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楽しく育児 ※四巻以降の内容です
白雪姫だそうです
保育園にお迎えに行った時に、遠藤さんに呼び止められた。
「薫さん! ねえ、お知らせみた?」
「お知らせ? 城址公園の割引券のこと?」
「違うわよ。九月の劇の発表会のこと!」
そういえば、冷蔵庫の横に優一さんが貼ってくれていた気がする。
まだ見ていなかった。
保育園は、電子のお知らせを導入してくれている。
昔と比べてプリントは減ったらしいのだが、まだまだ山のようにお知らせという名のプリントが我が家に舞い込む。気を抜くと、折り紙など突発的な持ち物を見過ごすから、注意が必要だ。
あれ……園長先生の季節の挨拶は毎回必要なのだろうか。
もちろん、それを楽しみにしている人がいるのは、なんとなく理解しているんだけれども、学生の頃に校長先生の挨拶で毎回眠くなってしまっていた私としては、省いても良い気がする。
その方が、園長先生も文章を考える手間が省けると思う。
てか、今は、そんなの良いのよ。
私は、スマホで電子メールのお知らせを確認する。
確かに、九月の発表会のことが、園長先生の挨拶のすぐ下に書かれている。
「へえ、発表会で、白雪姫をするのね」
この大暴れの二歳児を集めて劇をやるなんて、すごいな、先生たち。
……まあ、たぶん劇とは名ばかりで、舞台の上で衣装を着て立っているだけなんだろうけど。
普段のご飯を食べているだけで理歩のお世話で大変な思いをしている私達には、考えられないことだ。
やっぱりプロの保育士さんってすごいんだ。
「そう。だから、白雪姫の絵本を読み聞かせして、普段からお話に親しみを持たせてほしいっていうことみたいなおの」
「遠藤さん、さすが。そんなことまで書いていたのね」
確かに、お知らせを確認すれば、遠藤さんの言う通り、推奨する絵本がいくつか挙げられている。
「持っていないな。買わなきゃね」
白雪姫、理歩の好きなジャンルの絵本じゃないからな。
本屋さんでも、お姫様の載っている本はあまり手に取らない。
猫やワンコの絵が載っている本があれば、すぐにそちらを手に取ってしまう。
「あら、じゃあ! 今度貸してあげるわよ! 家に何冊かあるから」
遠藤さんが提案してくれる。
そうだった。
遠藤さんは、読書が趣味で、特にミステリが大好きで、その蔵書もすごい。
リビングにも書斎にも、本があふれている。
「あれ、でも白雪姫はミステリじゃないでしょ?」
なのにどうしてそんな何冊も持っているのか。
「ミステリを知るためには、伝承や民話は押さえておくべきなのよ!」
遠藤さんが熱く語る。
いかん。遠藤さんの推し活スイッチを押してしまったみたいだ。
「いい? ベースとなる民話を元にしてミステリを展開することは、ままあることなのよ! だから、ミステリをたしなむには、呪術や民話、妖怪、歴史は、知っておいて損はないの」
目がキラッキラしているぞ遠藤さん。
あの話に使われている呪術は……とか、どんどん遠藤さんの話が深みにはまっていく。
「特に民話はね……いろんなバージョンがあるから……作者がどの話を元にしているのかを追うと、さらに面白みは増すのよ」
ああ……なるほど、それで何冊も気になった時には買っちゃうんだ。
うん。分からなくはない。
私の愛するティミー様は、海外のお方だもの。
字幕バージョン、吹替バージョン、映画を色々と楽しむのは基本だ。
私は基本は字幕が好きだけれども、素敵な声優さんが甘い声を当ててくれていたら、そのバージョンも観たくなるってもんだ。
ともあれ、九月まではまだ時間はあるのだから、理歩に白雪姫とは何かを教え込むのは、まだまだ余裕がある。
ゆっくりと、楽しめばよいのだ。
「薫さん! ねえ、お知らせみた?」
「お知らせ? 城址公園の割引券のこと?」
「違うわよ。九月の劇の発表会のこと!」
そういえば、冷蔵庫の横に優一さんが貼ってくれていた気がする。
まだ見ていなかった。
保育園は、電子のお知らせを導入してくれている。
昔と比べてプリントは減ったらしいのだが、まだまだ山のようにお知らせという名のプリントが我が家に舞い込む。気を抜くと、折り紙など突発的な持ち物を見過ごすから、注意が必要だ。
あれ……園長先生の季節の挨拶は毎回必要なのだろうか。
もちろん、それを楽しみにしている人がいるのは、なんとなく理解しているんだけれども、学生の頃に校長先生の挨拶で毎回眠くなってしまっていた私としては、省いても良い気がする。
その方が、園長先生も文章を考える手間が省けると思う。
てか、今は、そんなの良いのよ。
私は、スマホで電子メールのお知らせを確認する。
確かに、九月の発表会のことが、園長先生の挨拶のすぐ下に書かれている。
「へえ、発表会で、白雪姫をするのね」
この大暴れの二歳児を集めて劇をやるなんて、すごいな、先生たち。
……まあ、たぶん劇とは名ばかりで、舞台の上で衣装を着て立っているだけなんだろうけど。
普段のご飯を食べているだけで理歩のお世話で大変な思いをしている私達には、考えられないことだ。
やっぱりプロの保育士さんってすごいんだ。
「そう。だから、白雪姫の絵本を読み聞かせして、普段からお話に親しみを持たせてほしいっていうことみたいなおの」
「遠藤さん、さすが。そんなことまで書いていたのね」
確かに、お知らせを確認すれば、遠藤さんの言う通り、推奨する絵本がいくつか挙げられている。
「持っていないな。買わなきゃね」
白雪姫、理歩の好きなジャンルの絵本じゃないからな。
本屋さんでも、お姫様の載っている本はあまり手に取らない。
猫やワンコの絵が載っている本があれば、すぐにそちらを手に取ってしまう。
「あら、じゃあ! 今度貸してあげるわよ! 家に何冊かあるから」
遠藤さんが提案してくれる。
そうだった。
遠藤さんは、読書が趣味で、特にミステリが大好きで、その蔵書もすごい。
リビングにも書斎にも、本があふれている。
「あれ、でも白雪姫はミステリじゃないでしょ?」
なのにどうしてそんな何冊も持っているのか。
「ミステリを知るためには、伝承や民話は押さえておくべきなのよ!」
遠藤さんが熱く語る。
いかん。遠藤さんの推し活スイッチを押してしまったみたいだ。
「いい? ベースとなる民話を元にしてミステリを展開することは、ままあることなのよ! だから、ミステリをたしなむには、呪術や民話、妖怪、歴史は、知っておいて損はないの」
目がキラッキラしているぞ遠藤さん。
あの話に使われている呪術は……とか、どんどん遠藤さんの話が深みにはまっていく。
「特に民話はね……いろんなバージョンがあるから……作者がどの話を元にしているのかを追うと、さらに面白みは増すのよ」
ああ……なるほど、それで何冊も気になった時には買っちゃうんだ。
うん。分からなくはない。
私の愛するティミー様は、海外のお方だもの。
字幕バージョン、吹替バージョン、映画を色々と楽しむのは基本だ。
私は基本は字幕が好きだけれども、素敵な声優さんが甘い声を当ててくれていたら、そのバージョンも観たくなるってもんだ。
ともあれ、九月まではまだ時間はあるのだから、理歩に白雪姫とは何かを教え込むのは、まだまだ余裕がある。
ゆっくりと、楽しめばよいのだ。
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⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。