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八代家の座敷童
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八代家には古くから続く伝統的な家だ。
八代家には座敷童がいる。
少女の姿をしている。
名は彩という。
彩は今日も屋敷から外を見てため息をついた。
「外に出たい」
家の周りには彼女を出さないようにする結界が張ってあり彩は外へ出ることが出来ない。
そんな彩を哀れに思った当主は彩に外の世界の事を知る雑誌や、本などを渡していた。
当主の名は八代樹。
樹は彩の事を見ることが出来る能力を持っている。
彩は普通の人には見ることが出来ない。
彩を見ることが出来る人間が当主になる決まりがあった。
当主の役目は家の繁栄と守り神である彩を外へ出さないことである。
しかし、樹は彩の事を気に入っていた。
だから、女性用のファッション誌や、化粧品などを与えてみたりしている。
彩は優しく心の綺麗な少女だ。
彩も初めは樹を警戒していたが、次第に打ち解けていった。
そうして3ヶ月ほどかけて仲良くなった。
初めは今までの当主から酷い扱いを受けていたらしく、まるで警戒する猫のようだった。
今では懐いてくる犬のようだ。
樹はそんな彩が可愛くて仕方なかった。
それがいつしか恋愛感情に変わることはまだ本人も気づいていなかった。
今日も彩が閉じ込められている奥座敷へと樹は向かう。
お土産に彩の好きな金平糖をもって。
彩は金平糖が好物だった。
ケーキもクッキーも好んで食べた。
彩は甘いものが好きらしい。
「彩、今日は金平糖を持ってきたぞ」
「え!本当?」
彼女は嬉しそうに近づいてきた。
金平糖を受け取ると嬉しくてすぐ口に一粒入れた。
そうして頬を押さえ、嬉しそうにしている。
「甘~い!おいしい」
そう言いもう一粒口の中へ入れた。
見ていてとても幸せな気分になる。
「そうか、良かった」
そうして二人は一緒にお茶を飲み今日あった出来事を彼女に話した。
樹は今年25歳になる。
当主になったのは、15歳の時だった。
前の当主がなくなり、一族から彼女を見ることが出来る人間を探した。
すると、彩を見ることが出来たのは樹だけだった。
他の人間には見ることが出来なかった。
周りは始め15歳の当主へ反発し、言う事を聞かなかった。
しかし、樹は頭の良い子供だった。
口もうまく周りの大人たちを次第に味方につけていった。
そして今の当主として認められるようになった。
「・・・さっき、外を見ていたな」
「うん」
「やっぱり外へ出たいのか?」
樹は彩に訊ねた。
彩は無言で頷いた。
樹はその姿を見て彼女に頭を下げた。
「すまない。その願いだけは聞いてやれないんだ」
「わかってるわ。大丈夫よ」
ここは結界が張られているし、彩は樹の事を気に入っていた。
彼を困らせるような事はしたくないと思っていた。
二人はお互いを思い合っていたけれど、彩の願いだけは聞き入れることは出来なかった。
八代家には座敷童がいる。
少女の姿をしている。
名は彩という。
彩は今日も屋敷から外を見てため息をついた。
「外に出たい」
家の周りには彼女を出さないようにする結界が張ってあり彩は外へ出ることが出来ない。
そんな彩を哀れに思った当主は彩に外の世界の事を知る雑誌や、本などを渡していた。
当主の名は八代樹。
樹は彩の事を見ることが出来る能力を持っている。
彩は普通の人には見ることが出来ない。
彩を見ることが出来る人間が当主になる決まりがあった。
当主の役目は家の繁栄と守り神である彩を外へ出さないことである。
しかし、樹は彩の事を気に入っていた。
だから、女性用のファッション誌や、化粧品などを与えてみたりしている。
彩は優しく心の綺麗な少女だ。
彩も初めは樹を警戒していたが、次第に打ち解けていった。
そうして3ヶ月ほどかけて仲良くなった。
初めは今までの当主から酷い扱いを受けていたらしく、まるで警戒する猫のようだった。
今では懐いてくる犬のようだ。
樹はそんな彩が可愛くて仕方なかった。
それがいつしか恋愛感情に変わることはまだ本人も気づいていなかった。
今日も彩が閉じ込められている奥座敷へと樹は向かう。
お土産に彩の好きな金平糖をもって。
彩は金平糖が好物だった。
ケーキもクッキーも好んで食べた。
彩は甘いものが好きらしい。
「彩、今日は金平糖を持ってきたぞ」
「え!本当?」
彼女は嬉しそうに近づいてきた。
金平糖を受け取ると嬉しくてすぐ口に一粒入れた。
そうして頬を押さえ、嬉しそうにしている。
「甘~い!おいしい」
そう言いもう一粒口の中へ入れた。
見ていてとても幸せな気分になる。
「そうか、良かった」
そうして二人は一緒にお茶を飲み今日あった出来事を彼女に話した。
樹は今年25歳になる。
当主になったのは、15歳の時だった。
前の当主がなくなり、一族から彼女を見ることが出来る人間を探した。
すると、彩を見ることが出来たのは樹だけだった。
他の人間には見ることが出来なかった。
周りは始め15歳の当主へ反発し、言う事を聞かなかった。
しかし、樹は頭の良い子供だった。
口もうまく周りの大人たちを次第に味方につけていった。
そして今の当主として認められるようになった。
「・・・さっき、外を見ていたな」
「うん」
「やっぱり外へ出たいのか?」
樹は彩に訊ねた。
彩は無言で頷いた。
樹はその姿を見て彼女に頭を下げた。
「すまない。その願いだけは聞いてやれないんだ」
「わかってるわ。大丈夫よ」
ここは結界が張られているし、彩は樹の事を気に入っていた。
彼を困らせるような事はしたくないと思っていた。
二人はお互いを思い合っていたけれど、彩の願いだけは聞き入れることは出来なかった。
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