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「そうですね。先代の国王陛下は側妃、愛妾がわんさかいて、寵愛を求めて争いが絶えませんでしたからね。そのため王妃所生の国王陛下とご弟妹は身を寄せ合って、毒殺や暗殺の危険から逃げていらっしゃった」
「後宮での争いだから、後宮を治める先代王妃が仲裁に入ればよかったのでは?」
オスカーはそんなことを言うフェリクスを鼻で笑った。
「おい、オスカー、酷くないか、一応主君なんだが……」
「相変わらず、女心に疎いですね。まあ、単なる寵愛ではなく、寵愛を受けたものが権力を持つと言うことが問題です。先代の国王陛下は先代の王妃陛下にしかお子を授けなかった。それだけは評価できますね。それ以外では、反王家派をのさばらせた罪が重い」
オスカーがきっぱり言うと、その通りなので、祖父母とはいえ庇えないなとフェリクスは思った。そんなことを考えていたら、オスカーが話題を変えた。
「それから、『呪』の件ですが、ここで死んでいた侍女は、離宮付きになってから、行方不明になった者でした」
「アイリーンの姉達ではないのだな」
「はい、違います。侍女達の死因は失血死でした」
「『呪』には血が必要なんだな?」
「その様です。やり方を記した書はないので、推察ですが。『呪』は望みが叶った時に、呪った術者にかえる。術者も死にたくないから、死がかかわる事には余程のことがない限りおこなわない。なのに王妃は自分の欲望で、人の死を願った。自分は死なないからですね」
「それもなかなかすごい」
「他人事の様な事を言ってますが、この中に書かれているには、アルベルト殿下が王太子に即位するという第一側妃が立てた噂を信じて、第一側妃とアルベルト殿下を殺す事にしたとありますよ。術者もちょうど二人いるからと。全て愛しい第一王子のためにと」
オスカーが積み上げた書物の一番上の本のページをぱらぱらとめくった。
「ここですね」
顔色の変わったフェリクスはその本をじっと見た。
「読めない。でも私を実子と信じ続けていたのか」
「はい、その様です。王妃所生の王子を王太子に立てず、寵愛している第一側妃所生の王子を王太子にするとはと、かなり激昂されています」
「間違いだらけの情報だな」
フェリクスが呻く。
「それでも、王妃にとってそれが真実です」
「それで、『呪』の的が第一側妃とアルベルトになったわけか」
「そうです」
フェリクスは訳の分からない罪悪感で一杯になって、言葉が出なかった。それを見たオスカーが言った。
「殿下、殿下のせいではありません。この状況を放置して、一斉に片付けようとした国王陛下のせいです」
「ーーーおいーーそんな不敬なことを言ってもいいのか?ーーー」
「誰も聞いていません。国王陛下から聞いていると思いますが、この騒動の始末をつけたら立太子です。そしたらすぐ譲位されるおつもりです。あなたの治世に備えて膿を出し切ろうとされたわけです」
立て続けに、捲し立てられて、フェリクスは心算はあったが、実際それが近くに来る事に身がすくむ思いだった。
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