ドジっ子聖女とヴァンパイア

えりー

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満月の夜

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シーリンは異常なのどの渇きを覚えた。
「レン様、のどが渇きます。お水を飲んでも飲んでも治まりません」
「シーリンが欲しいものはこれだろう」
そう言うと自分の首筋をシーリンに差し出した。
(ああ、そうかヴァンパイアになったんだった)
そう思いレンの首筋を舐め、牙を突き立てた。
レンの様に上手く口に入っていかない。
レンの服に血の染みを作ってしまった。
それでも何とか飲むことが出来た。
「レン様、お洋服を汚してしまいすみません!!」
「このくらい構わない。それより喉の渇きは癒えたか?」
そう訊ねられシーリンは喉の渇きが治まっていることに気がついた。
「はい、ありがとうございます」
シーリンは微笑んでそう言った。
その微笑は妖艶なものだった。
その姿を見てレンはシーリンが本当にヴァンパイアになったことを実感した。
「どうしました?」
「いいや、どうもしない。ただシーリンがヴァンパイアになったことが嬉しくて」
「ふふふ、変なレン様」
「それよりもいよいよ今夜だな」
「はい」
一応シーリンには護身用として銀で出来た短剣を渡した。
「シーリン、決して銀に触れてはいけない。火傷をしてしまうからな」
「はい」
銀は魔を払う力を持っていると言われている。
出来れば聖水も欲しい所だが、もう十字架にも触れることは出来ない。
「レン、どうやってレオンを倒すつもりなんですか?」
「魔方陣の中に封じて異空間へ飛ばしてしまおうと思っている」
「そんなことできるんですか?」
「簡単な事ではないがやってみようと思う」
レンは難しい表情をしている。
それほど難しいことなのだろう。
「ダリにも協力してもらうつもりだ」
「でもダリさん自分の事戦力外と言っていましたよ」
「ダリは弓の名人だ矢じりに銀を仕込んでもらって連射してもらう」
「ダリ、いるんだろう?」
一匹のコウモリがダリの姿になった。
「やっぱりバレていたのか」
「当り前だ。何百年の付き合いだと思っている」
「凄い・・・そんな事も出来るようになるんですね」
「ああ、その内シーリンも出来るようになるぞ」
ダリは嬉しそうにそう言った。
シーリンが仲間になったのが嬉しいらしい。
「ダリ、あまりシーリンに近づくな」
「何だよ嫉妬かよ?」
「ああ、他の男の傍に置いておきたくない」
「シーリン、苦労するだろうな・・・」
「・・・」
シーリンは顔を赤くして黙ったまま俯いた。
確かに苦労しそうだ。

日も落ち夜になり空には満月が登り始めた。
戦う態勢が整いあとはレオンの登場を待つだけになった。
その時レオンが現れた。
「シーリン・・・ヴァンパイアになったのか・・・」
レオンはショックを受けていた。
「私の愛しいシーリンをヴァンパイアにしたのは誰だ!?」
「俺だ。レオン」
「レン!!」
レオンは剣を抜きレンに斬りかかった。
「お前はシーリンを穢した。許さない!!」
「200年前の俺の気持ちが少しは分かったか?」
「~っ!!」
レオンは落ち着きを失いやみくもに剣を振い続ける。
レンはそれをかわしながら戦っている。
地面に書いた魔方陣までひきつける気らしい。
しかしそうは簡単にいかなかった。
「どこかに魔方陣が書かれているんだろう?レンの得意分野だからな」
キィンっとレンの剣は弾かれてしまった。
レオンはレンに剣を振り降ろした。
少し、かすったがレンは避けた。
「ダリ!!」
「はいよ!」
レンの掛け声でダリが弓で連射を始めた。
凄い勢いで矢が飛んでくる。
矢はレオンに何本か刺さった。
よろけたレオンは魔方陣の中に入ってしまった。
すると地面は光だした。
「・・・しまった!これは魔方陣か」
「地上でも、魔界でもない場所まで飛ばさせてもらう」
「やめろ、ここから出せ!」
レオンは取り乱し暴れた。
「・・・レオン」
シーリンはレオンを少し哀れに思った。
強い力に魅入られて平気で人を殺してきた報いを受けるときが来たのだ。
レオンさえいなくなれば魔女狩りは無くなり地上にも平穏が戻る。
「シーリン、助けてくれ」
シーリンは首を横に振った。
そしてこう呟いた。
「さようなら」
シーリンは魔方陣から離れた。
「シーリン、お別れは済んだか?」
「はい」
レンは魔方陣に手をかざし、呪文を唱え始めた。
魔方陣の中からレオンの悲鳴が聞こえる。
シーリンは思わず耳をふさいだ。
次の瞬間魔方陣は凄まじい光を放ち消滅し、中にいたレオンの姿は無くなっていた。
もしかすると魔方陣と一緒に消滅してしまったのかもしれないし、レンの言う通り違う場所へ飛ばされたのかもしれない。
それはシーリンにも誰にも分からないことだった。
もしかすると復讐に戻ってくるかもしれない。
その時はまた3人の力を合わせて戦うまでだ。
こうしてレオンとの戦いは終わった。
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