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4話 感染
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1時間後にホテルから出発し、病院の建物に入る。
そこは悲劇が広がっていた。
廊下には歩けないぐらいの数の白骨遺体が重なる。
私たちは、仕方がないので、骨を踏みながら前に進んだ。
骨は思ったより柔らかく、踏み込むと粉々になる。
長い時間が経っていたからかもしれない。
廊下の先には、診察室のような部屋があり、棚の冷蔵庫には多くの試験管が並んでいる。
試験管には緑色の液体が入り、キャップがされ、冷蔵されているので液体のまま。
昨日の探索の様子では、この惑星の人達の血液なのだと思う。
病院にこれだけの人が押し寄せているとすれば、考えられるのは1つ。
なにかの感染症が蔓延したに違いない。
感染力が強く、あっという間に広がり、短時間で死に至ったのだと思う。
全ての生き物が死に、その後、宿主を失ったウィルスも死滅したとしか考えられない。
この部屋の椅子には、両腕を垂らした医者らしい白骨遺体が座る。
研究の末、何もできずに、自らも死に至ったのだと思う。
無念だったに違いない。
ただ、1つの不安が頭をよぎった。
これだけ地球と同じ環境なら、この感染症は私達にも襲いかかる。
この空中では死滅していても、病院なら、研究のためにウィルスは保管されているはず。
まずは、この病院からすぐに出た方がいい。
できるだけ、保管されたウィルスを放出してしまうリスクを避けるべき。
ただ、その場合でも、地震とかで、私達と関係なく放出してしまうリスクは残る。
人類の数を増やす長い時間の中で、どう対処すればいいのかしら。
病院は、立ち入り禁止エリアだと語り継ぐのかしら。
保管されたウイルスをどこか遠い所に輸送し、宇宙船のエンジンで焼き切るとか。
いずれにしても、そう簡単なことじゃない。
一つでも漏れがあれば、ここで死滅した生命体と同じ運命が待ち構えている。
そんなことを考えて、私が目を離しているときだった。
陽翔が冷蔵庫を開けて試験管を取り出していた。
「危ない。」
そう言った時だった。陽翔の手から1本の試験管が床に落ちる。
試験管は割れ、緑色の液体が飛び散った。
同時に腕に付けた装置が鳴り響く。
「危険、危険、みなさんはウィルスに感染しました。今から45分以内に、みなさんは死に至ります。この星にある宇宙船には治療キットは積みこまれていません。生き残るには、アンドロイドに脳を移植するしか方法はありません。」
警告は何度も鳴り響く。
「ごめん。なんていうことを。」
「そんなこと、どうでもいいから、早く宇宙船に戻り、アンドロイドに脳を移植しないと。」
私たちは、全速力で宇宙船に戻る。
私は、白骨遺体で転んでしまったけど、陽翔が手を差し伸べてくれて再び走り始める。
15分程して宇宙船に乗り込み、4人は移植のカプセルに入り込んだ。
移植開始ボタンを押したからもう大丈夫なはず。
横をみると4人とも、青いランプが付き、無事に移植が進んでいるみたい。
悠真は、私を見て笑顔で、新しい体で再会しようと言っているように見える。
私たちは、カプセルの中で、麻酔を打たれ、気が遠のいていく。
頭蓋骨から脳を取り出し、無数の糸の先にある針が芸術的に神経を紡いでいく。
外で見ていた人がいたら、その美しさに感動したに違いない。
気がつくと、私は薄ぼんやりと明るさだけを感じる。
まだ、神経が繋がるためには1週間はかかると思う。
だるいから、眠ることにしよう。
どのぐらい時間が経ったのかしら。少し、音も聞こえるようになった。
体には力が入らない。横を見ると、3人も動かない。
あと2日ぐらいかしら。眠たい。
私は、肩を叩かれて目が覚める。
「乃愛、そろそろ大丈夫みたいだけど、起きられる?」
一華が笑顔で笑いかけてくれている。
「この技術、本当にすごいわよね。顔も、脳を移植した人の顔に変わっているし、身長も同じぐらいになっている。どこからみても、乃愛にしか見えないわ。」
「そうね。この技術をマスターすれば永遠に生きられるのに、そこまでできていないのは残念。」
「仕方がないわ。限界というものもある。」
私は、このアンドロイドの問題点を知っている。
地球外生命体がスイッチを押すと、一定割合のアンドロイドが操られる。
その結果、周りの人々を殺害することもある。
そのスイッチはどこか判明していなし、地球外生命体は私達のことに気づいていないはず。
だから、このアンドロイドを操作するなんて事態にはならないと思う。
だから、みんなにはこのことは言わないでおく。
不安にさせることもないし、疑心暗鬼になればチームの連帯感も損なわれる。
「陽翔と悠真を起こそうか。」
「そうね。悠真、起きて。」
声をかけられた2人の男性も、眠たそうに起き始める。
4人は、陽が照りつける宇宙船の外に1週間ぶりに出る。
まるで、1週間前の4人がそのまま歩いているようで、不思議な感覚。
波が一定周期で寄せる砂浜。
ヤシの木から、暖かい陽の光が漏れる。
昨日と何も変わらない。ウィルスがあたりを漂っているだけ。
でも、そのウィルスも宿主がいない今では、そのうち死滅すると思う。
しかも、このアンドロイドの体で、子作りはできると聞いている。
ただ、ウィルスがどのぐらいで死滅するかを調べ、その後に子作りをすることになる。
産まれた子供は普通の人間だから、アンドロイドがなくても繁殖していけるはず。
ただ、さっき、私が考えたリスクは排除しておかなければいけない。
だから、ウィルスに感染しないこの体で、保管された全てのウィルスを排除しておく。
それが、当面の私達のやること。この星には大量の病院がある。
でも、想像していたよりも遥かに体調はよく、気持ちはいい。
力がみなぎり、なんでもできそうな気持ちがする。
しかも、アンドロイドだから、生きていける時間は500年ぐらいで、時間はたっぷりある。
私の計画を伝え、みんなも同意する。
その晩も、豪華な食べ物、お酒で私たちの再起を願った。
人類のDNAがこの星で根付き、人類が繁栄するために。
リクライ人ングベッドに横たわりながら、食後に4人は、海辺から星空を見ていた。
賑わいの後の静けさを波の音が演出する。
この4人で、この惑星で人類を繁栄させていく責任を噛み締めていた。
「陽翔は、地球陸軍での体力測定では歴代一位の成績をだしたのよね。あの日のこと思い出しちゃった。」
「そうだったっけ。」
「忘れたの? まだ、完全にアンドロイドに定着していないのかな。しっかりしてね。」
「ああ。そういえば、明日、別の建物を調べに行きたいから、だれか一緒に来てくれないか。」
眠そうにしていた陽翔が唐突に話し始めた。
「何を調べたいの?」
「まだ自信がないから、この時点では秘密にさせて。」
「なんか、慎重すぎて陽翔らしくないわね。」
「なんかバカにしていないか?」
陽翔と一華が笑いながら、お互いに茶化している。
その中に入るのを躊躇いながら、悠真が答えた。
「僕だったら同行できる。」
「陽翔、ごめん、私は研究をしたいことがあって、宇宙船にずっといるから同行できない。」
「私も。武器の手入れをしないとだから、悠真と2人で行ってきて。」
「わかった、そうする。」
ビーチで静かな波の音を聞いて4人は眠りにつく。
翌日、陽翔と悠真は2人で出かけ、悠真は帰ってこないなんて思うこともなく。
そこは悲劇が広がっていた。
廊下には歩けないぐらいの数の白骨遺体が重なる。
私たちは、仕方がないので、骨を踏みながら前に進んだ。
骨は思ったより柔らかく、踏み込むと粉々になる。
長い時間が経っていたからかもしれない。
廊下の先には、診察室のような部屋があり、棚の冷蔵庫には多くの試験管が並んでいる。
試験管には緑色の液体が入り、キャップがされ、冷蔵されているので液体のまま。
昨日の探索の様子では、この惑星の人達の血液なのだと思う。
病院にこれだけの人が押し寄せているとすれば、考えられるのは1つ。
なにかの感染症が蔓延したに違いない。
感染力が強く、あっという間に広がり、短時間で死に至ったのだと思う。
全ての生き物が死に、その後、宿主を失ったウィルスも死滅したとしか考えられない。
この部屋の椅子には、両腕を垂らした医者らしい白骨遺体が座る。
研究の末、何もできずに、自らも死に至ったのだと思う。
無念だったに違いない。
ただ、1つの不安が頭をよぎった。
これだけ地球と同じ環境なら、この感染症は私達にも襲いかかる。
この空中では死滅していても、病院なら、研究のためにウィルスは保管されているはず。
まずは、この病院からすぐに出た方がいい。
できるだけ、保管されたウィルスを放出してしまうリスクを避けるべき。
ただ、その場合でも、地震とかで、私達と関係なく放出してしまうリスクは残る。
人類の数を増やす長い時間の中で、どう対処すればいいのかしら。
病院は、立ち入り禁止エリアだと語り継ぐのかしら。
保管されたウイルスをどこか遠い所に輸送し、宇宙船のエンジンで焼き切るとか。
いずれにしても、そう簡単なことじゃない。
一つでも漏れがあれば、ここで死滅した生命体と同じ運命が待ち構えている。
そんなことを考えて、私が目を離しているときだった。
陽翔が冷蔵庫を開けて試験管を取り出していた。
「危ない。」
そう言った時だった。陽翔の手から1本の試験管が床に落ちる。
試験管は割れ、緑色の液体が飛び散った。
同時に腕に付けた装置が鳴り響く。
「危険、危険、みなさんはウィルスに感染しました。今から45分以内に、みなさんは死に至ります。この星にある宇宙船には治療キットは積みこまれていません。生き残るには、アンドロイドに脳を移植するしか方法はありません。」
警告は何度も鳴り響く。
「ごめん。なんていうことを。」
「そんなこと、どうでもいいから、早く宇宙船に戻り、アンドロイドに脳を移植しないと。」
私たちは、全速力で宇宙船に戻る。
私は、白骨遺体で転んでしまったけど、陽翔が手を差し伸べてくれて再び走り始める。
15分程して宇宙船に乗り込み、4人は移植のカプセルに入り込んだ。
移植開始ボタンを押したからもう大丈夫なはず。
横をみると4人とも、青いランプが付き、無事に移植が進んでいるみたい。
悠真は、私を見て笑顔で、新しい体で再会しようと言っているように見える。
私たちは、カプセルの中で、麻酔を打たれ、気が遠のいていく。
頭蓋骨から脳を取り出し、無数の糸の先にある針が芸術的に神経を紡いでいく。
外で見ていた人がいたら、その美しさに感動したに違いない。
気がつくと、私は薄ぼんやりと明るさだけを感じる。
まだ、神経が繋がるためには1週間はかかると思う。
だるいから、眠ることにしよう。
どのぐらい時間が経ったのかしら。少し、音も聞こえるようになった。
体には力が入らない。横を見ると、3人も動かない。
あと2日ぐらいかしら。眠たい。
私は、肩を叩かれて目が覚める。
「乃愛、そろそろ大丈夫みたいだけど、起きられる?」
一華が笑顔で笑いかけてくれている。
「この技術、本当にすごいわよね。顔も、脳を移植した人の顔に変わっているし、身長も同じぐらいになっている。どこからみても、乃愛にしか見えないわ。」
「そうね。この技術をマスターすれば永遠に生きられるのに、そこまでできていないのは残念。」
「仕方がないわ。限界というものもある。」
私は、このアンドロイドの問題点を知っている。
地球外生命体がスイッチを押すと、一定割合のアンドロイドが操られる。
その結果、周りの人々を殺害することもある。
そのスイッチはどこか判明していなし、地球外生命体は私達のことに気づいていないはず。
だから、このアンドロイドを操作するなんて事態にはならないと思う。
だから、みんなにはこのことは言わないでおく。
不安にさせることもないし、疑心暗鬼になればチームの連帯感も損なわれる。
「陽翔と悠真を起こそうか。」
「そうね。悠真、起きて。」
声をかけられた2人の男性も、眠たそうに起き始める。
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まるで、1週間前の4人がそのまま歩いているようで、不思議な感覚。
波が一定周期で寄せる砂浜。
ヤシの木から、暖かい陽の光が漏れる。
昨日と何も変わらない。ウィルスがあたりを漂っているだけ。
でも、そのウィルスも宿主がいない今では、そのうち死滅すると思う。
しかも、このアンドロイドの体で、子作りはできると聞いている。
ただ、ウィルスがどのぐらいで死滅するかを調べ、その後に子作りをすることになる。
産まれた子供は普通の人間だから、アンドロイドがなくても繁殖していけるはず。
ただ、さっき、私が考えたリスクは排除しておかなければいけない。
だから、ウィルスに感染しないこの体で、保管された全てのウィルスを排除しておく。
それが、当面の私達のやること。この星には大量の病院がある。
でも、想像していたよりも遥かに体調はよく、気持ちはいい。
力がみなぎり、なんでもできそうな気持ちがする。
しかも、アンドロイドだから、生きていける時間は500年ぐらいで、時間はたっぷりある。
私の計画を伝え、みんなも同意する。
その晩も、豪華な食べ物、お酒で私たちの再起を願った。
人類のDNAがこの星で根付き、人類が繁栄するために。
リクライ人ングベッドに横たわりながら、食後に4人は、海辺から星空を見ていた。
賑わいの後の静けさを波の音が演出する。
この4人で、この惑星で人類を繁栄させていく責任を噛み締めていた。
「陽翔は、地球陸軍での体力測定では歴代一位の成績をだしたのよね。あの日のこと思い出しちゃった。」
「そうだったっけ。」
「忘れたの? まだ、完全にアンドロイドに定着していないのかな。しっかりしてね。」
「ああ。そういえば、明日、別の建物を調べに行きたいから、だれか一緒に来てくれないか。」
眠そうにしていた陽翔が唐突に話し始めた。
「何を調べたいの?」
「まだ自信がないから、この時点では秘密にさせて。」
「なんか、慎重すぎて陽翔らしくないわね。」
「なんかバカにしていないか?」
陽翔と一華が笑いながら、お互いに茶化している。
その中に入るのを躊躇いながら、悠真が答えた。
「僕だったら同行できる。」
「陽翔、ごめん、私は研究をしたいことがあって、宇宙船にずっといるから同行できない。」
「私も。武器の手入れをしないとだから、悠真と2人で行ってきて。」
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