聖女様? いいえ、わたし魔女なんですけど。

みにゃるき しうにゃ

文字の大きさ
2 / 8
第1話

その2

しおりを挟む



 わたしがサージェ様のお屋敷にお世話になる事になったのは、魔法を使っているところを見られて聖女様と間違われちゃったからだ。
 ただ、見てたのが一人だけだったから、わたしは否定しまくって誤魔化している。
 だから神殿は聖女認定が出来ず、候補という形でわたしを保護及び観察することになった。
 冗談じゃないよね。四六時中見張られてるなんて。万が一魔女だってバレた時の事も怖いし。
 けどそのおかげでサージェ様の屋敷に住まわせてもらうことになったの。
 最初はわたしの住んでる場所に定期的に様子を見に来たりするって言ってたんだけど、わたしが拒否したのね。「今住んでるのは遠い親戚のおばあちゃんちだから、そんな迷惑はかけられない」って。
 そしたらサージェ様の所にお世話になったらって話になって。
 サージェ様は神殿に仕える聖騎士で、元々は他の聖騎士達と一緒に神殿で暮らしていたらしい。
 けどサージェ様のお兄さん、マビちゃんのお父さんにあたるんだけど、その人が亡くなって、マビちゃんのお母さんが再婚するのにマビちゃんもついて行く事になって、それでこのお屋敷がサージェ様のものになったらしい。
 ちなみに今わたしが使ってるのは、元々マビちゃんの部屋だったって。
 まあそんなわけで、大きな家を持ってる聖騎士、しかもわたしとは親子程の年の差があるってんで、神殿側はわたしにサージェ様のところでお世話になれって言ってきたわけ。
「エミるんが聖女様じゃないって言いはるのは、本当に違うから? それとも叔父さんの事が好きだから?」
 聖女様じゃないって主張するわたしに最初マビちゃんはびっくりしてたけど、すぐにニマニマとしてそう訊いてくる。
「本当に違うの。あ、もちろんサージェ様の事も好きだけど」
 この主張だけは変えるつもりはない。だって本当に違うし、万が一魔女だってバレた時、ただ「魔女だ!」って言われるより「聖女様の名を語った魔女め!」って言われる方が怖いじゃん。
 もちろん魔女だって事はバレないよう、気をつけてるけどね!
 そんな話をしていると、ノックと共に声をかけられた。
「エミルさん。聖騎士のコーウィさんがいらしていますが、お通ししてもよろしいですか?」

 コーウィさんはサージェ様の部下に当たる人で、わたし達とほぼ同じくらいかちょっと年上の人だ。
「お久しぶりです、聖女様。再びお会いすることが出来て光栄です」
 瞳を潤ませコーウィさんがわたしを見る。うん。ウザい。
「つい先日会ったばかりだし、わたしは聖女様じゃありません」
 何度言ったところでコーウィさんはわたしを聖女様と呼ぶ。なぜなら。
「何故聖女様が否定されるのかは分かりませんが、私はこの目でその奇跡を見ておりますから」
 そう、コーウィさんが唯一わたしが魔法を使ってるところを見た目撃者なのだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず
恋愛
ある日、ユウとチカの姉妹が乙女ゲームの世界に聖女様として召喚された。 好きなゲームの世界に入れたと喜ぶ妹のチカ。 本来、聖女様として召喚されるのだったの一人。どちらかが死に、召喚された。 妹のことが大切な姉のユウは、妹がこの世界にいたいのならば私が偽物となってこの世界から消えようと決意する。 *乙女ゲーマーによる小説です。乙女ゲーになろう設定混ぜ込んでみました。 *乙女ゲーによくある設定(共通ルートやバッドエンドなどのよくある設定)の説明があります。分かりにくかったらすみません。

実は私が国を守っていたと知ってましたか? 知らない? それなら終わりです

サイコちゃん
恋愛
ノアは平民のため、地位の高い聖女候補達にいじめられていた。しかしノアは自分自身が聖女であることをすでに知っており、この国の運命は彼女の手に握られていた。ある時、ノアは聖女候補達が王子と関係を持っている場面を見てしまい、悲惨な暴行を受けそうになる。しかもその場にいた王子は見て見ぬ振りをした。その瞬間、ノアは国を捨てる決断をする――

辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~

サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――

妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~

サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。 死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって? 聖女なんてお断りです!

処理中です...