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高校三年生(今までの応用です。暗号・トリック・事件・サイコパス……)
猫は暗号を運ぶ4
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「うわぁ!」
松尾が驚いて指の入った箱を落としそうになる。
元子さんが、慌てて箱をキャッチして、箱が地面に落ちるのは防げた。
「ちょっと! 松尾君? これ、大事な証拠品! 落とさないでよ!!」
元子さんが、松尾に文句を言う。
「そんなの無理だよ。そもそも、元子が率先して箱を掘り出さないと駄目だったんでしょ? いつまでものんきに一般人気分でいるからそうなるんだよ」
赤野が、松尾を庇う。
「うるさいわね。私だって、まだ慣れていないんだから、しょうがないでしょ? ……でも、これで分かったわね」
「なにが?」
「あら、周作は分からないの? 犯人の目的よ! 決まっているじゃない! これは、葵のストーカーが犯人でしょ!」
元子さんが、自信満々に断言する。
「は? 何で?」
「だって、指を送り付けてくるのよ? ほら、昔、何とかって言う絵描きが、自分の耳を恋人に送り付けたって話あったでしょ? 有名な何とかって花の絵を描いている人! あれと一緒よ。寺井葵に付きまとっていた犯人が、自分の体の一部を切り取って送り付けたのよ。超猟奇的な人物が犯人像ね!」
そう……なのか? やたら根拠にしている情報に『何とか』という部分が多い気はする。そして、猫の首輪についていた暗号を解いたら、人間の指の入った箱にたどり着いたということが、本当にストーカーと断定できるのか? でも、本職の警察官の言うことだし……。
俺は、戸惑う。
「元子……。ゴッホのことを言っているのは分かる。花を描いた絵画は、ヒマワリ。だけれども、そんなわけないでしょ」
赤野が、ハッキリ否定する。
「そもそも、寺井さんは、ストーカーに追いかけられたなんて話は、少しもしていないでしょ?」
「え、ええ。元子には悪いけれども、特に付きまとわれているって思ったことはないし」
寺島さんも戸惑っている。
「でも、葵が気づいていないだけかもしれないわよ?」
「いや、おかしいよ。自分の体の一部を送り付けてくる前に、何かアクションを起こすでしょ? 相手がストーキングに気づいていない状態で、いきなり体の一部を送り付けるって、有り得ないよ。行動が飛躍しすぎ! 僕なら、もっと接近する努力をしてから、送り付けるね。だって、そうしないと受け取ってもらえないもの。そんなやり方はしない」
元子さんには悪いが、俺も赤野の意見の方が一理ある気がする。
てか、自分が体の一部を、送り付ける考察を練るのは、どうかと思うぞ? 赤野。サイコパスか?
「それにこの指……」
赤野が、元子さんの手の中の箱を覗き込む。
「すごく小さいよね。子どもの指? それに、ずいぶん時間が経っているのかな? ミイラ化している。これ、送り付けた犯人本人の指かも疑問が残るよ」
そんなじっくりと観察する余裕は、俺達にはない。
ホントねえ……。と指を見つめる元子さんと、観察を続ける赤野。その他のメンバーは、それをドン引きしながら見ていた。
松尾が驚いて指の入った箱を落としそうになる。
元子さんが、慌てて箱をキャッチして、箱が地面に落ちるのは防げた。
「ちょっと! 松尾君? これ、大事な証拠品! 落とさないでよ!!」
元子さんが、松尾に文句を言う。
「そんなの無理だよ。そもそも、元子が率先して箱を掘り出さないと駄目だったんでしょ? いつまでものんきに一般人気分でいるからそうなるんだよ」
赤野が、松尾を庇う。
「うるさいわね。私だって、まだ慣れていないんだから、しょうがないでしょ? ……でも、これで分かったわね」
「なにが?」
「あら、周作は分からないの? 犯人の目的よ! 決まっているじゃない! これは、葵のストーカーが犯人でしょ!」
元子さんが、自信満々に断言する。
「は? 何で?」
「だって、指を送り付けてくるのよ? ほら、昔、何とかって言う絵描きが、自分の耳を恋人に送り付けたって話あったでしょ? 有名な何とかって花の絵を描いている人! あれと一緒よ。寺井葵に付きまとっていた犯人が、自分の体の一部を切り取って送り付けたのよ。超猟奇的な人物が犯人像ね!」
そう……なのか? やたら根拠にしている情報に『何とか』という部分が多い気はする。そして、猫の首輪についていた暗号を解いたら、人間の指の入った箱にたどり着いたということが、本当にストーカーと断定できるのか? でも、本職の警察官の言うことだし……。
俺は、戸惑う。
「元子……。ゴッホのことを言っているのは分かる。花を描いた絵画は、ヒマワリ。だけれども、そんなわけないでしょ」
赤野が、ハッキリ否定する。
「そもそも、寺井さんは、ストーカーに追いかけられたなんて話は、少しもしていないでしょ?」
「え、ええ。元子には悪いけれども、特に付きまとわれているって思ったことはないし」
寺島さんも戸惑っている。
「でも、葵が気づいていないだけかもしれないわよ?」
「いや、おかしいよ。自分の体の一部を送り付けてくる前に、何かアクションを起こすでしょ? 相手がストーキングに気づいていない状態で、いきなり体の一部を送り付けるって、有り得ないよ。行動が飛躍しすぎ! 僕なら、もっと接近する努力をしてから、送り付けるね。だって、そうしないと受け取ってもらえないもの。そんなやり方はしない」
元子さんには悪いが、俺も赤野の意見の方が一理ある気がする。
てか、自分が体の一部を、送り付ける考察を練るのは、どうかと思うぞ? 赤野。サイコパスか?
「それにこの指……」
赤野が、元子さんの手の中の箱を覗き込む。
「すごく小さいよね。子どもの指? それに、ずいぶん時間が経っているのかな? ミイラ化している。これ、送り付けた犯人本人の指かも疑問が残るよ」
そんなじっくりと観察する余裕は、俺達にはない。
ホントねえ……。と指を見つめる元子さんと、観察を続ける赤野。その他のメンバーは、それをドン引きしながら見ていた。
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