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プロローグ
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朝。
「おはよう新一」
「…おはよ湊」
教室でネット小説を読んでいるとふと声が掛かる。それと同時にスマホの画面に彼女の長い髪が掛かり画面が見えなくなる。
「うーん毎回思うけど新一が読んでるのってあんまし評価高くないよね?」
「まあな。正直言うとあんまし読者居ないがお前が言うとな…」
顔を上げると予想通りの人物がいた。茶髪に黄土色の瞳と純粋な日本人の家系に生まれたとは思えない西欧の美少女の名前は柳瀬湊。俺-前原新一の幼馴染にして現役ラノベ作家の梶谷玲音である。元々は趣味で様々な小説を投稿していたところをとある編集者に拾われその才を開花させアニメ化まで果たしている。
「理論家な新一にしては珍しいと思うんだよねそこまで嵌るの」
「誰が理論家か。まあ読んでいて楽しいというか色々と考えるのは楽しいし」
それにある目的のためにもこう言ったモノを広く読んでいる。がそれは未だ誰にも教えてないし誰にも教えるつもりはない。
「前々から感じてたけど変わったよねあの頃から」
「そうか?」
「うん。なんかこうあの頃までが危機感で生きているなら今は使命感で生きている」
流石は現役の作家。人の観察が巧い。危機感で生きていた訳ではないと思うが今の俺は目的のために全力を用いている。
「…結局は生き急いでいると?」
「結論はね。まあそれでも新一の人生だし」
そう言いながら俺の机に腰掛けて長い髪をクルクルとイジる。まるで何か言いたげだがこちらから話すのを待ち受けているような気がする。だがこればかりは幾ら付き合いが長い湊でも話せない。安易に話しても良い話ではないから。
「本当観察眼は凄いよな」
「まあね。そこら辺は天性のものだからね」
湊は戦略的俯瞰能力とでも言うべき戦況の全てを利用することに優れている。自由性を与えると本当に怖いヤツだ。…噂では若い先生のSNSを全て特定しているとか。
多少褒めたことで気を良くしたのかそのまま俺の机に座りスマホを取り出し小説を書き始める。
俺もそのまま小説を読むの再開する。
しばらくすると2人ほどの足音が近づいて来る。
「…もうお二人とも相変わらずですわね」
「僕としてはその方が安心するけどね」
「言いたい事があるなら早く言えよ勇に紅葉」
近づいて来た2人の男女に半眼を向ける。男の方は近衛勇。剣道三段を持つ好青年である。また学業も優秀であり既にとある高名な私立大学からの逆推薦を得ている。
一方女の方は緋羽紅葉。日本の伝説的一族の1つ【緋色】の直系のご令嬢である。またその美貌と喉は天下一品でありさる業界からは【紅の姫】と呼ばれている。
この2人の関係は親公認の許婚である。というか既に近所ではおしどり夫婦呼ばわりされるほど。並んで居るだけでも映えるからな。ただ何故か俺らに絡むことが多い。基本的に俺も湊も何方も人付き合いは悪いのだがそんな事を彼らは気にしていない。
「まあ2人にもペースというものがあるんだよ」
「そうでしょうか?何だか永遠に同じ光景を見せられると思いますが」
「本当に何が言いたいんだ?」
「このニブチンと言うべきでしょうか?」
「それなら鈍感だね。まあ本人には分からないか」
おう。その本人の前で内緒話みたいに話すの辞めようか。俺は聞こえているんだから。隣の少女には聞こえないだろうけど。
「それにしても新一は書かないのか?」
「こう言うのは読み専門で良い」
というか書けないだろう。たった1つしか。それを書くほど落ちぶれては居ないしその事を世間に送り出して出てくる批評の方が怖い。しかもその事が売れるとも限らないし仮に売れたとしたら他の作品も書く必要がありそうだから嫌だ。そこまで文系ではない。
「それに…プロが居るからね」
「確かにそうですわね。それでも校正作業などは手伝っているのでしょう?」
「いや俺に文才は無いからな。知ってる知識を組み合わせるのが得意なだけで」
言わばプログラムみたいに言語を組み合わせて違和感や間違いを修正するだけだ。その違和感を感じやすくするためにもこう言った素人の作品を読み漁っており有望な作品には訂正案を幾つか送っている。…そして気付かない内に俺はそのサイト内で目をつけられると売れると評判になっていた。
「っとそろそろSHRが始まるぞ」
「「は~い」」
「そこニマニマしない。あと湊も降りる」
「ん」
そこで俺の席の周りに居た連中が自身の席に戻り各々が自由に過ごす。湊はそのまま小説を書き勇は英単語ではなくあれはロシア語の単語を覚えて紅葉は片耳イヤホンで新曲を高速で叩きつけている。うむ実にいつも通りである。
ここかなり高名の私立なんだが此処ら編の緩さがあるのかわりと皆自由である。…現役作家や人気声優にモデルまでいるんだから仕方は無いと思うけど。
「はーい。皆さーんおはよーございます」
ガラガラガラと教室の戸を開けてこの場に一番合わない少女の様な女性が入ってくる。彼女の名前は蒼倉希空。紅葉同様に【蒼色】の一族である。この一族は珍しく一族皆青い瞳をしている。また雰囲気の緩さからあおちゃんや希空ちゃんと呼ばれている。
「それでは出席を取ります。緋羽さん」
「はい」
その直後だった。
教室の中が不思議な光に包まれると黄金の光が縦横無尽に教室を征く。それはまるで魔法陣を紡いでいるようにも見える。
「なっ!」
「ARか!?」
…確かに。このリアリティはAR…拡張現実と呼ばれるものに近い。
と普通なら感じるが俺は違う。
この感じこの気配は間違いない。
【神】や【魔】の気配。そうなるとこれはアレか。
異世界召喚か。
そこまで判断した瞬間。
抵抗する間も無く俺たちは1人残さずその教室から消えた。
「おはよう新一」
「…おはよ湊」
教室でネット小説を読んでいるとふと声が掛かる。それと同時にスマホの画面に彼女の長い髪が掛かり画面が見えなくなる。
「うーん毎回思うけど新一が読んでるのってあんまし評価高くないよね?」
「まあな。正直言うとあんまし読者居ないがお前が言うとな…」
顔を上げると予想通りの人物がいた。茶髪に黄土色の瞳と純粋な日本人の家系に生まれたとは思えない西欧の美少女の名前は柳瀬湊。俺-前原新一の幼馴染にして現役ラノベ作家の梶谷玲音である。元々は趣味で様々な小説を投稿していたところをとある編集者に拾われその才を開花させアニメ化まで果たしている。
「理論家な新一にしては珍しいと思うんだよねそこまで嵌るの」
「誰が理論家か。まあ読んでいて楽しいというか色々と考えるのは楽しいし」
それにある目的のためにもこう言ったモノを広く読んでいる。がそれは未だ誰にも教えてないし誰にも教えるつもりはない。
「前々から感じてたけど変わったよねあの頃から」
「そうか?」
「うん。なんかこうあの頃までが危機感で生きているなら今は使命感で生きている」
流石は現役の作家。人の観察が巧い。危機感で生きていた訳ではないと思うが今の俺は目的のために全力を用いている。
「…結局は生き急いでいると?」
「結論はね。まあそれでも新一の人生だし」
そう言いながら俺の机に腰掛けて長い髪をクルクルとイジる。まるで何か言いたげだがこちらから話すのを待ち受けているような気がする。だがこればかりは幾ら付き合いが長い湊でも話せない。安易に話しても良い話ではないから。
「本当観察眼は凄いよな」
「まあね。そこら辺は天性のものだからね」
湊は戦略的俯瞰能力とでも言うべき戦況の全てを利用することに優れている。自由性を与えると本当に怖いヤツだ。…噂では若い先生のSNSを全て特定しているとか。
多少褒めたことで気を良くしたのかそのまま俺の机に座りスマホを取り出し小説を書き始める。
俺もそのまま小説を読むの再開する。
しばらくすると2人ほどの足音が近づいて来る。
「…もうお二人とも相変わらずですわね」
「僕としてはその方が安心するけどね」
「言いたい事があるなら早く言えよ勇に紅葉」
近づいて来た2人の男女に半眼を向ける。男の方は近衛勇。剣道三段を持つ好青年である。また学業も優秀であり既にとある高名な私立大学からの逆推薦を得ている。
一方女の方は緋羽紅葉。日本の伝説的一族の1つ【緋色】の直系のご令嬢である。またその美貌と喉は天下一品でありさる業界からは【紅の姫】と呼ばれている。
この2人の関係は親公認の許婚である。というか既に近所ではおしどり夫婦呼ばわりされるほど。並んで居るだけでも映えるからな。ただ何故か俺らに絡むことが多い。基本的に俺も湊も何方も人付き合いは悪いのだがそんな事を彼らは気にしていない。
「まあ2人にもペースというものがあるんだよ」
「そうでしょうか?何だか永遠に同じ光景を見せられると思いますが」
「本当に何が言いたいんだ?」
「このニブチンと言うべきでしょうか?」
「それなら鈍感だね。まあ本人には分からないか」
おう。その本人の前で内緒話みたいに話すの辞めようか。俺は聞こえているんだから。隣の少女には聞こえないだろうけど。
「それにしても新一は書かないのか?」
「こう言うのは読み専門で良い」
というか書けないだろう。たった1つしか。それを書くほど落ちぶれては居ないしその事を世間に送り出して出てくる批評の方が怖い。しかもその事が売れるとも限らないし仮に売れたとしたら他の作品も書く必要がありそうだから嫌だ。そこまで文系ではない。
「それに…プロが居るからね」
「確かにそうですわね。それでも校正作業などは手伝っているのでしょう?」
「いや俺に文才は無いからな。知ってる知識を組み合わせるのが得意なだけで」
言わばプログラムみたいに言語を組み合わせて違和感や間違いを修正するだけだ。その違和感を感じやすくするためにもこう言った素人の作品を読み漁っており有望な作品には訂正案を幾つか送っている。…そして気付かない内に俺はそのサイト内で目をつけられると売れると評判になっていた。
「っとそろそろSHRが始まるぞ」
「「は~い」」
「そこニマニマしない。あと湊も降りる」
「ん」
そこで俺の席の周りに居た連中が自身の席に戻り各々が自由に過ごす。湊はそのまま小説を書き勇は英単語ではなくあれはロシア語の単語を覚えて紅葉は片耳イヤホンで新曲を高速で叩きつけている。うむ実にいつも通りである。
ここかなり高名の私立なんだが此処ら編の緩さがあるのかわりと皆自由である。…現役作家や人気声優にモデルまでいるんだから仕方は無いと思うけど。
「はーい。皆さーんおはよーございます」
ガラガラガラと教室の戸を開けてこの場に一番合わない少女の様な女性が入ってくる。彼女の名前は蒼倉希空。紅葉同様に【蒼色】の一族である。この一族は珍しく一族皆青い瞳をしている。また雰囲気の緩さからあおちゃんや希空ちゃんと呼ばれている。
「それでは出席を取ります。緋羽さん」
「はい」
その直後だった。
教室の中が不思議な光に包まれると黄金の光が縦横無尽に教室を征く。それはまるで魔法陣を紡いでいるようにも見える。
「なっ!」
「ARか!?」
…確かに。このリアリティはAR…拡張現実と呼ばれるものに近い。
と普通なら感じるが俺は違う。
この感じこの気配は間違いない。
【神】や【魔】の気配。そうなるとこれはアレか。
異世界召喚か。
そこまで判断した瞬間。
抵抗する間も無く俺たちは1人残さずその教室から消えた。
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