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第二章:ライバルギルドバトル編

#22.もう一回ステータスを調べてみよう

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 「え、魔王っているんですか?」

 朝食を食べようとキッチンに行こうとしたら、ちょっと気になったことがあったからマスターに聞いてみた。
 もちろん魔王のことで、魔物がいるんなら魔王もいるんじゃないかな?と思ったからちょっと聞いてみたけどまさかホントにいたとは……大丈夫……だよね?
 さすがに愛らしい子供の獣人はかかわらなければ関係ないよね?よね!
 まあ、関係してくるとしたらSランクかAランクの誰かだろうし、誰かが戦うことになったら、僕は応援といこうかな。それしかできないし。
 さって……気を取り直して朝ごはん食べてないし、とりあえず何か作ろうかなぁ……
 あ、でも、その間にニノシルさんが来たら困るし……いや、この後は修行をするんだ。空腹だと力が出ないし、今のうちに簡単なの作って満たしておこう。
 マスターにちょっと朝ごはん作ってきますと言ったら、「じゃあ俺の分はマスター室によろしく」と言われた。
 うん、予想はしてました。
 キッチンへ行き、材料を確認する。
 うぅん……昨日うどんを作ったから材料がほとんどない……できて、スクランブルエッグと野菜炒め……ってあれ?クーラーボックスの奥底に何かが…… 取り出してみると、それはツルのようなモノだった。
 ツルにしてはなんかヌルヌルして……って嫌あああぁぁぁ!!
 僕は思いっきりツルを床に叩きつけた。
 動いた!動きましたよ、このツル!!気持ち悪!!
 もしかしてこれ、ツルじゃなくて……触手なんじゃ……なぜそんなものがクーラーボックスに入ってるんだろか?
 食材だとしても、これ美味しいの?絶対そう思わない……
 とりあえず使わないでおこう。 
 触手をバッと投げてボックスに戻し、簡単に卵入りの野菜炒めを作ってマスター室へ持っていく。
 白米と味噌汁が欲しいけど……仕方ないか。
 途中、ニノシルさんが歩いてるのを発見した。丁度今来たみたいだね。

 「ニノシルさーん」
 「あら、コウジちゃん……それは朝ごはんかしら?」

 ゴツイ身体にオネェ言葉はやはりキツいな。
 しかし……うん、鍛え上げられた雌と思えば……ギリギリ……

 「はい、まぁ……マスターならマスター室ですよ」
 「わかったわ」

 一緒にマスター室に向かいながら、チラッとニノシルさんを見るけど……やはりゴツゴツした腕や手を見ると、どうしても雄だと認識してしまう。
 せめて、腕が隠れてればなぁ。
 マスター室に入って料理をマスターに渡すと、一瞬で……ペロリと平らげてしまった。
 早食いは消火に悪いですよ?よく噛んで食べてください。
 僕は僕で自分のペースで平らげる。
 食べ終えた食器を片付け、再びマスター室に向かうと、ニノシルさんが準備をしていた。
 準備といっても、テーブルにガラス玉と紙とペンを置いただけだけども。

 「ハァーイ。早速視るけどいいかしら?」
 「はい、お願いします」

 ソファーに座るとニノシルさんが前と同じように、ガラス玉を通して僕をジロジロ見始めた。
 これ、なんか苦手だなぁ……違う方法はないのだろうか?
 もちろん、紙も腕で隠しながら書いてるため、何が書かれてるかはわからない。
 さて、結果は……?

 「ハイ、できたわよ。ライクウちゃんから軽く聞いていたけど……思ってたよりすごいスキルをいろいろ獲得してるじゃない。わかりやすく分けてみたわよ」

 そう言われ、渡された結果用紙を見てみる。

 名前:タクト
 種族:狐獣人
 レベル:24
 属性:空
 称号スキル:《モンスターレスキュー》・《魔物使い》・《竜王》 耐性スキル:《暗闇耐性》・《衝撃耐性》・《温度変化耐性》・《貫通耐性》・《気絶耐性》・《孤独耐性》
 通常スキル:《ドラゴン化》・《二心一体》・《変化へんげ》・《フェンリル呼び》・《%&%$#》 攻撃(アタック)スキル:《竜の鉤爪ドラゴニッククロー》・《獄炎放射フルフレアストリーム》・《ドラゴンテイル》・《獄炎弾フルフレアガン》・《サンダーボルト》
 魔法(マジック)スキル:《キュア》
 究極アルティメットスキル:《神炎光陣拳ゴッドファイアリーストライク》・《雷光衝天破らいこうしょうてんは

 おお……レベルが上がってスキルもかなり増えてる。
 ジャドーの戦いのときは頭に浮かんだのを使ってなんとか勝てた。でも、まだこんなに知らないスキルがあったんだ。
 ふぇ~……これを全て理解しながら戦うのって結構大変……だけど、なんか心の方でワクワクしているよ。
 しっかし、なんだろ……なんか記号のみのがあるんだけど?
 ニノシルさんに聞いても、わからないようだ。いつかわかるようになるのかな?
 とりあえず、他の知らないやつを一つ一つ聞いていくことにしてみた。
 《モンスターレスキュー》:魔物を助けた時に獲得できる。近くに邪悪じゃない魔物が助けを求めていると発動。
 《魔物使い》:魔物を懐かせると獲得。戦闘時、一緒に戦うことができる。
 《竜王》:全てのドラゴンを統べる王。
 《ドラゴン化》:ドラゴンの姿になることができる。
 《二心一体》:二つの心を一つの体で共有(シェア)し、一人が表に出れる。する。表に出れるのは本人達の自由自在。
 《変化》:いろいろな姿に変身することができる。五分につきMPを1消費する。
 《フェンリル呼び》:仲良くなった魔狼フェンリルを呼ぶ。到着時間は場所による。
 《キュア》:傷や体力を少量回復する。
 《雷光衝天破》:全MPを使い、雷の力を腕にため込んで一気に解き放つ。威力は本人の魔力により変化する。

 おおぅ……《ドラゴン化》とか《竜王》とかすごいのあるな!
 《竜王》は元々グランヴァルツが持っていたスキルだとして、《ドラゴン化》は一つになったことで?うわ、やってみたい!
 《変化》も仕事に便利そう。後々に侵入の依頼があったときとかにね。
 ていうか、回復魔法もあったんだ?わかってれば、あの子の怪我も直してあげれたんだけどな。
 しかし、MPが重要なスキルがあるし、今どのくらいあるか知りたいな。
 早速聞いてみたら、HPも教えてくれた。

 HP:473
 MP:526

 ううん……比べるものがないから多いのか少ないのかわからないな。
 マスター曰く、レベルにしては多いらしい。
 たしかに、変化の消費を考えると多いかもしれない。これもグランヴァルツのおかげだね。
 ふむ……攻撃技以外は早くいろいろ試したいな。早速地下の闘技場へ行こう……としたけど、マスターに呼び止められた。

 「行く前に聞きたい。ドラゴンの事や《モンスターレスキュー》の事は聞いた。だが、フェンリルの事は聞いてないが……どこで獲得した?フェンリルは魔族で最強クラスと言っていい魔物だ。そんな簡単に懐くとは思えないのだが……」

 あー……そういえば、まだ言ってなかったな。

 「ん……と、昨夜寝てたらなんか呼ばれてる気がして、感覚を頼りに街の外に行ってみると罠にかかった子供のフェンリルがいたんです。で、助けたら懐いてしまって……そしたら《魔物使い》と《フェンリル呼び》のスキルを獲得したんです」
 「なるほど……お前は優しいんだな」

 可哀そうだと思って助けただけなんだけどね。
 フェンリルと最初からわかってたら、たぶん怖くて助けられてなかったと思うし。
 今となっては、あの子は可愛いとしか思えないけどね。
 でも、大きい他のフェンリルはまだ会いたくないなぁ……まだね。
 どんな目にあうかわからないし、もしかしたらやられる可能性だってあるんだしね。
 まぁ……運悪くエンカウントしちゃったら仕方ないんだけどね。
 とりあえず、まずは地下へ行って新たに入手したスキルを試しますかな。
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