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脱出
目が覚め、インベントリを確認すると、夫からの手紙が入っていたので目を通す。
文字を目で追ってひゅっと息をのむ。
メラニーの体調が変化し、一昨日の手紙を書いた後から反応が無くなった事、昨日の午前中に亡くなった事、今日の朝には村を出る事が書かれていた。
内容に動悸が止まらない。
様々な思考がぐるぐると回って、まとまらない。
それでも・・・ここを出る準備をしなくては。
洗浄と着替えを済ませ、暫くするとサラが来たけれど、食欲が無いと言って食事を断った。
気分転換になるかもしれないからと雨上がりの庭を歩く。
ジャンに挨拶し、今日は体調が思わしくないので軽く散歩をしに来たと告げる。
「あら、虫が。ちょっと待ってくださいね」
サラやジャンの死角になるあたりに手を伸ばし、虫を取る素振りで回復と治癒の魔法をかけた。
しゃがんで虫を土の上に戻す仕草をしてから立ち上がる。
「テントウムシでした。アブラムシを食べてくれるかもしれないですね」
不思議そうな顔をしながらジャンが返事をする。
「あ?あぁ、そうだなぁ~」
個人的な用が済んだので、部屋に戻った。
今日は昼も夜も食事はいらないと伝えるとかなり心配されたが、よくある事だからと言って無理矢理納得してもらう。
1人になって、夫に手紙を書く。
今朝手紙を読んでメラニーの訃報を知った事、こちらも出る準備をして今夜か明日の朝には出るつもりでいる事、まずは陸路で京都方面を目指す事を記す。
インベントリを見ると『メラニー』と書かれた項目が目に入る。
一気に実感が押し寄せてきた。
メラニーは今夜からこちらで預かることになるだろう。
部屋にある本を再確認し、ノートを取り出して地図を複写し2枚にする。これでお互い1枚ずつ使える。
ここ数日の夕食を食べ終わる時間にサラが来て、就寝の挨拶をしていくので、普段と変わらない会話をして扉を閉める。
足音が遠のいたのを確認し、鍵を閉め、部屋全体を結界で覆う。
まずはインベントリからチノパンと木綿のシャツや靴を取り出し、着替え、髪の毛も後ろでまとめる。
それからメラニーを招き、ベッドの上に安置する。
手を合わせ、初めましての挨拶と、夫がお世話になった事、もう少し生きてほしかった事、今回の申し出のお礼を言う。
こちらにメラニーを寝かせるとしても、そのままというわけにはいかないので、私物の中から襟ぐりの広いロングTシャツをインベントリから選ぶ。
「メラニーさん、大変申し訳ないのだけれど、恥ずかしい上に窮屈かもしれませんが着替えさせてくださいね」
メラニーの服を私の服に変えた。下着は未使用の物があったのでそれを着てもらう。
ベッドのそばに椅子を置いて、そこにデニム、赤いフルジップヤッケ、腰巻エプロン、手袋、帽子、サングラスを乗せる。
衝立にはこちらで借りた布をかけて、床にはこちらで借りていた靴を置く。
この世界にまだファスナーが無かったら、置いていく衣服が滞在費代わりになるかもしれない。
エプロンの中身は誰にも見られていなかったので、インベントリに仕舞う。
部屋を見回して私がこの世界に来た時の物しかない事を目視し、メラニーの服やシーツが残っていない事も確認する。
最後に、メラニーの髪の毛にそっと櫛を入れ、唇を湿らせ、冥福を祈り、手を合わせる。
ランプを消し、部屋の鍵を開け、結界を解き、人型の結界を自分に掛けて庭へ転移する。
複雑な思いのまま建物に頭を下げ、足場を作って敷地を出た。
文字を目で追ってひゅっと息をのむ。
メラニーの体調が変化し、一昨日の手紙を書いた後から反応が無くなった事、昨日の午前中に亡くなった事、今日の朝には村を出る事が書かれていた。
内容に動悸が止まらない。
様々な思考がぐるぐると回って、まとまらない。
それでも・・・ここを出る準備をしなくては。
洗浄と着替えを済ませ、暫くするとサラが来たけれど、食欲が無いと言って食事を断った。
気分転換になるかもしれないからと雨上がりの庭を歩く。
ジャンに挨拶し、今日は体調が思わしくないので軽く散歩をしに来たと告げる。
「あら、虫が。ちょっと待ってくださいね」
サラやジャンの死角になるあたりに手を伸ばし、虫を取る素振りで回復と治癒の魔法をかけた。
しゃがんで虫を土の上に戻す仕草をしてから立ち上がる。
「テントウムシでした。アブラムシを食べてくれるかもしれないですね」
不思議そうな顔をしながらジャンが返事をする。
「あ?あぁ、そうだなぁ~」
個人的な用が済んだので、部屋に戻った。
今日は昼も夜も食事はいらないと伝えるとかなり心配されたが、よくある事だからと言って無理矢理納得してもらう。
1人になって、夫に手紙を書く。
今朝手紙を読んでメラニーの訃報を知った事、こちらも出る準備をして今夜か明日の朝には出るつもりでいる事、まずは陸路で京都方面を目指す事を記す。
インベントリを見ると『メラニー』と書かれた項目が目に入る。
一気に実感が押し寄せてきた。
メラニーは今夜からこちらで預かることになるだろう。
部屋にある本を再確認し、ノートを取り出して地図を複写し2枚にする。これでお互い1枚ずつ使える。
ここ数日の夕食を食べ終わる時間にサラが来て、就寝の挨拶をしていくので、普段と変わらない会話をして扉を閉める。
足音が遠のいたのを確認し、鍵を閉め、部屋全体を結界で覆う。
まずはインベントリからチノパンと木綿のシャツや靴を取り出し、着替え、髪の毛も後ろでまとめる。
それからメラニーを招き、ベッドの上に安置する。
手を合わせ、初めましての挨拶と、夫がお世話になった事、もう少し生きてほしかった事、今回の申し出のお礼を言う。
こちらにメラニーを寝かせるとしても、そのままというわけにはいかないので、私物の中から襟ぐりの広いロングTシャツをインベントリから選ぶ。
「メラニーさん、大変申し訳ないのだけれど、恥ずかしい上に窮屈かもしれませんが着替えさせてくださいね」
メラニーの服を私の服に変えた。下着は未使用の物があったのでそれを着てもらう。
ベッドのそばに椅子を置いて、そこにデニム、赤いフルジップヤッケ、腰巻エプロン、手袋、帽子、サングラスを乗せる。
衝立にはこちらで借りた布をかけて、床にはこちらで借りていた靴を置く。
この世界にまだファスナーが無かったら、置いていく衣服が滞在費代わりになるかもしれない。
エプロンの中身は誰にも見られていなかったので、インベントリに仕舞う。
部屋を見回して私がこの世界に来た時の物しかない事を目視し、メラニーの服やシーツが残っていない事も確認する。
最後に、メラニーの髪の毛にそっと櫛を入れ、唇を湿らせ、冥福を祈り、手を合わせる。
ランプを消し、部屋の鍵を開け、結界を解き、人型の結界を自分に掛けて庭へ転移する。
複雑な思いのまま建物に頭を下げ、足場を作って敷地を出た。
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