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「まあ 座れ」
国王がフェリクスに声をかける。フェリクスはそれに従わないで、国王に近づいた。
「父上、アルベルトが死にました」
「ーーーそうか、お前はどうするつもりだ
国王は驚きもせずに言葉を返した。
「父上はご存知だったのですね」
フェリクスは国王の言葉を聞いて、それと悟った。
「ボートンが先程やって来て取引をした」
「どのような……」
「ボートンの手元にある反王家派の証拠全て差し出す代わりに、ボートンとアイリーンとその姉達の帰国を認めて欲しいと言ってきた」
「ーーー父上は認めたのですか」
「我らが喉から出るほど欲しかった先代デングラー公爵の反逆の証拠もあった。王妃亡き後あれらの仕事は終わった。速やかに帰国してくれた方がいいだろう?」
国王は問いかけるようにフェリクスに言った。
「国内を勝手にかき回された事を罪に問わなくていいのですか?」
フェリクスにそう言われると、国王は皮肉げに笑った。
「そこまでできるほど、王権が強かったらよかったけれどな」
フェリクスが予想した通りの返答だった。
「デングラー公爵が爵位を返上したいと言っておりましたが……」
「其方の報告を読んだ。娘の事を悔いてではなく、反王家派が危うくなったから逃げ出すつもりで言ったのだろう」
「お認めになるのですか」
フェリクスがそう問うと
「証拠は揃ったが、国内最大派閥の党首の公爵を処刑に処する事は難しい。だが、本人がどんな理由にせよ、爵位を返上すると言うなら、返上させる。引き止めはしない。だが、ボートンが渡してきた証拠をチラつかせて、財産と領地は没収して、年金だけで追放する」
国王は長い足を組み替えて、決意を込めてそう言った。
「建前だけ、本人の希望ということにするんですね」
「そうだな。後はこの証拠で配下の貴族を少しずつ追い詰める」
「父上はこのために、王妃の『呪』と学園での薬を見逃されていたのですね」
フェリクスが暗い顔で言うと、国王は今更なんだと言うようにフェリクスを見た。
「フェリクス、この騒動が落ち着いたら、お前が立太子するんだ。デングラー公爵の配下の貴族たちの処分もお前がするんだ。次期国王の王権は強めたい」
そう国王は言い
「隣国と同盟を組む時、我が王家が王権が弱いばかりに、クラリーチェを人質として差し出す羽目になった。もう二度と嫌なんだーーー」
目を瞑り、指で押さえた。
「叔母上は政略結婚ではなかったのですか?」
「相手の王太子には国内の公爵令嬢と言う婚約者がいたんだ。だから側妃という名の人質になりに行った。自分だって国内に婚約者がいたのにも関わらずだ」
「ですが、叔母上は今ーーー」
「まあ、いろんなことが合ったようだ。今幸せだからと言って、酷い目にあったことには変わりがない。お前は妹達を犠牲にしないでいい、国を作ってくれ」
「父上、ですが、沢山の人間の犠牲で今回のことは終わっています。もう亡くなった第一側妃と王妃は取り返しがつきませんが、アルベルトとクリスティーヌの二人は新しい人生を作ってやりたいです」
国王がフェリクスをじっと見て言った。
「ーーーー許可しよう。学園で騒ぎを起こしたもの共は、決まりに従って裁く。それでいいな」
「王妃の離宮に立ち入る許可を下さい。『呪』で見逃したことがあるかもしれません」
「許可しよう」
それを聞いて、フェリクス出口に向かうために、振り返った。その背中に国王が言った。
「ーーーユリアンの遺児は救ってやりたいと思っていたのは、嘘ではないぞーーー」
背中にその言葉を聞いて、黙って扉を開けた。
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