私のドラゴンライフ

上手にお片付けができました。

マリアが翠が半壊させた家に戻ると、壊されたのが嘘のように元通りになっていた。
翠がスライディングして削れた庭まで元通りになっている事から頑張った様子が分かる。

片付けに疲れたのか翠は鼻ちょうちんをつくりながら仰向けで眠っている。
手伝いをしたのであろう琥珀も翠の隣で寝息をたて眠っているので、マリアは収納からシーツを取り出し二匹にかけた。

「少し、元気になっているな。」

「漆黒さん、心配をおかけして申し訳ありませんでした。」

「いや、君が元気ならそれでいい。だが、そうだな少し散歩に付き合わないか？」

人の姿からドラゴンの姿に戻った漆黒は艶のある黒い鱗を月明かりで輝かせながらマリアに背中に乗るよう促した。
マリアが背中に乗ると、大きな羽を広げ大空へと舞い上がる。

「気持ちいいですね。」

「ああ、空を飛ぶのは爽快だ。特に月に照らされた世界は美しい。」

「優しい光です。」

「少し、気温が低い場所にいく。寒かったら言ってくれ。」

「わかりました。」

森から段々と離れ見え始めたのは雪原。
息は白くなったが、漆黒が魔法でマリアを温めてくれているようで寒さは感じない。
足跡ひとつない白銀の世界の美しさを堪能していると、ふと空に違和感を感じマリアは視線を上げた。

「コレを見せたくてな。」

「…綺麗……。」

星の輝く空にもっと強く光を放つカーテンが現れた。
赤や緑の光の波は美しく魅入ってしまう。

「これは…魔法ですか？」

「いや、自然現象だ。オーロラと呼ばれている。」

「オーロラ…。」

オーロラは少しすると星空に溶けていった。
しかし、その美しい光景はマリアの心に焼き付き、名残惜しさもあったがオーロラを見せてくれた漆黒への感謝が勝っていた。

「漆黒さん、素晴らしいものを見せて下さりありがとうございました。」

「またいつでも連れてくる。見たくなったら言うといい。」

夜の散歩から戻ると翠と琥珀はまだ寝ていた。
起こすか迷ったマリアだが、漆黒が二匹を担いだので任せる事にした。
きっとまた明日の朝来るに違いないので二匹の為にご飯を作っておこうとマリアはキッチンへ向かった。


朝になると、ドスドスと音をたてて翠がきた。

「マリア～ごめんっ！うわっ？！」

例のごとくまた何も無いところで躓きスライディングしてくる翠を今度は障壁で受け止めたマリアは夜に作ったご飯を出すのをやめて、翠を正座させ説教する事にした。