濁流の中で

一宮 沙耶

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7話 彼氏

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「私、最近、やっぱり女性とは一緒にこういう関係ではいられないという気持ちになっちゃったの。でも、瑠香とはこれからも、仲良しでいたい。ただ、エッチとかはやめたいの。」
「そうなの。しかたがないわよね。それは普通で、私が異常だもの。」
「瑠香が異常なんてことはない。ただ、瑠香はそういう人ってことだけ。私は瑠香のことは好きなの。これからも、ずっと友達でいて。」
「わかった。じゃあ、悲しいけど、もうこの部屋には来れないわね。」
「そうなると思う。でも、外で飲んだりはしようね。」

瑠香はそれから私を部屋に呼び込むようなことはなくなった。
それもあるのか寂しい日々が続き、男性に抱かれたいという気持ちが強まっていったの。

そんな時、ニューヨークコンサルティングにいたときのクライアントから連絡が来た。
一緒に飲まないかと。
彼は昔会った時にも好青年と思っていたけど、転職とかしているうちに忘れていた。

再会すると、再度、ステキな人だと思ったわ。
お酒も入り、一段とステキだと思って、こんな人に抱きしめられたいと思っちゃった。
そして、気づくと、どこかのホテルのベットの上で寝ていたの。

「乃愛さん、いいだろう。」
「え、待って。まだ会ったばかりだし。」
「僕は乃愛さんが好きなんだ。今日が初めてなんて関係ないよ。」

私は、気づくと、生まれた姿になっていた。
そして、バストを揉まれ、恥ずかしいけど、声がでていた。

「入ってる。入れるのは怖いからやめて。」
「経験が少ないんだね。大丈夫。痛くしないから。」

私は、両手を上げ、体の中でなにかが爆発した。
今でも、あの感覚は忘れられない。
それから、彼との同棲生活が始まったの。

休日、カフェで二人でいるときに、後ろから聞いたことがある声が聞こえた。

「あれ、乃愛じゃない。なんだ、彼氏さん? 紹介してよ。」
「社長、どうしてここに?」
「どうしてって、今日は、この辺をぶらぶらしてたら、乃愛がこのカフェの窓からみえて寄ってみたの。最近は、KPTGで頑張っているらしいじゃないの。」
「会社に入ったばかりで辞めてすみませんでした。あ、隆一、この方は、前にいた会社の社長で、桜井さん。そして、この人は、私の彼氏の山崎。ニューヨークコンサルティングにいたときに出会ったんです。」
「よろしくね。彼は何歳なの?」
「26歳です。」
「なんだ、同い年じゃない。でも、私はよく美人だと言われるけど、やっぱりこの年代の男性からは、かわいい乃愛の方が人気なのね。お似合い。お邪魔しちゃ悪いわね、私は時間もないし、この辺で失礼するわ。」

花音は後ろ姿で手を振ってカフェを出ていった。

「あの年で社長なんてすごいよね。」
「そうなの。とても頑張っているのよ。」
「でも、いい人じゃないか。乃愛のこと可愛いって言ってたし。」
「あれは、自分は美人だと言いたかったのよ。」
「自分が美人なんて言ってたっけ? 乃愛がかわいいって言ってたじゃないか。もう上司じゃないかもしれないけど、もう少し、上司を立てないと。乃愛は、そういうところがダメなんだよ。」
「私が悪いの? なんで、私が怒られないといけないのかしら。もう、騙されている。男性って、本当になにも見えてないんだから。」

男性は花音の美人顔に騙されるんだろうなとは思った。
いえ、騙されていたし。
でも、私もやっと花音から卒業できたの。

女性になって思ったことがある。
毎日が不安で、誰かに支えてもらいたい。
先頭に立つのも怖い。だから、誰かに守られたい。
むしろ、男性が先を歩き、後ろを歩いていくほうが楽。

そんな私を隆一は見守ってくれた。支えてくれた。
こんな人とずっと一緒にいたいと思えたの。
だから、隆一も幸せになれるよう、私もがんばる。

今日は、彼と私が作った夕食を一緒に部屋で食べようと約束していた。
でも、帰るときに、スマホでに、隆一からメッセージが入っていた。
今夜、遅くなるから寝ててと。

なんだ、せっかく料理を作っておいたのに。
まあ、いいか。明日にでもレンチンして一緒に食べればいいわよね。

なんか最近、心がすれ違っている気もしたけど、彼は忙しいんだと思っていた。
そんな時、11時を過ぎた頃、彼が帰ってきた。

「隆一、お帰りなさい。ご飯は食べたんでしょう。寝る前に、少しだけでいいから一緒に飲みましょうよ。」
「起きていたのか。寝てていいといっただろう。でも、ちょうどよかった。話したいことがある。」
「寒いでしょう。早く入って、着替えて飲もうよ。お風呂に入る?」
「その前に、話そう。まず、座って。」
「どうしたの、そんなに真面目な顔をして。」
「ごめん、別れてほしんだ。」
「え、どういうこと? 私、悪いことした?」
「乃愛は、なにも悪くない。僕に、好きな人ができたんだ。この前会った社長さん、花音と結婚することにしたんだ。」

私は、何が起こったかわからず、その場に佇むしかなかった。
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