まさか推しと戦うことになるなんて……ミッドナイトミッションSPACE‐F-

有馬佐々(ありまささ)

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この世界を知るために

本当の目的

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 二×△△年から一年前の某日。

 レノが戦争を引き起こしてからMODSは世界平和維持組織から未来維持能力者開発組織へと名称が変わった。

 そして、初代の基地は取り壊されて今は廃棄場となっていて、都内某所で新しい基地が設置された。

 レノは『活力吸収エナジードレイン』の力を使って様々な能力を吸収していた。その吸収力はすさまじいもので、炎、水、風、光を操る力などを意図せず発揮してしまい、日本中では不可解な天災が起きたと、騒ぎになっていた。

 窓の外はすっかり荒廃していた。

 能力者の力が日本荒廃の原因になっていることをMODSはわかっていた。

「この状況をどうにかせねばならない」

 基地の中でナツは深刻な表情を浮かべて言った。

「どうする気だ」

 ギンジが尋ねた。

「能力者の気持ちまではわからないが……」

 セイトが呟く。

「どうにか、能力者達が住みやすい環境を、私たちの手で提供できやしないだろうか」

 ギンジはMODSのメンバーに向けて言った。

「まずは、能力者の過去を知る必要がある」

 ナツが言う。

 そこでナツは、タイムマシンを作ることを提案した。

 賛成したMODSのメンバーは、飛びぬけた賢さを持ったセイトにタイムマシンを作ることを依頼した。

「ふう……」

 溜息を漏らして、セイトは缶コーヒーを口にした。

 セイトの手により、一ヶ月してタイムマシンは完成した。

「私達は過去に戻り、能力者の力を回収していく。能力者にはバレないように行こう」

 ナツが落ち着き払って言った。

 ギンジは自分の息子であるレノは能力を回収されるだけで、普通の人間になることを信じた。

「ああ、能力を回収されないように行くとしよう」

 調査を進めていくことにより、レノが能力を始めて発揮したのが十年前だと突き止めた。ナツとギンジ、セイト、その他セフィ、ジル、エスの三人の部下を連れレノの力を回収するため、六人は十年前の二×××年四月十九日へとタイムリープをした。

 しかし、ナツの目的は違った。

 ナツの目的は能力者を使った世界征服だった。

 その目的を知っていたセイトはナツのサポートをしていた。

 しかし、セイトは真の目的を幼馴染であるギンジに隠して通していることが出来ず、伝えてしまった。

 四月十九日の早朝、過去に戻ったセイトは、真の目的を知らないギンジに伝えた。

「そんな……」

「本当にすまないと思っている。しかし、私もナツに賛成してしまって」

「タイムマシンを使う前から二人はわかっていたというのか……?」

「……そういうことになる」

「裏切ったのか……?」

「取り敢えずナツが基地で待っている。話をしてくると良い」

 セイトはあっさりした表情で言った。

 それに比べ、重苦しい表情を浮かべるギンジ。

「……ああ、わかった」

 ギンジの目的とナツの目的はすれ違っていたのだ。

 ナツは基地の外で静かに煙草を吸っていた。

「おう、ギンジ」

「……ナツ」

 ナツの真の目的を知ってしまったギンジは、気持ちよさそうに煙草を吸うナツを見て、酷く失望した。

「なあ、嘘だったのだろう。やっぱり能力者開発組織なんてやめにしないか」

「何を言っている。戦争が起きたんだ。私達が阻止しなくてどうする」

 ナツは意地を張って言った。

「セイトに聞いたんだ。本当の理由……。ナツ、能力者の居心地の良い環境など作る気なんてなかったんだろう」

 十秒程の沈黙が流れた。

「何か答えてくれよ、ナツ!」

「……コホン。そうさ」

 ナツは小さく咳払いして続けて言った。

「……そうだよ。……さらさらなかったさ」

 ナツは煙草を基地の隅に捨てて、開き直ったように言った。

「俺達は正義を貫くんじゃなかったのか?」

「それは今では昔の話だ。我が子に感情を抱くのはもう遅い。私は能力者の力で世界を支配する」

 ナツは吐き捨てるように言った。

「そんなの間違っている!」

 ギンジが叫び、我が子を失いたくないと強く願った。同時に妻であるマリの『メドゥーサ』の能力もナツにバレて追われることを恐れた。

 ギンジはナツに殴りかかろうとした。

 しかし――

 ナツが懐から何か取り出した。

 銃だ。

「おい、まさか……」

 ギンジの動きは遅かった。

 パシューン‼

「ああ、すまないが消えてもらう」

 ギンジはナツに撃たれた。

「なっ……」

 そう言って、ギンジは床に倒れこんだ。

「……ゆる……さないぞ……」

 ギンジの死は時空を大いに歪ませることとなる。

 ギンジは二×××年の世界で行方不明の存在となった。
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