おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶

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2話 手術

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「可能ですが、あなた、今60歳ですよね。これまでの人生はどうするんですか? 友人に女性になりましたなんて言えないでしょう。また、奥様やお子さんもいるんでしょう。」
「妻とは離婚し、子供達とも、最近は会っていません。また、会社も、定年再雇用となった状況でバカにされた扱いをされていて、辞めたいと思っていたんです。会社で部長までしたのに、今は20代の女性から請求書を作っておいてって、上から目線で命令されるんですよ。信じられますか? お金はそれなりに蓄えがあるので、会社を辞めても大丈夫です。だから、過去の縁はすべて捨ててもかまいません。」
「そうなんですか。2つ問題があります。卵巣から女性ホルモンがでるでしょうが、60歳にもなった体が女性化するかは疑問です。もう一つは、女性ホルモンで声を女性化はできません。そんな中途半端な体が気持ち悪いと見られるかもしれません。」
「女性らしい体に整形することは可能なんですよね。声も整形とかできないんですか?」
「声は難しくて、喉仏を切除して出っ張りをなくして音程を少し高くする手術はできますが、必ず成功するというわけでもないんです。そのリスクを込みでも手術したいというのであれば、考えますが。」
「それなら、ぜひ、女性の体にしてください。人生を変えたいんです。」
「そこまでの覚悟があるのであれば、わかりました。では、男性器を切除し、女性器の形にしたうえで、子宮を女性器の口につなげる、お腹の脂肪をバスト、おしりに移す、喉仏の切除で声帯を狭めるという手術をします。顔は、そもそも女性に近いように見えるので、そのままにして、後で、要望があれば追加で手術をするかを考えましょう。そんなに一気に手術するのも無理ですし。それで本当にいいですね。」
「いいです。お金はどのぐらいかかりますか?」
「これだけの手術だと800万円ぐらいですね。保険はきかないし。大丈夫ですか?」
「お金は貯めていますので、そのぐらいなら大丈夫です。どのぐらい入院すればいいでしょうか?」
「全身ですからそれなりは。2週間はみておいてください。」
「逆にその程度ですか。わかりました。よろしくお願いいたします。」
「さっきも言いましたが、手術は急ぎます。早速進めましょう。」

私は、一旦家に戻り、その日の晩に入院して、手術用ベットに仰向けになった。
看護師が私を手術室に運んでいく。

「寺尾さんは手術は初めてですか?」
「ええ。」
「心配そうな顔をしていますが、大丈夫ですよ。この歳になっても、初めての経験ができるってすごいことだと思って、がんばりましょう。」
「そういう冗談を言える気分じゃないんですけど。」
「大丈夫です。先生は実績が豊富ですから。手術室は少し古くて、心配される患者さんはいますが、機材は最新鋭ですから心配しないでくださいね。」
「心配だなんてことばかり言われると、逆に不安になっちゃうんですけど。」
「大丈夫ですって。」

手術室に入った。

「では、手術を始めます。まず、これから全身麻酔をします。麻酔医が数を数えると、おそらく3まで言わない間に意識はなくなります。それで、手術が終わったら起こしますので、個室にお戻りいただきます。」
「痛くないですよね。」
「手術中は痛くないです。あとは、体を切るので、皮膚がくっつくまでは抗生物質を取っていただきますが、その間は、麻酔が切れて、しばらく痛いかもしれません。痛くて我慢できなければお薬をだしますので、ご相談してください。だから、心配しないでください。」
「では、麻酔を入れますね。数えます、1、2・・・」

「寺尾さん、起きてください。手術は終わりましたよ。寺尾さん、わかりますか?」
「もう終わったんですか?」
「数日は安静にしておいてください。栄養は点滴で入れますし、尿はカテーテルで取るので、当面は動く必要はありません。」
「わかりました。」

3日ほど経ち、お風呂代わりに熱いタオルで看護師が体を拭いた。
その時に見た体は、傷跡はあるものの、驚くほど変わっている。
女性の体に憧れていた私は、嬉しさがこみ上げていたんだ。

3日目からは歩行訓練とかもした。
痛いのは辛かったけど、女性になれた嬉しさの方が大きかった。
笑顔が自然と顔から漏れる。

しばらくは尿もカテーテルでしてた。
最初、トイレで自分でしたときは男性の時の感覚。

もちろん、立ってするのと座ってするのとは違う。
でも、見ないと、男性のあれがあるようだ。
もうないのに、あるようで不思議な感じだった。

男性器が亡くなった部分をじっくり見た。
先生の技術は思ったよりすごい。
それとも、今は技術レベルが上がり、これが普通なのだろうか。
私の知っている範囲だけど、本当の女性と変わらない外見だ。

通常、ダイレーションとか大変らしい。
切った部分の皮膚がくっつかないようにするための作業。
でも、もともと膣はあったので、それ程大変じゃなかった。

しばらくすると退院できた。
2ヶ月ぐらい経った頃だろうか。
なんとか普通に暮らせるようになったんだ。

でも、手術したとしてもおじさん体型は残ってる。
だから、食べ物を死ぬ気で減らして減量した。
ビールを飲みたいなんて気持ちを必死で抑えた。

背はもともと171cmぐらい。
こればかりは縮められない。
だから女性としてはかなり高い方。

顔は、昔から女性ぽいと言われていたから手は入れなかった。
あとは女性ホルモンでどのくらい変わるのだろうか。

メイクは前からしていたのと変わらない。
肌はおじさんのままだから、あいかわらずファンデーションはのらない。

当面は家でひっそりと過ごすので、まずはこれでいい。
どうすればいいか、おいおい考えよう。

バストとかに埋めた脂肪は、時間とともに一部体内に吸収されてしまった。
だから、バストやお尻は、萎むし、アンバランスになる。
そこで、2回ぐらい、脂肪吸引、脂肪注入を繰り返した。

声帯を狭める手術で少し高い声は出ていた。
でも、それだけじゃ女性の声に聞こえない。
だから、女性の話し方も勉強した。

もともと女性の服はそれなりに持っていた。
ただ、部屋も女性っぽく、食器や小物を入れ替えた。

可愛らしい模様のカップにするとか。
可愛い子猫の置物をサイドボードの上に置くとか。
だから、部屋に閉じこもっていても気分は上がる。

お風呂に入り、自分のバストを見ると喜びに溢れた。
期待の本当の女性になれたと実感できるから。
下半身にはもう、ひなびた、みすぼらしい男性器はない。

一方で、毎月の生理はきつかった。
月のかなりの日数が憂鬱な日々となる。
女性はこんなに毎月苦労しているなんて思ってもみなかった。

そんなことをして半年ぐらいが過ぎた。
背の高いおばさんぐらいにはなれたと思う。
会社は辞めて、お金もあったから、家に閉じこもる生活が続く。
今日は、髪もそれなりに伸びてきたし、出かけてみよう。
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