好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう

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ミラ編

ミラの当惑

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 私は突然還俗することになって戸惑っていた。




**


 ここに来て四年目に兄からの手紙でドルン侯爵家が取り潰されて、ディビスとリリアが処刑されたことを知った。リリアは結局侯爵家に嫁ぐには身分が足りないとディビスの妾になっていたそうだ。そして媚薬を密輸していた商会で働いていたため処刑されたと。
 陥れた憎んでも憎みきれない相手ではあったけど一族郎党どころか商会に関わったもの全て処刑されたと聞いて心穏やかにはなれなかった。

 兄はこれでミラの冤罪が証明できるから、還俗して戻って来いと手紙は結んであった。だが当主である父からは何も無い。父がここに入れたのだから父の許可が無いと帰れない。しかももう修道女なので当主の還俗願いがないと修道院を出ることはかなわない。

 ここに入れられた時、院長様から父が噂が消えたら連れ戻すつもりだと聞いたが、あれも当てにはならないのだと思い知った。やはり父は私に愛情などないのだ。



***


 それからマリアンヌがこの島に来て、父の意向はどこにあるにせよ、今はマリアンヌの子育てを助けるのに手一杯だった。
 マリアンヌはエミリアの茶の髪をプラチナブロンドだと言い張る。これは父親に似たのだと。マリアンヌの精神が病んでいるのかもしれないと思うが、それ以外ではマリアンヌは愛情のある母親だ。

 危なっかしいので私とエレナの手助けは必要だが、エミリアがお母さんと慕うに困るような事はなかった。それでもエミリアを一生ここから出さないわけにも行かない。父親はいた方がいいだろうとマリアンヌにエミリアの父親だと言っているエミールの素性を聞くとすんなり教えてくれた。二番目に好きな人だと。

 兄に頼んでヘルマン侯爵令息エミール様に繋ぎを取ってもらった。
 驚いた事にヘルマン侯爵家は爵位返上して、エミール様の行方が知れなかった。兄には引き続き行方を追ってもらった。

 それから数年後兄から父が病を得て亡くなったと連絡があった。そのため兄が伯爵家を継いだと。
 だが、父は私を呼ぶなと言い続けたため亡くなってからの連絡になったと詫びてあった。
 父の見舞いに親族知人が訪問してくるので、もし私を見かけたらドルン侯爵家の処刑から日が浅い。過去のことでなにを言うかわからないのでと言う理由だそうだ。
 そんな理由で娘の見舞いを拒む父親。亡くなって悲しいというより、ますます私の心は硬く凍り、兄の還俗して戻ってくるようにという連絡を拒絶した。

 そんな折兄から外国にいたエミール様と連絡が取れたと手紙が来た。エミール様とお会いしてこんなにすぐ状況が変わると思ってなかった。



****



 三ヶ月後エミール様が三人を迎えに来た。私が還俗する手続の書類を伯爵家から預かっても来た。本土の本教会に伯爵家から届出も済んでいるので、すでに私は修道女ではない。院長と仲間の修道女に別れを告げてた。
 

 エミリアは初めて継ぎの当たってない綺麗な服を着せて貰って大はしゃぎで船に向かって駆けていく。
 離島で生まれ育ったエミリアには初めてのことばかり。デッキではしゃいでいるエミリアを見守りながら、私は波が照り返す光の眩しさに目を瞑った。ここを出る日が来るとは思ってなかった。このままここで年老いていくのだと思っていた。

 エミリアの父親でもないのに、エミール様がマリアンヌ親子を引き取ってくれるとも思ってなかったので、エミール様には感謝しかない。なのに過去エミール様とマリアンヌが子供の父かも知れないと疑われる行為をしていた事に胸がざわめく。なぜなんだろう。
 マリアンヌの過去はざっとだが院長から聞かされてきたが、エミリアがディビスの子である事にも動揺しなかったのに、エミールとマリアンヌの関係だけいつまでも心に引っかかるのだ。
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