悪役令嬢が死んだ後

ぐう

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「なあ アラン アルベルトはあんなに愚かだったか?」

 尋問に借りた教室に戻りながらフェリクスはアランにこぼした。

「いえ 子供の頃はあなたより勉学も剣技も優れていると言う評判でした」

「そうだったよな。私の母は自分の子を誰かと比べるような人ではなかったから、外野がうるさくてもシャットアウトしてくれてたから傷つく事もなかったけれど、そう言う評判は子供でも知っていた」

 教室に入る前に出入口の護衛に耳打ちをしてからアラン、フェリクスの順に入室した。
 中に男子生徒が座っていた。フェリクスの姿を見ると慌てて立ち上がった。

「君は?」

 アランが聞くと立ち上がった男子生徒が答えた。

「私はエトムント・デングラーです」

「そうか座ってくれ」

 フェリクスにそう言われエトムントは再び元の椅子に座った。フェリクスも座りアランから報告書を受け取った。それを見ながらエトムントに声を掛けた。

「エトムント・デングラー 君は被害者が加害者に刺されて階段を落ちた現場にいたようだな」

「……はい……」

「その時間、君は本来なら別棟で授業を受けているはずだった。なぜ関係ない棟にいたのだね?」

「そ それは……」

「『…こんな馬鹿な…反対だろう……』と言ったと言う証言がある」

「そ そんな事言っていません!そいつはうそつきだ!」

 フェリクスはエトムントをじろりと見た。

「証言したのは近衛騎士団のものだ。通常の騎士団よりさらにふるいにかけられて選ばれている。彼らの王家に対する忠誠心から偽証したとは考えられない」

「き、きっとあの女に買収されたんだ!」

「あの女とは?」

「あの死んだ女だ!」

「君の義姉だね」

「義姉なんかじゃない!」

「君はデングラー公爵の養子じゃなかったか?」

 フェリクスがそう尋ねると気分を害したようにムッとした。アランはそれを見て王族に対する態度ではないなと思った。デングラー公爵の躾はどうなってるのか。

「君の実家は?」

「デングラー公爵家配下のモンデール伯爵家の三男です」

「それは大出世だったね」

 フェリクスにからかうように言われて、エトムントは怒りで顔を赤くした。アランはそれを見て殿下はこの男を煽って何を言わせたいのかわかった。エリックに視線を向け護衛に近づくようにそっと手招いた。

「公爵家の一人娘が第二王子の婚約者になったから後継候補とに、配下の中から君が選ばれて養子になったのだろう?感謝こそすれ義姉になった人を悪様に言うのは感心しない」

「でも!だって!あの女はマリアをいじめたんだ!悪辣な手口で!」

「マリアとは?」

「今拘束されてる女の子だ!彼女は無実なんだ!早く解放しろ!」

「マリア・ヘニッヒ男爵令嬢 ヘニッヒ男爵の庶子で母親が亡くなって孤児院にいるところを男爵が見つけて男爵家に引き取られました。二年前まで孤児院で暮らしていたそうです」

 アランがフェリクスに耳打ちした。

「マリア・ヘニッヒの犯行は近衛騎士の目撃者がいる。解放などできない」

「ーーーそれはあの女がマリアをいじめるからお返しに罪をちょっと着せるだけってーーー」

「着せるだけと誰が言ったのだ?」

「ーーーーマリアがアルベルト殿下と結ばれるためにはあの女が邪魔だからとーーーーー」

「それは冤罪を着せると言う事だね」

「先にマリアをいじめたあいつが悪いんだ!」

「具体的には?」

「マリアがアルベルト殿下と仲良くしていたら、貴族令嬢は婚約者のいる男性と二人きりになってはいけないとか、貴族令嬢は男性の身体に自分の身体を密着させてはいけないとか目の敵のように文句を付けた!慣れてないから皆で彼女のサポートをしていただけなのに邪推しやがって!醜い女なんだ」

「当然のことだ。貴族令嬢としての嗜みを教えてくれたのだろう」

「違う!いじめだ!いじめられたマリアがそう言ったからいじめなんだ!だからーーー」

「だから?」

「マリアがあいつにナイフで傷をつけられて階段を踏み外したところに飛び込んで助けるはずだったんだ!」

「マリア・ヘニックは自傷に及ぼうとしていたと言う証言があるが?」

「だからあいつにかすり傷でもつけられて階段を落とされたと言うことにするから証人になってとーーーー」

「証人になってとマリア・ヘニッヒに言われたわけだ。つまり偽証するつもりだったと。聞きましたか?デングラー公爵。あなたが養子にした男は義姉に冤罪をかけ、偽証をしようとするような男ですよ」

 フェリクスがそう言うとエトムントは恐る恐る振り向いた。扉の前にはデングラー公爵が青ざめた顔で立っていた。
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