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「では、殿下、そろそろ戻りましょうか。エリック達がまだかまだかと待っていると思います」
「王妃はこの小部屋に、この様な書き物や血のついた侍女服を置いておいて、見つかったらどうするつもりだったのだろう?」
オスカーに小部屋から出る様に促され、出て行きながら、フェリクスはオスカーに質問した。
「この国にとって、表沙汰にしたくないことばかりと、わかって放置して行ったのではと思いますよ」
オスカーはそう言いながら、横開きの扉を閉めた。
「それに見つかっても、自分は死んだことになっている。憎い第一側妃は自分が処分した。第二王子は学園でスキャンダルまみれになって、立太子はない。心残りはなかったのでしょう」
オスカーがエリック達が扉前で 控えてる扉まで行き、開いて招き入れた。
「もう、よろしいのですか」
エリックと他の護衛達も入ってきた。
「ああ、この離宮での調査も終わった。アランやジョエル達の方も気になる。そちらに合流する」
フェリクスの言葉に従って、一行は離宮の外へと出て行く。オスカーは入り口で立ち止まった。
「それでは、私は父の元に戻り、弟の報告も聞きに行って参ります」
「ああ、フリッツには悪い事をした。フェス侯爵令嬢との婚約を元通りにできないか、フェス侯爵に内々に打診してみる。『呪』の影響でとは明かせないから、私の命を受けての密偵のためにした事としか言えないのだが……」
「お気になさらず。弟も覚悟して受けた仕事ですから。婚約もグレーテ嬢の気持ち次第です。フリッツも膝をついて謝ってみるしかないでしょうね」
弟のことなのに、意外と冷たく言ってオスカーは去って言った。その後ろ姿を見つめてから、フェリクスはエリック達とアラン達のところに向かった。そこに近衛第一の伝令がやってきて、フェリクスの前に膝をついた。
「殿下、マッテンハイマー副団長からの報告です。ボートン医官総長は医務室の自室には見当たらず、自邸ももぬけの殻でした。使用人達も何も聞いておらず、養女のアイリーン嬢の行方もわからないと言っているそうです。以上であります」
「ーーそうか、ご苦労だった。ボートンが居なくなったのなら、薬物中毒になっているものの治療には、副医官総長のフェルスターに医療班を編成して治療にあたる様に伝えてくれ」
フェリクスがそう命令すると、伝令は立ち上がり、敬礼をしてから走り去って行った。
「ボートンは学園から王宮に戻らずに、そのまま行方をくらましたのでしょうか」
エリックがフェリクスの後ろから声をかける。
「既に容易万端だったのだろう。ボートンは王妃を始末する様にと言われて、潜入して来たのだから、王妃の死さえ確認すれば、この国にもう用はない」
「でもデングラー公爵家の犬の元締めの方は?」
「元々王宮に入り込むコネのために、デングラー公爵の犬になった。デングラー公爵ももうおしまいだ。さっさと逃げ出さないと余計な罪まで上乗せさせられる」
「デングラー公爵の犬の解明ができないのは残念です」
「残念だが、反王家派をいきなり断罪できない。象徴が退場したら少しずつ片付けて行くさ」
フェリクスそう言うと、エリックは不承不承に頷いた。
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