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他に彩を見ることの出来る人間
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昼間から家の中が騒がしい。
何事だろうと思い彼女は屋敷内を見て回った。
すると一人の男性とぶつかった。
樹と思い顔を上げると、見知らぬ男だった。
男は樹と同じくらいの年齢だった。
彩に手を伸ばしてきた。
「こんにちは。俺は樹の遠縁にあたる斎藤悟というものです」
「・・・こんにちは私は彩よ」
(どうしてこの人私の姿が見えるの!?)
そう思い怖くなり彼女は奥座敷へ逃げ込んだ。
悟は彩を追ってはこなかった。
彩は混乱した。
今までは一族から一人しか見ることが出来なかったのに・・・。
(何故あの人は私を見ることが出来たのかしら)
そうおもうと昨日の話を思い出した。
でもあれはたとえ話だった。
しかし、現実に起きてしまった。
こうなると樹は当主の座を下ろされるかもしれない。
悟の方が今までの当主と近いものを感じた。
彩に無関心ではないものの、そこまで入れこまない感じがした。
彩は彼が少し怖かった。
今日は樹の帰りが早かった。
当主会議の為らしい。
やはり彼は当主から降ろされるのだろうか・・・。
そんな不安を抱えながらこっそり彼らの話し合いに参加した。
悟と樹は驚いていた。
彩は樹の方へ行き、彼にしがみついた。
それを見た悟は苦々しく樹を見た。
樹はそんな悟を無視し、会議に集中した。
悟は彩を見つめ微笑んだ。
その微笑は少し怖いものがあった。
会議で決定したのは当主替えだった。
新しい当主は多数決で悟に決まった。
悟は無言で頷き了承した。
当主の座を降ろされた樹は奥座敷への出入りを禁止された。
こうして二人は引き離されそうになった。
だが、彩はこうして屋敷内ならばどこへでも行くことが出来る。
しかし、悟は奥座敷にも結界を張るように指示を出した。
さっき廊下で会わなければこんな事にはならなかったかもしれない。
でも、こうなってしまっては仕方がない。
いくら元当主でももう今はただの一族の一人にしか過ぎない。
樹は彩にこそっと手紙を渡した。
彩は悟たちに連れていかれ、奥座敷に閉じ込められてしまった。
「出して!!」
「駄目だよ、ここから逃げたいんだろう?」
「!」
悟は笑顔を崩さないまま低い声音で言った。
「逃がさないよ」
「何故?」
「俺はね、昔君を見た事があるよ。その時からずっと君を想ってきた」
悟は遠縁であることを理由に当主候補から外された。
しかし、あまりにも樹が彩に入れ込んでいることからいつか逃亡を図るのでは危惧して人々は新たに見えることの出来る人間を探し出し連れてきたのだ。
それが悟だった。
悟は満足そうに彼女を閉じ込め笑った。
「私は樹が良いの!!当主交代なんて認めない」
「そう、君がどんなにあがいても何も変えられないよ」
そう言い彼は去って行った。
彩は樹からもらった手紙の存在を思い出した。
そうして手紙を開くと、今晩迎えに行くと書かれていた。
彼はこうなることを予想していたのだ。
だから彩に昨日あんな話をしたのだ。
彩はその事に気がついた時にはすでに遅く、奥座敷に閉じ込められていた。
何事だろうと思い彼女は屋敷内を見て回った。
すると一人の男性とぶつかった。
樹と思い顔を上げると、見知らぬ男だった。
男は樹と同じくらいの年齢だった。
彩に手を伸ばしてきた。
「こんにちは。俺は樹の遠縁にあたる斎藤悟というものです」
「・・・こんにちは私は彩よ」
(どうしてこの人私の姿が見えるの!?)
そう思い怖くなり彼女は奥座敷へ逃げ込んだ。
悟は彩を追ってはこなかった。
彩は混乱した。
今までは一族から一人しか見ることが出来なかったのに・・・。
(何故あの人は私を見ることが出来たのかしら)
そうおもうと昨日の話を思い出した。
でもあれはたとえ話だった。
しかし、現実に起きてしまった。
こうなると樹は当主の座を下ろされるかもしれない。
悟の方が今までの当主と近いものを感じた。
彩に無関心ではないものの、そこまで入れこまない感じがした。
彩は彼が少し怖かった。
今日は樹の帰りが早かった。
当主会議の為らしい。
やはり彼は当主から降ろされるのだろうか・・・。
そんな不安を抱えながらこっそり彼らの話し合いに参加した。
悟と樹は驚いていた。
彩は樹の方へ行き、彼にしがみついた。
それを見た悟は苦々しく樹を見た。
樹はそんな悟を無視し、会議に集中した。
悟は彩を見つめ微笑んだ。
その微笑は少し怖いものがあった。
会議で決定したのは当主替えだった。
新しい当主は多数決で悟に決まった。
悟は無言で頷き了承した。
当主の座を降ろされた樹は奥座敷への出入りを禁止された。
こうして二人は引き離されそうになった。
だが、彩はこうして屋敷内ならばどこへでも行くことが出来る。
しかし、悟は奥座敷にも結界を張るように指示を出した。
さっき廊下で会わなければこんな事にはならなかったかもしれない。
でも、こうなってしまっては仕方がない。
いくら元当主でももう今はただの一族の一人にしか過ぎない。
樹は彩にこそっと手紙を渡した。
彩は悟たちに連れていかれ、奥座敷に閉じ込められてしまった。
「出して!!」
「駄目だよ、ここから逃げたいんだろう?」
「!」
悟は笑顔を崩さないまま低い声音で言った。
「逃がさないよ」
「何故?」
「俺はね、昔君を見た事があるよ。その時からずっと君を想ってきた」
悟は遠縁であることを理由に当主候補から外された。
しかし、あまりにも樹が彩に入れ込んでいることからいつか逃亡を図るのでは危惧して人々は新たに見えることの出来る人間を探し出し連れてきたのだ。
それが悟だった。
悟は満足そうに彼女を閉じ込め笑った。
「私は樹が良いの!!当主交代なんて認めない」
「そう、君がどんなにあがいても何も変えられないよ」
そう言い彼は去って行った。
彩は樹からもらった手紙の存在を思い出した。
そうして手紙を開くと、今晩迎えに行くと書かれていた。
彼はこうなることを予想していたのだ。
だから彩に昨日あんな話をしたのだ。
彩はその事に気がついた時にはすでに遅く、奥座敷に閉じ込められていた。
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