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ミラ編
エミールの訪問
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エミールはすぐに離島に渡ろうと思ったが、季節柄、海が荒れてなかなか船が出せなかった。
一ヶ月後ようやく離島に渡り、院長を訪ねて行った。
「はじめまして。エミール・ヘルマンと申します。と言ってもすでに爵位は返上していますので平民の身分です。」
「遠いところまでありがとうございます。わたくしがこの修道院の院長です。あなたに手紙を書いたのはミラ・ホークと言ってこの修道院の修道女です」
「マリアンヌがこちらの修道院にいると連絡を頂いたのですが」
「おりますが、その前にミラと話していただいてよろしいですか」
そう言ってベルを鳴らした。修道女が入ってきた。
「はじめまして。ミラ・ホークと申します」
「長年捜していただいたようで、申し訳ありません。この五年外国にでておりましたので、祖国には本店に連絡するぐらいで戻っておりませんでした。マリアンヌが処刑されずにこちらに来ているとお手紙にあったのですが。」
院長がちらりとミラを見てから、エミールに告げる。
「マリアンヌは処刑される予定だったのですが、王太子殿下のお慈悲で命だけは助けられたのです。公的にはマリアンヌは死亡しています。ここにいるのは修道院の下働きのただのマリアンヌです」
「お聞きしたいのですが、ヘルマン様はマリアンヌを恨んでおいでですか?」
思わず目を瞑って答えるエミール。
「そうですね。六年前は恨んでました。彼女が私に媚薬を盛らなければ、最愛の人と結ばれたかもしれないと。ですが、爵位も領地も返上しないといけなくなったことを思うと最愛の人と結ばれても幸せにはできなかった。彼女を諦めるのは辛いことでしたが、これでよかったのかもしれません。今はマリアンヌが処刑されてなくて良かったなと思います。」
「そうですか。ではマリアンヌに子供ができて、あなたの子供だと言っていますが、信じられますか?」
「確かにマリアンヌとはそういう関係にありました。ですが当時マリアンヌにはそういう関係の男が何人もいましたので、私の子供と言われても確信はありません。」
「そうですわね。残念ながらそういう関係にあった男は複数だったと本人も認めてます。ですが、それでも子供があなたに瓜二つで、髪も瞳の色も同じだから父親はあなただと言っています。」
「わかりました。マリアンヌと子供に会うことは可能ですか?」
「ご案内します。ついて来て貰えますか。」
ミラについて長い石の回廊を回って行くと海に向かって、たくさんのシーツを干している女性がいた。その女性の足元で女の子が洗濯カゴの周りで遊んでいる。その子がこちらに気がついた。
「あ!ミラ」
こちらに向かって駆けてくる。
「ミラ さっき船が着いたよね。小麦着いたかなぁ」
ミラが足元に子供をまとわりつかせながらこちらを見て説明する。
「荒天続きで小麦が届かなくてパンが焼けなかったのですよ。
「エミリア お客様なの。ご挨拶して」
「エミリアよ!お客様は本土から来たの?」
エミールが膝をついてエミリアと目線を合わせる。
「そうだよ。おじさんは本土から来たのだよ。」
ミアが干し場でこちらを窺っているマリアンヌに声をかける。
「マリアンヌ、そこはいいからエミリアを誰かに預けて院長室に来て。」
「ヘルマン様 戻って頂いていいですか?帰りの船の時間まで三時間しかありません。マリアンヌとも話しましょう。」
一ヶ月後ようやく離島に渡り、院長を訪ねて行った。
「はじめまして。エミール・ヘルマンと申します。と言ってもすでに爵位は返上していますので平民の身分です。」
「遠いところまでありがとうございます。わたくしがこの修道院の院長です。あなたに手紙を書いたのはミラ・ホークと言ってこの修道院の修道女です」
「マリアンヌがこちらの修道院にいると連絡を頂いたのですが」
「おりますが、その前にミラと話していただいてよろしいですか」
そう言ってベルを鳴らした。修道女が入ってきた。
「はじめまして。ミラ・ホークと申します」
「長年捜していただいたようで、申し訳ありません。この五年外国にでておりましたので、祖国には本店に連絡するぐらいで戻っておりませんでした。マリアンヌが処刑されずにこちらに来ているとお手紙にあったのですが。」
院長がちらりとミラを見てから、エミールに告げる。
「マリアンヌは処刑される予定だったのですが、王太子殿下のお慈悲で命だけは助けられたのです。公的にはマリアンヌは死亡しています。ここにいるのは修道院の下働きのただのマリアンヌです」
「お聞きしたいのですが、ヘルマン様はマリアンヌを恨んでおいでですか?」
思わず目を瞑って答えるエミール。
「そうですね。六年前は恨んでました。彼女が私に媚薬を盛らなければ、最愛の人と結ばれたかもしれないと。ですが、爵位も領地も返上しないといけなくなったことを思うと最愛の人と結ばれても幸せにはできなかった。彼女を諦めるのは辛いことでしたが、これでよかったのかもしれません。今はマリアンヌが処刑されてなくて良かったなと思います。」
「そうですか。ではマリアンヌに子供ができて、あなたの子供だと言っていますが、信じられますか?」
「確かにマリアンヌとはそういう関係にありました。ですが当時マリアンヌにはそういう関係の男が何人もいましたので、私の子供と言われても確信はありません。」
「そうですわね。残念ながらそういう関係にあった男は複数だったと本人も認めてます。ですが、それでも子供があなたに瓜二つで、髪も瞳の色も同じだから父親はあなただと言っています。」
「わかりました。マリアンヌと子供に会うことは可能ですか?」
「ご案内します。ついて来て貰えますか。」
ミラについて長い石の回廊を回って行くと海に向かって、たくさんのシーツを干している女性がいた。その女性の足元で女の子が洗濯カゴの周りで遊んでいる。その子がこちらに気がついた。
「あ!ミラ」
こちらに向かって駆けてくる。
「ミラ さっき船が着いたよね。小麦着いたかなぁ」
ミラが足元に子供をまとわりつかせながらこちらを見て説明する。
「荒天続きで小麦が届かなくてパンが焼けなかったのですよ。
「エミリア お客様なの。ご挨拶して」
「エミリアよ!お客様は本土から来たの?」
エミールが膝をついてエミリアと目線を合わせる。
「そうだよ。おじさんは本土から来たのだよ。」
ミアが干し場でこちらを窺っているマリアンヌに声をかける。
「マリアンヌ、そこはいいからエミリアを誰かに預けて院長室に来て。」
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