天使などいない

えりー

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歩み寄るガストとメル

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「メル帰ったぞ」
ガストはメルにそう声をかけた。
「お帰りなさい、ガスト」
メルがいることに安堵した。
昨日は本当に肝が冷えたのだ。
メルは料理が出来ない。
その為、ガストは町まで行ってパンや、調理済みの食材を買ってくる。
「腹が減っただろう?」
「はい」
メルは心なしか元気がないように見える。
昨日の事が尾を引いているようだ。
「メル、昨日の事はもう忘れよう」
「・・・はい・・・」
(やはり昨日の事をまだ引きずっているようだった)
そんなメルを元気づけようとプレゼント用に包装してもらったペンダントを差し出した。
「え?」
「これ、受けとってくれないか?」
「良いんですか?」
「ああ」
メルは大きく目を見開き驚いている。
丁寧に包みを開き、中のものを見た瞬間メルの顔色が変わった。
「わぁ!!」
「そのペンダントあの時のものとよく似ているだろう?」
金色の枠で縁取られ、石はエメラルド。
「このペンダント高価なものなのでは・・・?」
「金額の事は良い!早くつけて見ろ」
そう促されると嬉しそうにメルはペンダントをつけた。
「エメラルド色のメルの瞳とよく似ているな」
「そ、そうですか?」
「嬉しいか?」
「嬉しいです!!ありがとうございます!!」
メルはガストに抱きついた。
(今、抱きつかれるとまずいのに・・・)
ふわりとメルの香りがした。
とても甘美な香りに感じられた。
ガストは抱きたい欲求をグッと堪え、メルを抱きしめ返した。
そして頭を撫でてやった。
するとメルは満面の笑みを浮かべた。
「も、もう離れてくれ・・・」
「どうして?私の事避けているのですか?」
「違う。これ以上くっつかれると理性が保てん」
「?」
よく分からなかったがガストから手を離し、距離を取った。
「これ位離れてたほうがいいですか?」
「ああ、悪いな」
「でも何故ですか?」
「抱きたくなる」
「?」
やはり通じなかった。
「もういい。とにかく悪魔の血のせいでお前が欲しいと強く願っているんだ」
「私が・・・ほしいのですか?」
わからないままメルは言葉を続けた。
「私にできる事なら何でもします。ペンダントのお礼もしたいですし・・・」
「~・・・後悔しないか?」
「はい。もう恐れないと決めたので」
「では今晩抱かせてもらおう」
メルはまた熱っぽい視線で見られドキリとした。
ガストはメルを引きよせ抱きしめた。
メルの心臓は高鳴った。
「まだ怖いか?」
ガストの温もりを感じメルは安心していた。
「・・・大丈夫みたいです」
「そうか」
岩場の床に布団を敷きその上にメルを寝かせ服を脱がせ始めた。
「な!何をするんですか・・・!?」
「服が汚れるから脱がせている」
「汚れるような事をするんですか?」
「~~~っ、もう黙ってろ」
そう言い濃厚なキスでメルの唇を塞いだ。
行為の最中メルは何度も逃げようとしたがガストがそれを許してはくれなかった。
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