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好きの自覚

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朱莉は気がつくと宗匠の事を好きになってしまっていた。
まだ彼の事は怖いと思っているが、それでも好きになてしまった。
(どうしよう、まだ子供を産むとか考えられないし、もしこの気持ちがバレたら毎晩抱かれることになるかもしれない)
朱莉は困った。
そもそも宗匠は朱莉を好きなのか・・・?
どうなのだろうか?
気に入っていいるとは言われたことがあるが好きだとは言われたことがない。
1人で悶々と考えているといつの間にか夜になっていた。
そろそろそ宗匠がくる時間だ。
「朱莉、具合が悪いのか?」
ベッドに突っ伏している彼女に声をかけてきた。
「・・・宗匠、具合は悪くないよ。ちょっと疲れただけ」
「そうか、ああいう場に慣れていないと言っていいたからな」
宗匠はそう言いテーブルに食事の用意をしていく。
その間も朱莉は考えていた。
「・・・どうした朱莉?」
ふいに顔を覗き込まれ、慌てて距離をとった。
「な、何でもない」
朱莉の顔は真っ赤になっていた。
「熱でも出たか?」
そう言い彼は自分の額を朱莉の額にくっつけ熱を測った。
するとますます彼女の顔は真っ赤になっていった。
そんな彼女に宗匠はキスをした。
それもいきなり深いキスだった。
「ぅんっ」
「やぁ・・・はぁ、んぅ」
朱莉はキスを受け入れた。
ろくに抵抗もしない彼女を見て宗匠は思った。
もしかして朱莉は俺の事を好きになったんじゃ・・・
「何故、抵抗しない?答えないともっとするぞ?ちなみに辰巳の前だぞ?」
「!」
「すみません。まだ私、ここに居ます・・・」
言いにくそうに彼はそう言った。
「言うから!辰巳さんすみません席を外してください!!」
そう慌てて朱莉が言うと部屋から辰巳は出て行った。
「それで?何で抵抗しないし、そんなに真っ赤になっているんだ?」
宗匠は問いただしてきた。
「私・・・宗匠の事、意識しだしたみたいなの」
「!」
宗匠は驚いた。
「それって好きになったって事か!?」
「たぶん・・・でもまだはっきりは分からないの」
そう答えると椅子から立ち上がり彼は朱莉を抱きしめた。
「もう怖くないのか?」
「まだ少し怖い」
「少しか」
そう呟くと宗匠は嬉しそうな顔をしていた。
彼に抱きしめられ心臓がどきどきと跳ねる。
「そう言いう宗匠は私の事どう思っているの?」
「好きなの?それとも気にいているだけ?」
そう問われ彼ははっきり答えた。
「俺はお前の事が好きだ」
「!!」
「気の強い所も含めて愛しいと思っている」
「・・・もし、私が宗匠の事好きになったらどうするの?」
「ここから出してやるしある程度の自由を約束してやる」
「あとは・・・?」
「あと?」
彼は不思議そうに訊ねてきた。
「あの、えっと、夜・・・毎晩抱かれたりするの?」
「毎晩はしないが・・・それが不安なのか?」
朱莉は頷いた。
その様子を見て彼は笑った。
「なんだ、そんなこと心配していたのか?」
「朱莉が嫌なら頻繁にはしない」
それを聞いて朱莉は安心した。
「それで俺の事好きなのか?はっきり聞かせてくれ」
「たぶん、好きなのかもしれない」
今言える精一杯の言葉だった。
「分かった」
「ここから出してやる。ただ、部屋の準備があるから少し時間が欲しい」
「うん」
そうしてお互いの気持ちを確かめ合い二人は見つめ合いキスを交わした。
今度は触れ合うだけの軽いものだった。
それでも二人は満足だった。
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