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ルークを避ける桃子

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桃子は媚薬の一件よりルークを少し避けるようになった。
自分は間違えたことをしていないのにあんなお仕置きをされるとは思わなかった。
その上ミューまで罰せられた。
その罪は桃子に別の服を渡したというくだらない罪だった。
桃子はその事にとても腹を立てていた。
歩いていると廊下でルークと会った。
しかし、桃子はあからさまに無視をした。
その姿を見たマオールが言った。
「桃子様と何かあったんですか?」
「ああ、ちょっとな」
桃子はひらりと飛び、別の廊下へ移動した。
マオールはその姿に一瞬見惚れていた。
「マオール」
「・・・すみません、あまりにも綺麗にお飛びになるものですから」
そう、最近の桃子は訓練の成果もあり前よりうまく力を使いこなせるようになっていた。
「桃子様は努力家ですね」
「無駄に努力をしなくても俺が守ってやるのに」
「あー・・・、この間の戦の時の事で喧嘩されたんですか?」
「・・・」
ルークは黙った。
「あの時の桃子様は本当にかっこよかったですもんね。俺たちの出る幕がほとんどなかったし」
「・・・黙れ、マオール」
マオールに対して心の底から苛立ちを感じた。
しかし、マオールの言う通りだった。
あの時桃子が来てくれなければ無駄なけが人を出すところだった。
それが防げたのは全て桃子のおかげなのだ。
だが、毎回あのような場所へ桃子を連れて行くわけにはいかない。
桃子の身に何かあってからでは遅いのだ。
桃子は自分の妃であり、いずれ世継ぎを産むという仕事も控えている。
ルークは思っていた桃子は自分の振舞い方についてもう少し理解しておいてほしい。
桃子はルークと初めは無理やりだったが結婚し今では妻として・・・正妃としてルークの隣にいる。
その桃子が単独で戦場へ乗り込んできたのだ。
これは正妃としていかがな振舞いかと思う。
最近ではやっとルークに懐き始めたと思ってたらだ。
原因はルークにもあるのだが桃子には言っても聞く耳を持たないところがある。
だから強行手段に出て体を使い桃子に言い聞かせたのだ。
それなのに桃子に避けられるようになってしまった。
夜に眠るときも、食事の時も、話しかけても無視される始末だ。
2人の関係はまた振出に戻ってしまったようだ。
桃子は自分が今いかに他国からの関心を集めているか自覚がない。
自覚がないというよりは足りない。
今度ルークは桃子のお披露目のパーティーを開こうと思っている。
あまりにも他国から手紙が届くので、直接桃子を披露しようと考えている。
しかし桃子は人前に出るのは苦手なようでいつもルークがフォローしている。
桃子には正妃としての教育が必要なのかもしれないと思うルークだった。
だが、今の桃子にこの話はしづらい。
ただいま絶賛喧嘩(?)中なので。
そして、あんまり電撃を使わないように注意しておくことも必要に感じている。
もし他の国の者にでも見られたら厄介なことになりかねない。
電撃の訓練を室内で静かに行うならそこまで気にする必要はないが、桃子は思い切り電撃を使う。
それゆえ”電撃の魔女”と呼ばれているのかもしれない。
桃子と早く仲直りをして、色々な話をしなければならない。
ルークは桃子の後を追った。
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