幸せを噛みしめて

ゆう

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二学期

会いたくて2

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 会えない時間が空くとこんなにも愛しさが増すなんて思わなかった。触れるひとつひとつに身体が喜びを感じているのが分かる。

「あっ…ん…」

 重なった唇の角度が変わる度に漏れてしまう吐息と甘い声。浴衣はあっという間に肌けて身体の奥が開かれた。
 急性に開かれたそこは苦しくはあるものの望んでいたものを打ち込まれて喜びに震える。

(あぁ…秋人のものが奥に…)

 ぐちゅりと音を立てて受け入れた熱棒が奥を穿つ。

「ふ…あぁ…」

 愛しそうに髪を撫でながら自分の欲をぐりぐりと押し付ける。お互いの熱をぶつけ合えばすぐに極みに達して、俺はびゅくびゅくと白い白濁を溢した。
 秋人に反応するように書き換えられた身体は快楽に溺れる。もっともっと奥を満たして欲しいと精液を欲しがる。
 肉壁が熱棒に吸い付きぎゅうぎゅうと必死に絞り出そうとして、秋人が小さく笑ったのが分かった。
 身体がどんどん貪欲になっているって分かってる。こんな身体にしてしまったのは秋人のせいだぞって、そう口にしたらとっても笑顔になるもんだから困る。
 お互いに歯止めが利かなくなってしまってそのまま休みが明けるまでベッドから出ることが出来なかったのは言うまでもない。

 夏休みに甘い甘い飴を渡されて、学生生活という会えない鞭を打たれる。それがこんな気持ちになるなんて知らなかった。

(高校生活がこんなにも長く感じるなんてなぁ…)

 それから別れる最後まで名残惜しみながら学園へと戻った。秋人も仕事を頑張っている。自分も将来支えられるように頑張らないと。
 秋人は人が見ていないところで努力をする人だ。学生の本分を思い出しながらその日は自分の寮の部屋に戻って深い眠りについた。

 
 気持ちを切り替えていつものように始まる高校生活。授業を聞いて、体育が嫌だなぁと思いながらも頑張って、お腹いっぱい昼食を取って、居眠りをしないよう午後に気持ちを切り替えて、放課後は皆で文化祭の準備だ。中間テストも成績を落とさずにすんだのでほっと胸を撫でおろした。
 




 
「ああ…ついに明日は文化祭か…」

 と呟く煌弥。寝る前にそわそわして運動会前の小さな子供みたいだと雪は煌弥の姿にクスっとした。

「楽しみだねぇ」

 明日の事を考えると確かにどんな風になるのだろうとわくわくするが寝不足で文化祭に臨むのも良くないだろうと早めに二人でベッドに入った。が、いざ寝ようとするがまだ睡魔は訪れない。

「お兄さんたちに会うのは久しぶりなんじゃない?楽しみだね」

「ふん。俺も、もう16歳だ。兄上達はいつも心配し過ぎなのだ。放ってくれればいいものを…」

 俺には兄弟がいなかったのでよくわからないけれど、息子たち兄弟は下の子達を確かに甘やかしていたなぁ…と思い返す。煌弥をみるとそう言ってはいるが満更でもなさそうだけど…。
 最近俺の中での煌弥はワガママ王子様よりツンデレ王子様だ。

「って、こんな事喋ってないで早く寝ないと明日が辛いよ!羊でも数えよ」

「はぁ?羊…?」

 母親から眠れない時は羊の数を数えたらいいと言われたのだ。目を閉じて羊を数え出した俺にはぁと呆れたようにため息をついた煌弥も同じように瞼を閉じて俺が羊の数を数える声を聞きながら眠りについていた。


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