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元の世界への思い

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拓真がこの世界に来たから1年が過ぎようとしていた。
あの町の出来事からもう町へは行っていないが自給自足で何とか生活を送ることが出来ている。
ただ最近元いた世界の事を思い出しては懐かしく感じるようになった。
帰りたいような帰りたくないような不思議な感覚に襲われる。
でも、俺はこの世界で好きな人が出来た。
もう後戻りできない。
俺はこの世界で生きていくしかないのだ。
ランが言うには帰す術が無いらしい。
それなら早くこの世界に馴染み生活力を身につけていくべきだと思った。
今ではハーブの見分け方や、動物のさばき方、剣の腕も上達した。

ある日ランが書庫の掃除をしていると古い本を見つけた。
ランはその本を読もうとかぶっていた埃を払った。
その本はランにとっては絶望的な本だった。
幸い拓真はこの世界の文字が読めない。
自分さえ言わなければ、それで見なかった事にできる。
ランはこの本の存在が恐ろしくて仕方なくなった。
元の場所に直し、書庫の掃除を再開した。

夕食の時に、ランから突然思いもよらない内容の話をふられた。
「拓真さんは・・・元の世界に帰りたい?」
「ラン?そんな方法ないんだろう?」
拓真は不思議そうに訊ねた。
「ええ、たとえ話よ」
「そうだなぁ。もうそんなこと考えてなかったから、よくわからないや。たまに帰りたくなることもあるけどランを残して帰る事なんて出来ないもんな」
ランはその言葉に胸が痛んだ。
(やっぱり帰りたいのね・・・)
拓真は優しい。
(帰れるとしても私の事を思ってこの世界を選ぶはず・・・)
「どうした?食欲がないのか?さっきから全然食事が進んでないじゃないか」
拓真は心配してくれている。
「そうなの。ちょっと今日は食欲なくて・・・」
「大丈夫か」
そう言って拓真は手をランの額に当て熱を測ってくれた。
「熱はなさそうだな」
拓真は不思議そうにランの顔を覗き込んでいる。
後ろめたい事があるランは拓真の視線から目を逸らした。
「だ、大丈夫。ありがとう」
そう言ってランはぎこちなく微笑んだ。
「でも顔色は悪いな。今日は俺が一人で後片付けしておくからランはもう休んでいていいぞ?」
「ううん、私は大丈夫。今日は拓真さんも疲れてるでしょう?一緒に片付けよう」
拓真は怪訝な顔をしながら言った。
「あんまり無理はするなよ?」
「はい」
そうしてランは二人で片づけをし、入浴を済ませ、寝室に入った。
(どうしよう。話たほうがいいのかな?)
ランは迷っていた。
もし話して彼が自分の元からいなくなってしまったら悲しくておかしくなってしまいそうになるかもしれない。
でも、このまま話さず自分の為に彼をこの世界に留めておくのは身勝手な事のように思えた。
悩んでいると入浴を済ませた拓真が寝室に入ってきた。
「あ、拓真さん・・・」
「ラン?泣いていたのか?」
ランは気づかないうちに涙を流していた。
「あ、本当だわ」
そう言い自分の頬に手をあてた。
拓真は溜息をついた。
「もう、いい加減に何を隠しているのか教えてくれないか?」
「・・・言えないの、私には言う勇気がないの」
「なんだそれ」
「あと数日待って欲しい。心の準備をしたいから・・・」
拓真は何が何だかわからなかったが、彼女は必ず話してくれると信じ了承した。
「わかった。話してくれるまで待つよ」
本当は今すぐ知りたいが無理に聞くわけにはいかない。
そう思い大人しく待つことにした。
「ねぇ、拓真さん。お願いがあるの」
「何だ?」
(珍しい・・・というか初めてお願いをされた)
「今から抱いて欲しの」
思いがけない一言に拓真は一瞬固まった。
「なっ、何で急に・・・」
「不安な事があるの、少しの間でも忘れたいの。・・・お願い」
あまりにも彼女が真剣だったので拓真は彼女を受け入れることにした。
「わかった・・・どう抱かれたい?」
「拓真の好きなようにして」
そう言うと拓真の体に腕を回した。
「・・・ひどく抱くかもしれないぞ?」
「それでもいいの」
(今は優しく抱かれるよりむしろひどく抱かれた方がいい)
拓真は自分の服を脱ぎ、ランの服を下着と一緒に脱がせた。
そうして覆いかぶさりいつものように愛撫を始めた。
彼女の蜜が溢れ出すまで愛撫をした。
ランの片足を自分の肩にかけさせ思い切り自分のものを入れた。
「あっ・・・ん!?」
初めてとらせた態勢にランは戸惑っていたようだ。
だが、もうやめてやれない。
ランの体を横向きにし、片足だけ高く持ち上げ何度も突き上げる。
「ひぃんっ・・・あぅっ!」
きゅうぅうっとランの蜜壺の肉壁が閉まってきた。
まだイかせないと思い態勢を変えさせうつ伏せにした。
後ろから激しく突き上げていく。
「やぁ、も、イ・・・きた・・・いぃ」
その懇願を聞き入れ拓真はランの好いところを責め始めた。
快楽の芽を揉みほぐし、大きくなった芽を指先で転がしながら、より一層激しく腰を前後に動かし、最奥を突いた。
「あぁぁんんっ!」
最奥を何度も突かれランは達した。
「っく!」
ランが達するとき肉壁が蠢き大きく収縮を繰り返した。
その衝撃で拓真も達した。
(ランの望み通り、思いのまま抱いたがこれでよかったんだろうか?)
達した後ランはそのまま眠りに落ちてしまった。
今日の彼女の様子はどう考えてもおかしかった。
この数日後、拓真は大きな選択を強いられることになる。
拓真はその事はまだ知らずにいた。




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