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「『ざまあ』とはなんですか?」
わかったふりをしてみたが、やっぱりわからないエリックが尋ねた。
「ひょっとして『ざまあみろ』の略ですか?」
アランが口を挟むとフェリクスが答えた。
「まあ、仕返しとか勧善懲悪も含むのだろうな。異世界の考えはよくわからない」
「それで、殿下、公爵令嬢は生きていると言われましたが、近衛が二人も目撃している上に、生徒達も転がり落ちてきた遺体を見ている。亡くなったのは身代わりの誰かなんですか?」
エリックが詰め寄った。自分の管轄の近衛第一の騎士が目撃者なのだ。偽証したら大変な事だ。
「待ってくれ。流石に身代わりなど立てていない。代わりに死んでくれと誰が言える」
フェリクスが慌てて言うとアランも頷いた。
「エリック、身代わりはないだろう。遺体の偽装ならまだしも落ちて来るのを目撃させるのは難しい」
それもそうだとエリックも引き下がった。
「フリッツの報告でアルベルト達の薬物中毒がいよいよ進んでいる事がわかり、アイリーンの報告で王妃の『呪』も最終段階に入った事がわかった。クリスティーヌの言う乙女ゲームのシナリオ通りの卒業パーティーの断罪まで待てなくなった。できるなら、多くの人を助けたかったのだが……」
「……そう思います……」
アランとエリックは同意した。
「首謀者の男爵令嬢がどこから薬を手に入れているか、はっきりとした証拠が掴めなくて、陛下から学園に調査に入る許可が降りなかった。犠牲者を出したく無かったのだが……」
フェリクスがそう言うとアランが言った。
「男爵家自体にはなんらおかしいところはなかった。まさか、マリアとダニエルが兄妹でデングラー公爵家の犬が薬を調達していると、調べる事ができなかった私達の手落ちですよ。殿下だけのせいではありません。それに、学園に立ち入る許可が出なくては身動きが取れない」
「なぜ陛下はお許しにならなかった?」
エリックがアランに尋ねた。アランは眉を顰めて、それには答えずにフェリクスに尋ねた。
「陛下は反王家派のデングラー公爵と結託した第一側妃と離宮に立て篭もり『呪』などを行い人を呪う王妃を排除したかったのですよね?」
「反王家派との軋轢は長い。デングラー公爵家だけ排除できても根っこは残る。また同盟国の王女を簡単に切り捨てる事はできない」
フェリクスがそう答えるとアランが言った。
「陛下は両方消えて欲しかったから、わざと殿下の願いを却下したのでは?」
フェリクスが苦々しげにアランを見た。
「殿下も気が付いておいでですよね。国王陛下は第一側妃に加担した反王家派の証拠は掴んでいらっしゃる。先代公爵と違って当代の公爵は脇が甘いですから。あとは王妃陛下の……」
「表には出せなくとも、今回の薬のことでも、デングラー公爵を追い詰めることはできるだろう。王妃の方は『呪』の証拠を揃えて、離縁の理由にするつもりだと思う。王族を呪ったのだ。十分な理由になる」
アランに言われてフェリクスが説明をした。
「父上のご指示には逆らえず、行き着くとこまで行ってからしか、立ち入れなかった。だからアルベルト達の薬中毒が取り返しがつかない事になる前に、クリスティーヌをアイリーンに頼んで殺してもらったのだ」
「殿下!デングラー公爵令嬢は生きてるって!」
「殿下!アイリーンが噛んでいるのですか!」
アランとエリックはフェリクスの言葉を聞いて詰め寄った。
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