悪役令嬢が死んだ後

ぐう

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閑話 第一王子フェリクス 




 私は第一王子フェリクス

 父は現国王陛下 母は第二側妃


 国王陛下の正妃である王妃陛下は離宮に籠られて公務も閨も拒否されている。
 また最初に妃に上がった第一側妃も第二王子と王宮の一角に居室を定めて第二王子の養育が忙しいと言い立てて、そこから出てこようとしない。国王陛下も閨に呼ぶこともなく公務も振り当てていない。

 自然、第二側妃の母が全て公務をこなし、常に国王陛下の隣は母だった。居室も寝室もずっと国王陛下の隣で子供の目からも仲睦まじく、私達子供を愛しんでくれている。だから私は母が父の正妃だと思い、私達三人だけが父の子供だと思っていた。

 私は家庭教師がつく様になって、王宮の事を学んでから、初めて父に母以外の妃がいて母は正妃でない事を知った。そして父には私達以外にも子供がいることも。

 子供心にもショックではあったが、国が続いていくためには複数の子供が必要と言う講義を受けて納得する振りをした。

 国王の子として子供でも厳しい講義と体術剣術の鍛錬が課せられて必死に付いて行っていると母に呼ばれた。
 母には家庭教師から優秀で申し分が無いと報告が上がっているが、ある事情のために『なにをやらせても平凡以下の王子』と言う評価が流れるが腐らずに勉学も鍛錬も続けて欲しいと言われた。
 最初は反発を覚え、母に初めて言い返した。どんなに言ってもただ悲しそうな母を見ると受け入れるしかなかった。それでも二、三日は意欲が湧かずにさぼっていたところ父に呼ばれた。

 そこで聞かされた事は政治的過ぎて、子供に聞かせていいことでは無いと聞かされた自分ですら思ったが、なぜ自分が目立っていけないか納得できた。それからは周りを見回して判断する癖がついた。
 『何をやらせても平凡以下の王子』にあえて近づいて来る人間の魂胆も探る癖も付いてしまったが、評判などでなく私自身を見てくれて側近候補になってくれたジョエル、アラン、エリックとの友情はかけがえがなかった。


 そうして息を潜める様にして、それでも自分の出来ることをひたすら追い求めていた。
 周りは優秀で剣にも秀でている第二王子をもてはやしていた。王太子は間違いなく第二王子になるだろうと噂されていた。


 そんな日々が続くある日、王宮の王族の私的スペースの庭園で泣いている女の子を見つけた。どうしたのと聞くと高位貴族子女を集めた第一側妃の催しに来て、道がわからなくなってしまったと。その女の子は金の髪に紫水晶の瞳でたいそう可愛らしかった。
 涙をハンカチで拭いてやり、泣き止むまで色々と話してその女の子がクリスティーヌという名前である事を教えてもらった。
 髪飾りを落としてしまったと言うので庭で咲いていた花を手折り髪に付けてあげた。
 「ありがとう」と微笑んでお礼を言うその姿に思わず見惚れてしまった。

 それでも探してるといけないので会場まで連れて行き、私は第一側妃の催しに入っていけないのでそっと肩を押した。すぐ侍女が見つけて彼女に近づいてきたのでそっと隠れた。侍女がデングラー公爵令嬢と呼んでいるのを聞いて自分が近づかない方がいい家の令嬢だと知った。

 それから数年経ち第二王子がデングラー公爵令嬢と婚約したと漏れ聞いた。
 そして第二王子が婚約者との顔合わせをすっぽかし、その後も彼女を蔑ろにしている噂を聞いた。自分の後ろ盾になる家の令嬢に何をしているのだろうとイラッとした。なぜイラッとしたのかその時はわかっていなかった。

 父に呼ばれた後王宮への来客用の庭園の四阿にポツンと座っている女性を見つけた。そばには護衛と侍女がいたので危なくは無いだろうが一人で何をしているのだろうと少し近づくと成長したクリスティーヌだった。より一層美しくなった彼女を我知らず見つめ続けた。

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