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〇 竜の眠る国
1-5 贋作の姫君と模造品
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◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
初めての場所、初めて見る景色、初めて出会う人々。
これまで自分の培ってきた「ある種の常識」が全く通用しない世界に突然放り出されて、それでも何とか平然を保っていられたのは信頼できる幼馴染が傍に居たからだ。
例えば朝目が覚めて、自分一人の時に突然身体が猫になっていたら驚いてその場から動けなくなるだろうし、実際、いまは私は連れてこられた部屋の片隅で出来る限り私を連れて来た張本人から距離を取っている。
それ以上近づいたら引っかいてやると威嚇するけれど、彼女が私に手を出さないのは傷を負うことが怖いのではなく、いつでも思い通りに出来ると思っているからだ。
くやしいけど、実際に私は何の力も持っちゃいない。燈が部室に魔法陣を描いていた後ろ姿は見ていたくせに、そこに書かれた文字がどんなものだったも覚えてないし、アイツがいない今は、本当に、ただの猫だ。
「なんじゃ、そのように警戒せぬとも悪いようにはせんと申しておろうに」
「っ……」
この子の目的はなに……? なんで私を誘拐したの?
疑問は絶えないけれど猫の言葉じゃ会話にもならない。
――ほんっと……、不便な身体……。
満月の光の下でなら元の姿に戻ることも出来たのだけど、生憎、窓から見える月は随分と欠けてしまっていて光を浴びた所で猫の姿から解放されはしなかった。
人の姿になれたところで、燈の魔法に捉えられて、それを打ち消すほどの相手に素手で敵うとは思えないし、正直、どうしたらいいのか分からない。
燈は、助けに来てくれると思う。
これは願望なんかじゃなくて、信頼で。いままでも彼奴はなんだかんだ言って私の事を気にかけてくれてた。
正直になれない自分が恥ずかしいけど、素直になる方がもっと恥ずかしいって強く当たって、――駄目だ、弱気になっちゃなんにも出来なくなる。
出来る限り強い意志を込めて改めて褐色の肌の少女を睨む。ダメもとで私をここに連れて来た理由だとか、貴方が何者なのかだとか、きつめの口調で訊ねてみるけれど、私の言葉は全て「にゃーにゃー」と情けない、猫の鳴き声にしか聞こえなかった。
悔しい。けど、こんな状況でも何か出来るはずだと部屋の中に抜け出せそうな穴でもないかと視線を巡らせてみる。……まぁ、当然のようにそんなもの、存在しなかった。窓には鉄格子が嵌められているし、猫の身体だとしても通り抜けられる程の幅はない。壁も、手入れが行き届いているのかエシリヤさんのお城のように高級感があるわけではないのだけど、それでも石で組み上げられたらしいそれらは穴を開ける余地はない。
軟禁用の、小部屋。
空の感じからして結構高い所にある。もしかしたら塔の上かも知れない。
そうなると増々逃げ出すのは難しい。別に、ここが地下だったとしてもそう易々と逃げられるとは思わないのだけど。
「さてと、そろそろ落ち着いただろうか。贋作の姫君よ」
褐色の少女は部屋に備え付けられていた椅子に腰かけると金色の瞳に鋭い煌めきを浮かび上がらせながら投げかけて来た。
「落ち着いた? 途方に暮れたの間違いでしょう?」
「まぁそういうでない。仮にも彼《か》の魔導士が連れ歩いた神獣であればこそ、野放しにしておくことなど出来る訳もなかろう」
……あれ?
「話通じてる?」
「ここに連れて来て来てから散々お主には喚かれておったからな。いやでも言葉を覚える」
「……うそ」
「言葉なんぞ伝わればどんな形であろうが同じだろうよ」
言わんとしていることは分かる。話している言葉が違ってもなんとなく言いたいことが通じれば口に出す言葉は何でもよくて、でもそれって「相手の気持ち」を汲み取ることは出来ても会話を成立させるなんて――。だってそれじゃ、まるで「魔法だとでもいいたげじゃな。生憎魔力を無駄遣い出来る程、恵まれた身体をしておらん。見ての通り『子供』だからの」
「…………」
肩をすぼめ、やれやれと言った風に首を横に振って見せるさまは何処からどうみても子供には見えないのだけど。
それでも言葉が通じるなら話は早い。
「私を元の場所に返して。……封印が何とかって言ってたけど、私たちはそんなの知らないわ」
「知らずうちに巻き込まれることもある。そもそも、其方の姿そのものが脅威だと言っておろう」
「ただの猫よ」
「ねこ……、というものが何かは分からんが、かつての黒の魔導士は其方のような獣と共にこの世を滅ぼし掛けた。……贋作と言えど、傍に置いておくわけにはいかん」
「っ……」
言葉が通じるからって話が通じるとは限らない……か。
ただこうして会話をしている内に思っていたよりも話の通じない相手ではないらしいのは分かった。
なら、ここを出た時の為に少しでも情報を。……どうして私がこんな姿になって、燈が女の子にされてるのか、この子なら知ってそうな口ぶりだから。尋ねてみる。
「私たち、ほんとうに何も知らないのよ。気が付いたらこの世界に飛ばされてた。燈も、私も巻き込まれただけなの。……だから教えて、貴方の知ってること。貴方の、心配していることも、全部。……もしかしたら、力になれるかもしれないから」
「…………」
私なりに精一杯誠意を見せたつもりだった。
敵対する必要なんてない。その意思なんて私にはないと、伝えたつもりだった。
なのに彼女はじっと私を見つめると視線を逸らし、窓の外へとそれを向けて黙り込む。
何か、思うところがあるのか。しばらくの間無言が続いて、私は私でじれったくなって、かといって暴れるわけにもいかず、気が付けば尻尾を上下に振っていた。
猫の尻尾って、本人の意思とは関係のない所で動くようになってるんだなーとか、少しだけ冷静になる。
「我々の世界……、か。……なるほど? オリジナルが突如姿を消した理由が少しだけ見えたよ」
彼女は口の端を僅かに緩めると私の方へと歩み寄り、そっと指先を突き出す。
「確かめたいことが出来た。今日の所はこれまでとしよう」
しゃわっと目の前で広がった魔法陣を目にした途端に眠気が襲ってくる。
やられた、と気が付いた時には既にもう遅い。
一方的に情報を開示させるだけさせて、こっちは何も手に入れられていない。
あくまでもここは相手の庭。私は監禁され、監視される側だってことだ――。
私の迂闊な発言が何を呼び込むのかは分からない。だけど、「この世界じゃないところから来た」ってことを燈はエシリヤさんにもエミリアにも話していなかった。それを自分を誘拐しておいて危害を加えようとしないからって、こんな奴に話すなんて――、ほんっと、最悪ッ……。
「せめてっ……、アンタがなんなのかぐらい教えなさいよッ……」
歯を食いしばって何とか睨み付ける。
良いように転がされるだけだなんて気が済まなかった。
「そう心配しなくとも悪いようにはせんと申したハズじゃが――、……まぁよい、私もそれなりの誠意というものを見せれば信用してくれるじゃろうか?」
幼げの残る瞳で私を見下ろし、少女は顔色一つ変えることなく、微笑んだまま呟いた。
「模造品《レプリカ》じゃよ」
と。
その意味を考える余地など私には残されておらず、押し寄せた睡魔に飲み込まれるようにして意識は底へと沈んでいく。
遠くで、あの馬鹿が何かと戦っている姿が見えたような気がして、私は心細いんだって、改めて突き付けられて、心の中で彼奴の名前を呼んでしまうことが情けなかった。
――燈……。
届くはずのない言葉に彼が振り返ったのはあくまでもその光景が私の願望だったからだろう。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
初めての場所、初めて見る景色、初めて出会う人々。
これまで自分の培ってきた「ある種の常識」が全く通用しない世界に突然放り出されて、それでも何とか平然を保っていられたのは信頼できる幼馴染が傍に居たからだ。
例えば朝目が覚めて、自分一人の時に突然身体が猫になっていたら驚いてその場から動けなくなるだろうし、実際、いまは私は連れてこられた部屋の片隅で出来る限り私を連れて来た張本人から距離を取っている。
それ以上近づいたら引っかいてやると威嚇するけれど、彼女が私に手を出さないのは傷を負うことが怖いのではなく、いつでも思い通りに出来ると思っているからだ。
くやしいけど、実際に私は何の力も持っちゃいない。燈が部室に魔法陣を描いていた後ろ姿は見ていたくせに、そこに書かれた文字がどんなものだったも覚えてないし、アイツがいない今は、本当に、ただの猫だ。
「なんじゃ、そのように警戒せぬとも悪いようにはせんと申しておろうに」
「っ……」
この子の目的はなに……? なんで私を誘拐したの?
疑問は絶えないけれど猫の言葉じゃ会話にもならない。
――ほんっと……、不便な身体……。
満月の光の下でなら元の姿に戻ることも出来たのだけど、生憎、窓から見える月は随分と欠けてしまっていて光を浴びた所で猫の姿から解放されはしなかった。
人の姿になれたところで、燈の魔法に捉えられて、それを打ち消すほどの相手に素手で敵うとは思えないし、正直、どうしたらいいのか分からない。
燈は、助けに来てくれると思う。
これは願望なんかじゃなくて、信頼で。いままでも彼奴はなんだかんだ言って私の事を気にかけてくれてた。
正直になれない自分が恥ずかしいけど、素直になる方がもっと恥ずかしいって強く当たって、――駄目だ、弱気になっちゃなんにも出来なくなる。
出来る限り強い意志を込めて改めて褐色の肌の少女を睨む。ダメもとで私をここに連れて来た理由だとか、貴方が何者なのかだとか、きつめの口調で訊ねてみるけれど、私の言葉は全て「にゃーにゃー」と情けない、猫の鳴き声にしか聞こえなかった。
悔しい。けど、こんな状況でも何か出来るはずだと部屋の中に抜け出せそうな穴でもないかと視線を巡らせてみる。……まぁ、当然のようにそんなもの、存在しなかった。窓には鉄格子が嵌められているし、猫の身体だとしても通り抜けられる程の幅はない。壁も、手入れが行き届いているのかエシリヤさんのお城のように高級感があるわけではないのだけど、それでも石で組み上げられたらしいそれらは穴を開ける余地はない。
軟禁用の、小部屋。
空の感じからして結構高い所にある。もしかしたら塔の上かも知れない。
そうなると増々逃げ出すのは難しい。別に、ここが地下だったとしてもそう易々と逃げられるとは思わないのだけど。
「さてと、そろそろ落ち着いただろうか。贋作の姫君よ」
褐色の少女は部屋に備え付けられていた椅子に腰かけると金色の瞳に鋭い煌めきを浮かび上がらせながら投げかけて来た。
「落ち着いた? 途方に暮れたの間違いでしょう?」
「まぁそういうでない。仮にも彼《か》の魔導士が連れ歩いた神獣であればこそ、野放しにしておくことなど出来る訳もなかろう」
……あれ?
「話通じてる?」
「ここに連れて来て来てから散々お主には喚かれておったからな。いやでも言葉を覚える」
「……うそ」
「言葉なんぞ伝わればどんな形であろうが同じだろうよ」
言わんとしていることは分かる。話している言葉が違ってもなんとなく言いたいことが通じれば口に出す言葉は何でもよくて、でもそれって「相手の気持ち」を汲み取ることは出来ても会話を成立させるなんて――。だってそれじゃ、まるで「魔法だとでもいいたげじゃな。生憎魔力を無駄遣い出来る程、恵まれた身体をしておらん。見ての通り『子供』だからの」
「…………」
肩をすぼめ、やれやれと言った風に首を横に振って見せるさまは何処からどうみても子供には見えないのだけど。
それでも言葉が通じるなら話は早い。
「私を元の場所に返して。……封印が何とかって言ってたけど、私たちはそんなの知らないわ」
「知らずうちに巻き込まれることもある。そもそも、其方の姿そのものが脅威だと言っておろう」
「ただの猫よ」
「ねこ……、というものが何かは分からんが、かつての黒の魔導士は其方のような獣と共にこの世を滅ぼし掛けた。……贋作と言えど、傍に置いておくわけにはいかん」
「っ……」
言葉が通じるからって話が通じるとは限らない……か。
ただこうして会話をしている内に思っていたよりも話の通じない相手ではないらしいのは分かった。
なら、ここを出た時の為に少しでも情報を。……どうして私がこんな姿になって、燈が女の子にされてるのか、この子なら知ってそうな口ぶりだから。尋ねてみる。
「私たち、ほんとうに何も知らないのよ。気が付いたらこの世界に飛ばされてた。燈も、私も巻き込まれただけなの。……だから教えて、貴方の知ってること。貴方の、心配していることも、全部。……もしかしたら、力になれるかもしれないから」
「…………」
私なりに精一杯誠意を見せたつもりだった。
敵対する必要なんてない。その意思なんて私にはないと、伝えたつもりだった。
なのに彼女はじっと私を見つめると視線を逸らし、窓の外へとそれを向けて黙り込む。
何か、思うところがあるのか。しばらくの間無言が続いて、私は私でじれったくなって、かといって暴れるわけにもいかず、気が付けば尻尾を上下に振っていた。
猫の尻尾って、本人の意思とは関係のない所で動くようになってるんだなーとか、少しだけ冷静になる。
「我々の世界……、か。……なるほど? オリジナルが突如姿を消した理由が少しだけ見えたよ」
彼女は口の端を僅かに緩めると私の方へと歩み寄り、そっと指先を突き出す。
「確かめたいことが出来た。今日の所はこれまでとしよう」
しゃわっと目の前で広がった魔法陣を目にした途端に眠気が襲ってくる。
やられた、と気が付いた時には既にもう遅い。
一方的に情報を開示させるだけさせて、こっちは何も手に入れられていない。
あくまでもここは相手の庭。私は監禁され、監視される側だってことだ――。
私の迂闊な発言が何を呼び込むのかは分からない。だけど、「この世界じゃないところから来た」ってことを燈はエシリヤさんにもエミリアにも話していなかった。それを自分を誘拐しておいて危害を加えようとしないからって、こんな奴に話すなんて――、ほんっと、最悪ッ……。
「せめてっ……、アンタがなんなのかぐらい教えなさいよッ……」
歯を食いしばって何とか睨み付ける。
良いように転がされるだけだなんて気が済まなかった。
「そう心配しなくとも悪いようにはせんと申したハズじゃが――、……まぁよい、私もそれなりの誠意というものを見せれば信用してくれるじゃろうか?」
幼げの残る瞳で私を見下ろし、少女は顔色一つ変えることなく、微笑んだまま呟いた。
「模造品《レプリカ》じゃよ」
と。
その意味を考える余地など私には残されておらず、押し寄せた睡魔に飲み込まれるようにして意識は底へと沈んでいく。
遠くで、あの馬鹿が何かと戦っている姿が見えたような気がして、私は心細いんだって、改めて突き付けられて、心の中で彼奴の名前を呼んでしまうことが情けなかった。
――燈……。
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