まさか推しと戦うことになるなんて……ミッドナイトミッションSPACE‐F-

有馬佐々(ありまささ)

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ガラクタの集まりみたいな心

繰り返される夢の中で

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 もやもやとした景色の中。

「チッチッ……こちら、準備完了です。そちらは?」

 施設に設置された電子機器の数値を確かめる、細くて身長の高い男セフィが第一声を放つ。

「溶解度正常。他はどうですか?」

 溶媒液の濃度を測っている小太りの男ジルが言った。

「すみません!こちら少し遅れております」

 スイッチやレバー、そして電子キーボードが沢山配置されてあるパネルの前で、白衣を着た男エスが焦っていた。

 マドカはそこで、一人取り残されていた。体を動かすことも声を出すことも出来ず、ただ傍観していることしかできなかった。

 ――また、この世界ね……。また、私はあの光景を見なくてはならないのね……兄さん……。

 マドカは夢の中で気持ちを強くこめて目をつむった。目の前が真っ暗になる。しかし、声だけは聞こえてきた。

「検体ネーム、レノ。対象スペースへ移動します……。設置完了。それでは実行します」

 エスの声が聞こえてくる。

 すると、とてつもない機械音が鳴り響いた。

 ビガガガガーー……ギココココ――……

「うあぁぁぁぁぁ」 

 つんざくような叫び声が聞こえた。

 レノの心臓がぎこちない音を立ててくりぬかれていく。

 ――まただわ……いやっ、いやっ!聞きたくない!もううんざりよ!

 マドカは聞きたくもない叫び声を聞いて知らぬ間に涙を流していた。

 ――……ピー、ポポポポ……マド、カ……。

 五分もしたら叫び声がおさまった。マドカの耳に名前を呼ぶ声が聞こえた。

 それを聞いて、マドカの涙が止まった。

 レノの声だった。

 ――兄さん!何処に居るのよ……?

 マドカは急いで目を開けた。しかし、そこにはレノの本当の姿はなく、あるのはガラクタの集まりの機械だけだった。セフィ、ジル、エスの三人はとっくに姿を消していた。

 マドカはその機械がレノだと言うことをわかっていなかった。

 体は未だに硬直したままで縄で木に縛り付けられているように動かない。声も出ない。

 ――何よ、これ……!せっかく兄さんの声が聞こえたのに話せもしない……。そう、こうやって、いつも何かを見ているだけしかできないのよ……。

「ピー、ポポポポ……こん、にちは」

 ――何よ、この機械、変な音なんか出しちゃって……。私の兄さんはどこ?そんな……全てはMODSという組織のせいね……。 

 セフィとエスが隣の部屋から戻ってきた。ジルは一仕事終え、休憩室で休憩室で仮眠を取っていた。

 セフィはレノの腹部を修復しながら言った。

「レノ、反応はあるかい」

「……ピー、ポポポポ。人間一人認証」

 五秒ほど経って、胸に小さな傷を作ったレノが反応を見せる。

「そんな、かしこまらなくていい」

「遂行前にプログラムを三行ほど変えた影響でしょうか」

 セフィのすぐ後ろにいたエスが呟いた。

「そんなことしたのか。何故」

「あまり話しすぎると、この機械に変な感情移入を抱く人も出てくるかもしれないと思って、レノの心をちっとばかり変えたのさ」

 エスが言う。

 ――心を変えた……?それでもさっき、私の名前を呼んだような……。

 マドカは不思議に思った。

「そうか、力は奪ったからあとは良いものの、エラーだけはおこさないようにな」

「はい、エナジードレインの力を奪った無謀なこの機械に何ができるって言うんですか」

 その時、マドカの頭が激しく揺れた。ぐわんぐわんと振り回されるような感覚だ。

 研究室から森の中へと景色が変わった。

 マドカは嗚咽を漏らしながら、涙目で必死に藻掻き夢の空間を彷徨った。

 ――いやっ、いやっ!こんな世界いやよっ!

 マドカは必死になって唱えた。

 百八十度地面がひっくり返るような浮遊感に襲われた。

 もやもやとした景色が青白く光っていく。

 そして――。 

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