好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう

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ミラ編

マリアンヌの回想

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 冷たい地下牢でうずくまっていたら、だれかがやって来た。見たことあるような気もするがはっきりとはわからない。

「手当するから、こちらを向け」

 有無を言わせずに半身裸にされて、包帯がぞんざいに巻かれていただけの傷に何か塗られて行き、今度は丁寧に包帯が巻かれた。

「声を出すな」

 そう言われたが、声を出す気力がない。毛布にぐるぐるに巻かれてどこかに運ばれて行くのがわかった。担いだ人が歩くたび振動があって傷に響いて痛い。どこかについたらしくドサっと投げ出された。

「痛い!」

 毛布からほんの少し、顔を出して叫んでしまった。地下牢に来ていた人がじろりと睨んだ。

「いいか、お前はもう王女じゃない。王族だと偽り、その上殺人未遂の罪人だ。でも御慈悲で命だけは免じられた。これから行く場所で一生罪を償って……」

 何か言い続けてるけれどもう耳に入ってなかった。命は助かってもいくところもない。どうでもいいと思っていたらと何かに積まれた。

「どこいくの」

 と聞くが誰も返事しない。何か臭う、なんだろう?初めての臭いだ。しかも揺れる。毛布に包まれたままだけど、横に揺れる。一体どこまでいくのだろう?再び担がれてどこかの床に投げ出された。

「乱暴ですよ」

 誰かが非難してくれた。そうだよ。怪我人なんだから労われと思った。

「罪人です。処刑されるところ命だけが助けられた女ですから」

 担いで来た人はそう言うといきなり毛布を剥いだ。ゴロリと床に転がって痛みがぶり返した。目の間には修道女の格好をしたおばあさんがいた。その人が手を差し出したけど、無視して周りを見回した。

「ここはどこ?」

「院長、とにかく手続き書類はそこに。我らは戻るので後はよろしく」

 どやどやと出ていかれて、室内にはおばあさんと二人。おばあさんがベルを鳴らしたら、違う修道女が入ってきた。

「エレナ この人はマリアンヌと言います。怪我をしているので、薬を塗り直して上げて欲しいけど、誰かできたかしら」

「ミラが経験があります」

「では、マリアンヌが動けるようになるまでエレナとミラで面倒みて上げて」

 エレナという人に肩を貸してもらいどこかの部屋に入った。なんとも質素でみすぼらしい。私がいた宿屋の実家より酷い。硬いベットの上に寝かされる。

「酷いところね。ここはどこ?」

「修道院ですよ」

「修道院?!どうして」

「修道院で修道女になるためにきたと聞いてますよ」

「そんなこと聞いてないわ」

「それでもここがあなたの家になるのですよ」


***



 斬られた傷で熱を出していたあたしをミラとエレナが手厚く看病をして、滅茶苦茶だったあたしを暖かく迎え入れてくれた。
 手厚い手当ででも傷は鎖骨から乳房まで残ったけど、動けるように回復した。傷は誰かに見せるわけじゃなから気にしてない。

 しばらくして吐き気に悩まされた。エレナに月のものはあるか聞かれた。そう言えば島に来る前からしばらくない。エレナに院長室に連れて行かれた。身に覚えはありますかと聞かれたので、あり過ぎるほどありますと言ったらびっくりしてた。誰の子だろう。あのいやらしい男達?エミール?ああそうよエミールよ。あの人の子にしておこう。そうしたら二番目に好きな人の子だもの。愛せるよ。
 
 院長様がここは修道院なので、堕胎は認められないと言ったので、産みますって返事した。院長様は微笑んで、産みなさい。ここでみんなで育てましょうって言ってくれた。
 子供がいては、修道女にはなれないから、修道院の下働きにしてもらった。
 エレナが経産婦なので、産むまで面倒見てくれた。あたしは身体は丈夫なので、初産でもそんなに時間もかからずに、女の子が生まれた。

 院長様がエミリアと名付けてくれた。
 エミリアは髪も目もエミールの色だ。嬉しい。好きな人の子を産めた。アンジェラに勝ったんだあたし。
 エミリアを抱いていると幸せな気持ちが湧き上がる。あなたは本当は貴族のお姫様なんだよ。 

 
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