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第3話

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メリーと同行することになった俺はメリーとその護衛達とともに街を目指しながら雑談に興じていた。
すると、すぐに高い壁に囲まれた街らしきものが見えてきた。

「これが人間が住む街か・・・」

「ふふっ、それだとあなたが人間じゃないみたいな言い方ね」

その言葉に俺は内心焦った。
心の中で話していたつもりが声に出ていたようだ。
一人でいる時間を長く過ごしすぎたせいかもしれない。
直さないと。

メリーは冗談のように軽く言っているがその目は鋭さを隠しきれておない。

「まさかそんなわけないだろ?」

だが、俺はロキ。
並行世界の俺は色んな奴を騙していたようだが、俺もその性格を受け継いだのか騙すのはなんとなく自信がある。

「ふふっ、そうね。変な事聞いて悪かったわ。ごめんなさいね」

メリーも本気で疑っていた訳では無さそうだ。すぐにその目を柔らかいものに戻した。
本当に念のため程度の質問だったようで、メリーがそれ以上こちらを探るような言葉をかけてくることはなかった。

「もうすぐ着くわね。流石に身分証は持ってるわよね?」

持っていないはずないよね? といった感じで冗談半分に聞いてくるが、この世界にきたばかりの俺が持っているはずがないのだ。

「・・・・・・」

「どれだけ遠くからきたのよ・・」

メリーとその一行が呆れた目線をむけてくるが持っていないものは持っていないのだ。

「はぁ、持っていないものはしょうがないわね。無くしたって事にしといた方がいいわ。そうでなきゃかなり面倒な事になるから。無くしただけならお金を払うだけでいいから私が代わりに払うわ」

「ありがとう。助かる」

「お礼なんていらないわ。命を救ってもらったお礼と考えれば安いものよ」

メリーはそう言うが、明らかに命の方が高くつくだろうと思うのは俺だけだろうか。





街の門を何事も無く通り抜ける事が出来た俺は、メリーと冒険者ギルドという所に向かっていた。
先程の護衛は、冒険者ギルドに依頼して雇った人だったそうだ。
メリーの説明を聞く限りだと依頼人と冒険者の仲介役をしているのが冒険者ギルドという所なのだろう。

そして俺は冒険者ギルドが身分証を得るには一番手軽でいいし、生活費も俺の実力なら簡単に稼げると聞いたのでメリーに案内してもらっていた。

「ロキ、着いたわ。あの角の先がギルドよ」

「あぁ、案内ありがとうなメリー」

「あ、分かっているとは思うけど・・・」

「あぁ、助けたお礼なんて求めたりしないよ。もう十分色々してもらったしな」

「そう、分かっているならいいわ。何かあったら連絡してきてね。出来る限りは助けになるから。それじゃあ、さよなら」

「分かった。頼りにさせてもらうよ。じゃあな」

別れが淡白な気もするが、この世界ではこれが普通なのだろうな。
メリーの後ろ姿を見送った俺はメリーの指差した方向へと進み、そこらの建物よりもひと回りほど大きな建物の前で足を止めた。

その建物、冒険者ギルドは昼間だというのに外にいてもガヤガヤと騒ぐ音が聞こえきて、さっきから中から顔を真っ赤にした酔っ払いが何人もギルドから出てきてる。

「本当にここがそうなのか? 居酒屋の間違いじゃなくて」

「そうさ、ここが冒険者ギルドだ。ひっく、お前みたいなガキじゃなくて俺みたいな大人が来る所さ。ひっく、ガキは家に帰ってママの乳をしゃぶってな」

俺が思わす呟くと、先程出てきた酔っ払いに絡まれた。
確かに今の俺の姿は多少子供っぽくみえるかもしれないが、そこまでじゃないだろう。腐ってんのかお前の目玉は。

「俺こう見えても大人だから、それじゃあね。おじさん・・・・

俺が意趣返しにそう言ってギルドに入ろうとするとおじさんが呼び止めてきた。

「ちょとまてぇぇぇ!だれがおじさんだぁ? ひっく、俺はまだ26だぁ!」

酔ってもともと赤かった顔をさらに赤くさせ、もはやその顔はりんごのようだ。

「ようし、坊主。ここまで俺を怒らせたのはお前で56人目だぁ!ひっく、どうしてもお前がガキじゃねぇってんなら俺を倒してから進みやがれぇ!」

結構いるじゃねぇか・・・。
こんなおじさ・・・おにいさんに付き合ってる暇は・・・ある、けどない。

「あ、だったらガキでいいです。じゃ、そういう事で」


ぽかんとするおにいさんおよそに俺は冒険者ギルドのドアに手をかけた。

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