆ど… って言うか まったく無いんだけどね?だから きっと 父上が裏で手を回したんだと思うんだけど』
ハイケルが言う
「ハブロス司令官が手を?」
軍曹が衝撃を受け 慌てて言う
「い、いえっ!?その!?あのっ!?決して レコーディングとか そう言う事ではっ!?」
ハイケルが言う
「レコーディング?」
軍曹が衝撃を受ける ファーストが言う
『え?レコー…?まぁ良いや どうしてもって言う事なら 僕の方で詳しい事を調べて 手を打とうか?ハイケルが使いたいって言うのなら 僕も それなりの事はして上げられるし 父上は 前国防軍総司令官ではあるけど 現在はARTの司令官だから 基本的に 叔父上を利用してじゃないと 国防軍は動かせないからね?補佐官とは言え その父上と比べれば ここでは僕の方が立場は上だから』
ハイケルが言う
「そうか それはとても心強いが そのお前を味方に持つ私もまた 現在はARTの隊員にして ARTの悪魔の司令官こと ハブロス司令官の部下であり ハブロス家に置いては 彼の甥と言う事になっている そうとなれば… ここで無理を押しても 後の私への被害が… 下手をすれば 作戦と言う名の下に 私が2、3回ほど殺されてしまうと言う可能性が在る」
軍曹が衝撃を受けて言う
「しょ、少佐ぁっ!?そちらはっ!いくらなんでも…っ 少佐ぁっ!?」
ファーストが軽く笑って言う
『あははっ!そうかもしれないね?ハイケル?』
軍曹が衝撃を受ける ハイケルが言う
「笑い事ではないのだが 奴は それこそ そちらの作戦を 笑って実行し兼ねない 悪魔の司令官だ 従って 私はそちらの危険性を回避する」
軍曹がホッとする ファーストが言う
『あれ?そう?たまには 父上に僕の成長を 知って頂くのにも これくらいの事は 丁度良いと思ったんだけど?』
ハイケルが言う
「そうか… しかし そちらの作戦は もう少し お前の戦力を上げてから行う事を推奨する そうでなければ 私のデコイが 全て消費されてしまう」
軍曹が苦笑して言う
「少佐… いくらなんでも そちらは… 少佐のデコイは 2世代目より少ないとは言え それでも 相応の数が」
ファーストが言う
『あははっ!そうかもしれないね?ハイケル?』
軍曹が衝撃を受けて言う
「ラ、ライヴィンっ!?」
ハイケルが言う
「笑い事ではないのだが 奴は それこそ そちらの作戦を 笑って実行し兼ねない 悪魔の司令官だ 従って 私はそちらの危険性を回避する」
軍曹が衝撃を受けて言う
「しょ、少佐… それ程に長い台詞を 2回も…」
ハイケルが言う
「奴は それ程の悪魔だと言う事だ」
軍曹が衝撃を受けて言う
「しょ、少佐ぁっ!?お言葉ながら そちらの奴や悪魔と例えられておりますのは 自分の…」
ファーストが言う
『あははっ!そうかもしれないね?ハイケル?』
軍曹が衝撃を受けて言う
「ラ、ライヴィンっ!?」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

出入り口の門の前に 隊員Nと隊員Vが感激しながら見張りに立っている

計測室

曲が終わると グレイゼスのイヤホンに隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『最高ーっ!』 『1曲目から 最高のノリだぜぇー!』
グレイゼスが軽く笑って思う
(確かに こういう音楽を聴かなかった俺が聞いても 凄いと感じる位だから…)
グレイゼスがベイゼスへ向いて言う
「凄いんだな?ナックキラーって?」
ベイゼスが調整をしつつ笑んで言う
「はいっ やっぱ アニキが入ると 別格ですね!」
グレイゼスが反応して言う
「ん?あぁ… なるほど?」
グレイゼスがアースを見て思う
(それは ひょっとして… 人の神としての その力の影響… なのか?)
ベイゼスが言う
「アニキの凄さは リードギターならではですよ!」
グレイゼスがベイゼスを見て言う
「え?リードギターならでは …と言うと?」
ベイゼスが言う
「ぶっちゃけ 言ってしまうと ギターの腕だけだったら 他にも アニキと同等や 上の人だって居ると思いますけどね?そう言う技術的な事は… まぁ勿論 有るに越した事は無いですけど」
スピーカーからガラス遮へい内の声が聞こえて来る アースが言う
『よし では このノリのまま 2曲目ハードデストロームのリメイクをキメるぞ?』
ベイゼスが身を乗り出して言う
「おっと 2曲目…」
ベイゼスが操作を行う ナルの声が聞こえる
『おうよー!リメイクとなれば 元々最高のノリのハードデストロームが 更にパワーアップするぜぃ!』
キーボードメンバーが言う
『あぁっ 待ってくれっ アニキ?』
グレイゼスがガラス遮へい向こうへ向く

射撃場

アースが言う
「うん?どうした?」
キーボードメンバーが言う
「このリメイクの 後半のキーボードだけど… やっぱ これは無理だよ?いくら何でも 俺には速過ぎて 弾けるかどうか…」
ガラス遮へいの向こうでグレイゼスが見ている アースがキーボードメンバーへ向いて言う
「弾けるかどうか ではない …弾くんだろっ!お前がっ!」
アースがキーボードメンバーの襟首を掴む グレイゼスが衝撃を受ける

計測室

グレイゼスが苦笑して言う
「相変わらず 無茶苦茶な…」
スピーカーからキーボードメンバーの声が聞こえる
『そ、そうは言われても… よぉ?俺は つまり弾けるかどうか 自信が…』
アースが言う
『自信など関係ないっ お前が弾かなければ このアールスローンが ぶっ潰されるんだぞっ!?』
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、それは…」
グレイゼスが思う
(それは 確かに… ハブロス司令官の場合は そうだった訳で…?)
アースが言う
『このアールスローンや 世界を守る為に 全力で弾けっ!それだけだっ!』
キーボードメンバーの苦笑と声が聞こえる
『わ、分かったよ アニキ…』
ナルの声が聞こえる
『相変わらず アニキの話の規模は 世界規模だよなぁっ!?』
アースが言う
『当然だろう?やるからには 世界一だっ!それ以外を目指して 何になるっ!?』
ナルが言う
『おうよーっ!やるぜっ!?野郎どもーっ!?』
皆が言う
『『おうよーっ!』』
グレイゼスが軽く笑う
「っははは…」
ベイゼスが言う
「そうそう!この引っ張って行く感じがね!?正に デスメタのリードギターでしょう!?」
グレイゼスが言う
「なるほど?アニキ様の人気の理由が 分かって来た気がするよ?」
ガラス遮へいの内側から合図がされ ベイゼスが頷いてスイッチを入れる 曲が始まる グレイゼスがガラス遮へいの向こうを見て思う
(それに 例え 技術的な その上が居るとしても…)
グレイゼスがアースのギターを見聞きしながら思う 
(この演奏は十分)
グレイゼスのイヤホンから隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『おぉおー!ハードデストロームだぁっ!』 『後半のギターソロが 楽しみだぜぇえー!』
グレイゼスが思う
(凄いみたいだからな?)

【 国防軍レギスト駐屯地 訓練所 】

ハイケルが通話を切って言う
「それでは ART1は総員 第一射撃場へ向かうぞ」
隊員たちが言う
「「了解 少佐ぁー!」」
隊員Iが言う
「第一射撃場での訓練 久しぶりだなー」
隊員Fが言う
「そうだよな?ついこの前までは 俺たちの日々の訓練場所だったのに 本当に久しぶりだ… そこへ向かう この道も」
隊員Bが言う
「えー?それじゃ 俺たちは やっぱー?俺たちの日々も訓練所だった 第二射撃所へ向かいたかったけどー?」
隊員Aが言う
「それを言ったら バイちゃん?少佐に2、3回 殺されて下さいって 言っているようなものだろ?」
ハイケルが衝撃を受ける 隊員Bが言う
「あー!そっかー!そうでありましたー 少佐ぁー?だから ごめんなさいでありますー 少佐ぁー?」
ハイケルが言う
「問題ない バイスン隊員 及び アラン隊員の意思は理解した 従って アラン隊員へは 訓練所周回200週の追加訓練を課する」
隊員Aが衝撃を受けて言う
「えぇええっ!?そ、そんな… って それは 冗談ですよね?少佐?」
ハイケルが言う
「私は冗談は言っていない 国防軍は勿論 ARTの軍規定に置いても 仲間を守る事とされている 従って 私が殺される可能性を考慮した上で そちらの作戦を構築したアラン隊員へは 作戦実行未遂ではあるが 相応の処罰として」 
隊員Aが言う
「い、いえっ!でしたら そちらの作戦は そもそも構築されたのは 少佐ですし!?俺は 構築したのではなくっ その可能性の危険性を提示したと言う事でっ!?」
ハイケルが言う
「…そうか 了解 では アラン隊員への追加訓練は 却下する」
隊員Aが苦笑して言う
「た、助かった…」
隊員Bが笑って言う
「にひひっ アッちゃん 流石~!今日も 技がキマってるねーっ!?アッちゃん!」
隊員Aが苦笑して言う
「自分が窮地に陥る これが 俺の技かよ?バイちゃん?」

ART1隊員たちが通り過ぎる 第二射撃所の門前樹木に身を隠していた 隊員Nと隊員Vがイヤホンに集中している ART1隊員たちが 第一射撃場へ入りドアが閉められる

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

計測室

グレイゼスが呆気に取られている

射撃場

アースがギターソロの速弾きをしている

計測室

曲が終わる グレイゼスがハッとして 慌ててベイゼスへ向いて言う
「あ、あれがっ!?本当にっ!?技術的には 上じゃないってレベルなのかっ!?マスターベイゼスっ!?」
ベイゼスが苦笑して言う
「い、いや?あれは… 十分 上だったわ?」
スピーカーからナルの声が聞こえる
『ア、アニキっ!?最高だったぜーっ!?』
グレイゼスのイヤホンに 隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『『最高ーっ!』』
レッテが苦笑して言う
『やっぱ 敵わないって…』
アースが言う
『当然だろう?俺はなぁ… このギターで 世界を守ってンだよっ!』
皆が叫ぶ
『『アニキィイーっ!』』 『『さいっこぉおーっ!』』
グレイゼスが苦笑して言う
「そちらはまた… お言葉の通りで…」
グレイゼスが思う
(そりゃぁ 最高にもなるのかも…ね?)
アースが言う
『続けて行くぜっ!野郎どもっ!』
メンバーたちが言う
『『おうよーっ!』』
ベイゼスが笑んで機材に向かう 曲が始まり ベイゼスが調整をして様子を伺う グレイゼスが言う
「なぁ?ベイゼス?俺にも何か 手伝える事は無いかな?収録後のデータ作業なら 何か手伝えると思うんだが?」
ベイゼスが言う
「あ、それなら 1つ頼んじゃっても良いッスか?ちょっと 地味に面倒な作業なんですが 先にやって置くと確認の時もスムーズなんで?」
グレイゼスが言う
「ああ 是非そいつをやらせてくれ 俺は表でハデにキメるより 裏方のそう言った地味に面倒な作業の方が 得意だからさ?」
ベイゼスが言う
「それじゃ」
ベイゼスがグレイゼスへ作業を説明する

【 メイリス家 】

メイドたちが礼をして言う
「行ってらっしゃいませ シェイム様」
シェイムが屋敷を出て行く 通路の影からラミリツが顔を覗かせてから 引っ込めて言う
「…よし 兄上も出掛けたし …今が チャンスっ!」
メイドがラミリツの近くを通り ラミリツに気付くと礼をする ラミリツが言う
「あ、君?悪いけど しばらく僕への連絡なんかは 通さないでくれる?部屋へも 誰も近付かないようにって 皆に 伝えておいて?」
メイドが言う
「畏まりました 攻長閣下」
ラミリツが頷いてから落ち着いた様子で自分の部屋へ入って行く メイドが確認してから立ち去る

ラミリツの部屋

ラミリツが閉じたドアを少し開いて外を確認してから 微笑して言う
「これでやっと聴けるよっ!」
ラミリツが急いでTVの下へ駆け寄ると 機材を操作しながら言う
「任務中にも聴いてたけどっ 改めて 今度はライブ映像もしっかり見ながら 聴けるなんて最高っ!」
ラミリツがヘッドホンを付け TVへ向き直ってから思う
(それにしても 任務中だったとは言え まるでアニキのギターを聞いているように感じたんだよね?…って言う事は それはつまり)
ラミリツが言う
「レッテのギターは アニキと同等になったって 事なのかなぁ?」
ラミリツが思う
(そうだよね…?もう あれから10年になるんだもん 僕自身も変わったし… だから レッテのギターも アニキのギターと聴き間違えるほどにって…)
映像にライブ開始直前の様子が映っている ラミリツが言う
「そう言う事…?」
ラミリツが思う
(それは 良い事なんだと思うけど… でも 何だろう?何かそれって…)
ラミリツが言う
「寂しいって 思っちゃうんだよね?どうしてだろう?ねぇ…?エルム?」
ラミリツが顔を向けると 近くのテーブルにM82が置かれている ラミリツが表情を悲しめて苦笑する ヘッドホンにナルの声が聞こえる
『1曲目から ハデにキメるぜー!』
会場が盛り上がる 曲が始まろうとすると ラミリツがふと気付いて言う
「…え?」
ラミリツが振り返って思う
(この感じは…っ!?)
ラミリツがハッとしてヘッドホンを投げ捨てて 瞬時にM82を手にして構えると レイが現れて言う
「ラミリツの前に到着だぞー!マリアー!?」
ラミリツが驚いて言う
「マ、マリアさんのヴィザードさまっ!?」
ラミリツがハッとして銃口を下ろすと ラミリツの視線の先 レイの腕に抱かれていたマリアが一度ラミリツを見てから レイへ言う
「は、はいっ!?確かに ラミリツさんの前に 到着ですがっ!ヴィザードさま!?勝手に 人様のご自宅に入ってしまってはいけないのでっ!この前の様に ちゃんと 出入り口の…」
ラミリツがホッとした後ハッとして 慌ててTVを消す マリアがレイへ向いたまま言っている
「玄関の前に 到着するようにして下さいね?ヴィザードさま?」
ラミリツが思う
(それは まぁ そうだけど… それ以前に 僕に衝突して来なくなっただけでも 大分良くなったけどね?それに…)
レイが言う
「そっか?何かめんどくさいけど マリアがそういうのなら これからラミリツの前に行く時には そうしてやるぞ?マリア?」
マリアが苦笑して言う
「ラミリツさんの前に ではなく 誰の前に行く時も 同じですが… あ、それはそうと 突然 お家の中へ入ってしまって すみません ラミリツさん」
ラミリツが思う
(今日も 以前のあの調子で来られていたら とても TVを消すのが 間に合わなかったかもしれないし それこそ 人払いはしてあるとは言え ヘッドホンのプラグが抜けて デスメタミュージックが屋敷に響く なんて事も無かった訳で…)
ラミリツが苦笑して言う
「いえ 今回はこれで十分で それに 間に合ったので 大丈夫ですよ?」
マリアが疑問して言う
「え?十分で 間に合った…?」
ラミリツがハッとして思う
(あ、マズイ… これじゃ 折角間に合ったそれらが…っ だから ここは 冷静に…)
ラミリツが苦笑して言う
「あ、はい あの… 屋敷の中へ 突然ではありましたが 今回は吹き飛ばされる事もありませんでしたから こちらで十分だと…?それに この時間なら?アールスローンを ご案内するのにも 時間は十分だと思いますので?」
ラミリツが思う
(良しっ 何とか 上手く誤魔化せた?)
マリアが微笑して言う
「はい!有難う御座いますっ 実はそれで アールスローンへ …と言いますか ラミリツさんのご自宅の中まで来ちゃいましたが …あ、順番が逆になってしまいましたが 昨日は お疲れ様でした ラミリツさん!」
ラミリツが言う
「あ、はい そうでしたね?お疲れ様でした マリアさんも マリアさんのヴィザードさまも?」
レイが言う
「そうだな?なんて言ったって 俺は マリアの為に ”アーク”・メイヴン・ハブロスの命令を聞いてやって 2回も デカイ魔法の1発をやってやったからな!?」
ラミリツが思う
(それは… ハブロス司令官の命令を 聞いてくれたのは良いんだけどさ?好い加減 ファーストネームは アークじゃなくて アースなんだけど?)
ラミリツが苦笑して言う
「そ、そうでしたか… そちらは 本当に お疲れ様でした」
マリアが言う
「それで その… 結果には 私、驚いちゃいましたが それでも …あの ハブロス司令官さんらしい 結果でしたね?」
ラミリツが一瞬呆気に取られて言う
「あのハブロス司令官さんらしい…?」
ラミリツが思い出してから微笑して言う
「…はいっ そうでしたね?」
マリアが微笑する ラミリツが苦笑して言う
「けど 相変わらずと言うか… いつもの事ながら 最終的な作戦の内容が知らされていなかったので 僕も 本気で 敵を討つつもりで… と言いますか 本気で命を奪うつもりだったので 仲間に だなんて言われた時には 遅いよ って思いましたが 間に合って良かったです」
ラミリツが微笑する マリアが衝撃を受けてから言う
「そ、それは… やっぱり 私のヴィザードさまと同じで ”アークの人には” 事前に そう言った事を きちんと説明した方が 良いのかもしれませんね!?」
ラミリツが疑問して言う
「え?アークの人?」
ラミリツが思う
(いや、だから マリアさんまで… ハブロス司令官は アークじゃなくて アース・メイヴン・ハブロス司令官だったら?…ね?エルム?)
ラミリツが手に持っていたM82を見る

【 国防軍レギスト駐屯地 第一射撃場 】

隊員Aがハンドガンを構えて銃撃を行っている 射撃が終わり 的が自動回収されると機械音声が流れる
『第一レーン 只今の命中率及び命中精度を算出中…』
隊員Aが音声に注目する その隣のスペースにハイケルが立ち 両手にハンドガンを構える 隊員Aが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?ま、まさかっ!?」
ハイケルが2丁の銃を連射する 的が次々に打ち抜かれる ハイケルの射撃を終えた的が自動回収されると機械音声が流れる
『第二レーン 只今の…』
隊員Aの自動音声が言う
『第一レーンの命中及び命中精度は 85%及び76%です』
隊員Aが衝撃を受けるとうな垂れて言う
「お、落ちた… どちらの数値も…」
隊員Bが笑う ハイケルの自動音声が言う
『第一レーンの命中及び命中精度は 99%及び99%です』
隊員Aが衝撃を受ける ハイケルが言う
「…落ちた… どちらの数値も…」
隊員Aが慌てて言う
「いえっ!その前に 少佐は以前とは違って 2丁ですしっ!?」
隊員Bが言う
「すっげー!流っ石 少佐ぁー!」
隊員Aが言う
「しかも 1%なんて 誤差の範囲でしょうっ!?」
ハイケルが言う
「先日の マシーナリーを用いての計測では 2丁であっても 100%と100%だった つまり 私は人体よりもマシーナリーの扱いの方が 得意だと言う事 …なのかもしれない」
隊員Aが呆気に取られて言う
「少佐… それは…」
隊員Bが言う
「かもー?」
ハイケルの腹が鳴る ハイケルが衝撃を受ける 隊員Aが苦笑して言う
「…いえ?そうではなくて そのマシーナリーの時と違って 人体の少佐は今 燃料不足なんじゃ?」
隊員Bが笑って言う
「あっははー!流っ石 少佐ぁー!超面白れーっ!」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

門前に 国防軍隊員が居て言う
「え?それじゃ 1レーンも空いてないのか?」
隊員Nが言う
「ああ、悪いな?今日は午前中一杯 貸切で使わせてもらってるんだわ?」
隊員Vが言う
「そうそう!今日の午前中だけだからさ?勘弁してもらえない?」
国防軍隊員が言う
「うーん… それじゃ 今日だけだって言うのなら… いつも 午前訓練終わった 昼前に 自主練してたんだけど …仕方ない」
隊員Nが言う
「ごめんな?また 午後からとか 明日とかさ?頑張ってくれよ?」
隊員Vが言う
「流石 国防軍レギスト駐屯地の隊員さんはー!?昼前まで 頑張ってるなー!?」
隊員Nと隊員Vが笑う 国防軍隊員が苦笑した後立ち去る 隊員Nと隊員Vがホッとして言う
「…よし」 「今度は上手く行った」
2人が安堵の息を吐く

計測室

グレイゼスがモニターを前に作業を行っている ベイゼスが機材を使って調整している ナルが携帯で電話していて言う
「そこんトコ 何とか急ぎで頼みますわ!社長さんだけが頼りなんですよっ!」
ベースメンバーが携帯で電話していて言う
「そのDVDちょっと待って下さい 調整を入れるんで…っ ああっ いや、そう言う事じゃなくて!?画像は間に合わないですし… 音だけなので …いえっ そんな事は無いです 既に!…はい」
別のメンバーが水分補給をしている ナルが通話を切るとアースへ向いて言う
「アニキっ 何とか急ぎでって頼んだら 初版は5日後 ライブDVDが発売予定だった同じ日に 間に合うって!作れる枚数は少ないから 即完売になっちまうだろうけど そこはしょうがないよな?」
アースが言う
「ああ、初日の反響さえ得られれば十分だ 結果は実力で勝負だが そちらの評価さえ得られるとあれば…」
ベースメンバーが通話を切って言う
「ライブDVDの音源追加 間に合うって けど、音源の追加って言ってもマスターデータの変更になるから 発売日は3日遅れるって」
アースが言う
「アルバムの発売日が間に合った そちらを先に提供する方が重要だ DVDが3日後と言う事なら アルバムの再販のタイミングにも間に合うかもしれない そこまで上手く行けば 計算上では完璧だが 結果は見てからでなければ分からないな?」
ベイゼスが作業を終えて言う
「…よしっ 完了!」
ベイゼスがCD-ROMを2枚渡して言う
「こっちがマスターデータ それから まぁ 大丈夫だと思うけど こっちがサブマスターね?それを ライブDVDの製作会社に持って行って貰えれば 元々 演奏のタイミングは同じだから ミキシングも上手く行くだろうし?」
レッテが受け取って言う
「有難う 助かったよ」
アースが言う
「リードギターである筈のお前が 完全にセカンドギターだった… まさかとは思うが 最初から狙ってたんじゃないだろうな?ナッククルーを集めたライブ会場で そんな事をしたって言うのなら 正直に言えよ?一発所じゃ済まさねぇけどな?」
アースがレッテを睨む レッテが衝撃を受けて言う
「い、いや…っ その…っ ぐ、偶然だよ?アニキ…っ」
ベイゼスとグレイゼスが苦笑していて グレイゼスが言う
「あれじゃ 言いたくても 正直には言えないよな…?」
ベースパートが間に入って言う
「まあまあ?結果として あのライブステージでは 音だけとは言え アニキとは一緒だったって事でさ!?」
アースと皆が反応する ベースパートが苦笑して言う
「それが まぁ…ちょっと 時間は掛かっちまったけど?DVDの方で それをナッククルーの皆にも 知らせる事が出来るんだから その… 結果として ナックキラー全員の音が入った 最高のライブをさ?見せられるんだから い、良いじゃねぇか!?最高だぜ!?最高!」
皆が考える グレイゼスのイヤホンに隊員Nと隊員Vの声が聞こえる
『『最高ーっ!』』
グレイゼスが反応し 苦笑すると言う
「うん?…っははは」
皆がグレイゼスを見る グレイゼスがイヤホンを指差して言う
「ナッククルーのお二人は 最高だって?」
皆が苦笑し アースが言う
「そうか …それならば」
アースが自分の携帯のある場所へ向かい電話をしている レッテが言う
「残り2曲 ハデに決めようぜ?」
ドラムパートがレッテの頭を小突きながら言う
「このっ 策略家がっ!」
レッテが苦笑しながら言う
「いや…っ 違うってっ 本当に…?いやその…っ ちょ、ちょっとは 思ったけどよぉ?ソロが辛かったのは事実で…っ イテテ 痛ぇってっ マジでっ!」
ドラムパートがふざけてレッテをいじめる ベイゼスが笑っている キーボードパートが言う
「さて 軽く練習して置くか」
ドラムパートが言う
「じゃ、俺も…」
ベースパートが言う
「俺は本番に向けて 温存~」
レッテが言う
「なら 俺も 温存!」
ベースパートが言う
「レッテは アニキが来たからって 手抜いたら駄目だぜ?これでまたTV出演とかあった時には アニキの代わりに レッテが弾くんだからな?」
レッテが困って言う
「えぇえ~ そこはアテブリで頼むよぉ~」
ベースパートが言う
「それは駄目だろっ!?ナックキラーの信条は アテブリ禁止っ 勝負には本気マジで立ち向かう!だろうっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そんなのがあるんだ…?ちなみに それらを決めたのは?」
ベースパートが言う
「アニキですっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「あぁ… やっぱり?」
グレイゼスがアースを見る アースが携帯で電話をしていて言う
「…ほう?お前が素直に私の命令を聞くとは 意外だな?何か心情の変化でもあったのか?」
グレイゼスが疑問して言う
「うん?誰と…?」
グレイゼスが1人で疑問する ベースパートがナルへ向いて言う
「よしっ それじゃ アニキの電話が終わったら 早速 残りの2曲をキメるぜ?ナル!?」
ナルが言う
「お、おうっ!それじゃ… う、うんっ…」
グレイゼスとベースパートが疑問してナルへ向くと ベースパートが言う
「うん?大丈夫か?ナル?」
ナルが苦笑して言う
「お、おうよっ ちょっと 水に咽ただけだって!残りの2曲も ハデにキメるぜぃっ!」
ベースパートが言う
「おうよっ!」
グレイゼスが軽く笑う アースがグレイゼスの近くへ来て言う
「マスターグレイゼス 外に居る2人へ連絡を行なってくれ」
グレイゼスが疑問して言う
「え?あ、はい 2人に?何か?」



隊員Nと隊員Vが居て言う
「残り2曲か~」 「あぁ~ 楽しみだけど 後2曲で終わっちまうって…」
隊員Nが言う
「まぁ 良いじゃねぇか?これで 新曲アルバムと あのライブイベントの更正版が発売されるんだっ!」
隊員Vが言う
「おうよっ!予約は無しって言ってたから 前夜の店前待機決定だな!?」
隊員Nが言う
「おうよーっ!気合入れて 並ぶぜー!?」
隊員Nと隊員Vが笑っていると 国防軍の隊員が2人の前に現れる 隊員Nと隊員Vが反応して言う
「お、また来ちゃったか?」 「この時間はしょうがない 今度も温厚に…」
隊員Nと隊員Vが同時に言う
「「あー すんませんね?今こちらは… は?…わぁああーっ!?」」
隊員Nと隊員Vが悲鳴を上げる 2人の前にエリーナが立っている 隊員Nと隊員Vが慌てて言う
「で、出たぁああーっ!?悪魔の兵士っ!?」 「しかも 2世代目っ!?む、無理ぃいーーっ!?」
エリーナが言う
『…司令官 命令 だ…』
隊員Nと隊員Vが疑問して言う
「し、司令官…?」 「命令って…?」
隊員Nと隊員Vのイヤホンにグレイゼスの声が聞こえる
『外のお2人さんー?聞こえるか?』
隊員Nと隊員Vが慌てて言う
「ちゅ、中佐ぁあーっ!緊急事態発生でありますー!」 「直ちに 司令官へーっ!」
隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて言う
「あ、あれ…?」 「司令官…?って ひょっとして…?」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせてからエリーナを見る

【 アールスローン街中 】

マリアが周囲を見渡して言う
「わぁ~」
ラミリツが言う
「この辺りが 丁度 マリアさん方のお国で言う所の この街のメインストリート と、言った所でしょうか?ファッションやアクセサリー その他 趣味に関するものなど どちらかと言えば 若者向けの店が並んでいる通りですね?ここへ来れば 大体 今の流行の様な物は分かります」
マリアが言う
「とっても賑やかで 活気がありますね?それに ファッションも…」
マリアが女性物の洋服店を見ると セクシー系の服がある マリアが一瞬頬を染めた後ラミリツへ向き直り気を取り直して言う
「わ、私たちの国とは違って その… 活気と言いますか… えっと…」
マリアが視線を泳がせる ラミリツがマリアの見ていた店を見て思う
(あぁ そう言えば 今の若者の流行は どちらかと言うと マリアさんの国よりも アールスローンの方が 露出は高めかな?これは まぁ… 今までの富裕層からの脱却を目指す若者の反抗の表れじゃないか… 何て?確か以前 政府の懇談会なんかで言われてたっけ?それに 女性のファッションもそうだけど 男性の方も…)
マリアがラミリツを見ようとして その後方のストリートミュージシャンを見ると驚いて言う
「わ、割と その… は、肌を出すデザインが …えっ!?」
マリアが呆気に取られる ラミリツが気付きマリアの見ている方へ振り返ると ストリートミュージシャンに気付いて言う
「そうですね?少し… うん?あぁ そう言えば?マリアさん方のお国では どういった音楽が流行っていたのでしょうか?」
マリアが言う
「お、音楽?あ、あれが…?」
ストリートミュージシャンがデスメタを演奏している ラミリツが微笑して言う
「はい 彼らは ストリートミュージシャンと言って プロを目指す ミュージシャンの卵と言った所です この通りは 過去に 今一番人気のミュージシャンたちが ストリートライブを行っていた場所でもあるので 今でもこの通りで演奏をする者は多いです」
マリアが苦笑して言う
「そ、そうなんですか?何だか凄い音ですね?あの… 一番賑やかな楽器は…?」
ストリートミュージシャンのエレキギターが高鳴る マリアがビクッと驚くラミリツが軽く笑って言う
「はい あれはエレキギターです」
マリアが反応して言う
「ギター?あれが?えっと… 私、弾いた事は無いですが ギターは見た事があります でも 形もちょっと違うし 音も…?やっぱり それが国の違いとか そう言う…?」
ラミリツが言う
「ああ、それなら きっと マリアさんがご存知のギターは クラシックギターでは無いですかね?」
マリアが疑問して言う
「クラシックギター?」
ラミリツが言う
「はい、基本は同じ様な楽器ですが マリアさんがご存知の そちらのギターは…」
ラミリツが周囲を見ながら思う
(えっと 確かここなら… あったっ)
ラミリツが楽器店を見つけると 店頭へ案内して ショーウィンドウにあるクラシックギターを示して言う
「こちらのギターでは ないでしょうか?」
マリアが気付いて言う
「あ、はい そうです!これが ギター… あら、それでは?やっぱり あちらの音が出るギターとは 違うと言う事ですね?」
ラミリツが微笑して言う
「そうですね?同じ様に構えて 弦を弾いて音を出すと言う事は 同じですが こちらのクラシックギターは 弦を指で弾いて ギター自体が音を出しますが エレキギターは 弦を指では無くて ピックと言うもので弾きますし その音を機械的に出すものですから 音自体も変わりますので …やはり 別の楽器と言う事になりますかね?」
マリアが言う
「そうなのですか 機械的に… やっぱり アールスローンは機械技術に秀でているのですね?音楽を機械で奏でるなんて 私、考えた事もありませんでした」
ラミリツが苦笑して言う
「そうでしたか しかし、言われて見れば そうかもしれませんね それでも アールスローンに置いても 富裕層の方や… 比較的ご年配の方には そういった音楽は受け入れられていないので 今でも 意見の分かれる所ではあるのですが」
ラミリツが店頭を見ると 店主がポスターを張り替えている ラミリツが気付いて思う
(あれ…?あのポスターは… まだ発売されていない ナックキラーのライブDVDのポスターなのに?どうして…?)
マリアが店内を眺めながら言う
「そうなのですか ではやはりこのストリートにある様に 若者の新しい文化と言ったものなのですかね?楽器自体も とても… 何と良いますか ちょっと 賑やかな感じで 音も独特で… あっ?でも私 今日初めて見たのですが でも その… エレキギターって さっきの音だとしたら 私 確か 以前に それを何処かで…?」
マリアが考える ラミリツがマリアを見てから思う
(マリアさんたちの国には無い エレキギターの音を 何処かで?…って 事は それはやっぱり アールスローン国内でって事なんじゃ…?…ん?)
ラミリツが視線を店主へ戻すと 店主がポスターを貼っている ラミリツが気付いて思う
(あぁ… なるほど?DVDの発売日が延期になったんだ?…え?何か変わるって?シークレット?…え?ちょっと… それ…!?凄く気になるんだけどっ!?)
ラミリツが思わず一歩踏み出そうとしてハッとして思う
(あっ!でも…っ …今は駄目だよね?24時間休暇中とは言え マリアさんをご案内しているのだから 今は… 今の僕は このアールスローンの紳士として…っ)
ラミリツが気を取り直して軽く咳払いをして言う
「う、うんっ では マリアさんも こちらへ何度かお越しになっているので そちらの間に… 何処かで 耳にされたと言う事では…?」
ラミリツが店主へ無意識に視線を向ける マリアが考えながら言う
「そうですね?でも 私 今までこちらのお国にお邪魔した時は その時は ずっと…」
ラミリツが言う
「その時は ずっと…?」
ラミリツが店主の手元を見ていると 店主がDVDポスターの横に もう一枚のポスターを張る ラミリツがそのポスターを見ると衝撃を受けて思う
(え…?えぇええーっ!?ナックキラーの新曲アルバム発売っ!?嘘ぉおっ!?だって つい この前出したばかりなのにっ!?)
ラミリツがポスターへ向かいそうになる ラミリツがハッとして思う
(うぅっ!だ、駄目だよっ 今は任務中でっ!凄く確認したいけどっ 今は…っ!)
マリアが気付き疑問して言う
「ラミリツさん?」
ラミリツがハッとして言う
「は、はいっ!すみませんっ 何でしたっけっ!?」
マリアが言う
「あ、いえ?特に何も無いのですが?」
マリアがラミリツの見ていた先へ視線を向ける ラミリツがハッとして慌ててて視線を泳がせると別のポスターに気付いて言う
「あ、あのっ マリアさんっ!?このポスターにあるっ!」
ラミリツが別のポスターを示す マリアが一瞬驚き 気を取り直して言う
「は、はいっ!?」
マリアがラミリツの示すポスターを見ると 疑問して言う
「オペラ公演?…あ、この写真の子が出演するのでしょうか?可愛い子ですね?それに まだ随分 若い子みたいですが えっと…?」
マリアが写真の下に書かれている名前を指でなぞりながら言う
「ヴォール… ア…リア?えっと…」
ラミリツが微笑して言う
「そちらの女の子の名前は アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスと読みます 4構想の名前は しるす時には ファーストネームを一つ後ろにして守るので 読み方とは異なると言う 古い記し方なのですが」
マリアが言う
「あ、そうでしたね?アールスローンでは 常に女性を守るようにって それから ファミリーネームにはスを付けて… ん?ファミリーネーム?」
マリアがもう一度写真の名前を見て呆気に取られる ラミリツが微笑して言う
「気付かれましたか?」
マリアが言う
「ハブロスって… ひょっとして あの!?」
ラミリツが言う
「はい、こちらの女の子は ハブロス司令官の ご息女様です」
マリアが驚いて言う
「えっ!?」
ラミリツが微笑して言う
「それに 彼女は このアールスローン1の歌姫と賞賛されていて アールスローンの神様にも その歌声を好まれているそうです」
マリアが思い出して言う
「あっ そう言えば 以前 ラミリツさんに伺いましたね?ARTの司令官さんが アールスローン1の歌姫を アールスローンの皇帝の下へ連れて行って 歌を聞かせているって」
ラミリツが言う
「はい そうです」
マリアが微笑して言う
「そちらの歌姫とは ハブロス司令官さんの 娘さんだったと言う事ですね?それに この小さな可愛い女の子が アールスローン1の歌姫様だなんて 何だか凄いですね?」
ラミリツが言う
「私も何度か 彼女のオペラ公演の招待状を頂いて 聴きに行きましたが 流石はアールスローン1と称されるだけの事はある と言いますか?…私は普段そう言った音楽や歌は聴かないので 余り言えないのですが それでも 率直に凄いと思いました 少なくとも まだ10歳のこの小さな女の子の歌とは思えない 迫力があって …それで居て なんと言うか とても 純粋で美しくて…」
マリアが呆気に取られた後感銘して言う
「わぁ… 凄いですね?是非 聴いてみたいです!」
ラミリツが言う
「それでしたら ハブロス司令官へ一言言えば 直ぐにチケットが手に入りますから 連絡をして置きましょうか?」
マリアが衝撃を受けて言う
「え!?あっ いえっ!そんなっ 申し訳ないですからっ!?」
ラミリツが微笑して言う
「いえ 大丈夫ですよ マリアさんは仲間ですから ハブロス司令官も当然だと言ってくれますよ それに このポスターにある公演の日時は丁度 今日ですので 今夜の公演のチケットを貰えれば」
マリアが慌てて言う
「で、でもっ そのっ オペラ公演って 私 今まで行った事もなくてっ それに確か 服装とか 色々ありますよねっ!?それに その…っ!?」
ラミリツが微笑して言う
「いえ?何も御気になさらなくて 大丈夫です ハブロス司令官にチケットを用意してもらうとなれば 当然ボックス席になりますので 席に座っていれば 他の観客からは見られませんし それならウィザードさまのお姿も 見られる心配はありませんから?」
ラミリツが携帯を取り出す マリアが慌てて言う
「えっ!?あっ!?でも その…っ!?」
レイが言う
「夜って 何時だ?そのオペラ何とかは どうでも良いけどさ?早く帰らないと マリアの料理が食べられなく なっちゃいそうだよな?俺は夜は直ぐに眠くなっちゃうしさ?」
ラミリツが携帯の操作をとめて言う
「え?あぁ そうなんですか?」
マリアがハッとして言う
「そ、そうですね!?ヴィザードさまの お夕食が遅くなってしまっては…っ」
ラミリツが思う
(ヴィザードさまの お夕食ね…?それこそ 僕らのアールスローンなら 女性の希望を優先するものだけど… マリアさんがそれで良いのなら それは僕らが干渉する事じゃないのだろうし?けど 折角 あんなに聴きたいって思ってくれたのに それを提供出来ないのは 僕としても…)
ラミリツがポスターを見て気付いて言う
「…ん?あ、それなら?」
マリアが疑問して言う
「はい?」
ラミリツが微笑して言う
「それでしたら マリアさん?これから参りましょう!」
マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?こ、これからってっ!?」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】



ハイケルとART1隊員たちが通り掛り ハイケルが反応して顔を向けると 視線の先 第二射撃場の門の前に エリーナが見張りに付いている ハイケルが立ち止まると言う
「エリーナ少佐?」
ART1隊員たちが立ち止まりハイケルと視線の先を見て 隊員たちが衝撃を受ける ハイケルが言う
「エリーナ少佐 そこで何をしている?」
エリーナがハイケルを見る 隊員Aが言う
「第二訓練場の前で…?」
隊員Aが周囲を見る 隊員Bが言う
「見張りー?」
隊員Aが苦笑して言う
「まさか?大体 国防軍の敷地内で 何から見張りをする必要があるんだよ?バイちゃん?」
隊員Bが言う
「あー そっかー?…あれー?でもー?」
隊員Bが疑問する ハイケルが言う
「国防軍レギスト機動部隊はどうした?」
皆がエリーナを見る エリーナが言う
『国防軍レギスト機動部隊は 現在 休憩中 …だ』
ハイケルが反応して時計を見る 隊員Cが言う
「まぁ 元その俺たちも これから休憩だからな?同じか?」
隊員Dが言う
「国防軍レギスト駐屯地の食堂 久しぶりだなー!」
隊員Fが苦笑して言う
「不味いんだよなぁ?」
隊員Dが衝撃を受ける 隊員Cが不満げに言う
「それでも 久しぶりに これから皆で食いに行こうって言うんだから その突っ込みは駄目だろっ?フレッド隊員?」
隊員Fが苦笑して言う
「あぁ そっか?サッちゃん隊員の 突込みが無かったから ついな?」
隊員Iが言う
「いつもなら そのボケ役は ナクス隊員の役なのにな?今日は居ないから」
隊員Fが言う
「そうそう ナクス隊員とヴェイル隊員が居ないから 今日は その二人の分も張り切ろうと思ったら 失敗しちゃったよ?」
隊員Iが軽く笑う
「はははっ」
ハイケルが言う
「それで…?その隊員たちが休憩中というのなら お前もそうするべきではないのか?エリーナ少佐?」
皆がエリーナを見る エリーナが言う
『特殊任務中 …だ』
皆が疑問する ハイケルが言う
「特殊任務?…では 国防軍総司令官である 軍曹からの命令か?」
エリーナが言う
『何の話だ?』
ハイケルが衝撃を受けムッとする エリーナが構えているサブマシンガンを向ける 隊員たちが衝撃を受ける ハイケルが反応すると両手にM82を構える 隊員たちが衝撃を受け慌てて言う
「「しょ、少佐ぁーっ!?」」
隊員たちがハイケルを押さえて言う
「少佐ぁっ!ここは抑えてっ!」
ハイケルが言う
「離せ 2世代目とは言え 新作には負けはしない…っ!…予定だっ!」
隊員たちが言う
「予定では駄目ですからっ!?」 「いや そもそもっ!?」
エリーナが言う
『欠陥品 …か』
ハイケルが衝撃を受ける 隊員たちが衝撃を受ける ハイケルが言う
「はーなーせー!」
隊員たちがハイケルを押さえて言う
「抑えて下さい 少佐ぁー!」 「抑えて抑えて!」 「お腹が空いて 気が立っているのは 分かりますが 少佐ぁーっ!」
隊員Bが笑って言う
「にひひっ やっぱ 少佐ぁ 超面白れー!」
エリーナが無表情に見ていて言う
『…問題ない』
エリーナの目前 ハイケルが隊員たちに押さえられて 去って行く

計測室

演奏が行われている ベイゼスが機材を調整し グレイゼスがPC作業を続けている 隊員Nと隊員Vが感激しながら見詰めていて ガラス遮へいの先でアースがエレキギターの速弾きをこなすと 隊員Nと隊員Vが呆気に取られ演奏が終わると叫ぶ
「「最高ーっ!」」
ガラス遮へいの先でアースが2人の様子に微笑してから メンバーたちへ向いて何か言っている 隊員Nと隊員Vが興奮しながら言う
「アニキだよっ!アニキっ!間違いないっ!」 「ああ!間違いないっ ハブロス司令官は…っ!」
2人が声を合わせて叫ぶ
「「アニキだぁあーっ!」」
グレイゼスが作業を終えると 苦笑して言う
「おいおい 2人共?ここでは良いとしても そいつは 口外禁止だぞ?」
ベイゼスが苦笑して言う
「まぁ ”ナックキラーのアニキだ” …とは 言ってない訳だから?誤魔化しは効きますけどね?」
グレイゼスが苦笑して言う
「そうは言っても…?」
隊員Nと隊員Vが言う
「大丈夫ですよっ!中佐ぁあっ!俺らで アニキの秘密は 守りますからぁあっ!」
「そうですよっ!中佐ぁあー!俺らで ハブロス司令官を 隠しますからぁあっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「ぎゃ 逆だぞっ!?逆 逆っ!…本当に大丈夫なのか?」
ベイゼスが笑う

射撃場

アースがメンバーへ向いて言う
「よし では 次で9曲目だ 気合を入れていくぞっ!?」
ナル以外のメンバーが声を合わせる
「「おうよーっ!」」
ナルが咳きをする 皆が反応してアースが言う
「ナル?どうした?…大丈夫か?」
計測室のメンバーを含めて 皆がナルを見る ナルが苦笑して言う
「あ、ああ 大丈夫だ… 後一曲だし… う、うん…っ」
レッテが言う
「ライブツアーが終わったばかりだしな?流石に 無理が祟ったか?」
ベースメンバーが言う
「デスヴォイスは 喉にキツイからなぁ…?」
アースがナルを見る

計測室

グレイゼスが言う
「あらら…?大丈夫なのか…?」
ベイゼスが言う
「う~ん… ナルはライブツアー中も フロントマンとして盛り上げ役に徹してたからなぁ… 流石に疲れが出ちゃったのかもな?」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせた後言う
「今回のライブツアー会場は 過去最多だったもんな?」 「その上で昨日は追加ライブもやった訳だし…」
皆がガラス遮へいの向こうを見る

射撃場

アースが思う
(昨日の追加ライブ… 恐らくレッテの不調を盛り返す為にも 無理を強いていたのだろう いつもにも増して ヴォーカルに気合が入っていた… もしくは こちらの作戦の為にか?だとしたら…)
アースが言う
「もう一度… 休憩を入れるか?もしくは 今回のアルバムは… 8曲でも」
ナルが言う
「いや 今までだって9曲で… ナックキラーは アルバム曲は9曲って 決めてただろう?だったら ここで崩せねぇよ…っ それに この9曲目は それこそ最高なんだから コイツを載せねぇなんて…」
ナルが喉の調子に苦しそうにする アースが言う
「しかし… その様子では とても歌い切られないだろう?最後の曲は 一番 歌詞も多い それに…」

計測室

皆が心配そうに見詰めている後ろで携帯が鳴る 皆が一瞬驚いて振り返ると グレイゼスが言う
「あ、ベイゼス ハブロス司令官に連絡だ」
ベイゼスがハッとして言う
「あ!そうっすね!アニキ!?携帯鳴ってるよ?出た方が良いんじゃない?休憩にもなるだろうしさ?」
ガラス遮へいの向こうでアースが顔を向けると ナルの肩を叩いてから メンバーへ頷いて見せ移動する メンバーたちが ナルの下へ向かう

【 オペラホールBOXシート 】

マリアが目下の様子を見て言う
「わぁ…」
マリアの目下 子供たちが走り回っている ラミリツが言う
「折角の機会に 騒がしくて すみません 公演中も多少お聞き苦しい所も あるかもしれませんが どうか ご了承を」
マリアが言う
「いえ!そちらは全然構いませんが それで えっと…?あの子供たちは?」
ラミリツが言う
「孤児院の子供たちです」
マリアが言う
「孤児院の…?」
ラミリツが言う
「はい オペラホールの空くこちらの昼に近い時間を その子供たちへの時間として開放しているのです ですので 本来ですと下の一般席までしか開かれないのですが 今回は特別に…」
マリアが周囲を見てから言う
「あ… それではすみませんでした ラミリツさんの… 攻長さんとしてのお力で…?」
ラミリツが微笑して言う
「いえ そちらの権力などでは無いので どうぞ ご心配なく」
マリアが言う
「え?…それでは?」
扉がノックされると ドアが開かれ エリーナが現れる マリアが疑問する ラミリツが言う
「ああ、エリーナ さっきは有難う」
エリーナが言う
「問題ない ラミリツ・エーメレス・攻長閣下」
ラミリツが衝撃を受けた後苦笑して言う
「もう… 相変わらずだね?」
エリーナが言う
「何の話だ?」
ラミリツが苦笑して言う
「なら、良いよ?エリーナの好きな方で?」
エリーナが言う
「何の話だ?」
マリアが衝撃を受ける ラミリツが軽く笑う アリアが現れて言う
「ラミリツ攻長閣下!ごきげんよう!」
マリアがハッとする ラミリツが言う
「やぁ アリアちゃん 今日は突然の事に 席を用意してもらって 有難う 僕の友人に どうしても アリアちゃんのお歌を お聞かせしたくてね?」
アリアが言う
「はい!これくらいの事でしたら 何でもありませんわ!ラミリツ攻長閣下からの お願いでしたら アリアは いつでも お力にならせて頂きましてよ?」
アリアがマリアへ向く マリアがハッとしてアリアへ向く アリアが軽く礼をして言う
「アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスですわ ごきげんよう!」
マリアが衝撃を受けて言う
「は、はいっ!?えっと…っ マリア・シュテーゲルですっ?ご、ごきげんよう?」
ラミリツが軽く笑うと アリアが疑問して言う
「あら?」
マリアが言う
「あ、あら?」
アリアがラミリツへ向いて言う
「失礼を致しましたわ ラミリツ攻長閣下?アリアはてっきり こちらのご婦人は ラミリツ攻長閣下の 想い人かと 思い込んでしまいましたの!」
ラミリツとマリアが衝撃を受け ラミリツが苦笑して言う
「あ、い、いや?違うよ?彼女は… その…っ」
アリアが言う
「でも 違いましてね?このアールスローンの国家家臣 攻長閣下の想い人が 下位富裕層の方と言う事は ありませんでしてね!」
マリアがハッとする ラミリツが呆気に取られた後苦笑して言う
「…そんな事は無いよ?アリアちゃん?」
アリアが疑問する マリアがラミリツを見る ラミリツが微笑して言う
「少なくとも 現 アールスローン国攻長である ラミリツ・エーメレス・攻長は 階級や名誉で人を見るような事はしないから それは… 最下層のマスターたちを 仲間にしている アリアちゃんのお父上 ハブロス司令官も同じでしょう?」
マリアが微笑する アリアが言う
「ええ そうでしてね?ラミリツ攻長閣下の仰る通りですわ?お父様は最下層の者でも それこそ人権を有さない マシーナリーや 悪魔の兵士だって お仲間だと仰いますもの?」
マリアが苦笑する ラミリツが苦笑して言う
「うん そうそう そうだよね?だから ハブロス司令官が… アリアちゃんの お父上がそうと仰るのだから アリアちゃんも同じだよね?」
アリアが言う
「そうですわね!アリアも 同じですわ!アリアも お父様と同じ様に 高位富裕層の方でも最下層の者でも 階級や名誉などは関係なく」
マリアとラミリツが微笑する アリアが微笑して言う
「使える者は 何でも 仲間に致しましてよ!」
マリアとラミリツが衝撃を受け ラミリツが苦笑して言う
「う、うん… まぁ… そう… とも言うのかもしれないけど?…いや そうじゃなくて つまり…」
アリアが疑問して言う
「あら?アリアは何か 間違えまして?」
ラミリツが苦笑してから思う
(えっと… 何て言ったら良いんだろう?子供にも分かりやすい様にって思ったんだけど… 僕自身が元々 高位富裕層じゃないから アリアちゃんが どういう風に教わっているのか分からないし …よし、それじゃ ここは 思い切ってっ!)
ラミリツが言う
「えっと… その… つまりね?アリアちゃん?」
アリアが言う
「ええ ラミリツ攻長閣下?アリアに教えて頂けて?」
ラミリツが微笑して言う
「うん えっとね?それなら… これは 秘密だけど…」
マリアがラミリツを見る アリアがラミリツを見上げて微笑して言う
「はい!アリアは 秘密は大切にしますわ!ご安心を頂いて宜しくてよ?」
ラミリツが頷いて言う
「うん それじゃ… 本当はね?僕は こちらの マリア・シュテーゲル殿を 僕の想い人にしたかったんだよ?」
マリアが驚く アリアが頬を染めて言う
「まぁっ それは 素敵でしてね!」
ラミリツが苦笑して言う
「うん だけどね?ちょっと 出会うのが遅かったみたいで… こちらの殿方に先を越されてしまったんだ だから 今は 想い人では無くて 友人なんだよ?…これなら 分かるかな?」
アリアが言う
「ええ!とても良く分かりましたわ!ラミリツ攻長閣下!ラミリツ攻長閣下は 想い人へ対して ご自身のご身分やご名誉よりも ご自身の魂の想いに 誠実であると仰る事ですわね!」
ラミリツが呆気に取られて思う
(魂の想い… それは…)
ラミリツが苦笑して言う
「…そうだね うん そう言う事かな?」
ラミリツが思う
(だとしたら 今の僕は…)
アリアが言う
「やはり ラミリツ攻長閣下は 素敵な紳士様ですわ!流石は アリアの想い人でしてよ!」
マリアとラミリツが衝撃を受け ラミリツが苦笑して言う
「え?あ… え、えっと… そうなんだ?それは 有難う…?」
ラミリツが思う
(えーと そうだったんだ?アリアちゃんが 僕を… その… 想い人に… …って そうなると?)
ラミリツの脳裏に アースの怒りの姿が思い浮かぶ ラミリツが衝撃を受ける マリアが微笑する アリアが微笑してから言う
「それでは ラミリツ・エーメレス・攻長閣下 マリア・シュテーゲル殿 それから…」
ラミリツがハッと我に返る アリアがレイを見る レイが疑問して言う
「ん?俺か?俺はマリアの!」
マリアがハッとして言う
「あっ ごめんなさい こちらは 私の…」
アリアが言う
「レイ・アーク・フォライサー殿 本日は アリアのお歌を どうぞ御堪能下さいまし?」
ラミリツとマリアが驚くと アリアが礼をして エリーナと共に立ち去る マリアが呆気に取られて言う
「な、何で…?」
マリアがラミリツを見る ラミリツが考えながら思う
(ハブロス司令官が知らせた?…いや 流石に それは無いと思うけど… あ!それなら もしかして…?)
マリアがラミリツへ向いて言う
「あ、あの… ラミリツさん?」
ラミリツが言う
「はい、彼女が マリアさんのヴィザードさまの お名前を知っていたのは 恐らく… ハブロス司令官に聞かされた等と言う事では無く 彼女の持つ 力 …なのかもしれません」
マリアが言う
「彼女の…?あの子が 持つ力と言うのは?」
ラミリツが苦笑して言う
「彼女が持つ力は… それは… そうですね?アールスローン1の歌姫の 魔法の力です」
マリアが呆気に取られて言う
「歌姫様の 魔法…?」

通路

アリアがドアを出ると レミックが言う
「アリアお嬢様 旦那様より 折り返しのお電話が入っております」
アリアが携帯を受け取ると喜んで言う
「ええ 有難う レミック …お待たせを 失礼致しましたわ お父様っ!」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

計測室

アースが皆に背を向け携帯で通話をしていて言う
「いや、構わない 先ほど連絡をくれただろう?今日は 昼の公演も聴きに行かれるかもしれないと話していた そちらの事なら すまないが…」
ベイゼスが疑問してグレイゼスへ小声で言う
「昼の公園?誰と話してるんでしょうね?」
ベイゼスとグレイゼスがアースへ向く 携帯からアリアの声が聞こえる
『ええ!先ほどのお電話は そちらの御用件でしたわ お父様!けれど 今は こちらのお電話をお借りして アリアはお父様に お願いがありますの!宜しいかしら!?』
グレイゼスが微笑してベイゼスへ小声で言う
「アリアちゃんだ 娘さんだよ?」
ベイゼスが言う
「へぇ~?」
2人がアースを見る アースが横目に2人の視線に気付きつつ 軽く咳払いをしてから言う
「…う、うんっ …電話は構わないが どうかしたのか?」
アリアが言う
『はい!お父様!アリアは これから歌うお歌を 本日は 魂のままに歌いたいと思いますの!よろしくて?お父様?』
アースが言う
「ああ、そちらは… いつも その様にして良いと 言って置いた筈だが?」
アリアが言う
『ええ!そうですわね お父様!しかし お父様?本日のお歌は ともすれば 然るお方の事を 歌ってしまうように アリアは感じますのよ?そちらでも 宜しくて?』
アースが言う
「然るお方の… うん… そうか… そちらが誰を示すのかは それこそ歌ってみなければ 分からないのだろうが…」
グレイゼスとベイゼスが顔を見合わせる アリアが言う
『どなたかの身上を… お名前を口にしてしまう場合は お歌は歌ってはいけないのでしてよね?アリアのお歌は アールスローン戦記の原本のお力が…』
グレイゼスとベイゼスが反応する アースが言う
「…いや それならば… そちらは 気にしなくて良い アリア」
グレイゼスとベイゼスがアースを見る アリアが言う
『お父様?』
アースが言う
「お前は お前の歌いたい通りに 歌って構わない 何かあれば 私が何とでもしてやれる 何も気にせずに お前はその魂のままに 歌ったら良い」
アリアが言う
『まぁっ!アリアはとても嬉しいですわ!お父様っ!』
グレイゼスとベイゼスが微笑する アースが言う
「その代わり 常に1番を目指し 最高の魂で歌うんだぞ?アリア?」
グレイゼスとベイゼスが衝撃を受ける アリアが言う
『はいっ!もちろんですわっ!お父様っ!アリアは いつでも お父様のそちらのお言葉の通りに 1番を目指して 最高の魂のままに歌っておりますもの!』
アースが言う
「ああ それで良い …では 切るぞ?」
グレイゼスとベイゼスが軽く笑っている アースが携帯を置き 2人の所へ来ると 2人の頭をゴンゴンと殴ってから言う
「家族の語らいまで 盗み聞きをするなっ このマスターズ!」
グレイゼスとベイゼスが殴られた頭を抑えて言う
「す、すみません… つい…」 「いってぇ~…」
アースが視線を他方へ向けて言う
「…それで?こちらはどうなっている?」
グレイゼスとベイゼスがアースの言葉に 視線をガラス遮へいの先へ向ける

射撃場

アースとグレイゼスとベイゼスがやって来る ナルの周りに皆が居て アースが言う
「ナル?どうだ?」
ナルと皆がアースへ向くとレッテが言う
「やっぱ無理そうだってよ?アニキ…」
アースがレッテを見るとナルが擦れた声で言う
「悪い アニキ…」
アースが言う
「いや 仕方が無い では 今回のアルバムは 8曲と言う事にしよう」
隊員Nと隊員Vが顔を見合わせ表情を落とす メンバーが顔を見合わせる グレイゼスが周囲の様子に言う
「誰か… 助っ人を呼ぶとかは…?」
キーボードメンバーが言う
「アニキの時みたいに 抜けた楽器のパートなら兎も角」
レッテが言う
「ヴォーカルだけは 替えが効かないからな?」
隊員Nが言う
「アルバム曲に ヴォーカルの助っ人って 聞いた事ないもんな?そう言えば?」
隊員Vが言う
「それに以前は人気の有ったマリリスなんかは ヴォーカルが変更になって まったく別のモンになっちまったしな?」
グレイゼスが言う
「あぁ そっか… そうだよな 楽器と違ってヴォーカルは そのバンドの顔って言うか… うーんそれじゃ やっぱり 似た声の人に頼むとかでも やっぱり 駄目なのか?」
ドラムメンバーが反応する ベースメンバーが言う
「いくら声が似てても やっぱ ナックキラーの名で出す アルバムだし 楽器パートだとしても 助っ人は 出来れば 使いたくないよな?」
ナルが言う
「けど 9曲目の曲は… こいつを入れないのは勿体無いってっ?枠を取って置くって事で 伴奏だけでも…?」
皆が反応し レッテが言う
「ああ、そうだな?それは良いかもしれない」
アースが言う
「いや この曲は特にヴォーカルが旋律を受け持っている そちらを抜いての伴奏だけを撮っては 敗戦への引き金ともなりかねない」
皆が衝撃を受け グレイゼスが苦笑して言う
「は、敗戦って… ハブロ…」
隊員Nが隊員Vへ言う
「ああ、そう言えば 軍曹が言ってたっけ?」
グレイゼスが隊員Nを見る 隊員Vが言う
「そう言えば このアルバム製作は ライバルバンドへの ”武器弾薬”なんだって?」
アースが言う
「そう言う事だ 8曲目までで 折角 追い込んだ所を 9曲目で穴を開けて 逃がしては意味が無いだろう?それならば 現状は 8曲までで 延長戦へ持ち込むと言うのも手ではある」
隊員Nと隊員Vが悔やんで言う
「後一歩だって言うのに ここで弾切れって事かっ!」 「昨日みたいに 武器が拾えれば良いのによっ!?」
グレイゼスが苦笑して言う
「き、君たち…」
グレイゼスが思う
(とは言え 成る程な?そうやって考えれば 確かに ここは今 正念場ってトコか… 何か 方法は?…って言っても この戦いは 俺の管轄外だし… 出来る事は何も…)
グレイゼスがメンバーを見る メンバーが表情を落としている アースが時計を見てから言う
「時間も迫っている 打つ手も無いとあっては 仕方が無い これで…」
ドラムパートが言う
「それならよぉ?ここは一発  以前の時みたいに やっちまわないか?」
皆がドラムパートを見る ドラムパートが言う
「以前もこんな事が有っただろう?メジャーデビュー前の 事務所のオーディションレコーディングの当日に!」
アースが衝撃を受ける レッテがベースメンバーへ向いて言う
「メジャーデビュー前に… 何かあったのか?」
ベースメンバーが言う
「ああ、あの時も 今日みたいにギリギリのレコーディングをしていたんだけど ナルが前日から張り切って練習していたもんだから レコーディング当日になって 声が出なくなっちまって」
アースが慌てて言う
「ま、待てっ!そちらの話は…っ!」
グレイゼスが言う
「それはっ 正に!今と同じ状態じゃないかっ!?それで!?」
ベースメンバーが言う
「それで…」
アースがベースメンバーの口を押さえて言う
「言うなとっ!」
ドラムパートが言う
「ナルの声を真似て アニキが歌ったんだよ」
ARTメンバーが叫ぶ
「「えぇええーっ!?」」
アースが頭を抑えて言う
「その黒歴史は忘れてくれと言ったのに…っ」
グレイゼスがアースを見てからメンバーへ言う
「ちなみに その結果は?」
ベースメンバーが言う
「見事 選考メンバーに合格!」
隊員Nと隊員Vが歓声を上げて言う
「「おぉおお~!流石 アニキっ!」」
グレイゼスが苦笑してアースへ向いて言う
「成功した作戦じゃないですか?何故 それが黒歴史と?」
アースが頭を抑えたまま言う
「そちらの作戦を決行した事により 私はその後3日間声が出なくなり 今まで隠し通せていた執事へのバンド活動が知られ 挙句 放っておいても問題が無いであろうと そちらの音源の為だけに あえて選んでいた 今にも潰れそうなレコーディング会社を買収する羽目となり 無駄に多額の費用を浪費する事になったんだ …お陰で危うく音楽企業の経営を行なう一部の富裕層へまで 私のデスメタルバンドへの活動がバレる所だった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「そ、それは… なるほど?黒歴史とは そちらの事で…?」
ベイゼスが言う
「けど そうと言う割には 結果としてナックキラーのメジャーデビューギリギリまで アニキはバンド活動をしてましたよね?レコーディング会社を買収してまで 活動を隠したと言う割には?」
アースが言う
「隠したかったのは 回収をした… つまり 私の声が入った音源だけだ 後にも先にもその時以外は 私はバンド活動中は 声を出さないようにしていた」
ベイゼスが言う
「へぇ… そう言われてみれば?」
アースが言う
「今回も 身内を使ってのアルバム製作であるなら 問題は無いが 収録音声は声紋鑑定に掛けられれば 私の正体が知れてしまうだろう?増して、インディーズ時代のそちらとは違って 今では ナックキラーは有名で そこへアニキが戻って来たとなれば 少なからず その正体を調べようとする者は居る筈だ」
ドラムパートが言う
「そっかぁ… 今じゃアニキは それこそ どっちのアニキでも有名だからなぁ」
ベースパートが言う
「以前の時だって 十分有名だったけどな?どっちでも?」
アースが不満そうに言う
「少なくとも 以前は どちらの私も 声紋鑑定の対象者には なって居なかった」
グレイゼスが思考を巡らせてから言う
「…いや?そう言う事なら… 大丈夫じゃないかな?」
皆が反応して言う
「え?」
グレイゼスが言う
「俺は 声紋鑑定の… 1番に近い者… と言うか1番だった その俺から見て このレコーディングの状態なら 声紋鑑定から アニキ様の正体を見破る事は 出来ない」
皆が驚き アースが言う
「そうなのか?マスター?」
グレイゼスが言う
「ええ 大丈夫だと思います マスターレベルでも …今 自分はベイゼスの手伝いで イコライザーの邪魔な音域を軽く削る作業をやっていて… それで分かった事ですが エレキギターの音は 人の声の周波数領域にとても近い音域にあります その上で 全ての楽器を一度に演奏する このレコーディング環境だと ヴォーカルのマイクにも 必然的に他の楽器の音が入りますから そこへ エレキギターの音が鳴っている状態なら 尚更に ヴォーカル周波数から 鑑定に使える声紋を取り出す事は出来ません」
メンバーが顔を見合わせて言う
「それじゃ…?」
グレイゼスが言う
「厳密に言うと 短い間や伴奏によっては 取り出せる瞬間はありますが それは… この際 ちょっとだけ わざと雑音を入れてしまうと言うのも…?」
グレイゼスがベイゼスを見る ベイゼスが笑んで言う
「出来るだけ 生の演奏を収録すると言っても そんな一瞬のミクスチャーは この際有りでしょう?皆さん?」
メンバーが言う
「それ位なら 有りだろう?」 「そうだよな?それに…」
レッテが言う
「ナックキラーのバンドメンバーが 助っ人をするって言うなら ナックキラーのアルバムで 間違いないよな?」
グレイゼスが思い出して言う
「あ、でも よく考えたら?」
皆がグレイゼスへ向く グレイゼスがアースへ向いて言う
「いくら デスメタの歌とは言っても ハブロス司令官の声は割と特徴的ですから 音声鑑定以前にその声色で 普通に耳で聞いて分かってしまうと言う 問題がありますから それなら… いや そもそも 他のメンバーの皆さんで 行っては…?」
ドラムパートが言う
「それはもちろん 俺たちも 以前の時に やろうとしたんだけど 両方やろうとすると 難しくてよぉ?それに…」
キーボードパートが言う
「そもそも ナルの代わりって事だから 他の時はナルが歌うんだし それを前提にすると 声も近い方が良いんだよ それで 結果として」
グレイゼスが言う
「結果として?…と言う事は…」
ベイゼスが言う
「そもそもデスヴォイスなら 地声とは結構変わるし 以前の時に大丈夫だったって言うのなら… ここはもう やるしかないんじゃないですか?アニキ?」
皆がアースを見る アースが衝撃を受けてから視線を逸らして 小声で言う
「…今度は どの様な被害が 私のハブロス家に…?いや もしくはARTや国防軍に…?」
グレイゼスとベイゼスが衝撃を受ける 隊員Nと隊員Vが顔を見合わせる アースが時計を見て言う
「…とは言え もはや そちらを悩んでいる時間も無い」
皆が表情を明るめ顔を見合わせる アースが言う
「分かった そうとなれば …お前たちも力を貸せっ!命令だっ!」
アースが隊員Nと隊員Vを指差す 隊員Nと隊員Vが衝撃を受けて言う
「「えぇえっ!?」」
皆が疑問する 隊員Nと隊員Vが顔を見合わせてから言う
「…って?俺たちが?」 「今度は… 何を…?」
隊員Nと隊員Vがアースを見る

【 オペラホールBOXシート 】

舞台で前座の楽器演奏や歌が行われている 会場は子供たちが自由に騒いでいる マリアとラミリツが眺めていて マリアがラミリツを見る ラミリツが気付くと軽く笑って言う
「子供たちは 合奏や歌よりも 皆で遊ぶ事の方が好きみたいですね?」
マリアがハッとして言う
「そ、そうですねっ!?それに… 引率の先生方も 特に 叱ったりするような事もないようですし むしろ 好きにさせていると言うか…?」
ラミリツが苦笑して言う
「はい、政府の孤児院の方では 割と厳しく躾けをするのですが 国防軍の孤児院の方では 子供たちの個性を尊重すると言う事で あまり 大人が叱る事はしないそうです」
マリアが言う
「そうなんですか では… 今ここにいる子供たちは そちらの国防軍の孤児院の 子供たちと言う事なのですね?」
ラミリツが言う
「そうです アリア・ヴォール・ライトニア・ハブロスお嬢様は 歴代国防軍長ハブロス家のお嬢様なので こちらのチャリティーイベントを行っていると言う事です」
マリアが言う
「なるほど… まだ10歳と言う若さで そう言った活動をされていると言うのは とても凄いですね?」
ラミリツが思う
(ああ やっぱ そう思うよね?けど 実は…)
ラミリツが言う
「私もそう思って 以前 アリアちゃんに そうと言った事が有るのですが」
マリアが言う
「ですが?」
ラミリツがマリアを見ると 微笑して言う
「彼女は 唯 歌う事が好きだから 歌っているだけなのだと」
マリアが呆気に取られる ラミリツが言う
「だから 凄くもなんとも無いのだと 言っていました …それに そうであるから なのでしょうか?彼女の歌は本当に…」
舞台の合唱が終わり 合唱者たちが立ち退くと 開演ブザーが鳴る マリアが反応すると ラミリツが舞台を見て言う
「大好きだから 歌っているのだと …その様に 強く感じるんです」
ラミリツが思う
(そう あの… アニキの演奏と同じなんだよね?)
幕が上がると まばらな拍手の中 アリアが現れ ボックス席を見上げて微笑する アリアの視線の先 ラミリツが気付き微笑して頷く マリアが呆気に取られてから 舞台に居るアリアへ視線を向ける

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

計測室

グレイゼスとベイゼスが機器を確認してから ガラス遮へいの先を見る

射撃場

ナルの両横に 隊員Nと隊員Vが緊張の面持ちで立っていて 隊員Nが言う
「ナ、ナナ ナックキラーの…っ コーラスに入れだなんて!? あ、あああ 相変わらずっ!?」
隊員Nが唾を飲む 隊員Vが言う
「ハ、ハハハ ハブロス司令官の命令はっ!ご、ごごご強引なんだからっ!?」
ナルが笑って言う
「頼むぜ?助っ人の ナッククルーの野郎ども?」
隊員Nと隊員Vが言う
「「お、おうよーっ!?」」
アースがエレキギターと共に センターに立ち言う
「よし では 総員 備えは良いか?」
隊員Nと隊員Vが息を飲む

計測室

グレイゼスが作業をしながら苦笑して言う
「本当に ヴォーカルとギターを同時にやるのか…?別々に撮った方が 良いんじゃ…?」
グレイゼスの前のマイクがオンになっている スピーカーからアースの声が聞こえる
『それでは ソウルが籠らないだろう?』
グレイゼスが衝撃を受けてから苦笑して言う
「ソ、ソウル…」
グレイゼスが思う
(ナックソウル… だっけ?未だに そこの所は 理解出来ないんだが…)
グレイゼスがPCの操作をしながら言う
「では 念の為に 同時に声紋鑑定を実行して 確認をして置きますので」
グレイゼスがベイゼスへ向いて言う
「250Hzの周波数なら 少しいじっても 大丈夫なんだよな?」
ベイゼスが言う
「はい、そこなら 一番音が重なる所から 音を加えても大丈夫です」
グレイゼスが頷いてから正面へ向いて言う
「感知されそうな所は 雑音… と言いますか 250Hzの周波数を追加して 調整をしますので」
アースが言う
『分かった 宜しく頼む』
グレイゼスが言う
「了解 では…」
グレイゼスが正面のマイクの電源を切る ベイゼスが自分の側のマイクを確認してから スイッチを押して ガラス遮へいの先へ合図を送る

射撃場

隊員Nがベイゼスを見てから 周囲を見て言う
「う、嬉しいけど 緊張し過ぎて…っ」
隊員Vが強く頷いて言う
「うんっ うんっ!」
ナルが苦笑して言う
「緊張なんか すんなって?」
アースが視線を向けて言う
「歌詞は読んだだろう?そのノリで行けば 問題ない」
隊員Vがモニターを見て言う
「よ、読みましたけど…っ むしろ俺たちには 凄過ぎて…」
アースが苦笑して言う
「昨日のお前たちなら 行けるだろう?」
隊員Nと隊員Vが反応して顔を見合わせると言う
「昨日の…」 「俺たちって…」
アースが微笑した後 ベースパートへ向く ベースパートが頷いてドラムパートと息を合わせると 曲が始まる ベースとドラムの旋律から ナルがイントロのシャウトを入れると 全ての楽器が入る 隊員Nと隊員Vが息を飲んでアースを見詰める

計測室

グレイゼスとベイゼスが見詰めて ベイゼスが機器を調整する グレイゼスがアースを見ると エレキギター演奏をしていたアースが演奏をしながらマイクへ向く グレイゼスがモニターへ向く アースが息を吸うと グレイゼスがモニターに注目する

【 オペラホールBOXシート 】

アリアの声が響く館内 マリアが呆気に取られている ラミリツがマリアを見て微笑してから ホール内を見る 騒いでいた子供たちが舞台を見詰めている ラミリツが微笑して思う
(…そう 本当に魂の… ソウルの籠った歌や演奏の前には 躾けも何も要らない… そんな事をしなくったって 皆 同じ思いになれるんだ)
ラミリツが舞台を見る 舞台にいるアリアが 歌いながら ラミリツを見上げ 歌を続ける

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

計測室

モニターにフォルマントが表示されていて 横の表示に検索エラー表示が提示されている グレイゼスが微笑して思う
(やっぱりな?エレキギターの音に加えて デスメタル特有のこの音の量じゃ 声紋鑑定は出来ない 大丈夫だ 唯一音が少なかった イントロ部分のシャウトはナルさんだし)
隊員Nと隊員Vが入ったメンバーの掛け声が入る グレイゼスが微笑して思う
(始まる前は あんなに緊張していた彼らも… あの様子は 昨日と同じで 完全にノッてるな?皆さん 楽しんでいるみたいで 何よりで?)
グレイゼスがアースを見る アースがエレキギターを弾きながら歌っている グレイゼスが苦笑して思う
(そして 当のお方は…)
スピーカーからアースの声が聞こえる

=戦いが始っている うろたえるな暴れるな 猛然と立ち向かわなければならない 戦わない奴は唯の屑だ!逃出す奴は クソ食らえ!=

グレイゼスが苦笑して言う
「凄い歌詞だなぁ…」
ベイゼスが笑んでいる

【 オペラホールBOXシート 】

アリアが歌っている

―姫との出会いと別れ 攻撃の兵士の思いは 姫へと届かずか?されど 再び出会いし その場所は アールスローン これは神の悪戯か?悪魔の誘いか?―

マリアが呆気に取られると ラミリツが衝撃を受け言う
「えっ!?」
アリアが嬉しそうに歌う

―想い人との再会を果たせし 攻撃の兵士 されど願いは届かず かの姫は 既に 敵国の兵士のモノとなりて なれば その想いは アールスローンの歌姫の下へ 戻りて―

ラミリツが慌てて思う
(ちょ、ちょっと 待ってよっ!?その歌詞って まさかっ!?)

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

アースが歌う

―ここは俺の世界で お前はそこに居るんだよ その目で見れば俺の姿が見えるだろう?その耳で聞けば俺の声が聞こえるだろう?目も耳もふさがれたとあっても 俺の音を感じるだろう?―

計測室

グレイゼスがPCを操作しながら 脳裏に昨日の戦時の状況が思い出される グレイゼスが思う
(ここは俺の世界… 確かに 今の世界は …少なくとも このアールスローンは ハブロス司令官の世界なのかもしれない… この国の何処の誰だって ハブロス司令官の事を知っている)
グレイゼスがガラス遮へいの先を見る アースが歌う

=地位も名誉も何も無い世界で 俺もお前も死に瀕しているんだよ 誰も気付いていなくても それに気付いたら お前はどうする?=

グレイゼスが思う
(地位も名誉も何も無い… まるで 今の俺たちみたいだ… マリに言われて10年以上もたってやっと気付かされた 俺は最下層の人間で ハブロス司令官は高位富裕層 通常なら 普通の会話なんてとても出来ない それが出来ていたのは…)
グレイゼスがアースを見て思う
(このアールスローンが… この世界が それほどの 危機であったからだ)

射撃場

アースが歌う

―俺は目的の下に向かう 何があってもそこを目指す お前にその場所が分からないのなら 俺を探せば良いだろ ここは俺の世界なんだから 見付かるだろう 目的を教えろと言たって教えてはやらない 連れて行ってくれと嘆願したって 連れて行ってはやらない それでもお前がそれを求めるなら 俺を見付ければ良いだろう 俺は お前を拒みはしないし 求めもしないが もし お前が 俺の目に見えるのなら―

計測室

グレイゼスが思う
(俺たちは ARTとして ハブロス司令官と共に居る それでも 本当の目的は知らされていない 漠然と世界を守ると言う言葉だけで その真相は闇の中だ それでも 俺たちは ハブロス司令官を探してARTへ集った そして 例え目的を知らされずとも 何処へ行くのかだって知らされなくても それでも 俺たちは共に… 貴方を信じて!)
グレイゼスがアースを見る アースが歌う

=お前を全力で使ってやるから 有難く使われろ!=

グレイゼスが衝撃を受ける 皆が叫ぶ

=be coming!=

グレイゼスが苦笑して言う
「うぅ… 耳が痛い…」
ベイゼスが笑う
「っはは そのままっすからね?」
ギターソロになる グレイゼスが言う
「ああ、まったくだ… それにしても」
グレイゼスが苦笑して言う
「本当に器用な人だなぁ?」
アースが見事なギターソロの速弾きをしている

【 オペラホールBOXシート 】

アリアが歌う

―されど 我らがアールスローンの攻長 汚名は正義の名の下に 晴らして見せんと 敵国の兵士を破るであろう 勇ましき 我らアールスローンの攻撃の兵士 その名は!―

ラミリツが慌てて言う
「や、止めてーっ!?」
レイが喜んで言う
「おー!誰だ誰だー!?マリアのヴィザードさまは 最強だからなー!?アールスローンの攻撃の兵士なんか 俺のデカイ魔法の一発で!」
観客の子供たちが喜んで言う
「「ラミリツ・エーメレス・攻長かっかー!」」
ラミリツが衝撃を受ける マリアが呆気に取られた後笑う ラミリツが羞恥に赤面する レイが子供たちの声に衝撃を受けると ラミリツへ向いて言う
「おお!?お前だったのか!?ラミリツ!?よーし!それなら 俺のデカイ魔法の一発で ぶっ飛ばしてやるから 掛かって来ーい!」
レイが杖を構える ラミリツが慌てて言う
「やらないったらっ!?」

【 国防軍レギスト駐屯地 第二射撃場 】

アースが歌う

―ここは俺の世界で お前はそこに居るんだよ まだ分からないのか?その目に見えなくとも その耳に聞こえなくとも 俺のソウルを感じるだろう?―

皆が叫ぶ

―be coming!―

計測室

グレイゼスがアースを見る アースが歌う

=神も悪魔も ビビッて逃げ出したとしても そいつらだって 俺の世界に居るんだよ だったら 同じ場所に居る お前が行うべき事は分かるだろう?=

皆が叫ぶ

=be coming!=

アースが歌う

=何をしたら良いか分からないなら 見れば良いだろう 聴けば良いだろう 感じれば良いだろう お前の魂は知っている=

射撃場

アースが歌う

―俺に聞くなよ 勝手に気付けよ 自分に何が出来るのかと問う奴は屑だ 逃げ出す奴はクソ食らえ!逃げたけりゃ 逃げれば良いだろう どうせ気付くだろう ここは俺の世界だと―

皆が叫ぶ

―be coming!-

アースが歌う

―だからと言って 俺は お前を助けもしないし 守りもしない 傍に居るならトコトン使ってやる 嫌なら逃げれば良いだろう ここは俺の世界だ お前が何処に居るかってだけだろう?そんな事に興味は無い 俺は俺の目的の下へ向かうだけだ そして 辿り着いて 言ってやるよ ここは俺の世界だと 誰も信じないとしても 分かるだろう?お前の魂が 真実を知らせる―

皆が叫ぶ

―IN YOUR SOUL!-

グレイゼスがガラス遮へいの先を見る 曲が終わり アースがグレイゼスを見る グレイゼスが微笑して頷く アースが微笑する 隊員Nと隊員Vが顔を見合わせてから叫ぶ

「「最高ーっ!」」


続く
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