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3話

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その豚は、堂々とした大きな体躯、でっぷりとしたお腹に、きらびやかな中世貴族風の衣装をまとい、口には自信満々の笑みを浮かべていた。
そして、頭には不思議な形をした、そう、一度見ると気になってそこにしか目が行かなくなるような、不思議な形をした金の王冠をしていた。

そのブタ、トランブー王は正面をまっすぐに見据え、おもむろに話し始めた。


「わが偉大なる白ブタ王国の民衆たちよ。
今、新しい歴史が始まろうとしている。今こそ我ら優良白ブタ民族復興の時である。

私は近いうちに必ずや、南カリブー国との国境に、乗り越えるのが大変な柵を建設する。かの国からの、ならずブタや不思議なキノコの流入を止めてみせる。

入国する時にちゃんと一列に並ばないアラブ―教徒は、入国をうんと制限する。

そして、貧しいブタにはワラの家を、中流ブタには木の家を、富めるセレブゥにはレンガの家を与えることをここに約束する。

みなは、自分自身を、愛すべき祖国を、そしてこのトランブー王を信じてほしい!

メイク シロブタ グレイト アゲイン!」

トランブー王は演説を終えると、出来に満足したのか、ブヒヒと笑い、右手を高々と突き上げた。

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