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実姫の想い

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実姫はイッドに犯されて以来が怖くなった。
ヒューイは気を使い抱いてくれるが、やはり怖いものは怖い。
ヒューイに怯えているわけではないが、行為に及ぼうとすると自然と体がこわばり、震えだす。
私は、ヒューイを愛している。
ヒューイは他の悪魔からも全力で守ってくれる。
なるべく戦っている姿を見せないよういに気を使ってくれていることも気づいている。
彼の戦い方はきっと残虐なのもだろう。
立ち向かってくる者には容赦なく返り討ちにし、死ぬまで暴行を加えているに違いない。
彼は気性が激しい。
初めはその気性の激しさに実姫も怯えたものだ。
今はその気象の荒さも含めて愛している。
ヒューイは私と屋敷に結界を張ったと言っていた。
これで他の悪魔は屋敷に近づけなくなったらしい。
しかし、ヒューイには敵が多い。
私を屋敷に残し一人で戦いに行くことは日常茶飯事だ。
その度に彼は無傷で帰ってきてくれるので安心できた。
彼は強い。
その辺の悪魔が束になって襲ってもきっと敵わないだろう。
その強さは知っているが実姫はヒューイが戦いに行くたびに心配する。
彼はそんな必要はないというがやはり気になって仕方ないのだ。
確かに魔界に来て退屈はしない。
毎日、している。
でもそれは、実姫の望むものと違う充実だった。
ヒューイは私が退屈しないように努力をしてくれる。
刺繍の仕方を教えてくれたり。綺麗な花を摘んできたり、大量の贈り物をくれたりする。
(私はもう、贈り物はいらないのに・・・)
ただヒューイと一緒に穏やかに暮らせればそれでいいのに・・・。
それすら叶わないらしい。
常に悪魔に狙われているこの状態は本当にいつまで続くのだろうか。
実姫はもう元の世界に帰りたくなくなっていた。
ヒューイの事をそれほど愛してしまっているのだ。
ヒューイと離れ離れになるくらいならこの魔界に留まったほうがいい。
実姫はそう思うようになっていた。
この気持ちはきっとヒューイに筒抜け状態なのだろう。
キスをされない日は一日たりともない。
実姫は早くあの行為を怯えずに受け入れられるようになりたいと思っていた。
彼にこれ以上気を遣わせたくなかった。
また明日が約束の3日目だ。
明日こそ怯えずに彼を受け入れられたらいいなと実姫は思っていた。
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