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序章、第一話
正しいことってなんだ
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◆
見晴らしのいい丘を下って細い路地を進む。電灯の灯りがぼんやりと闇夜を照らす中、スズメは小走りに教会を目指していた。
(後をつけられてる・・・・・・!)
それも複数人。大人の足音だ。何が目的か分からないが、嫌な予感がする。けれどもう少しだ。次の角を右に曲がれば教会につく。流石に教会の中は安全だろう。
建物の向こうに十字架が見えて少し気が緩んだ。それがいけなかった。
目の前に突然男が飛び出してくる。先程までいたレストランの店員だ。
「・・・・・・っ!」
「よぉ、久しぶりだな。悪餓鬼」
思わず後退りすると、背後からも声が聞こえる。
「散々この街で悪さしといて今は自警団の訓練生様かよ。都合が良いな」
ぞろぞろと周りを複数人の男に囲まれる。みんな知っている。
雑貨店の店主、果物屋の主人、宝石店の支配人。スズメが盗みを繰り返してきた店の主人達だ。
「やり返しに来たってわけか」
「やり返すなんてとんでもない! ちょっとお灸を据えるってだけさ」
「自警団から過去の罪は問わないって言われてる。俺たちから被害を受けた店には金も支払われているはずだ」
「だから?」
店員は思い切りスズメの頬を殴り付けた。反動で吹き飛ばされ地面に転がる。
「散々俺たちの客から盗みを働きやがって」
「金が支払われたからって客からの信頼は取り返せねぇんだよ」
「このままじゃ俺たちの気が済まねぇ」
立ち上がろうとしているところを別の男に蹴り付けられる。
(くそ・・・・・・っ! いつもならこんなやつら、『庭師』の能力で縛り上げてやるのに!)
スズメは顔を歪めながら、先程食事の席でヨルに言われたことを思い出していた。
正しいことに力を使え。
正しいことってなんだ。
ここで力を使うのは正しいのか。通常自警団員が一般人に能力を使うのは禁止されている。しかし攻撃されている場合は?
けれど彼等が暴力を振るうのはそもそもスズメの過去の罪が原因なのだ。ならば男達に仕返しされても仕方ないのではないか。分からない。分からないからここは逃げるしかない。
スズメは顔を歪めながらも立ち上がり、男の横をすり抜けて逃げようとした。しかし一人に足を引っ掛けられ、地面に押し倒される。何度も身体を殴りつけられて、スズメは拳を握り締めた。悔しい。だけど。
スズメは決して能力を使わなかった。スズメが無抵抗なのを察したのか暴力は激しくなり、やがて頭にガンッという音が響いて、ついにスズメの視界は暗転した。
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見晴らしのいい丘を下って細い路地を進む。電灯の灯りがぼんやりと闇夜を照らす中、スズメは小走りに教会を目指していた。
(後をつけられてる・・・・・・!)
それも複数人。大人の足音だ。何が目的か分からないが、嫌な予感がする。けれどもう少しだ。次の角を右に曲がれば教会につく。流石に教会の中は安全だろう。
建物の向こうに十字架が見えて少し気が緩んだ。それがいけなかった。
目の前に突然男が飛び出してくる。先程までいたレストランの店員だ。
「・・・・・・っ!」
「よぉ、久しぶりだな。悪餓鬼」
思わず後退りすると、背後からも声が聞こえる。
「散々この街で悪さしといて今は自警団の訓練生様かよ。都合が良いな」
ぞろぞろと周りを複数人の男に囲まれる。みんな知っている。
雑貨店の店主、果物屋の主人、宝石店の支配人。スズメが盗みを繰り返してきた店の主人達だ。
「やり返しに来たってわけか」
「やり返すなんてとんでもない! ちょっとお灸を据えるってだけさ」
「自警団から過去の罪は問わないって言われてる。俺たちから被害を受けた店には金も支払われているはずだ」
「だから?」
店員は思い切りスズメの頬を殴り付けた。反動で吹き飛ばされ地面に転がる。
「散々俺たちの客から盗みを働きやがって」
「金が支払われたからって客からの信頼は取り返せねぇんだよ」
「このままじゃ俺たちの気が済まねぇ」
立ち上がろうとしているところを別の男に蹴り付けられる。
(くそ・・・・・・っ! いつもならこんなやつら、『庭師』の能力で縛り上げてやるのに!)
スズメは顔を歪めながら、先程食事の席でヨルに言われたことを思い出していた。
正しいことに力を使え。
正しいことってなんだ。
ここで力を使うのは正しいのか。通常自警団員が一般人に能力を使うのは禁止されている。しかし攻撃されている場合は?
けれど彼等が暴力を振るうのはそもそもスズメの過去の罪が原因なのだ。ならば男達に仕返しされても仕方ないのではないか。分からない。分からないからここは逃げるしかない。
スズメは顔を歪めながらも立ち上がり、男の横をすり抜けて逃げようとした。しかし一人に足を引っ掛けられ、地面に押し倒される。何度も身体を殴りつけられて、スズメは拳を握り締めた。悔しい。だけど。
スズメは決して能力を使わなかった。スズメが無抵抗なのを察したのか暴力は激しくなり、やがて頭にガンッという音が響いて、ついにスズメの視界は暗転した。
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