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蒼太編

真奈の2

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合コンから数日後、私は変わらない日常を過ごしていた。いや、一点だけ、梶谷さんとは連絡先交換をして本日会う約束をしてるので変わって無いことはないかも。

出会いが合コンなのだから普通なら恋愛的意味での会う約束だと思ってしまうだろうけど、梶谷さんと芽生えたのは友情で全く色気の無い約束。

「仕事で猫の動きを研究したいのですが、もし良かったら猫カフェに一緒に行ってくれませんか。」

合コンの席で互いの猫愛について語っていた私たちは猫愛好家として友情を育み野良猫を見つけては撮って送り合ったりしていたりする。
男の人が一人で猫カフェなんてハードル高いもんね。
私には得しかないしもちろん即OKしたよ。

「こんにちわ。お待たせしてごめんなさい。」

「こんにちわ。全然待ってませんよ。今日は付き合ってもらってありがとうございます。早速行きましょう。」

会うのは二回目だけど全く緊張しない。
猫カフェに着くともう可愛いお猫様に二人共骨抜きにされて玩具もご飯も貢いでしまったよ。我々はもう奴隷です。
猫カフェを出た後は付き合ってもらったお礼と言われお食事を奢ってもらっちゃったのでちょっとだけ申し訳なかったかな。
でもたくさん猫トークできたのは最高の時間だったわ。

こんな出会いも悪くないなって思ってた三日後、凪紗から連絡があった。




「緊急事態発生。凪紗宅集合!」

仕事終わりに凪紗から物騒なメッセージが来てたのをみて直ぐに凪紗の家に行くと早々に凪紗に家の中に引き込まれた。

「合コンにいた証券マン、あの人ヤバい!」

「ん?証券マン??」

「富岡 蒼太!お姉ちゃん連絡先交換してない?」

「え?あ、した…かな?覚えてないや。」

私は友達登録を確認する。
すると私の友達の中にその名前は無い。
あ、別に興味無かったし連絡しなかったな…。

「お姉ちゃん偉いね!そいつお姉ちゃん以外の全員と連絡先交換してるんだよ。今ね、この前の合コンメンバーの子から連絡がまわってきててお姉ちゃん会社名バラしてたでしょ?絶対不味いと思うよ!」

凪紗が見せてきたスマホの画面をみてみると衝撃的な内容がやり取りされている。


「富岡 蒼太は体目当ての粘着質。
合コン後にデートや食事の誘いが毎日くる!断ってもくる!勤務先言っちゃったから最寄り駅にも会社の受付にもくる!
今はもう追い返してもらってるけど鉢合わせした時めっちゃ肩や腰に腕を回されたりお尻触られたよ~。」

「えっ。私も既読スルーしても誘いがきてるよ。怖っ!」

「皆にも送ってるのね。私は読んですらいないわ。」

マジ…怖くない?!
私そんな人に連絡先渡したの?!

「な、凪紗も…?」

「めっちゃ連絡くるよ。彼氏できたからって送っても不満があったら相談してってくる。」

「うわぁ…。」

「お姉ちゃんは来てないの?大丈夫?」

「私は今のところ大丈夫。」

でも…その内来る可能性はあるか…。
どうすればいいかな。何か対策した方が良いよね。
なんでこう変な男ばっかり…。

「お姉ちゃん、作戦会議しよう!私の責任もあるし!!」

力強い凪紗の言葉に私も力強く頷く。
ここに第一回オンライン富岡 蒼太対策会議が開かれた。
まずは情報が欲しいところなのでまずは男性の幹事をしていた人に連絡をしてみる事になった。

「私が探り入れてみるわ。元々友達から紹介された人なの。」

「じゃあ私は会社の子を経由して証券マンの会社関係者繋がれないかやってみる!」

「私は…クリニックに来る男性に警察官さんがいるから対処法聞こうかな。」

「私は事務所の弁護士さんに相談してみます!」

皆すごく頼もしい…だけど私は何をしたら良いのだろう。
役に立てる事が無さそうな気がする。

「私は何をしましょう…。」

「「「「…………。」」」」

何だろう…画面の中の皆の顔と凪紗の顔が怖い。
え?何かできる事ありました?

「「「囮をお願いします。」」」

「私が内容考えるから。暫く帰りは私が迎えに行くよ!」

一番重要でしんどそうな役目ですね…。
早期解決をお願いします!
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