我が家の守り神

翌日の夜

初体験の翌日の夜、彼女の元へ行くと彼女は怒っていた。
「昨日は痛かった！まだ痛い！！」
「・・・そういうものだから」
そう樹が答えると彼女は余計に怒った。
「分かってるならしないで！」
「俺はお前を抱きたかったんだ」
樹も男だ。しかも25歳。
まだ我慢が出来る年齢ではない。
（しかし、そんなに痛いものなのか・・・）
「悪かったよ」
樹は頭を下げ謝った。それを見た彩はこう言った。
「・・・ガトーショコラ」
樹は何のことかわからなかった。
「ん？」
いきなりケーキの名前を言われて一瞬戸惑った。
「それで昨日の事は許してあげる」
「ああ、それなら買ってきたぞ」
そう言いケーキの箱を見せた。
彼女はケーキを頬張りながら幸せそうにしている。
（やっぱりまだまだ精神年齢はこどもなのか・・・いや、体もそうだったような気がするな）
そんな事を考えていると彩は樹に話しかけてきた。
「昨日の行為は・・・何なの？」
「あれは男女が愛し合う行為だ。あと子をつくる時にも同じことをする」
「？」
やっぱり彼女にはよくわからないらしい。
「もうしない？」
彼女は樹に質問してきた。
「いや、またするつもりだが？」
樹は正直に答えた。
「もう痛いのは嫌よ！」
「大丈夫だ。痛いのは初めだけだから・・・」
（確かそうだったはずだ）
「それなら・・・いい・・・」
樹は彼女にキスをした。
彼女は昨日の事を本当に許してくれたようでキスを受け入れてくれた。
樹は彼女の事を今日も抱く気だったが、さすがに無理をさせてあの行為を嫌いになられては困るので今日の所は諦めた。
彩は、昨日すごく痛い思いをした。
本当に痛かった。
やめてとお願いしても止めてもらえなかった。
力も全然敵わないし、ただ抱かれ続け、最後には意識を失ってしまった。
でも、これだけは分かる。
樹は、十分優しく抱いてくれたということ。
でも痛みは酷かった。
血は出るし、怖かった。
そして一番驚いたのは樹と交われたことだ。
物の怪の類の自分が人間と交われるなんて思っていいなかった。
そして、その行動をとった彼にも驚いた。
「樹は、私の事不気味に思ったり、嫌悪感を抱いたりしないの？」
「しない」
はっきりそう言われた。
樹はやはり今までの当主たちとは全く違うらしい。
今まではただ遠巻きに観察されたり、目も合わせてもらえなかったり、話しかけても無視された。
しかし樹は違う。
樹は、私に告白をし、キスをし、抱く。
彼はどうして私を恐れないのだろうか。
普通だったら怖がられるのに・・・。
（私は樹が好き）
（でも昨日みたいな痛い思いはしたくないなと思う）
彩は樹に抱かれたくないわけではない。
ただ怖かったのだ。
（次は痛くないと言っていたが本当なのだろうか・・・）
彩は疑いの眼差しを樹へ向けた。