流血剣士の恩返し

黒狐

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第二章 一方、彼らは パーティーメンバーside

心配 アンゼリカ&ハイレンside

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アンゼリカ&ハイレンside

ラディウスがパーティーを離れてからも、時間は普段通りそして非情にも過ぎていく。
その最中アンゼリカとハイレンは、ラディウスがパーティーを離脱したことによる彼自身への影響を心配していた。

「ラディウス、あやつ回復薬と増血剤を持って行っておるな。」
「……ええ、共用バッグからそれぞれ2本ずつ。それ以上は重くなりますから。」

回復薬と増血剤はどちらもガラス瓶に入っている。小降りとはいえ、嵩張る為あまり多くを運ぶことは出来ない。
そんなことよりも、ラディウスが増血剤を持ち出したことが心配だ。

「ラディウスは我らと離れている間に、鮮血魔術を使う可能性があるということじゃな…。早く見つけなければ。」
「はい、それにこの増血剤はお店では売っていません。万が一枯渇した場合、怪我や鮮血魔術による貧血が起きてしまえば、動けなくなるかもしれません。彼がパーティーを離れている今でこそ、すぐに対処できるようにしておく必要がありそうです。」
「そうじゃな、元気な姿で戻って来るのが1番じゃが、必ずしもそうとは限らない、我らで早急に回復薬と増血剤を作っておくかの。」

2人は顔を見合わせて頷いた後、それぞれ作業に取り掛かった。増血剤はハイレンの治癒魔術と、草木に詳しいアンゼリカによる特殊な薬草の精製技術の組み合わせによって造られる薬剤だ。その特殊さ故、どの店に行っても購入することが出来ないのだ。

「しかし……ラディウスは何処で何をしているのかの。」

荷物の中から薬草を取り出したアンゼリカがぽつりと呟いた言葉に、ハイレンが応える。

「こちらにはまだ何の情報も来ていないですからね…。とにかく今は私達が出来ることを精一杯、やりましょう。」
「そうじゃな、ラディウスが帰ってきた時に何も出来ないのは嫌じゃからの。……我も頑張るのじゃ。」


再び5人揃う日を願いつつ、アンゼリカとハイレンは増血剤の生成を始めた。
形は違えど彼に対する想いは、パーティー全員同じものだった。
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