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ギョッギョッギョギョギョのギョッ
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僕は魚人だ。
「ギョ!ギョギョーーー!!」
サカナ君では決して無い。
魚人と言っても多種多様であるが、僕はマグロ系の魚人だ。
人魚では決して無い。
「ニンギョーーー!!」
頭から胴体はマグロ。尾ビレ、腹ビレは無いが、背ビレだけはある。胸ビレと尻ビレの代わりに、ニンゲンの子供サイズの肢体が、それが生えてる場所ならニョキっとあった。
呼吸器官は、エラも肺も両方共備えており、水中でも地上でも活動出来た。水陸両用だ。凄いぜ僕。
そんな事もあり、幼少期は地上で暮らしたのだが……
「おい!!どっち行った??」
「あっちか?こっちか?何処に隠れた?」
「おーい。マグロ君ーー。何処に行ったーー??」
「大丈夫だよーー怖く無いよーー出ておいでーー」
「美味しい魚がいっぱいあるよーー」
嘘だ…………。。
ニンゲンに見つかるとすぐに追いかけられた。
「刺身だ!!刺身だ!!追いかけろ!!」
何でもお魚は腹を捌いて、内臓を抜き取り、骨を削ぎ落として、皮を剥ぎ、その身を一枚一枚綺麗に切り揃えれば、大人から子供まで皆んな大好き、『お刺身やーーん』
とかいう料理に変わるらしい。
その中でも、マグロは1、2を争う程の人気っぷりで、僕のこの腹の部分は、脂がノリノリのノリ君の、大人から子供まで皆んな大好き、『大トロやーーん』、はい!一口一万円です。
僕の両親はそのニンゲン達に捕まり、マグロ祭りの出しモノとされた。公開処刑の後、踊り喰いとかいう、あまりに残酷極まり無い、壮絶な最後を遂げたのだ。
想像してみてほしい……
目の前で両親が腹を裂かれ、お刺身となっていく姿を……
観客とかいう狂気の渦の中、まだピクピクと動く両親の身体を、「美味しい。美味しい」と、パクパク食べ進める、血も涙も無い感情欠落の野蛮な種族……
もう無理だ……
ここで生きるのは……
そう思った僕は海へと出る事にした。
海は広いな。大きいな。
ただ……泳ぐのは苦手だった。人間の肢体は泳ぐのには全くと言っていい程、適してはいない。勿論そういう事だ。魚を追いかけるどころでは無いのだ。
僕は海底に潜み、貝ばかりを食べる生活。
地上でニンゲンの残飯を漁り、丸々と肥えた身体はみるみるうちに痩せていく。
「お腹が減った……」
そこに、なんと、弱り切った秋刀魚が目の前を泳いでいる。
しめた!!と思い、僕はパクッと秋刀魚を丸呑みした。
グイッと引かれる。身体がグイッと引かれる。
なんだ??と思った僕の口からは一本の太い
釣り糸……
もがく、足掻く、暴れるが、その度に口の奥深くに刺さった針は、グイグイと食い込んでいく。
あーーーもう。。ダメだ。。。
僕は力尽き、釣り上げられた。
釣り上げたニンゲンのおじさんはビックリした様子だったが、
♩おじさん唾を呑み込んで。
♩僕を美味そうに食べるのさ。
ー【ある魚人君の数奇な一生】よりー
「ギョ!ギョギョーーー!!」
サカナ君では決して無い。
魚人と言っても多種多様であるが、僕はマグロ系の魚人だ。
人魚では決して無い。
「ニンギョーーー!!」
頭から胴体はマグロ。尾ビレ、腹ビレは無いが、背ビレだけはある。胸ビレと尻ビレの代わりに、ニンゲンの子供サイズの肢体が、それが生えてる場所ならニョキっとあった。
呼吸器官は、エラも肺も両方共備えており、水中でも地上でも活動出来た。水陸両用だ。凄いぜ僕。
そんな事もあり、幼少期は地上で暮らしたのだが……
「おい!!どっち行った??」
「あっちか?こっちか?何処に隠れた?」
「おーい。マグロ君ーー。何処に行ったーー??」
「大丈夫だよーー怖く無いよーー出ておいでーー」
「美味しい魚がいっぱいあるよーー」
嘘だ…………。。
ニンゲンに見つかるとすぐに追いかけられた。
「刺身だ!!刺身だ!!追いかけろ!!」
何でもお魚は腹を捌いて、内臓を抜き取り、骨を削ぎ落として、皮を剥ぎ、その身を一枚一枚綺麗に切り揃えれば、大人から子供まで皆んな大好き、『お刺身やーーん』
とかいう料理に変わるらしい。
その中でも、マグロは1、2を争う程の人気っぷりで、僕のこの腹の部分は、脂がノリノリのノリ君の、大人から子供まで皆んな大好き、『大トロやーーん』、はい!一口一万円です。
僕の両親はそのニンゲン達に捕まり、マグロ祭りの出しモノとされた。公開処刑の後、踊り喰いとかいう、あまりに残酷極まり無い、壮絶な最後を遂げたのだ。
想像してみてほしい……
目の前で両親が腹を裂かれ、お刺身となっていく姿を……
観客とかいう狂気の渦の中、まだピクピクと動く両親の身体を、「美味しい。美味しい」と、パクパク食べ進める、血も涙も無い感情欠落の野蛮な種族……
もう無理だ……
ここで生きるのは……
そう思った僕は海へと出る事にした。
海は広いな。大きいな。
ただ……泳ぐのは苦手だった。人間の肢体は泳ぐのには全くと言っていい程、適してはいない。勿論そういう事だ。魚を追いかけるどころでは無いのだ。
僕は海底に潜み、貝ばかりを食べる生活。
地上でニンゲンの残飯を漁り、丸々と肥えた身体はみるみるうちに痩せていく。
「お腹が減った……」
そこに、なんと、弱り切った秋刀魚が目の前を泳いでいる。
しめた!!と思い、僕はパクッと秋刀魚を丸呑みした。
グイッと引かれる。身体がグイッと引かれる。
なんだ??と思った僕の口からは一本の太い
釣り糸……
もがく、足掻く、暴れるが、その度に口の奥深くに刺さった針は、グイグイと食い込んでいく。
あーーーもう。。ダメだ。。。
僕は力尽き、釣り上げられた。
釣り上げたニンゲンのおじさんはビックリした様子だったが、
♩おじさん唾を呑み込んで。
♩僕を美味そうに食べるのさ。
ー【ある魚人君の数奇な一生】よりー
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