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中学二年生(友人と共に、事件、ゴタゴタを解決)
修学旅行 8
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赤野周作は、二人組の男に捕まって後部座席に転がされていた。
目隠し、猿ぐつわ、両手を後ろに縄で縛られて身動きは取れない。
ヒントは出来うる限り、残してきた。それに今井達なら気づくだろう。だけれども、自力で脱出する方法も探りたい。
この男達が、歌う周作をすごい形相で睨んでいたことに気づいた。憎々し気な表情。男の一人が、合図してもう一人の男を人の少ない所に招いている。
これは、何かあると思った。だって、周作が客引きをしているのを嫌がるなんて、お婆さんの借金に関係している人間に違いないと思ったから。お婆さんを自殺させられないと知って新しい嫌がらせをしようとしていると思って、歌を切り上げて男達の計画を盗み聞きしようとした。
男達は、店を焼こうとしていた。
火事を起こして、お婆さんを事故に見せかけて殺してしまおうと計画している。
こんなの駄目だ。そう思った。
男達は、盗み聞きしている周作に気づいて、誘拐した。
そして、縛られて、今、車で連れ去られている。
防犯カメラの画像、車のナンバー。このまま周作が殺されたとしても、あれだけ証拠を残しておいたのだから、きっとこの男達の命運は尽きている。どうやったって逮捕は免れないだろう。
だが、周作は、このまま殺されてやるほどに可愛げはない。
虎視眈々と縛り上げられた状態でチャンスを狙っている。
「仙石さんが、この子に興味をもったらしい。そのまま連れて来いって」
運転席の男が、後部座席で周作の横に乗る男にそう言った。
目隠し、猿ぐつわで縛られていても、会話は聞こえる。仙石とは、つまり、この二人のボスということだろうか。
「なんだよ。弄んでから殺そうと楽しみにしていたのに」
後部座席の男が、そう言って周作の足を撫でまわす。
気持ち悪い。
周作は、もぞもぞと逃げようともがくが、上手くいかない。
かえって男を喜ばせてしまったようで、膝に載せられてしまう。
「顔写真を送ったのか? 可愛い顔してたし、気に入っちゃったとか?」
「まさか。そんなの送る時間はなかったろう?なんでも、仙石さんの手掛けた仕事の邪魔をした奴に似ているんだと。……ほら、記者を殺した事件。証拠を探しにいったところを目撃した子供と特徴が似ているんだそうだ」
「ふうん。じゃあ、尋問してから殺す感じか。残念だったな、お前。苦しんで死ぬんだそうだ」
勝手なことを言っている。
だが、この車の中では、殺されないことがはっきりした。
どうやら、その仙石とかいう男の所に向かっている。
その男は、今回のお婆さんを自殺に追い込む作戦にも、空き巣の男の関与した、殺人とインサイダー取引にも関与している。ろくな人間ではなさそうだ。
インテリやくざという感じだろうか。知恵を出して、命令して、手下に悪事を行わせる。自分は、手を汚さずに利益だけ回収する。
証拠は残りにくいから、手下が逮捕されても、自分には手が及ばないようにしている。
ふうん。賢いな。
興味が湧いた周作は、その男に会ってみたくなった。だから、準備だけすすめて、そのまま大人しく車に乗っておくことにした。
「おい。それ以上、触れば、仙石さんに怒られるぞ」
運転席の男が後部座席で周作を触り続けていた男を制する。
「仕方ねえ」
ポイッとおもちゃを放り投げるように、周作を放り投げると、つまんねぇ、と男はぼやいていた。
くそ、無事に帰ったら、絶対に捕まえてやる。
周作は、怒りを押し殺してじっと身をひそめていた。
目隠し、猿ぐつわ、両手を後ろに縄で縛られて身動きは取れない。
ヒントは出来うる限り、残してきた。それに今井達なら気づくだろう。だけれども、自力で脱出する方法も探りたい。
この男達が、歌う周作をすごい形相で睨んでいたことに気づいた。憎々し気な表情。男の一人が、合図してもう一人の男を人の少ない所に招いている。
これは、何かあると思った。だって、周作が客引きをしているのを嫌がるなんて、お婆さんの借金に関係している人間に違いないと思ったから。お婆さんを自殺させられないと知って新しい嫌がらせをしようとしていると思って、歌を切り上げて男達の計画を盗み聞きしようとした。
男達は、店を焼こうとしていた。
火事を起こして、お婆さんを事故に見せかけて殺してしまおうと計画している。
こんなの駄目だ。そう思った。
男達は、盗み聞きしている周作に気づいて、誘拐した。
そして、縛られて、今、車で連れ去られている。
防犯カメラの画像、車のナンバー。このまま周作が殺されたとしても、あれだけ証拠を残しておいたのだから、きっとこの男達の命運は尽きている。どうやったって逮捕は免れないだろう。
だが、周作は、このまま殺されてやるほどに可愛げはない。
虎視眈々と縛り上げられた状態でチャンスを狙っている。
「仙石さんが、この子に興味をもったらしい。そのまま連れて来いって」
運転席の男が、後部座席で周作の横に乗る男にそう言った。
目隠し、猿ぐつわで縛られていても、会話は聞こえる。仙石とは、つまり、この二人のボスということだろうか。
「なんだよ。弄んでから殺そうと楽しみにしていたのに」
後部座席の男が、そう言って周作の足を撫でまわす。
気持ち悪い。
周作は、もぞもぞと逃げようともがくが、上手くいかない。
かえって男を喜ばせてしまったようで、膝に載せられてしまう。
「顔写真を送ったのか? 可愛い顔してたし、気に入っちゃったとか?」
「まさか。そんなの送る時間はなかったろう?なんでも、仙石さんの手掛けた仕事の邪魔をした奴に似ているんだと。……ほら、記者を殺した事件。証拠を探しにいったところを目撃した子供と特徴が似ているんだそうだ」
「ふうん。じゃあ、尋問してから殺す感じか。残念だったな、お前。苦しんで死ぬんだそうだ」
勝手なことを言っている。
だが、この車の中では、殺されないことがはっきりした。
どうやら、その仙石とかいう男の所に向かっている。
その男は、今回のお婆さんを自殺に追い込む作戦にも、空き巣の男の関与した、殺人とインサイダー取引にも関与している。ろくな人間ではなさそうだ。
インテリやくざという感じだろうか。知恵を出して、命令して、手下に悪事を行わせる。自分は、手を汚さずに利益だけ回収する。
証拠は残りにくいから、手下が逮捕されても、自分には手が及ばないようにしている。
ふうん。賢いな。
興味が湧いた周作は、その男に会ってみたくなった。だから、準備だけすすめて、そのまま大人しく車に乗っておくことにした。
「おい。それ以上、触れば、仙石さんに怒られるぞ」
運転席の男が後部座席で周作を触り続けていた男を制する。
「仕方ねえ」
ポイッとおもちゃを放り投げるように、周作を放り投げると、つまんねぇ、と男はぼやいていた。
くそ、無事に帰ったら、絶対に捕まえてやる。
周作は、怒りを押し殺してじっと身をひそめていた。
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