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最終話
学園での殺人事件をきっかけに、いろんな事が一気にあった数ヶ月後
フェリクスの執務室の机の上には、事件の処理のために、山ほどの決裁書類が積まれていた。側近のジョエル、アランが書類仕事に、励んでいるが流石に疲れている様だ。
そこにフェリクスがオスカーを連れて入ってきた。
「皆、今日からオスカーが私の側近になった。仕事を押し付けてやってくれ」
その言葉にジョエルとアランは万歳する。
「嬉しいのですが、宰相の方はいいのですか?」
続いて入ってきたエリックが、はしゃぐジョエルとアランを呆れた目でみて、オスカーに尋ねた。
「元々、フェリクス殿下が立太子する時に側近に加わる予定でしたし、今までの宰相が全て決済する制度を改めて、各担当大臣を置くことにするとフェリクス殿下が決められましたので、宰相は最終決裁だけになって、楽になるから大丈夫ですよ」
「その大臣の人選もこれから、頭を悩ませることになるな」
フェリクスがぼやくとアランはニヤリと笑った。
「それよりも、フェリクス殿下が立太子されると決まってから、自分の身内を王太子妃にさせたい貴族から自薦他薦で集まってきてますよ」
と言って、アランは横に積み上げられた釣書を叩いた。
「それは、もっと先だ。父上にも宰相にも了解が取ってある。立太子して、反王家派の処分を進め、制度を改正してからしか娶らないと」
「それは隣国に迎えに行かれると言うことですか?」
ジョエルが真面目な顔で言うと、フェリクスは頷いた。
「まだ時間が必要だからな」
しんとした空気を振り払う様に、オスカーが口を開いた。
「そう言えば、ご心配いただいたフリッツですが、三ヶ月毎日フェス侯爵家に通い詰めて、卒業パーティーでエスコートをする許可を得てきました」
「再婚約は?」
「それはまだ。フリッツが誠意を見せたからって、まだまだ信じて貰えない」
オスカーは仕方ないとばかりに苦笑いしつつ、話を続ける。
「それでも、フェリクス殿下がフェス侯爵家に足を運んで、グレーテ嬢に説明してくださった事が大きいです。ありがとうございます」
「まあ、フリッツが破談になったままでは、夢見が悪いからね」
「殿下、北の塔の方は治療が順調に進み、あと少しで旅立つことができます」
ジョエルがボートンに変わって、医官総長になったフェルスターからの報告書を読み上げた。
「エトムントとヨーゼフはどうだ?」
「エトムントは回復は難しいかもしれません。ヨーゼフは一進一退ですが、ヘルマン騎士団長が引き取りを希望しています。領地でひっそり家族で看病したいそうです。許可を与えてもいいですか」
フェリクスはゆっくり言葉を選びながら言った。
「引き取りは構わないが、ヘルマン騎士団長に復職するように命じてくれ。彼は人望もあり、素晴らしい指導者だ。息子のことで失うのは惜しい」
「近衛第一騎士団全員で、待ち望んでおりました」
エリックはそう言って、ぱっと顔を上げて、喜色満面の表情を浮かべた。それをみて、フェリクスは続けた。
「それから、ボートンが持ち込んだ先代の罪を突きつけられて、デングラー公爵が爵位返上を国王陛下に奏上して認められた。領地は全て返上、公爵には年金を与えられ、王都郊外の別邸一つ残して暮らすことになった」
「どう言う心情なんでしょう。柩は空だと気がついたでしょうに、何も言ってきませんでしたね」
アランが言葉を挟むと、フェリクスはアランの方を向いた。
「さあ、空の柩を見てどう思ったか、全く表に出てこないのでわからない。ダニエルの証言でデングラー公爵家の犬も解体できた。その上ボートンが持ち込んだ証拠で先代のデングラー公爵の罪も明らかにした。残りの反王家派はもうぐらぐらだ」
「自称ヒロインは処刑されましたね」
「アルベルト殿下の死因は薬物中毒だ。王族を殺したので仕方ない。第一側妃はアルベルト殿下が亡くなった事で、後追い自殺だと発表したしな」
アランが言い出した言葉を、ジョエルが引き継いだ。
「王妃の死はいつ発表するのですか?」
「立て続けに王族が亡くなるのは外聞が悪い。ヒルシュフェルト国王との交渉も済んだので、重篤な病気にかかったことになった。数年後病死として発表される」
フェリクスの言葉にみんな心の中で頷いた。
「さあ、仕事をするか!」
オスカーが掛け声をかけた。
「そうですね。フェリクス殿下が迎えに行ける日が早く来る様に頑張りましょう!」
アラン、ジョエル、エリックが大きな声で応じた。
FIN
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