悪役令嬢が死んだ後

ぐう

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「ですが、殿下、『呪』に対抗できるのはエロスを含まない愛だと言われていましたね」

「ああ」

「第一側妃は溺愛していた先代侯爵亡き後兄達と仲が悪いのでわかりますが、第二王子はユリアン殿下との愛の形見なので第一側妃に愛されていたのでは?あんなに必死に王太子にしようとして噂をばら撒いたり、デングラー公爵を後見に付けたりしていたではありませんか」

 アランがそう言うとフェリクスはふっと笑った。

「お前が愛の形見って言うと少し引くな」

「何言ってるんです。真面目な話です」

 アランが抗議するとフェリクスは宥める様に手をアランの肩に置いた。

「まあまあ。ユリアン殿下は第一側妃を愛してたが第一側妃はどうだったろう?第一側妃は我が母に対抗するために子が欲しかった。が国王は閨に訪れない。ユリアン殿下の子供だったら国王が自分を追い出さないだろうと計算していたとたら?」

「え?」

 アランがびっくりして目を向いた。

「じゃあ、子供欲しさにユリアン殿下に迫ったとーーー」

「お前さっき愛の形見とか言ってたのに急に卑猥になったな」

 フェリクスが苦笑いする。

「ユリアン殿下が亡くなって父上も色々調べたんだ。一応自分の側妃になっている女性が浮気したわけだからな」

「そう、国王の側妃なのに他の男の子を産んだら普通は処刑だ」

 ジョエルが横から口を挟む。

「処刑されなかったのはひとえにユリアン殿下が繰り返し第一側妃の事を頼んで逝ったからだ。でも子供を産ませたら第一側妃は王宮から出すべきだった。そうしたら王妃もここまで恨みを拗らせることはなかったと思う。兄弟の情に負けた父上が悪いと思うよ」

「そうですね。そして第二王子もユリアン殿下の忘れ形見としてどこかに養子に出すべきだった」

 ジョエルもフェリクスに同意した。

「だが、さすがに父上も第一側妃が第二王子を王太子にと狙ってるのを知って反王家派のデングラー公爵達と一緒に処分するためにわざと泳がせて証拠を集めていたら、王妃の『呪』が割り入って複雑なことになったんだよ」

 フェリクスがため息をついた。

「じゃあ国王陛下があなたに目立たない様に平凡な王子を装えと言われたのは第一側妃側に尻尾出させるためですか」

 アランがそう聞くとフェリクスは笑った。

「いや、私は平凡だよ」

「よく言いますよ。学園での成績も学園に手を回して平凡に装い、密かに王宮では専門家がついて学者並の知識を付けてるじゃないですか」

 ジョエルが呆れた様に言った。

「でもそのおかげで『呪』の対象が第二王子に絞られたわけかーーー何が幸いかわからないな」

 アランがそう言うとジョエルは首を傾げた。

「いやそもそもフェリクス殿下は『呪』は弾くだろう。国王陛下も第二側妃様も王女殿下方もフェリクス殿下を愛しんでおられる」

 ジョエルが大真面目な顔で言うとアランもああと納得した。

「しかし気の毒なのはデングラー公爵令嬢だ。『呪』の影響で第二王子は婚約者に冷たかった。デングラー公爵令嬢も親の愛が無くて『呪』の影響から逃れられなかった」

「では、デングラー公爵令嬢の境遇はデングラー公爵の元婚約者の『呪』でなくて王妃の『呪』のせいだったとーーー」

「確定はできないが、デングラー公爵が令嬢を愛さなかったのはデングラー公爵がそう言う人間だからだ。だから肉親に愛されない令嬢は正統な『呪』の血筋が正統なやり方で呪った呪いから逃げられなかったと思われる」

「それはあまりにもーーー」

「そうだな。あまりにも酷い。両親に愛される令嬢だったら第二王子と婚約しないで済んだか早々と白紙にできたかもしれないのにな」

 フェリクスがアランの言葉を引き取ってそう言った。

「その上学園でおかしな男爵令嬢に絡まれてたわけですから。令嬢は逃げようと思わなかったのでしょうか」

 そう言うアランをフェリクスが見つめて言った。

「だからクリスティーヌは死を選んだ」

 フェリクスの目から一筋涙が流れた。
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