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6話 人類の最後
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私は目をつぶったけど、まだ死んでいない。
ゆっくりと目をあけると、頭が撃ち抜かれた陽翔が床に倒れていた。
その先に、銃口をおろした一華が立っている。
「乃愛、大丈夫? 陽翔が怪しいと監視していたの。その時、2人で部屋に入っていくから、乃愛が危ないと思って、後ろを付けていた。」
私は、ほっとしたのか床に倒れてしまった。
「ごめんなさい。実は、アンドロイドの一部は、地球外生命体に操られるというデータがあって、黙っていたの。疑心暗鬼にさせるのはいけないと思って。」
「そうなのね。私も、陽翔と乃愛がグルで、私を殺そうとしていると疑っていたからおあいこね。でも、そうなると私や乃愛が、これから地球外生命体に操られることもあり得るってことね。」
「可能性はゼロじゃない。でも、確率は低いと思う。地球での検査では10体で1つの確率だったし、今回は4体のうち1体はそうであれば3体は大丈夫のはず。」
「それを聞いて安心した。じゃあ、陽翔の体を調べて、体を操る仕組みを調べてもらえないかしら。」
「わかった。また、万全をきすためにも、地球外生命体は絶滅しておく方がいいから、その方策も考えてみる。」
私は、一華を見つめ、悲痛な思いを告げた。
「でも、これで、私たちの使命は果たせなくなってしまったわね。」
「それも、運命だったの。その意味では、アンドロイドの精巣だけでも機能させることはできないかしら。」
「そういう方法もあったわね。考えてみる。」
一華が前向きなのなら、これから何かの代替案は見つかるかもしれない。
この体で子供を産まなくても、DNAから子供を生み出せるかもしれない。
固定観念に囚われて、自分の使命を自ら諦めるところだった。
ところで、体を操る仕組みが分かっても、スイッチを動作させないことはできるのかしら。
動作させないためには、地球外生命体を絶滅しておく方がいいのは明らか。
でも、地球外生命体の居場所が分かっても、この惑星には攻撃できる武器はない。
何ができるのかしら。乃愛、考えなさい。
悩んでいても進まないから、まず、陽翔の体を調べることにした。
脳髄の後ろに発信機が見つかり、この惑星の位置をどこに連絡したのかわかる。
驚いたことに、13もの惑星に情報を発信していた。
敵は13もの惑星に住んでいるのだと思う。そうすると、全てを攻撃するのも難しい。
ただ、敵が分散していることは問題ではないと一華が言う。
地球では、物質瞬間移動の技術があり、惑星を破壊できる武器があればいい。
2人は、物質瞬間移動装置の開発に着手した。
テクノロジーとしてはすでに分かっているので、製造することは簡単だった。
一番難しかったのは、惑星を破壊するだけの爆弾。
この星では、火薬の材料を見つけられておらず、爆弾を作れない。
そこで、宇宙に散在するブラックホールを各惑星に向けることにした。
ブラックホールの重量から瞬間移動は難しいと最初は思っていた。
でも、少し重力を傾けるだけで、容易に移動できることが判明する。
それができるのであれば、13の惑星をこの2人で攻撃することができる。
攻撃できれば、私達が万が一にも、地球外生命体に支配されることはない。
一華と私は、すぐに物質瞬間移動装置の開発に取り掛かる。
3ヶ月もかからずに装置ができた。
一華とは、その晩、成功を祈り、一緒にワインで乾杯をする。
この作戦が成功すれば、地球外生命体に自分たちが支配されることはなくなる。
そうすれば、まだ若いのだから、いろいろな方策は見えてくるはず。
ミロの期待にも応えられる日が来る。
お互い、久しぶりに大笑いをして夜を過ごした。
一華は、本当に素直で、真っ直ぐで、いい子。
私も、こんな女性になりたいと思う程、邪心とかない。
しかも、1つのゴールに向かって直線を引いて真っ直ぐに進む力を持っている。
この人とだったら、なんでも達成できそうな気持ちにさせてくれる。
悠真や陽翔と出会えたのも良かったけど、一華と会えたのは奇跡かもしれない。
これからも、ずっと一華を大切にしていこう。
それが、私の幸せに繋がると思う。
翌朝、1つ目のブラックホールを1番目の惑星に移動するよう装置を操作する。
これで、敵は1つ減る。恐怖に慄き、地球人は侮れないことを知るはず。
私は装置を動かした。
それから1分程経ち、とんでもないことが起きていることに気づく。
この星のあらゆるものが宇宙に吸い込まれていく。
空を見上げると、真っ黒な穴が空いていた。
私が移動させたブラックホールがこの上空にある。
敵も、ブラックホールを送り込んでくることを予見していたんだと思う。
だから、ミラーのように、私の方に移動するように仕向けたに違いない。
そうやって、私がブラックホールを自分たちに向けて移動させることを妨害した。
単純な考えで進んでしまった自分を責める。
物質瞬間移動装置で一度は被害を受けていたんだから、対策を講じていてもおかしくない。
今からできることは何もない。
この星は、すべてブラックホールに吸い込まれていった。
最初はものすごい力で引っ張られる。
そして、周りが真っ暗になった時、時間が歪んだと思う。
時間はゆっくり進み、体が押しつぶされる時間を永遠に苦しむことになる。
これで、地球の人類のDNAも途絶えてしまう。
また、宇宙には数少ないこんなに美しい惑星を私は壊してしまった。
浅はかな知識で勝てると思っていた私がバカだった。
地球で昔聞いたウィルスを忍び込ませエネルギー源を破壊した方が良かったかもしれない。
歓喜の渦が沸く地球外生命体の姿が見える。
地球人はバカな生命体だとニヤけて笑い飛ばしているに違いない。
どこで失敗したのだろう。
おそらく、軌道計算するときに、この体が操られていたのだと思う。
敵の方が一枚上手だったということだけ。
ごめんなさい。私の力が及ばず。
横では一華が悲鳴をあげ、苦しんでいる。
私は、暗闇の中で、永遠に続く苦痛に耐えていた。
人類の最後となることをお互いに認めざるを得ない悔しさを噛み締めながら。
ゆっくりと目をあけると、頭が撃ち抜かれた陽翔が床に倒れていた。
その先に、銃口をおろした一華が立っている。
「乃愛、大丈夫? 陽翔が怪しいと監視していたの。その時、2人で部屋に入っていくから、乃愛が危ないと思って、後ろを付けていた。」
私は、ほっとしたのか床に倒れてしまった。
「ごめんなさい。実は、アンドロイドの一部は、地球外生命体に操られるというデータがあって、黙っていたの。疑心暗鬼にさせるのはいけないと思って。」
「そうなのね。私も、陽翔と乃愛がグルで、私を殺そうとしていると疑っていたからおあいこね。でも、そうなると私や乃愛が、これから地球外生命体に操られることもあり得るってことね。」
「可能性はゼロじゃない。でも、確率は低いと思う。地球での検査では10体で1つの確率だったし、今回は4体のうち1体はそうであれば3体は大丈夫のはず。」
「それを聞いて安心した。じゃあ、陽翔の体を調べて、体を操る仕組みを調べてもらえないかしら。」
「わかった。また、万全をきすためにも、地球外生命体は絶滅しておく方がいいから、その方策も考えてみる。」
私は、一華を見つめ、悲痛な思いを告げた。
「でも、これで、私たちの使命は果たせなくなってしまったわね。」
「それも、運命だったの。その意味では、アンドロイドの精巣だけでも機能させることはできないかしら。」
「そういう方法もあったわね。考えてみる。」
一華が前向きなのなら、これから何かの代替案は見つかるかもしれない。
この体で子供を産まなくても、DNAから子供を生み出せるかもしれない。
固定観念に囚われて、自分の使命を自ら諦めるところだった。
ところで、体を操る仕組みが分かっても、スイッチを動作させないことはできるのかしら。
動作させないためには、地球外生命体を絶滅しておく方がいいのは明らか。
でも、地球外生命体の居場所が分かっても、この惑星には攻撃できる武器はない。
何ができるのかしら。乃愛、考えなさい。
悩んでいても進まないから、まず、陽翔の体を調べることにした。
脳髄の後ろに発信機が見つかり、この惑星の位置をどこに連絡したのかわかる。
驚いたことに、13もの惑星に情報を発信していた。
敵は13もの惑星に住んでいるのだと思う。そうすると、全てを攻撃するのも難しい。
ただ、敵が分散していることは問題ではないと一華が言う。
地球では、物質瞬間移動の技術があり、惑星を破壊できる武器があればいい。
2人は、物質瞬間移動装置の開発に着手した。
テクノロジーとしてはすでに分かっているので、製造することは簡単だった。
一番難しかったのは、惑星を破壊するだけの爆弾。
この星では、火薬の材料を見つけられておらず、爆弾を作れない。
そこで、宇宙に散在するブラックホールを各惑星に向けることにした。
ブラックホールの重量から瞬間移動は難しいと最初は思っていた。
でも、少し重力を傾けるだけで、容易に移動できることが判明する。
それができるのであれば、13の惑星をこの2人で攻撃することができる。
攻撃できれば、私達が万が一にも、地球外生命体に支配されることはない。
一華と私は、すぐに物質瞬間移動装置の開発に取り掛かる。
3ヶ月もかからずに装置ができた。
一華とは、その晩、成功を祈り、一緒にワインで乾杯をする。
この作戦が成功すれば、地球外生命体に自分たちが支配されることはなくなる。
そうすれば、まだ若いのだから、いろいろな方策は見えてくるはず。
ミロの期待にも応えられる日が来る。
お互い、久しぶりに大笑いをして夜を過ごした。
一華は、本当に素直で、真っ直ぐで、いい子。
私も、こんな女性になりたいと思う程、邪心とかない。
しかも、1つのゴールに向かって直線を引いて真っ直ぐに進む力を持っている。
この人とだったら、なんでも達成できそうな気持ちにさせてくれる。
悠真や陽翔と出会えたのも良かったけど、一華と会えたのは奇跡かもしれない。
これからも、ずっと一華を大切にしていこう。
それが、私の幸せに繋がると思う。
翌朝、1つ目のブラックホールを1番目の惑星に移動するよう装置を操作する。
これで、敵は1つ減る。恐怖に慄き、地球人は侮れないことを知るはず。
私は装置を動かした。
それから1分程経ち、とんでもないことが起きていることに気づく。
この星のあらゆるものが宇宙に吸い込まれていく。
空を見上げると、真っ黒な穴が空いていた。
私が移動させたブラックホールがこの上空にある。
敵も、ブラックホールを送り込んでくることを予見していたんだと思う。
だから、ミラーのように、私の方に移動するように仕向けたに違いない。
そうやって、私がブラックホールを自分たちに向けて移動させることを妨害した。
単純な考えで進んでしまった自分を責める。
物質瞬間移動装置で一度は被害を受けていたんだから、対策を講じていてもおかしくない。
今からできることは何もない。
この星は、すべてブラックホールに吸い込まれていった。
最初はものすごい力で引っ張られる。
そして、周りが真っ暗になった時、時間が歪んだと思う。
時間はゆっくり進み、体が押しつぶされる時間を永遠に苦しむことになる。
これで、地球の人類のDNAも途絶えてしまう。
また、宇宙には数少ないこんなに美しい惑星を私は壊してしまった。
浅はかな知識で勝てると思っていた私がバカだった。
地球で昔聞いたウィルスを忍び込ませエネルギー源を破壊した方が良かったかもしれない。
歓喜の渦が沸く地球外生命体の姿が見える。
地球人はバカな生命体だとニヤけて笑い飛ばしているに違いない。
どこで失敗したのだろう。
おそらく、軌道計算するときに、この体が操られていたのだと思う。
敵の方が一枚上手だったということだけ。
ごめんなさい。私の力が及ばず。
横では一華が悲鳴をあげ、苦しんでいる。
私は、暗闇の中で、永遠に続く苦痛に耐えていた。
人類の最後となることをお互いに認めざるを得ない悔しさを噛み締めながら。
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