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十話 ものすごい違和感

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 そうして僕たちはなんやかんやあり、映画館に行った。
 周りからの視線は変わらずとてつもなかったが、気のせいと無理やり思い込んだ。
 ちなみに今から見る映画は今とても話題の映画で恋愛映画で笑えて泣ける映画と話題で、凄いらしい。
 「どうします?ポップコーンとか買いますか?」
 っと僕はみんなに聞こえる声で言った。
 「後で昼飯食うからポップコーン食わなくていいんじゃない?買うとしても飲み物ぐらいにしとかない?」
 っと圭がそう意見を出した。
 「私はそれに賛成だわ」
 唯香が賛成の言葉を言った。
 続けて鈴木さんや健一君達が言って、皆同じ意見になった。
 「んじゃ飲み物買いたい人だけ買うってことで....買いに行く人手~挙げて!」
 っとリズム刻みながらテンション高くそう言った。
 映画まで二十分あり、チケットも買っている。 
 飲み物を買いに行ける時間は十分ある、もう完璧すぎる、ふっ、勝ったな....なんて思いながら僕は高々と手を挙げた。
 周りを見ると手を挙げている人間は僕以外一人もいなかった。




 


 そうして僕は一人でアイスコーヒーを買い、皆で座席のところまで行った。
 皆横一列の席が取れたのでそうした。
 順番は左から僕、鈴木さん、唯香、圭、健一君、麗華さんだ。
 誰も文句を言わなかったのでこの座席順になった。
 
 そして周りは段々と暗くなり映画が始まった。
 スクリーンには映像が映し出され、映画館内には映像と共に美しい音声が響き渡った。

 「少年....俺だって、好きな女を追っかける時代はあった。まぁ今となっちゃ、ただのラーメン屋の店長のおっさんだけどな」
 「何が言いたいんだよ」
 「言いたいことか....好きな女を追える時間は限りがある。仮に自分の女になったとしてももしかしたらそれにも限りがあるかもしれねぇ、永遠に時を過ごす相手になるかもしれねぇ」
 「だから何が言いたいんだよ!」
 っとその映画の主人公沢街結城(さわがいゆうき)は机を思いっきり叩いた。
 「はは、んまぁそんな強く机を叩ける元気があるなら良かったぜ。後あんまり強く叩くなよ、古いんだから。んで話戻るが、俺が言いてぇのは女を追える時間は今しかないんだ、その女を手に入れるのも今しかないんだ。お前の場合少ししか時間がないんだ、だから今すぐ決意決めて根性振り絞って今行ってこい!そしてそのお嬢ちゃんを後悔させるな!本当に大事な女ならしっかり大事にしろ!分かったか!」
 結城は何か決意したかのような顔で席から立って鞄を漁っていた。
 「料金なんていらねぇよ。だから代わりに絶対に手に入れてこい、そして幸せになって戻ってこい」
 「...ありがとう...」
 そうして鞄を持って走って行った。

 だがしかしこの店長さん、めちゃ名言みたいなこと言うなこれ。
 てか名言だろこれ。
 しかもこの主人公もヒロインも可哀想すぎだろ。
 『限りある恋』という題名からどんな物語が繰り広げられるのかとは思っていたがこんなにも感動的とは.....
 さてここからどうなるのやら.....


 
 感動展開、涙は出なかったが何か心に来るものがあった。
 鈴木さんが仮にこんなことになってしまったらと考えると...恐ろしい。
 ちなみに今は映画館から出てチケットを買う大きい広場みたいなところにいる。
 「いや、面白かったね」
 「うん、そうだな」
 「そうですね!」
 「そうわね」
 ちなみに鈴木さんはずっと泣いている。
 後ついでに麗華さんもこのメンツになれつつあっている。
 「鈴木さんそろそろ泣き止みません?」
 「泣き止めって、無理な話だよぉ~」
 っと僕の腕を掴みながら泣いている、服に涙がめちゃくちゃついている。
 「とりあえず次は昼飯だな、すぐ行こう」
 「健君ご飯食べるのが好きだからってそんな急かさないでくださいね」
 ご飯が好きという情報は初めて知った。
 今日の昼食はかなり有名なところを予約取れたから、健一君もそれで若干、いやかなりウキウキしている。
 健一君ってクールなイメージあったけど、こう見るとめちゃくちゃ可愛いな.....
 「あ、ごめん俺少しお花摘み....」
 圭が少しモジモジしながらそう言ってきた。
 「きもいわ」
 「なんかきもいぞやめろ」
 「きもいからやめてその言い方」
 「OK行ってきていいってことだな!?」
 圭が大きな声でそう言うと、僕と鈴木さんと唯香が親指を立てた。
 「行ってくんわぁ!」
 そう言ってトイレまで早歩きで行った圭。
 「皆さん圭さんに辛辣すぎではないですか!?」
 「大丈夫いつものことだ」
 っと健一君がそういうと、麗華さんが大きな声で「いじめ!?」っと言った。
 「麗華さん、あのアホは初めて出会った時から分かると思いますが、マジモンのアホだがらいいんですよ」
 ちなみにどんな理由があろうと相手が嫌がっていたら一様こういうのはダメだからね。
 「えっと、どういうことですか!?」
 すごい慌てふためている、見ててとても面白い。
 
 そうして圭がトイレから戻ってきた。
 圭がトイレから戻ってきたら、麗華さんはすぐに圭の近くに行き小声で「いじめられているのならしっかり親御さんに言うんですよ....?」っとそう言った。
 圭はどういうことだ?っと疑問符を浮かべたような顔をした後、何か分かったかのような顔をした後、「大丈夫だよ麗華ちゃん!いつもの事だし僕もこれを望んでいるからね!」っとそう言った。
 え、これ自ら望んでやっていたの?
 「え....圭さんってドM....?」
 「いや違うわ!」
 圭がそう鋭いツッコミを入れた。
 まぁ確かにこの発言から考えられるのはマゾか変態の二択だしな。
 「喋っているところ悪いけど、そろそろ行きませんか?」
 唯香がそう言った。
 「なになに嫉妬?」
 っと鈴木さんがニヤけながら唯香にそう言った。
 「うっさいわね!単純に早く行かないと予約した時間に遅れるって思っただけわよ!」
 「ふーん、そう言うことにしてあげるよしょうがないから」
 っと意味深なことを言っていた。
 麗華さんは疑問符を浮かべたような顔をしていた。
 圭は少し何故か照れ臭そうにしていた、今の会話で照れる要素あったか?
 いやないよな....まぁ気にしなくてもいいか。
 

 
 そうして僕らは予約していた料理屋に行き、ご飯を食べていた。
 座席順はは向かい合わせになっており、右から僕、鈴木さん、唯香、そして向かい側は右から麗華さん、健一君、圭の順だった。
 注文形式でかなり色々な種類があった、魚肉野菜果物色々なものがあった。
 ちなみに僕ら食べ放題にしていた。
 食べ放題で一人四千円越え....前の賞金付きの大会でがっぽり稼いできたとはいえ、これはキツイ。
 やはりイラストレーターデビューを考えるべきなのか?
 まぁ今はそんなことを考えずに食事を楽しもう。
 皆で話し合ってみんな承諾していたが大丈夫なのだろうか?
 僕や鈴木さん、健一君はまぁ大丈夫だとして、それ以外のみんなはお金を得る方法がないから心配なのだが....
 麗華さんは分からないが、唯香とか心配だ。
 圭はあんまり詳しくはないがダンスとかで名を上げているらしくて、賞金付きの大会でがっぽし稼いでいるというか僕と同じで賞金稼ぎみたいなのをしているらしい。
 後は大会ってのはあんまりないから、バックダンサーとかでたまにやっているらしい。
 前はなんかのアイドルのバックダンサーしてお金入ったとか、一年前に海外の大会で優勝して何百万入ってきたぜぐへへぐへへへへへはははははは!うひょー!とか言って顔歪めてたし、お金関係で困っては無さそうだな.....
 まぁだがたったの四千円越えの料金だ、それぐらいのお金はあるだろう.....
 
 「このお魚美味しいですね!」
 っとウキウキで言う麗華さん、店内に入ってもいまだに帽子を被っている。
 ここまで固執して帽子を被っているのには何かあるのだろうか?
 もしかしたら訳ありで聞いてはいけないことかもしれないからあまり聞かない方がいいかもな.....
 「これもうまいな.....」
 ウキウキしながらかなり食っている健一君。
 健一君ってもしかしなくとも大食いだったのか?
 しかし美味しそうに食うな....
 
 「圭、デザートを沢山食べているけど大丈夫なの?」
 「大丈夫って何が?」
 「いや、そんなに甘いもの食べてると早死にするわよ」
 圭は甘いもの全般は大体好きだ。
 だからこんなにたくさん食べるのは納得行くが、確かに食べ過ぎ....いや食べ過ぎってほど食べてないな。
 「大丈夫だよ!運動めちゃくちゃしてるし!」
 「それ死ぬ奴が言う言葉だから」
 多分それ唯香が心配性なだけな気がするのだが、唯香いつの間にこんなに過保護になっていたのだ。
 「唯香、別にそこまで食べ過ぎってわけではなくない?」
 「いや!四皿も食べてるわ!」
 「確かにデザートって割には結構食べてるけど、食べ過ぎとまではないでしょ。てか唯香が甘いものを食べてないのよ!しかも少食だし!」
 甘いものを食べていないことに関しては納得だが、少食は鈴木さんもだけどね。
 なんて横で思いながら味噌汁を飲んでいた。
 しかしここの味噌汁美味いな....どうやって作ってんだろ。
 「てか秀君味噌汁飲み過ぎ!塩分過多になって死ぬわよ!?」
 「いやそんなぐらいで死なないですよ」
 こんなことで死んだらたまったもんじゃない。
 「そうだけど大丈夫なの?」
 え、そんなに心配されるぐらい僕体弱く見えるか?
 確かに筋肉は減ったけど、まだかなりバキバキだと思うんだけど。
 「大丈夫ですよ、塩を直接舐めてるわけでもないんですから大丈夫ですよ」
 「この魚料理おかわりしたい、」
 っとぼそっと健一君がそう言った。
 「料理名はなんですか?」
 ちなみに健一君は僕以上に人と関わるのを嫌がっている。 
 コミュ障と言うか初対面相手だと喋れないらしいから、コンビニの時は喋らずに手で表したり、こういう店員さんを呼ぶ時もみんながまとめて頼む時か、誰かに頼んで頼ませる。
 僕はボタンを押して、店員さんを呼んだ。
 
 


 
 


 


 
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