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高校一年生(暗号・トリック中心)

タイムカプセル1

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「♡周作♡ 木根の叔父さんだよ(≧▽≦)ちょっと時間いいかな♪( *´艸`)」

そんなドン引きするようなオジさん構文で木根刑事に呼び出された赤野と一緒に、俺と夏目、今井も警察署に向かう。

「本当、迷惑だよね。何で僕たちをいいように利用して平気なんだろう」

 赤野がむくれている。
 でも、弟に会うためにさっさと帰ってしまう赤野と、こんな風に少しでも一緒に過ごせるのは、俺は嬉しい。

 通されたのは、会議室。

 四人でパイプ椅子に座って待っていると、木根刑事が写真を持って入ってきた。

「すまないね。キミたちに意見が聞きたくて」

そう言って、木根刑事が並べたのは、数枚の写真。

 四人の制服を着た女の子が楽しそうに写っている。歳は、俺達とそれほど変わらないように見える。ピースサインをしたり、指を三本立てて何かのポーズを取ったり。
 ? 何の写真だろう?

「暗号ってこと?」

赤野が、聞けば、

「ああ。そうだ。恐らくな」
と木根刑事が答える。

「古い写真だね。今とちょっと制服の着崩し方が違うし、この女の子の持っているキャラ、今は流行らないよね」

赤野が指さしたのは、数年前に流行ったキャラ。俺達が小学生の時に、テレビで流行ったキャラだろう。

「この四人がどうしたの?」

赤野が聞けば、木根刑事が黙る。捜査上の秘密で言えないということだろうか?

 ふうん、と何かを察した赤野が、つぶやく。

「いいよ。解いてあげる。まずは、この写真を、時系列に並べ直そう」

そう言って、赤野は、写真を見つめた。

「まずは、このペットボトル」

赤野が指さしたのは、一人の子が持っていたペットボトル。

「中身が少しずつ減っているよね? 突然増えることは、まず考えられないから、ペットボトルのジュースの量で、順番に並べる」


ジュースを毎回飲む訳ではない。だから、前後が判別できない写真がいくつかできる。

「後は、この女の子、途中から髪を後ろに束ねている。そこも注目しようか」

よく見れば、二人前でポーズを取っている後ろで、髪の長い女の子が、もう一人の娘に髪を結わえてもらっているのが写っている。

 それをヒントに、多少写真は前後が決まる。

 同じように、腕まくり、ほっぺに貼ったハートマークのシール、そんな物で、写真の時系列を決めて並べ直す。

 一つ一つの物の前後を考えることで、写真は、全部綺麗に、撮った順番で並べ直される。

 写真を眺める。
 四人の女の子が、かわるがわる全面に出て二人ずつで、ポーズをとっている。変なポーズ。
最初の写真は、左の女の子が中指を一本出して、右の女の子は、人差し指を一本。それぞれ手を横にして前に出して笑っている。

 他の写真も、指は違えど、似たようなポーズ……。
 ??? 何のポーズだろう??


「初めの写真が、『お』次は『ん』……」

赤野が写真を読み解き始めた。
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