ノベルゲーム(ノーマルエンディング)

えりー

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デート

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ポストを覗くと、とある会場でコスプレイベントがあると記載されていた。
英樹はすぐにマリエルのあの姿を思い浮かべた。
マリエルはいつも麻理恵の姿になってくれている。
本当は羽を伸ばしたいのかもしれない・・・。
英樹はそのチラシを持って隣に住む麻理恵の家を訪ねた。
インターホンを押し、麻理恵を待つ。
「どうかしたの?」
声と同時にドアが開いた。
「あのさ、いつも麻理恵の姿で疲れないか?」
「そうねぇ・・・力を押さえ込んでいるようなものだから少し窮屈ではあるかな」
麻理恵は微笑みながらそう答えた。
(やっぱりそうなんだ・・・)
さっき、ポストに入っていたチラシを麻理恵に見せた。
「コスプレ祭り・・・?」
「そう、これならマリエルの姿でも大丈夫じゃないか!?」
「・・・それはそうだけど・・・あんまり人前であの姿になるのもよくないと思うの」
「どうして?」
英樹には分らなかった。
力を解放したいなら参加したほうが体にかかる負担が減るのではないのだろうか。
しかし、麻理恵はあまり乗り気ではない。

選択肢
1.マリエルの姿も好きだから見たい
2.力を発散させてきたほうがいい
3.参加しない

「俺は参加して力を発散させたほうがいいと思う。その方が体が少しは楽かもしれないし」
「でも・・・」
「大丈夫だって、皆同じような恰好で来るから」
そう言い英樹は薦めた。
「わかったわ、英樹がそこまで言うんなら・・・参加するわ」
麻理恵はさっそく電話で参加する旨を伝えエントリーした。
「一週間後だな」
「楽しみね」
羽を伸ばせることが嬉しいのか麻理恵の機嫌は良い。
しかし、顔は赤かった。
「麻理恵、熱でもあるのか?」
「え!熱なんてないわ!」
「でも、顔が赤いぞ?」
「・・・マリエルと麻理恵の姿、どっちが好みなの?」
「な、何を言い出すんだいきなり」
「答えて・・・」
(上目遣いなんてずるい・・・)
英樹は正直に答えた。
「両方同じくらい好きだ」
「・・・そうなんだ」
更に真っ赤になりそれっきり話さなくなってしまった。
いたたまれなくなり英樹は自分の部屋へ戻ることにした。
「待って、あの、好きって言ってくれてありがとう」
「・・・本当のことを言っただけだ」
英樹は照れ隠しで早口になってしまった。

ー1週間後ー
今日は約束の日だ。
「これって初デートなんじゃ・・・」
鈍い英樹は今頃になり自分が麻理恵をデートに誘ったことに気が付いた。
(どうしよう・・・急に緊張してきた)
その時ピンポーンっとインターホンが鳴った。
びくっとしてしまった自分が恥ずかしい。
玄関を開けると麻理恵が立っていた。
「もう出れそう?」
「ああ。今から迎えに行くところだった」
2人は並んで歩き始めた。
歩調を麻理恵の歩調に合わせてやるとそれに気づいたのか麻理恵が謝ってきた。
「歩くの遅くてごめんなさいね」
「天界ではいつも飛んでいたんだろう?」
「ええ。滅多に歩くことが無くて」
それなら麻理恵が歩くのが遅いことに納得がいった。
徐々に人が増えてきた。
英樹は無意識に麻理恵の手を掴んでいた。
「あ、悪い!」
「いいわよ。手を引いてくれた方が歩きやすかったわ」
英樹は麻理恵の手を見てもう一度繋ぎなおした。
手を引いて歩いているとまるで恋人同士にでもなったような気になった。
「着替えをする方はこちらです」
案内人の女性が麻理恵に声をかけてきた。
「あ、はい。では行ってきますね」
「ああ。ここで待ってる」
そう言い噴水の前で待った。
暫くするとマリエルの姿で走ってくるのが見えた。
(やっぱり凄く綺麗だ)
見惚れていると不思議そうにマリエルは覗き込んできた。
「どうかした?」
「いいや、何でもない」
(ここで良い言葉の一つでもかければかっこいいのに)
だが、直視するにはあまりにも神々しすぎる。
マリエルは他のコスプレイヤーたちの中に溶け込んでも1人人目を引いていた。
英樹は少し誇らしい気分になった。
ほかのプレイヤーたちは天使や悪魔、アニメのキャラのコスプレをしていた。
「うん、浮いてはいないな」
舞台の上で楽しそうに羽をはばたかせているマリエルは本当に美しかった。
イベントも終わり、舞台からマリエルが降りてきた。
「随分楽しそうだったな」
「ええ、こんなに楽しい思いしたのは久しぶりよ」
清々しそうにマリエルは英樹に笑いかけた。
「英樹ありがとう」
「いや、俺は何もしていないし」
「私の背中を押してくれたじゃない」
そう言い満面の笑みをマリエルは浮かべていた。
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